あなた達を異世界の勇者として召喚してあげますよ?

しまうま弁当

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一章

無色

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それから晴南達は階段を使って地下1階へと降りていったのだった。

地下1階は他の階よりかなり狭くなっていた。

晴南達が階段を下りた先には奥へと続く狭い通路があり、晴南達はその狭い通路を進んでいった。

晴南達がその狭い通路を進んでいくと、晴南達の目の前に古びた木製の扉が現れたのだった。

それ以外には扉らしいものは全くなかった。

晃太がみんなに言った。

「地下はこの部屋が一つあるだけみたいだな。」

晴南がみんなに尋ねた。

「この部屋は何の部屋かしらね?」

晃太が晴南に言った。

「病院の地下にある部屋となるとよくあるのは霊安室(れいあんしつ)だな。」

晴南が晃太に聞き返した。

「霊安室(れいあんしつ)って?」

晃太が晴南に言った。

「病院内で亡くなった人の遺体を一時的に保管しておくための部屋だな。」

全員が晃太の方を振り返った。

三緒がみんなに言った。

「そういえば1階には霊安室はなかったわ。」

二実が三緒に言った。

「2階と3階にも無かったわよ。」

麻衣子が言った。

「それじゃあこの部屋って。」

二実が麻衣子に言った。

「霊安室で間違いなさそうね。」

晴南が二実に尋ねた。

「二実さん??気配はどうですか??」

二実が晴南に言った。

「うん、何か気配を感じるわね。」

優斗が二実に尋ねた。

「何かいるんですか??」

二実が優斗に言った。

「うん、たぶん霊的な何かだとは思うんだけど。」

黒輪がみんなに言った。

「この部屋には大きな気配を持った何かがいるようだ。」

晴南がみんなに言った。

「良かったわね。これでやっと話が聞けるわね。」

晴南はそう言うと扉の取っ手を掴んだ。

そしてギイイイイイという音と共に厚い扉が開いたのだった。

晴南達は霊安室の中へと入っていった。

霊安室の中は壁が厚く窓もなかった。

晴南が部屋の中をLEDライトで照らしながら確認した。

「特に何もないわね。エアコン以外何もないじゃない?」

拓也が晴南に言った。

「本当だな。なんでこんな地下室に年代物のエアコンがあるんだ?」

麻衣子がみんなに尋ねた。

「ここ本当に霊安室だったのかな?部屋の表札もなかったし。」

晃太が麻衣子に言った。

「霊安室で間違いないはずだ。」

麻衣子が晃太に尋ねた。

「晃太君?どうして間違いないって言い切れるの?」

晃太が麻衣子に言った。

「エアコンがついてるからだ。霊安室だと遺体を保管しなければならない。特に夏場だと高温ですぐに腐敗が進んでしまう。そうさせない為にはエアコンでの温度管理が必要不可欠だからな。」

