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2章 魔法使いのウィザード様

嗚呼、私のウィザードさま 「ウィザード様とデート」

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ライトストリート

レイとマリアが現れる レイが言う
「この通りで あってるだろ?」

マリアが言う
「はい そうです!…わぁ~」

マリアが周囲の飾り付けを見て思う
(やっぱり この時期は 昼間に見ても 飾りが素敵… それに)

マリアが言う
「久し振りに来たんですが ちょっと 雰囲気が 変わったみたいです」

レイが言う
「そうなのか?それじゃ 行く予定だった店が 無かったりしたら困るな?」

マリアが苦笑して言う
「いえ 大丈夫ですよ?特に 何処のお店に行きたいと 決めていた訳ではないので」

レイが言う
「ん?そうなのか?それじゃ 何を買うんだ?」

マリアが言う
「え?えっと…?」

マリアが思う
(ここで ハッキリ 貴方へのプレゼントです なんて 言っちゃうのも… どうかな?それより 少し歩きながら ウィザード様に それとなく 何か欲しい物でもないかって…?)

マリアが言う
「えっと… 特に何か とは決めていないので 少し歩いて お店を見てみませんか?」

レイが言う
「歩いて店を?そうか 分かった マリアがそうするって言うなら それで良いや 少し歩くか?」

マリアが言う
「はい」

レイとマリアが歩く

マリアが思う
(あれ?でも 今 ウィザード様 何となく…?気のせい?でも もしかして…?)

マリアが言う
「あの… ウィザード様は 何か物を買う時は どうするんですか?確か 初めて行く場所には 直接 飛べないのですよね?」

レイが言う
「うん そうだな だから この通りで 何か探そうと思ったら まずは 魔法で 一度 通り抜けて 見るよ」

マリアが驚いて言う
「え!?」

レイが言う
「それで 何処に何の店があるかが 分かるだろ?それから移動するな?けど その移動も 魔法でしちゃうぞ?歩くのは店内位だよ」

マリアが言う
「そうなんですか… 流石 と言いますか…」

マリアが思う
(通りで 魔法使いとかって 街中で見ないかも…?あら?でもそれって 風の魔法使いである ウィザード様だから 出来るんじゃ?)

マリアが言う
「でも 普通の魔法使いさんたちは そんな魔法は 出来ないんじゃないですか?」

レイが言う
「うん、そうだろうな?」

マリアが苦笑して言う
「それじゃ ウィザード様以外の魔法使いさんは やっぱり こうして歩いて探しているのでしょうね?」

レイが言う
「う~ん… そうかもしれないけど ウィザードも魔法使いも 体力と力は無いからさ?この通りを 全部歩けって言われたら 結構 大変だな?」

マリアが気付いて言う
「あ…」

マリアが思う
(そっか… そう言えば ウィザードも それになろうとしている 魔法使いも 朝とお昼のご飯は食べないんだから 体力や力は付かないのかも…?それじゃ あんまり 歩かせたりしたら 悪いかな…?)

レイが微笑して言う
「けど マリアと一緒に歩くなら 楽しいかもしれないな?」

マリアが一瞬呆気に取られた後微笑して思う
(確かに 1人で歩くんじゃなくて こうして2人で デートなら… えっ!?)

マリアがハッとして思う
(そ、そう言えばっ この状態ってっ!?)

マリアが視線を泳がせて思う
(うっかりしてた… プレゼントをどうしようって それしか考えていなかったから…っ そ、それに この時期なんて特にっ)

マリアが周囲を見る 周囲にはカップルが沢山居る

マリアが思う
(何処を見ても 男女のカップル… それはそうよね?それに きっと 私たちだって そう言う風に…っ)

マリアがちらっとレイを見る

レイが周囲を見て言う
「う~ん でも 歩きながら 何かを探すって言うのも 難しいな?マリア?」

マリアがハッとして言う
「は、はいっ!?」

レイがマリアを見て言う
「それなら マリアは 今 何か欲しい物は 無いのか?」

マリアが言う
「えっ!?」

マリアが思う
(それはっ …私が 聞く予定だったのに… 思わず他の事を考えちゃってて…)

