あなた達を異世界の勇者として召喚してあげますよ?

しまうま弁当

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一章

枕投げゾンビゲーム

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明井田大規模火災より1週間の月日が流れた。

晴南達は明井田火災が発生してからは封木神社へあししげに通っていた。

6月18日も晴南達は封木神社へとやって来ていた。

九木礼町内が依然として混雑していたからであった。

そしてここ数日は枕投げゾンビゲームに熱中しており、今日も第一社務所で枕投げゾンビゲームが行われていたのだった。

正午過ぎ、晴南達はゾンビ刑事役とドロボウ役の2チームに分かれて遊んでいた。

ゾンビ役は晴南と晃太と慎吾と由香と長孝で、ドロボウ役が麻衣子と冬湖と亜美と拓也と優斗であった。

美咲と七緒はきょうは封木神社に来ていなかった。

第一社務所の西側の和室に枕を持ったゾンビ役の由香と長孝がいた。

ゾンビ役の二人はドロボウチームのメンバーがいないか部屋の中を見渡していた。

由香と長孝は部屋の中を確認し終わると廊下に出ていった。

すると部屋の押し入れの中から声が聞こえてきた。

「いったみたいだよ?」

そして押し入れのふすまが開いて中から優斗が出てきた。

さらに部屋の中央に置かれていたテーブルの下から麻衣子が出てきた。

「優斗君、早く外に出ましょう?」

優斗は麻衣子の問いかけに頷くと部屋の出入口のふすまを少し開けて外の様子を伺った。

麻衣子が優斗に尋ねた。

「どう?」

優斗が麻衣子に言った。

「廊下に枕投げゾンビはいないみたい。あっ?」

麻衣子が優斗に言った。

「どうかした?優斗君??」

すると部屋のフスマがスッと開いた。

そして廊下側から声が聞こえてきた。

「優斗?麻衣子?まだ捕まってないか。」

声の主は拓也だった。

拓也の姿を確認した優斗が拓也に言った。

「うん大丈夫まだ捕まってないよ?」

そして拓也の後ろには冬湖と亜美が立っていた。

三人の姿を確認した麻衣子が拓也に尋ねた。

「拓也君達は無事だった?」

拓也が麻衣子に言った。

「ああ、大丈夫だ。誰もまだ捕まってない。それよりも長孝と由香が北の大広間を探してる。今のうちに外に脱出しよう。」

この枕投げゾンビゲームは下駄箱にあるスリッパを履いた状態で誰か一人でも建物の外に脱出できれば、ドロボウ側の勝ち。

ドロボウに枕を投げて当たると逮捕となり、全員を逮捕できればゾンビ側の勝ちであった。

麻衣子達は玄関口の方の見た。

拓也がみんなに言った。

「玄関に枕投げゾンビはいないみたいだ。」

麻衣子が拓也に言った。

「おかしいわね?玄関にいないなんて?」

優斗がみんなに言った。

「死角に隠れてる可能性もあるよ。警戒しながら進んだ方がいいと思う。」

麻衣子達5人は慎重に玄関まで進んでいった。

だが晴南達は玄関の周りには見当たらなかった。

麻衣子が少し驚いて言った。

「あれっ??どこにもいないわ?」

優斗が麻衣子に言った。

「どういう事かな?」

拓也が優斗に言った。

「理由はわからんが、今がチャンスだろう。外に出れば俺達の勝ちだからな。」

拓也はそういうと下駄箱からスリッパを取り出して履いた。

そして玄関から出ようと玄関の引き戸を開けた。

すると引き戸を開けた瞬間に玄関の外から枕が飛んできた。

玄関に立っていた拓也の頭にめがけて玄関の外から枕がすごい速さで飛んできたのだ。

拓也は間一髪でこの枕をかわしたが、間髪いれずに立て続けに枕が二つ卓也めがけて飛んできた。

これには拓也もかわしきれずに、拓也の頭とひざに枕がひとつづつ命中してしまった。

そして玄関の外から晴南の声が響き渡った。

「ちょっと拓也!!不意打ちしてるんだからそのまま当たってよ!!かわされたらビックリするでしょ?」

麻衣子が大きな声で言った。

「晴南達が外で待ち伏せしてるわ!!みんな玄関から離れて!!」

麻衣子達は慌てて玄関より距離を取った。

そして麻衣子は大声で外にいる晴南に呼び掛けた。

「晴南??ずっと玄関で待ち伏せしてたの??」

晴南の声が外から響いてきた。

「そうよ。ずっと麻衣子達がやってくるのを待ってたわ!!」

麻衣子が大きな声で晴南に尋ねた。

「枕投げゾンビが外に出てるってどういう事よ?」

すると晃太の声が響いてきた。

「この枕投げゾンビゲームはドロボウ側の勝利条件が下駄箱のスリッパを履いた状態で誰か一人でも建物の外に出れば勝利になる。だからゾンビ側は建物内でドロボウをいち早く発見して枕を投げて捕まえるか、スリッパが置いてある下駄箱を見張るっていうのが基本戦略になる。」

