あなた達を異世界の勇者として召喚してあげますよ?

しまうま弁当

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一章

霊力の暴走

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午後6時を過ぎていた。

晴南達は柚羽(ゆずは)の幽霊を助けるために美咲の家にやってきていた。

まだ日が昇っている時間であったが空は厚い雲に覆われており、光が遮られて周囲は薄暗くなっていた。

すると庭で準備をしていた長孝が晴南の所にやってきて言った。

「ハル姉、準備が整ったっす。」

晴南が長孝に言った。

「それじゃあ長孝達は外で待機しててね。」

すると心配そうな顔をした亜美が晴南に言った。

「晴南さん、柚羽(ゆずは)さんをお願いします。」

晴南が亜美に言った。

「大丈夫よ亜美、任せてちょうだい。」

晴南がみんなに言った。

「さあそれじゃあ柚羽を助けに行くわよ!!」

全員が大きく頷いた。

晴南達は玄関前まで移動した。

晴南が玄関の所に設置されている認証機器にICカードをかざした。

ガチャという音と共にロックが解除されると晴南が玄関の扉をゆっくり開けた。

晴南達は玄関で靴を脱ぐとそのままダイニングに向かった。

今回美咲の家に入ったメンバーは晴南と麻衣子と二実そして優斗と拓也の五人とリグロと黒輪(こくりん)であった。

そして晴南達はダイニングに入っていった。

全員がダイニングに入った後で晴南がダイニングの扉を閉めた。

晴南がダイニングの中を見回してからリグロに尋ねた。

「柚羽はいますか??」

リグロが晴南に言った。

「ああ、この部屋の一番奥に彼女がいる。」

黒輪(こくりん)が言った。

「すさまじい霊力だ。やはり一杉縄ではいかなさそうだな。」

ダイニングの奥にいつの間にか長い黒髪で紫色の服を着た女の子が顔を晴南達に向けて立っていたのだった。

彼女の顔は目も鼻も口のなく真っ黒に塗りつぶされた真っ暗闇の顔であった。

柚羽がダイニングに姿を現れしたのだった。

そして女の子の甲高くかすれた声がダイニングに響いた。

「よ・・・・こ・・・・。」

麻衣子が現れた女の子の幽霊を見て怯えた様子で言った。

「出た???」

すると晴南が麻衣子に言った。

「麻衣子!怖がっちゃダメよ。あの子は柚羽なのよ。」

麻衣子が晴南に言った。

「うん、そうだねごめん。」

甲高くかすれた声がダイニングに響いた。

「よ・・・こ・・・せ・・・。よ・こ・せ!!顔をよこせ!!!」

黒輪(こくりん)がリグロに言った。

「霊力の暴走が強まりつつあるようだな。リグロ殿、お願いする。」

リグロが黒輪に言った。

「任されよ!!」

リグロが大きな声で唱えた。

「黒霧拡散(こくむかくさん)!!」

するとリグロの体より大きな黒い霧が発生して周囲に立ち込めていった。

そしてダイニングに置いてあるテーブルや椅子や食器などの家具がリグロの霊力の拡散によって揺れ始めたのだった。

麻衣子が驚いた様子で言った。

「何?地震??」

黒輪が麻衣子に言った。

「リグロ殿の霊力の拡散によって周囲の物が振動しているのだろう。」

黒輪が言った。

「さてとワシも負けてられんな。漆黒展延(しっこくてんえん)!!」

黒輪もまた霊力の拡散を始めたのだった。

まるで墨汁が落ちるように黒輪から真っ黒な闇が床にたくさんこぼれ落ちていった。

そして床に落ちた漆黒の闇がフローリングの床にどんどん広がっていきダイニングの床を漆黒へと染めていった。

するとダイニングですでに揺れている家具に更なる変化が起きた。

黒輪の霊力の放出によってダイニングに置いてあるテーブルや椅子や食器などが空中に浮き始めたのだった。

黒輪とリグロの強力な霊力放出によって幽霊の女の子が徐々に苦しみ始めた。

「うーああ。うあああ!!!」

麻衣子が心配そうに顔を上げた。

「柚羽!!」

晴南が麻衣子に言った。

「まだ話しかけちゃダメよ!!今はリグロさん達を信じましょう。」

麻衣子が晴南に言った。

「そうね。」

それからすぐに幽霊の女の子は静かになった。

そして幽霊の女の子は本来の顔を取り戻していた。

その戻った女の子の顔は間違いなく柚羽であった。

しばらくしてかわいらしい女子の声が響いてきた。

「うん??あれっ??私どうして???」

晴南が顔を取り戻した女の子の幽霊に尋ねた。

「あなた柚羽(ゆずは)よね?」

するとその女の子の幽霊が晴南に答えた。

「私は柚羽(ゆずは)に決まってるでしょ。」

柚羽が晴南に言った。

「あれっ??晴南なの???なんで家にいるの??」

健太が心配そうに柚羽に言った。

「柚羽姉さん??」

困惑した様子の柚羽が健太に尋ねた。

「ねえ健太??晴南いつきたっけ??」

健太が言いにくそうに柚羽に言った。

