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13話 隠された扉
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翌朝、ギルドで月夜茸を納品した俺たちは、いよいよ本格的なエコーライト探へに向かうことになった。
「報酬は3万リルです。お疲れ様でした」
受付嬢のミーナから報酬を受け取り、俺はロッカとティアローズを振り返る。
「よし、それじゃ地図の場所を探しにいこうか」
「はいっ!」
ロッカがいつもどおり元気よく返事をしてくれた。
「それにしても……ティア」
「なんでしょう?」
「その格好は一体なんなんだ!?」
彼女はまるで下着のような格好をしていた。
胸元の開いたシスター服も大概だったが、今日の格好はそれを遥かに凌駕した露出度だ。
「あの……昨日、宿に戻ってから師匠の封術を思い出しながら練習してたんです」
そういえばティアとは部屋を分けたから何をしていたか知らないが、ちゃんと復習をしていたのか。
「そしたらいい感じでできたので、それを着てきたんです! 世の中にはビキニアーマーっていうのもありますし」
「いや、うん……そっか」
「ヴェインさん、鼻の下を伸ばさないでください! ティアローズさんもふざけすぎです。とても冒険に行く格好とは思えません」
ロッカが頬を膨らませながら叱ると、ティアは渋々といった態度でビキニアーマーとやらの上にシスター服を着た。
最初からそうすればよかったのに……いや、俺に成果を見せたかったのかもな。
確かに石系の魔術が込められていて、防御力が少し上がっていそうだった。
が、肌が露出している部分はまるで無防備だったから、まだまだ褒めてやれない。
「よし、気を取り直して出発するぞ」
今日の目的地は昨日までいた森と違って、ルーキー冒険者があまり立ち入らない場所だ。
街道を隔てて反対側という距離こそ違いが、より木々が鬱蒼としていて不気味さがある。
ロッカの地図を頼りに奥へ進んでいくと、開けた場所に出る。
「このあたりだな」
地図と照らし合わせながら指差した場所には、大きな岩が鎮座している。
しかしどう見てもエコーライトの鉱床らしきものは見当たらない。
「うーん……やっぱ偽情報だったのか?」
俺がそう呟くと、ロッカは肩を落とす。
しかしそれでも諦めきれないようで、這うような格好で地面に目を凝らしている。
「ここ……何かあるような気がします」
「何かってなんだ?」
少女はしゃがみ込んで手のひらを地面に当てると目を閉じる。
魔工技士の特殊な感覚でもあるのだろうか。
「ヴェインさん、ここを掘ってもらえますか?」
「ああ。ちょっと離れてろ」
俺は土魔術を封じた魔石を魔銃に込めて、地面に向けて撃った。
土が勢いよく掘り返されいく。
何度か続けると、やがて硬い感触が現れる。
「ん、岩?」
細かい土を払うと、明らかに人工的な石造りの扉が姿を現した。
扉の表面には複雑な魔術紋がびっしりと刻まれている。
「師匠、これって……封術じゃないですか?」
「確かにこれは封術だな。しかもちゃんと効力が残っている」
「えっ、でもどうみても大昔に作られたものですよね……これ」
ティアは封術士らしく、この異常さにちゃんと気付いたようだ。
普通の封術はもって数日、俺が気合いを入れて封じても一月もてばいいくらいだ。
つまりこの扉は俺よりも高位の封術士が封じたか、俺の知らない技術が使われていることになる。
「つまりこの扉は封印されているってことですか?」
そんなロッカの問いに、頷いて肯定を示す。
「そういうことだな」
「じゃあ壊しちゃいましょうか?」
「いや、外部的な衝撃じゃ壊れないようになってるぞ」
刻まれた魔術紋にじっと目を這わせながら、手に大きな槌を作り出したロッカに慌てて伝える。
「そう……なんですか……」
「おいおい、そんな悲しそうな顔をするなよ。俺は封術士だぞ?」
「ってことは……?」
「ああ、封じられるってことはその逆もできるってことだ」
紋様の構造を読み取り、逆の手順で術式を組み立てていく。
数千字にも及ぶ魔術紋を魔法陣として展開すると、扉の中央にそっと沈み込ませる。
「あっ……」
パキン、と音を立てて封印が解け、重い石の扉がゆっくりと開いた。
さて中には何があるか。これは——。
「地下への階段……ですね」
「これって、いわゆるダンジョンってやつなのでは?」
ティアが恐る恐る覗き込みながらそういった。
「エコーライトは、この中にあるんでしょうか」
「それはどうだろうな……」
ロッカに情報を売ったというやつがこの扉の存在を知っている理由がわからない。
地面はかなり深く掘ったし、扉も開けられた形跡がなかった。
「あの人は古代文明を調べる考古学者と言っていましたから……古い文献にあった、とかでしょうか?」
そういいながらロッカは興味深そうに階段を見つめている。
うずうずしていて、今すぐにでも飛び込んで行きそうだ。
確かに情報のとおり、ここには何かがあった。
ならばここでエコーライトが手に入る可能性もなくはない。
しかし未知のダンジョンだ、当然危険も予想される。
