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2章 魔法使いのウィザード様

嗚呼、私のウィザードさま 「ウィザード様のプレゼント」

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翌朝

マリアが玄関を出て 伸びをして言う
「う~ん 良いお天気!ショッピングには持って来いね?」

マリアが微笑して思う
(理由に託けて リナに電話してみて良かった…)

マリアの脳裏に記憶が蘇る


マリアが携帯で電話をしていて言う
『…それじゃ 不調の原因は』

携帯からリナの声が聞こえる
『やっぱり ただ信じるって言ってても 辛かったみたい 精神的に参っちゃってて それで 体調不良になってるんだろうって 病院で診断を受けたの それで… 彼にとって 私が そんなに信頼出来ない相手なら もう 諦めるしかないかなって…』

マリアが思う
《ああ… 駄目よ…っ そうじゃないのっ 彼は リナの事 本気で…っ でも リナの調子が悪いからって それでなのに…っ!》

マリアが言う
『そ、それならさ!?リナ… 思い切って 言っちゃいなよ!それをっ!』

リナが疑問して言う
『え…?』

マリアが言う
『言葉で言わなきゃ 分からない事だってあるよっ!ちゃんと言って ちゃんと伝えて!…お願いっ!』

リナが呆気に取られて言う
『…うん 分かった 有難う マリア 私 勇気を出して 言ってみるわ?』

マリアがホッとする


マリアが苦笑して思う
(咄嗟に あんな風に言っちゃったけど 話をする切欠さえ得られれば きっと…?)

レイの声が聞こえる
「マリアー!」

マリアが驚いて言う
「え?ウィザード様!?」

レイがマリアの横に到着して言う
「こんにちは だなー!マリア!」

マリアが言う
「こ、こんにちは です ウィザード様 …ですが あの 私 これから…」

レイが言う
「分かってるって マリア!マリアはこれから 後輩の手伝いに行くんだろう!?だから 俺は マリアを そこへ送ってやるよ!それで?何処へ連れてったら 良いんだ?」

マリアが呆気に取られた後苦笑して言う
「あ… 有難う御座います えっと… 約束を破ってしまったのに 何だか申し訳ないですが…」

レイが言う
「え?約束?そんなの気にするなって マリア!短い時間でも 俺はいつでも マリアに会えるし!マリアは 忙しいし 優しいから 仕事や誰かに 頼りにされて 大変なんだろう?だったら 俺は それを手伝うだけだよ!」

