【完】愛の名のもとに、我が身の半分を君に捧ぐ

唯月漣

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7)俺の半分を君に*

 猫の姿だった時、グリの布団に潜り込むのに躊躇いなんてなかった。けれども、今はそんな訳には行かない。

 恐る恐る布団を捲った俺は、サーヤに言われた通りグリの唇に己のそれをそっと重ねる。顎を掴んで軽くグリの唇を開かせた俺は、その狭間に舌を入れて唾液を流し入れた。
 初めて味わうグリの唇はとても柔らかくて、ふつふつと欲情の熱が俺の中に湧き上がった。


「アス、ラ…………?」
「グリっ……!」


 グリが目を開けたのが本当に本当に嬉しくて、俺は泣きながらグリの唇を貪った。


「んん、っ、待っ……アスラっ……んんんっ」


 状況を飲み込めず戸惑った様子のグリは、それでもこの姿の俺の事を猫のアスラだと分かっているふうだった。


「ごめん、グリ。時間がないんだ。詳しい事は後で必ず説明するから、今は黙って俺に抱かれてくれないか?」
「抱……えっ? ……えっ??」
「勿論グリが痛い思いをしないように、俺……頑張るから」
「ちょっ……」


 俺の言葉に朱を散らすように赤面したグリは、真剣な表情の俺と恥ずかしそうに目を合わせる。



「いや……か?」
「ううん。アスラに抱いてほしい。本当はずっと……そうされたかった」
「俺もずっとグリのこと、抱きしめたいって思ってた」
「抱きしめるだけ……?」
「勿論、その先も」


 俺は再びグリと唇を重ねた。まだ戸惑いの残る舌で俺のそれを迎えてくれるグリはとても愛らしくて、混じり合う唾液は甘い。
 うっとりと俺を見つめる碧い瞳は潤み、月光に照らされる水面のように儚く揺れていた。


「俺にはアスランの頃の記憶はないけど、グリを愛してしまった。そんな俺でも許してくれる? 駄目だって言われても、もう戻れない」
「私こそ、君が猫に転生したと気がついたとき、君をきちんと愛せるか不安になった。けど、アスラはアスラだ。私も君を愛してる。こんな私を許してくれる?」


 グリは悪戯にそう言って笑い、俺はそんなグリの瞼に笑いながらキスを落として、ゆっくりとグリの服に手をかけた。


 俺の手が絹のように滑らかなグリの胸元を滑る。あらわにされたそこは、薄紅色の実が二つ彩りを添えて、グリが喘ぐ度に魅力的に揺れて俺を誘った。
 舌の先で二つの果実を味わって、反り返る背骨を軋むほど抱きしめた。


「あ……ゃ、っ。アスラ……っ」
「可愛い、グリ……。大好きだよ」


 下腹部から色素の薄い茂みを通って、奥まった熱をやわりと掴む。涙目で羞恥の顔を隠すグリが愛らしくて、俺はそこをやわやわと愛でながら何度も顔に口付けする。
 激しく刺激した訳でもないのに、グリのそこはじわじわと俺の手の中で昂ってゆく。


「あ……だめっ。もう出……っ」


 グリにそう乞われて、俺はあっさりと手を離す。達する寸前で開放されたグリの熱が、震えていた。
 すぐになんて、イカせない。この手で二度と抱けないかもしれない、可愛いグリ。

 耐えるように眉を寄せるグリは、熱っぽい眼差しで俺に愛撫を乞う。体温を確かめるように何度も抱きしめられて、俺はグリの秘められていた愛を知る。


「アスラ……っ、会いたかった。猫の姿も凄く愛らしかったけれど、本当はずっとこうしてほしかった」
「俺だって、グリを抱きたかった。俺の手でこんなに可愛くなるグリを知らずに過ごしていたなんて」


 俺はそう言いながら、呪いの魔法陣が光る平らな腹部にキスを落とす。そのすぐ下にある熱を孕んだそれは、羞恥のせいか、はたまた期待のせいか、先端から玉のような涙を滲ませていた。


「あまり近くで見ないで」
「駄目。グリの恥ずかしがるところ、もっと見せて。俺だけに」
「あ、や……っ、アス……ラっ!?」


 俺は微笑んで、グリの分身をぱくんと口に含む。張り詰めた熱を舌で愛でるように舐めて、チュッと小さく音を立ててキスをした。


「ん……、ふ……っ」


 手の甲で塞がれたグリの口から、耐えるような甘い声が僅かに漏れ出る。俺は焦らすように側面に舌を這わせ、悪戯にグリの甘い声を引き出した。
 その声は耳に心地よくて、本当ならいつまででも聞いていたかった。


「グリ、中に触れてもいい?」


 俺がそう問うと、グリは恥ずかしそうにこくりと頷いて、ベッドの脇から潤滑剤の小瓶を取り出した。


「触れてほしい。アスラと、早く繋がりたい」


 欲情を纏う吐息でグリにそんなことを言われたら、優しく抱く自信なんて無くなってしまう。

 苦しげに俺の指を飲み込む蕾は、慣らすうちにゆるりと綻ぶ。潤滑剤の甘い香りが寝室に漂って、グリの香りと混ざって俺の鼻腔を擽った。それは初めて嗅ぐはずなのに何故か懐かしい。


「綻ぶのが早いね。グリ、何度か一人でしていたものね。もしかして、ここも……?」


 クスリと笑いながらそう問うと、グリは耳まで赤くなりながらも、困ったように苦笑して答える。


「少し、ね。ああすれば、君が前世を思い出してくれるかもと思ったんだけど……、ぁっ……ん」 
「あぁ、そういう意図だったのか。気持ちいいのは、ここ……?」


 いくら俺が猫でも、他者が居るところで自慰などグリらしくないとは思っていた。まさか俺に見せつけるためだったなんて。
 グリが甘い声を上げるそこに指で触れると、グリが恍惚の表情で俺の腕にしがみつく。


「そこ、ばっかり……っ。んんん、やぁ、っ……」
「思い出せなくてごめん。けど、グリを愛してる」
「あ……っ、あっ、んんっ、私も……っ、……ぁ!」


 抜き去った指の代わりに、質量のあるものをあてがう。小瓶の中のぬめりを帯びさせたそれで、俺はゆっくりとグリを貫いた。

 グリの表情は、泣いているのにとても嬉しそうで。

 彼を生かすための儀式。グリに無理をさせてはいけない。
 そう思っているのに、堪えきれずに腰が動く。
 深い所を何度も突いて、甘くとろけて、鳴かせて。


「これからも、ずっと一緒に……」
「うん。ずっと、一緒に」





 俺はグリの中に何度も精を注いで、グリのものも沢山受け止めて。
 俺達は朝日が昇るその瞬間まで、何度も何度も愛し合っていた。
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