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第21話 死刑囚 贋作ちゃん
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「私は『目無し』様を模倣してるからある程度の事は理解できるんだよ。君がちょっと前に、このコロシアムで暗殺者と戦っていたことも。その時この弓を使っていたことも」
「へぇ……どうでもいいけど君さ、いい度胸してるねぇ。ギギラの彼氏を模倣するなんてさ」
贋作と呼ばれた少女は意気揚々をしながら偽物の弓を引いた。
ギギラもバランも、あの弓から放たれる一撃がどれだけ大きいものかを理解している。
「いいじゃん別に。君も君の彼氏たちも今日死ぬんだからさ」
模倣された弓から空気の塊が一つの矢となって射出される。
ギギラは杖から砂の魔法を繰り出して瞬時に回避行動に移行する。
放たれた空気の矢の起動はギギラが散布した砂によって可視化される。
ギギラはそこから矢を避けながら贋作ちゃんとの距離を詰めるルートを見つけ、そして走った。
少し空気の矢が髪をかすったギリギリのタイミングでありながらも、結果として回避は成功。
贋作ちゃんの懐に入ったギギラは、彼女の顔面にめがけてバランを投げる。
「あぶな?!」
「俺の扱いがまたもや雑なのは良いとして、隙は作ったぞギギラ!!」
顔面に飛んできたバランをよける為に贋作ちゃんは体を無理やり動かした。
不意に作られたその不安定な視線は、ギギラにとって格好の的だった。
「彼氏No44、【嫉妬狂いの風穿弓ベイリル】」
ギギラはゲートを開いて本物の弓を取り出した。
その照準を贋作ちゃんの腹に定めて、ギギラは弓の弦を思いっきり引っ張った。
「勝手にギギラの大切な人を模倣したんだからさ……どんな殺されかたしても文句は言えないよ」
【嫉妬狂いの風穿弓ベイリル】
その武器の元となった人物、ベイリルはギギラにとって44人目の彼氏だ。
武器となった彼の能力は人間であった頃の性格を反映した単純明快で分かりやすい。
ベイリルが嫉妬、あるいはそれに準ずる悪感情を持った時、彼から放たれる風の矢の威力が倍増する。
「行こうよベイリル君。不届き者の命を狩りに」
勝手に自分の偽物を作られた挙句、その偽物の弓で守るべき彼女を攻撃した贋作ちゃんへの憎悪。
偽物とは言え、自分とほぼ同じ攻撃をバランの魔法によって難なく対処された事への嫉妬。
そして、贋作ちゃんへの殺意が愛するギギラとシンクロしているこの状況が生み出した愛憎交じりの名状しがたき感情。
それら全ての感情を抱え込んだ今、ベイリルから放たれる一撃は全てを穿つ必殺の矢と化した。
「死んで」
大気は轟音を鳴らし、結界で守られている観客たちの鼓膜さえも突き刺した。
贋作ちゃんの体は一瞬にして吹き飛ばされ、その数秒後に壁に叩きつけられる。
その瞬間、コロシアムが大きく揺れた。
まるで巨人の足で蹴られたかのような、それとも大地に住まう竜が暴れているかのような、そんな揺れがコロシアムを襲う。
その震源地は、贋作ちゃんと壁にぶつけられた箇所からだった。
「君のトラウマを刺激したら簡単に殺せると思ったんだけどなぁ」
「ッツ」
「ハァ?!あの攻撃を食らって生きてるのかよ!!」
その震源地から、贋作ちゃんはぬるりと姿を現した。
本来であれば人の形すら残らないであろう程の攻撃を受けて無傷。
ギギラは右手にバランを、左手にベイリルを持って贋作ちゃんを見据えた。
「まさか激高するとは思わなかった!!。君への対策をしていなかったら死んでたよ。危ない危ない」
「へぇ、わざわざギギラの事調べて対策してたんだ。ギギラの事大っ嫌いなくせに大変だったね」
「本当にね。でも、調べた甲斐もあってこういう芸当だって出来るよ」