マリアが呆気に取られて言う
「ウィザード様…」

レイが言う
「それで?時間は大丈夫なのか?マリアはいつも 時間に追われているからな?」

マリアが苦笑して言う
「はい 実は今日も 待ち合わせの1時に ギリギリの予定でしたが」

レイが言う
「それなら 俺が今すぐ 連れてってやるから!大丈夫だよ マリア!」

マリアが微笑して言う
「はい 有難う御座います ウィザード様!」


会社 前

マリアが立っていると 後輩1がバス停から走って来て言う
「マリアセンパーイ」

マリアが顔を向け微笑して言う
「はい こんにちは!」

後輩1が言う
「こんにちは!すみません マリア先輩!お願いしておいて 私の方が遅れちゃうなんてっ」

マリアが言う
「ううん 待ち合わせの5分前だもん 謝る事は全然無いよ?」

後輩1が困った様子で言う
「でも… 何だか申し訳ないです…」

マリアが言う
「ううんっ 本当に?それに 私も 普通に来てたら それこそ 遅刻だったと思うから」

後輩1が気付いて言う
「え?あ… それじゃ もしかして?」

マリアが苦笑する 後輩1が言う
「それじゃ それこそ すみませんでした!マリア先輩!折角の ”あの魔法使いの彼氏さん”との デートの予定を!」

マリアが衝撃を受け慌てて言う 
「だ、だからっ!彼氏さん じゃないったらっ!それに デ、デートだなんてっ そんな…」

後輩1が苦笑して言う
「冗談ですよ!マリア先輩!」

マリアが苦笑して言う
「もぅ …そんな事言うなら 私 帰っちゃうんだから!?」

後輩1が慌てて言う
「あ~ ごめんなさいっ マリア先輩!本当にっ!」

マリアが軽く笑ってから バスを見て言う
「ふふっ 冗談!あ、ほら マキリンストリートに行くバスが来たよ!急ごう?」

後輩1が笑って言う
「はい!」

マリアと後輩1がバスへ向かう


マキリンストリート

後輩1がプレゼントの入った袋を持っていて 喜んで言う
「本当に有難う御座いました!マリア先輩!これなら 私、明日 自信を持って 告白出来ますぅ!」

マリアが苦笑して言う
「う、うん… それは 良かったね?」

マリアが思う
(でも プレゼントが良いからって 告白が成功する しないって事には 繋がらないと思うけど… まぁ 自分が良いと思っている物が有るなら ちょっと勇気にはなるかな?)

マリアが言う
「それじゃ そろそろ…」

マリアが思う
(時間も 2時間で済んだから これなら 丁度…)

後輩1が言う
「あの マリア先輩?」

マリアが言う
「はい?」

後輩1が言う
「プレゼント選びと アドバイスも頂いたんで 私、何か マリア先輩に 御礼をしたんですが」

マリアが一瞬驚いてから苦笑して言う
「え?良いよ そんな…」

後輩1が言う
「駄目ですよぉっ こんなに ご協力を頂いて ただで帰しちゃうなんてしたらっ 神様に怒られちゃいます!」

マリアが思う
(か、神様にって…)

マリアが苦笑して言う
「そんな 大げさな…」

後輩1が言う
「大げさじゃないですよぉ 神様はちゃんと見ててくれてるんですっ だから… あっ そうだ!」

後輩1がケーキ屋を指差して言う
「ケーキでもおごります!それに ずっと歩き続けて 疲れましたよね!?ですから ちょっと お茶を飲んで行きましょうよ!マリア先輩!」

マリアが思う
(お茶かぁ… 時間的にも きっと ウィザード様が 一緒に飲みたいって言いそうだなぁ… 今日も送ってもらったし… でも…)

後輩1が言う
「ね!?そうしましょう!?マリア先輩っ!?お願いですぅ!ちゃんと私に お礼をさせて下さい~」

マリアが苦笑して言う
「…うん 分かった それじゃ」

マリアが思う
(ウィザード様は あんな風に 言ってくれたし…)

マリアが思い出す

レイが言う
『え?約束?そんなの気にするなって マリア!短い時間でも 俺はいつでも マリアに会えるし!マリアは 忙しいし 優しいから 仕事や誰かに 頼りにされて 大変なんだろう?だったら 俺は それを手伝うだけだよ!』

マリアが思う
(もちろん 私もいつか お礼をしなきゃだけど 今日は…)

