6人の夫と巫女になった私が精霊作りにはげむ1年間の話【R18】

象の居る

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第一章 巫女ってなんなんですか

7.自己紹介の続き

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 オオカミ族だって。普通に喋って笑ってるのがめちゃくちゃ不思議。ホントに顔がオオカミっぽいし、毛だらけだし。ついつい見ていたのがバレてたらしい。見惚れてもいいとか言っちゃってさ、チャラ男か。軽い冗談で気楽に話すとこなんか、モテてそう。
 それにしてもヘビ族と妖精族か。ヘビ族は見た目からしてヘビだけど、ドワーフっぽいなと思った人は土妖精族だった。

 ラルフの話が終わり、隣にいるドワーフじゃなくて土の妖精さんが両隣を見てから口を開いた。

「土のサミー・ティティエだ」

 童顔のおじさんはずいぶんと可愛い名前だな。

「よろしく、ティティエ」
「サミーでいい」
「よろしく、サミー」

 サミーは背が小さいずんぐりむっくりで、やっぱり不思議で見てしまう。

「あの、妖精も慣れるまで見ちゃうかもしれない。不思議なだけだから、ごめんね」
「別にかまわねぇ」
「妖精族って人族とどう違うの?」
「違いか? うーん、魔力量と寿命が違うな。妖精族は長生きなんだ。ここの神殿長は300歳近いんじゃねぇか?」
「そうですね。それくらいです」

 サミーの話にリーリエが同意した。300年も生きるの? ちょっと何言ってるかわかんない。

「土妖精はそこまで長生きしねぇけど俺のひい爺さんは175まで生きた。ここまで長いのも珍しいんだけどな。異世界の人族はどうなんだ?」
「すごく長生きしたら100歳くらいだけど、だいたいは7,80くらいかな。こっちも同じ?」
「そうだな、同じくらいだ」

 ヴェルナーが物凄い目力で私を見ながら答えた。なんなんだよ、怖いだろ。

「オオカミ族とヘビ族は?」
「オオカミ族はせいぜい80ってとこ。たいてい65過ぎたらくたばるな」
「……ヘビ族は人族より少し長めで120から100くらいです」

 ラルフがヘビ族の人に話を振ったら静かに答えてくれた。無口なのかな。ウロコがスベスベしてそうで触ってみたいな~と思って見てたら目が合った。縦瞳孔で緑色が綺麗な目だ。

「火属性のゲルト・ハースです。好きに呼んでください」
「はい。よろしくお願いします」

 ゲルト、ハース。どっちが覚えやすいのか。ゲルゲルゲル、ハーハーハー。ゲルかな。そろそろ記憶力が怪しくなってきたぞ。

「あ、あの、ヨアヒム・リヒターです。水属性です。よろしくお願いします」

 あ、まだいたんだった。隣に座ってる大男を見上げる。でかい。2メートルくらいあるんじゃない? 2メートルの知り合いいないから知らんけど。
 うーん、ラスプーチンに似て怪しい顔なのに遠慮がちな話し方がギャップだ。目がきょときょと動いて挙動不審なのは緊張してるせいかも。緊張してるのが自分だけじゃないと思えて安心する。

「よろしくお願いします」
「……はい」

 見つめながら言ったら目を逸らされた。見過ぎたかな。だってラスプーチンだし。
 自己紹介が終わったしそろそろ頼みを切り出そうか。

「あのですね、精霊産みの儀式なんですが」
「はい、巫女。精霊の父母となる準備が整ってとても喜ばしいですよね。世界のお役に立てるのです。頑張りましょう」

 なぜか頬を染めた嬉しそうな顔でリーリエが返事をする。
 いや、違う。人の話は最後まで聞けよ。空気読まないね。あれか、一を聞いて知った十はぜんぶ自分に都合よい話になるタイプか。最悪だ。

「ううん。ていうかリーリエ、私はやるって言ってないよ」
「大丈夫と言いましたよ。不安かもしれませんが私がついています」
「大丈夫って言ったのはリーリエでしょ」
「はい」

 は・な・しが通じねぇえぇぇ。ニコニコしてるし全然わかってないだろ、お前。

「だから、やりたくないって言ったでしょ」
「ですが巫女、もう精霊の卵が体に宿りましたので精霊を産まないと体に差し障りがあります」
「そういえばそうだったね。どんなふうになるの?」
「巫女の体に宿った精霊の卵は巫女の体の中で増え続けるので、精霊を産んで卵を減らさないと体の中で増えすぎて苦しいそうです」
「ええええ?」

 強制妊娠出産!!! ひどい便秘みたいにお腹が苦しくなるのかな。辛いぞそれは。

「夫に宿った精霊の種は増えても排出できますが卵は排出できないでしょう?」

 あああああああ、たしかにねそうよね。男みたく射精しないもんね……。詰みじゃん。王手じゃん。ヤルしかないじゃん。
 思わず顔をしかめた私の向かいから笑い声がした。

「クククッ、やられたなぁサヤカ。まあ、一年だし楽しもうぜ。今日、オレのトコ来る?」
「……遠慮します」

 楽しそうなラルフに断りを入れる。
 はぁ、やっぱり寝なきゃいけないことになるな。どうしたもんか。そういえば寝る以外にやることあんのか?

「リーリエ、精霊産みって産むだけで終わるの?」
「はい。巫女が夫とまぐわってから、夜明けの光を浴びると巫女の体から精霊が産まれると聞いています。まぐわいも精霊産みもとても疲れるらしいので、それ以外の時間はしっかり体を休ませてください。それ以外のことをして精霊産みができないのは本末転倒ですから」

 まぐわうってか。古風ですね。まさしく出産マシーン。食っちゃ寝、食っちゃ寝。

「買い物とか、散歩とか、観光とかしていい?」
「危険があるので神殿の敷地から頻繁に出てほしくないのですが」
「危険? 狙われるの?」
「精霊産みを断念させて世の中を混乱させたい方たちがいるのです」

 ちょっと困ったように笑う顔もキラキラしてるなーと、関係ないことを思った。テロ組織があるのね。どこにでもあるんだな。精霊が魔法に必要なら自分たちにも必要だろうにさ。

「今も帝国の騎士が神殿の警備をしてくれています。どうしても出掛けたいときは護衛をつけますのでおっしゃってください」
「おおごとだね」
「巫女だけではなく属性の夫もそうですよ。ヴェルナーとラルフは腕が立ちますけど、やはり一人では出掛けないようにお願いしています」
「そうなんだ。2人は何してる人なの?」
「オレは冒険者」
「私は帝国の騎士でここの警備隊に所属している」
「強いんだね」
「ソコソコな」

 他の人にも仕事を聞くと、サミーは陶工、ヨアヒムはパン職人、ゲルトは商人らしい。頷いて聞いてたらラルフに話を振られた。

「サヤカのこと教えてよ。いきなり来たんだろ? 家族は?」


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