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63.婚姻と甘え
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なんか今日は疲れた。せっかくオリヴァとの婚姻なのに申し訳ない。幸せ一杯の気持ちになれない。別に心配しなくたって、この国にいる以外できないし、心配したところでいきなり転移するのはどうにもできない。この理不尽。
そういや、ここにいる人達も理不尽仲間だわ。捨て子と虐待。職業蔑視による差別。めっちゃ理不尽じゃん。どうやって折り合いつけてんだろう。この人達のこと何にも知らないな。気付いてみると、すごい他人っぽい。まあ、他人なんですけどね。
今度聞いてみようかな。どうやって聞く?捨てられてどうだった?とか聞くのは違うな。えー、捨てられたことをどうやって受け止めた?ってか。うーん、簡単じゃないよね。今でもずっと恨んでるとか?軽く聞く話じゃないな、これ。虐待とかもずっと引きずることもあるし。
えーなんか悲しくなってきたわ。でも、彼らは彼らで社会的役割をちゃんと果たして生活してるわけだし。職業蔑視されるけど、やっぱ必要な役割だし。私が同情するのは違う。
・・・のか?妻だし家族なんだから同情してもいんじゃない?家族だってー、今気付いたわ。可哀そがって甘やかしてあげれるのって、家族枠しかできないんじゃない?そうよねぇ。私も甘やかされたい。
じゃあ、私の役割って夫の甘やかし係なのか?なんというララバイ。聖母じゃん。でも、母にはなれないぜ。そこまでできないぜ。
面倒になってきた。かといって一人暮らしはできないのよね。それに、甘やかされたいし。セックスパートナーも捨てがたい。現状は私にとっても、まあまあ良いということだな。そういう結論。
お、結論出たら気分も落ち着いてきた。今回は珍しくいい結論ということか。精神的な余裕のあるときに甘やかすということで。そういうことで、どうぞよろしく。
いくらかすっきりした気分で頭を上げるとノックの音が聞こえ、ベルがドアを開けに行く。とうとうお出ましだ。
あ、なんか急に緊張してきた。オリヴァと婚姻。オリヴァと。マジでか。あのご尊顔と。ええ、あの人に求婚されたの?今日されたわ。自分のことでいっぱい過ぎだったからあれだったけど。跪かれたわ。
あちゃー、ご登場ですよ。何その麗しの顔。上気してる感じがもう、性的過ぎる。やられた。無理。空っぽの頭の中が強制的にピンクで塗りつぶされた感じ。なんだこれ。
「急なことですまない」
「大丈夫だ」
「婚姻の儀式を」
オリヴァが側に来て手を取った。熱っぽい目で見つめられる。
早っ、展開が早っ。5倍速で進んでません!?何その目!殺す気か。あーもう、無理。麗しすぎてムリ。
めちゃくちゃ動揺してるうちにオリヴァは5倍速で進む。
「血を分けてくれ。あなたの名を呼びたい」
熱に当てられ、慌ててナイフをオリヴァに渡した。
「指を切ってもらっていい?」
オリヴァが頷いて、私の手を取り指を小さく切った。私の血がオリヴァの小指に流れる。オリヴァは瞬きをして、震える唇から息をゆっくりと吐くと静かな声で誓いを唱える。
「オリヴァ・ルート・グラウはササハラ・ユウナギの夫となることを誓う」
オリヴァの小指に私の血で紋が焼き付いた。
指輪を外した私の小指にオリヴァが血を塗りつけ、微かに震える手で私の左手を取る。
「ササハラ・ユウナギはオリヴァ・ルート・グラウの妻となることを誓う」
力強く抱きかかえられ、オリヴァの首元に額を埋めた。オリヴァの右手が私の小指に焼き跡を付けていく。ジリジリと焼かれる痛みは、オリヴァの血が私に焼き付く証だと思うと肌が粟立ち、体が震えた。
焼き付けが終わると顔を上げて、体を離した。これ以上、抱き付いたままだとおかしくなりそうで。
「ユウナギ、私の妻」
「・・・オリヴァ」
喜びが零れるキラキラした目でオリヴァが言う。
光る目に吸い込まれてクラクラする。おかしくなりそう。この人から目が離せない。
