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15話 笠歌線無差別殺傷事件
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時期はすでに6月に入っていたが、捜査は想像以上に難航していた。
あれから色々と角度を変えて捜査を試みてはみたが、空振りになるばかりだった。
隣のデスクに座っている新川刑事が弱音を吐いていた。
「うーん、春山警部の3人が誰かに脅迫されていたというのは、当たりだと思ったんですがね。」
「まあ俺としては3人が誰かに脅迫されていた可能性はないかを確認したかっただけだからな。」
「だって3人が誰かに脅迫されていて、脅されて火をつけて死んでしまったと考えれば辻褄はかなり合うじゃないですか。」
「まあそうかもしれないが、これだけ3人のSNS上のコメントや通信記録を調べても脅迫されているような物は見つけられなかっただろう。」
新川刑事と俺でその可能性を潰すためにSNS上のコメントを全て確認してみたが、該当するようなコメントは一切発見できなかった。
「そうですね。」
「これだけ調べても何も出てこないという事は3人が誰かに脅迫されていた可能性もないという事だろう。」
「また振り出しに戻ってしまったんですよ。」
「まあそうだが、捜査というのは99%が徒労に終わってしまうものだろう。」
「まあそうですけど、これ本当に解決できるんでしょうか?」
「まあ解決するだけなら3人が焼身自殺をしました。と結論を出してしまえば解決にはなるが。」
「3人ともあんな意味不明な行動をしているのに、3人が焼身自殺をしましたで納得できるわけがありません。」
「そうだな、だからこれからも徒労覚悟で捜査を続けていくしかないのさ。」
そして俺達は再び仕事に戻ったのだった。
俺はPCを立ち上げてSNSを開いた。
いつも通りにSNSのコメントやトレンドをチェックしていた。
俺はトレンドに目を通していった。
トレンドには世界経済開発会議があがっていた。
来週末から世界経済開発会議が東京で開催されるという記事にたくさんのコメントがついているようでそれがトレンドにあがった理由だったようだ。
まあ今の俺には関係のない話題だな、そう思いながら下の方のトレンドも確認していった。
すると変なトレンドがある事にきがついた。
車両内で人殺し
なんだえらく物騒な言葉がトレンド入りしているな。
俺はすぐにその記事を確認してみようとした。
その時、海江田警視正が慌てて捜査本部に入ってきた。
「みんな一旦捜査は中断だ!!」
俺は視線を海江田警視正に向けた。
「どうしたんですか海江田警視正?」
「それが笠歌線で殺傷事件が発生したらしい。」
「笠歌線で殺傷事件ですか?」
「ああ、先ほど電車の乗客から緊急通報が入ってな。笠歌線の車両内で犯人が乗客達を殺傷しているという通報を受けた。」
「鉄道警察隊だけでは人数がとても足らない。みんなには捜査を一時中断して鉄道警察隊の応援に回ってほしい。」
「分かりました。」
俺と新川刑事は鉄道警察隊の応援として笠歌駅に入った。
「すいませんが、春山警部と新川刑事には笠歌駅での乗客の誘導をお願いします。」
俺は新川刑事と共に笠歌駅にてお客への対応に当たった。
「えー只今笠歌線の車内にて殺傷事件が発生しており、この笠歌線は運休になりました。お客様におかれましてはこのホームから避難をお願いします。」
ホームにて列車を待っていた乗客達は驚いていた。
「えー殺傷事件?」
「まじかよ。」
「なんで避難しなきゃならないんだ?このホームにいれば安全なんじゃないのか?」
「該当車両は笠歌駅と九是山駅の間に停車しており、この駅に犯人が逃げてくる可能性もありますので、利用者の皆さんには安全が確認できるまでこの駅の外で待機して頂きたいと思います。」
「えー犯人がこの駅のホームまで逃げてくるのか?」
「とっとと避難しようぜ。」
「やだー怖い、避難しよっか。」
ホームにいた利用者達は続々と退避していったのだった。
