漫画の様にスラスラ読める小説をめざしたらネームになった物語の1つ。アナザーゲートキーパーズ

NN

文字の大きさ
17 / 32
2章

アナザーゲートキーパーズ 『ヴァンパイア捜索』

しおりを挟む

取調室

AJが女性を前にぎこちない取調べをしている AJが言う
「え、え~と… それじゃ…?ア、アルフレット… 君は… 昨日いきなり居なくなった… と?」
女性が失意の中何とか言葉を搾り出す
「昨日ではなく… アルが居なくなったのは その3日前で… 昨日はそれで 警察へ捜索願を…」
AJがハッとして資料を見て言う
「え?…あっ!?ホ、ホントだっ … えーと… じゃ、じゃぁ 次は… ”失踪前日やそれ以前に不審な行動及び… 不振人物との接触は?”…って 奴なんッスけど…?」
女性が言う
「失踪の前日は…」
ミラーガラスの向こう側で ユウヤが見詰めている 横に居る警官が言う
「何であの新米巡査に事情聴取をさせているんだよ?お前がやれば良いだろ?万年巡査のユウヤ巡査?」
ユウヤが言う
「彼女の息子であるアルフレット君は 俺が… 自分が命を奪ったんです その自分が事情聴取を… 彼女の前へ行くと言うのは良くないと思いまして」
警官が呆れて言う
「はぁ~?相変わらず お優しいこった?」
AJが慣れない様子で資料に書き込みながら 表情を困らせて言う
「じゃ、じゃぁ 特に… これと言った 変な… いや、不振な行動は なし…で、不振人物の方も なし …に丸 …で えーと…」
AJの近くの小窓が開きメモが入れられる AJが気付きメモを見て小窓を見る ユウヤが小声で言う
「もっと 簡単な言葉で…っ!どんな小さな事でも良いから 教えて欲しいって伝えてくれっ!」
閉まりかけた小窓にAJが慌てて小声で言う
「ま、待って下さいっ ユウヤ先輩っ!俺やっぱ無理ッスよ!取調べなんて ガッコーでも実技じゃ あんまやらなかったしっ!」
ユウヤが小声で言う
「取調べじゃなくて事情聴取だから大丈夫だ いつもの様にAJ流でやったら良いから!その方が彼女の気も きっと紛れるっ」
AJが慌てて言う
「えっ!?AJ流って…っ?あっ!待って ユウヤ先輩っ!?ユウヤ先輩…っ!?」
小窓が閉まる AJが表情を困らせて言う
「そ、そんな無茶振りを…っ!?」
AJが困りつつも席に戻り 軽く咳払いをしてから女性へ言う
「あ、あの…さ?もっと 何か?ちょっとした事でも良いッスから!?何か… ほら?無かったッスかね?例えば~… 調子悪ぃの~?とか?寝不足かしら~?みたいな~?」
女性が咽びつつ言う
「…っ そうですね… 失踪以前は寝不足だったのか… 顔色が悪くて …食事もちゃんと食べないし あの様子では きっと寝不足で あったと思います…」
AJが飛びついて言う
「あっ!?やっぱっ!?寝不足だった!寝不足!それ重要!!…ッスよね!?」
AJがミラーガラスへ向く ミラーガラスの先でユウヤが考えながら思う
(寝不足だった… いや、それよりも重要なのは)
警官が言う
「そりゃ 食事もちゃんと食って無いって事は 睡眠だって不十分になるだろうよ?…ったく つまりだ、重要なのは そこじゃなくて…」
ユウヤが思う
(そうだ 重要なのは…っ)
警官が言う
「何でそれらの現象が起きていたのかって事だ!つまりそれは何らかのトラブル等に巻き込まれていて精神的に追い込まれていたと言う可能性に繋がるんだろう?ったぁ~?全然駄目じゃねぇか?あの新米はっ!?」
警官がユウヤを見る ユウヤが顔を上げて言う
「違う 重要なのは“食事が食べられなかった”と言う事だっ」
警官が疑問して言う
「はぁ?…おいっ お前 先輩の俺の言葉を聞いてなかったのか?」
ユウヤが言う
「彼はヴァンパイアになっていた だから食事の味を失い始めて… そして何よりも 食事による 空腹を満たすと言う満足感を得られなくなり 睡眠不足へも繋がっていたんだ」
警官が呆気に取られる ユウヤが思う
(もちろんそこには 自身の体の変化へ対する 精神的不安もあっただろう しかし)
ユウヤが言う
「そして彼は失踪した …恐らくそれは」
ユウヤが思う
(自身に芽生えた 吸血衝動に怯えて…?それとも…?)
ユウヤが銃ホルダーへ向けた手で握ろうとするが ハッとする 銃ホルダーには お守りの試験管が無い ユウヤが思う
(ヴィン… もしかして貴方は いつかこうなる事を見越して?俺に あのお守りを必ず持っているようにと?…そう言っていたのか?…だとしたら!?)
ユウヤが視線を強める 警官が呆気に取られて言う
「お、おい…?」
部屋の扉がノックと共に開かれ 入室したユーノスがユウヤを探す 警官がハッとして言う
「ユーノス警視っ!」
ユウヤが考えていた状態から気付きユーノスへ向く 同時に ユーノスがユウヤを見つけて言う
「ユウヤ巡査 ちょっと来てくれ」
ユウヤが言う
「はいっ」
ユウヤが出て行く 警官が言う
「あっ お、おい…っ!?」
警官がユウヤと取調室を交互に見て困る 取調室でAJが困りながら言う
「…て、で~?ここからは~?えっと… ど、どうしたら良いッスか!?ユウヤ先輩!?」
AJがミラーガラスへ向く 警官がAJへ向いて言う
「居ねぇーよ馬鹿っ!つーか呼ぶんじゃねぇ!こっちが取調室と繋がってるってバレるだろうがっ!?」
AJが呆気に取られて言う
「あ?いや… お陰でバレバレッスけど…?」
警官が衝撃を受けて言う
「あ…っ!」

ユーノスとユウヤが歩いていて ユウヤが言う
「ユーノス警視っ お話がっ」
ユーノスが言う
「ああ、分かっている …これらの事だろう」
ユーノスが到着した自身のデスクへ資料を広げる ユウヤが資料を見ないまま言う
「”これら”ではなく 今日 自分がユーノス警視から受け取った 捜索願の出されていた少年が…っ …っ!?こ、これは?」
ユウヤがたまたま目に入った資料を手に取ってから 他の資料も一瞥してユーノスへ向く ユーノスが言う
「ああ、これが この数日間の間に このメルス街を含む 各街の警察へ出された捜索願だ」
ユウヤが呆気に取られて言う
「こんなに沢山…?しかも…っ!?」
ユーノスが言う
「そうだ この数日間に急に… 今まではペットや痴呆老人 幼児の迷子と言った捜索願は出されていたが」
ユウヤが資料を見ながら言う
「若い人が多いですね?それも… アルフレット君と同じ位の少年や少女が…」
ユウヤが思う
(まさか…っ!?)
ユーノスが言う
「彼らの中には …アルフレット君と同じく ヴァンパイアの様な行動を取っている者も 確認されている」
ユウヤがユーノスを見る ユーノスが言う
「彼も そうであったようだな?連絡は聞いた」
ユーノスがアルフレットの写真が載っている資料を置く ユウヤが言う
「はいっ そして… 自分が…」
ユーノスが苦笑して言う
「ああ 流石は ユウヤ君だ」
ユウヤが言う
「え?」
ユーノスが言う
「ユウヤ巡査に任せたのは正解だった お陰で 1人ではあるが この街のヴァンパイアを退治出来た …とは言え これではな?」
ユーノスが資料を見る ユウヤが間を置いて言う
「ユーノス警視は アルフレット君がヴァンパイアになったと言う事を 事前に知っていたのですか?」
ユウヤが思う
(それで 俺に…?)
ユーノスが言う
「実は情報を伏せてはいたが 他の街では既に奴らの再来が確認されていたんだ そこで… 最も確実に奴らの対処と確認が取られるだろう ユウヤ巡査へ捜索を頼んだのだが… まさか これほどのスピード解決に至るとは私も思っても居なかった 数日以内に確認だけでも取られればと思っていたのだが…」
ユウヤが言う
「この少年少女たちが 皆ヴァンパイアになったと?」
ユーノスが言う
「確認が取られているのは この印の付けられている者だけだ 他の者は捜索願や失踪届けの出された 現在捜索中の者だが… もはや その可能性は否定出来ないな?」
ユウヤが資料を見ながら言う
「この印の付けられているヴァンパイアに 殺害されていると言う可能性もあると思います」
ユーノスが言う
「ああ、それと共に本当に唯の家出か何かで 事件とは無関係であり 尚且つ無事であると言う可能性もあるだろう?しかし我々警察は最悪の可能性としてヴァンパイアの再来を認識した上で これより捜索活動を開始する」
ユウヤが言う
「ヴァンパイアの再来を… …はい、そうですね」
ユーノスが言う
「ああ、従って 本日この時間を持って対ヴァンパイア装備を行った上での捜索活動を開始してくれ」
ユウヤが思う
(対ヴァンパイア装備で…)
ユウヤが気を引き締めて言う
「はいっ」