後輩1が言う
「良かった!それじゃ このお店のケーキで良いですかぁ?それとも 別のお勧めのお店とか あったりしますかぁ?」

マリアが苦笑して言う
「ううんっ 大丈夫 特にお勧めって程の お店はないし… このお店のケーキも おいしそうだから 食べてみたいかな?」

後輩1が言う
「はいっ!それじゃ 早速入りましょう!」

マリアが言う
「うん そうしよう?」


ケーキ屋

後輩が言う
「ありゃ~ すごい 混んじゃってますね~」

マリアが客席を見て言う
「ホントだね… お店も小さいから 余計かなぁ?でも 混んでるって事は…」

後輩1が言う
「きっと それだけ 美味しい って事ですよねっ!?」

マリアが苦笑して言う
「うん そうかもね?」

後輩1が言う
「あ、それなら!」

マリアが疑問する 後輩1が言う
「マリア先輩の お家って 確か リンブルストリートですよね?」

マリアが言う
「うん そうだけど?」

後輩1が言う
「私の住んでいるマンション その先の ロンブルストリートなんです!一人暮らしなんで!良かったら 私の部屋で食べませんかぁ!?」

マリアが驚いて言う
「え?そんな 悪いよ…」

後輩1が言う
「悪くなんか無いですよぉ!私、会社に入るのに この町に引っ越してきて まだ 友達も会社の同じ新入社員の子しかいなくて でも皆 逆方向の ラップルストリートの方だから いつも私が行く方で …だから 部屋に来てくれる人が居なくて いつも寂しいんです!マリア先輩 是非 来て下さい~!」

マリアが困って言う
「う、う~ん そうなんだ?そう言う事なら…」

マリアが思う
(良いかな…?そう言う事なら 本当に ご迷惑ではないみたいだし… それに)

後輩1が言う
「やったぁ~!それじゃ マリア先輩は どれにしますかぁ!?あっ コレ何の果実だろう?苺?ちょっと違うかな?でも 綺麗だし 何だか 美味しそう!」

マリアが苦笑して思う
(あんなに 嬉しそうにしてくれるんじゃ 断れないわ…)

マリアが言う
「それは ラズベリーよ 甘酸っぱい感じで 私は好きだけど?」

後輩1が言う
「わぁっ そうなんだ!?甘酸っぱいって ちょっと 大人っぽい感じですね!?私 挑戦しちゃおうかなぁ~!?」

マリアが軽く笑う


マンション

後輩1がお茶の用意を持って来て言う
「マリア先輩は ずっとこの町に住んでるんですかぁ?大学もこの町だって言ってましたよね?」

マリアが言う
「うん… 家があるからね?お母さんが 隣町のウィザードさまに仕える事になった時 一度引っ越そうかって 話になったんだけど 結局…」

マリアがハッとして思う
(あ… つい…)

後輩1が言う
「ウィザードさまって…?あっ そうですよねっ?マリア先輩のお母さんは この前TVに出てた あの女性ですもんね!?あの村を守った魔法使いさん …あ、えっと ”ウィザードさん”と… 何か関係があるんですか?」

マリアが思う
(ウィザード ”さん” か… 灯魔台や結界の事なんか知らない 普通の子からしたら やっぱり そんな感じなのかな?魔法使い”さん” と大差ないような…)

マリアが苦笑して言う
「まぁ 身の回りのお世話を してるって感じかな?ウィザード様は 人と神様との間の人だから」

後輩1が言う
「人と神様との間…?」

マリアが思う
(しょうがないよね?知ってる人なら 知ってるけど 知らない人は 全く知らない世界だもん… それに)

マリアが気を取り直して言う
「ううんっ?気にしないで?まぁ そんな感じかな?魔法使いさんの上の もっと凄い人って感じ?」

後輩1が言う
「そうですよね~!何しろ あの洪水から 魔法で村を…!」

後輩1が紅茶を入れながら 会話に夢中になっていると マリアが後輩1の袖に 少し掛かった紅茶に気付いて言う
「あ、ちょっと ごめん」

後輩1が言う
「え?」

マリアがハンカチを出して 後輩1の袖に掛かった紅茶を吸い取らせて言う
「紅茶ってすぐ拭かないと 染みになっちゃうって お母さんが昔言ってたから…」

後輩1が呆気に取られる マリアが言う
「はい、これで… 大丈夫かな?」

後輩1が微笑して言う
「マリア先輩って… お母さんみたいですね!」

マリアが衝撃を受けて言う
「えっ!?いや… そんな 私なんて 全然 お母さんに及ばないし …結構 おっちょこちょいで 物とか 良く置き忘れちゃったりするし… 遅刻もするし 全然…」

後輩1が言う
「そんな事ないですっ!マリア先輩は 私の憧れの女性って感じで!あ、そうですよねっ!?TVで見た あの女性が マリア先輩の お母さんですもんね!?なんか分かります!あの大雨の中 村の人たちが 皆 怯えているのに そんな中で 凄い 落ち着いてて まるで… 聖母様みたいでしたぁっ!」

マリアが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?せ、聖母様っ!?」

マリアが思う
(あ… でも ちょっと分かるかも?あの時の映像だと 確かに… 村の人もレポーターの人も 皆 慌てていたのに そんな中… …って いけないっ!ここはそれでもっ!?)

