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青西瓜(伊藤テル)

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【イノシシ】

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・【イノシシ】


 僕とお姉さんは今作っている村に作った竈で、煮炊きのチェックを行っていた。
 鍋は元々村にあったモノがあったので、それを使ってチェックをしていた。
「ちゃんと煮炊きできていますね」
「これでみんな塩鮭が食べられますね」
 塩鮭を水で煮たおつゆが完成したその時だった。
 遠くから何かおぞましい声が聞こえてきた。
「理人くん! 危ない! イノシシです!」
 早く家の中に逃げ込もうとしたが、周りに家の無い、外れに竈を作っているので、逃げ込めない!
 イノシシは僕たちを見て、一旦止まったが、地面を激しく蹴り、力を溜めているようだった。
 お姉さんは叫んだ。
「理人くん! 私がおとりになるから、その間に逃げて下さい!」
「そんなことできませんよ!」
「大丈夫です! 私はずっとこの村で生活していました。だから運動神経は君よりずっと良いはずです! 早く逃げて!」
 そんな……と思っていると、近くに倉があった。
 しかし倉は扉が家よりも緩く、仮に扉へ向かって突進されたら開いてしまうだろう。
 だから倉の中に隠れることはできない。
 一体どうすれば。
 と思った時、僕はあの”漢字”を思い浮かべた。
 近くにあった、樫の木の破片と倉を合わせて、僕は【槍】を作った。
「お姉さん! 二人でこの槍を持って構えていましょう!」
「分かりました! しっかり体に固定させて槍を持ちましょう!」
 そしてイノシシは槍を構えた僕たちに突進してきて……衝突!
 僕とお姉さんは後ろに吹き飛ばされたが、イノシシもダメージを喰らっているみたいだ。
 しかしイノシシはすぐに起き上がろうとしている。
 後ろに吹き飛ばされた時に、槍はどこかへ飛んでいってしまったので、武器は無い。
 一体どうすれば、と思ったその時、一つ、妙案が浮かんだ。
 イノシシから漢字をもらいまくれば、イノシシは眠くなって寝るのでは。
 僕はイノシシから漢字を出しては、語変換の術が不成立になるよう消費して、イノシシから漢字を出しまくった。
 その結果、イノシシは眠り、そして僕も、目の前が真っ暗になった。
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