最強勇者の物語2

しまうま弁当

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第5章 アグトリア動乱

劣勢

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正午過ぎロイ率いる左翼本隊は丘をかけ上がり、何の抵抗も受けずに丘を上まで進んだ。



ロイは馬に乗って移動をしていた。

ロイが部下に大声で言った。

「よし!この勢いでバトロア鉱山を奪取するぞ!!」

ロイの部下達がおおー!と声をあげた。

一言に丘陵地帯と言っても、その中にはいくつもの丘があり高低差が激しい場所であった。

ガブロ率いる前衛部隊はいくつもの丘を登ったり下ったりしながら先に進んでいた。

左翼本隊も後に続きいくつか丘を越えた場所で、ロイが指を指して部下に指示を出した。

「あの北にある丘と北東にある丘にそれぞれ300人づつ派遣して占拠しておけ!」

ロイの指示ですぐに二つの高地に各300人づつ派遣された。



丘への派遣を完了させた後でロイが次の指示を出した。

「よし残りはこのまま進むぞ。」

左翼本隊は再び前進を始めた。

するとロイの元に前衛部隊であるガブロからの伝令がやって来た。

伝令がロイに報告した。

「前を進んでいるガブロ様の部隊がジフロル軍を発見し戦闘状態に入りました。」

ロイの部下が伝令に尋ねた。

「何?ジフロル軍がいるというのはどういう事だ?」

ロイが部下に言った。

「慌てるな、たぶん留守番の部隊だろう。流石に空にはしていかなかったか。」

ロイが伝令に伝えた。

「分かった。我らもすぐにそちらに向かおう。」

続いてロイが大声で指示を出した。

「これより前衛のガブロの支援に向かう。急いで進むぞ!!!」

だがその直後、どこからともなく凄まじい数の矢が飛んできて左翼本隊の頭上に降り注いだ。

左翼本隊の盗賊達はかわすことができず次々と弓矢の餌食となっていた。

少しの間矢の雨が左翼本隊を襲った。

しばらくして矢の雨が止まった。



ロイが馬から降りてキョロキョロしながら大声で怒鳴った。

「くそ!!どこからだ?どこから射てくるんだ?」

すると盗賊の一人がロイに言った。

「先ほど占拠させた二つの丘の方角から矢が飛んでくるようです。」

報告した盗賊がさきほどの丘を指差した。

「くそ!一体どういう事だ?まさか送ったあいつらが裏切ったのか?」

するとまた矢の雨が降り始めた。

断続的に矢が降り注ぎロイの部隊の盗賊達が矢の餌食になっていった。

そしてようやく矢の雨が止んだ。

ロイが大声で言った。

「あの裏切り者共め!!ドロメ様を裏切るとはいい度胸だ!!あいつら皆殺しにしてやる!!!」

そしてロイは隣にいた部下に指示を出した。

「直ちに裏切った奴らを始末しに行くぞ!!」

だが部下達の盗賊は返事をしなかった。

ロイが部下に怒鳴った。

「おい、ちゃんと返事くらいしろ!!」

だが部下は指を指しながらロイに言った。

「ろ、ロイ様、あれを!」

ロイが指指した方角を見ると、そこにはジフロル軍の姿があった。

しかもかなりの人数で二千人近くはいるように見えた。

ちょうど左翼本隊に攻撃を仕掛けようとしていた。

ロイが驚いて部下に尋ねた。

「な!な!何で偽善者共がこんな所にいるんだ?!!」

部下も訳が分からずに答えた。

「分かりません、奴らいきなり現れました。」

実はジフロル軍は戦力を隠していたのだ。

丘陵地帯に死角が多い事を利用してドロメ盗賊軍に戦力を少なく見せかけていたのだ。

ロイが高台を占拠するために派遣した部隊はどちらも派遣した直後にジフロル軍に倒されてしまったのだった。

矢の雨を降らせていたのはレイドス率いる部隊だったのだ。



伏兵部隊の指揮官であるレイドスが大声をあげた。

「さあドロメの連中に一泡ふかすぞ!」

ジフロル軍の盗賊達が声をあげた。

「おおー!!」

レイドスの部隊が混乱する左翼本隊に攻撃を仕掛けた。

一方その頃前衛であるガブロの部隊も黒仮面のアルガス率いる部隊と戦っていた。

ロイはこの時ガブロが留守番の部隊と戦闘を始めたぐらいにしか考えていなかった。

だがロイの想像以上の戦闘になっていた。

鉄槌のガブロは呆れていた。

「なんだよロイの野郎。どこががら空きなんだ?たくさんいるじゃなえか!!」

ガブロが率いる前衛部隊の前には黒仮面のアルガス率いる三千人のジフロル軍が立ち塞がっていた。

実はこの時アルガスは味方の救援に行ったのではなく、まっすぐ後ろに後退したのだ。

ドロメ盗賊軍の視界から消えて、ドロメ盗賊軍を待ち受けていたのだ。

ドロメ盗賊軍の視界から消える事で中央部隊の救援に向かったように誤認させたのであった。

だが鉄槌のガブロの顔は笑顔であった。

「まあいい。久々に大暴れできるってもんだ!!」

すると馬に乗った黒仮面のアルガスが鉄槌のガブロの前にやって来た。

アルガスは兜と仮面に加えて黒い甲冑で全身を覆っていた。

アルガスが馬から降りて大声でガブロに言った。