晴南が二実に尋ねた。

「どうですか??二実さん???この部屋の中に何かいますか?」

二実が晴南に言った。

「ええ、いるわ。」

晴南が二実に尋ねた。

「どこにいるんですか?」

二実が晴南に言った。

「部屋の奥の壁から顔だけ出してるわ?」

二実はそう言うと部屋の奥の壁を指さした。

三緒がみんなに言った。

「お爺さんの幽霊みたいね。かなりの力を持った幽霊みたいよ。」

晴南がLEDライトで奥の壁を照らしてみた。

すると霊安室の中を突如低い声が周囲に響くのだった。

「・・・・い・・・け・・」

「・・・・い・・・け・・」

晴南がみんなに言った。

「何か聞こえるわね??」

「うーん??いけ??」

すると次の瞬間晴南が照らしている部屋の奥の壁から白髪の男性が姿を現したのだ。

白髪の男性が姿を現したという表現は正しくなかった。

白髪の男性の後頭部が現れたという表現が正しかった。

首だけの白髪の男性の首が壁から後頭部だけを出して、敵意むき出しの恐ろしい形相で晴南達を睨みつけていたのだった。

かなり年を取った男性のようで青白い顔で目だけを真っ赤にしていた。

その白髪の老人が生者でないことは誰が見ても明らかだった。

すると再び霊安室の中に低い声が響いたのだった。

とても低い声で大きな怒りが込められているようだった。

「出ていけ!!!出ていけ!!!」

低い声が何度も何度も霊安室の中に響いたのだった。

「ここから出ていけ!!!」

「出ていけ!!!!出ていけ!!!」

すると晴南がその白髪の老人に言った。

「すいません、ちょっとお話しを聞いてもらえませんか?」

だが白髪の老人のむき出しの敵意は全く収まらずに更に大声が霊安室内に響くのだった。

「出ていけ!!!出ていけ!!!」

「ここから出ていけ!!!」

二実がみんなに言った。

「これはまずいわ!!!みんな一旦外に逃げるわよ!!!」

晴南が二実に言った。

「了解です!!!」

晴南達は幽霊の説得を諦めてすぐに霊安室の外に出ると全力疾走で階段を駆け上がり病院の外に出たのだった。

晃太がみんなに言った。

「初っ端からこれじゃあ先が思いやられるな。」

すると外で待機していた由香達が晴南達の元に駆け寄ってきた。

「みんさんどうしたんですか??」

「ああ由香。実はさ」

麻衣子は由香達に中での事を説明した。

由香が驚いた様子で言った。

「そんな事があったんですか?」

麻衣子が由香に言った。

「うん、それで外に避難してきたのよ。」

すると由香が心配そうな様子で麻衣子に尋ねた。

「そのお爺さんの幽霊、追いかけて来てないですよね?」

麻衣子が由香に言った。

「大丈夫よ由香、ここは病院の外なんだからさすがに追いかけてこないでしょ。」

すると二実が言いにくそうに麻衣子に言った。

「うーんそれがさ、あの白髪のお爺さんは追いかけて来てないんだけど。」

三緒が麻衣子に言った。

「代わりに別の幽霊がこっちに近づいてきてるのよね。」

すると由香が驚いて言った。

「ええ??」

すると晴南達の目の前に男性の幽霊が現れたのだった。

中年の背の高いスーツ姿の男性が突然姿を現したのだった。

低い男性の声が響いた。

「ません。」

由香が悲鳴をあげる。

「キャー!!!」

晴南が大きな声で言った。

「みんな!!逃げるわよ。」

だが二実がそれを静止したのだった。

「待って晴南ちゃん、さっきのお爺さんとは様子が違うわ。」

すると男性の声が周囲に響いたのだった。

「あのーすいません??先ほどから呼び掛けておいででしたが、何か我々にご用でしょうか?」

由香は幽霊の低姿勢な質問にキョトンとしていた。

「えっ??」

すると晴南がその男性の幽霊に尋ねた。

「ここにいたオバケさんについて知りたいんです。」

男性の幽霊が晴南に聞き返した。

「ここにいたオバケさんとは??」

晴南は返答に困ってしまった。

「えっと??」

すると黒輪(こくりん)が姿を現してその幽霊に言った。

「実は無色(むしき)に会いに来たのだが、無色を封じていた封印が解かれておってな。誰かその事情を知らないかと思い呼び掛けておったのだ。」

男性の幽霊が黒輪に尋ねた。

「無色(むしき)様に何の御用でしょうか?」

黒輪が男性の幽霊に尋ねた。

「無色(むしき)様?お主は無色を存じているのか?」

「はい無色(むしき)様にはよくして頂いておりまして。」

「そうなのか?では無色は健在という事か。」

「はい。」

「ならば、無色(むしき)と話をする事はできるか?」

「無色(むしき)様にですか???失礼ですがお名前を教えて頂いてもよろしいですか??」

「黒輪(こくりん)と申す。」

「こくりん??黒輪(こくりん)様ですか???」

「ああ。」

「分かりました、では無色(むしき)様にお伝えします。」

すると晴南がその男性の幽霊に尋ねた。

「でも無色(むしき)さん??私達にすごく怒ってるんじゃないですか???さっきすごいけんまくに怒ってました。」

すると男性の幽霊が晴南に言った。

「無色(むしき)様はさきほどのお爺さんの幽霊ではありません。別の方になります。」

