かみかかり

しまうま弁当

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14話 押し入る被害者

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すると栗林刑事は不思議そうに俺に尋ねてきた。

「となると春山警部は、佐田春香さんと知り合いだったんですか?」

「うーん知り合いと言えるほどではないな、今日初めて会ったばかりだからな。知り合いなのは妹の理沙の方だな。」

栗林刑事は俺と理沙を見て何か納得した様子だった。

「あー御兄弟なんですね。それで理沙さんも春山なんですか。」

「それじゃあ理沙さん、佐田さんとはどういうご関係だったんですか?」

「すいません、佐田さんという言い方だと自分的に違和感があるんで春香という言い方にしてくれませんか?」

「分かりました、それじゃあ春香さんとはどういう関係だったんですか?」

理沙は栗林刑事に説明を始めた。

「私は神社の神主をしてるんですが、春香はホラーチャンネルの配信者なんですよ。ハルカの怖すぎホラーチャンネルって配信を定期的に行っているんですが、前にその配信のゲストとして呼んでもらった事があるんですよ。その時に春香とは気が合っちゃってそれからはよく春香と連絡とかも取り合っていました。」

「そうなんですね、それで春香さんは何か悩んでいたりとかはしていましたか?」

「いや特に何かに悩んでいたという事はないと思うんですけど、ただ」

「ただなんですか?」

「何か私達に話したい事があったみたいなんですよね。」

「話、どんな話だったんですか?」

「さあ、それはちょっと分からないんですけど。」

「そうですか、分かりました。ありがとうございます。」

栗林刑事がメモをとりながら、理沙の話を聞いていた。

「他に何か気になる事とかはありますか?」

「実は一つ分からない事があるんです。」

「分からない事というのは。」

「実は俺達は喫茶ローグで待ち合わせをしていたんだ。」

栗林刑事は何を言っているか分からない様子だった。

「えっと春山警部と理沙さんが待ち合わせをしていたという事ですか?」

まあ当然混乱するよな。

「いや俺と理沙が春香さんと待ち合わせをしていたんだ。」

栗林刑事が不思議そうな顔で尋ねてきた。

「それいつの事ですか?」

「今日の午後5時に喫茶ローグで待ち合わせをしていたんだ。」

「えっ、ちょっと待ってください。」

「えっ、いつどこでですか?」

「今日の午後五時からあの喫茶店ローグで、ちょっと話したい事があるからって春香と約束していたんです。」

栗林刑事が混乱した様子で聞き返してきた。

「ちょっと待ってください、喫茶ローグってあの九是山駅前のスエダビルに入ってる喫茶ローグですか?」

「ええ、そうです。あそこの喫茶ローグです。あそこでずっと春香を待ってたんです。」

「それって今日の午後5時なんですか?昨日とか一昨日じゃなくて。」

「ああそこは間違いない。今日の午後5時でな。」

「待ってください、それおかしくないですか。」

「ああ俺もおかしいと俺も思ってるよ。」

「私もおかしいと思います。」

栗林刑事が落ち着こうとフーと深く深呼吸をした。

そして再び話始めた。

「それじゃあ春香さんは喫茶ローグで理沙さんと待ち合わせをしていたにも関わらず、喫茶ローグには顔も出さずに、喫茶ローグの入っているスエダビルの屋上から飛び降り自殺を図ったという事になってしまいますよ。」

理沙が困惑した表情で答えた。

「そこが私には分からないんです。」

「栗林刑事、まだ飛び降り自殺と決めつけるのは危険じゃないか、誰かに屋上に呼び出されて突き落とされた可能性も考慮しておくべきだろう。」

「ええもちろんその可能性を疑っていたんですが、どうもその可能性はかなり低そうなんですよ。」

「かなり低そうというのは。」

「まず春香さんの飛び降り時の目撃証言をいくつか取れていまして、春香さんが飛び降りた時に、スエダビルの屋上をずっと見ていた通行人が何人もいたんです。その通行人達の証言ではスエダビルの屋上には春香さんが飛び降りた時に周囲には春香さん以外の人間はいなかったと証言しているんですよ。靴もちゃんと脱いでありましたし。」

「でもなんで通行人達はビルの屋上なんて見上げていたんだ?駅前の道を通るだけなら普通ビルの屋上を見ながら歩いたりしないだろう。」

「それが飛び降りる5分ぐらい前から春香さんはビルの屋上に立って飛び降りるような素振りを見せていたらしいんです。それで何事かとスエダビルの屋上を見上げていたらしいです。」

