25 / 119
第一章 巫女ってなんなんですか
25.考えたくないな ※
しおりを挟む失業保険の手続きをして求人票を漁った帰り、気分転換したくて映画を見た。そのあとファミレスでワインを飲みながらご飯を食べ、店を出たとこで雨に降られた。地下鉄に揺られ、この先のことを考えてため息をつく。夜遅い閑散とした改札を通り薄暗くて長い階段を登る途中でくしゃみが出た。早く家に帰って濡れて冷えた服を着替えようと足を急がせる。バッグを肩に掛け直した途端、濡れたヒールが滑った。足がよろけて階段を踏み外す。真っ直ぐな石の階段は濡れていて滑りが良く、ぶつかっても止まることはなかった。見えていた出口はみるみる小さくなり、酷く大きな衝撃のあと、すべてがプツリと途切れた。
驚きに目を開けたらほの明るい天窓が見えて、ここがどこなのかわからなかった。心臓が音を立てて息が切れている。しばらくして異世界だったと思い出した。あれは、夢? それとも最後の記憶?
水を飲もうと体を起こしたら汗で湿ったパジャマが重くまとわりついた。気持ち悪い。風呂場に行って冷めたお湯で体を流す。温かいお湯につかりたいけど自分で出来ないことにため息が出る。
ベッドに寝転び夢を思い出した。失業保険はすぐもらえるって言われてホッとしたんだっけ。ヒーロー映画を見てから、元気を出すならステーキでしょって思って赤ワインと一緒に食べたんだ。そっか、私は死んだっぽい。死んだから魂だけこっちにこれたのか。
実感はないのにストンと納得できた。体から力が抜けてぼんやりする。
一年後に元の世界に戻れるって言われたけど死んで終わりでしょ。あーあ、なんだそうか。
目をつぶってたらいつの間にか眠ってたみたいで、リーリエに起こされた。今日も仕事を頑張っている笑顔のリーリエが眩しい。私とは違う、生きてる人の顔をしてる。
お昼は何を食べたか覚えてない。でもいつも同じだからたぶん同じだろう。
部屋に戻ってお茶を飲んでたらヴェルナーが来て、今日はヴェルナーの日だったと思い出した。
「ずっとぼんやりしてるけど何かあったのか?」
「ううん、どんなピアス作ろうか考えてたら寝不足になっただけ」
「街へ行くときは私も一緒だ」
「護衛だっけ。よろしくお願いします」
そう言った私をヴェルナーが膝の上に横抱きに抱き上げた。抱きしめて頭にキスをする。
「今日は何する?」
「このまま。……会いたかった」
私の顎をすくって唇を啄む。息を荒くして舌を忍び込ませ、硬くなったものを私の太腿に押し付けてきた。
何も考えたくない私はヴェルナーの性欲に流されることにした。気持ち良いことだけ感じて頭を空っぽにしたかったから。それだけが私がここにいる理由だから。
ヴェルナーの硬くなったものをズボンの上から撫でると息をこぼして口の合わせを深くした。私の後頭部を押さえて舌をニュルニュルとしつこく絡ませ、もう片方の手は服の上から乳房を揉んで乳首を指先でくすぐってくる。手で探ってズボンの紐をほどき窮屈そうなペニスを解放した。先っぽからはもう汁が出て指先で広げるとピクピク反応する。
「っは、ぁ、ベッドへ」
息を切らしたヴェルナーが私を抱き上げてベッドに運んだ。2人で服を脱いで裸になる。熱の籠った目で私を見下ろすヴェルナーと向かい合った。
「待ち遠しかった。おかしくなりそうなほど」
そう言って私を押し倒し、唇を重ねた。探るように動く舌が根元から舌先まで舐め、裏側を這い回り掬い上げては吸い付いて唾液を啜る。呻くヴェルナーが私の手に押し付けてくるペニスを何度も肛門の近くから優しく撫で上げた。
私は何も考えないように体が感じたことだけを意識する。
グニュグニュ舌を絡めながら両手で乳房を揉みこまれると、下腹がジンジンと疼きだす。押し潰した乳首を捏ねられて快感が背中を走り、声が零れた。
ヴェルナーが衝動に突き動かされるように首筋や胸元へ吸い付いて痕をつけていく。指先で乳首を弾かれる快感と、いくつも小さな痛みが混ざり中がヒクついて腰が揺れた。乳首の先端を舌先でくすぐるように舐められ体が仰け反る。
「あぁっ、あっ、っんん、あぁあ、ぅっふぁ」
「ああ、もっと声を、サヤカ」
そう言ってクリトリスの根元を指で挟み、軽く摘まんだ。摘ままれるたびに背骨を甘い電流が駆け抜ける。下腹の奥が疼いて飲み込みたいとヒクついていた。ヴェルナーに求められるまま声を出す。何も考えずに快感を味わい、ただ応えた。
「んあぁあっ、アぁ、ヴェルナー、んんっあ、あ」
「っふ、サヤカ、私を呼んで」
中に入り込んだ指がクリトリスの後ろをリズミカルに押し、もう片方の手で根元を挟んで擦った。逃げられない強い刺激で、漏らしそうな感覚と絶頂の収縮が訪れ頭が白くなる。
「ッアア、ヴェルナー、ヴェルあぁっああ、あああっぁぁあーーーー」
ヴェルナーの腕に掴まり指を太腿で挟みつけて達した。
力が抜けて手を離すと指が抜けペニスが入り込んだ。ギラついた目のヴェルナーが私の腰を掴み、水音を立てて突き上げる。
「サヤカ、っは、ふっ、やっと、やっと、サヤカ、あぁあっはっ、くぅぅっう」
ヴェルナーが動きを止めて腰を振るわせた。一息つくと、私の左足を自分の下に置いて交互に噛み合うような体勢にし、すぐに動き出す。手の平で円を描くように恥丘全体を揉まれ下腹の奥がヒクついた。
「んっああぁっ、あぁんっあ」
「っふ、は、すごい、サヤ、私にこんな、っく、ぅう、あっ、サヤカっあっ」
奥をズブズブと割り広げられて擦られる快感が腰に痺れを広げた。欲しい所へ欲しいものが与えられ、それなのにもっと欲しいと中が吸い付いて収縮する。引き攣るような絶頂に仰け反って声を上げた。
「あぅっ、ンッアァあっアアアーーーーーーー」
「っぅくっううぅあぁ、っあ」
押し付け合って硬直する。ドクドク跳ねるペニスが落ち着いてから目を開けると、息を切らしたヴェルナーと目が合った。繋がったまま体を屈めて私を抱きしめ唇を吸う。腰をゆっくり揺らしながら舌を絡め、熱いため息をついた。
「サヤカ、サヤカ、お願いだ、私に」
おでこを擦りつけながら切ない声を出す。
「何したらいい?」
「私を見て、呼んで。夢じゃないと教えてほしい」
「ヴェルナー、愛称はヴェル? ヴィー?」
「ヴィーだ」
「ヴィー、ほら、さわれる」
唇に頬にキスしながら言った。
さわれるけど、これは夢だよ。だって私は死んでるから。もしかして死んだ私が見てる夢かも。早く夢から醒めると良いのに。
ヴェルナーを慰めながらそれを打ち消して、なんだかわからない気持ちになる。そのあとは名前を呼ぶだけにしてキスをした。
夕食後もやってきたヴェルナーに眠るまで抱かれ、次の日は昼まで眠った。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる