あなた達を異世界の勇者として召喚してあげますよ?

しまうま弁当

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一章

目覚まし時計

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7月15日の午後5時過ぎ、九木礼中学校の3年1組の教室ではその日の授業が終わって放課後になっていた。

晴南がぐったりした様子で麻衣子に言った。

「ああ、今日の授業やっと終わった。」

すると隣に立っている麻衣子が笑いながら晴南に言った。

「良かったわね、晴南??来週は部活動の時間も使って授業してくれるって。」

むくれた様子の晴南が麻衣子に言った。

「ちっとも良くないわよ。授業ばっかりもうヤダー。」

麻衣子が晴南に言った。

「先週までは楽しそうに過ごしてたでしょ?」

晴南が麻衣子に言った。

「だって体育の授業がなくちゃったのよ。その代わりに国語と英語ばっかりなのよ。うんざりして当然でしょ。」

麻衣子が晴南に言った。

「大丈夫よ、来週からは社会の授業も始めるって鳥岩先生言ってたわよ。」

晴南が麻衣子に言った。

「あのねえ麻衣子??社会の授業が増えて喜ぶ訳ないでしょ??社会もいやに決まってるじゃない。あーあ??先週までは楽しい学校生活だったのに、また地獄の学校生活に戻ってしまったわ。」

麻衣子が晴南に言った。

「もう言い方がおおげさなんだから。」

晴南がため息をつきながら麻衣子に言った。

「ああこんなことになるんだったら鳥岩先生を助けるんじゃなかった。」

麻衣子が晴南に言った。

「もう晴南??なんて事言うのよ??」

晴南が麻衣子に言った。

「だって、鳥岩先生が戻ってきて授業が増えたんだもん。」

すると優斗が晴南に言った。

「僕は鳥岩先生が戻ってきて嬉しいけど?」

優斗が晴南に言った。

「そりゃ優斗はいいわよね。国語や英語が大好きなんだから。私は国語の授業と聞いただけでげんなりしちゃうの。」

晃太が優斗に言った。

「それにしても鳥岩先生もすっかり記憶をなくしてたな。あの時の鳥岩先生は明井田大規模火災の事も全然覚えていなかった。」

優斗が晃太に言った。

「やっぱり明井田にいると意識を奪われてしまうのは間違いなさそうだね。」

すると教室の外から声が響いてきた。

「ええ確かに明井田にいる時は大火災の事は全く覚えていなかったわね。」

すると廊下から鳥岩先生が3年1組の教室に入ってきた。

麻衣子が鳥岩先生に言った。

「鳥岩先生?」

鳥岩先生がみんなに言った。

「明井田大規模火災の事もこっちに戻ってきてようやく思い出せたわ。どうも九木礼にいる時と明井田にいる時では自分の認識が変わってしまうようね。」

優斗が鳥岩先生に尋ねた。

「僕たちは校長先生から明井田が危険だから先生がすぐに戻ってくるって聞いてたんですが?」

鳥岩先生が優斗に言った。

「ええ確かに7月3日に校長先生から九木礼に戻ってくるように連絡があったわ。それで戻ろうと思ってたんだけど、いつの間にか明井田大規模火災の事も九木礼に戻る事もすっかり意識しなくなってしまっていたわ。ちゃんと明井田大規模火災について思い出せるようになったのはこっちに来てからよ。」

晃太が鳥岩先生に尋ねた。

「つまり鳥岩先生が明井田にいる時は明井田大規模火災について認識できなかったって事ですか?」

鳥岩先生が晃太に言った。

「うーん??認識できていなかったというのはちょっと違う感じね。記憶の片隅には大火災の事が残っているし記憶の糸をたぐり寄せていけば時間はかかるけど思い出す事もできる。たぶん認識できなかったというよりは極端に関心が低かったという事なんだろうと思うわ。」

