ヴァンパイアハーフだが、血統に問題アリっ!?

月白ヤトヒコ

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ヴァンパイア編。

94.やっぱり悪女だ・・・

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 アマラが荷物を届けに来た男とアルちゃんを連れて行き、この大量の荷物を「荷物はアンタ達で運びなさい」とヒューに言ったらしい・・・

 そして、俺が呼ばれた。

 まあ、荷物自体はそう重くはない。
 しかし、これはアマラの荷物だ。

 俺にはわからない物が入っているのだろう。
 ぞんざいに扱えば、大層立腹される。
 それなら自分で扱えばいいと思う。しかし、そんな理屈はアマラには通じない。

 アマラは我が儘だ・・・男のクセに女王様気質…本人に言うと面倒だから言わないけど…

 船の中に入れさえすれば、後はアマラがどうにかする筈だ。分類やら、置く場所なんかは。

 適当に・・・ではなく、それなりに慎重に、手早く片付けよう。ヒューと二人、荷物を運ぶ。

 荷物の積み込みが終わり、ヒューに聞く。

「あのヒト誰?」
「アクセルって言ってたぞ?あと、ブライト」
「・・・アクセル…ブライト? ああ、だからアルちゃんと仲良さそうだったのか」

 納得した。

「知ってンのか?」
「知ってる…というよりかは、一部では有名だからね。ブライト家は」

 立場が微妙というか、難しい家ではある。

「そうなのか?」
「うん……混ざりモノの家だってさ。元々は純血のヴァンパイアの家だったのに、人間や獣人の血を取り入れた家として、有名なんだ。純血を至上とする風潮のあるヴァンパイアとしては、異端扱いされてるけど・・・混血のヒト達には優しいと定評がある」

 あそこの家は、不思議だ。

 一族で一番ヴァンパイアの血が濃いモノを当主にえ、一族で一番血が混ざっているモノを当主の相談役に置くらしい。かなり変わっている。

「まあ、商人の家だから、かなり打算的な部分も持っているんだけどね」
「打算的? どういう意味だ?」
「囲い込みとか? 割とえげつないらしいよ。役立つ人材は、掴まえて離さないとかさ」
「……えげつない?」
「商人には商人のやり方があるんだよ」

 返せないくらいの恩を売るのはマシな方。借金浸けにしたりとか、金銭的に追い込んだり・・・

 ある意味では、怖い家だと思う。

 まあこのブライトの情報は、俺が実家にいた頃の情報だけどね。今はどうだか?

 エレイスに入ってない上、海にいる俺は、ネットワークが結構前に切れてるからなぁ・・・

 アマラは、実はかなりの資産家だったりする。

 昔、倉庫に真珠が数百個ずつびん詰めされているのを見て驚いたことがある。宝石珊瑚もその近くに置かれていた。
 真珠や珊瑚は、場所に拠っては金以上に価値が高い物だ。そして、「一粒、一欠片でもったら、海に叩き落としてやるから」と言われた。
 ちなみに、ヒューとカイル、ミクリヤはアマラにそんなことを言われてないらしい。

 俺だけに言うとか…なんか俺の扱いがヒドくないか? 信用がないというか・・・

 まあ、そんな資産家のアマラだから、商人のブライト家が接触してもおかしくはない。

「それって、アルは…」

 ムッと顔をしかめるヒュー。

「ああ、アルちゃんは大丈夫でしょ。っていうか、ダイヤ商会に喧嘩売る馬鹿はそうそういないよ」

 ダイヤというよりはアダマスに、かな?

 アダマスの次期当主のヒトは、冷血の君だとか称されてて、敵対するモノには容赦しないらしい。
 現当主よりも苛烈な性格だと噂されている。

 そういえば、次期当主は混血を差別しない…非差別主義の変わり者だって聞いた覚えもあるな?