次は駅の改札前でこの駅の利用者達に知らせてまわった。
「現在笠歌駅と九是山駅間は利用停止となっています。さきほど笠歌線の車内で殺傷事件が発生しており、該当車両が笠歌、九是山間に停車しています。犯人がこの駅に来る可能性もあるため現在この笠歌駅からの避難をお願いしています。」
駅の改札前までやってきた人達は驚いていた。
「うそ、殺傷事件ってマジ?」
「やばそうだからとっと避難しようぜ。」
「そうだね。」
こうして笠歌駅にいた人達をほぼ避難させ終わった。
「とりあえず避難は完了できましたね。」
「機動隊ももうそろそろ突入するだろうな。」
すると鉄道警察隊の隊員より俺の所に知らせに来てくれた。
「機動隊が車両内に突入したとの知らせが入りました。」
「そうか。これで片がついたかな。」
「しかし電車内で殺傷事件だなんて世も末だな。」
「本当ですね。」
鉄道警察隊への応援はその日一日中続いて日が暮れた頃に、ようやく終了となったのだった。
「結局1日仕事になってしまいましたね。」
「警察官だからこういう事もあるさ。」
「そうですね。」
そして俺達は笠歌警察署の捜査本部に戻ってきた。
だが海江田警視正を始め、捜査員達がPCを見つめたまま青い顔をしていたのだった。
「どうしたんですか?海江田警視正?」
「あっいや今朝起きた笠歌線の無差別殺傷事件についてなんだが。」
「笠歌線の殺傷事件ですか。犯人は逮捕できたんですか?」
「いやどうやら被疑者は全員死亡していたようだ。」
「全員という事は犯人は複数だったんですか?」
「ああ、そうだな。」
なぜか海江田警視正の反応があいまいな感じがした。
すると海江田警視正がこう言ってきた。
「春山警部、ちょっとこれを見てくれないか?」
「はい。」
海江田警視正はそう言うと、PCを操作してある動画の再生を始めた。
「この動画はなんですか?」
「今朝にSNS上にあげられていた動画だ。コメントには車両内で人殺しという題がつけられていた。どうやら笠歌線の事件発生時に撮影されたと思われる映像みたいだ。」
ああちょうどこのトレンドを見ようとしたら、招集がかかったんだったな。
そうかあれは事件発生時の様子を捉えたものだったのか。
海江田警視正は映像の再生を始めた。
映像には運転席と前面展望が映し出されていた。
ガシャンと電車の扉が閉まる音がした。
少しして電車が動き始めたようだった。
そして撮影者の声が聞こえてきたのだった。
「それじゃあ今日は今月から演武線に導入された新型車両K-200系に乗っていきたいと思います。」
「今、九是山駅を出発したところです。」
それから撮影者が車両の説明を始めていた。
「新型車両K-200系は加速時の駆動音が静かなのが特徴ですね。これまでの車両であるK-160系とは駆動音で20デシベル以上の静音性となります。K-160系では70キロを超えるとすごくうるさくなるのですが、このK-200系は違いますね。時速は今70キロを超えましたが、本当に静かです。」
すると撮影者がトーンの違う声を出した。
「うん?」
撮影者が何か違和感を感じているように見えた。
少ししてまた撮影者の声が流れた。
「あれっ、何やってるんだ?喧嘩でもしてるのか?」
だがだんだん撮影者の声が大きくなっていった。
「えっ?えっ?どういう事??」
「おい!!おい!!嘘だろ!!ヤベエだろ!!」
配信者の音声が響き渡る。
すると映像が車内に切り替わったのだった。
映像内には1号車の映像が収められていた。
そこには黒いTシャツと黒い帽子を被った男がナイフを振り回している映像が映っていた。
黒い帽子を被った男がナイフを初老の老人の首元に斬りつけていた。
初老の男性は首元から出血しながらその場に倒れ込んでしまった。
「くっ、ひどい事をする奴だ。」
するとナイフを持った男の前に立ち塞がるようにOL風の女性が移動した。
犯人を取り押さえようとしているのかと思ったがそうではなかった。
そのOLの女性はそのナイフを持った男の前に立ち尽くすだけであったのだ。