装備室

AJが銃のセットを行い銃を見て言う
「これがヴァンパイア対策の銃ッスか… 何か…?普通と違うんッスか?見た感じ… ただカラーリングがシルバーだって事位しか違わないと思いますけど?」
ユウヤが言う
「弾倉に込められている銃弾を見たか?」
AJが反応して 改めて確認して言う
「え?あ…?言われてみれば… 妙に… なんっつーかキラキラしてますね?」
ユウヤが言う
「弾頭に銀が使われているんだ」
AJが驚いて言う
「銀っ!?銀って…っ シルバーッスか!?マジッスか!?それじゃ…っ もしかして これ一発でも めちゃめちゃ高いんじゃっ?!」
ユウヤが言う
「うん… 値段は知らないけど高いだろうな?指輪とかに使われるのと同じくらい良い物だって聞いた事があるよ」
AJが銃弾を見ながら言う
「うへぇ~… もったいねぇ~ なんで そんな高価なものを銃弾なんかに?」
ユウヤが言う
「ヴァンパイアは銀じゃないと その力を… 命を奪えないから」
AJがユウヤを見る ユウヤが装填した銃をホルダーへセットする AJが気を取り直して言う
「そ、それじゃ!これがあればっ 大丈夫ッスよねっ!?よ、よーしっ じゃあ俺もっ!この銃で ヴァンパイアを!」
ユウヤが言う
「うん… 脅し位には使えるだろうな?」
AJが呆気に取られて言う
「え…?脅しって…?この銃で退治するんじゃないんッスか?」
ユウヤが言う
「この程度の… 俺とAJの2人なんかじゃ この弾を全弾を撃ち尽くしたってヴァンパイアは倒せないよ …ヴァンパイアを銃で殺すには まずは通常弾をめい一杯食らわせる事でヴァンパイアの血を失わせて… それでヴァンパイアが吸血衝動を現したら その時こそ警察部隊が全員でこの銃を使ってヴァンパイアの命が尽きるまで撃ち続ける…」
AJが驚きの表情で言う
「ユ、ユウヤ先輩…」
ユウヤが言う
「それでも… 本当に殺せるのかは分からないけど」
AJが言葉を捜して言う
「その… ユウヤ先輩 何でそんなに詳しいんッスか?それに… 怖くないんッスか?そこまでしないと倒せない相手を捜索しに行けだなんて言われてっ!?」
AJがユウヤを見て驚く ユウヤが言う
「うん… 怖くは無いよ俺には…」
ユウヤが3本の試験管を手に持つ AJが気付く

パトカー内

AJが運転をしながら言う
「そう言えば ユウヤ先輩がアルに襲われた時 一体 何が起きたんスか?俺が行った時には 先輩は押さえ付けられていて… あの状態じゃ銃は撃てなかったッスよね?それにアルは勝手に苦しみ出したみたいでしたし?」
ユウヤが言う
「あれは お守りが助けてくれたんだ」
AJが言う
「お守りって… さっきも先輩が手に持っていた あの試験管の?」
ユウヤが言う
「うん… でも、今度のは お守りじゃなくて武器だから… 俺自身の意思で使わないと」
AJが言う
「武器ッスか…?なら、その試験管に入った薬を使えば あの時みたいに…?」
ユウヤが言う
「そう… かな?詳しくは使ってみないと分からないけど」
ユウヤが試験管を見て思う
(残りは3本… いや、1本は確か人間用だって言っていた だからヴァンパイア退治に使えるのは この印の有る2本だけだ …複数が相手で一度に使うのなら良いけど今朝の様に相手が1人だったら…)
ユウヤの脳裏に 不鮮明に記憶が蘇る 記憶の中のヴィンが 試験管の薬を少量振り払い 他方へも同様にする ユウヤが思う
(俺も あんな風に上手く使いこなせるか?いや… きっと無理だ そうとなれば使うのは 本当に必要な時に 残りの この2回だけ…)
ユウヤが試験管をしまい リボルバーを取り出して思う
(それなら やっぱりユーノス警視に言われた通りに まずは捜索願の出されている少年少女たちが 本当にヴァンパイアになってしまったのかの確認を取ろう …そしてユーノス警視や警察の皆で また作戦を考えれば… きっと また何か良い作戦が…)
AJが言う
「ユウヤ先輩 着きましたよ?この辺ッスよね?第8区域のBブロック… 今朝 変死体が見付かったって」
ユウヤが言う
「あ、うん そうだな?俺たちが確認したのと同じで全身の血が抜かれていて首には吸血痕があった… 2ブロック離れているけどアルフレット君の自宅とも近い」
AJが言う
「それじゃ やっぱ …それもアルが やったんスかね?」
ユウヤが言う
「いや、どちらも被害者の血が吸い尽くされていると言う事は …同一犯の可能性は低いだろうな?」
AJが疑問して言う
「え?それは…?何でッスか?犯行の手口が同じって事は… 普通?」
ユウヤが苦笑して言う
「だって考えてみろよ?同じ日のほぼ同じ時間に 成人女性を2人分だなんて多過ぎるだろう?大人1人の血液の量は凡そ4Lもあるんだから」
AJが言う
「え?4Lもあるんッスか?へぇ~… 知らなかったッス んじゃ俺の体にも4Lの血液が…」
ユウヤが言う
「AJは身長も高いし体重も結構あるんじゃないか?だとしたら もっと多いだろうけど、人は全身の血液の半分を失うと命を失ってしまう 3分の一でも危険だから空腹のヴァンパイアには気を付けてな?」
ユウヤが軽く笑う AJが衝撃を受け慌てて言う
「そ、そんな物騒な事 軽く言わないで下さいってっ!?ユウヤ先輩!?」
ユウヤが苦笑して言う
「あれ?冗談のつもりだったんだけど…?」
AJが言う
「ヴァンパイアの捜索に出動している時に笑えないッスよ…っ けど3分の一でも危険って事は… 1L位ならセーフって感じッスかね…?」
ユウヤが苦笑して言う
「あぁ… ごめん そうだな?でも そんなに心配しなくても」
AJがユウヤを見る ユウヤが笑顔で言う
「ヴァンパイアに襲われたら普通はその時点でアウトだから 細かい事は気にしなくても良いだろ?」
AJが慌てて言う
「何でそんなに楽しそうなんッスかっ!?ユウヤ先輩!?」

ユウヤとAJが路上に出て ユウヤが言う
「そんな訳だからヴァンパイアを見付けたら 戦おうだなんて考えないで直ぐに逃げる事だよ …これは冗談じゃなくて本当に」
AJが言う
「じゃぁ… 俺らはヴァンパイアを見付けるだけの為に来たって事ッスか?こいつで退治するんじゃ無くて?」
AJが制服の内側を意識して手を当てる ユウヤが言う
「うん、以前も言ったけど 俺たち2人でヴァンパイアを退治する事なんか出来ないんだから 銃は脅し程度に…」
銃声が響く ユウヤとAJが驚き周囲を見渡して ユウヤが言う
「今のは…っ」
AJが言う
「じゅ、銃声 …ッスか!?」
再び銃声が鳴り響く ユウヤが言って走る
「向こうだ!」
AJが慌てて追い掛ける

周囲が騒然とする中 ユウヤが到着して辺りを見渡す 再び銃声が響く ユウヤが建物を見上げて言う
「あの建物の室内から…っ!?」
AJがユウヤの視線の先を見上げる 同時にその建物二階の窓ガラスが内側から破られ 少年Aが飛び降りて来る AJが驚いて言う
「えぇえっー!?二階からっ!?」
AJが思わず助けに向かおうとするのを ユウヤが制して言う
「行くなっ!AJ!彼はっ!」
ユウヤの脳裏に 資料にあった少年Aの写真と そこに記された印が思い出され ユウヤが言う
「ヴァンパイアだっ」
少年Aがユウヤを見る AJが驚き言う
「えっ!?」
ユウヤがリボルバーを構えて言う
「AJ!銃をっ!」
AJがハッとして慌てて銃を用意しようとする 少年Aが瞬時にAJを殴り飛ばす ユウヤが思う
(速いっ!)
AJが自身の身に起きた事を理解出来ないまま 殴り飛ばされ地面に叩き付けられて悲鳴を上げる
「がはっ!?」
周囲の人々が悲鳴を上げる
「キャアァー!」
ユウヤが言う
「AJ!」
少年AがAJの体と頭を抑える AJが苦しそうに言う
「う…っ 動けねぇ…っ!?」
ユウヤがリボルバーの照準を合わせようとするが思う
(駄目だ これで もし避けられたら 銃弾がAJにっ!)
少年AがAJの肩と頭を掴み首を伸ばさせて牙を剥く AJが驚き表情をしかめて言う
「ぐぅっ や、止め…っ」
ユウヤが思う
(仕方無いっ 薬を…っ!)
ユウヤが懐から試験管を出そうとする 銃声が響く ユウヤが驚いて顔を向ける 男が少年Aの背に銃を放っている 少年Aの背に銃弾が数発命中する 周囲の人々が悲鳴をあげ 数人が失神する AJが驚き呆気に取られていると 少年Aが振り返り 一瞬の後 少年Aが男へ襲い掛かろうとする 男が少年Aへ銃を向ける 2人の間に ユウヤが入り銃を向ける リボルバーの先が 少年Aの顔ギリギリで止まる 少年Aが目の前の銃口に 目を見開く ユウヤが言う
「ヴァンパイアでも 致命傷を受ければ死ぬぞ!試してみるか!?」
皆が息を飲む中 少年Aが一度ユウヤを見てから舌打ちをして消える 間を置いてユウヤが肩の力を抜く AJが脱力して言う
「マジ… 死ぬかと思った… はぁ~…」
AJが脱力する ユウヤが振り返り 男へ言う
「助かりました 有難う御座います …しかし、一般市民の方の銃の所持は法律で禁じられていますが …そちらはどうやって?」
男が言う
「…アレは私の息子だ …これはヴァンパイアになった アイツを殺す為に裏ルートで購入した」
ユウヤが言う
「なるほど… お気持ちは察します しかし」
男が銃を見て言う
「手に入れた銃弾を全て撃ちつくしても アレは殺せなかったな… それ所か私がその様な事をしたお陰で妻まで…」
ユウヤが言う
「え?奥様が…っ?」
女が首を押さえてやって来る ユウヤがそちらへ顔を向ける 男が言う
「私の銃で傷付いたアイツは あろう事か自分の生みの母親の血を吸って 傷を治したんだ …ヴァンパイアに血を吸われたとなれば時機に妻も…」
ユウヤが微笑して言う
「ご安心下さい ヴァンパイアに吸血されてもヴァンパイアにはなりません」
男が驚いてユウヤを見る ユウヤが言う
「ただ… 現状ヴァンパイアになってしまった息子さんを人間に戻す… そちらの方法は」
ユウヤが男を見て顔を左右に振る 男が表情を落として言う
「そうか… それでも妻も娘も無事だったんだ それなら」
男がユウヤへ銃を差し出して言う
「銃刀法違反の罪は どれ位だろうか?」
ユウヤが苦笑し 受け取りながら言う
「今回は正当防衛の発砲ですし 所持の理由にも情状酌量の余地があると思いますので それ程の罪にはならない筈です 自分の方からも その様に報告しておきますので」
男が軽く頭を下げて言う
「有難う御座います…」
ユウヤが言う
「いえ… こちらこそ」
ユウヤが振り向いて言う
「AJ?ほら?何時まで寝てるんだ?」
AJが変わらず地面に脱力していて言う
「あ~ ユウヤ先輩… 空が真っ青ッスよ… それに空気がすげぇ~冷たいッス… もう冬ッスねぇ…」
ユウヤが苦笑して言う
「それが分かると言う事は君が無事に生きていると言う証拠だよ」
ユウヤが手を差し伸べる AJが苦笑してユウヤの手を取って起き上がる

