人為的に心霊スポットを作る方法

月白ヤトヒコ

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人間が鬼に成るのか、鬼が人間の振りをしていたのか……

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 ※グロ注意。

 ※カニバリズム。

――――――――


 ね、ね、噂なんだけどさ? 例の……×××基地、とうとう出たんだって。

 あ? あ~、前言ってたヤバい基地? なに? 心霊現象が起こるってのは、前から有名だったじゃん。地元の霊能者に、軒並みお祓い断られてるってのも含めてさ。

 うん。そう、それで、今回出たってのが、人食い……

 は? え? 人食い……鬼とでも言うつもり?

 まあ、ある意味では? 『鬼』と呼べるかもしれないね。

 ある意味?

 うん。人間ひとが鬼に成るのか、鬼が人間の振りをしていたのか……って感じだけど。

 なんつーか、あんまいい話じゃないってのはなんとなくわかった。

 そうだねー。かなりヤバいよ? 基地の中にも、霊安室ってあるみたいでさ。

 ぁ~……うん。もう嫌な予感しかしないわー。

 基地周辺で亡くなった軍人さんやその家族を一時的に保管して、本国へ送るまで置いとくらしいんだけどさ? どうやら、その遺体を食べた人がいたらしい。

 ぅっわ、マジの人食いの話だったわ。それで、なに? また取り憑かれ系で犯人? は、錯乱状態で……ってオチ? 大丈夫なの? その人は。

 ううん……今回は、遺体を食べた人であろう人も亡くなってるんだって。

 え? なにそれ? ……もしかして、正気に戻って自分のやったことにショック受けて自殺した、とか?

 ううん。あ、えっと、知らないかな……ほら、向こうの国って、土葬が主流でしょ?

 なんでいきなり埋葬の話よ? まあ、海外ドラマや映画なんかの葬式のシーンでは、棺桶埋めてるな。

 そ。で、向こうは、埋葬する前に遺体が腐敗しないようにエンバーミング……要は、防腐処理を施すワケよ。基地の中にも、それ施す人がいるんだって。

 ああ、なるほど?

 で、防腐処理済みの遺体を食べちゃって、防腐剤……ホルマリンとか? の、劇薬も一緒に摂取したことになって、遺体を食べ残した傍で、絶命している人がいたって話。

 ぅっわ……えっぐいわー。

 でも、まあしょうがないかもね。

 しょうがない、か?

 うん。だって、頭おかしくなるのもしょうがないかな? って。だってさ……戦時中は、人間の遺体食べてたって話があるし。

 ……あれ、噂じゃなかったのか?

 ううん。戦時中の経験として、手記に残されてる話がある。ほら、この地方のお墓って大きいじゃん。

 ああ、うん。亀甲墓って、中に先祖の……大腿骨が入るサイズのデカい骨壺がずら~って並んでるらしいね。見たことないから知らんけど。

 昔は、風葬と土葬の合わせ技で埋葬してたんだってさ。火葬が主流になったのは、戦後のことね? で、戦時中はお墓が防空壕代わりにも使われることもあったらしいんだわ。それで……食糧が手に入らず、アダンや毒のある植物を食べて死ぬ人が出る中。どうしても餓えて餓えて、我慢できなくなった人が……風葬で遺体の肉を削ぎ落してる最中の、亡くなった親族を食べちゃったんだって。「ごめんなさい、ごめんなさい。ひもじくてひもじくて堪らないんです。ごめんなさい、許してください……」って泣きながら。

 ぅっわ……

 「他人のお墓で、知らない人の死体を食べるよりは……自分の親戚を食べる方がマシ」だって思って、罪悪感に怯えながら食べたんだって。で、一緒にその親戚を食べた人は食中毒で亡くなったらしい。「本当に、餓えてひもじくて大変だったとは言え、罪深いことをした。遺体を食べようなんて思わなければ、アイツも死なずに済んだかもしれないのに」って、死ぬ程後悔したっていう手記が残ってる。

 壮絶が過ぎるぜ……

 まあ、でも、これはまだマシな話。

 え? まだなんかやべぇ話があんの?

 状況証拠としては、バッチリだよね。避難した、洞窟という閉鎖空間の密室。食糧は常に不足していた。食糧配給も滞り、艦砲射撃や空爆、果ては地上戦で火炎放射器や機関銃で敵兵が蹂躙している最中、外で食糧調達なんてできるワケもない。

 ああ、うん。傷口に湧いた蛆を食べて生き残った人もいたんだよな……

 数百名という大量の人がひしめき合っていた洞窟の中。毎日出る死人。綺麗に並べられた人骨。食べ物・・・が無いのに、餓えた様子がない軍人や、それに従っていた人達。さぁて、彼らは一体ナニ・・を食べていたのでしょうか?