マリアが言う
「え、えっと…」

レイが言う
「この辺りは 洋服の店ばっかりだな?マリアは服が欲しいのか?それとも…?」

レイが通りの先を見る マリアが思う
(あぁ… どうしよう?このタイミングで そうじゃなくて …なんて言えないかも?それに良く考えたら やっぱり 私が考えて選ぶべきなのかな?このネックレスだって ウィザード様が そうしてくれたものだし…)

マリアが視線を巡らせつつ気付いて思う
(ん?あれ?何だろう?…周りのカップルたちが 何んだか こっちを見てる?どうして?私たちだって 貴方たちと同じ 普通のカップルに…)

マリアが疑問すると 周囲の声が聞こえる
「本物?初めて見たっ」 「本物っぽいね?」 「…魔法使い?」

マリアがハッとして思う
(そ、そっか… そう言う事ねっ!?)

マリアがレイを見て思う
(そうだった…っ 普通のカップルなんかじゃなくて ウィザード様の姿は 何処からどう見ても 魔法使いだから!)

マリアが周囲を見る 周囲の人たちが レイとマリアを見てコソコソ言う
「魔法使わないかな?」「見て見たいね?」

マリアが思う
(そうなのよね?珍しいのよね…?私はすっかり 慣れちゃってたものだから 何も考えずに連れて来ちゃったけど…っ)

周囲の人たちが言う
「隣に居るのは…?」「彼女じゃない?」

マリアが衝撃を受ける 周囲の人たちが言う
「なら彼氏が魔法使い?」 「彼女は魔法使いじゃないのかな?」 「くすくす…」

マリアが表情を困らせて思う
(仕方が無いよね?魔法も 魔法使いも 珍しくて 魔法使いの彼氏や その彼女も 珍しいのよ… だから 人目を引いちゃって…)

レイが言う
「ん?どうかしたのか?マリア?」

マリアがハッとして思う
(あっ!そっかっ!それならっ!)

マリアが言う
「あの!ウィザード様はっ 普段は その… 魔法使いの格好をしてますが …普通の服とかは着ないんですか?もし…!?」

マリアが思う
(それこそ 普通の服を買って プレゼントすれば!…人目だって引かないで済むのだし た、たまには… そんな服装をすると言うのも 良いんじゃないかな?私たちも 衣装として 魔法使いの格好をする事だって あるのだから その逆って事でっ!?)

レイが言う
「ああ 普通の服は着ないぞ?だって 俺は魔法使いだからさ?”魔法使いの格好を” していないと いけないんだよ?」

マリアが言う
「え?魔法使いだから 魔法使いの…?」

マリアが思う
(いけないって?それは?どうして…?)

レイが言う
「ウィザードも魔法使いも 魔法を使える奴は 周囲にその事を分からせる為に そう言う格好をしていないと いけないんだ 法律で決まってる」

マリアが衝撃を受けて言う
「えっ!?法律でっ!?そんなっ …な、何でですか!?」

レイが言う
「だって 普通の奴と同じ格好で 魔法を使ったら 誰がその魔法を使ったか 分からないだろ?」

マリアが言う
「は、はい それは…」

マリアが思う
(確かに そうだろうけど…?)

レイが言う
「もちろん 魔法で人に危害を加える事は禁止されてるから 隠れて魔法を使うような事は しちゃいけないけど だから 格好で知らせるのと一緒に 杖も 他者に魔法を放つ時には 光るんだよ 魔法を誰かに 使ってるぞ~!ってな?」

マリアが言う
「そ… そうだったんですか… でも、確かに そうですよね?魔法は とても強い力ですし?それこそ 一歩間違えば…」

レイが言う
「うん それに もし本当に魔法で人を 傷付けるような事をすればさ?その魔法使いやウィザードは 一発で 死刑なんだぜ?」

マリアが衝撃を受けて言う
「し、死刑っ!?」

レイが言う
「そうそう!それこそ ちょっとした魔法でもな!だから あの清掃員の格好してた時は 結構 スリリングだったよ!だけど 俺は マリアの為なら 何時だってっ!」

マリアが慌てて言う
「そんな危険なスリルを 味合わないで下さいっ!」

――…

レイとマリアがストリートを歩いている

マリアが視線を落として思う
(あぁ… どうしよう?魔法使いは 魔法使いの格好を していなきゃいけないなんて 知らなかったし…)

道行くカップルたちがレイとマリアを見る

マリアが思う
(その格好のお陰で どうしても人目を引いちゃうのよね… だったらせめて 何処かのお店に 入ろうとも思うんだけど…)

マリアが店を見て思う
(やっぱり 難しいなぁ… それこそ お洋服の店なら 入りやすい所もあるんだけど 他って言うと…?う~ん 時計は… 付けなそうだし 携帯も… そもそも 機械が嫌いだって 言ってたし 使わないよね…?と、言うか そんなの買えないし… これは困っちゃったかも?)