マリアが苦笑して言う
「そ、そんな事ないよ?普通… かな?エミリィちゃんは 大げさなんだから?」

後輩1が言う
「えぇ~!?そんな事無いですよぉ ほんとに 素敵でしたぁ!」

マリアが苦笑して思う
(でも 他の子にも 自分のお母さんが 素敵だって言ってもらえるのは 嬉しい… それに すごいな… お母さん 私も 見習える… かなぁ?)

マリアが気を取り直して言う
「そ、それより ケーキ食べよう!?紅茶も 暖かい内に 頂いて良いかな?」

後輩1が言う
「あっ はいっ!そうでした!どうぞ どうぞ!え、え~とぉ~ …そ、粗茶ですが?」

マリアが呆気に取られた後笑い出す 後輩1が言う
「あぁっ もぅ 笑わないで下さいよぉ マリア先輩~ 私も ちょっと頑張ろうかなって 思ったんですぅ~っ」


夕方 自宅前

マリアが歩いて帰宅して来て思う
(あぁ… ちょっとのつもりが すっかり遅くなっちゃった… 久し振りに 大学とかお店とか 普通の話をしてたら なんだか 止まらなくなっちゃって… それに 彼女は何にでも 楽しそうに 喜んでくれるから… 何だかこっちまで嬉しくなっちゃって… あーいう子って 凄く可愛いかも… お部屋も可愛かったし…)

マリアが息を吐いて言う
「はぁ… でも」

マリアが苦笑して思う
(紅茶はやっぱり ウィザード様と飲む 紅茶の方が ずっと美味しかったな… それは 当たり前よね?だって 魔法の紅茶だもん …ケーキは美味しかったけど)

マリアが玄関の前で鍵を取り出して言う
「本当は もっと早く帰って… 一緒に 美味しい お茶を飲むつもりだったのに… それ所か」

マリアがドアを開けて思う
(折角の休日でも 会っていた時間は いつもより短かったな… ウィザード様… ごめんなさ…)

マリアが家に入ろうとしていた所に レイの声が聞こえる
「マリアー!」

マリアが一瞬驚いて振り返って言う
「え?ウィザード様!?」

レイがマリアの前に降り立って言う
「お帰り!マリア!良かった 間に合ったよ!」

マリアが言う
「あ… ウィザード様 今日はその… すみませんでした 折角」

レイが言う
「え?だから言っただろ?マリアが俺に 謝る事なんて 何も無いって!後輩の面倒を見てやる事も マリアにとっては 大切な事なんだろ!?だったら 俺は それに協力するよ!」

マリアが思う
(そう言ってもらえても 申し訳ないと思うのは… やっぱり 先に 今日はウィザード様と 午後は一緒に居ようって 言われていたから… でも)

マリアが苦笑して言う
「…有難う御座います」

マリアが思う
(ウィザード様が そう言ってくれるなら… 今はその言葉に甘えて 素直にお礼を言っておいた方が 良いかな?)

レイが言う
「礼には及ばないよ!それより …あのさ?今 ちょっと入って良いか?俺、マリアに 話があって… ここだと…」

マリアが思う
(あ… そうだった ウィザード様は 昨日 私に 話があるって… でも 明日にしようって それが…)

マリアが言う
「あ… はい どうぞ」

マリアが玄関を開ける レイが入ると マリアが思う
(時間は 確かに 遅くなっちゃたけど… 今なら…)

マリアが時計を見てから思う
(いつもより早い… って事は 話をする時間は いつもよりあるから… でも 流石に 上がってお茶なんかは 出来ない時間だし… それなら ここで?)