そのOLの女性は逃げる事もしなければそのナイフを持った男を取り押さえる為にナイフを奪おうともしなかった。
その女性はただ何もせずにナイフを持った男の前に立ち尽くしていた。
そして自分の首を斬りつけてくださいと言わんばかりに、自分の首元をナイフを持った犯人の前に差し出したのだった。
ナイフを持った男がその女性の首元に斬りつけたのだった。
そのOLの女性が首元を斬られて倒れ込んだ。
首元を斬られた女性は血しぶきをあげながら、倒れたのだった。
すると今度は制服を着た女子学生がナイフを持った男の前にやってくると、さきほどのOLの女性と同様にまたナイフを持った男の前に立ち尽くしたのだった。
その女子学生も逃げる事もしなければ、取り押さえる為に男からナイフを奪おうともしなかった。
そしてその女子学生も先ほどのOLの女性と同様に自分の首元を斬りつけてくださいと言わんばかりに犯人の前で晒したのだった。
そしてナイフを持った男は今度は女子学生の首元を斬りつけたのだった。
女子学生が首元を斬られてすさまじい血しぶきをあげてその場に倒れ込んだ。
すると今度はスーツを着たビジネスマンの男がナイフを持った男の前にやってきたのだった。
スーツを着た男性も先ほどの二人と同じように、何をするわけでもなく黒い帽子の男の前にただ立ち尽くすと、首を斬りつけてくださいと言わんばかりに、自分の首元を差し出してきたのだった。
ナイフを持った男はさきほどと同じようにスーツを着た男性の首元を斬りつけたのだった。
スーツを着た男性はすごい血しぶきをあげながら、その場に倒れ込んだ。
この後も同じ調子で乗客が一人また一人ナイフを持った男の前までやってくると、自分の首を差し出した状態で、そのまま立ち尽くしたのだった。
そしてナイフを持った男が自分の前にやってきた乗客の首元を一人づつ斬りつけていったのだった。
この調子でナイフを持った男は何人も何人も斬りつけていった。
まるで魚屋が一匹づつ魚でもを裁いているかのように。
そして車両内に乗客がほとんどいなくなると、ナイフを持った男は何のためらいもなく自分の首元にナイフを当てると力いっぱい斬りつけたのだった。
ナイフを持った男の首元からすごい血しぶきがあがり、そのまま男は電車の床に倒れ込んだ。
そしてそこで動画が終わっていたのだった。
「なんなんだこれは?」
「なっ、意味が分からないだろう。」
「ええ。」
「みんなこの映像を見て肝を冷やしていた所だ。」
「しかもなこれ犯人はこいつ一人じゃなさそうなんだ。」
「被疑者は全員死亡だとさきほど言っていましたね。」
「ああ恐らく被疑者は8人以上はいると思われる。」
「8人?まさか1号車以外でも殺傷事件があったんですか。」
「ああ、1号車から8号車まで全ての車両で殺傷事件が起きている。この事件の被害者は死者267名で生存者11名だ。」
「死者が267人で生存者がたったの11人ですか!!」
「前代未聞の事件が起こってしまった。」
「それでなんだが今後の対応を伝えておく。この会議室に笠歌線無差別殺傷事件の捜査本部も設置する事になった。」
捜査員達は一同に驚いていた。
「ええっ!!」
捜査員達から様々な意見が飛び出していた。
「うちの署の規模では二つの捜査本部を置くのは無理ではないですか。」
「ああ、最もな意見だ。人数の問題なら心配はいらない。本部から応援を送ってもらえる事になった。」
「しかし事件発生からまだ1日も経っていないのに、もう捜査本部を設置するんですか?」
「この笠歌線無差別殺傷事件はテレビや新聞でも大きく取り上げられて、SNSでも大騒ぎになっている。本部としては一刻も早い真相解明が必要だという判断らしい。」
「なるほど。」
「ですけど社会を揺るがすほどの事件と本部が考えているのなら、なおの事なんで本部に捜査本部を置かないんですか?」
「実は捜査本部は本部に置かれる事になっていたんだが、俺がそれを撤回してもらったんだ。春山警部を笠歌線無差別殺傷事件の捜査に移したいと言われてしまってな。だったらうちの署で捜査本部を立ち上げる事にしたんだ。今の状況で春山警部に移動されては事件が解決できなくなってしまうからな。」
