万象無双の魔銃士《マギガンナー》 〜出来損ないはいらないとパーティを追い出されたら【ユニークジョブ】を授かりました。今更泣きつかれても、エロ

しがわか

文字の大きさ
2 / 31

2話 命の燃やしどころ

しおりを挟む
 俺は街道を避けるように、人気のない森の中を歩いていた。
 二人がオーガ掃討から戻ってくるのを待たず飛び出してきてしまったが、仕方ないだろ。
 ジンガとウィン=ルゥも俺のクビに賛成している、なんて聞かされちゃったらな。
 
「はあ、昨日の夜営の時はあんなに楽しそうにしていたのに……」

 クビにすると決まっていたのに笑いながら火を囲んでいたのかと思うと、なんだか騙されたような気分だった。
 しばらく顔も合わせたくなくて、情けないことにこうしてあいつらの帰り道を避けて暗い森を歩いているわけだ。

「はあ、ほんと情けねえよ」

 さっきからため息が止まらない。
 これでも俺は封術士としてみんなの役に立っていると思っていた。
 ジンガの剣には炎の魔術を封じて魔法剣にしたし、ウィン=ルゥの靴に風の魔力を封じて飛び回れるようにだってした。
 魔力を放出できなくても、そういう支援で十分に貢献してきたつもりだ。
 
 それに魔力が乏しいダズのため、クズ魔石に魔術を封じるという手段を思いついたのも俺。
 微量の魔力で喚起するだけで使える使い捨て魔法なんて、画期的だと思ったんだが。
 しかし俺以外にあんな細かい作業ができる変態封術士がいるとはな。
 
「くそッ……!」

 落ちていた石を力任せに蹴飛ばすと、どこかでライバードが翔び立つ音がした。
 やっぱり努力を認められてなかったのは、悔しくて、やるせない。
 でも俺は冒険者だ。俯いてばかりじゃいられない、切り替えて前を向かないと。

「よし、街に戻ったら支援職の俺を入れてくれるパーティを探して——ん、なんだ?」

 今、森の奥から何か聞こえた気がする。
 人の声のような……。

「きゃあぁぁっ!」

 今度ははっきりと聞こえた。女性の叫び声だ。
 慌てて声がした方へ走り出すと、すぐにぽっかりと拓けた場所に出た。
 そこにいたのは、涎をたらした森林豹フォレストパンサーとそれに命乞いをする少女。

「わ、わわ、わたしは食べても美味しくありませんからぁ!」

 そう叫びながら、頭を地面に擦り付けて拝み倒している。
 そんなものが通用する相手じゃないのは見りゃ分かるだろう。

「そもそも、なんでこんなところに脅威度Aの魔物がいるんだよ」

 巨大な豹の威圧感に思わず腰が引けそうになったが、小さく震える少女の姿を見て奥歯を噛みしめる。
 
「さすがに見捨てるわけにはいかねえ」

 助けると決めたらすぐに行動だ。
 俺は足元の石を拾うと、黒い豹の脇腹に思い切り投げつけた。

「ゴォアァ゙ッ!」

 目の前の少女に釘付けだった森林豹は、石の直撃を受けて煩わしそうに身をよじった。
 俺はその隙に素早く駆け、少女の前に躍り出る。

「おい、立てるか?」
 
 腰の革ベルトに差してある解体用ナイフを抜きながら聞いた。
 武器としてはなまくら以下だが、素手よりはマシだ。

「は、はいぃっ!」

 少女は慌てて頭を上げると、跳ねるように起き上がる。
 ちらりと横目で見る限り、服こそ破れて半裸状態だが、大きな怪我はないようだ。

「よかった、じゃあ走るぞ!」
「じ、実はさっき足をひねってしまって……無理そうですぅ」

 少女は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら首を振る。

「まじかよ……」

 震える手でナイフを握る俺を、怒りの目で睨みつける森林豹。
 今は突然の乱入者の登場で様子を窺っているようだが、いつ飛びかかってきてもおかしくない。

「あいつの相手をするのはさすがに荷が重いな」

 身のこなしだけならそれなりの自信はあるが、脅威度Aの魔物を倒せるほどの攻撃力はない。
 そう自分の実力を理解しているからこそ、本当はすぐにでもこの場から逃げ出したかった。
 でも……それでも、この子を見捨てるわけには——。

「くそ、やるしかねえっ!」

 昔、死ぬとわかっていても俺のために立ち上がってくれた人がいた。
 だから俺はこうして生きているんだ。
 憧れたあの人の生き様は、まだこの目に焼き付いている。
 真似事かもしれない、無意味かもしれない。
 だけど、あの日救ってもらった命……ここが燃やしどころだろっ!

「うおぉぉぉぉっ!」
 
 地面を蹴って、飛び出す。
 腰だめに構えたナイフを一気に森林豹の顔面へ突き刺——。

「あ」

 瞬きもせず、避けもしなかったのは、その必要がなかったからだろう。
 その証拠に、奴の額に突き刺したはずのナイフはぐにゃりとひん曲がっている。

「……やっぱあの人みたいにはなれなかったか」

 俺にとって唯一の武器がなくなった。そうなればもうお手上げだ。
 曲がったナイフを地面へ放り投げて両手を上げると、森林豹は勝ち誇ったような顔して牙を剥く。
 そのまま大きな口を開けて——痛みを覚悟をした瞬間、背後から破裂音が聞こえた。
 
「グォオッ⁉︎」

 森林豹はその瞬間、素早く後退し距離を取った。
 その頬からはわずかに血が滲んでいる。
 思わず振り返ると、少女が震える手で握ったを豹に向けていた。
 続けてもう一度破裂音が響くと、森林豹は不気味なくらいあっさりと森の中へ消えていく。
 妙な武器に恐れをなしたか、それとも——。
 
 なんにしても助けに入ったはずが逆に助けられるとは……やっぱり情けねえな、俺。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

処理中です...