レイが言う
「なぁ?マリア?そろそろ 通りの半分ぐらいまで 来たみたいだが 何か決まったか?」

マリアが衝撃を受けて思う
(いいえ まったく何も…)

レイが言う
「俺はよく分からないから ずっと 風の噂なんかを 聞いてたんだけど マリアは 特に 欲しいものが決まらないんならさ?皆が噂をしている店を 見に行くか?」

マリアが言う
「え?皆が噂を…?」

レイが言う
「ああ!色んな噂が聞こえてくるけど 良い店があるって 言ってるぞ?ここからだと もう少し先なんだけど その店を見に行くか?」

マリアが思う
(どうしよう?そのお店が どんなお店か?なんて聞くべきかな?…でも このままじゃ 何も始まらないし それなら?)

マリアが言う
「…そうですね?皆がそう言うのなら ちょっと 行ってみましょうか?何番ですか?」

レイが言う
「256だって だから ここからだと ちょっと遠いだろ?一度 魔法で行っちゃおうぜ?それで また 魔法で戻ってくれば良いだろ?」

マリアが微笑して言う
「はい、そうですね?それでは そうしましょう!」

レイが言う
「うん それじゃ 行くぞ?」

レイがマリアを包み 杖が光ると 2人が風に消える 通行人たちが驚く


ライトストリート256

レイとマリアが現れる レイが言う
「ここが256だな?」

マリアが見て言う
「はい 256番地の… わぁ こんなお店が…」

マリアが思う
(私が通ってた頃には 無かったお店だわ?)

マリアが言う
「新しい お店みたいです 私が この辺りで お買物していた頃には 無かったお店で」

レイが言う
「そうか 新しい店なのか それじゃ この店はどうなんだ?マリアも良いと思うのか?」

マリアがショーウィンドウを見て言う
「そうですね お店の概観も 展示されている物も… わぁ 可愛いっ!」

マリアが思う
(唯 可愛いだけじゃなくて 何所と無く上品と言うか 大人っぽいと言うか… 皆が噂をするのも無理は無い位 とっても素敵っ …だけど ここは 完全に女性のお洋服だけみたい それに もし店内に男性物があったとしても  そもそも お洋服は駄目なんだし…?)

マリアが言う
「だから やっぱり…」

レイが言う
「気に入ったんなら 入ったら良いんじゃないか?それが可愛いって言うなら 中に入ったら もっと色々あるんだろうからさ?それに 皆が 良いって言ってるし マリアなら 何を着ても似合うと思うぞ?」

マリアが言う
「え?あ… えっと…っ」

マリアが思う
(あぁ… どうしようかな?確かに 新しいお店だし このショーウィンドウにある お洋服も可愛いから 見てみたいけど…)

レイが言う
「悩む位なら 入って見た方が 早いだろ?ちょっと見て 嫌なら すぐに出れば良いよ!」

マリアが苦笑して言う
「は、はい… えっと そうですね?」

マリアが思う
(まぁ 良いよね…?何処にも入らないより 何か見た方が ウィザード様の反応も 確認出来るし… …何より)

マリアが周囲を見る 周囲で人々が言う
「急に出てきたっ!?」 「魔法使いじゃないっ!?」 「魔法で出てきたっ!?」 「本物だっ!」

マリアが溜息を吐いて思う
(この視線と声から 逃れたい…)

レイが言う
「じゃ 行くぞ?マリア?」

マリアが言う
「はい ウィザード様」

レイとマリアが店に入る


店内

マリアが店内を見て言う
「わぁ…」

マリアが思う
(お店の概観はもちろん 店内も とっても綺麗で… それで居て高級そう ここって ひょっとして 有名ブランドの お店だったりして?えっと…)

マリアが周囲を見ていると 店員が来て言う
「いらっしゃいませ シャネールへ ようこそ」

マリアが衝撃を受けて思う
(えっ!?シャネールって 今一番人気の 新しいブランドのっ!?)