「ユウナギ、冷やすからこっちへ来い」
エーミールの声で我に返る。何度か瞬きをして焦点を合わせ、側に行き冷やしてもらう。官能の名残は目をつぶってやり過ごした。
まいった。アル達に気付かれてないだろうか。こんなに呆けてしまうとは。どれくらい見つめ合ってたんだろ。短い時間でありますように。
「今日は予定通り私の部屋に泊まれ。一晩冷やそう。グラウのところへは明日、泊まると良い」
「ユウ、どうする?」
「うん、冷やしてもらう。アル、心配してくれてありがとう」
エーミールを送って、戻ったオリヴァは私の手を握る。
「明日から3日、私の部屋に泊ってくれ」
「はい」
驚きつつ返事をした。心配させないようにアルに笑いかける。
「アル、行ってきます」
「ああ、気をつけて」
アルに手を振ってから、オリヴァと手を繋いでエーミールの部屋へ飛んだ。オリヴァは耳元で『明日』と囁いて消えた。
死にそう。耳元に囁くとか、どんな爆弾。爆裂四散しそう。
ぼんやり突っ立ったままでいると、強引に服を脱がされベッドに転がされた。裸になったエーミールが抱きついて、指を冷やしながら私を見つめる。
「ユウナギ、目が濡れていたな。指を冷やすときに見た。・・・グラウに感じただろう。触れられて、それだけで」
濡れていたことを指摘されて、ビクッとしてしまった。まだ官能の名残が背中に留まっている。
これは咎められてますね。かといってどうすりゃいいのよ。
「・・・・・ダメなの?」
「ダメだ」
「なんで?みんな夫なんだから良いでしょ」
「ダメだ」
エーミールは指を冷やしたまま、目を逸らして私の肩に顔を埋めてしまった。
よく分かんない人だな。余裕たっぷりかと思ったらモダモダしたりして。昼間もあんなにわやくちゃしたのに。そういや愛してるとか言ってたわ。じゃあ、焼きもちか。お餅焼いてんのか。あ、この人も夫だった。つまりは家族。甘やかし対象枠ってことか。この人、意外と甘えるよね。私さー、今日は労わってもらってもいいと思うんだけどなー。この甘えん坊め。
エーミールの頭を撫でる。
「わかったわかった。エーミールは私のことが大好きで、一番に可愛がられたくて、甘えたいと、そういうことね。よしよし」
ジッとして動かない。
「あってる?」
「・・・・・・・・あっている」
「こないだの甘やかしが気に入ったの?」
エーミールが小さく頷いた。
甘やかされたのがツボだったのか?いきなりスキスキモードに入ったんか。あー、だからこないだ駄々こねてたわけですか。まー可愛いではありませんか。年上お偉いさんが年下に甘やかされて可愛がられたいとは、なんというシチュエーション。駄々のこねすぎには付き合いきれないけどな。こうして寝るときだけならいいんじゃないの。まあ、昼間は慰めてもらったしね。
「じゃあ、これからは可愛がって甘やかそうかな」
空いてる片手で抱きしめて頭にキスをした。
「可愛いエーミール、もう眠ろう。昼間、エーミールに空っぽにしてもらったから眠い」
「・・・・・足りない」
「何が足りない?」
ジッとして何も言わない。面倒な中年だな。スネちゃまかよ。あーあ、まったく。
体を横向きに起こし、頭にキスをしながら髪を耳に掛ける。顎の線を指でなぞり、耳の端をいくつもゆっくりと食んで、囁いた。
「私の可愛い人、唇をくださいな」
エーミールの顔がそろそろとこちらに動いたので、指先で唇をそっと撫でる。唇で柔らかく何度か啄むと、待ち切れないエーミールの舌がそろりと入り込んだ。ゆっくり侵入した温かい舌に軽く吸い付いて、耳たぶを指で弄ぶ。舌を絡ませ、柔らかな頬を撫でた。
唇を離してエーミールを見ると、唇を薄く開けたまま何かを待っているように、潤んだ目で私を見つめていた。額に掛かる細い金髪を撫で上げて、鼻先を軽く擦りつけ囁く。
「エーミール、困った人、好きだよ」
エーミールが体を緊張させて私の腕を掴み、鼻先を擦りつけてきた。腕を強く掴まれたまま、指先だけで髪を撫でる。
「本当に。エーミール、また船を見に行こう。船を見てるあいだ、私を捕まえててくれる?」