「つまりもし誰かが春香さんを突き落としたのならば、ビルの屋上で春香さん以外の人物が目撃されていないとおかしいという事だな。」

「その通りです。」

「それともう一つありまして。」

「もう一つ?」

「ビルの屋上が施錠されずに開いていた事です。」

「それは俺も不思議に思っていた。ふつうビルの屋上は施錠されているはずだろう。なぜスエダビルは施錠されていなかったんだ。」

「いえそれがスエダビルの警備室に確認したところ、警備員が今日の昼頃にちゃんと施錠されているのを確認したと言っているんですよ。」

「いやそれはおかしいだろう。スエダビルの屋上が施錠されてないから、春香さんはビルの屋上から飛び降りたんだろう。施錠されてたなら春香さんはビルの屋上から飛び降りる事はできなかったはずだ。」

「春山警部、自分もそう考えていたんですが、どうやら本当にスエダビルの施錠はされていたようでして。」

「それじゃあ辻褄が合わないだろう。」

栗林警部は考え込んだのだった。

「うーん、これは直接見てもらった方が早そうですね。」

そして栗林刑事は自分のカバンからノートPCを取り出したのだった。

「ノートPCか、どうするんだ?」

「春山警部の目で見られた方が早いかと思いまして。」

栗林刑事はカバンからノートPCをパイプ椅子の上に置いてPCの画面を開いた。

そしてある映像の再生を始めた。

「この辺りぐらいからがいいですね。」

栗林刑事が画面を操作し終えると俺や理沙にも見えるようにしてくれた。

「どうぞ、ここから見てください。」

俺達が見やすいように栗林刑事は横にずれた。

すでに映像が再生されており、映像にはどこかの警備室が映し出されていた。

俺は栗林刑事に尋ねた。

「この映像はどこの映像だ?」

「スエダビルの警備室を映している監視カメラの映像です。日付は今日のもので時間が午後6時6分から流しています。」

「スエダビルって喫茶ローグの入っていたあのビルですよね?」

「ええ、そうですよ、あのスエダビルの警備室の映像です。」

「こんな物を俺達に見せてどうするんだ?」

「いいですから続けて見続けてください。」

俺は栗田刑事の言う通りに映像を見続けていくと、ギョッとする映像が映し出されていた。

理沙も驚きを隠せないようだった。

「は、春香さん??」

「なんで春香が??」

映像には警備室の窓ガラスを叩き割って警備室の中に侵入する春香さんの様子が映っていたのだ。

さらに映像は続いて、春香さんは警備室に強引に侵入すると、警備室の中を物色して回っていた。

そして何かを盗んでそのまま逃げていく春香さんが映っていた。

「春香が窓ガラスを叩き割ってる。どういう事ですか?」

「見ての通りです。春香さんがスエダビルの警備室に侵入して屋上の鍵を盗んだ上で、屋上のロックを解除してスエダビルの屋上から飛び降りたという訳です。」

「春香さんが屋上の鍵を盗んだって本当なのか?」

すると栗林刑事は映像を巻き戻して、春香さんが何かを盗んでいく場面まで戻した。

そしてゆっくり再生したのだった。

「よく見てください。映像にもほら警備室のキーボックスから春香さんが何か鍵を持って行っているのを確認できます。」

「た、確かに。」

栗林刑事の言う通り確かに春香さんはキーボックスから何か鍵のようなものをふんだくっている姿を確認できた。

「これで別の誰かに呼び出されて突き落とされた可能性はほぼないと思われます。」

理沙は困惑した様子で栗林刑事に尋ねた。

「ど、どういう事なんですか?なんで春香はこんな事を?」

「そこが本当に分からなくて困っているんですよ。私もこの映像を警備室で見せてもらった時は怖かったですから。」

「理沙さんの飛び降りに関して分かっている事は現時点ではそれぐらいですかね。」

「栗林刑事、春香さんの捜査は引き続き君が担当するのか?」

「はい、たぶんそうなると思います。」

「だったら春香さんの事件の進捗状況を定期的に教えてくれないか?」

「それはご心配無用です。是非とも春山警部の御力を借りたいと思っていますので、全ての捜査資料をお見せするつもりですから。」

「そ、そうか。」

「では春山警部今日はここで失礼しますね。」

そう言うと栗林刑事は帰っていった。
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