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第一章 巫女ってなんなんですか
23.嫌じゃない? Side ヨアヒム ※
しおりを挟むSide ヨアヒム
俺も触っていい?
重ねられた手をもう片方の手でそっと握った。すっぽり隠れてしまう小さな手。体の中がうるさい。
うつむいたままの俺の頬をサヤカの手が撫でた。鳥肌が立ってゾクゾクする。身悶えしておかしくなりそうでサヤカの手を強く握った。
「ベッドに行く?」
「うん」
教えて。教えてサヤカ。
立ち上がったサヤカに手を引かれベッドまで歩くあいだ、後ろから抱きしめて押し倒したい気持ちを抑え続けた。
「脱いで」
そう言ったサヤカが寝間着を脱いでベッドに座った。
裸、はだかだ。下着も着けてない。俺も脱いでベッドに登った。膨らんでて恥ずかしいけど隠すのも恥ずかしい。
小さいサヤカは俺を見上げる。
「寝てくれる? ヨアヒムは大きくて届かない」
言われた通り寝転がって今度は俺がサヤカを見上げた。
この次は? どうするの? 待ち焦がれてる俺の頬に頬をくっつけて抱きしめてくれた。小さな体に腕をまわす。なんて小さい。なんて柔らかい。なんて温かい。もっと強く抱きしめたいけど壊してしまいそうで怖い。
頬ずりだけで熱いため息が出た。サヤカの唇が頬にふれる。なんどもふれて、俺の頭まで鳥肌を立たせる。この先は?
背中はスベスベしてる。俺に隠れる小さい体。もっと抱きしめたい。でも優しくしないと壊してしまいそう。
サヤカの唇が俺の口にふれた。あ、挟まれた。ああ、食べられる。ああ、俺に、俺にふれてる。あ、ヌルって、何これ、ビリビリする。サヤカの舌だ。ああっ。
口を開けて息をした。ヌルリとした生き物が口の中に入ってきて動いてる。触りたくて撫でたくて舌を伸ばした。あったかくてヌルヌルする。すごく動く。サヤカが俺に絡みついてくる。俺に。もっと、もっと触りたい。
サヤカの体が俺に乗っかった。くっついてる。裸が。俺も裸だ。ああ、サヤカ、もっと、先を。
サヤカの手が腰にふれた。驚いて体が一瞬かたまる。それで、サヤカに体を擦りつけてたことに気付いて恥ずかしくなった。
サヤカの手が動いて足の付け根を撫でる。そんなとこ、そんな、もう少し。腰が揺れてしまう。あ、撫でた。ああ、そんな、そんな、気持ち、良い。
サヤカの手が動くたびに、ビリビリする気持ち良さが腰にくる。ヌルつきが広がってどんどん気持ち良くなって、こみ上げる。あ、サヤカ、サヤカ、手が、手に。汚しちゃダメだ。嫌われたくない。
「ああぁ、あぁ」
サヤカの手を握ってどかし、自分の手の中に出した。息が切れて苦しい。息をしてるとサヤカが離れた。
なんで、まって。
「手を洗いに行こうか」
あ、俺の手が汚れたから。
汚れてないほうの手を引かれ風呂場に入った。サヤカは部屋に風呂場があるんだな。しゃがんだ俺の手を床の排水口の上に持って来てお湯を掛けてくれた。
親切だ。俺に親切にしてくれる。
ドキドキする。サヤカを見ていたら布を手渡してくれた。
「ありがとう」
お礼を言った俺を見て笑った。悲しそうじゃない親切な顔。布で手を拭いたら、まぐわいじゃなかったと気付いた。違った。どうしよう、失敗した。どうしよう。謝らないと。呆れた? 許して、許してほしい。
布を握る手に力が入る。
「ご、ごめん」
「なにが?」
「あの、手に出て、間違ったから」
「大丈夫。もう一回する?」
びっくりしてサヤカを見た。もう一回って本当に?
「する。あ、サ、ヤカが良いなら」
「いいよ」
『いいよ』って言った。俺を見て笑った。可笑しそうに笑った。顔が熱い。
差し出された手を握って立ち上がった。俺より小さい手、俺より小さい体。抱きしめたいのに怖い。
ベッドに戻ってさっきみたいに横になった。サヤカを見上げる俺を見てる黒い目。手を伸ばして俺の顔をさわる。顔が近づいて唇がふれた。また、食べる? また、舌でさわる? お願い、またさわって。
お願いしたくてサヤカの頬をさわった。叶えられた願いが唇を食べる。舌が絡まる。鳥肌が立って背中がゾクゾクする。サヤカの背中を触る。手を下に動かしたら、お尻、にさわってもいい? 少しずつ。嫌だって言われたらすぐ離すから、少しずつ。嫌じゃない? もっとさわっていい? 手の中に丸いお尻が、俺の手の中にある。柔らかいけどパン生地より硬い。手を動かして指で捏ねたい。痛くないようにそっと。そっと。ああ、こんなこんなこと、本当に。
サヤカの手がまた俺の膨らみを触る。ビクついて期待してしまう。そんなふうにしたら、また間違うのに離れてほしくない。どうしたらいい?
サヤカが起き上がって口が離れた。俺の膨らみの上にサヤカがまたがる。俺のじゃないヌルつき。柔らかい何かに撫でられる。あ、あ、もしかして、これ?
サヤカが体を動かしたら、ぬめる熱さに襲われた。
「っうぅぅあぁっっ」
さっきと違う、なんだこれ。これなの? 声が出て止められない。腰を動かしたいのに、なんでか動けない。背中にビリビリ痺れが走って体が跳ねた。
「うーーーっあぁぁあ」
声と一緒に種も出た。すごくいっぱい出て終わった。
息が落ち着いて我に返る。サヤカは静かに俺を見てた。優しく笑って俺から離れる。痛みが胸に走った。待って、待って。
慌てて腕を掴んだら驚いて俺を見た。怖がらせたと思い急いで手を離す。
「ごめ、ごめん」
「どうしたの?」
わからない。離れてほしくなかった。
「わからない、ごめん」
「うん。もう眠ろうか」
サヤカは俺との間に一人分あけて布団にくるまった。
今ので怖がらせたから? もっと近づきたいけど嫌かな。本当は俺と寝たくなかった? 最初に止めようって言った。でもそれは俺が無理してると思ったからで、気を遣ったから? 寝るのはただの義務で仕方ないから? 嫌だな。そんなの嫌だ。抱きしめたい。抱きしめたいけど、俺にそんなことされたら嫌じゃない? それとも問題があった? どうしよう。でも、治せるとこは治すから。そうしたら少し、少しだけでも俺を気に入ってくれるかな。
気に入ってほしい。気に入ってもらえたら抱きしめるのを許してくれるかも。
「あの、あ、問題、あった?」
「ないよ。大丈夫」
「嫌なこと、した?」
「してないよ」
「わかんなくて、ごめん。あの、嫌なところあったら、治すから」
「大丈夫」
「でも、あの、俺のこと」
なんて聞けば? 親切だから嫌でも嫌って言わないかも。じゃあなんで離れるの? 近寄りたくないからじゃなくて? どうしたらそばにいける?
考えて過ぎて喋れなくなった。
サヤカは静かで俺が口を閉じたら部屋の中がガランとした気がした。そのままジッとしていたら、寝息が聞こえてきた。眠ってしまった。
サヤカ、サヤカは俺のこと『普通』って言った。今も普通のまま? 嫌になってない? そうだといいのに。
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