ユウヤの家

ユウヤが言う
「それでAJは無事だったんだけど署に戻ってからも何時もの彼の陽気さが無くてさ?…少し心配だな?」
リマが言う
「そうなの… でも2人も無事で良かった それに本当にヴァンパイアが…?」
ユウヤが気付いて言う
「あ… ごめん ヴァンパイアの話は」
リマが苦笑して言う
「ううん 聞いて置きたい 近所の奥様方もヴァンパイアがまた現れたって もう話しているから」
ユウヤが言う
「そうなのか… もう一般市民にも知られていたんだな」
セイヤが言う
「だってぇ~のにさぁ?警察官の息子の俺が知らなかったんだから チョー笑いモンで!おかげで恥かいたっつーのっ!」
リマが言う
「こら セイヤ?お父さんに そんな口のきき方をしては駄目でしょう?」
ユウヤが苦笑して言う
「いや、良いよ 昨日までは情報守秘の指示があって言えなかったんだ …だから悪かったな?セイヤ?」
セイヤが言う
「情報守秘?…けどさ?その昨日の時点だって同じこの街の警部補の息子は知ってたぜ?親父が言えなかったのは万年巡査だからじゃねぇの?」
リマが怒って言う
「セイヤっ!」
セイヤが反応して困る ユウヤが言う
「え?警部補の息子が知ってた?それは良くないな 増して対象のヴァンパイアと同年代の… それじゃ今、セイヤの学校では皆知ってるのか?ヴァンパイアが現れたって話を?」
セイヤが言う
「皆 知ってるよ?しかも確認されているヴァンパイアは学生なんだろう?A校やB校の生徒だって噂」
ユウヤが思う
(A校は昨日のアルフレット君 B校は今日確認したあのヴァンパイアと もう1人…)
ユウヤの脳裏に資料にあった写真が思い出される セイヤが言う
「ヴァンパイアなんて聞いた時には笑っちゃったけどさぁ…?親父が遭遇したとか警察が捜査してるって事は …やっぱマジだったんだ?」
ユウヤが言う
「うん… だからセイヤも気を付けろよ?」
セイヤが言う
「気を付けろってどうやってだよ?センコーは夜出歩くなとか言ってたけど実際、親父は 昼間に遭遇してんジャン?」
ユウヤが言う
「夜出歩くなと言うのは ある意味迷信みたいなものだ だから気を付けると言うのは… そうだな?出来るだけ1人では行動しない事 それから人通りの少ない場所へは行かない事」
リマが言う
「分かった?セイヤ?お父さんの言う事ちゃんと聞くのよ?」
セイヤが言う
「分かってるよ 大体マジで命が掛かってるんだろ?だったら そんな子供に言うみたいに言うなよな?返って緊張感なくなるってぇの!」
リマが呆気に取られた後困って言う
「まぁ そうね?セイヤだって もう本当に危険な事か そうじゃないか位は分かるものね?」
セイヤが言う
「当たり前だろ?もう14なんだからさぁ?」
ユウヤが言う
「14か…」
セイヤがユウヤを見る ユウヤが食事を口に運びながら思う
(アルフレット君が16… 今日遭遇した彼も16歳の学生だった… どうして その年代なんだ?そして、何故あれから14年が経った今になって …ヴァンパイアが現れた?)
ユウヤが食事の手を止めて考えている セイヤがリマを見る リマが心配そうにユウヤを見る セイヤがユウヤを見る ユウヤは考えている

翌日 署内

ユーノスが言う
「これが昨日確認された ヴァンパイアの目撃情報だ」
ユーノスが資料をデスクへ置く 警官たちが覗き込む中 ユウヤが気付いて思う
(また16歳の学生か… あ、17歳でも確認されたのか… でも やっぱりっ)
ユウヤがユーノスへ向く ユーノスが皆を見渡して言う
「皆も既に気付いていると思うが確認されたヴァンパイアは 誰もが16歳から17歳 つまり高等学生であると言う事だ」
ユウヤが頷き資料を手に取る ユーノスが言う
「そこで今日はその彼らが通っていた高等学校へ聞き込み調査を行おうと思う …すでに各学校への連絡は行ってある 従って早速 諸君は各自に割り当てられた高等学校へ向かい そちらの教員 及び学生らから話を聞いて来てくれ …これが各学校の資料だ 各々一度目を通してから向かうように」
ユーノスが資料を配る

ユウヤが資料を見ている AJが覗き込んで来て言う
「ユウヤ先輩は何処のガッコーッスか?…あ、A校ッスね?」
ユウヤが言う
「うん 俺の母校でもあるよ …とは言っても もう ずっと昔の話だけど」
ユウヤが苦笑する AJが笑んで言う
「俺も母校なんッスよ!ちなみにC校ッス!」
ユウヤが言う
「C校か… それならA校の先だから途中まで一緒に行くか?AJ?」
AJが喜んで言う
「はい!是非お願いします!」

A校門前

ユウヤが学校を見上げて言う
「…懐かしいな」
ユウヤが苦笑する パトカーからAJが顔を出して言う
「それじゃ戻りもここで!」
ユウヤが言う
「見当たらなかったら先に帰ってくれ 俺も話を聞いた後で少し周囲をパトロールしてから ここで会えなければ自分で帰るから」
AJが言う
「分かりました!」
パトカーが発車する ユウヤが学校へ向き直って言う
「よし、それじゃ…」
ユウヤが学校へ向かう

A校 応接室

校長が言う
「本当に我々教員の誰もが信じ難く生徒や保護者へも言葉が見付からないと言うのが本音です …ヴァンパイアが再び現れたと言うだけでも恐ろしいもの それが つい先日まで普通の学生だった子供が… しかも我が校の…っ」
校長が頭を抱える ユウヤが言う
「お気持ちは察します 自分も年の近い子供を持つ親ですので」
校長がユウヤを見る ユウヤが言う
「だからこそ早急に この事態の全貌を確認し打てる手を打たなければ…」
ユウヤが思う
(そうだ、今は何故ヴァンパイアが現れたのかではなく 何故それまで普通の学生だと思われていた彼らがヴァンパイアになったのか それを調べなければ もしかしたら…っ)
ユウヤが手を握り締める 校長が言う
「我々の方でもアルフレット君の資料を集め確認をしていました… 本人は成績も良く欠席も無く実に模範的な生徒でした… それが何故… ヴァンパイアなどに」
ユウヤが言う
「彼が欠席するようになった その直前の様子はどうでしたか?何処か様子がおかしいと言った様な事は?または誰かと会っている様子が有った… などは?」
校長が言う
「その辺りの事は担任を受け持っていた教員へも聞きましたが まず、顔色が悪かったと言う事で体調が悪いのかと聞いた所 本人がそれを認めたそうなので無理はしないようにと言った程度だったそうです その翌日から長期欠席をしたと言う事で入院でもしたのかと… 大学受験へ備える頃でもありますので授業に遅れない内に元気になって戻って来てくれる事を 願っていた との事でした」
ユウヤが言う
「なるほど… では担任の先生も詳しい事は何も…?」
校長が言う
「そうですね」
ユウヤが言う
「後… こちらはヴァンパイアになったと言うわけではないのですが… こちらの学校の4名の生徒の親御さんから子供たちの捜索願が出されているのですが」
校長が言う
「はい 存じております」
ユウヤが言う
「こう言っては難ですが …万が一と言う事も有ります そちらの4名の学生に付いても詳しい話を聞かせて頂けませんでしょうか?」
校長が息を吐き頭を抱えてから気を取り直して言う
「…分かりました 少々お待ち下さい」
校長が立ち上がって席を外す ユウヤが沈黙する

A校外

ユウヤが学校を見上げて思う
(他の4人の生徒の様子も 失踪以前の様子は彼と似通っていた …年齢も16歳と17歳)
ユウヤが視線を強めて言う
「…可能性は否定出来ないな」
ユウヤが思う
(いや… もはや そうなってしまっていると考えて置いた方が…)
ユウヤが表情をしかめてから顔を左右に振り 待ち合わせの場所を見るが車は無い ユウヤが苦笑して言う
「それじゃ予定通り…」
ユウヤが歩き始める

街中

ユウヤが歩きながら思う
(彼らは成績の良い悪いも交えて至って普通の学生だった… それが どうしてヴァンパイアになってしまったんだ?…うん?なってしまった?ヴァンパイアになる方法は?そうだっ そう言えば以前…!)
ユウヤが服の上から 銃ホルダーに備えられている試験管を意識して思う
(ヴィンは 確かに言っていた)