晃太の声が響いてきた。

「ただ枕投げゾンビが建物の外に出てはいけないというルールは作ってない。だから枕投げゾンビが外で待ち伏せをする事じたいはルール上は問題ないはずだ。」

すると麻衣子が大きな声で晃太に尋ねた。

「でも晃太君?枕を外に持ってって汚したら二実さんに怒られるんじゃない?」

晴南の声が響いてきた。

「ふっふっふ!!!その心配は無用よ、麻衣子。もう二実さんには枕を外に持っていいって許可もらってあるから。多少なら汚れてもいいってお墨付きをもらってるわ。」

麻衣子はこっそりと引き戸の反対側に回って開けられていた玄関の引き戸をゆっくりと閉めた。

その後で人数分のスリッパを下駄箱から取ってくるとそれをみんなに渡した。

そして麻衣子と優斗と冬湖と亜美が話し合いを始めた。

冬湖がみんなに尋ねた。

「どうしましょうか?これじゃあ玄関からは出られませんね。」

麻衣子がみんなに言った。

「スリッパは手に入ったし、ルール上はこの第一社務所の外に出れば勝ちだから、もう窓から外に出ればいいんじゃない?」

亜美が麻衣子に言った。

「そうですね。」

優斗が麻衣子に言った。

「ちょっと待ってくれないかな?」

麻衣子が優斗に尋ねた。

「どうかした?優斗君?」

優斗が麻衣子に言った。

「この待ち伏せ作戦って考えたのってたぶん晃太だよね?」

麻衣子が優斗に言った。

「そうだろうね。」

優斗が麻衣子に言った。

「もし晃太が作戦を立ててるとすると、僕達が窓から脱出しようとする事もたぶん読んでると思うんだ。」

麻衣子が優斗に言った。

「あー、確かに晃太君なら窓から脱出すると読んでるかもね。」

優斗が麻衣子に言った。

「だから窓からの脱出は逆に危険だと思うんだ。」

麻衣子が優斗に言った。

「だけど、ここにてもいずれ中にいるゾンビの由香や長孝君に見つかっちゃうわ?」

優斗が麻衣子に言った。

「それでなんだけど、こういうのはどうかな?」

優斗は自分の作戦を他のメンバーに話した。

冬湖が優斗に言った。

「はい、とてもいい作戦だと思います。」

亜美が優斗に言った。

「いいんじゃないでしょうか?」

麻衣子が優斗に言った。

「私もいいと思う。それじゃあ優斗君の作戦でいこっか。」

一方第一社務所の外では晴南が他のゾンビ役のチームメンバーに指示を出していた。

「慎吾は東側に回ってちょうだい!!」

「晃太は北側を任せるわ。私が西側を見てるから。」

晃太が晴南に尋ねた。

「ああ分かった、だが南側はどうする?」

晴南が晃太に言った。

「私が西側をみながら南側も抑えるわ。」

晃太が晴南に尋ねた。

「大丈夫か晴南?一人で西側と南側の二つを見れるのか?」

晴南が晃太に言った。

「私を誰だと思ってるの?」

晃太が晴南に言った。

「すまない、愚問だったな。」

晴南が晃太に言った。

「オッケー、絶対に勝つわよ、晃太!!」

晃太が晴南に言った。

「ああ。」

晴南は第一社務所の西側と南側が両方見える位置に立って社務所の窓に神経を集中していた。

晴南が呟いた。

「さあどこからでも出てきなさい。」

すると第一社務所の中から麻衣子の大きな声が聞こえてきた。

「みんな!!今よ!!」

すると麻衣子の合図と共にドロボウ班のメンバーが一斉に窓の近くに現れた。

バラバラの場所から同時に外に出ようとしたのである。

晴南が大きな声で言った。

「残念ね麻衣子、全部お見通しよ!!!」

晴南は西側の窓から出よとしている冬湖を見つけると、間髪いれずに枕を投げつけた。

冬湖はちょうど窓を開けた所に枕が飛んできて、それをかわせずに晴南の投げた枕に当たってしまった。

西側から出ようとしていた冬湖に枕を当たったのを確認した晴南は、他に西側の窓から出ようとしているメンバーがいない事を確認してから、晴南は南側に移動した。

南側の窓からは麻衣子が今まさに外に出ようとしていた。

晴南はそれを即座に発見すると開けられた窓に向かって枕を投げつけた。

枕はすごい速度で麻衣子まで飛んでいき麻衣子の頭にヒットした。

「あっいた。」

晴南が麻衣子に言った。

「全部お見通しよ。麻衣子!!」

少しして晃太の声が聞こえた。

「晴南、北側の窓から亜美が出ようとしてたのを阻止した。」

慎吾の声が聞こえてきた。

「東側も大丈夫けん。誰も出てきとらんばい。」

晴南が嬉しそうに麻衣子に言った。

「麻衣子!!今回も私達の勝ちよ!!」

すると麻衣子が笑みを浮かべながら晴南に言った。

「ううん、残念だけど今回は晴南達の負けだよ。」

