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20)動物園にて。(エピローグ)
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「うわー! めっちゃ見えるー! すごーい!」
日曜の動物園は、子連れの家族やカップルなどでごった返していた。
遊眞と均は着くなり大歓声を上げて喜んでいる。
「oh! 均! あの木の上に寝ているのが、名物のStanding red pandaだよ!」
「えっ!? どこどこー?」
「ほら、あの右上のところ!」
均の誕生日祝いでやってきた動物園は、なぜだかちゃっかり遊眞までがついてきていた。
「次はチーター! その次はねー、ぞうさん! そんでねー、カンガルーも見たい!」
遊眞の肩車の上と言う名の特等席でニコニコの均は、園内マップを見ながら大はしゃぎしている。腑に落ちない所はあるが、主役がこれだけ喜んでいるのだから、まぁ良いやと思う。
大はしゃぎの均の隣で、悟はスケッチブックを片手にうろうろと右往左往している。人垣のせいで、なかなか動物が見えないらしい。そんな様子に気付いた遊眞は、
「んー、悟も肩車してあげようか? 均、交代ねー」
なんて言って均を地面に下ろし、今度は悟を肩車しようとしている。
『断固拒否』って態度で逃げまくる悟と軽く追いかけっこをしながら、三人はだいぶ離れた鳥類の檻の方まで行ってしまう。
「あはは。悟の年で肩車はそりゃー恥ずかしいし逃げるわなー」
俺は他人事のようにその様子を眺めていた。
はしゃぎ回る遊眞はまるででっかい子供のようで、さながら子供が三人居るみたいになっている。
俺は飲み物を片手に、将貴と並んで少し離れた所からのんびり歩いて三人を追いかけていた。
「あの」
不意に将貴が立ち止まる。
「前から聞きたかったんですけど。奏さんって、どうして僕なんかを好きになってくれたんですか? 俺は男で、小さくも可愛くもないのに」
唐突な質問に、俺は面食らう。
「んー……小さくて可愛いからタイプとは限らないでしょ。そりゃこの世界でそう言うやつがモテるのは、わからないでもないけどなー。俺は将貴みたいな子がタイプだったってだけだよ。気づいたら夢中だったっていうか。一目惚れ的な?」
俺は話しながら、若干の恥ずかしさを誤魔化すように片手で耳たぶを掻いた。
「そう言う将貴は? なんで俺の想いに応えてくれたの?」
「えっ、うーん……。なんでと言われても……」
今度は将貴が、恥ずかしそうに視線をそらし、パーカーの紐をくるくると指で巻きながら言った。
「奏さんに出会ったあの頃は、僕はずっと余裕がなくて。僕が頑張らなきゃいけないって思い込んでて、全部勝手に背負い込んで、誰にも頼れなくて……。すごく疲れていて、荒んでいた気がします」
真面目な将貴らしい考え方だ。俺は優しく将貴の髪を撫でた。
「そんな時に奏さんと出会って、甘えていいって言ってもらって、理由もなく優しくされることに戸惑って……。奏さんに会うと、なんか胸のあたりが温かくなって、けれどなんだかソワソワする感じで……。奏さんに今みたいに頭を撫でられると、ドキドキしてしまって……。僕は『気のせいだ』って必死に思い込もうとしていました。だけど……」
「だけど?」
「奏さんに好きだって言ってもらってからは、もう気持ちが誤魔化せなくなりました……。思い出すだけでドキドキしたり、あの……風邪を引いたときの事とか……何度も思い出しちゃって……」
そう言って、将貴が赤くなる。
ん? なんだっけ?