レイが言う
「あ、そうだ その前に」

マリアが疑問する レイがマリアに向いて言う
「これ 渡しとくな?」

マリアが疑問して言う
「え?」

レイがマリアの手に 小さなピンクの宝石にシルバーの飾りが付いたネックレスを置く マリアが驚いて言う
「え?こ、これ…!?」

レイが困り苦笑して言う
「あ… その… 本当は石なら何でも 良かったんだけど マリアは魔法使いとかじゃないから 飾りっぽい方が良いかなって?けど、そうなると 俺 どういうのにしたら良いのか 全然分からなくてさ?で、結局 そんなのに なっちゃったんだけど 気に入らなかったか?ゴメンな?」

マリアが慌てて言う
「い、いえっ!?そんなっ!と、とっても 可愛いと 思いますっ」

マリアが思う
(ウィザード様が 私の為に…っ!?)

レイが言う
「そっか?なら 良かった あ、それ お守りなんだ 魔力が込めてあるから 首に付けなくても 持っていて欲しい」

マリアが一瞬呆気に取られてから言う
「そ、そうなんですかっ!?お守り… 魔力が?」

マリアがネックレスを見る

レイが言う
「うん… それで選んで買った後になって ちょっと後悔したんだけど その宝石小さいし 何より 先に加工されてる宝石って脆いから 魔力を込めるのに すげぇ精神力が必要で… 前に ウィザードの状態で 燭魔台の灯魔作業をしたけど… あれ以上に キツかった…」

マリアが衝撃を受けて言う
「えっ!?あ、あの時もっ ウィザード様 かなり 疲れてらっしゃいましたよねっ!?だ、大丈夫ですか…?」

レイが苦笑して言う
「正直 疲れたから 渡すのは 明日にしようかと 思ったんだけど… 何しろ 一日掛りで仕上げたもんだから… こうなったら 意地でも今日中に届けてやろうって思ってさ?」

マリアが苦笑して思う
(男性のウィザード様が 私の為に… こんな可愛いネックレスを選んで それで お守りにする為にって 苦労して魔力を… それを 今日中にって)

マリアが微笑する レイが言う
「あ… それから… その 話も… 今日の方が 時間が取られるだろうから 良いかと思って?」

マリアが気を取り直して言う
「あ… そ、そうですね?」

マリアが緊張して思う
(そうだった… 話があるって きっと 大切な…)

レイが言う
「それじゃ その… やっぱ 俺 こういう話 苦手だから 一度だけ…」

マリアが言う
「は、はい…」

マリアが緊張して思う
(一度だけ… やっぱり… 話って そう言う事?だって… こんなプレゼントまで 用意してくれて… それに)

マリアがレイを見て思う
(ウィザード様 いつもと少し違う… このお守りを作るのに 疲れているって言うのも あるだろうけど… それを押してまで来て… それに時間を取って 伝えようって… 普段は言い馴れない事を… やっぱり それはっ!?)

レイがマリアを見て言う
「マリア 俺…」

マリアがレイを見て思う
(遂にっ!?)

マリアが息を飲む レイが言葉を発そうとすると インターフォンが鳴る

レイとマリアが驚き呆気に取られる

マリアが言う
「あ… は、はい?どちら様で?」

ドアの外で後輩1が言う
「あ、あのっ!マリア先輩ですか!?すみません!ご自宅にまで 来てしまいましてっ!」

マリアが驚いて言う
「えっ!?あ、あのっ!?」

マリアがレイを見て思う
(ど、どうしようっ!?)

