ポンコツな私と面倒な夫達 【R18】

象の居る

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番外編

5.楽しみができた Side エーミール

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Side エーミール

ユウナギが髪を梳かしにくる時間に、相談があると炭焼きがやってきた。

「ユウがね、魔法使いといるところを森番に見られるの怖がるんだ」
「怖がる?グラウのことで森番と揉めたからか?」
「うん。森番はもう大丈夫だし、そう言ってるんだけどユウは怖がったままなんだ。怖いままでいるのは可哀想だから、見ても平気だって教えてあげたいんだよね。筆頭と魔法使いの交尾に俺達も混ぜてもらいたいんだけど、いいかな?」
「・・・いきなりか?」
「そうじゃないと、森番の前で魔法使いと仲良くするなんてこと、ユウはしないよ。俺達が混ざって一緒でも平気だって見せるのが大事なんだ」
「ユウナギは嫌がるだろう?」
「嫌がるけど、森番が魔法使いとユウのこと分かろうとしてるって言えば大丈夫だと思う」

炭焼きの確信的な物言いに内心たじろいだ。ユウナギへの理解もあるが、穏やかで笑顔を崩さずたいして主張もしないのに、結局最後は自分の思い通りにことを運ぶ奴を思い出した。
狙われたら最後、諦めるか、妥協点までいくのに恐ろしいほど労力を使う。少なくともユウナギじゃ、逃げるなんて芸当はできやしない。ユウナギはとことん男の趣味が悪いな。

「それに、俺達、筆頭に交尾のこと教えてもらいたいんだ」
「なんのことだ?」
「俺達、ユウに教えてもらったから、他のこと知らなくて。筆頭は色んな交尾のこと知ってるよね?色々覚えてユウにしてあげたいんだ」
「・・・ユウナギも知らないこと?尻は使ったことなかったが、他に何かあるか?」
「お尻を使う?触るんじゃなくて?」
「・・では、それを実践するか」

研究熱心なのはいいことだが手札を取られるような気がして多少面白くない気もする。子供くらい年の離れた相手に大人げない態度も取れず了承したが、こちらを断り辛いところに持っていくのが上手いんだ、この手合いは。
話がまとまったところで、ユウナギとグラウがきた。

「何の話してたの?」
「夫同士の話だよ」
「内緒なの?」
「そう。ふふっ、ユウには内緒」

先程までの不穏な話を知らずにのん気なユウナギと、穏やかな炭焼き。ユウナギは完全に手のひらの上だな。
私の髪を梳かすユウナギにいささか同情する。グラウと炭焼きを見送り、ユウナギを抱きしめた。

「ユウナギは男の趣味が悪いな」
「何?ミカのこと?ミカはいっつも優しいよ?」
「・・・そうか。幸せか?」
「幸せだよ、大丈夫。心配してくれてありがとう」

囲い込んでいたぶる奴もいるが、炭焼きは甘やかすほうか。本人が幸せならそれでいい。
こうして手が掛かるから、余計に愛着が湧くのかもしれないな。

ユウナギに口付けをし、唇を軽く食んで柔らかさを味わう。一時期の痩せぎすから元に戻った、丸みのある体を抱きしめると優しく抱き返された。

体力も大分戻ったし、五人相手でも一度ずつなら大丈夫か。私はいいが、他の奴らはどうだろうな。まあ、炭焼きがいるから無理はさせないだろう。
五人相手に恥ずかしがるユウナギを想像してゾクリとする。可愛らしいだろうな。

興奮に身を任せ、テーブルに押し倒したユウナギの体をまさぐりながら口付けをしていると、グラウが戻ってきた。

「何してる」
「見ればわかるだろう」
「エーミール、もうお終い」
「あと少しだけ」

そう言えば大人しくなり、素直に口付けに応えるユウナギに嗜虐心を覚え、下着の中に指を忍ばせる。いまさら身を硬くしても遅いぞ、ユウナギ。掻き回して水音をさせると、ますます体を強張らせた。可愛いユウナギ、夫全員の前ならどんな顔をするんだろうな?
興奮に浮かれたまま、挿入し始めたら驚いて抵抗した。私の体の下で小さすぎる抵抗を。

「エーミール?」
「ユウナギ、少しだけだ。たまには私にも抱かせてくれ、お願いだ」

こうして甘えてみせると、仕方ないと受け入れて優しく抱きしめる。まったく甘過ぎる。だから炭焼きにも容易く転がされるんだ。我々を疑いもしないで甘やかす、優しく愛しいユウナギ。
私に組み敷かれて私を受け入れるユウナギを抱きしめる。濡れた目をして私を飲み込む。他の夫にもそんな目で抱かれるのか?想像で頭に血がのぼり、堪らず突き上げて熱を吐き出した。

ぐったりとユウナギの上に体を投げ出して息を整えていると、グラウが呆れた声を出す。

「まったく、お前は何してるんだ」
「自分が楽しめなかったからといって、やっかむな」
「腹の立つ奴だ」
「私の上でケンカ始めないでよ。雰囲気も何もないな」
「すまない、ユウナギ。ベッドの上でやり直すか」
「お終いですよ。もう帰るから送って。ミカが待ってるし」
「私とは?」
「また今度ね」

呆れた顔で笑い、頬に口付けを残して帰って行った。
戻ってきたグラウに炭焼きとの話を伝える。

「全員でか?私はいいが、ユウナギは無理じゃないか?」
「炭焼きが説得するらしいから、任せて大丈夫だろう」
「それなら大丈夫そうだな」
「なんだ、肩入れしてるな」
「ああ、敵わない」
「お前は単純だからな、相手にならんだろう」
「・・・お前はどうなんだ」
「もうユウナギの囲い込みは終わってるんだ、手の出しようがない。炭焼きがここまで変わるとは思わなかった。まあ、ユウナギに無理をさせなければいいんだから、問題ないだろう」
「・・・・そうだな」
「・・お前、無理させたのか・・・言っているだろう、体力が違うと。お前に巻き込まれてとばっちり食うのはごめんだぞ」
「・・もうしない、大丈夫だ」
「・・炭焼きと何かあったのか。・・・クッハハッ、お前も手のひらの上か、ハハハッ」

憮然とするグラウをひとしきり笑ってから仕事に行く。
良い楽しみができた。ユウナギはどんな顔をするのやら。恥ずかしがるのに、たまにとんでもないこともするからな、反応が楽しみだ。


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