考えて、すぐに思い至った俺はニヤリとする。
「ああ、座薬? ……将貴のえっち」
「……っ」
そう将貴をからかうけれど、まぁ俺もあれは何回も思い出して自慰ネタにさせて頂いたので、人のことはあまり言えない。
「笑った顔を好きって言ってもらえた時も、凄く嬉しくて。けど、迷惑ばっかりかけてる自分が情けなくて、自信もなくて。そういう意味で奏さんに好きだって言ってもらえる日がくるなんて、思ってなくて……」
「あー、それは俺もかも。そもそも将貴のこと、ノンケだと思ってたし」
「奏一郎ー! 将貴ー! はーやーくー!!! 置いてくよー!」
そんな話をしていると、遊眞達が遠くから大声で僕達を呼ぶ。
「はいはい、今行きますよ」
そう返事をして、俺は将貴の手を握る。
「じゃあまぁ、せっかくめでたく両思いになった訳だし、末永くよろしくな?」
ニッと笑ってそう将貴に言うと、俺たちは三人のもとへ駆け出した。
日曜の動物園は、子連れの家族やカップルなどでごった返していた。
遊眞と均は着くなり大歓声を上げて喜んでいる。
「oh! 均! あの木の上に寝ているのが、名物のStanding red pandaだよ!」
「えっ!? どこどこー?」
「ほら、あの右上のところ!」
均の誕生日祝いでやってきた動物園は、なぜだかちゃっかり遊眞までがついてきていた。
「次はチーター! その次はねー、ぞうさん! そんでねー、カンガルーも見たい!」
遊眞の肩車の上と言う名の特等席でニコニコの均は、園内マップを見ながら大はしゃぎしている。腑に落ちない所はあるが、主役がこれだけ喜んでいるのだから、まぁ良いやと思う。
大はしゃぎの均の隣で、悟はスケッチブックを片手にうろうろと右往左往している。人垣のせいで、なかなか動物が見えないらしい。そんな様子に気付いた遊眞は、
「んー、悟も肩車してあげようか? 均、交代ねー」
なんて言って均を地面に下ろし、今度は悟を肩車しようとしている。
『断固拒否』って態度で逃げまくる悟と軽く追いかけっこをしながら、三人はだいぶ離れた鳥類の檻の方まで行ってしまう。
「あはは。悟の年で肩車はそりゃー恥ずかしいし逃げるわなー」
俺は他人事のようにその様子を眺めていた。
はしゃぎ回る遊眞はまるででっかい子供のようで、さながら子供が三人居るみたいになっている。
俺は飲み物を片手に、将貴と並んで少し離れた所からのんびり歩いて三人を追いかけていた。
「あの」
不意に将貴が立ち止まる。
「前から聞きたかったんですけど。奏さんって、どうして僕なんかを好きになってくれたんですか? 俺は男で、小さくも可愛くもないのに」
唐突な質問に、俺は面食らう。
「んー……小さくて可愛いからタイプとは限らないでしょ。そりゃこの世界でそう言うやつがモテるのは、わからないでもないけどなー。俺は将貴みたいな子がタイプだったってだけだよ。気づいたら夢中だったっていうか。一目惚れ的な?」
俺は話しながら、若干の恥ずかしさを誤魔化すように片手で耳たぶを掻いた。
「そう言う将貴は? なんで俺の想いに応えてくれたの?」
「えっ、うーん……。なんでと言われても……」
今度は将貴が、恥ずかしそうに視線をそらし、パーカーの紐をくるくると指で巻きながら言った。
「奏さんに出会ったあの頃は、僕はずっと余裕がなくて。僕が頑張らなきゃいけないって思い込んでて、全部勝手に背負い込んで、誰にも頼れなくて……。すごく疲れていて、荒んでいた気がします」
真面目な将貴らしい考え方だ。俺は優しく将貴の髪を撫でた。
「そんな時に奏さんと出会って、甘えていいって言ってもらって、理由もなく優しくされることに戸惑って……。奏さんに会うと、なんか胸のあたりが温かくなって、けれどなんだかソワソワする感じで……。奏さんに今みたいに頭を撫でられると、ドキドキしてしまって……。僕は『気のせいだ』って必死に思い込もうとしていました。だけど……」
「だけど?」
「奏さんに好きだって言ってもらってからは、もう気持ちが誤魔化せなくなりました……。思い出すだけでドキドキしたり、あの……風邪を引いたときの事とか……何度も思い出しちゃって……」
そう言って、将貴が赤くなる。
ん? なんだっけ?
考えて、すぐに思い至った俺はニヤリとする。
「ああ、座薬? ……将貴のえっち」
「……っ」
そう将貴をからかうけれど、まぁ俺もあれは何回も思い出して自慰ネタにさせて頂いたので、人のことはあまり言えない。
「笑った顔を好きって言ってもらえた時も、凄く嬉しくて。けど、迷惑ばっかりかけてる自分が情けなくて、自信もなくて。そういう意味で奏さんに好きだって言ってもらえる日がくるなんて、思ってなくて……」
「あー、それは俺もかも。そもそも将貴のこと、ノンケだと思ってたし」
「奏一郎ー! 将貴ー! はーやーくー!!! 置いてくよー!」
そんな話をしていると、遊眞達が遠くから大声で僕達を呼ぶ。
「はいはい、今行きますよ」
そう返事をして、俺は将貴の手を握る。
「じゃあまぁ、せっかくめでたく両思いになった訳だし、末永くよろしくな?」
ニッと笑ってそう将貴に言うと、俺たちは三人のもとへ駆け出した。
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