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第16話 彼氏No20、【神卸の境界線ミノト】
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【神卸の境界線ミノト】
その武器の元になった人物、ミノトはギギラにとって20番目の彼氏だ。
『ねぇ君、良かったらギギラに東ノ国を案内してくれない?』
『……お前、観光客か?』
『そうだよ~。19番目の彼氏の趣味で最近は旅行にハマっててー』
『なら俺の前から失せろ。外の人間は嫌いだ』
思えば最初の出会いは最悪だ。
好感度で言えばマイナスからのスタート。
誰だって縁を結ぼうとはしない第一印象を抱くだろう。
だが、ギギラはこの時ミノトの『全てを諦めきった様な目』に興味をもった。
そして何度も何度もミノトにアタックを続ける日々を繰り返す。
『ギギラ分かっちゃった。ミノト君が振り向いてくれる方法』
『また来たのか……いい加減にしないと殺してしまうぞ』
『ま~ま~、これ見てよ』
ミノトとの関係性が変わる決定打になったのは、ギギラが19番目の彼氏を用いて行ったとある本の修復だ。
『これ……は』
『この本全部読んだけどさ、【声無し】様って良い神様だよね。目無しの女とは大違いだよ』
『お前、どうして』
その本は、古くから伝わる東ノ国の文化と【声無し】様に関する情報がまとめた書物だった。
もっとも、現在の東ノ国では絶版になっている。
現存するのはギギラが修復したこの一冊だけだ。
『ギギラは何となく分かってたよ。ミノト君は元からあった文化を捨てて王国に従属し始めてる今の東ノ国が嫌いなんだよね』
『だからなんだ』
『ねぇミノト君。ギギラに本物の東ノ国を教えてよ!!すっごい興味あるんだ~』
『外の人間であるお前に教えてやる義理は無い』
『ふ~ん。じゃぁギギラがこの本読んで勝手に学ぶよ。たまに成果報告に来るからね~』
そこから2年。
ギギラは東ノ国にこもり、文化の学びに時間を費やした。
『かしこみ、かしこみ』
『もっとゆっくりで良い。お前の祝詞は早口すぎる』
最初は外の人間と言うだけでギギラを毛嫌いしていたミノトも彼女の勉強熱心な姿に惹かれ、徐々に心を開き、やがて恋人になった。
ギギラは彼を武器化したあの日の事を今でも覚えている。
◇
「──────────────」
今の彼女はギギラであってギギラではない。
ギギラ・クレシアの意思は『祈り』として残り、その『祈り』を叶える為に【声無し】が彼女の体を動かす。
「驚いたね。本当に神を降ろす人間がそんざー」
「──」
「ッツ?!」
【声無し】は喋らない。
なぜならその必要が無いからだ。
「いきなり攻撃するとは風情がなー」
「──」
「イッ?!」
【声無し】が行うのは、祈りを叶える為の行動のみ。
なんの影響も起こさない無駄口は叩かず、その行動と結果を持って信徒の祈りを叶える。
神の拳は音速を超え、誰もが観測できない速さの次元で敵を蹂躙する。
「ッツ、【ナパームヴォイド】起動!!」
ハイマの手に小さな結界が生成され、膨大な魔力注ぎ込まれる。
あと一秒もすれば、魔力の渦が出来上がり近づく事すら敵わなくなる。
あと二秒もすれば結界の崩壊と増殖が始まり、再び地獄を作り上げるだろう。
「─────────」
だが、【声無し】は0.001秒でハイマの右手を引きちぎれる。
魔力の供給が行われる前にハイマの右腕が飛び、鮮血が散る。
魔力不足に陥った結界は消滅し、【ナパームヴォイド】の発動は不発に終わる。
そして、時間にして10秒。
ハイマの体を跡形も残らない程に殴る神の猛攻が始まった。
「ククッ……ハハハ!!いいねぇギギラ・クレシア!!これは少々僕の想像を超えているとも」
とっくに死んでいてもおかしくない攻撃を受けながらハイマは笑う。
それは決して自暴自棄になった笑いではない。
心の底からギギラを賞賛し、この状況を楽しんでいる笑いだ。
そんな余裕をこんな状況で何故保てているのか?