贋作ちゃんはワームホールを作り、偽物の弓を返す。
「レプリカ彼氏No4、【悲哀懐古の殺人鉄拳グラーケ】」
代わりに取り出したのは、両手に巻き付く鉄のグローブだった。
「……は?」
そのグローブを見て、ギギラは唖然とした。
その余りの様子の変化に不安を覚えたバランは彼女に声をかける。
「どうしたんだよギギラ」
「何で、君がその武器を模倣出来るの」
「別に不思議な事でもないんじゃ無いのか?さっきだってー」
「不思議だよねぇ。だって君はこのコロシアムに来てから一度もこの武器を使っていないんだもの」
バランの声を遮る贋作ちゃんの声。
彼女はダン!!と地面を蹴り、偽物の鉄拳でギギラに猛攻撃を始める。
「暗殺拳:崩撃」
「バラン君、お願い」
「おうよ!足掻きの混沌魔弾!」
全種類の魔法が混ぜ込まれたバランの一撃。
それを贋作ちゃんの拳が一つ一つ捌いていく。
あらゆる攻撃を拳一つで対応し、わずかに生まれた相手の隙に必殺を叩き込む暗殺拳。
その動きを見てギギラは確信した。
贋作ちゃんが使っているのは間違いなく、4人目の彼氏である【悲哀懐古の殺人鉄拳グラーケ】の偽物であると。
「ここに来る前にどっかで会ったっけ?」
「いいや、今日が初対面だよ。そもそも私は君よりも先に捕まってたし会う事なかったんじゃないかな?」
ギギラは内心困惑しながらも、贋作ちゃんの攻撃を振り払う。
大振りの攻撃は弓で受け止め、隙があればバランの魔法で迎撃する。
「でも私は知ってる。君とこのグローブの元になった人間の馴れ初めも。だって『目無し』様の偽物だから!!」
「理由になって無くない?それに、君みたいな女は嘘つきばっかりだからね。嘘じゃ無いってんなら言ってごらんよ」
「グラーケは暗殺拳を編み出し、戦争で活躍した退役軍人。少し前まで自身の暗殺拳を後世に伝えるための道場を開いてたみたい!!自分の事を『先輩』と呼ばせるのが趣味。だけど平和になった世界で生きがいを無くしてしまってー」
「本人の前で得意げに人の彼氏の事話さないでくれる?むかつくんだけど」
ギギラは低い声で唸りながらもう一度弓を引く。
会場を震撼させる一撃がまた、贋作ちゃんを貫いた。
「ギギラお前さぁ……さっきのは理不尽だろ」
「分かってないなぁ。分かってないよバラン君は、女心を」
「お前のソレは絶対女心じゃない」
ギギラとバランがそんな言い合いをしているさなか、背後からゾワリと殺気だった視線を感じた。
「君は先輩の暗殺拳と相性悪いよ。主張が強すぎる」
ギギラは振り返って贋作ちゃんの不意打ちを受け止める。
あれだけの攻撃を食らっておきながら、彼女は未だに無傷だった。
「現状君を圧倒しているのは私の方だし、どっちでもいいよそんな事」
「そういう慢心も向いてない証拠だよねぇ。ギギラも先輩にはよく注意されたよ」
グラーケとの思い出を語りながらギギラはバランを振りかぶる。
しかしその瞬間、彼女は両手に持っていた武器をヌルっと落としてしまった。
「なっ?!おいギギラ!!」
「どうやら、運も尽きちゃったみたいだね」
通常両手で持つ大きな弓を片手で維持しながら杖と併用するなんて無茶な事をしていたのだ。
限界が来て武器を落としてしまったのだろう。
何はともあれ、これは最高のラッキーチャンスだ。
そう思った贋作ちゃんは大きく体を振りかぶった。
偽物の【悲哀懐古の殺人鉄拳グラーケ】で繰り出せる一番火力の高い一撃を繰り出すために。
「不意打ちってのはさ。こうやるんだよ」
「へ?」
しかし、そんな贋作ちゃんの頬にギギラの右拳がクリーンヒットする。
ギギラが武器を落としたのはブラフ。
贋作ちゃんがチャンスだと思っている間に拳を固めてすでに打ち出していたのだ。
「痛ったぁ」
「へぇ……ベイリル君の攻撃は効かないのに、素手での不意打ちは効くんだね」