あれから色々と角度を変えて捜査を試みてはみたが、空振りになるばかりだった。
隣のデスクに座っている新川刑事が弱音を吐いていた。
「うーん、春山警部の3人が誰かに脅迫されていたというのは、当たりだと思ったんですがね。」
「まあ俺としては3人が誰かに脅迫されていた可能性はないかを確認したかっただけだからな。」
「だって3人が誰かに脅迫されていて、脅されて火をつけて死んでしまったと考えれば辻褄はかなり合うじゃないですか。」
「まあそうかもしれないが、これだけ3人のSNS上のコメントや通信記録を調べても脅迫されているような物は見つけられなかっただろう。」
新川刑事と俺でその可能性を潰すためにSNS上のコメントを全て確認してみたが、該当するようなコメントは一切発見できなかった。
「そうですね。」
「これだけ調べても何も出てこないという事は3人が誰かに脅迫されていた可能性もないという事だろう。」
「また振り出しに戻ってしまったんですよ。」
「まあそうだが、捜査というのは99%が徒労に終わってしまうものだろう。」
「まあそうですけど、これ本当に解決できるんでしょうか?」
「まあ解決するだけなら3人が焼身自殺をしました。と結論を出してしまえば解決にはなるが。」
「3人ともあんな意味不明な行動をしているのに、3人が焼身自殺をしましたで納得できるわけがありません。」
「そうだな、だからこれからも徒労覚悟で捜査を続けていくしかないのさ。」
そして俺達は再び仕事に戻ったのだった。
俺はPCを立ち上げてSNSを開いた。
いつも通りにSNSのコメントやトレンドをチェックしていた。
俺はトレンドに目を通していった。
トレンドには世界経済開発会議があがっていた。
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車両内で人殺し
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その時、海江田警視正が慌てて捜査本部に入ってきた。
「みんな一旦捜査は中断だ!!」
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「どうしたんですか海江田警視正?」
「それが笠歌線で殺傷事件が発生したらしい。」
「笠歌線で殺傷事件ですか?」
「ああ、先ほど電車の乗客から緊急通報が入ってな。笠歌線の車両内で犯人が乗客達を殺傷しているという通報を受けた。」
「鉄道警察隊だけでは人数がとても足らない。みんなには捜査を一時中断して鉄道警察隊の応援に回ってほしい。」
「分かりました。」
俺と新川刑事は鉄道警察隊の応援として笠歌駅に入った。
「すいませんが、春山警部と新川刑事には笠歌駅での乗客の誘導をお願いします。」
俺は新川刑事と共に笠歌駅にてお客への対応に当たった。
「えー只今笠歌線の車内にて殺傷事件が発生しており、この笠歌線は運休になりました。お客様におかれましてはこのホームから避難をお願いします。」
ホームにて列車を待っていた乗客達は驚いていた。
「えー殺傷事件?」
「まじかよ。」
「なんで避難しなきゃならないんだ?このホームにいれば安全なんじゃないのか?」
「該当車両は笠歌駅と九是山駅の間に停車しており、この駅に犯人が逃げてくる可能性もありますので、利用者の皆さんには安全が確認できるまでこの駅の外で待機して頂きたいと思います。」
「えー犯人がこの駅のホームまで逃げてくるのか?」
「とっとと避難しようぜ。」
「やだー怖い、避難しよっか。」
ホームにいた利用者達は続々と退避していったのだった。
次は駅の改札前でこの駅の利用者達に知らせてまわった。
「現在笠歌駅と九是山駅間は利用停止となっています。さきほど笠歌線の車内で殺傷事件が発生しており、該当車両が笠歌、九是山間に停車しています。犯人がこの駅に来る可能性もあるため現在この笠歌駅からの避難をお願いしています。」
