万象無双の魔銃士《マギガンナー》 〜出来損ないはいらないとパーティを追い出されたら【ユニークジョブ】を授かりました。今更泣きつかれても、エロ

しがわか

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3話 魔銃《マギシューター》

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「さっきのは何だったんだ? 遠距離武器のようだったが……」

 少女の足の怪我を確認しながら問いかける。
 うん、折れてはいないようだ。

「これは魔銃マギシューターっていいます! 魔力がない人でも使える武器としてわたしが作ったんですけど……全然効いてなかったなぁ」

 少女は伏し目がちにそう言うと、わかりやすく肩を落とした。
 それでも小柄な体に似合わないゴツゴツとした黒光りする魔銃とやらを抱いているところを見ると、よほど大切なものなんだろう。

「あいつを退かせただけで大したもんだよ。ええと……」
「あ、ロッカです」
「そうか、俺はヴェインだ」
「ヴェインさん……助けてくれてありがとうございます」

 ロッカは、ぺこりと頭を下げた。

「いや、むしろ俺が助けられたみたいになっちまった」

 俺は頬を掻きながら、すまんと続けた。

「ただ安心するのはまだ早い。奴がこのまま逃げるとは思えないからな」

 その言葉を聞いたロッカは、顔をみるみる青ざめさせる。
 震えはじめた体を抱くように小さくなって、ぼそりと呟いた。

「じゃあどうしたら……⁉︎」
「ロッカはそこらへんに隠れていてくれ。俺が……何とかしてみる」

 とはいったものの、作戦はないしもちろん勝算だってない。
 僅かな希望があるとしたら奴が俺の体で満足して、この少女を見逃してくれることくらいか。
 まあ、残念ながらそうはならないだろうけど。
 
「でも武器は壊れちゃってましたよね……?」

 ロッカは目を潤ませて、心配そうな顔をしている。
 確かに肉厚の解体用ナイフがああも簡単に折れ曲がったのは、俺も衝撃的だった。

「あ、もしかしてヴェインさんは魔術士なんですか?」

 それなら……とロッカが続けようとしたので、首を横に振って否定する。
 
「いや、俺はただの封術士だ」
「ならどうやって……」

 一瞬輝かせた瞳を再び曇らせて、うつむくロッカ。

「なあ、それを貸してくれないか?」
「魔銃を、ですか? いいですけど……さっき顔に直撃してもかすり傷でしたよ?」
「それでも一度退かせた実績があるからな」
 
 当たりどころさえよければもしかしたら……今はそんな僅かな希望に縋るしかない。
 わかりました、と頷いたロッカに早速使い方を教えてもらう。
 
「なるほど。ここに弾を入れて、このトリガーってのを引けばいいんだな?」
「はい、そうです! そしたら撃鉄ここについている石が小さな爆裂の魔石を喚起して鉄の弾を飛ばすんです!」

 ロッカは、自分が作ったという武器の仕組みを嬉々として教えてくれる。
 職人らしというか、なんというか。さっきまでの悲壮感はどこへやら、だ。

「ん、待てよ……魔石を喚起する? でもこれは魔力がなくても使えるんだよな?」
「はい、そういう人のための武器ですから。実はエコーライトという希少な石を使っているんです」

 エコーライトか。希少というだけあって、聞いたことのない名前だ。
 
「なんとこの石は接触した魔石を喚起できるんですよ。普通なら加工するためにはかなりの技術と忍耐が必要なんですけど、そこはわたしの——」

 目を輝かせ早口でまくしたてるロッカの声は、もうほとんど耳に入っていなかった。
 魔石を喚起して撃ち出す……それってほぼ使い捨て魔術の発動プロセスじゃないか、そう思ったから。
 この銃を使えばもしかして俺でも魔術を——。

「なあ、これって……」

 制作者の意見を聞こうと口を開いた瞬間だった。
 正面の茂みががさりと揺れ、そこから森林豹フォレストパンサーがのそりと顔を覗かせたのだ。
 その姿を見たロッカが可愛いような、気の抜けるような悲鳴をあげる。

「ぴゃあっ!」
「下がってろッ!」

 震える少女に短くそう告げると、俺は魔銃を握って前に出た。
 それを目にした森林豹は警戒をあらわにする。どうやらすぐに突っ込んでくる気はなさそうだ。
 俺はその隙に腰のポーチへ手を突っ込んで手頃の魔石を取り出すと、封術の魔法陣を展開。

「どうせ食われるくらいならッ!」

 魔術を封じた魔石を弾代わりに込めると、狙いをつけて引き金トリガーを引く。
 軽い破裂音に続いて、ロッカの驚く声が聞こえた。

「えぇっ、なんで⁉︎」

 どうやらイチかバチかの賭けに勝ったらしい。
 封じておいた氷の魔術が、銃の先端から発射されたのだ。
 鋭い氷の飛礫が森林豹の横腹をかすめると、血が周囲に飛び散る。
 
「グガァッ‼︎」
「チッ、ギリギリ避けられたか。あれに反応するとか素早すぎるだろ……」

 森林豹は狙いを絞らせないようにか、細かいステップを繰り返す。
 右へ左へと、まるで黒い影が動いているようだ。

「くそっ、あんなのにどうやって当てればいい……うおッ!?」

 慌てて振り返ると、小さくなって震えているロッカを突き飛ばす。

「きゃっ!」
 
 一瞬前までロッカがいた場所に森林豹の鋭い爪が突き刺さった。
 
「危ねえ……」

 まさか対峙している俺じゃなくて、ロッカの方を狙ってくるとは。
 弱ってるやつを狙う野生の習性か。

 くそ、さっさと倒さないといつかあの爪が命に届いちまう。
 しかしあの速さの的に当てるのはさすがに……そうだっ!
 俺は魔石を取り出すと魔法陣を展開する。
 
「これならどうだ?」

 小気味いい音が響くと、封じた魔術が形になる。
 森林豹はその音に反応して、飛び上がった。

「残念、着地したら——終わりだぜ?」
 
 俺が狙ったのは森林豹おまえじゃない、地面なんだよ。
 そして込めたのは土魔術——《泥濘でいねい》。
 周囲の土を泥沼に変え、行動を封じる魔術だ。
 
「グ、グガァァァ!」

 森林豹の丸太のように太い足が、突然現れた泥沼に沈んでいく。
 焦ってもがいているが、もう遅い。
 魔術っていうのは攻撃だけじゃなくて、こういう使い方もあるんだぜ……まあ使うのは初めてだけどな。
 それにしてもなんだこの万能感、無敵感は。
 魔術が使えるというのはこんな気分なのか。
 長年閉じ込められていたものが解き放たれた、そんな感覚だ。

「A級の魔物でもそこまで沈んだらなかなか抜け出せないだろ?」

 次弾を込めながら泥沼でもがく森林豹に近づくと、至近距離からその巨体に魔術の弾を撃ち込む。

「これで終わりだ」
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