レイが玄関のドアを見る


マリアが玄関を細く開け 外に出て言う
「ど、どうしたの!?何かっ!?」

後輩1が言う
「良かったっ!バス停から 5件ぐらい先だって聞いていたんで この辺りかな~?って 探してみたんです!そしたら 表札に『ノーチス』さんって書かれていたんで!ここかな~?って… でもっ ちょっと緊張しちゃいましたぁ 違うお宅だったらどうしようって!?マリア先輩の声が聞こえて 安心しましたぁ!良かったぁ~…」

マリアが苦笑して言う
「そ、そう… それで その…?」

マリアが意識を玄関の中へ向けて思う
(あぁ… 中には ウィザード様が居るのに… 今 大事なお話が… それに…)

マリアが手に握ったままのネックレスを気にする

後輩1が言う
「はいっ その…っ えっと まずは 今日は本当に 有難う御座いましたっ!お店の紹介だけじゃなくて 彼へのプレゼントを 一緒に選んでもらって… 私、嬉しかったですし 何より とっても楽しかったです!」

マリアが衝撃を受けて言う
「あっ う、うん… どう致しましてっ」

マリアが思う
(あぁ… 彼へのプレゼントの事なんて… 私は 買わなかったし…)

マリアがネックレスを握る

後輩1が言う
「それに 一緒に食べたケーキも とっても美味しかったです!私、たまに ケーキとか買って 部屋で食べるんですけど 今日はいつもと違って マリア先輩と一緒だったんで それに!一緒に飲んだ紅茶も いつもより とっても美味しかったです!」

マリアが衝撃を受け思う
(う…っ そ、それをっ 寄りによって 今… ここには ウィザード様がっ 本当は前から ウィザード様と その お茶をする 予定だったのに…っ)

後輩1が言う
「あの また 是非 私の部屋に来て下さいっ それで 今日みたいに また一緒にお茶を飲みながら マリア先輩の大学のお話とかっ お友達のお話とか… 楽しくお話したいですぅ あ、でも… もしかして 私だけが楽しんじゃいましたか?私とっても楽しくって マリア先輩に色々聞いちゃって ご迷惑でしたか?」

マリアが言う
「そ、そんな事無いよ?わ、私も… …楽しかったよ?」

マリアが思う
(あぁ…っ お茶を飲んで 楽しくおしゃべりして来たなんて…っ でも ここで否定なんて出来ないし …きっと 聞こえちゃってるよねっ!?)

マリアが苦笑して意識を背に向ける

後輩1が言う
「本当ですかぁ!?良かったぁ~ 私って いつも夢中になると 周りが見えなくなっちゃうんで!もしかして マリア先輩を何時間も ただ お茶だけで お話させちゃって 失礼だったかな~?って 心配になっちゃいまして!でも 私だけじゃなくて マリア先輩も楽しかったなら それなら良かったです!」

マリアが言う
「うん… それで えっと… その… お礼を言いに来てくれたの?」

マリアが思う
(もう… 言い訳の言葉も 思い付かないわ…)

後輩1が言う
「あっ!いえっ!違うんですっ これを…」

後輩1がハンカチをを出す マリアが言う
「あ… ハンカチ 私の…」

後輩1が言う
「はいっ マリア先輩が帰った後で 見つけて… 本当は お洗濯してから返そうとかと 思ったんですけど もしかして その 紅茶の染みにならない お洗濯方法とかあるのかな?って…もし 間違えて染みになっちゃったら 困ると思って 持って来ちゃいました!」

マリアが苦笑して言う
「こ、この為だけだけに?ほ、本当に 有難う…」

後輩1が言う
「あ、いえっ!それから マリア先輩に教えて頂いた スーパーにも これから行くんで その途中なんです!あ、マリア先輩ももしかして これから ス-パーへ行きますか!?もしそうなら 是非っ!」

マリアが言う
「あっ ご、ごめんっ 今日は 行かないかな?家にあるもので 済ませちゃうつもりだから…っ」

後輩1が言う
「そうなんですか!それじゃ また次の機会に ご一緒しましょう!マリア先輩!」

マリアが言う
「う、うん… そうだね?」

後輩1が言う
「今度はちゃんと レモンも用意しておきますんで!お茶も飲みに来て下さいね!?あ、それなら また ケーキも一緒に買いに 行かないとですよね!?あはっ」