晃太が鳥岩先生に尋ねた。

「関心が極端に低いですか?」

鳥岩先生が晃太に言った。

「ええどうでもいい事って考えて他の出来事に意識が集中してしまっていたんだと思うわ。だから頭の片隅には記憶が残っているんでしょう。」

すると麻衣子が鳥岩先生に尋ねた。

「ところで鳥岩先生はこれからどうするんですか?明井田に戻るつもりはないんですよね?」

鳥岩先生が麻衣子に言った。

「ええ明井田に戻らずに九木礼に留まる予定です。九木礼の公営団地に入ってそこに住むつもりです。」

麻衣子が鳥岩先生に尋ねた。

「公営団地ってすぐに入れるものなんですか?」

鳥岩先生が麻衣子に言った。

「九木礼町は人口の流出が続いてる町ですからね。公営団地にも空きがいっぱいあってすぐに入れましたよ。」

すると晴南が鳥岩先生に言った。

「鳥岩先生、避難してきたばかりで大変ですよね?しばらく公営団地でゆっくりしたらどうですか?」

鳥岩先生が晴南に言った。

「気を使ってくれてありがとね。でもあなた達にもこれからは極力迷惑をかけないように授業はちゃんとしていきますから、安心してね水元さん。」

すると晴南が残念そうにうなだれたのだった。

鳥岩先生がみんなに言った。

「さあもう下校時間だからすぐに下校しなさい。戸締りは私がしておきますから。」

そして晴南達は帰路につくのだった。

途中の帰り道で晴南がため息まじりにみんなに言った。

「全く地獄の一週間だったわ。」

麻衣子が呆れた様子で晴南に言った。

「普通に戻っただけでしょう?」

美咲もうんうんと頷きながら晴南に言った。

「そうよ、これでようやく体育地獄から解放されるわ。」

晴南が美咲に言った。

「ちょと美咲??体育の授業が減って喜ばないでよ。」

美咲が晴南に言った。

「だって来週からはもう体育ないんだもん。体育が嫌いな私としては喜ぶに決まってるでしょ。」

すると晴南が大きな声でみんなに言った。

「まあいいわ。金曜日の授業も終わったし、ぱっと遊ぶわよ。」

麻衣子が晴南に尋ねた。

「今日は何をするつもりなの?」

晴南が悩んでいる様子で麻衣子に言った。

「そうねえ?今日は何をしようかしらねえ。」

美咲が晴南に言った。

「晴南、悪いけど今日はパスさせてもらうわ。お母さんから早く帰ってくるように言われてるから。」

晴南が美咲に言った。

「そうなの?それじゃあしょうがないわね。」

すると七緒が晴南に言った。

「それなら晴南??家に来る??」

晴南が七緒に言った。

「えっ??七緒の家??いいわねそれじゃあいきましょうか。」

晴南達は一旦自宅に戻った後で七緒の自宅である九良平(くらひら)神社へと向かったのだった。

九良平神社にやってきたのは晴南と麻衣子と由香と冬湖の4人だった。

晴南達が九良平神社にやってきたのは午後6時を過ぎだった。

晴南達は九良平神社までやってくると、社務所の西側にある客間へと通されたのだった。

晴南達は腰を下ろしてたわいもない話を始めていた。

冬湖が晴南に尋ねた。

「晴南さん?今日は何をなさるんですか?」

晴南が冬湖に言った。

「任せてちょうだい。七緒の家に来たら1度やってみたかった事があるのよね。」

すると麻衣子が晴南に言った。

「晴南?何をするつもりか知らないけど、せっかく七緒が誘ってくれたんだから、ここで大暴れしないでよ??」

晴南が麻衣子に言った。

「暴ないわよ。ちょっと麻衣子??私をなんだと思ってるの?」

麻衣子が晴南に尋ねた。

「だってまた変な事考えてるんでしょ?」

晴南が麻衣子に言った。

「ええ、おもしろいアイデアがあるわ。」

麻衣子が晴南に言った。

「やぱっりここで大暴れするんでしょ?」

晴南が麻衣子に言った。

「だから暴れないから。」

晴南が七緒に言った。

「七緒?七緒専用の目覚まし時計を貸してほしいんだけど?」

七緒が晴南に言った。

「いいよ。何をもってこればいいの?」

晴南が七緒に言った。

「ほら前に目覚まし時計で走り回るやつがあるって言ってたでしょ?」

七緒が晴南に言った。

「逃げろクロックね。ちょっと待ってて。」

七緒は部屋を出ると自分の部屋から目覚まし時計を一つ持ってきた。

目覚まし時計というには変わった形をしており、デジタル目覚まし時計の両側に大きな車輪がついている目覚まし時計だった。

麻衣子が七緒に尋ねた。

「なにこの目覚まし時計?変わった形をしてるわね。」

七緒の代わりに晴南が答えた。

「この目覚ましはアラームが鳴ると転がって逃げていくらしいわ。」

すると晴南が逃げろクロックの時計のアラームをセットして床に置いてみた。

すぐに目覚まし時計のアラームの電子音が部屋中に鳴り響いた。

それと同時に目覚まし時計が左右にある車輪を回しながら素早く動き始めたのだった。

逃げろクロックは大きなアラーム音を響かせながら部屋中を転がりまわるのだった。

すると晴南が素早く逃げろクロックのアラーム解除ボタンを押してアラームを止めたのだった。

冬湖が晴南に尋ねた。

「目覚まし時計が走り回るんですね??」

晴南が冬湖に言った。

「そう、おもしろいでしょ。これを使ってこれから一つ勝負をするわ。」

由香が晴南に尋ねた。

「勝負ってなにをするんですか??」

晴南が由香に言った。

「この逃げろクロックを30分後にアラームが鳴るようにセットしておくわ。みんなはたぬき寝入りをしながらアラームが鳴るのを待つのよ。アラームが鳴りだしたらこの逃げろクロックを捕まえてアラーム解除ボタンを押して目覚ましを止めた人が勝ちよ。」

麻衣子が晴南に言った。

「なんでたぬき寝入りをするの?」

晴南が麻衣子に言った。

「逃げろクロックに寝ていると油断させるためよ。その方が捕まえやすいでしょ?」

麻衣子が晴南に言った。

「ただの時計なんだからそんなの別に関係ないでしょ。」

晴南が麻衣子に言った。

「もう麻衣子、こいうのは雰囲気が大事なのよ。雰囲気を壊すような事言わないでよ。」

すると晴南が七緒を指さしながら麻衣子に言った。

「ほら、七緒を見習ってよ。もうたぬき寝入りを始めているわ。」

七緒が気持ちよさそうに机に顔をつけてうたた寝をしていた。

麻衣子が晴南に言った。

「あれは本当に寝てるんだと思うけど?」

晴南が麻衣子に言った。

「だから雰囲気を壊すような事は。」

麻衣子が晴南に言った。

「ごめんごめんわかったわ。要するにたぬき寝入りをしてその目覚まし時計を止めればいいのね?」

晴南が麻衣子に言った。

「そういう事よ。それじゃあ早速始めるわよ。」

晴南達はすぐにたぬき寝入りを始めたのだった。

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