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男女の友情をそういう邪な目でしか見れない君は、実は欲求不満なんじゃないか?
しおりを挟むクズ男がざまぁされる話です。( ・`д・´)
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俺の婚約者は少々というか……お堅い性格で、婚約して数年も経つのに軽い触れ合いすら許してくれないし、あまり可愛げがない。性格自体も可愛げがないというのに、見た目も華やかではなくて……あまりパッとしない感じだ。
だから……華やかで明るい性格で誰とでも仲良くなれるような愛嬌があり、甘え上手な同級生の彼女と仲良くなってしまうのも無理はないだろう。
とは言え、別に婚約者と別れるつもりはない。甘え上手な彼女が仲良くしているのは、俺だけではないと判っている。
彼女は、恋人や一時の関係になるには最適だと思うが、結婚相手としては婚約者の方が向いているだろう。彼女の他の男友達だって、彼女に本気で惚れている奴はいない。みんな、遊びだと割り切って彼女と愉しんでいる奴ばかりだ。
それに、どうせ成人したらいずれ婚約者とは政略結婚をしなくてはならないし。だから、これはそう……学生時代の青春というやつだ。
男なら、誰にでもあるだろう? 見目の良い女を連れ歩いて、道行く人に自慢したいと思うことが。いずれ妻にしないといけない女はパッとしないんだから、今のうち華やかな彼女と遊んでいるだけだ。
街歩きをしてカフェに行ったり、芝居見物に彼女を誘ったりして、デートを楽しんだ。
婚約者には、度々苦言を呈された。「異性とみだりに触れ合うのは、やめてください」「婚約者以外の女性を優遇するのはおやめください」と。彼女の方にも、「婚約者のいる殿方と過度な接触はお控えください。あなたの評判にも関わりますよ」と。
本当に、お堅い女だ。俺を繋ぎ留めたいなら軽い触れ合いくらい許せばいいのに。なのに、それは嫌だと断固拒否する。それは我儘じゃないのか? これだから、アイツは可愛くないんだ。拒否される俺の気持ちなんて、全く考えてない。
なんて、婚約者のお堅さに辟易して、色々と柔軟な思考の彼女に癒されながら仲良く二人で学園の中庭を歩いているときだった。
「……いい加減にしてください。一体、何度同じことを言わせるのですか? 婚約者でもない、身内でもない女性との過度な接触はおやめください」
顔を合わせた婚約者が、冷たい表情の低い声で言った。
「だから、何度も言っているだろう? 彼女は友人の一人だ。まさか、君は男女の友情なんて成立しないだなんて偏見に満ちた考えを持っているのか? だから、俺と彼女の仲をそんな穿った邪な目でしか見れないんだよ。というか、自分がそういうさもしい考えしかできないからと言って、俺や彼女の行動の自由を制限するのはやめてくれないか?」
迷惑そうな顔でそう言ってやると、彼女もニヤリと笑って言った。
「そうですよぉ。わたし達は、オトモダチなんですからぁ。オトモダチ同士で、ちょ~っと遊びに行っただけじゃないですかぁ?」
「休日に。婚約者との予定をキャンセルして二人切りで出掛けて、手を繋いで歩いたり、観劇したり、お茶をしたりする身内でもない異性が、ただの友人ですか?」
婚約者が反論する。
「偶々、君より先約に入っていただけだ」
「ねー?」
「友人、ですか。友人とは言え、異性と手を繋いで歩いて、ハグやキスをするのですか?」
「女性に手を貸してなにが悪い? それに、誰だって友情のハグやキスくらいするだろうが! いい加減にしてくれ!」
全く、なんなんだ。こっちは、いずれパッとしない見た目の婚約者とは結婚してやるというのに。結婚する前くらい、好きにさせろよな! と、思って……ふと婚約者を見て、気付く。なにげにコイツ、スタイルはそう悪くないんだよなぁ。
「……そもそも、男女の友情をそういう邪な目でしか見れない君は、実は欲求不満なんじゃないか? それとも、嫉妬か? まあ、君がどうしてもというなら、相手してやってもいいけど?」
ニヤリと笑いながら婚約者の全身を見回すと、
「っ!? ……そんな下卑た発言は今すぐやめてください!」
顔を真っ赤にして、けれど怒りを抑えたような口調で言った。なんだ、可愛いところもあるじゃないか。
「気分が悪いので失礼します!」
と、婚約者は去って行った。
「あ~あ、カワイソー。あんなこと言っちゃってよかったのぉ? 婚約者なんでしょ?」
ニヤニヤと婚約者の後ろ姿を見て笑う彼女。
「ああ、アイツのことなんて別にどうでもいいだろ? なぁ?」
そう囁いて、彼女に友情のキスを落とした。
そんなやり取りがあって――――数日後。
彼女と学園の中庭で楽しく過ごしていたら、婚約者が数名の女生徒と連れ立ってやって来た。前に、欲求不満かと聞いてやり込めたから、今度は味方を引き連れて来たのか? 全く……
やれやれと思いながら婚約者の方へ視線を向けると、
「ごきげんよう」
冷ややかな挨拶。
「わたくし、男女関係無く育む友情に大変感銘を受けましたの。尽きましては、そのご友情を皆様に認めて頂こうと思います。わたくしも見届けますので、是非とも友情を深めるためにお出掛けしてくださいな?」
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