晴南が麻衣子を見ながら言った。

「えっ?」

麻衣子が晴南に言った。

「ねえ?もう一人メンバーがいるでしょ?」

晴南は麻衣子の言わんとしている事に気がついた。

「優斗!!優斗はどこ??」

すぐに晴南は社務所の建物を見渡した。

すると玄関の引き戸がいつの間にか開いている事に気が付いた。

そして玄関から優斗が出てきたのだった。

優斗を見つけた晴南が大声で尋ねた。

「優斗!!なんで玄関から出てきたの?」

優斗が晴南に言った。

「たぶん晴南達は窓の前に張り付くと思って逆に玄関に対する警戒は低くなると思ったんだ。それで僕だけ脱出の合図から少し時間をずらして玄関口から出る事にしたんだ。出る前にゆっくりと引き戸を開けた後でね。」

そこに晃太が戻ってきた。

状況を理解した晃太が優斗に尋ねた。

「こっちが窓の前に張り付くって読んでたのか?」

優斗が晃太に言った。

「うん、たぶん晃太なら窓からの同時脱出は予想してると思ったんだ。」

晃太が優斗に言った。

「完全に裏をかかれたな。」

麻衣子が笑みを浮かべて晴南に言った。

「というわけで今回は私達の勝ちね!!」

亜美が嬉しそうに言った。

「やったー!!」

一方の晴南は悔しさをにじませていた。

「悔しいーーー!!!」

そして晴南は大きな声で麻衣子と優斗に言った。

「くっ!!!麻衣子!!優斗!!次は絶対に負けないわよ!!覚悟しなさい!!!!」

すると女性の声が後ろから聞こえてきた。

 「みんなちょっといいかな?」

晴南達が振り替えるとそこには二実が立っていた。

晃太が二実に尋ねた。

「あっ二実さん、なんでしょうか?」

二実が晃太に言った。

「実はさ、ついさっき明井田市の避難指示が解除になったのよ。」

晃太が二実に尋ねた。

「えっ?それじゃあ明井田の中心部も解除されたんですか?」

二実が麻衣子に言った。

「ううん、明井田の中心部はまだ解除されてないわ。解除されたのは中心部以外の地域ね。それで明日にでも一旦明井田のマンションに戻って荷物を取りに行こうと思ってね。」

麻衣子が二実に尋ねた。

「荷物を取りに行く?」

二実が麻衣子に言った。

「色々と気になる事があるからここを拠点にしようと思ってるの。明井田火災について詳しく調べたいと思ってるの、あとこの神社で起こった事も一緒にね。明井田のマンションだと狭いからこっちに越してこようと思ってるのよ。」

晃太が二実に尋ねた。

「こんな怪奇現象のあった場所に住むつもりなんですか?」

二実が晃太に言った。

「まず勘違いしないで欲しいんだけど、本来神社というのは神様の住まわれてる場所だからとても神聖な場所なのよ?」

晃太が二実に言った。

「つまり神社は本来とても安全な場所だと?」

二実が晃太に言った。

「そういう事。」

晃太が二実に言った。

「でも実際に怪奇現象が起きましたよね?」

二実が晃太に言った。

「まあそれを言われると反論できないんだけど、この明井田周辺の物件は入居の申込みが殺到してるからね。現状引っ越すならここを寝床にするしかないんだよね。」

明井田市周辺の賃貸物件は仮住まいとして入居者の申込みが殺到しており、とても簡単に借りられる状況ではなかった。

するとスマホの着信音楽がその場に流れた。

「あっ、私のだ。」

麻衣子は自分のスマホが鳴っているのに気が付いてスマホの画面を確認した。

「美咲からだ。何だろ?」

麻衣子はすぐに電話に出た。

「あっ美咲?どうしたの?うん、えっ?そっちに健太君が来てるの?うんうんうん。分かった。じゃあ折り返すから少し待ってて。」

麻衣子は電話を終えるとスマホをしまった。

そしてみんなに言った。

「健太君が美咲の家の前に来てるらしいんだけど、柚羽の事で私達と話がしたいんだって。」

晴南が麻衣子に言った。

「えっ?健太が九木礼に来てるの?」

二実が麻衣子に言った。

「健太君って確か柚羽ちゃんの弟だよね。」

二実がみんなに言った。

「なら私が健太君をここに連れてくるね。健太君がみんなと話したいならここに来てもらった方がはやいからね。」

すると今度は二実のスマホの着信音楽が流れた。

二実がすぐに自分のスマホを取り出して電話に出た。

「ああ三緒か?どうかした?うんうん。今から七緒ちゃんを連れてこっちに来るの?それならさ、来る途中で美咲ちゃんと健太君を拾ってくれない?うん二人とも美咲ちゃんの家の前にいるらしいから。うん。それじゃあよろしくね。」
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