ユウヤが苦笑して言う
『ヴィンは凄いですね?とても俺ら人間には敵いそうにありません…』
ヴィンが苦笑して言う
『そうでもないさ 私も元は電波障害の謎を解こうとしていた唯の人間だった そして その頃の私には到底出来なかった事だ つまり普通の人間も私と同じだけ生きて研究を続けていればコレくらいの事は出来る様になるのだろう』
ユウヤが思う
《電波障害の謎を解こうとしていた普通の人間が…?》

ユウヤが思う
(あのヴィンでさえ元は電波障害の謎を解こうとしていた唯の人間だった と… では その人間だった彼が どうしてヴァンパイアに?どうやって…!?)
ユウヤが立ち止まり服の上から試験管を握り締めて言う
「あの時 聞いて置けば良かったな…」
ユウヤが思う
(あの時だって俺は気になっていたのに …聞けなかった それは…)
クラクションが鳴り ユウヤが振り向く AJがパトカーの窓から顔を出して呼ぶ
「ユウヤせんぱーい!こっちこっちー!こっちッスよー!」
ユウヤが苦笑して向かう

パトカー内

AJが言う
「あーそれじゃ俺がC校のカネキンから聞いた話と大して変わらないッスねー?」
ユウヤが疑問して言う
「カ、カネキンって?C校でも校長先生から話を伺ったんじゃなかったのか?」
AJが言う
「ああ!サーセン ユウヤ先輩 カネキンてのは俺がC校の学生やってた時の担任のセンコーで!俺らが卒業した年にC校の校長になったんスよっ!んで、話している間に いつの間にか あの頃みたいになっちゃってたんッスよねー!あっははは!」
ユウヤが苦笑して言う
「そうか… まぁ 懐かしいのは分かるけど それで?ちゃんと話は聞いたのか?」
AJが言う
「はい!大丈夫ッス!久しぶりって言っても たった2年振りッスからね?それ程 積もる話しも無いですし?」
ユウヤが呆気に取られてから言う
「2年…?あぁ そうか…」
ユウヤが思う
(俺がAJの指導教官になってから もう2年も経つのか …それで その2年前まではAJも学生だった)
AJが言う
「で、話している間は お互い2年前みたいに気軽に話してたんッスけどね?別れ間際には 『どうか宜しくお願いします』だなんて改まって言われて… 俺も思わず敬礼したりして… はははっ まったく恥ずかしいッスよ」
ユウヤが苦笑して言う
「それが大人ってものだよ AJ?」
AJが苦笑して言う
「はは… そんなもんなんッスかねぇ?まぁ お陰でって言うわけでも無いですが あのカネキンの為にも早く解決しなきゃって気合入りましたよ!…いや?マジで」
ユウヤが呆気に取られた後苦笑して思う
(言い方は相変わらずAJ流だけど それでも)
ユウヤがAJを見る AJは真剣な表情で運転をしている ユウヤが微笑して思う
(AJは本気なんだな?そのカネキン先生の為にも解決したいって… …けど)
ユウヤが視線を逸らした先 窓の外の風景に気付いて言う
「…うん?あれ?この道は?AJ?署に戻るんじゃなかったのか?」
AJがハッとして言う
「あ、サーセン!ユウヤ先輩っ 勝手に!…その ちょっと気になる場所があって そっちに寄ってからで良いッスか?って… 今更ッスけど」
ユウヤが苦笑して言う
「あぁ そうだったのか?…まぁ良いか?ちょっと遠回りだけど この道からでも署には戻られるし」
ユウヤが思う
(とは言っても本当に遠回り… と言うか むしろこれじゃ俺はあのままA校から歩いて帰った方が早かった程だけど)
AJが苦笑して言う
「実は その… カネキンには任せてくれ!なんて言っちゃったんッスけど… もし、昨日みたいな事があったらマジで… ユウヤ先輩が居ないと… 俺…」
ユウヤが反応してから言う
「ん?…なら もしかして?今向かっている場所と言うのはヴァンパイアの目撃情報でもあった場所なのか?それならそうと!?」
ユウヤが慌てて装備を確認する AJが言う
「ああっ いや!目撃情報があったって訳じゃないんッスけど…」
ユウヤがリボルバーを手にした状態で言う
「え?それじゃ…?」
AJが言う
「いや、その… カネキンと話してて …ふと思ったんッスけどね?もし… その今 行方の分からないヴァンパイアになった生徒や… もしくは捜索願が出されているだけで家出してるだけの生徒だとしてもッスよ?…もし それが俺だったら?何処に行くかな?って …考えましてね?」
ユウヤがハッとする AJが言う
「もし… もしッスよ?俺が なんかの拍子に… 例えば まぁ… ヴァンパイアに吸血されて 自分もヴァンパイアになっちゃったら… やっぱ人目は避けると思うんッスよね?家出してる時だって… 家族から捜索願が出されていたり そこまで行かなくても誰かに見られたら見付かっちゃう訳ですから?」
ユウヤが言う
「そうか …そうだよな?」
ユウヤが思う
(俺は彼らが どうしてヴァンパイアになったのかと その事を考えていたけど今はそれよりも既にヴァンパイアになった彼らと …その可能性のある生徒たちを探し出す事の方が重要だ それに…)
ユウヤが言う
「それに その彼らを見つける事が出来れば… もしかしたら彼らがヴァンパイアになった その理由も知る事が出来るかもしれないな?」
AJが言う
「そお!そおッスよね!?俺も元々何で あいつらがヴァンパイアになったのかって言う!その理由を確認して置きたいッスから!じゃないと… マジぱねぇッスよ」
ユウヤが呆気に取られて言う
「マ、マジ ぱねぇ…って?」
AJが言う
「あ、マジ半端ねぇ位い怖ぇって事ッス!」
ユウヤが言う
「あ、あぁ… なるほど?そ、そうだな?マジ… ぱねぇ …だよな?うん…」
AJが真剣な表情で頷きながら言う
「はいっ!」
ユウヤが苦笑して言う
「ああ… はは…」
ユウヤが視線を逸らす その視線に手に持ったままで居たリボルバーが映りハッとして思う
(AJのペースに乗せられて すっかり緊張感が無くなってしまったけど もし本当にAJの勘が正しければ これから向かう先にはヴァンパイアが居るかもしれない …気合を入れていかないとっ)
ユウヤがリボルバーの銃弾を確認した後 上着の内側にあるオートマチックの銀の銃を目視で確認し 服の上から試験管の存在を感じ取って気を引き締める