 なんでも、妹が混血だとか・・・

「そう言や、そうだな」
「むしろアルちゃんはダイヤの子なんだから、囲う側なんじゃない?」
「・・・」
「あ、今心揺れただろ?」
「っ! 武器見放題とか、思ってねぇぞっ!?」
「ははっ、でもヒューには向かないと思うよ」
「なにが向かねぇンだよ!」
「ダイヤは武器商だよ? 剣を売らなきゃ」
「ぅ・・・」

 刀剣マニアで、コレクションをしているヒューには、売る方は向かないと思う。

※※※※※※※※※※※※※※※

「さあ、お嬢さん。他に欲しい物はあるか? 遠慮せずになんでも言ってくれ!」

 ドン! と笑顔で胸を張る馬の子。

「そうねぇ…」

 人魚ちゃんへの宝石は買ったし、あたしの服やアクセサリーも、お菓子やアルへのお土産も、馬の子に買ってもらった。他に欲しい物…今は特に無い、かな?

 ・・・もう帰っちゃおうっと♪

「あのね、トール君♥️よく聞いて・・・」

 あたしの話を真剣に聞いた馬の子は、

「フッ、それくらいお安い御用さ!」

 風のように去って行った。

 さぁてと、帰ろっと♪

「ただいまー♪」

 船へ戻ると、狼の子と鬼の子が揃ってお出迎え。

「お帰り…で、いいのかな?」
「おい、あのバカ…トールはどうした?」
「っていうか、その荷物、もしかして全部…」

 あたしの両手一杯の荷物へ、引きつった顔で琥珀の視線を向ける狼の子。

「ふふっ、トール君に買って貰っちゃった♥️」
「悪女だ……」
「で、そのバカはどこに行った?」

 もう、馬の子の名前さえ呼ぶのをやめた鬼の子。

「アルプス山脈へ旅立ったわ…」

 と、遠くを見詰めてみる。

「「は? アルプス山脈?」」

「いや、ちょっと待て」
「なんだってそんなところに?」
「実は…病弱でよく寝込んでいる女の子がいて」
「は? なんだいきなり」

 目をぱちくりさせる鬼の子を無視して続ける。

「外に遊びに行けない女の子の唯一の楽しみは、絵本を読むことだったわ。それで、いつか身体が丈夫になったら、絵本に載っていたアルプス山脈に咲く、エーデルワイスを見てみたいと・・・けれど、女の子は今…高い熱を出して、エーデルワイスが見たいって譫言うわごとを言い続けているの。誰か、その女の子の為にアルプス山脈からエーデルワイスを持って来ることができれば・・・」※高山植物を勝手に摘むのはいけないことです。真似しちゃいけません。

 ぎゅっと、胸の前で両手を組み…

「って言ったら、ちょっくらエーデルワイスを摘んで来るぜ! って走って行っちゃった♥️」

 にっこりと微笑む。

「嘘かよ!」
「あら、失礼ね? 事実よ。ちゃんとこの街に住んでいる、病弱な女の子のことだもの」

 夢魔のあたしに届くくらいに、強い夢だ。まあ、昼に寝てる人間ひとは少ないんだけど・・・

 ちゃんと、馬の子に女の子の住所も教えたし、エーデルワイスを持って行ってくれるだろう。※高山植物を勝手に摘むのはいけないことです。真似しちゃいけません。

「つか、アルプス山脈に花咲いてンのか? 時期とか、どうなんだ?」
「さあ? あたしはそんなの知らないわ♪けど、きっとトール君が見付けてくれるって信じてるの♥️」
「やっぱり悪女だ・・・ていよく追い払った」
「ふふっ♪」

 一応、馬の子を遠くにはやった。けど、あの子はきっと数日で戻って来るだろう。

 あの子、色々と頭は残念なんだけど、骨のずい…いや、魂の底からの女好きだからねぇ?

 本来なら、魅了耐性が高い筈なのに、あたしの魅了にメロメロだったし。

 まあ、あたしというよりは…女という性別に対して、頭が常に花畑ピンクなんだろうけどね?
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