晴南がその幽霊に言った。

「そうなんですか。」

男性の幽霊が晴南に言った。

「あの方はあの霊安室に大きな執着を持っていまして、地縛霊と言えば分かりやすいでしょうか?ですので霊安室に入ってきたあなた方に敵意をぶつけてきたのだと思います。」

すると冬湖がその幽霊に言った。

「そうなんですか?それじゃああのお爺さんに悪い事しちゃいましたね。」

男性の幽霊が冬湖に言った。

「私の方から話ししておきますので、あまりお気になさらずに。」

冬湖がその幽霊に言った。

「すいません。ありがとうございます。」

すると男性の幽霊がその場でふっと消えた。

麻衣子が関心した様子で晴南と冬湖に言った。

「晴南はもちろんだけど、冬湖もすごいわね?突然現れた幽霊と平然と会話できるなんてさ。」

冬湖が麻衣子に言った。

「普段通りに接しているだけですよ。幽霊さん達とも仲良くできればいいって思いますし。」

麻衣子が冬湖に言った。

「幽霊に対して普段通りにできるのがすごいのよ。」

すると晴南が麻衣子に尋ねてきた。

「そうだ麻衣子お願いがあるんだけど??」

麻衣子が晴南に聞き返した。

「何??」

晴南が麻衣子に言った。

「後で麻衣子に幽霊さんとのツーショットを撮って欲しいのよ?」

麻衣子が晴南に尋ねた。

「はあ??なんで私がそんなの撮らなきゃいけないの?」

晴南が麻衣子に言った。

「だって自分じゃ撮れないでしょ?誰かに撮ってもらわないと。」

麻衣子が晴南に言った。

「いやそういう事じゃなくて、幽霊さんとツーショットを撮る必要なんてないでしょって事。」

晴南が麻衣子に言った。

「だって人生で初めて幽霊さんに会った記念すべき日なのよ。写真を撮りたくもなるでしょう。」

麻衣子が晴南に言った。

「記念すべき日かな?」

晴南がみんなに言った。

「あっ、でも初めて会ったオバケさんは黒輪(こくりん)さんかリグロさんになるのか。そうなると二人ともツーショットを撮らないとダメね。それにこの後に会うオバケや幽霊さん達との写真も撮らないと。」

「そうだならこの解放大作戦が終わったらみんなで集合写真を撮りましょう!!」

冬湖が晴南に言った。

「それはいいですね。」

晴南が冬湖に言った。

「オッケー!!それじゃあ決定ね!!!」

すると先ほどの中年の男性の幽霊が再び晴南達の目の前に姿を現した。

男性の幽霊が晴南達に言った。

「すいません、お待たせしました。無色様にお伝えしたところ、直接お話ししたいとの事です。」

黒輪がその幽霊に言った。

「そうか、すまない。」

晴南がその幽霊に尋ねた。

「無色さんはどこにいるんですか?」

その幽霊が晴南に言った。

「私の横にいらっしゃいます。」

晴南はLEDライトで照らしながらキョロキョロ周囲を見渡した。

だがその幽霊以外は何も見つけられなかった。

すると黒輪が言った。

「無色???すまぬが霊力拡散を行ってくれぬか??」

どこからともなく声が響いてきた。

「ああ。」

すると10メートル以上はあるであろう大蛇が突然晴南達の目の前に姿を現したのだった。

晴南達は突然現れた大蛇に驚いたのだった。

「うあ????」

「蛇???」

黒輪がみんなに言った。

「こやつは無色(むしき)というオバケだ!!!」

黒輪がその大蛇に言った。

「久しいな無色(むしき)。」

するとその大蛇から低い声が響いてきた。

「黒輪??やっと目が覚めたましたか??お前がぐうスカ眠っている間に外では大変な事になっておったのだぞ??」

黒輪がその大蛇に言った。

「承知している。女神セルティアそして象(しょう)が襲来したのだろう。」

「ああ、セルティアは強大な力で、大きな力を持ったオバケ達が簡単に消滅させられていった。この無色にできた事といえば他の幽霊達と共に息を潜めて隠れているだけだった。」

すると大蛇は晴南達の顔を一人づつ見ていった。

そして晴南達の顔を一通り確認すると黒輪に言った。

「それにしても黒輪??なぜ人間と鶴んでいる??しかもそいつらはフウキの巫女共だろう??」

すると黒輪が無色に言った。

「ふむ、実はなフウキ殿と和議を結んだのだ。」

すると無色は腹を立てた様子で黒輪に言った。

「なんだと??貴様、セルティアの手先に成り下がったか!!!セルティアなんぞの軍門に下るとは!!!」

「無色勘違いするな。そうではない。」

するとリグロが姿を現して無色に声を掛けた。

「無色殿!!!お初にお目にかかる!!!リグロと申します。」

無色はリグロの方を向いてリグロに尋ねた。

「見ないオバケだな?どこのオバケだ??」

「私はこの世界のオバケではありません。異世界ドルイアよりやってまいりました。」

「異世界ドルイアだと???」

リグロは事の次第を無色に説明した。

説明を聞き終わった無色が黒輪に尋ねた。

「魔王ゼルゴン殿がセルティアの思惑を阻止する為にリグロ殿をこの世界に遣わした。そしてその鍵となるのがその子達だと。フウキもその子達を守りたいと考えており思惑が一致してセルティアに対して共闘しようとしている。そういう事でいいのか?」