ユウヤが周囲を見渡して言う
「ここは…?」
ユウヤが思う
(周囲に見えるのは どれも古びた建物だ …今は使われているのか?この辺りは俺たちの巡回範囲じゃないから 正直 状況が分からないな)
AJが言う
「あの店の辺りは まだ人が居るんッスけどね?その裏の建物からこっちには もう誰も住んでません… 廃墟って言うか… たまに浮浪者が居たりしてたんッスけど」
ユウヤが言う
「居たりしてた?…あぁ そうか」
ユウヤが思う
(そう言えば この辺りはC校の近くだ つまり AJにとっては学生時代の…)
ユウヤが気付く AJが言う
「おっと… 予想的中 …来ましたよ ユウヤ先輩?」
ユウヤが言う
「そうみたいだな?」
ユウヤとAJの周囲に学生たちが集まる AJが表情をしかめて言う
「チッ… ツイて無いな ユウヤ先輩こいつらD校の生徒ッス」
ユウヤが言う
「D校の…?あ…っ」
ユウヤが学生の中の数人を見て気付いて思う
(そうだ… あの学生たちの顔は捜索願の資料に… それに、あの彼は…っ)
ユウヤが学生の中の一人の顔を見て思う
(資料に印の付けられていた生徒…っ!)
ユウヤが言う
「…ヴァンパイア」
少年Zが言う
「警察が… ヴァンパイアを退治しに来たのか?」
少年たちがユウヤとAJを囲って近づく ユウヤが思う
(まずい…っ 彼らの全てがヴァンパイアでは無いとしても 数の上でも立場的にも こっちは圧倒的に不利だ…っ どうする!?)
ユウヤが言う
「ヴァンパイアを… 確認しに来ただけだ それと捜索願の出されている学生たちの保護に」
少年たちが言う
「保護…?…くっ …ははははっ」
少年たちが笑う ユウヤが銃を抜き両手で持つ 少年Zが言う
「保護をするって?ヴァンパイアから?どうやって?…その銃でヴァンパイアを殺そうって言うのか?」
AJが銃を構えて言う
「ああ そうだっ この銃でっ!」
ユウヤがハッとして言う
「AJっ!」
少年Zが言う
「面白ぇ… やってみろよ?お巡りさん?」
少年ZがAJの前に立つ AJが一瞬驚いた後表情を強め トリガーに掛かる指に力を込める ユウヤが言う
「駄目だっ!AJっ!」
ユウヤが思う
(相手はヴァンパイアだっ 挑発に乗っては…っ!)
ユウヤの目に少年Zが身を逸らす様子が見える ユウヤが思う
(やっぱりっ!)
ユウヤが銃を構える AJが瞬時に少年Zの背後に回り 少年Zの手に手錠を掛ける 少年Zとユウヤが驚き ユウヤが言う
「…えっ?」
AJが笑んで言う
「公務執行妨害で逮捕だっ!」
少年Zの両手が施錠される ユウヤが呆気に取られて言う
「お、お見事…」
少年Zが呆気に取られた後 思い出したように笑う
「…くっ ははは…」
ユウヤとAJが疑問する 少年Zが笑んで言う
「お前ら警察って… マジ ヴァンパイア舐めてるだろう?こんなモンっ!」
少年Zが両手に力を入れる ユウヤがハッとして思う
(しまったっ あの手錠では!)
少年Zの両手を拘束していた手錠の鎖がちぎれる AJが驚いて言う
「なぁああっ!?」
少年Zが両手から流れる血を見て言う
「チッ… お陰で怪我したじゃねぇか?この落とし前 …付けさせてもらうぜっ!」
少年ZがAJへ襲い掛かる AJが悲鳴を上げつつ銃を発砲する
「うわああっ!」
銃声が響き 銃弾が少年Zの腕をかすめる 少年Zが表情をしかめて言う
「痛ぇっ!この野郎っ!」
少年ZがAJの銃を払い飛ばし AJに掴み掛かる ユウヤが叫ぶ
「AJっ!」
ユウヤが銃を撃とうとしてハッと気付いた時には 既にユウヤが殴り飛ばされていて ユウヤが言う
「ぐあっ!?」
ユウヤが思う
(もう1人っ!?)
ユウヤが倒れつつも銃を撃つ ユウヤを殴り飛ばした少年Yがハッとして銃弾を避ける ユウヤが次々に銃を撃つが少年Yが全て避け ユウヤの銃が弾切れの音を響かせる前で少年Yが軽く息を吐いて言う
「あっぶねぇ… まさか本当に撃つと思わなかった… けど!」
少年Yがニヤリと笑む ユウヤが表情をしかめる AJの悲鳴が聞こえる
「うあぁああーっ!」
ユウヤが声の方を向く AJが少年Zに吸血されている ユウヤがハッとして言う
「AJ!」
AJが吸血されながら 悲鳴を上げて言う
「あぁあーっ!止めろっ!くぅう…っ!…先輩っ ユウヤ先輩っ 助けて…っ!あぁああーっ!」
ユウヤがハッとして周囲を見渡す 複数のヴァンパイアが牙を覗かせて微笑している ユウヤが思う
(このままでは…っ!)
ユウヤが視線を強める ヴァンパイアが言う
「おいおい?俺らの分も残して置けよ?」 「折角の 獲物 だぜ?クックック…」
ユウヤがふと冷静になって言う
「誰が… お前たちの 獲物 だって?」
少年Yがユウヤへ向いて言う
「あん?…っ?」
ユウヤが試験管を構えていて言う
「悪いけど今のお前たちから その言葉は聞きたくないな?」
ユウヤが思う
(ヴィン… 使わせてもらうよ)
ユウヤが試験管を少年たちへ向けて振りかざす ヴァンパイアたちが一瞬呆気に取られた後 言う
「何を… うっ!?」
ヴァンパイアたちが首を押さえて呻き出す
「ぐ… あぁあっ な、なんだっ!?」 「喉が…っ 焼けるっ」 「あぁあーっ!」
ヴァンパイアたちが悲鳴を上げて倒れる 少年たちが呆気に取られて周囲を見渡す ユウヤがAJに肩を貸して起き上がらせて言う
「AJ!大丈夫かっ!?」
AJが言う
「ユウヤ… 先輩…っ」
ユウヤが言う
「さぁ 頑張って歩いてくれっ 車まで…っ!」
AJが表情をしかめつつ言う
「は、はい…っ う…っ」
AJのふらつく身体をユウヤが支えながら2人が歩いて行く 少年たちが慌てふためいたまま言う
「ど、どうする…!?」 「どうするって…っ」
少年たちがユウヤたちを見る ユウヤたちが立ち去って行く

病院

輸血がされている ユウヤが輸血の点滴を見てから ベッドに寝かされているAJを見る AJが目を覚まして言う
「う…?」
ユウヤがハッとして言う
「AJ?気が付いたか?」
AJが目を覚まして言う
「あ… ユウヤ先輩…?俺…?」
ユウヤが微笑して言う
「良かった 気分はどうだ?貧血だから良くは無いだろうけど?」
AJが言う
「はい… ちょっと気持ち悪いッス けど… 俺 助かったんッスね?ユウヤ先輩が助けてくれたの 俺、覚えてますよ」
ユウヤが微笑して言う
「ああ 車まで何とか歩いてくれたから助かったよ」
AJが言う
「あれ…?車…?そうでしたっけ…?覚えて無いや …ユウヤ先輩が肩貸してくれてたって事は覚えてますけど…」
ユウヤが苦笑する AJが言う
「それから…」
ユウヤが疑問して言う
「うん?それから?」
AJが言う
「ユウヤ先輩… すげぇ… カッコ良かったッス」
ユウヤが呆気に取られて言う
「え?」
AJが苦笑して言う
「だって… ヴァンパイア相手に …何だっけ?何とかって言うなって…?」
ユウヤが気付いて言う
「あ… ああ、あれか?」
ユウヤが思う
(そうだ あの瞬間は俺も何だか…)
AJが微笑して言う
「すげぇ… 自信持って啖呵切ってて …マジカッコ良かったッス お陰で俺… 大丈夫だって 勝手に思っちゃいましたよ…?」
ユウヤが苦笑して言う
「ああ、俺も大丈夫だと分かってたからな?大体 俺を”獲物”って呼べるのは…」
AJが疑問して言う
「え…?」
ユウヤが言う
「あんな若いヴァンパイアたちじゃないよ」
AJが呆気に取られた後 力なく笑って言う
「あ… はははは…っ やっぱ天才…」
ユウヤが疑問して言う
「え?」
AJが言う
「ユウヤ先輩 天才ッス… マジ面白れぇ…」
ユウヤが呆気に取られた後言う
「あ… ああ… はは… そうだろう?面白いだろ 俺?」
AJが苦笑して言う
「はい…」
ユウヤが思う
(そうだよな?俺はヴィンの獲物で あいつらの獲物なんかじゃない …だなんて普通じゃ訳分からないよな?けど あの瞬間は俺は本気でそう思って… それで俺も自信を持てていたんだ)
ユウヤが服の上から試験管を確認する 病室のドアがノックされ ユウヤがハッとして言う
「あ、はいっ どうぞ?」
ドアが開き女性が入って来て ユウヤに一瞬反応して頭を下げてから直ぐにベッドを見る AJが言う
「あ… 母ちゃん?」
女性が慌てて言う
「ジェームス!」
女性がAJへ駆け寄って安堵の表情を見せる ユウヤが一瞬呆気に取られてから理解し 苦笑してから言う
「貧血では有りますが他は軽い打撲程度なので一晩入院をするだけで明日には退院して 後は自宅療養で大丈夫だろうと言う事です」
女性がユウヤへ向き直り 頭を下げて言う
「分かりました 有難う御座いますっ」
ユウヤが苦笑して言う
「いえ…」
AJが苦笑して言う
「母ちゃん ユウヤ先輩が居なければ俺ヤバかったよマジで…」
女性が驚いた後 深々と頭を下げて言う
「有難う御座います 息子の命を助けて頂いて 本当にっ!」
ユウヤが困って言う
「ああっ いえ…っ そ、それではっ 自分はこれで… AJ、お大事にな?ユーノス警視には俺から伝えて置くから!」
AJが言う
「はい… 有難う御座いました ユウヤ先輩…」
AJ母が再び頭を下げる ユウヤが敬礼してから立ち去る

翌日 警察署

ユーノスが言う
「そちらが昨日までに入ったヴァンパイアの目撃情報と追加された捜索願の書類だ 各自受け持ちの地区のそちらを確認し現場へ向かってくれ」
警官たちが言う
「「はいっ!」」
警官たちが敬礼して立ち去る中 ユウヤが残る ユーノスが言う
「ユウヤ巡査の受け持ち地区にもヴァンパイアの目撃情報は出ているが… AJ巡査が復帰するまでの間はユウヤ巡査も単身で現地へ向かうような事はしないようにな?」
ユウヤが言う
「はい 分かりました」
ユウヤが思う
(ヴィンから貰ったヴァンパイア用の薬は後1つある けど… アレは本当にいざと言う時だけに使いたい… だから ここはユーノス警視の言う通り)
ユーノスが言う
「そちらの地区にはヴァンパイアの目撃情報とその被害が出ている 従ってユウヤ巡査には被害現場の検証と共に遺族の方から話を…」
AJが入って来て敬礼して言う
「お早う御座います!遅くなって スンマセン!」
ユーノスとユウヤが呆気に取られた後ユウヤが言う
「AJ!?」
AJが言う
「はいっ!ユウヤ先輩 昨日はマジ有難う御座いました!お袋からも十分にお礼を言うようにって!」
ユウヤが言う
「あ、ああ… それより?」
ユーノスが言う
「体調は大丈夫なのか?AJ巡査?ユウヤ巡査の話では しばらく自宅療養が必要だと言う事だったが?」
ユウヤが言う
「そうだよAJ?病院の先生から言われなかったのか?」
AJが言う
「はい、そのセンセーも言ってたんッスけど 普通 貧血で入院するって言うと病気とか怪我とか 大体 貧血以前にそうなる理由の方が問題らしいんッス けど、俺の場合はそー言う方は 全然元気ッスから!まぁ 飯の前に増血剤の薬を飲めとは言われましたが後は自分で大丈夫そうなら何しても構わないって言われましたっ!」
ユウヤとユーノスが納得し ユウヤが言う
「そうか まぁ… そうかもしれないな?言われてみれば俺も以前は そんな感じだったし?」
ユーノスがユウヤを見る ユウヤが考えてから言う
「って言うか良く考えたら俺の場合は増血剤すら飲まなかったな?果物を食べて後は普通の食事と十分な睡眠を取る様にって?」
AJが言う
「はい!睡眠ならバッチリッス!昨日はあれから今朝まで病院で爆睡しましたから!」
ユウヤが思う
(病院で爆睡って… 普通は病院じゃ落ち着かないと言う事が理由で自宅療養をすると思うんだけど…?)
ユウヤが軽く笑って言う
「それなら良かったよ?」
AJが言う
「はい!」
ユーノスが苦笑して言う
「うむ… では AJ巡査も元気に戻って来てくれた事だ ユウヤ巡査 先程の…」
ユウヤが言う
「あ、はい!」
ユウヤとAJがユーノスへ向く