ギギラは落とした武器を拾い上げながらニヤリと笑う。
今回は常に劣勢にててされていたけれど、その状況を逆転させる手立てを見つけたのだから。
「ギギラ、君の攻略法分かっちゃった」
「へぇ……どうでもいいけど君さ、いい度胸してるねぇ。ギギラの彼氏を模倣するなんてさ」
贋作と呼ばれた少女は意気揚々をしながら偽物の弓を引いた。
ギギラもバランも、あの弓から放たれる一撃がどれだけ大きいものかを理解している。
「いいじゃん別に。君も君の彼氏たちも今日死ぬんだからさ」
模倣された弓から空気の塊が一つの矢となって射出される。
ギギラは杖から砂の魔法を繰り出して瞬時に回避行動に移行する。
放たれた空気の矢の起動はギギラが散布した砂によって可視化される。
ギギラはそこから矢を避けながら贋作ちゃんとの距離を詰めるルートを見つけ、そして走った。
少し空気の矢が髪をかすったギリギリのタイミングでありながらも、結果として回避は成功。
贋作ちゃんの懐に入ったギギラは、彼女の顔面にめがけてバランを投げる。
「あぶな?!」
「俺の扱いがまたもや雑なのは良いとして、隙は作ったぞギギラ!!」
顔面に飛んできたバランをよける為に贋作ちゃんは体を無理やり動かした。
不意に作られたその不安定な視線は、ギギラにとって格好の的だった。
「彼氏No44、【嫉妬狂いの風穿弓ベイリル】」
ギギラはゲートを開いて本物の弓を取り出した。
その照準を贋作ちゃんの腹に定めて、ギギラは弓の弦を思いっきり引っ張った。
「勝手にギギラの大切な人を模倣したんだからさ……どんな殺されかたしても文句は言えないよ」
【嫉妬狂いの風穿弓ベイリル】
その武器の元となった人物、ベイリルはギギラにとって44人目の彼氏だ。
武器となった彼の能力は人間であった頃の性格を反映した単純明快で分かりやすい。
ベイリルが嫉妬、あるいはそれに準ずる悪感情を持った時、彼から放たれる風の矢の威力が倍増する。
「行こうよベイリル君。不届き者の命を狩りに」
勝手に自分の偽物を作られた挙句、その偽物の弓で守るべき彼女を攻撃した贋作ちゃんへの憎悪。
偽物とは言え、自分とほぼ同じ攻撃をバランの魔法によって難なく対処された事への嫉妬。
そして、贋作ちゃんへの殺意が愛するギギラとシンクロしているこの状況が生み出した愛憎交じりの名状しがたき感情。
それら全ての感情を抱え込んだ今、ベイリルから放たれる一撃は全てを穿つ必殺の矢と化した。
「死んで」
大気は轟音を鳴らし、結界で守られている観客たちの鼓膜さえも突き刺した。
贋作ちゃんの体は一瞬にして吹き飛ばされ、その数秒後に壁に叩きつけられる。
その瞬間、コロシアムが大きく揺れた。
まるで巨人の足で蹴られたかのような、それとも大地に住まう竜が暴れているかのような、そんな揺れがコロシアムを襲う。
その震源地は、贋作ちゃんと壁にぶつけられた箇所からだった。
「君のトラウマを刺激したら簡単に殺せると思ったんだけどなぁ」
「ッツ」
「ハァ?!あの攻撃を食らって生きてるのかよ!!」
その震源地から、贋作ちゃんはぬるりと姿を現した。
本来であれば人の形すら残らないであろう程の攻撃を受けて無傷。
ギギラは右手にバランを、左手にベイリルを持って贋作ちゃんを見据えた。
「まさか激高するとは思わなかった!!。君への対策をしていなかったら死んでたよ。危ない危ない」
「へぇ、わざわざギギラの事調べて対策してたんだ。ギギラの事大っ嫌いなくせに大変だったね」
「本当にね。でも、調べた甲斐もあってこういう芸当だって出来るよ」
贋作ちゃんはワームホールを作り、偽物の弓を返す。
「レプリカ彼氏No4、【悲哀懐古の殺人鉄拳グラーケ】」
代わりに取り出したのは、両手に巻き付く鉄のグローブだった。
「……は?」
そのグローブを見て、ギギラは唖然とした。