「鉄槌のガブロとお見受けする。お前の相手は俺がさせてもらおう。」

ガブロがアルガスに大声で尋ねた。

「んだ?てめーは?」

アルガスが大声でガブロに言った。

「ジフロル盗賊団のアルガスだ!この部隊を任されている。」

ガブロがアルガスに言った。

「まあいいや、てめーが何者だろうとーな!!全員の頭かち割ってやるぜ!!!」

ガブロが鉄槌を大きく構えて振り下ろす。

アルガスは体を後方に反らして鉄槌をかわした。

「まだまだいくぜー!!」

ガブロは鉄槌を横に大きく振ってきた。

アルガスは咄嗟にかがんでかわした。

ガブロは何度も鉄槌を振り回したが、アルガスに全てかわされてしまった。

ガブロがアルガスに大声で言った。

「おいおい、逃げてばかりじゃこのガブロ様は倒せないぜ!」

アルガスはガブロに答えた。

「確かにそうだな!」

ガブロは鉄槌を大きく振り上げると、再びアルガスに鉄槌を振り下ろした。

だが今度はアルガスが差していた剣を抜いて、剣先でそれを止めてしまった。

「剣で止めただと!!舐めんなー!!」

するとアルガスはつばぜり合いの体勢のまま左手に装備していた盾をガブロの顔面に叩きつけた。

ガブロは予想外の攻撃を受けて、少しふらついた。

ガブロは口や鼻からたくさん出血していた。

ガブロは激昂して怒鳴り散らした。

「この野郎、ふざけた真似しやがって!頭かち割ってやる!」

午後1時になった。

こちらはロイが率いている左翼本隊である。

左翼本隊は側面から攻撃を受ける形となり混乱状態になりつつあった。

レイドスの部隊は隠していた新手を続々と繰り出して、激しい攻撃を仕掛けていた。

ロイも何とか戦線を立て直そうと指揮をとっていた。

「焦るな!落ち着け!冷静に対処するんだ。」

ロイが部下に指示を出した。

「おい、今すぐに前方のガブロに伝えてこい!!すぐに反転して戻ってこいと!!」

指示された部下がガブロに伝えるために前方へと走っていった。

するとロイが自分の方に向かってくる一団を見つけた。

ロイがその一団に言った。

「お前ら何やってるんだ!!すぐに自分の持ち場に戻れ!!偽善者共と戦うんだ!!!」

するとその盗賊達の一人がロイに言った。

「ロイ様、探しておりました!!」

ロイがその盗賊に言った。

「なんなんだお前らは??」

その盗賊がロイに言った。

「我々はガブロ様配下の者です。」

ロイがその盗賊に尋ねた。

「そうかそれならちょうどいい、至急戻ってガブロに伝えるんだ!!すぐに戻ってこいと!!今左翼本隊は敵の奇襲を受けて少々苦戦している。」

その盗賊がロイに報告した。

「それは無理でございます。」

ロイがその盗賊に尋ねた。

「無理??それはどういう事だ?」

その盗賊がロイに言った。

「ガブロ様の部隊が敗北し、我々はここまで逃げてきたのです。」

ロイが盗賊に聞き返した。

「ガブロが負けただと?」

盗賊がロイに答えた。

「はい、ジフロル軍が待ち伏せをしていたのです。そしてジフロル軍と激戦となり、ガブロ様が負傷されました。我々は黒仮面のアルガス率いる部隊に負けてしまったのです。それでガブロ様と共にここまで逃げてきたのです。」

その一団を見ると確かに馬に乗せられ深手を負ったガブロがいた。



ロイはこれを見て愕然とした。

ロイは前衛のガブロの部隊を呼び戻して戦況を立て直そうと考えていたからだ。

だがその頼みの綱のガブロが負傷してここまで退いてきたのだ。

自軍が劣勢な状態で頼みにしていた前線の指揮官が負傷して後退してきた。

これは危機的な状態であった。

するとガブロの部下がロイに提案をした。

「ガブロ様をポーションで回復されてはいかがですか?」

ロイが怒りながらガブロの部下に怒鳴った。

「貴重品であるポーションをドロメ様の許可なく使える訳ないだろうが!!」

そこにトドメの一報がロイに届いた。

さきほど伝令に出した部下が慌ててロイのいる所にやって来た。

「ロイ様大変です。」

ロイが部下に尋ねた。

「今度はなんだ?」

部下がロイに報告する。

「前を進んでおられたガブロ様が負傷されました。」

ロイが部下に言った。

「それならすでに知ってる!!」

部下がロイに言った。

「はっ、すいませんでした。あと黒仮面のアルガス率いる部隊がこちらに向かってきています。」



ロイが部下に尋ねた。

「なんだと??本当か!!!」

部下がロイに言った。

「はっ本当です。すぐそこまで来ています!!!」

これを聞くなりロイは思い切り悔しがった。

「あああ!!くっそー!!!!ちくしょー!!偽善者共が!!!!」

現状でさえ苦戦している状況でアルガス率いる部隊が前方から攻撃をしてくれば、左翼本隊は挟み撃ちにされる形となり壊滅してしまうだろう。

ロイは怒鳴り散らした後で部下に指示を出した。

「全員撤退だ!!!引くぞ!!」

ロイは不利を悟り左翼本隊に退却命令を出した。
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