ポンコツな私と面倒な夫達 【R18】

象の居る

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22.婚姻の儀式

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神殿に着き儀式の順番待ちをする。アルとベルの間に座ってキョロキョロしてると、ベルがぽつりと呟いた。

「ユウは、怖いもの知らずなの?」
「なんで?」
「魔法使いと普通に話すし、魔法見せてなんて言うし」
「あ、やっぱ失礼だったかな?タダで魔法見せてなんて。技術だもんね。おとぎ話だと、すごく簡単に使うから。こっちの魔法は簡単には使えないのかな?」
「いや、そうじゃなくて。そうじゃないんだけど、ユウと話してると、たまに頭おかしくなりそうになる」
「マジで?ごめん、ベル。ベルの解説がないと生きていけない、頭おかしくしないで」
「・・・俺の頭がおかしくなるのは、ユウの所為でしょ。ユウがおかしいから」
「それは、文化摩擦ってやつだよ。育ってきた環境が違うからだよ」
「・・ふざけてるでしょ、ユウ」
「ごめんなさい」
「俺達の番だ。行こう」
「はーい」

入り口から少し離れた所に立っている魔法使いを横目に、儀式の部屋に入った。部屋にいる神官はこっちを見て鼻で笑うと、机に向かって顎をしゃくった。

「儀式の代金をこちらに」

な、なんなのおおおお、こいつ、態度悪いって程度じゃないぞ、最悪野郎じゃん。なんなの、こいつに婚姻の儀式されるとか罰ゲームじゃねーか。チェンジは出来ないのかっっ。
アルはだまって袋から銀貨をザラザラ出した。
え、儀式代ってめっちゃ高いんじゃないの?あんなに銀貨出して。いや、物価分からんけどね、分からんけど高いんじゃないの?
 
「これで指を切ってお互いに血を出す。血が出た部分を重ねて名を誓え。指輪は外しておけ」

机に置いてある小刀を顎でしゃくった。
だからあ、こいつはホントに態度悪いな。指切るのか。名を誓うって、どうすんのよ。

「アル、切って」
「・・・ああ」

差し出した私の薬指の指先を、アルがチクリと切って血を出し、自分の薬指も切って血を出す。傷口同士を重ねると、神官がアルと私の手首を掴んだ。
アルが真剣な顔で私を見つめ、口を開く。

「ユウ、名を教えてくれ」
「ササハラ・ユウナギ」
「アルフレート・ライ・レハールはササハラ・ユウナギの夫となることを誓う」

アルがゆっくり言葉を紡ぎ、頷いて、私を促した。

「ササハラ・ユウナギはアルフレート・ライ・レハールの妻となることを誓う」

真剣さに感激するよりも、名前を間違わず言うほうに神経を持っていかれた。名前、長くない?短期記憶の総動員よ。で、魔力紋は?魔力紋は?
ドキドキしながら指を見てても何も起こらず。

「チッ!なんだ?血が足りないのか?もっと血を出してから、名を誓え」

イライラと舌打ちされ、しょっぱい気分になりながらやり直した。そして、何も起こらず。

「・・・失敗?」
「っ、失敗じゃない!私の所為じゃない!お前達がおかしいんだ!双子だからっ!おい、お前が先に誓え!」

いきなり怒鳴り出した神官はミカちゃんを指差して叫ぶ。私達は不安な顔を見合わせた。アルと同じようにミカちゃんと誓って指を見る。
・・・何も起こらない。あっるぇー?えー何、こんだけ偉そうにして失敗なんか? 

「な、何なんだっお前らっ!!私は今まで婚姻の儀式をしてきたんだっ、おかしな真似して私の仕事の邪魔をするなっ!それにっ、お前、双子と婚姻するようなおかしな女だからダメなんだ!双子なんかに婚姻は無理なんだよ!」
「・・・じゃあ、お金返してよ。失敗なんだし、返済義務あるんじゃないの?」
「失敗ではないっっ!お前達の所為だろうっ、お前達が私の邪魔をするからっ!返済はしないっ!」

あ、煽っちゃった。絶対に人の所為にするマン。でも、アルのお金は返しなさいよ。


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