 コレはもう……一択しか無いんじゃね?

 そうだねー。ちなみに、最新のヤバい証言。知ってる?

 ヤバい証言?

 そ。密室の洞窟内で、実際にあったこと。つい最近まで、戦争経験者が口を噤んで表には出て来なかった話。多分、本当の本当に……死ぬ間際で遺したであろう証言。

 カニバリズムよりヤバい証言?

 ある意味? 小さい子供って、静かにじっとしてられないじゃん?

 ん? まあ、そうだな。

 戦時中。洞窟の中は……小さな物音一つで、『敵兵に見付かる!』って集団ヒステリー状態の人間が数多くいた。おとなしく、じっと静かにしていられない子供は……殴られて、静かにさせられるならまだマシな方。最悪、赤ちゃんの泣き声が煩いからって、殺された。泣き喚く子供の親族に、その子を殺させた。

 ぁ~……うん。聞いたことある。戦争の悲劇って、よく言われるやつだよな?

 うん。でも、これにはもっと酷い……それこそ、人間の所業ではないことをした、という続きがあったりするワケよ。

 子殺し以上の所業?

 そ。言ったでしょ? 『食べ物・・・』が無かったんだ。

 ま、さか……

 そう、そのまさか。我が子が亡くなった……もしくは、自分で殺した我が子を抱いた母親に、「ソレを寄越せ。食糧にする」って言った人がいたんだって。他の人に、「湯を沸かせ」という命令と共に。

 マジかよ……

 更に救いようがないのは……「嫌です! この子はわたしの子ですっ!? 食べないでっ!?」と、拒否した母親を殴り付け、無理矢理子供の死体を奪い取って、食べたんだって。

 確かに、人間のすることじゃねぇぜ……

 うん。で、更に外道だと、抵抗した母親を集団で慰みものにした後、殺して食べたって話もある。「服を脱がせろ。毛を剃って、血抜き処理しておけ」って、別の誰かへ命令してさ。

 ……ガチで外道、鬼畜の類だな。そりゃ、最期の最期まで出て来ない証言だってのも納得だわ。極限状態の人間の狂気と罪業が、えぐ過ぎる。

 まあ、そういうことがあった場所の……死体の混じった土砂を踏み付けにしてるんだから。なにが起こっても、仕方ないんじゃないかな? 追い詰められて、人間が人間を殺して食べちゃうようなことをした、狂気ってやつ? に当てられる人が出るのも。

 ぁ~……そう言や、割と有名だよなぁ。観光地にもなってる鍾乳洞。戦時中は、防空壕にもなってたって場所。入ると、偶におかしくなる人がいるって。

 うん。観光ガイドさんが、数珠とかお守り持って入るってのも有名だね。更に言うなら、おかしくなった人が出ると霊能者が呼ばれて対処するって噂もあるよねー。見学で入った修学旅行生とか、中高生が取り憑かれたって話も聞くし。

 なんだっけ? 実は、殺人事件のあった場所の心霊スポットより、殺人事件を起こした加害者の住んでいた家とかがヤバい事故物件になるって話あるよなぁ……なんだろ? 次に住んだ人も、頭おかしくなって殺人犯になっちゃう……みたいな?

 ああ、そうだねぇ。そんな感じかも?

 どっちにしろ、×××基地はヤバいってことだな。作ろうって、実行した奴の気が知れないぜ。


――――――――


 書くかどうか迷った話。でも、終戦記念日なので投稿することにしました。

 作中に出て来る防空壕内での証言は、ここ数年で出た新しい証言です。まあ、『洞窟内で、死体を食べていたのではないか?』という疑惑自体は、ずっと前から言われていたそうですが。

 けれど、実際は遺体を食べる以上に悍ましいことをしていたワケです。

 死体を食べて生き残った人は無論、生きている人を殺して食べた人、それらを黙認していた人の口が重くなり、話したくないと口を噤むのも当然だと思います。

 現在は観光地として有名ですが、戦争中にこういう悲惨なことがあった土地です。

 この話は、氷山の一角です。たくさんたくさん、人が殺されて亡くなっている場所です。そういう地獄があった場所だったと、心の片隅に覚えていてください。

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