マリアがハッとして思う
(そっか!?ウィザード様が 皆が噂しているって言ったのは こう言う事だわっ!人気ブランド店の新店が このライトストリートに出来たってっ!それは 皆 噂もする…っ)

レイが言う
「それで マリアはどんな服が欲しいんだ?」

マリアがハッとして言う
「えっ!?えっと…っ いえ… その…っ」

――…

店員が言う
「如何でしょうか?」

試着室からマリアが言う
「は、はい…」

マリアが試着室を開ける 店員が言う
「とってもお似合いですよ!お客様!」

マリアが苦笑して言う
「あ、有難う御座います…」

マリアが思う
(店員さんはもちろん ウィザード様にも勧められて 断れない雰囲気になっちゃって… それなら試着するまでならって事で こうなってしまったけど…)

レイが言う
「うん!良い感じだな!凄く似合ってるよ マリア!」

マリアが微笑して言う
「そう言って頂けるだけで 嬉しいです」

マリアが苦笑して思う
(あぁ… 本当に こんな服が買えたら… でも とてもじゃないけど こんな高級ブランドのお洋服を 増してフルコーディネイトで買うなんて事は出来ないし?そもそも 今日のお買い物は…)

レイが店員へ向いて言う
「じゃ これ全部で いくらだ?」

マリアが衝撃を受ける 店員が言う
「はい、ありがとうございます それでは只今」

マリアが慌てて言う
「あ、いえっ!」

マリアが思う
(そんなっ お金なんて無いからっ!それこそ このコート1着だってっ!?)

マリアがコートの値段を見て衝撃を受けて思う
(きゃぁあ!無理無理っ!絶対無理!しかも これを ”全部で” だなんてっ!)

店員が精算所へ向かう マリアが慌てて思う
(あっ!行っちゃう!?どうしようっ!? …と、とりあえず!すぐに脱いで 急いで 止めないとっ!)

マリアが更衣室を閉める


マリアが更衣室を開けて言う
「あ、あのっ!」

店員が言う
「ご試着 お疲れ様で御座いました ただいま お品物をお包み致しますので 少々お待ち下さい」

マリアが言う
「いえっ その 清算なんですけどっ」

店員が言う
「はい、只今お連れの方が」

マリアが驚いて言う
「えっ!?」

マリアが視線を向けると 視線の先で別の店員がレイに言う
「お会計は締めて184万6千…」

マリアが衝撃を受けて 慌てて言う
「あ、あのっ!」

店員が微笑して言う
「本日お求め頂きました お洋服にも そちらの ピンクダイヤのネックレスは とてもお似合いでした どうぞこれからも当店を…」

マリアが衝撃を受けて思う
(ピンクダイヤっ!?そ、そうだったんだ!?このネックレス…っ!)

レイが言う
「後は一度 この店は出て 他の店に行っても良いし どうするんだ?マリア?」

マリアが言う
「あ、あの… 本当に 私… 買って頂くつもりじゃ…」

マリアが思う
(むしろ 私が…)

レイが言う
「え?別に良じゃないか?欲しいなら買ったら良いよ 丁度 2億のローンも この前終わって 今はのんびり 次は2,3億くらい貯めておこうかと 始めている所だからさ?数百万位なら 全然 構わないぞ?」

マリアが衝撃を受けて思う
(うっ… そうだった ウィザード様は 実は お金に困らない人なんだった… 見た目はそんな お金持ちになんか 見えないんだけど…)

マリアがレイの杖を見て思う
(一見そんな風には見えない あの杖だって1億だし… って?あっ!?もしかして!?)

マリアが店員を見る 店員が微笑して言う
「素敵な恋人様ですね?噂にだけ伺っておりました 魔法使い様を お見かけしたのは 初めてです」

マリアが衝撃を受け 苦笑して思う
(そっか… 高級ブランド店の店員さんともなれば 一目でピンクダイヤを見抜き… 一目で 1億の杖を持つ 魔法使い様も 見抜くのね…)

