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【魔法を教えるということ】
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・【魔法を教えるということ】
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まずはナッツさんの家へ戻って、改めて作戦会議をすることにした。
と、言っても、すぐさまナッツさんは果物狩りと水汲みに出掛けて、僕は家事をすることになった。
夕ご飯の時に一緒に考えようという話。
僕は掃除をせっせとやり込んだ。
夕方になるとナッツさんが帰ってきて、僕はその食材で料理をした。
見たこと果実だったけども、生でも食べられるらしいので、味を確かめながら料理を作っていった。
完成し、2人で食べながら作戦会議へ。
まず僕はナッツさんへこのことを聞くことにした。
「ナッツさんの両親は魔法の研究をしていたらしいですが、ナッツさんは魔法を教えることは得意なんですか?」
「ううん、教えることはからっきしダメで、アレとか、ソレとか、勢いで! とか言っちゃって、上手く言葉にできないんだ。パパやママがいてくれたら楽なのになぁ」
「じゃあ魔法を使うことが得意な人を探さないとダメですね」
「やっぱり得意な人がいいのかな?」
僕は口を拭いてから、こう言った。
「得意な人のほうが強く教えることができると思います。マックスの値が大きいほうが多分良いと思います」
「そっかぁ、それならクラッチさんはすごいけどもね。回復魔法のトップだと思う! あの人は!」
「でも回復が得意な人は回復に専念してもらって、できれば他に得意な人が見つかるといいですけども」
「そうだねぇ、クラッチさんは忙しいからねぇ」
僕はふと思ったことを言ってみた。
「このナッツさんの家や、他の建物も、それ以外が荒れ地の割に……と言ったら失礼かもしれませんが、出来がすごく良いと思うんです。建物を作る時、魔法で基礎の部分を作っているお方とかいませんかね?」
「あぁ、そうそう、壁とか水を練り込んで作るんだけども、水魔法を使える人は魔法が得意なイメージあるなぁ。水って本来水が無いところから水を出す魔法だから魔法の種類として、土や風よりも強いんだよね」
「じゃあ明日は水の魔法を使える方々に話し掛けていくことにしましょう」
「そうだね! じゃあやることを決まったし、今日は早く寝ちゃおう! 宙に浮きながら!」
と最後にナッツさんはいつも通りボケたので、僕はすぐに、
「いや普通にベッドの上にしましょう、あと僕は床に布を敷いて下されば大丈夫ですので」
「いや! 私が浮く! もとい私が床でいい!」
「いいえ、居候させてもらう身として僕が床でいいですよ」
「ううん! 私は体が強いから大丈夫! というかベッドは三人分の大きさで大きいから一緒に寝てもいい!」
一緒に寝ることはさすがにできないので、僕は断った。
結局いくら僕が床で寝ると言っても、頑固にナッツさんが床にやって来るので、僕がベッドを使わせてもらった。
申し訳ないという気持ちを共に、どんどん頑張って早く元の世界に戻って、ナッツさんの手間にならないようにしようと思った。
次の日。
朝から早速僕とナッツさんで、外に出掛け、水の魔法を使う人のところを尋ねに行った。
しかしなかなか魔法を理論的に教えることができそうな人が見つけられない。
擬音ばかりの人や、よく喋るけども全く意味が分からない人、でもくじけず、次は、ユラシさんという人のところにやって来た。
「ユラシさん、ですよね?」
「……そうだ」
ユラシさんのハートマークの色は少し黒ずんだ赤色。
嫌がっていないが、少し警戒しているような感じだ。
ナッツさんが元気にこう言った。
「単刀直入に言うと、水の魔法が使えるユラシさんに魔法を教える先生をしてほしいんだ!」
「……魔法を、教える、とは?」
「魔法は使えたほうが便利だから、みんな魔法が使えるように教える先生がほしいんだ!」
僕もナッツさんの言っていることを援助する。
「理論的に魔法を教えることができれば、効率的に勉強できると思うんです」
ユラシさんは少しの沈黙し、それから口を開いた。
「苦手だな、人前は」
ハートマークの色は徐々に青く、冷めた色になっていった。
ユラシさんは続ける。
「……オレは、人との関わり合いが、嫌いだから、黙々と作業できる、ことを、やっている。それ以外の、ことは、極力やりたくない」
ナッツさんは困った顔で「アチャー!」と言った。
いやでも。
黙々と作業をすることなら嫌じゃないということか。
それなら
「ユラシさんは絵を描くことは得意ですか?」
「……嫌いじゃない」
「それなら絵を描いて教科書を作ってくれませんか? えっと、木の板に絵を描いて、魔法の仕方を簡単に説明するようなモノを」
「……それなら、できるかもしれない」