その問いに対する答えは非常にシンプルだ。
「だけど、やっぱり【声無し】で僕の神に勝つのは不可能みたいだね」
神を降ろし、【ナパームヴォイド】を防いで体を蹂躙しようとも……今だにギギラの方が劣勢であるのだから。
「役割神託:不死鳥」
ハイマがまた例の呪文を唱える。
すると、彼女の体がまた万全の状態へと回復した。
「君の攻撃では僕の回復力に追いつけない。【声無し】は僕に対する有効打を持っていない」
ハイマは勝ち誇ったようにそう言うと、一旦距離を取る。
そしてもう一つ、ギギラと【声無し】を追い詰める一言を添えるのだった。
「僕も神の力を扱う物だから何となく分かるんだけどね。ギギラ・クレシア君、君の体が【声無し】様の力に耐えられるのは精々残り30秒程度だろう?」
「─────────」
その武器の元になった人物、ミノトはギギラにとって20番目の彼氏だ。
『ねぇ君、良かったらギギラに東ノ国を案内してくれない?』
『……お前、観光客か?』
『そうだよ~。19番目の彼氏の趣味で最近は旅行にハマっててー』
『なら俺の前から失せろ。外の人間は嫌いだ』
思えば最初の出会いは最悪だ。
好感度で言えばマイナスからのスタート。
誰だって縁を結ぼうとはしない第一印象を抱くだろう。
だが、ギギラはこの時ミノトの『全てを諦めきった様な目』に興味をもった。
そして何度も何度もミノトにアタックを続ける日々を繰り返す。
『ギギラ分かっちゃった。ミノト君が振り向いてくれる方法』
『また来たのか……いい加減にしないと殺してしまうぞ』
『ま~ま~、これ見てよ』
ミノトとの関係性が変わる決定打になったのは、ギギラが19番目の彼氏を用いて行ったとある本の修復だ。
『これ……は』
『この本全部読んだけどさ、【声無し】様って良い神様だよね。目無しの女とは大違いだよ』
『お前、どうして』
その本は、古くから伝わる東ノ国の文化と【声無し】様に関する情報がまとめた書物だった。
もっとも、現在の東ノ国では絶版になっている。
現存するのはギギラが修復したこの一冊だけだ。
『ギギラは何となく分かってたよ。ミノト君は元からあった文化を捨てて王国に従属し始めてる今の東ノ国が嫌いなんだよね』
『だからなんだ』
『ねぇミノト君。ギギラに本物の東ノ国を教えてよ!!すっごい興味あるんだ~』
『外の人間であるお前に教えてやる義理は無い』
『ふ~ん。じゃぁギギラがこの本読んで勝手に学ぶよ。たまに成果報告に来るからね~』
そこから2年。
ギギラは東ノ国にこもり、文化の学びに時間を費やした。
『かしこみ、かしこみ』
『もっとゆっくりで良い。お前の祝詞は早口すぎる』
最初は外の人間と言うだけでギギラを毛嫌いしていたミノトも彼女の勉強熱心な姿に惹かれ、徐々に心を開き、やがて恋人になった。
ギギラは彼を武器化したあの日の事を今でも覚えている。
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「──────────────」
今の彼女はギギラであってギギラではない。
ギギラ・クレシアの意思は『祈り』として残り、その『祈り』を叶える為に【声無し】が彼女の体を動かす。
「驚いたね。本当に神を降ろす人間がそんざー」
「──」
「ッツ?!」
【声無し】は喋らない。
なぜならその必要が無いからだ。
「いきなり攻撃するとは風情がなー」
「──」
「イッ?!」
【声無し】が行うのは、祈りを叶える為の行動のみ。
なんの影響も起こさない無駄口は叩かず、その行動と結果を持って信徒の祈りを叶える。
神の拳は音速を超え、誰もが観測できない速さの次元で敵を蹂躙する。
「ッツ、【ナパームヴォイド】起動!!」
ハイマの手に小さな結界が生成され、膨大な魔力注ぎ込まれる。
あと一秒もすれば、魔力の渦が出来上がり近づく事すら敵わなくなる。
あと二秒もすれば結界の崩壊と増殖が始まり、再び地獄を作り上げるだろう。
「─────────」
だが、【声無し】は0.001秒でハイマの右手を引きちぎれる。
魔力の供給が行われる前にハイマの右腕が飛び、鮮血が散る。
魔力不足に陥った結界は消滅し、【ナパームヴォイド】の発動は不発に終わる。
そして、時間にして10秒。
ハイマの体を跡形も残らない程に殴る神の猛攻が始まった。
「ククッ……ハハハ!!いいねぇギギラ・クレシア!!これは少々僕の想像を超えているとも」
とっくに死んでいてもおかしくない攻撃を受けながらハイマは笑う。
それは決して自暴自棄になった笑いではない。
心の底からギギラを賞賛し、この状況を楽しんでいる笑いだ。
そんな余裕をこんな状況で何故保てているのか?
その問いに対する答えは非常にシンプルだ。
「だけど、やっぱり【声無し】で僕の神に勝つのは不可能みたいだね」
神を降ろし、【ナパームヴォイド】を防いで体を蹂躙しようとも……今だにギギラの方が劣勢であるのだから。
「役割神託:不死鳥」
ハイマがまた例の呪文を唱える。
すると、彼女の体がまた万全の状態へと回復した。
「君の攻撃では僕の回復力に追いつけない。【声無し】は僕に対する有効打を持っていない」
ハイマは勝ち誇ったようにそう言うと、一旦距離を取る。
そしてもう一つ、ギギラと【声無し】を追い詰める一言を添えるのだった。
「僕も神の力を扱う物だから何となく分かるんだけどね。ギギラ・クレシア君、君の体が【声無し】様の力に耐えられるのは精々残り30秒程度だろう?」
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