マリアが苦笑して言う
「ど、どうも…」

レイとマリアが店を出て行く 店員たちが見送りをして言う
「有難う御座いました またのお越しを」


レイとマリアが店を出て歩く レイが言う
「マリア?それで どうするんだ?さっきの 通りの真ん中辺りまで 戻るのか?」

マリアが苦笑して言う
「えっと…」

マリアが思う
(あぁ… どうしよう?…駄目だ 知らなかったとは言え ピンクダイヤのネックレスに続いて 185万円近い お洋服を買って貰っちゃった所に… その10分の1も持ち合わせのない 私じゃ… 何も… そのウィザード様へのプレゼントなんて…)

マリアがネックレスを見て思う
(確かに とってもキラキラしてると思ってたけど… それは 込められている 魔力の影響だと思ってた… でも よくよく見てみれば… ダイヤモンド… しかも ピンクの…)

マリアが苦笑溜息を吐く レイが言う
「なぁ?マリア?」

マリアが気付いて言う
「あ… はい、すみませんっ えっとぉ… それじゃ…」

レイが言う
「さっきの場所へ 魔法で戻るにしても このまま 歩いて戻るのでも 良いんだけどさ?その… …お茶の時間には ちょっと早いけど 一応買い物もしたし… 少し休まないか?」

マリアが疑問して言う
「え?」

レイが苦笑する マリアが気付いて思う
(そうだった 魔法使いやウィザードは…)

マリアが微笑して言う
「そうですね?お買物も 済ませた所ですし お店に入って ちょっと休憩しましょう」

レイが言う
「ごめんな マリア?」

マリアが微笑して言う
「いいえ こちらこそ 私に付き合わせて 一杯歩かせてしまって」

マリアが思う
(ウィザード様は 疲れちゃったのね?しょうがないよね?元々男の人を 女の子のお買物に付き合わせるのは 疲れさせちゃうものだって言うし)

マリアが周囲を見て言う
「それでは すぐそこに 3件隣にケーキ屋さんがあって そのお店は店内で休めるので …お茶もありますから」

レイが言う
「うん それじゃ その店へ行こう」

レイが歩き出しマリアが続きながら思う
(あ… でも 荷物もあるし やっぱり 家へ帰った方が良いかな?ウィザード様の魔法なら 電車やバスで40分以上掛かる このライトストリートからだって 一瞬だし…)

レイが言う
「そう言えば マリアは ケーキが好きなのか?この前 そんな話をしてたよな?俺たちは お茶しか飲まないけど 茶菓子って言葉があるくらいだから 普通は 何かを 一緒に食べるものなのか?それがケーキか?」

マリアが反応し軽く笑って言う
「そうですね?私たちは 通常 お茶と言えば 何かを一緒に食べますね …ケーキだったり 他のちょっとした お菓子だったり」

レイが微笑して言う
「そうなのか それなら マリアはそうしたら良いよ 俺はマリアと一緒に お茶が飲めれば それで良いんだからさ?」

マリアが思う
(そうなんだ…?てっきり 一緒に居ながら 私だけ食べたりなんかしたら 悪いかと思ったけど…?)

マリアが言う
「でも、食事制限の修行をされている目の前で 食事… と言いますか 他の人が何か食べているのを見るのは 辛くはないですか?」

レイが言う
「ん?辛くなんて無いぞ?マリアは ”食事制限の修行”って言うけどさ?俺は別に 食べたいと思わないから 食べないだけだし」

マリアが思う
(え?そうなの?…それじゃ)

マリアが言う
「そうなんですか?では 苦行の1つでは ないんですか?」

レイが苦笑して言う
「苦行なんかじゃないよ 大体 自分が苦しい状態じゃ 自然の力を取り入れる余裕なんて無いだろ?あいつらは繊細だから こっちが 何でも受け入れてやるくらいの 余裕がないと 感じられないんだよ」

マリアが思う
(何でも受け入れるくらいの?…言われて見れば そんな感じ ウィザード様も… あの”お母さんのウィザード様”も 2人共 そんな感じがする)

レイが立ち止まり 店を見て言う
「ここか?マリア?」

マリアが気を取り直して言う
「はい そうです では…」

マリアが思う
(そっか… だから 2人と接する時って 何となく…)

マリアが微笑する 後輩1の声がする
「マリア先輩?」

マリアが一瞬驚き声の方へ顔を向け 驚いて言う
「え?あっ ど、どうしてっ!?」

後輩1が言う
「やっぱりっ!」

マリアが驚いたまま居ると 後輩1が駆け寄って来て言う
「すごーいっ!偶然ですぅ!マリア先輩っ!」

マリアが驚いて言う
「ど、どうして!?今日は… エミリィちゃんは お休みじゃないよね!?」

マリアが思う
(だってっ つい先日2日間も 続けてお休みを…っ!?)