僕はさらに一個、案が浮かんだ。
「あとこの村で使える文字を作りましょう。この村は全て絵で表現されていてそれも分かりやすいんですけども、文字があればみんなに事細かに気持ちを伝えることができます」
それに対してユラシさんがこう言った。
「……文字なら、ある。オレも、少しは、読める。子供の頃、一人でずっと、勉強していたから。そうか、文字と絵で説明したモノを、オレが作って、それを教えるヤツは、別にいる、というわけか。それなら、やってやっていい」
「ではユラシさん! 僕にこの世界の文字を教えて下さい!」
興奮してちょっと大きな声が出てしまったが、ユラシさんは冷静に、かつ、淡々と、
「今からオレの家に、来い。昔勉強した、文字の表がある。それをオマエにやる」
僕とナッツさんはユラシさんのあとをついていった。
その道中でナッツさんが、
「文字ってもしかすると良く分からないグニャグニャの何かのことっ? あれって何か意味があったんだ!」
「文字は覚えておくと便利だから、この文字を村の人達全員に覚えてもらいたいです」
「便利なんだぁ! それは楽しみだなぁ! 嫌々する草むしりくらい楽しみ!」
「いや全然つらそうじゃないですかっ」
そんな会話をしながら、ユラシさんの家について、ユラシさんは家に入って、僕たちは外で待っていると、すぐさまユラシさんが出てきて、
「これが表だ。旅商人と、物々交換すれば、メモも手に入る。それに、基本的に絵で、魔法の説明を描く。さて、誰とも触れ合わず、できる仕事もできたし、オレはこれに、専念する」
そう言ってユラシさんは家の中に入っていった。
その時のユラシさんのハートマークは美しい赤色で光っていた。
ユラシさんも嫌々やるわけじゃなさそうなので、安心した。
さて、まずは僕とナッツさんが字を覚えないといけないな。
一旦、ナッツさんの家へ戻って、早速字を覚える勉強をし始めた。
1日くらいですぐ覚えることなんてできないわけだけども、文字には法則性もあり、覚えづらいわけではなかった。
それでも基本的な、日本で言うとこのひらがなを覚えるだけで、1週間は掛かった。
でもナッツさんと力を合わせて、不自由なく文字が扱えるようになった。
この世界の文字は『に』や『は』などが無く、全て単語で表現していく感じだった。
まるでカタコトな日本語だけども、単語を並べればちゃんと言葉っぽくなるので、それなりに分かりやすかった。
さて、今度はユラシさんが作ってくれるだろう教科書を使って、魔法を教えてくれる人を探さなければ。
・【魔法を教えるということ】
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まずはナッツさんの家へ戻って、改めて作戦会議をすることにした。
と、言っても、すぐさまナッツさんは果物狩りと水汲みに出掛けて、僕は家事をすることになった。
夕ご飯の時に一緒に考えようという話。
僕は掃除をせっせとやり込んだ。
夕方になるとナッツさんが帰ってきて、僕はその食材で料理をした。
見たこと果実だったけども、生でも食べられるらしいので、味を確かめながら料理を作っていった。
完成し、2人で食べながら作戦会議へ。
まず僕はナッツさんへこのことを聞くことにした。
「ナッツさんの両親は魔法の研究をしていたらしいですが、ナッツさんは魔法を教えることは得意なんですか?」
「ううん、教えることはからっきしダメで、アレとか、ソレとか、勢いで! とか言っちゃって、上手く言葉にできないんだ。パパやママがいてくれたら楽なのになぁ」
「じゃあ魔法を使うことが得意な人を探さないとダメですね」
「やっぱり得意な人がいいのかな?」
僕は口を拭いてから、こう言った。
「得意な人のほうが強く教えることができると思います。マックスの値が大きいほうが多分良いと思います」
「そっかぁ、それならクラッチさんはすごいけどもね。回復魔法のトップだと思う! あの人は!」
「でも回復が得意な人は回復に専念してもらって、できれば他に得意な人が見つかるといいですけども」
「そうだねぇ、クラッチさんは忙しいからねぇ」
僕はふと思ったことを言ってみた。
「このナッツさんの家や、他の建物も、それ以外が荒れ地の割に……と言ったら失礼かもしれませんが、出来がすごく良いと思うんです。建物を作る時、魔法で基礎の部分を作っているお方とかいませんかね?」
「あぁ、そうそう、壁とか水を練り込んで作るんだけども、水魔法を使える人は魔法が得意なイメージあるなぁ。水って本来水が無いところから水を出す魔法だから魔法の種類として、土や風よりも強いんだよね」
「じゃあ明日は水の魔法を使える方々に話し掛けていくことにしましょう」
「そうだね! じゃあやることを決まったし、今日は早く寝ちゃおう! 宙に浮きながら!」
と最後にナッツさんはいつも通りボケたので、僕はすぐに、
「いや普通にベッドの上にしましょう、あと僕は床に布を敷いて下されば大丈夫ですので」