駅の改札前までやってきた人達は驚いていた。
「うそ、殺傷事件ってマジ?」
「やばそうだからとっと避難しようぜ。」
「そうだね。」
こうして笠歌駅にいた人達をほぼ避難させ終わった。
「とりあえず避難は完了できましたね。」
「機動隊ももうそろそろ突入するだろうな。」
すると鉄道警察隊の隊員より俺の所に知らせに来てくれた。
「機動隊が車両内に突入したとの知らせが入りました。」
「そうか。これで片がついたかな。」
「しかし電車内で殺傷事件だなんて世も末だな。」
「本当ですね。」
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「結局1日仕事になってしまいましたね。」
「警察官だからこういう事もあるさ。」
「そうですね。」
そして俺達は笠歌警察署の捜査本部に戻ってきた。
だが海江田警視正を始め、捜査員達がPCを見つめたまま青い顔をしていたのだった。
「どうしたんですか?海江田警視正?」
「あっいや今朝起きた笠歌線の無差別殺傷事件についてなんだが。」
「笠歌線の殺傷事件ですか。犯人は逮捕できたんですか?」
「いやどうやら被疑者は全員死亡していたようだ。」
「全員という事は犯人は複数だったんですか?」
「ああ、そうだな。」
なぜか海江田警視正の反応があいまいな感じがした。
すると海江田警視正がこう言ってきた。
「春山警部、ちょっとこれを見てくれないか?」
「はい。」
海江田警視正はそう言うと、PCを操作してある動画の再生を始めた。
「この動画はなんですか?」
「今朝にSNS上にあげられていた動画だ。コメントには車両内で人殺しという題がつけられていた。どうやら笠歌線の事件発生時に撮影されたと思われる映像みたいだ。」
ああちょうどこのトレンドを見ようとしたら、招集がかかったんだったな。
そうかあれは事件発生時の様子を捉えたものだったのか。
海江田警視正は映像の再生を始めた。
映像には運転席と前面展望が映し出されていた。
ガシャンと電車の扉が閉まる音がした。
少しして電車が動き始めたようだった。
そして撮影者の声が聞こえてきたのだった。
「それじゃあ今日は今月から演武線に導入された新型車両K-200系に乗っていきたいと思います。」
「今、九是山駅を出発したところです。」
それから撮影者が車両の説明を始めていた。
「新型車両K-200系は加速時の駆動音が静かなのが特徴ですね。これまでの車両であるK-160系とは駆動音で20デシベル以上の静音性となります。K-160系では70キロを超えるとすごくうるさくなるのですが、このK-200系は違いますね。時速は今70キロを超えましたが、本当に静かです。」
すると撮影者がトーンの違う声を出した。
「うん?」
撮影者が何か違和感を感じているように見えた。
少ししてまた撮影者の声が流れた。
「あれっ、何やってるんだ?喧嘩でもしてるのか?」
だがだんだん撮影者の声が大きくなっていった。
「えっ?えっ?どういう事??」
「おい!!おい!!嘘だろ!!ヤベエだろ!!」
配信者の音声が響き渡る。
すると映像が車内に切り替わったのだった。
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そこには黒いTシャツと黒い帽子を被った男がナイフを振り回している映像が映っていた。
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初老の男性は首元から出血しながらその場に倒れ込んでしまった。
「くっ、ひどい事をする奴だ。」
するとナイフを持った男の前に立ち塞がるようにOL風の女性が移動した。
犯人を取り押さえようとしているのかと思ったがそうではなかった。
そのOLの女性はそのナイフを持った男の前に立ち尽くすだけであったのだ。
そのOLの女性は逃げる事もしなければそのナイフを持った男を取り押さえる為にナイフを奪おうともしなかった。
その女性はただ何もせずにナイフを持った男の前に立ち尽くしていた。
