ポンコツな私と面倒な夫達 【R18】

象の居る

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101.解決方法 Side グラウ

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Side グラウ

炭焼きはユウナギを私に会わせてくれた。あの夜、寂しさに胸が痛んだ私を気遣って。ユウナギに優しくしてほしいとユウナギを気遣って。

私は?嫉妬してユウナギに不機嫌をぶつけた。
ユウナギはいつも謝る。彼女は悪くないのに。私が他の夫に嫉妬しただけなのに、いつもすまなそうな顔をさせる。私はそれに少しの満足を得る。彼女の気が引けた気がして。
これでは、まるで子供だ。彼女の気を引くために不機嫌をぶつけるなんて。
いずれ破綻するとヘルブラオが言っていた。当たり前だ、ユウナギは何も悪くないのに、私に謝らせられている。
言われないと気付かないなんて、私は馬鹿か。

私が嫉妬したとき、ユウナギは私を喜ばせる話をする。私はそれを受け取り、ただ甘えるだけだ。これで、彼女が甘えられるわけがない。
私はどうしたら?
この嫉妬をどうしたらいいのだろう。頭では分かっているのに、目にすると耐えられない。

ユウナギがヘルブラオに『お仕置き』をすると言うので、手を縛る手伝いをした。
見たくもないし聞きたくもなくて、すぐ消えたのに気になる。彼女が何をするかと思うと居ても立っても居られない。焦燥に耐えられず、戻ると声が聞こえた。
ヘルブラオの懇願する小さな声、続いてくぐもった水音、ヘルブラオの前にかがんで頭を動かすユウナギ。
全身に鳥肌が立ち、目がチカチカした。彼女が炭焼きと外で性交していた記憶が蘇る。二人が愛し気に絡み合い、一人隠れていた自分。
自分の欲望を思い出す。あの時、ユウナギを組み敷きたかった。彼女の中に入り込み私の欲望を注ぎ込みたかった。彼女の肌に、私を刻みたかった。

今ならできる。私は夫だから。

驚いた顔のユウナギが後始末するのを待って、押し倒した。
焼かれたように熱い。嫉妬で炎に巻かれたような胸と、蹂躙する興奮に沸き立つ頭で、児戯のような抵抗しかできないユウナギを拘束する。
ヘルブラオが手を貸すと言ってユウナギの手を押さえた。
私に抱かれるユウナギを見ていろ、と心の中で罵った。ユウナギのぬめりを見て嗜虐心が煽られる。
体を強張らせて声を我慢している姿がますます私に火を付ける。指と舌で弱いところを責めると声を上げ、私の昂ぶりを満足させた。
ユウナギに私を欲しいと言わせ、興奮で痺れた頭で存分に打ち込んでいく。ユウナギは声を上げ、私に足を絡ませて体を捩った。
もう抱ける。あなたを組み敷いて私の欲望を打ち込める。もう見ているだけでは済まさない。あなたは私の妻だから。
ヘルブラオに抱き付きながら片手で私の手を握り、催促するように動かした。興奮が膨らんで笑みが浮かぶ。
ユウナギの中が私に吸い付いて離さず、飲み込もうとしている。そんなに私が欲しい?ユウナギの手も中も私を欲しがっている。
興奮に胸が沸き立ち、仰け反ったユウナギに強く打ち込んで奥に欲望を吐き出した。

吐き出し切ってしばらく動けず、ユウナギと一緒に息を整える。
落ち着くと、ユウナギは文句を言いながらヘルブラオのベッドで寝てしまった。

可愛らしく、愛しい。
嫉妬は消え失せ、満足感に笑みがこぼれる。

「満足そうだな」
「ああ。ははっ、可愛いな、私達の妻は。こんな可愛い姿を見られるなら、お前の仕置きに付き合うのも悪くない」
「・・・私をあんまり巻き込むな」
「お前も楽しんだろ。ふふっ、可愛いな。なんだろうな、お前がいたから抵抗したのか?」
「そうだろう?他に何かあるか?」
「いや、双子の夫は三人で同衾してるだろうに。お前だと気になるんだな」
「慣れの問題じゃないか?あっちは最初から二人相手だ」
「そうか。まあ、いい。またするだろうし」
「またするのか。・・そうだな、次は私もユウナギを抱こう」
「・・朝だと時間が足りないな。泊まる番になったら、声を掛ける」
「ああ。・・クッハハッ、こんな相談してるとも知らず、あどけない寝顔だ」
「はははっ、可愛らしい」

足りなかった。興奮が冷めきらない。朝では時間が足りなさ過ぎる。夜に思う存分組み敷きたい。私の番が待ち遠しい。早く泊まりにきてくれ、ユウナギ。
・・・夫全員で暮らすことができれば、毎晩ユウナギを抱ける?毎晩じゃなくてもいいが、10日も期間を空けたくない。
妻帯者が申請すれば大きい部屋に住めるはずだ。他の夫も一緒なら神殿にきてくれるだろうか?

「ユウナギ、夫全員と暮らさないか?」
「えっ!?オリヴァとエーミールが森にくるの?」
「いや、申請すれば神殿の大きい部屋を貰えるから、そこに。森への送り迎えは私がちゃんとする」
「・・・私、石造りがあまり好きじゃなくて、木の家が好きなの。木の家で育ったから。逆に二人が森にくるのはどお?狭いけど、ご飯は一緒に食べれると思うよ」
「・・ユウナギと会いたい。毎晩ともに過ごしたいんだ。他の夫も同じ気持ちだと思う」
「・・嬉しい」

ユウナギが笑う。本当に嬉しそうに。ああ、抱きしめていたい。

「もうすぐ森番の家に引っ越して、冬の間は一緒に住むの。冬ごもり大変だから。相談してみるね」

隣に寝転んで、蝋燭の灯りに艶めく黒髪をシーツに流して微笑み、私を見上げる。ゆらゆらと光が浮かぶ黒い目に捕らえられ、目が離せない。指先で頬を撫でると気持ち良さそうに目を細めて笑った。

炭焼きに優しくしてあげて、と言われた。ああ、優しくする。
嫉妬を消す方法が分かった。これからは不機嫌をぶつけて気を引かなくてもいい。あなたは私の妻で、私は夫だ。私はいつでもあなたを抱ける。

私が優しく触れると嬉しそうに笑うだろう?あなたは私の口付けに目を潤ませるだろう?私に組み敷かれ声を上げるだろう?私の欲望を受け入れて飲み込むだろう? 

唇を食むと私に応え、舌を忍ばせるとすぐに絡みつく。乳房を撫でると肌を粟立たせて身じろぎをする。あなたのしぐさ全部が私を沸き立たせる。硬くしこった乳首を摘まむと、腰が動き声が漏れた。ほら、私に感じている。私に感じてすぐ潤う可愛い体。愛を囁くと嬉しそうに笑う可愛い人。

私の可愛い妻。


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