後輩1が言う
「はいっ 今日は 臨時で休暇を 頂いちゃいましたぁ!」

マリアが言う
「臨時って…っ」

マリアが思う
(そんな 本当に?だって…っ 今日は 絶対休暇禁止の月曜日…っ!?しかも お昼に見たTVニュースで ミッシェルリンク社の事が 取り立たされていて…っ きっと 今頃っ!?)

マリアが不審そうに言う
「…課長は 良いって…?」

後輩1が言う
「実は!昨夜!急に彼が お休みを取れたって言うもので!約束していた デートに行かないかって 連絡をくれたんです!それで!」

マリアが心配して言う
「でも…っ」

マリアが思う
(もちろん会社へは 連絡してあるんだよね?それに 課長は 必要なら連絡をしてくれる人だし… なら 大丈夫って事かな…?)

後輩1が言う
「もしかして?マリア先輩たちも デートですかぁ!?」

マリアが一瞬呆気に取られて言う
「え?…あっ!」

マリアがレイを見てから 後輩1を見る

後輩1の横にフランツが来て言う
「彼女が マリア先輩?君が良く話している?」

マリアがフランツを見る 後輩1が言う
「あ、マリア先輩 紹介します!私の彼… フランツ・ハービットです!」

フランツが微笑して言う
「初めまして マリアさん」

マリアが慌てて言う
「は、初めましてっ マリア・ノーチスです」

フランツが言う
「お話は良く伺ってます 後輩の彼女の面倒を よく見て下さる 素敵な先輩であると」

マリアが言う
「いえ… そんな… 同じ部署の先輩として 仕事を教えているだけで」

フランツが微笑して言う
「それだけに留まらず 彼女の我が侭に付き合って 仕事以外の 買物にアドバイスを下さったり この町の事を知らない彼女に 店の案内などもして下さったそうで?」

マリアが苦笑して言う
「はい… でも そんな 大した事では」

フランツが言う
「とても 良い先輩だと 私も 今 お会いして お話通り 素敵な女性だと 感じました」

マリアが呆気に取られ慌てて言う
「えっ!?いえっ そんな…っ」

マリアが困って思う
(褒めてもらってる って言うのは 分かるけど… でも 恋人の彼女の前で そこまで他の女性を 褒めるものなの…?なんだか 悪いみたいだけど…?)

マリアが後輩1を見る 後輩1が言う
「そうでしょぉ!?マリア先輩は ホントに 素敵な先輩なのぉ!仕事も凄い出来る人で!細かい事にも 良く気が付いてくれて!」

マリアが苦笑して思う
(あぁ… あんな風に 普段も話してるのかな…?だから 余計… その話を聞いていた彼が…)

フランツが言う
「ちなみに、そちらの彼は…?」

マリアがハッとしてレイを見る レイがマリアを見る フランツが言う
「そんなマリアさんの …恋人でしょうか?」

マリアが衝撃を受けて言う
「えっ!?」

フランツが言う
「見た所… 魔法使いか何かの様な お姿ですが 本当に?」

マリアが言う
「あ、はい…っ」

後輩1が言う
「フランツ!彼は 本物の 魔法使いさんなのよっ!私 初めて見た時 ビックリしちゃったぁ!マリア先輩と一緒に 目の前から パッて 消えちゃってぇ!」

フランツが言う
「それは凄いですね 私も 初めて目にしました」

マリアが言う
「そ… そうですね 余り 見掛けないですからね」

フランツがマリアへ言う
「それで 彼の お名前は?」

マリアが呆気に取られて言う
「えっ!?あ…っ」

マリアが思う
(名前…っ そうよね!?こう言う時は お互い紹介し合うって言うのが… でも 私は…っ)

マリアが困ると レイが言う
「魔法使いの名前は お前たちには 教えられないんだよ」

フランツが言う
「え?」

マリアが一瞬驚いた後 ハッとして言う
「そうなんですっ すみませんが そう言う… …決まりなのでっ」

マリアが思う
(ウィザードだけじゃなくて それになろうと言う 魔法使いもそうなのね?知らなかった… でも、そうよね?そうじゃないと)