「それは・・・」

柚羽が再び健太に尋ねた。

「なんで家の中こんなに暗いの??ていうかよく見たらここ私の家じゃないよね。ねえ健太?ここがどこか分からない?」

健太は柚羽に対して何を話していいか分からずに言葉を詰まらせていた。

それに気づいた柚羽が健太に言った。

「ねえ??どうかした??」

だが健太は言葉に詰まっているようで何も柚羽に言えなかった。

神妙な顔で黙り込んでいる健太に対して柚羽が言った。

「健太??さっきからどうしたの??」

すると晴南が柚羽に言った。

「いい柚羽、落ち着いて聞いてね。柚羽は死んじゃったのよ!!」

柚羽が晴南に言った。

「死んじゃったって私が??またまた変な事言うんだから??いつものボケでしょ。」

明るい声で柚羽が健太に言った。

「もう晴南って全然変わらないよね。ねえ健太??」

すると健太が遂に口を開いた。

「水内先輩のいう事は本当なんです。姉さんは本当に死んでいるんです!!」

柚羽は驚いた様子で健太に言った。

「まさか!!そんなことあるわけないでしょ。」

健太が再び大きな声で柚羽に言った。

「信じられないとは思うんですけど、本当なんです。」

すると柚羽の声のトーンが落ちていった。

「えっ??まさか本当なの??私死んじゃったの????」

柚羽が頭を抱えて言った。

「そんなまさか死んじゃったなんて。」

晴南が柚羽に言った。

「柚羽落ち着いて!!」

健太が柚羽に言った。

「姉さん、気をしっかり持ってください!!」

すると柚羽が二人に言った。

「まあ落ち着いてはいるよ。でも死んじゃったなんて言われたらショックだよ。」

みんなは柚羽の次の言葉を固唾を飲んで見守っていた。

「そう言われると確かに体は軽くなってる。死んじゃって幽霊になってるから重さを感じないって事なのかな。幽霊だから体はもうないって事だもんね。」

すると健太が柚羽に尋ねた。

「姉さん??幽霊になってからの記憶はないんですか?」

柚羽が健太に言った。

「うーん、漠然としか覚えてないんだけど、私は幽霊になっちゃって明井田の町をさまよってたような気がする。」

健太が柚羽に尋ねた。

「姉さんあの日は何があったかも覚えてないんですか??」

柚羽が健太に尋ねた。

「あの日って??」

健太が柚羽に言った。

「明井田大規模火災があった6月11日です。」

柚羽が健太に言った。

「ごめん健太の質問には全部答えてあげたいんだけど6月11日の事は全く覚えてないんだ。6月10日の夕方までならしっかり覚えてるんだけど。」

柚羽が健太に言った。

「6月10日の午後6時くらいだったと思うけど、美咲とレインでチャットのやり取りをしてたの。その後ツリッターでぬくぬくポンさんのコメントに返信したの。そしたら何か急に眠くなっちゃってそのまま寝ちゃったんだ。それからの事はぼんやりとしか覚えてないんだけど、明井田の町をさまよってたきがする。そしたら声が聞こえ気がしたの。とてもやさしそうな声だった。その声に誘われたらしくて気がつくと九木礼に来てたんだ。」

健太が柚羽に言った。

「フウキ様が姉さんを九木礼呼んでくれたらしいです。」

柚羽が健太に言った。

「そうなんだ。」

柚羽が健太に言った。

「それで封木神社にいた黒輪さんからいろいろと話を聞いたんだ。女神セルティアの部下の象(しょう)が明井田で暴れ回ってるってね。それでとりあえず美咲の家に行ってみたんだけど、そのまま意識がなくなっちゃったみたい。それで今また起こしてもらったところだね。」

麻衣子が柚羽に尋ねた。

「ねえ?そういえばベリエに現れた女の子の幽霊は柚羽だったの?」

柚羽が麻衣子に言った。

「麻衣子ごめん、さっきも言ったけど幽霊になってからの記憶はかなり曖昧なんだ。はっきり覚えてる事の方が少ないくらいなんだ。」

黒輪が柚羽に言った。

「それは仕方ない。幽霊になったばかりの時は記憶がかなり曖昧になってしまうのだ。」

優斗が麻衣子に言った。

「状況的には柚羽の可能性が高いとは思うけど断定はできないね。」

晴南が麻衣子に言った。

「今はそんな事どうだっていいでしょ。」

すると柚羽が黒輪に言った。

「黒輪さん、すいません。ご迷惑をおかけしてしまったみたいで。」

黒輪が柚羽に言った。

「それは別に構わぬ。ただ柚羽殿??いくつかお伝えしたき事がある。」

柚羽が黒輪に言った。

「はい、私の事ですね。あんまりいい状況じゃないんですね。」

黒輪が柚羽に言った。

「ああ今私とリグロ殿の霊力を大量に注ぎこんで柚羽殿の放出している霊力を抑え込んでいるがこれもそれほど長くは続けられない。」

柚羽が黒輪に尋ねた。

「黒輪さん?どうすればいいんですか?」

黒輪が柚羽に言った。

「柚羽殿自身で外に流れ出ている霊力を抑え込んでほしいのだ。」
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