その余りの様子の変化に不安を覚えたバランは彼女に声をかける。
「どうしたんだよギギラ」
「何で、君がその武器を模倣出来るの」
「別に不思議な事でもないんじゃ無いのか?さっきだってー」
「不思議だよねぇ。だって君はこのコロシアムに来てから一度もこの武器を使っていないんだもの」
バランの声を遮る贋作ちゃんの声。
彼女はダン!!と地面を蹴り、偽物の鉄拳でギギラに猛攻撃を始める。
「暗殺拳:崩撃」
「バラン君、お願い」
「おうよ!足掻きの混沌魔弾!」
全種類の魔法が混ぜ込まれたバランの一撃。
それを贋作ちゃんの拳が一つ一つ捌いていく。
あらゆる攻撃を拳一つで対応し、わずかに生まれた相手の隙に必殺を叩き込む暗殺拳。
その動きを見てギギラは確信した。
贋作ちゃんが使っているのは間違いなく、4人目の彼氏である【悲哀懐古の殺人鉄拳グラーケ】の偽物であると。
「ここに来る前にどっかで会ったっけ?」
「いいや、今日が初対面だよ。そもそも私は君よりも先に捕まってたし会う事なかったんじゃないかな?」
ギギラは内心困惑しながらも、贋作ちゃんの攻撃を振り払う。
大振りの攻撃は弓で受け止め、隙があればバランの魔法で迎撃する。
「でも私は知ってる。君とこのグローブの元になった人間の馴れ初めも。だって『目無し』様の偽物だから!!」
「理由になって無くない?それに、君みたいな女は嘘つきばっかりだからね。嘘じゃ無いってんなら言ってごらんよ」
「グラーケは暗殺拳を編み出し、戦争で活躍した退役軍人。少し前まで自身の暗殺拳を後世に伝えるための道場を開いてたみたい!!自分の事を『先輩』と呼ばせるのが趣味。だけど平和になった世界で生きがいを無くしてしまってー」
「本人の前で得意げに人の彼氏の事話さないでくれる?むかつくんだけど」
ギギラは低い声で唸りながらもう一度弓を引く。
会場を震撼させる一撃がまた、贋作ちゃんを貫いた。
「ギギラお前さぁ……さっきのは理不尽だろ」
「分かってないなぁ。分かってないよバラン君は、女心を」
「お前のソレは絶対女心じゃない」
ギギラとバランがそんな言い合いをしているさなか、背後からゾワリと殺気だった視線を感じた。
「君は先輩の暗殺拳と相性悪いよ。主張が強すぎる」
ギギラは振り返って贋作ちゃんの不意打ちを受け止める。
あれだけの攻撃を食らっておきながら、彼女は未だに無傷だった。
「現状君を圧倒しているのは私の方だし、どっちでもいいよそんな事」
「そういう慢心も向いてない証拠だよねぇ。ギギラも先輩にはよく注意されたよ」
グラーケとの思い出を語りながらギギラはバランを振りかぶる。
しかしその瞬間、彼女は両手に持っていた武器をヌルっと落としてしまった。
「なっ?!おいギギラ!!」
「どうやら、運も尽きちゃったみたいだね」
通常両手で持つ大きな弓を片手で維持しながら杖と併用するなんて無茶な事をしていたのだ。
限界が来て武器を落としてしまったのだろう。
何はともあれ、これは最高のラッキーチャンスだ。
そう思った贋作ちゃんは大きく体を振りかぶった。
偽物の【悲哀懐古の殺人鉄拳グラーケ】で繰り出せる一番火力の高い一撃を繰り出すために。
「不意打ちってのはさ。こうやるんだよ」
「へ?」
しかし、そんな贋作ちゃんの頬にギギラの右拳がクリーンヒットする。
ギギラが武器を落としたのはブラフ。
贋作ちゃんがチャンスだと思っている間に拳を固めてすでに打ち出していたのだ。
「痛ったぁ」
「へぇ……ベイリル君の攻撃は効かないのに、素手での不意打ちは効くんだね」
ギギラは落とした武器を拾い上げながらニヤリと笑う。
今回は常に劣勢にててされていたけれど、その状況を逆転させる手立てを見つけたのだから。
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