だけど……俺たちはエコーライト、冒険者だ。
「行こう!」
俺たちは顔を見合わせ頷きあうと、未知なる地下世界への第一歩を踏み出した。
「報酬は3万リルです。お疲れ様でした」
受付嬢のミーナから報酬を受け取り、俺はロッカとティアローズを振り返る。
「よし、それじゃ地図の場所を探しにいこうか」
「はいっ!」
ロッカがいつもどおり元気よく返事をしてくれた。
「それにしても……ティア」
「なんでしょう?」
「その格好は一体なんなんだ!?」
彼女はまるで下着のような格好をしていた。
胸元の開いたシスター服も大概だったが、今日の格好はそれを遥かに凌駕した露出度だ。
「あの……昨日、宿に戻ってから師匠の封術を思い出しながら練習してたんです」
そういえばティアとは部屋を分けたから何をしていたか知らないが、ちゃんと復習をしていたのか。
「そしたらいい感じでできたので、それを着てきたんです! 世の中にはビキニアーマーっていうのもありますし」
「いや、うん……そっか」
「ヴェインさん、鼻の下を伸ばさないでください! ティアローズさんもふざけすぎです。とても冒険に行く格好とは思えません」
ロッカが頬を膨らませながら叱ると、ティアは渋々といった態度でビキニアーマーとやらの上にシスター服を着た。
最初からそうすればよかったのに……いや、俺に成果を見せたかったのかもな。
確かに石系の魔術が込められていて、防御力が少し上がっていそうだった。
が、肌が露出している部分はまるで無防備だったから、まだまだ褒めてやれない。
「よし、気を取り直して出発するぞ」
今日の目的地は昨日までいた森と違って、ルーキー冒険者があまり立ち入らない場所だ。
街道を隔てて反対側という距離こそ違いが、より木々が鬱蒼としていて不気味さがある。
ロッカの地図を頼りに奥へ進んでいくと、開けた場所に出る。
「このあたりだな」
地図と照らし合わせながら指差した場所には、大きな岩が鎮座している。
しかしどう見てもエコーライトの鉱床らしきものは見当たらない。
「うーん……やっぱ偽情報だったのか?」
俺がそう呟くと、ロッカは肩を落とす。
しかしそれでも諦めきれないようで、這うような格好で地面に目を凝らしている。
「ここ……何かあるような気がします」
「何かってなんだ?」
少女はしゃがみ込んで手のひらを地面に当てると目を閉じる。
魔工技士の特殊な感覚でもあるのだろうか。
「ヴェインさん、ここを掘ってもらえますか?」
「ああ。ちょっと離れてろ」
俺は土魔術を封じた魔石を魔銃に込めて、地面に向けて撃った。
土が勢いよく掘り返されいく。
何度か続けると、やがて硬い感触が現れる。
「ん、岩?」
細かい土を払うと、明らかに人工的な石造りの扉が姿を現した。
扉の表面には複雑な魔術紋がびっしりと刻まれている。
「師匠、これって……封術じゃないですか?」
「確かにこれは封術だな。しかもちゃんと効力が残っている」
「えっ、でもどうみても大昔に作られたものですよね……これ」
ティアは封術士らしく、この異常さにちゃんと気付いたようだ。
普通の封術はもって数日、俺が気合いを入れて封じても一月もてばいいくらいだ。
つまりこの扉は俺よりも高位の封術士が封じたか、俺の知らない技術が使われていることになる。
「つまりこの扉は封印されているってことですか?」
そんなロッカの問いに、頷いて肯定を示す。
「そういうことだな」
「じゃあ壊しちゃいましょうか?」
「いや、外部的な衝撃じゃ壊れないようになってるぞ」
刻まれた魔術紋にじっと目を這わせながら、手に大きな槌を作り出したロッカに慌てて伝える。
「そう……なんですか……」
「おいおい、そんな悲しそうな顔をするなよ。俺は封術士だぞ?」
「ってことは……?」
「ああ、封じられるってことはその逆もできるってことだ」
紋様の構造を読み取り、逆の手順で術式を組み立てていく。
数千字にも及ぶ魔術紋を魔法陣として展開すると、扉の中央にそっと沈み込ませる。
「あっ……」
パキン、と音を立てて封印が解け、重い石の扉がゆっくりと開いた。
さて中には何があるか。これは——。
「地下への階段……ですね」
「これって、いわゆるダンジョンってやつなのでは?」
ティアが恐る恐る覗き込みながらそういった。
「エコーライトは、この中にあるんでしょうか」
「それはどうだろうな……」
ロッカに情報を売ったというやつがこの扉の存在を知っている理由がわからない。
地面はかなり深く掘ったし、扉も開けられた形跡がなかった。
「あの人は古代文明を調べる考古学者と言っていましたから……古い文献にあった、とかでしょうか?」
そういいながらロッカは興味深そうに階段を見つめている。
うずうずしていて、今すぐにでも飛び込んで行きそうだ。
確かに情報のとおり、ここには何かがあった。
ならばここでエコーライトが手に入る可能性もなくはない。
しかし未知のダンジョンだ、当然危険も予想される。
だけど……俺たちはエコーライト、冒険者だ。
「行こう!」
俺たちは顔を見合わせ頷きあうと、未知なる地下世界への第一歩を踏み出した。
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