「いや! 私が浮く! もとい私が床でいい!」
「いいえ、居候させてもらう身として僕が床でいいですよ」
「ううん! 私は体が強いから大丈夫! というかベッドは三人分の大きさで大きいから一緒に寝てもいい!」
一緒に寝ることはさすがにできないので、僕は断った。
結局いくら僕が床で寝ると言っても、頑固にナッツさんが床にやって来るので、僕がベッドを使わせてもらった。
申し訳ないという気持ちを共に、どんどん頑張って早く元の世界に戻って、ナッツさんの手間にならないようにしようと思った。
次の日。
朝から早速僕とナッツさんで、外に出掛け、水の魔法を使う人のところを尋ねに行った。
しかしなかなか魔法を理論的に教えることができそうな人が見つけられない。
擬音ばかりの人や、よく喋るけども全く意味が分からない人、でもくじけず、次は、ユラシさんという人のところにやって来た。
「ユラシさん、ですよね?」
「……そうだ」
ユラシさんのハートマークの色は少し黒ずんだ赤色。
嫌がっていないが、少し警戒しているような感じだ。
ナッツさんが元気にこう言った。
「単刀直入に言うと、水の魔法が使えるユラシさんに魔法を教える先生をしてほしいんだ!」
「……魔法を、教える、とは?」
「魔法は使えたほうが便利だから、みんな魔法が使えるように教える先生がほしいんだ!」
僕もナッツさんの言っていることを援助する。
「理論的に魔法を教えることができれば、効率的に勉強できると思うんです」
ユラシさんは少しの沈黙し、それから口を開いた。
「苦手だな、人前は」
ハートマークの色は徐々に青く、冷めた色になっていった。
ユラシさんは続ける。
「……オレは、人との関わり合いが、嫌いだから、黙々と作業できる、ことを、やっている。それ以外の、ことは、極力やりたくない」
ナッツさんは困った顔で「アチャー!」と言った。
いやでも。
黙々と作業をすることなら嫌じゃないということか。
それなら
「ユラシさんは絵を描くことは得意ですか?」
「……嫌いじゃない」
「それなら絵を描いて教科書を作ってくれませんか? えっと、木の板に絵を描いて、魔法の仕方を簡単に説明するようなモノを」
「……それなら、できるかもしれない」
僕はさらに一個、案が浮かんだ。
「あとこの村で使える文字を作りましょう。この村は全て絵で表現されていてそれも分かりやすいんですけども、文字があればみんなに事細かに気持ちを伝えることができます」
それに対してユラシさんがこう言った。
「……文字なら、ある。オレも、少しは、読める。子供の頃、一人でずっと、勉強していたから。そうか、文字と絵で説明したモノを、オレが作って、それを教えるヤツは、別にいる、というわけか。それなら、やってやっていい」
「ではユラシさん! 僕にこの世界の文字を教えて下さい!」
興奮してちょっと大きな声が出てしまったが、ユラシさんは冷静に、かつ、淡々と、
「今からオレの家に、来い。昔勉強した、文字の表がある。それをオマエにやる」
僕とナッツさんはユラシさんのあとをついていった。
その道中でナッツさんが、
「文字ってもしかすると良く分からないグニャグニャの何かのことっ? あれって何か意味があったんだ!」
「文字は覚えておくと便利だから、この文字を村の人達全員に覚えてもらいたいです」
「便利なんだぁ! それは楽しみだなぁ! 嫌々する草むしりくらい楽しみ!」
「いや全然つらそうじゃないですかっ」
そんな会話をしながら、ユラシさんの家について、ユラシさんは家に入って、僕たちは外で待っていると、すぐさまユラシさんが出てきて、
「これが表だ。旅商人と、物々交換すれば、メモも手に入る。それに、基本的に絵で、魔法の説明を描く。さて、誰とも触れ合わず、できる仕事もできたし、オレはこれに、専念する」
そう言ってユラシさんは家の中に入っていった。
その時のユラシさんのハートマークは美しい赤色で光っていた。
ユラシさんも嫌々やるわけじゃなさそうなので、安心した。
さて、まずは僕とナッツさんが字を覚えないといけないな。
一旦、ナッツさんの家へ戻って、早速字を覚える勉強をし始めた。
1日くらいですぐ覚えることなんてできないわけだけども、文字には法則性もあり、覚えづらいわけではなかった。
それでも基本的な、日本で言うとこのひらがなを覚えるだけで、1週間は掛かった。
でもナッツさんと力を合わせて、不自由なく文字が扱えるようになった。
この世界の文字は『に』や『は』などが無く、全て単語で表現していく感じだった。
まるでカタコトな日本語だけども、単語を並べればちゃんと言葉っぽくなるので、それなりに分かりやすかった。
さて、今度はユラシさんが作ってくれるだろう教科書を使って、魔法を教えてくれる人を探さなければ。
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