「・・捕まえている。ずっと」
「ありがとう。よろしく、エーミール」
「ああ」
横になり、エーミールの頬にキスをした。手を繋いで目をつぶる。
「おやすみ、エーミール」
そういや、ここにいる人達も理不尽仲間だわ。捨て子と虐待。職業蔑視による差別。めっちゃ理不尽じゃん。どうやって折り合いつけてんだろう。この人達のこと何にも知らないな。気付いてみると、すごい他人っぽい。まあ、他人なんですけどね。
今度聞いてみようかな。どうやって聞く?捨てられてどうだった?とか聞くのは違うな。えー、捨てられたことをどうやって受け止めた?ってか。うーん、簡単じゃないよね。今でもずっと恨んでるとか?軽く聞く話じゃないな、これ。虐待とかもずっと引きずることもあるし。
えーなんか悲しくなってきたわ。でも、彼らは彼らで社会的役割をちゃんと果たして生活してるわけだし。職業蔑視されるけど、やっぱ必要な役割だし。私が同情するのは違う。
・・・のか?妻だし家族なんだから同情してもいんじゃない?家族だってー、今気付いたわ。可哀そがって甘やかしてあげれるのって、家族枠しかできないんじゃない?そうよねぇ。私も甘やかされたい。
じゃあ、私の役割って夫の甘やかし係なのか?なんというララバイ。聖母じゃん。でも、母にはなれないぜ。そこまでできないぜ。
面倒になってきた。かといって一人暮らしはできないのよね。それに、甘やかされたいし。セックスパートナーも捨てがたい。現状は私にとっても、まあまあ良いということだな。そういう結論。
お、結論出たら気分も落ち着いてきた。今回は珍しくいい結論ということか。精神的な余裕のあるときに甘やかすということで。そういうことで、どうぞよろしく。
いくらかすっきりした気分で頭を上げるとノックの音が聞こえ、ベルがドアを開けに行く。とうとうお出ましだ。
あ、なんか急に緊張してきた。オリヴァと婚姻。オリヴァと。マジでか。あのご尊顔と。ええ、あの人に求婚されたの?今日されたわ。自分のことでいっぱい過ぎだったからあれだったけど。跪かれたわ。
あちゃー、ご登場ですよ。何その麗しの顔。上気してる感じがもう、性的過ぎる。やられた。無理。空っぽの頭の中が強制的にピンクで塗りつぶされた感じ。なんだこれ。
「急なことですまない」
「大丈夫だ」
「婚姻の儀式を」
オリヴァが側に来て手を取った。熱っぽい目で見つめられる。
早っ、展開が早っ。5倍速で進んでません!?何その目!殺す気か。あーもう、無理。麗しすぎてムリ。
めちゃくちゃ動揺してるうちにオリヴァは5倍速で進む。
「血を分けてくれ。あなたの名を呼びたい」
熱に当てられ、慌ててナイフをオリヴァに渡した。
「指を切ってもらっていい?」
オリヴァが頷いて、私の手を取り指を小さく切った。私の血がオリヴァの小指に流れる。オリヴァは瞬きをして、震える唇から息をゆっくりと吐くと静かな声で誓いを唱える。
「オリヴァ・ルート・グラウはササハラ・ユウナギの夫となることを誓う」
オリヴァの小指に私の血で紋が焼き付いた。
指輪を外した私の小指にオリヴァが血を塗りつけ、微かに震える手で私の左手を取る。
「ササハラ・ユウナギはオリヴァ・ルート・グラウの妻となることを誓う」
力強く抱きかかえられ、オリヴァの首元に額を埋めた。オリヴァの右手が私の小指に焼き跡を付けていく。ジリジリと焼かれる痛みは、オリヴァの血が私に焼き付く証だと思うと肌が粟立ち、体が震えた。
焼き付けが終わると顔を上げて、体を離した。これ以上、抱き付いたままだとおかしくなりそうで。
「ユウナギ、私の妻」
「・・・オリヴァ」
喜びが零れるキラキラした目でオリヴァが言う。
光る目に吸い込まれてクラクラする。おかしくなりそう。この人から目が離せない。
「ユウナギ、冷やすからこっちへ来い」
エーミールの声で我に返る。何度か瞬きをして焦点を合わせ、側に行き冷やしてもらう。官能の名残は目をつぶってやり過ごした。
まいった。アル達に気付かれてないだろうか。こんなに呆けてしまうとは。どれくらい見つめ合ってたんだろ。短い時間でありますように。