黒輪が無色に言った。

「そうだ。」

「お前が人間達と鶴んでいる理由は分かった。となると私に加勢を頼みにきたという所か?」

「ああ是非加勢してほしい。」

「その返答をする前にいくつか聞かせて貰いたい。」

すると無色は二実に尋ねた。

「フウキの巫女に尋ねたい?」

無色はそう言うと二実を見つめた。

二実が無色に聞き返す。

「なんでしょうか??」

「フウキは本気で女神セルティアと対決しようとしているのか?」

「はい、フウキ様は本気です。フウキ様は本気でセルティアに抗おうとしています。」

すると今度は無色がリグロに尋ねた。

「リグロ殿にお尋ねしたい??魔王ゼルゴン殿がセルティアの異世界召喚を封じるためにこちらの世界にやって来たというのは理由としては十分理解できる。だがそれと貴殿を信用できるかはまた別の問題だ。地球のオバケ達だけを戦わせてリグロ殿は高見の見物をしてその後でこの世界を支配する可能性も十分あり得る。そうしないという保証はできるのか?」

すると晴南が無色に言った。

「無色さん!!リグロさんを信用してあげてください!!!リグロさんは柚羽を全力で助けようとしてくれました!!!」

優斗が無色に言った。

「リグロさんは信用できる方だと思います。」

リグロが無色に言った。

「無色殿、それに関しては信じてくれとしか言う事はできないが、わが誇りに賭けてそのような行為はしないとお約束致します。」

無色がリグロに尋ねた。

「リグロ殿!!その言葉信じてよいのだな?」

リグロが無色に言った。

「勿論です。」

無色がリグロに言った。

「ふーむ、あい分かった!!そこまで言われるのなら貴殿を信じよう。」

そして無色が黒輪に言った。

「黒輪、この無色も力を貸そう。セルティアに一泡吹かせてやろうではないか。」

黒輪が無色に言った。

「無色、頼もしい限りだ。」

リグロが無色に言った。

「無色殿、感謝致します。」

黒輪が無色に尋ねた。

「そういえば無色??なぜお主はすでに復活しておるのだ??」

無色が黒輪に言った。

「しれたことよ。そもそも半分しか封印されておらんかったのだ。」

「どういう事だ?」

「巻札(まきふだ)の連中が私を封印をしようとしていると事前に察知したのだ。故に半身を私から切り離して隠しておいたのだ。そして時機を見て封印を解除するために霊石に大きな傷をつけておいた。あとは自由に出入りしておったよ。もっともセルティアが現れてからは用心してみなと一緒に極力姿を現さないようにしていたがな。」

「そういえば気配を消したり存在を隠したりするのはお前の十八番だったな。霊石に傷がついていたのはそういう訳か。」

「ああそれで黒輪??今後の作戦は決まっているのか?」

「九木礼に闇の勢力を結集しようと考えている。その為にオバケの封印を解除して回っているのだ。」

「ふーむなるほどな。だが封印されておるオバケ達を結集するだけで果たして勝算があるのか?セルティアが襲来した時はたくさんのオバケ達がいたが全く歯が立たなかったのだぞ??」

「それを言われると辛いのだが、現状これが最善の手だろう。」

するとリグロが黒輪に言った。

「ひとつ提案があるのですが、いいだろうか?」

黒輪がリグロに尋ねた。

「リグロ殿なんだろうか?」

リグロが黒輪に言った。

「我が配下の者達を呼び寄せる許可を貰えないだろうか?」

黒輪がリグロに尋ねた。

「つまり魔王軍をここに呼び寄せたいという事か?」

リグロが黒輪に言った。

「無色殿が言われる通り地球のオバケ達を結集しても戦力不足は否めないかと。となるとやはり我が配下の者達も必要になってくるでしょう。異世界門を使って我が配下の者達を呼び寄せようと考えております。もっとも象に気づかれないように少しづつ呼び寄せるつもりですが。いかがでしょうか?」

黒輪がリグロに言った。

「願ってもない申し出だな。」

無色がリグロに言った。

「構わぬ、貴殿を信じると決めたのだ。是非ともお願いする。」

晃太がリグロに言った。

「魔王軍の人達がきてくれれば確かに象にも対抗できるかもしれない。」

晴南がリグロに言った。

「もちろんオッケーです。是非お願いします。」

リグロがみんなに言った。

「感謝致します。」

そして晴南がみんなに言った。

「それじゃあ次の封印場所に向かいましょうか?」

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