事件現場

ユウヤが吸血痕を確認してから言う
「うん… これは間違いなく」
捜査官が言う
「死亡推定時刻は昨夜の18時から21時 室内に争った形跡は無しと言う事から通常であるなら顔見知りの犯行と言う事になるのだが」
ユウヤが言う
「ヴァンパイアのスピードでは抵抗する事も出来ない だから争った形跡がないと言う事からのそちらの判断材料にはならないと思うけど… もう1つの死亡推定時刻の方は?それだって全身の血液が抜かれた状態では司法解剖でも死亡時刻の確定は難しいんじゃ?」
捜査官が言う
「ああ、確かに …しかし、そちらの時間に関しては昨夜の夜18時に… 正確には18時12分に 被害者の秘書をしていた者が この事務所を出ている そして、その後 帰宅の遅い被害者を心配した奥様が家の使用人を事務所へ向かわせ そちらの者が到着したのが21時05分ごろ …事務所の鍵は開いていて中を確認した所 被害者が倒れていたとの事だ」
ユウヤが言う
「なるほど…」
捜査官が言う
「遺体の司法解剖はこれから行うから また何か分かれば知らせるよ」
ユウヤが言う
「有難う御座います 宜しくお願いします」
AJが表情をしかめて言う
「うぇ… 俺も昨日は後一歩で こうなる所だったのか… …マジぱねぇ」
ユウヤが苦笑する 捜査官が言う
「ああ、それから」
ユウヤが疑問する 捜査官が言う
「先ほども言っていたな?全身の血液が抜かれた状態では… と?」
ユウヤが言う
「え?ああ はい 言いましたが?」
捜査官が言う
「いや?こちらの仏さんは全身の血… つまり体内の血液の全量は抜き取られては居ない」
ユウヤが呆気に取られて言う
「え?ヴァンパイアに襲われたのに?」
捜査官が改めて遺体へ近付いて言う
「ああ、正確な量は流石に解剖へ回してみなければ分からないが… 全ての血液を抜かれていれば遺体の体はもっと青白い色をしている …俗に言う血の気の引いた色と言うのかな?それにそう言った事はここを見れば より分かりやすい」
捜査官が検査用手袋をはめて 遺体の目の下を見せる ユウヤが気付いて言う
「あ… 本当だ 赤みが残っている」
ユウヤが思う
(ヴァンパイアに襲われたと言うのに全身の血を吸い尽くされては居なかった… では…?)
捜査官が遺体の口の中を見て言う
「それに舌にも赤色が残っている この辺りからすると全量ではなく半分… いや、もしかすれば そこまでも行かないかもしれない だとすれば発見がもう少し早く尚且つ病院で適切な治療を受けていれば助かったかもしれない…」
ユウヤが思う
(そのヴァンパイアにとって この人は特別な存在ではなかったと言う事か?ヴァンパイアは 執着のある人間の血を好む… と言う事は…?)
AJが言う
「じゃ、じゃぁ もしかして これぞ正しく昨日の俺…?」
ユウヤが苦笑して言う
「そうだな?だとしたら先に出て行った秘書の人が もう少し遅くまで …もしくは確認をしに来た その使いの人が もう少し早ければ」
捜査官が苦笑して言う
「それを言うなら そもそもヴァンパイアが居なければ …じゃないか?」
ユウヤがハッとする AJが言う
「あ…?まぁ そうッスね?ぶっちゃけ そう言う事ッスよね?ユウヤ先輩?」
ユウヤが言う
「う… うん… …そうだな?」
ユウヤが思う
(ヴァンパイアが居なければ… そうだ そうであれば この人は助かった… いや、そもそも襲われる事さえ無かった)
別の捜査官が来て言う
「では遺体を運びますが?」
捜査官がユウヤを見る ユウヤがハッとして言う
「あ、はい大丈夫です」
ユウヤが思う
(一度は居なくなった筈の彼らが… また現れた… これが続けば また あの作戦をやるのか?…いや、それでは駄目な筈だ やはり理由を…?彼らが現れた その理由を解明しなければ …終わらない)
ユウヤが気を取り直して言う
「それじゃAJ 俺たちも行こう!」
AJが衝撃を受けて言う
「えっ!?い、イクって何処へ…?あ、ユウヤ先輩っ!?」
ユウヤが歩き出す AJが慌てて追い駆ける

被害者男性の邸宅

ユウヤとAJが室内へ通され 女性が言う
「直ぐに 奥様が参りますので どうぞ こちらで お掛けになってお待ち下さい」
ユウヤが言う
「は、はい…」
AJが周囲を見ながら呆気に取られて言う
「す、すげぇ金持ち…」
ユウヤが苦笑してから示されたソファへ向かい腰を下ろす AJが近くに立ったままキョロキョロしていると ユウヤが言う
「AJ… 子供じゃないんだから 座って待とう?」
AJが慌てて言う
「は、はいッス!」
AJがソファへ腰を下ろし 沈み込む感覚にうろたえる ユウヤが苦笑して思う
(AJがうろたえるのも無理は無いよな ”使いの人が確認に行った” なんて言っていたから ある程度は想像していたけど… まさか これほど立派な家が… 資産を持つ人がこの街にも居たなんて…)
ユウヤが考えている間にドアが開かれ 被害者の妻が入って来て言う
「お待たせ致しました 警察のお方」
ユウヤが立ち上がり それを見たAJが慌てて立ち上がる ユウヤが言う
「ユルス街警察のユウヤ巡査と」
AJが慌てて言う
「あ!同じくアルフォード・ジェームス巡査です!」
ユウヤが疑問してAJへ向いて言う
「え?君 そんな名前だったのか?AJ?」
AJが衝撃を受けて言う
「知らなかったんッスかっ!?ユウヤ先輩っ!?」
ユウヤが言う
「てっきり AJって名前なのかと…?」
AJが言う
「んな馬鹿なっ!?」
ユウヤが言う
「あ、でも そう言えば 確か 昨日病院で お母さんが…?」
被害男性の妻が言う
「亡くなったあの人の妻で そちらの警察署へ息子の捜索願もお願いしている リョウタの母です」
ユウヤとAJがハッとして ユウヤが気を取り直して敬礼する AJが慌てて敬礼する

ユウヤが資料を見てから言う
「…では 亡くなった旦那様とのお子様で この家の長男であるリョウタ君が失踪した その前日までの様子は…」
リョウタ母が言う
「ええ、先ほどユウヤ巡査が仰った通りですわ… 顔色が悪くて お医者様にも見て頂いたのですけど何の異常も見られないと… 私も きっと あの子は受験が近くなって来たと言う事もあってナーバスになっているのだろうと それで…」
ユウヤが言う
「食事も喉を通らないのだろうと?」
リョウタ母が言う
「ええ… ですので お医者様に点滴を打って頂いたりもしていたのですけど 次第にそれをすると吐き気をもよおす様になって… 本格的な精密検査を受けさせようとしていた その矢先でした…」
AJが言う
「う~ん… その検査が嫌で家出をした… とかは?」
リョウタ母が言う
「リョウタは とても家族思いの良い子ですっ 検査を受けるのが嫌で家出をするなど その様な事で家族に心配を掛けるような子では ありませんわっ」
AJが衝撃を受け慌てて言う
「ス、スンマセン…」
リョウタ母が言う
「きっと この家の資産目当ての悪い人間に誘拐されたのだと思うのですのっ そして有ろう事か その犯人が今度は あの人を…っ そうでなければリョウタが突然 私に何も言わずに 居なくなるなどと言う事は…っ」
リョウタ母が涙をハンカチで押さえる AJが表情を困らせユウヤを見る ユウヤが考えていた状態から周囲を軽く見て言う
「…ちなみに 失礼ですが旦那様のお仕事は?」
ユウヤが資料を確認する リョウタ母が言う
「弁護士でした… 最近は依頼も増えて来て家に帰られないほど多忙で… リョウタは早く自分も立派な弁護士になって 協力したいと言ってくれていました… そんなあの子が家出なんて…」
リョウタ母がユウヤを見て言う
「お願いです ユウヤ巡査 早く あの子を助けて下さいっ お金で済むのでしたら いくらでも払いますわっ!」
ユウヤが苦笑して言う
「あ、はい…っ お気持ちは分かりました しかし、まだ誘拐と決まったわけではありませんので…」
リョウタ母が言う
「では あの子は一体 何処へ…?」
リョウタ母が気を落とす ユウヤが間を置いてから言う
「…それと少し確認事項を宜しいでしょうか?捜査の参考として必要なもので」
リョウタ母が言う
「はい…」