「今日は予定通り私の部屋に泊まれ。一晩冷やそう。グラウのところへは明日、泊まると良い」
「ユウ、どうする?」
「うん、冷やしてもらう。アル、心配してくれてありがとう」
エーミールを送って、戻ったオリヴァは私の手を握る。
「明日から3日、私の部屋に泊ってくれ」
「はい」
驚きつつ返事をした。心配させないようにアルに笑いかける。
「アル、行ってきます」
「ああ、気をつけて」
アルに手を振ってから、オリヴァと手を繋いでエーミールの部屋へ飛んだ。オリヴァは耳元で『明日』と囁いて消えた。
死にそう。耳元に囁くとか、どんな爆弾。爆裂四散しそう。
ぼんやり突っ立ったままでいると、強引に服を脱がされベッドに転がされた。裸になったエーミールが抱きついて、指を冷やしながら私を見つめる。
「ユウナギ、目が濡れていたな。指を冷やすときに見た。・・・グラウに感じただろう。触れられて、それだけで」
濡れていたことを指摘されて、ビクッとしてしまった。まだ官能の名残が背中に留まっている。
これは咎められてますね。かといってどうすりゃいいのよ。
「・・・・・ダメなの?」
「ダメだ」
「なんで?みんな夫なんだから良いでしょ」
「ダメだ」
エーミールは指を冷やしたまま、目を逸らして私の肩に顔を埋めてしまった。
よく分かんない人だな。余裕たっぷりかと思ったらモダモダしたりして。昼間もあんなにわやくちゃしたのに。そういや愛してるとか言ってたわ。じゃあ、焼きもちか。お餅焼いてんのか。あ、この人も夫だった。つまりは家族。甘やかし対象枠ってことか。この人、意外と甘えるよね。私さー、今日は労わってもらってもいいと思うんだけどなー。この甘えん坊め。
エーミールの頭を撫でる。
「わかったわかった。エーミールは私のことが大好きで、一番に可愛がられたくて、甘えたいと、そういうことね。よしよし」
ジッとして動かない。
「あってる?」
「・・・・・・・・あっている」
「こないだの甘やかしが気に入ったの?」
エーミールが小さく頷いた。
甘やかされたのがツボだったのか?いきなりスキスキモードに入ったんか。あー、だからこないだ駄々こねてたわけですか。まー可愛いではありませんか。年上お偉いさんが年下に甘やかされて可愛がられたいとは、なんというシチュエーション。駄々のこねすぎには付き合いきれないけどな。こうして寝るときだけならいいんじゃないの。まあ、昼間は慰めてもらったしね。
「じゃあ、これからは可愛がって甘やかそうかな」
空いてる片手で抱きしめて頭にキスをした。
「可愛いエーミール、もう眠ろう。昼間、エーミールに空っぽにしてもらったから眠い」
「・・・・・足りない」
「何が足りない?」
ジッとして何も言わない。面倒な中年だな。スネちゃまかよ。あーあ、まったく。
体を横向きに起こし、頭にキスをしながら髪を耳に掛ける。顎の線を指でなぞり、耳の端をいくつもゆっくりと食んで、囁いた。
「私の可愛い人、唇をくださいな」
エーミールの顔がそろそろとこちらに動いたので、指先で唇をそっと撫でる。唇で柔らかく何度か啄むと、待ち切れないエーミールの舌がそろりと入り込んだ。ゆっくり侵入した温かい舌に軽く吸い付いて、耳たぶを指で弄ぶ。舌を絡ませ、柔らかな頬を撫でた。
唇を離してエーミールを見ると、唇を薄く開けたまま何かを待っているように、潤んだ目で私を見つめていた。額に掛かる細い金髪を撫で上げて、鼻先を軽く擦りつけ囁く。
「エーミール、困った人、好きだよ」
エーミールが体を緊張させて私の腕を掴み、鼻先を擦りつけてきた。腕を強く掴まれたまま、指先だけで髪を撫でる。
「本当に。エーミール、また船を見に行こう。船を見てるあいだ、私を捕まえててくれる?」
「・・捕まえている。ずっと」
「ありがとう。よろしく、エーミール」
「ああ」
横になり、エーミールの頬にキスをした。手を繋いで目をつぶる。
「おやすみ、エーミール」
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