フランツが言う
「では こちらこそ 失礼しました マリアさん」

マリアが慌てて言う
「い、いえっ!」

フランツが微笑して言う
「それで、本日は お2人で デートの途中ですか?」

マリアが衝撃を受け言う
「いえ… その… 私が お買物に誘っただけで」

フランツが疑問して言う
「お買物に…?こういった場所で 恋人と2人で お買物をしながら 過ごすと言うのなら?」

マリアが困って言う
「えっと… その…」

マリアが思う
(あぁ… どうしよう?恋人じゃないけど 異性の友人と こういう所に お買物に来るって言うのも デートって言うの?…でも)

後輩1が言う
「マリア先輩と 魔法使いさんは 恋人ではなくて~ ”お友達”!なんですよねぇ?マリア先輩?」

マリアが衝撃を受け困って言う
「えっ!?あ… う…」

マリアが思う
(でも?ど、どうなんだろう!?私はそう思っては居ても ウィザード様は 私に高価なネックレスや お洋服を買ってくれて… それに毎日会って 私の為にって色々… そ、それから ”大好きだよ”って言ってくれた… それなのに 私がここで 恋人って言葉を 否定してしまったら…っ?…だけど やっぱり)

マリアが苦笑して言う
「”お友達” …ですから」

マリアが思う
(…しょうがないよね?だって 私 ハッキリと そう… 告白 されてないし…)

マリアがレイを見る レイが微笑する

マリアが思う
(だ、大丈夫… だったみたい?)

マリアがホッとする フランツが言う
「お友達でしたか… そうですよね?分かります」

マリアが疑問して思う
(え?分かるって?)

フランツが言う
「では 立ち話もなんですから 宜しかったら 店にでも入って お話をしませんか?」

マリアが驚いて言う
「えっ!?いえっ!?そんな…っ」

後輩1が呆気に取られる マリアが苦笑して言う
「…そちらこそ?デートの途中ですよね?折角の時間を お邪魔しては 失礼ですから」

後輩1が微笑して フランツを見る フランツがマリアへ微笑して言う
「いえ、どうぞ お気になさらずに 是非」

後輩1とマリアが呆気に取られて言う
「「え…っ?」」

後輩1とマリアが思わず顔を見合わせる

フランツが言う
「今日は朝からずっと2人で話をしていて そろそろ 一息入れようと思っていた所です 気分転換にもなりますので?それに 彼女も マリアさんを交えて お話している時の方が 私と2人きりの時より 気が安らいでいる様です やはり まだ緊張しているのでしょう …ですので どうか こちらこそ お願いを致します」

マリアが後輩1を見てから思う
(えっと?そうなのかな…?そんなに緊張しているようには見えないけど?でも、確かに 慣れない2人きりでは 気まずくなっちゃうっていうのも 分からなくは無いし… どうしよう?…あ、それより むしろ ウィザード様は?人が多いのは…?)

マリアがレイを見る レイが言う
「俺は マリアが良いなら それで良いぞ?」

マリアが思う
(こういう時も… やっぱり そうなのね?)

マリアが苦笑する フランツが後輩1へ向いて言う
「君も その方が良いだろう?」

後輩1が慌てて言う
「え?あ… う、うんっ!私もっ!フランツと同じよっ?」

マリアが苦笑して思う
(あ… でも きっと 彼女は本当は…)

フランツが言う
「では そう言う事で?お店は こちらで宜しいですか?少し戻った場所に もう少々 上品なお店が有りましたが?そちらへ参りましょうか?マリアさん?」

マリアが一瞬呆気に取られて思う
(少しセンターへ戻った所に… って言うと…?あっ!ひょっとして!?あの高級スウィーツの お店っ!?)

マリアが微笑して言う
「い、いえ… こちらで良いと思います …近くですし?」

フランツが微笑して言う
「そうですか では こちらへ入りましょう …さ、どうぞ?」

フランツがドアを開けてマリアへ向く マリアが呆気に取られつつ言う
「え?あ… 有難う御座います…」

マリアが入ると フランツが後輩1を見る 後輩1がフランツの視線に微笑を返してからマリアへ続く レイがフランツを見る フランツが笑む レイが疑問してから店に入る
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