署内 休憩所

ユウヤが飲み物を前に資料を見ながら考えている AJがバーガーを食べながら言う
「んで… ユウヤ先輩は?リョウタはどっちなんだと思ってるんスか?誘拐か家出か…?」
ユウヤが言う
「うん、彼はヴァンパイアになったんだ」
AJがバーガーを噴き出しそうになって言う
「ぶっ!?…ぐっ ゲホッゲホッ!って いきなりそれッスか!?」
ユウヤが資料を見比べて言う
「リョウタ君の失踪前日までの行動は昨日のアルフレット君と殆ど同じだ… 調子が悪いと言い出してから学校へ行くのが辛いと言って家に篭って家族と会うことも避けるようになり食事も食べず自室に人が入る事も拒んだ そして…」
ユウヤが思う
(最初は彼が父親の血を吸血したのだと思っていたけど 母親から聞いた話では彼は父親とも仲が良かった それなら執着心はあったはずだ それでも全ての血を吸い尽くさなかったと言う事は犯人は別のヴァンパイアだと言う可能性も…?)
ユウヤが資料から顔を上げて言う
「…早く彼を見付けないと」
AJが言う
「見付けないと…?…どうなるんすか?」
ユウヤが言う
「それはもちろん」
AJが言う
「あ、そうか!早くしないと」
二人が同時に言う
「吸血被害に会う人間が増えるじゃないか?」 「ヴァンパイアが増えちゃいますモンね!?」
ユウヤが疑問して言う
「…え?」
AJが頷いて言う
「うんっ やっぱ そうッスよね!だから早くしないと…!」
ユウヤが言う
「…何で早くしないとヴァンパイアが増えちゃうんだ?AJ?」
AJが疑問して言う
「え?それはもちろんヴァンパイアに血を吸われたら そいつもヴァンパイアになっちゃうんスよね?…あれ?違うんスか?」
ユウヤが言う
「ヴァンパイアに血を吸われてもヴァンパイアにはならないよ?」
AJが言う
「え?そうなんッスか?」
ユウヤが言う
「ああ、そうだよ …あれ?以前も言っていたんだけど聞いていなかったのか?大体 もし、そうなってしまうのだとしたら」
AJが言う
「あ!そっか!?だとしたら俺もヴァンパイアになっちゃってますモンねっ!?」
ユウヤが苦笑して言う
「ああ、そうだよ… それに俺も…」
AJが考えながらバーガーを食べ終えて言う
「じゃぁ… 結局なんでアルはヴァンパイアになったんスか?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「…え?」
AJが言う
「それに もしかしたらリョウタも?俺はてっきりリョウタはアルに血を吸われたのかと…」
ユウヤが呆気に取られたまま言う
「いや… そんな事は2人のご両親からの聴取にも無かったし そもそも その2人は通っていた学校だって異なるから …まったくとは言わずとも その線は… 薄いと思うけど?」
AJが言う
「え?けど、アルの行ってたA校ってリョウタのB校と島争いしてますよね?」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「し、島争い!?」
AJが言う
「そうッスよ?俺はC校でしたから どっちかっつったら その2校とは別の島でしたから あんまりかち合わなかったッスけどね?A校とB校は結構激しく やり合ってたんじゃないッスかね?ユウヤ先輩の時はどうでした?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「島争い…?いや、俺の時はそんな… 学生が そんな事を?」
AJが言う
「あれ?そうなんッスか?なら何時からッスかね?俺らの時はありましたよ?それに、昨日C校の学生たちに聞いて来ましたけど その辺は大して変わって無いらしいッスね?むしろ今の方がハードになったらしくて うっかり自分らの島以外で遊んだりなんかしたら かなりヤバイらしいッスよ?特に夜なんかマジで?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「…知らなかった 俺たちの世代じゃ夜出歩くなんて事は考えられなかったから… 増して若い学生が…」
AJが言う
「あ… そうなんッスか?それはやっぱ… 夜はヴァンパイアが居るから… とか?」
ユウヤが言う
「うん… それもあるけど夜は出歩くなって… いや、個人的に目立つ行動をすると貴族の目に留まって何をされるか分からなかったからな?」
ユウヤが思う
(そうだ俺たちの世代ではヴァンパイアに怯えてでは無くて貴族に怯えて… 人間の貴族に…)
AJが言う
「あ~ そうなんッスか?じゃぁ… そのお陰ッスかね?俺らは夜は自分らの世界って感じで 好き勝手やってましたよ?夜はパトロールの警察も居ないですし?」
ユウヤが呆気に取られた後苦笑して言う
「うっ …AJ?それを警察の君が言うのはどうかな?」
AJが衝撃を受けて言う
「えっ!?あ… まぁそんな訳で!俺も夜はあいつらの好きにさせてやるべきなんじゃないかな~って?」
ユウヤが言う
「それで こんな事になっちゃってるんじゃないのかっ!?AJ!?」
AJが慌てて言う
「えっ!?サ、サーセン!…って 俺のせいッスか?」
ユウヤが言う
「いや… そうは言わないけど …でもそうか分かった それじゃ!」

AJが運転しながら言う
「あの~ 本当に行くんッスか…?ユウヤ先輩?」
助手席のユウヤが言う
「もちろんだよ AJ 君が彼らの溜まり場を知っていてくれて本当に助かった」
AJが表情を困らせて言う
「いや… 俺、ガッコーで進路決めた時… 仲間内から言われたんッスよね… 警察官になるってのは構わないけどアジトの事は絶対にバラすなって… 自分らのアジトはもちろんッスけど 別の島の連中のだって… 親や警察には隠すって言うのが あの場所を使っていたメンバーの ポリシーっつーか暗黙の決まりみたいな…?」
ユウヤが苦笑して言う
「大丈夫だよ AJ?学生たちが 皆 夕方から集まる場所なんだろう?そうとなれば行方不明になっている学生らの足取りを追っている警察には いずれは知られる… 君が今 俺に教えたとしても それが少し早まるだけだ」
AJが言う
「そりゃ… そうかもしれないッスけど… それを俺が教えるって事が当時の仲間たちを裏切るみたいで… いや、それだけじゃなくて先輩たちや後輩らの事も」
ユウヤが言う
「その先輩たちや後輩らを守る為でもあるんだ 学生たちが人知れず集まる場所があるだなんて… ヴァンパイアにとっては格好の餌場じゃないか?そうとなれば その学生たちがどれほど危険かヴァンパイアの力を垣間見た君にだって分かるだろう?」
AJが言う
「そりゃ… まぁ分かりますけど…」
ユウヤが苦笑して言う
「頭では正しいと分かっていても心の上では悪いと思う… 今のAJの気持ちは俺には良く分かるよ」
AJが言う
「それじゃ… ユウヤ先輩も …仲間を裏切った事があるんスか?」
ユウヤがハッとしてから言う
「仲間を… そうだな?俺は仲間を裏切った… 特にヴィンを…」
AJが疑問して言う
「ヴィン?」
ユウヤが言う
「いや… 何でもないよ …それより?」
ユウヤが周囲を見渡して思う
(詳しい場所は聞いていなかったけど このままじゃ…)
ユウヤが言う
「AJ?この道へ入ると後はアウターへ向かう道しかないだろう?それに」
ユウヤが思う
(いくら城の装置が動いているとは言っても)
ユウヤが言う
「アウターに近付くのは危険だ 別の道から行った方が」
AJが言う
「いえ この道で大丈夫ッス アウターまでは行かないッスから」
ユウヤが言う
「え?でも…?」
ユウヤが周囲を見渡して思う
(この辺りは あの作戦以前の時だって娼婦街として余り治安が良くなかった事から住民が少なくて それに あの作戦の後は 尚更 警察による治安維持活動の影響もあって今ではもう)
ユウヤが言う
「この辺りには廃墟しかないけど まさか こんな所に?」
AJが言う
「そうッスよ?スリルを楽しむ学生には うってつけの場所ッス!おまけに ここなら島争いでやりあったって大人たちの目には入りませんからね?」
ユウヤが言う
「なるほど… 確かに そうみたいだな?」
ユウヤの視線の先 男子学生たちが殴り合いをしている ユウヤが表情をしかめる AJが言う
「あれにも一応 暗黙の決まりがあってッスね?だから… まぁ怪我はしますけど?間違ってもヤっちゃったりとかはしませんから それに1対多数とかも無いッス 数は合わせるってルールもあるんで… けどD校だけは そう言うルールとか無視の連中なんで それで昨日は…」
ユウヤが苦笑して言う
「そうか ルール… か…」
AJが疑問して言う
「え?」
ユウヤが言う
「いや、何でもない …ルールは大切だよな?」
AJが微笑して言う
「そおッスねルール無しの喧嘩じゃ意味が無いッスからね?」
ユウヤが苦笑して言う
「うん… それがルールなんだろ?」
AJが言う
「はい!…あ、着きました ここッスよ …B校のアジトは」
パトカーが停車する ユウヤが呆気に取られて言う
「こ… こんな立派な屋敷が… 学生のっ!?」
ユウヤの視線の先 立派な屋敷がある AJが言う
「俺らのC校のアジトも似たような感じでしたよ?元々アウターギリギリの この辺って こんな感じの建物が結構あるんッスよ 中も綺麗だし… けど何処の建物も廃墟みたいで 持ち主が居なくって… だから学生たちがアジトとして使ってます」
ユウヤが言う
「そうだったのか… 知らなかった」
ユウヤが思う
(アジトか…)
ユウヤが辺りを見渡す AJが言う
「…先輩?ユウヤ先輩?」
ユウヤがハッとして言う
「あっ」
AJが言う
「大丈夫ッスか?それに… 行かないんッスか?」
ユウヤが言う
「ああ ごめん ちょっと考え事をしてて …それじゃ行って来るから」
AJが言う
「はい!…って?”行って来るから” って…?」
ユウヤが微笑して言う
「AJはここで待っていてくれ彼らと年齢の近い君が行くと君がアジトの事をバラしたと気付かれてしまうだろう?」
AJが言う
「そりゃっ そうかもしれないッスけど!?いくらなんでも 1人でなんて危ないッスよっ!?」
ユウヤが言う
「大丈夫だ …数は合わせる ルールだろ?」
AJが呆気に取られた後 苦笑して言う
「ユウヤ先輩…」
ユウヤが言う
「それじゃ?」
ユウヤがパトカーを降りて屋敷へ向かって行く AJが苦笑して言う
「ヤッベ… マジ カッケェや ユウヤ先輩」