マリアが言う
「う、うん…」

後輩1が言う
「それじゃ 私は これで!また明日!…あっ あさってですね!会社でお会いしましょう!それでは 失礼します!」

マリアが言う
「うん… 気を付けてね?」

後輩1が言う
「はい!有難う御座います!それでは… キャッ!?」

マリアがハッとして言う
「あっ!」

後輩1が躓いて転びそうになりながらも 苦笑して立ち去る マリアが苦笑してホッとしてから思う
(あぁ… どうしよう… 後輩の為とは言え 男の人へのプレゼント選びに付き合って… お茶を飲んで楽しくお話していた って事が… 私が…)

マリアがハンカチを見て思う
(うっかり 忘れ物をしちゃったせいで…)

マリアがハンカチと共に 持ったままのネックレスを意識して思う
(でも、こうなったら しっかり 謝るしかない… ごめんなさいって… ウィザード様との約束を 不意にして 私は…っ)

マリアが玄関を開け言う
「あのっ ウィザード様 ごめ…」

レイが言う
「ごめんっ!マリアっ!」

マリアが衝撃を受けて言う
「えっ!?」

レイが玄関を出て言う
「もう 時間が無い!話はまた明日っ!お疲れ様!お休み!マリア!」

レイが風に消える マリアが呆気に取られてから ハッとして時間を確認して言う
「あ… そっか… 食堂の…」

マリアが肩の力を抜き 思う
(それに… 怒っている様子も 無かったみたい…)

マリアがホッと息を吐いてから 手にあるハンカチとネックレスを見る


洗面所

マリアがハンカチの染みに洗剤を付け 軽く擦り洗いしてから 洗濯機へ入れる マリアがそのまま 洗面所の鏡の前で 首にあるネックレスを見て言う
「可愛い… それに」

マリアがネックレスの宝石を見る


マリアの部屋

マリアが取り外したネックレスの宝石を見て言う
「やっぱり 魔力が込められているんだ… 以前 見た 目に見える魔力… 強力な魔力が込められているから 私の目でも うっすらと魔力が見える… きっと これって あのウィザード様だから 出来る事なんじゃないかな?普通のウィザードじゃ 出来ないくらい 難しい事… みたいな?」

マリアが微笑していた状態から ハッとして言う
「あっ 私…」

マリアが思う
(そう言えば お礼を言ってない… お守りの為に 魔力を込めるだけじゃなくて… この ネックレスを買ってくれた それだけでも しっかり お礼を言わなきゃいけないのに…)

マリアが困って言う
「もう… 私ってば…」

マリアが息を吐いて思う
(私 今も きっと… ウィザード様に 甘え過ぎなんだろうな… 相変わらず あの人は ”マリアのウィザード様”だから…)

マリアが苦笑して言う
「でも もしかしたら もうすぐ…」

マリアがネックレスを見つめて思う
(それ以上に… なるのかな?だ、だって…?)

マリアが思い出す

レイが言う
『それじゃ その… やっぱ 俺 こういう話 苦手だから 一度だけ…』

レイがマリアを見て言う
『マリア 俺…』


マリアが思う
(あれは やっぱり… そう言う 話… よね?)

マリアがネックレスを見る マリアが思う
(それで もし そう… 言われたら?私… なんて答えたら?それは… もちろん…)

マリアが言う
「もちろん…?」

マリアが苦笑して言う
「で、でも もしかしたら 違うかもしれないし?あー!駄目!もう寝ちゃおう!こんなの 私らしくないから!だから…」

マリアがベッドに入って思う
(そうよ 明日もプロジェクト企画の為に 早く起きなきゃいけないんだからっ それで… また 明日も…)

マリアが眠りに付く

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