そして自分の首を斬りつけてくださいと言わんばかりに、自分の首元をナイフを持った犯人の前に差し出したのだった。
ナイフを持った男がその女性の首元に斬りつけたのだった。
そのOLの女性が首元を斬られて倒れ込んだ。
首元を斬られた女性は血しぶきをあげながら、倒れたのだった。
すると今度は制服を着た女子学生がナイフを持った男の前にやってくると、さきほどのOLの女性と同様にまたナイフを持った男の前に立ち尽くしたのだった。
その女子学生も逃げる事もしなければ、取り押さえる為に男からナイフを奪おうともしなかった。
そしてその女子学生も先ほどのOLの女性と同様に自分の首元を斬りつけてくださいと言わんばかりに犯人の前で晒したのだった。
そしてナイフを持った男は今度は女子学生の首元を斬りつけたのだった。
女子学生が首元を斬られてすさまじい血しぶきをあげてその場に倒れ込んだ。
すると今度はスーツを着たビジネスマンの男がナイフを持った男の前にやってきたのだった。
スーツを着た男性も先ほどの二人と同じように、何をするわけでもなく黒い帽子の男の前にただ立ち尽くすと、首を斬りつけてくださいと言わんばかりに、自分の首元を差し出してきたのだった。
ナイフを持った男はさきほどと同じようにスーツを着た男性の首元を斬りつけたのだった。
スーツを着た男性はすごい血しぶきをあげながら、その場に倒れ込んだ。
この後も同じ調子で乗客が一人また一人ナイフを持った男の前までやってくると、自分の首を差し出した状態で、そのまま立ち尽くしたのだった。
そしてナイフを持った男が自分の前にやってきた乗客の首元を一人づつ斬りつけていったのだった。
この調子でナイフを持った男は何人も何人も斬りつけていった。
まるで魚屋が一匹づつ魚でもを裁いているかのように。
そして車両内に乗客がほとんどいなくなると、ナイフを持った男は何のためらいもなく自分の首元にナイフを当てると力いっぱい斬りつけたのだった。
ナイフを持った男の首元からすごい血しぶきがあがり、そのまま男は電車の床に倒れ込んだ。
そしてそこで動画が終わっていたのだった。
「なんなんだこれは?」
「なっ、意味が分からないだろう。」
「ええ。」
「みんなこの映像を見て肝を冷やしていた所だ。」
「しかもなこれ犯人はこいつ一人じゃなさそうなんだ。」
「被疑者は全員死亡だとさきほど言っていましたね。」
「ああ恐らく被疑者は8人以上はいると思われる。」
「8人?まさか1号車以外でも殺傷事件があったんですか。」
「ああ、1号車から8号車まで全ての車両で殺傷事件が起きている。この事件の被害者は死者267名で生存者11名だ。」
「死者が267人で生存者がたったの11人ですか!!」
「前代未聞の事件が起こってしまった。」
「それでなんだが今後の対応を伝えておく。この会議室に笠歌線無差別殺傷事件の捜査本部も設置する事になった。」
捜査員達は一同に驚いていた。
「ええっ!!」
捜査員達から様々な意見が飛び出していた。
「うちの署の規模では二つの捜査本部を置くのは無理ではないですか。」
「ああ、最もな意見だ。人数の問題なら心配はいらない。本部から応援を送ってもらえる事になった。」
「しかし事件発生からまだ1日も経っていないのに、もう捜査本部を設置するんですか?」
「この笠歌線無差別殺傷事件はテレビや新聞でも大きく取り上げられて、SNSでも大騒ぎになっている。本部としては一刻も早い真相解明が必要だという判断らしい。」
「なるほど。」
「ですけど社会を揺るがすほどの事件と本部が考えているのなら、なおの事なんで本部に捜査本部を置かないんですか?」
「実は捜査本部は本部に置かれる事になっていたんだが、俺がそれを撤回してもらったんだ。春山警部を笠歌線無差別殺傷事件の捜査に移したいと言われてしまってな。だったらうちの署で捜査本部を立ち上げる事にしたんだ。今の状況で春山警部に移動されては事件が解決できなくなってしまうからな。」
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