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14.小話二つ
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1.ある日の三人
「ユウ、俺達は月に一回、街に行くんだ。薬草とか売ってさ、森番の給金を受け取って、買い物して家に帰ってくる。その時、街の神殿で婚姻したいと思ってるんだけど良いかな?」
「イイヨー。街って大きいの?」
「・・・ユウは、婚姻の、こう、なんか、感慨とかないの?」
「えっ、あ、みんなで美味しい物食べよう」
「俺のスープは美味しいでしょ」
「美味しい、美味しいよ。いや、ほら、出かけるからさ、外で食事とか出来るよね?」
「屋台がある。パイなんかもある」
「わーい、色々買い食いしよう!」
「もー、ユウは。他に欲しい物ある?」
「俺達からユウに婚姻の贈り物をしたい」
「え、嬉しい。それなら櫛が欲しい。切実に。髪が絡まるのよ」
「わかった。他には?」
「ええ、うーん、なんだろう。わからないから色々見たい。良いかな?」
「ああ。見て回ろう」
二人はなんだか楽しそうだった。楽しそうで何より。私もお買い物したい。お小遣い欲しい。
「指輪売りたい。お小遣いが欲しい」
「欲しい物あったら俺達が贈るのに。ユウはお金作って何するの?」
「アルとベルに贈り物。その他も」
「・・・嬉しい、嬉しいのになんか騙されてる気がする。その他が本命でしょ」
「ソンナコトナイヨー、ベル。ワタシ、ウソツカナイ」
「ユウってば・・・もう」
「っく、くくくっ、ふくっ」
ベルと言い合いをしたら、アルが笑い出した。意外とベルよりもアルの方が良く笑う。私とベルのくだらない言い争いをアルはいつも楽しそうに聞いてる。見守られてる感アリアリで気恥ずかしい。
―――――――
2.求婚のすすめ Side ベル
ミカがユウに会いに来る。俺達がいない時に。ユウは近所の子供相手してる気なんだろうけど、ミカは違う。ユウはアルやミカの切実さが分かってない。ユウはアホだ。
ミカは俺達よりずっと前から森に住んでた捨て子だ。大抵の捨て子はオオカミに食べられるけど、ミカは生き残った。夢見がちな酔っ払いじいさんと二人で住んでたからか、子供のまま育ったように見えて、俺達も弟のように接してた。
けど、違う。
夫がいない時に妻を訪ねるなんて、しちゃいけないことするくらいだ。俺達はまだ正式な夫じゃないけど、ギリギリだ。他でやったら、二度目は鼻先でドアを閉められるだろう。
ユウを森に留めたい。ユウが居ると今までにないことが味わえる。五人の内、三人の夫が森に居るなら、このまま住んでいてくれるかも。他は、婚姻に興味なくて、気が弱そうなのが良いかな?
薬指はアルだし、ミカならアルを尊重してくれるだろう。いずれ五人必要なんだから、アルだって受け入れなきゃいけない。それが森の住人なら俺達にとっても良い話だ。
アルと話してミカに求婚の許可を伝えなきゃな。
「ユウ、俺達は月に一回、街に行くんだ。薬草とか売ってさ、森番の給金を受け取って、買い物して家に帰ってくる。その時、街の神殿で婚姻したいと思ってるんだけど良いかな?」
「イイヨー。街って大きいの?」
「・・・ユウは、婚姻の、こう、なんか、感慨とかないの?」
「えっ、あ、みんなで美味しい物食べよう」
「俺のスープは美味しいでしょ」
「美味しい、美味しいよ。いや、ほら、出かけるからさ、外で食事とか出来るよね?」
「屋台がある。パイなんかもある」
「わーい、色々買い食いしよう!」
「もー、ユウは。他に欲しい物ある?」
「俺達からユウに婚姻の贈り物をしたい」
「え、嬉しい。それなら櫛が欲しい。切実に。髪が絡まるのよ」
「わかった。他には?」
「ええ、うーん、なんだろう。わからないから色々見たい。良いかな?」
「ああ。見て回ろう」
二人はなんだか楽しそうだった。楽しそうで何より。私もお買い物したい。お小遣い欲しい。
「指輪売りたい。お小遣いが欲しい」
「欲しい物あったら俺達が贈るのに。ユウはお金作って何するの?」
「アルとベルに贈り物。その他も」
「・・・嬉しい、嬉しいのになんか騙されてる気がする。その他が本命でしょ」
「ソンナコトナイヨー、ベル。ワタシ、ウソツカナイ」
「ユウってば・・・もう」
「っく、くくくっ、ふくっ」
ベルと言い合いをしたら、アルが笑い出した。意外とベルよりもアルの方が良く笑う。私とベルのくだらない言い争いをアルはいつも楽しそうに聞いてる。見守られてる感アリアリで気恥ずかしい。
―――――――
2.求婚のすすめ Side ベル
ミカがユウに会いに来る。俺達がいない時に。ユウは近所の子供相手してる気なんだろうけど、ミカは違う。ユウはアルやミカの切実さが分かってない。ユウはアホだ。
ミカは俺達よりずっと前から森に住んでた捨て子だ。大抵の捨て子はオオカミに食べられるけど、ミカは生き残った。夢見がちな酔っ払いじいさんと二人で住んでたからか、子供のまま育ったように見えて、俺達も弟のように接してた。
けど、違う。
夫がいない時に妻を訪ねるなんて、しちゃいけないことするくらいだ。俺達はまだ正式な夫じゃないけど、ギリギリだ。他でやったら、二度目は鼻先でドアを閉められるだろう。
ユウを森に留めたい。ユウが居ると今までにないことが味わえる。五人の内、三人の夫が森に居るなら、このまま住んでいてくれるかも。他は、婚姻に興味なくて、気が弱そうなのが良いかな?
薬指はアルだし、ミカならアルを尊重してくれるだろう。いずれ五人必要なんだから、アルだって受け入れなきゃいけない。それが森の住人なら俺達にとっても良い話だ。
アルと話してミカに求婚の許可を伝えなきゃな。
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