ユウヤが屋敷のドアにある呼び金具を鳴らし周囲を伺う ユウヤが間を置いて言う
「…誰も居ないのか?」
ユウヤが思う
(確かに今の時間は まだ学校の授業がある時間だから…)
ユウヤが言う
「居ないのかもな…?」
ユウヤがもう一度呼び金具を鳴らす ドアの内側から声が聞こえる
「今開ける」
ユウヤが反応し気を引き締める ドアの鍵が開く音と共にドアが開かれ リョウタが驚く ユウヤが言う
「リョウタ君だね?」
リョウタが言う
「警察…」
ユウヤが言う
「うん 君のご両親から捜索願を受けて来たんだ」
リョウタが口をつぐむ ユウヤが微笑して言う
「親御さんが心配しているから 一度帰って元気な姿を見せてあげてくれ」
リョウタが言う
「…元気じゃねぇんだけど?」
ユウヤが苦笑して言う
「それは…」
リョウタが言う
「けど精密検査とか受けても… 治んねぇし」
ユウヤが反応する リョウタが言う
「母さんには俺は見付からなかったって… 言ってくれないかな?お巡りさん?」
ユウヤが言う
「それじゃ ずっとこのまま ここに?ご両親の元へは戻らないつもりなのか?」
リョウタが言う
「戻れる訳ねぇし…」
ユウヤが言う
「もしかして… 中には他にも… ”君の仲間”が居るのか?」
リョウタが間を置いて言う
「…だとしたら?」
ユウヤが言う
「うちの署に沢山の学生の捜索願が出されてるんだ 中にはリョウタ君と同じ学校の子も居るんだけど… もしかして皆も?居るのか?」
リョウタが間を置いて言う
「…この時間は寝てるよ 会いたいんなら夜来てくれないと」
ユウヤが言う
「夜来たら 彼らにも会わせてくれるかな?」
リョウタが言う
「…ああ 会わせるよ」
ユウヤが微笑して言う
「そうか… それなら また今夜 改めて来るよ」
リョウタが言う
「ここの事… 他の警察も知ってるのか?」
ユウヤが言う
「いや 俺と相方しか知らない けど他に知らせるつもりは無いよ?何故なら…」
リョウタが握ろうとしていた手をハッとさせる ユウヤが微笑して言う
「俺は君たちを助けたいと思っているから」
リョウタが驚いて目を見開く ユウヤが言う
「今夜 仲間たちに会いに来るよ… あ、言い忘れてた俺の名前はユウヤだ 皆にも宜しく伝えておいてくれ それじゃ?」
ユウヤが立ち去る リョウタが沈黙する リョウタの耳に車のドアの開閉音と続けて発車して行く音が聞こえる リョウタの後ろの通路の奥から 少年Aが出て来て言う
「何で帰したんだよ?警察を!」
リョウタが言う
「なら 何でお前は出て来なかったんだ?」
少年Aがムッとする 少年Bがやって来て言う
「それよりどうする?警察がこの場所に気付いたみたいだ」
リョウタが言う
「いや、あの人は この場所の事は自分と相方しか知らないと言っていた だとすれば …警察自体には まだ知られていないのかもしれない」
少年Aが言う
「馬鹿かお前っ!?アイツが その警察じゃねぇかっ!?」
リョウタが言う
「警察は警察でも…」
少女Aが現れて言う
「私たちの味方になってくれるかもしれない?」
リョウタが沈黙する 少年Aが不満そうに言う
「はぁあっ!?お前…っ!?」
リョウタが言う
「このままじゃ いつか この場所は警察に知られる… もし、あの人が本気で俺たちを助けたいって言ってくれているのなら… 俺たちが助かる可能性も有るのかもしれない」
少年Aが呆れて言う
「ばっかじゃねぇの?これだから良いトコのお坊ちゃんはよっ!?あいつがマジで俺らの仲間になんかなる訳がねーだろ!?知らねぇのか!?あの位のおっさん連中が14年前にヴァンパイアを退治したんだぜ!?俺なんか しょっちゅう親父連中から聞いてたんだっ 大喜びで話してたぜ!?ヴァンパイアが居なくなって平和になったってよ!?」
少女Aが言う
「私も聞いた事ある… 警察がこの世界を救ったって… ヴァンパイアからね?」
少年Bが言う
「あの警察 もう一度 今夜 来るって言ってたな?…本当に来ると思うか?」
リョウタが言う
「来るだろう… お前たちにも会いたいって言っていたよ… よろしく伝えてくれってさ?」
少女Aが言う
「聞こえてたに決まってるでしょ?奥の部屋に居る連中にだって聞こえてたわよ?」
リョウタが言う
「その皆は?」
リョウタが通路の奥を見る

車内

AJが驚いて言う
「えぇえ!?ユウヤ先輩っ!?リョウタが居たって言うのに そのまま置いて来たんッスかっ!?」
ユウヤが言う
「うん 親御さんの所へ帰ってくれって言ったんだけど 帰れないって言うから」
AJが言う
「だ、だからって…っ!?」
ユウヤが言う
「それに あの屋敷には他にも仲間が居るって」
AJが言う
「仲間って… そりゃガッコーが終わる頃には島の連中が集まるでしょうから?」
ユウヤが言う
「いや、そっちの仲間じゃなくて …同じヴァンパイアの仲間が」
AJが衝撃を受けて言う
「えっ!?ヴァンパイアの…っ!?」
ユウヤが言う
「だから 今夜もう一度行かないと… 約束して来たんだ …残業手当出るかな?」
AJが慌てて言う
「だ、駄目ッスよっ!?ユウヤ先輩っ!?」
ユウヤが言う
「そうだよな?最近うちの部署 残業にうるさいから」
AJが言う
「いや、そうじゃなくてっ!」
ユウヤが言う
「まぁ しょうがない今回はサービス残業って事で」
AJが怒って言う
「ユウヤ先輩っ!!」
ユウヤが軽く驚いてAJを見る AJは真剣な表情で正面を向いたまま言う
「…本当に行くんスか?」
ユウヤが一瞬間を置いた後 静かに言う
「…うん 行かないと始まらない」
ユウヤが思う
(そうだ これは…)
AJが言う
「始まらないって… 何を始めるつもりなんッスか?…もしかして またヴァンパイア退治を?」
ユウヤが言う
「いや、それは もう… やらないよ?」
ユウヤが思う
(一度は裏切った)
AJが驚いて言う
「えっ?…けどっ!?警察おれたちは それをやろうとしているんじゃないんッスかっ!?」
ユウヤが言う
「うん… だとしたら俺は警察としてじゃなくて」
ユウヤが思う
(俺がやるべき事は… 俺たちの…)
AJが疑問して言う
「警察としてじゃ …なくて?」
ユウヤが言う
「ゲートキーパーズとして行って来る」
AJが呆気に取られて言う
「ゲート… キーパーズと して…?」
ユウヤが思う
(一度は俺が壊した でも、もう一度… 俺はやらなければいけない)
ユウヤが間を置いてから苦笑して言う
「…あれ?俺 滑ったか?AJ?」
AJが呆気に取られて言う
「え?…あ、じゃ まさか今のは …冗談?」
ユウヤが軽く笑って言う
「そうだよ?駄目だなAJ?先輩の笑いのツボに付いて来てくれないと?」
AJが困り苦笑しながら言う
「あ… ああ…?な、なんだ… 冗談 …か は、ははは… や、やっぱユウヤ先輩の笑いのセンス!半端なく!わ… 分かんねぇ~?」
ユウヤが軽く笑う
「っはははは」
AJが困惑しながら笑う
「は、ははは~…?」
ユウヤが思う
(やっと分かったよ ヴィン… リック、テール… ゲートキーパーズは人間とヴァンパイアの間を取り持つ者 それが俺たちゲートキーパーズなんだ)
ユウヤの乗る車の見える建物の屋根の上に居る人物の衣服が風になびく

署内

ユウヤとAJが帰って来る ユーノスが気付いて言う
「ああ、戻ったかユウヤ巡査」
ユウヤが気付き言う
「あ、はいユーノス警視 ただ今戻りました!」
ユウヤが敬礼する AJが同じくする ユーノスが敬礼を返してから言う
「うむ、捜査状況の確認をしたいユウヤ巡査、AJ巡査も2人ともこちらへ来てくれ」
ユーノスが言いながら取調室へ向かう ユウヤが言う
「はいっ」
ユウヤがユーノスの下へ向かう AJがユウヤを見てから続く

取調室

AJがドアを閉めるのをユーノスが確認してからユウヤへ言う
「率直に答えを聞きたいユウヤ巡査 …例の捜索願の出されている少年は確認出来たかね?」
ユウヤが言う
「いえ、まだ見付かっていません」
AJが僅かに驚きユウヤを見る ユーノスがAJを一瞥してからユウヤへ言う
「手掛かりは?」
ユウヤが言う
「ありません」
AJが驚き視線を逸らして考える ユーノスが2人の様子を見た後軽く息を吐いて言う
「ユウヤ巡査」
ユウヤが言う
「学生たちが良く集まると言う場所を確認出来ました 明日1番にでも現場へ向かってみようと思います」
ユーノスが気を取り直して言う
「そうか …では、もしその少年らがヴァンパイアとなった事が確認された際は…」
ユウヤがユーノスを見る ユーノスが言う
「我々警察は彼らの射殺を了承されている 速やかに銀の銃弾を充填した拳銃を用いて 彼らを射殺するようにとの命令だ」
ユウヤが言う
「その命令は誰が?」
ユーノスが言う
「もちろん我々警察のトップらによる命令だ」
ユウヤが言う
「警察のトップ… それは?」
ユウヤが思う
(そうだ考えた事も無かった警察のトップ… 貴族が居た頃は それも貴族であったかもしれない… なら今は?)
ユウヤがユーノスを見る ユーノスが間を置いた後苦笑して言う
「私も実際に目にした事は無いが 我々の様な街の警察署の者には一生縁の無い役職の方々だろう?」
ユウヤが思う
(ユーノス警視も会った事が無いのか…?)
ユウヤが間を置いて言う
「…そうですか ユーノス警視が会った事が無いと言うのでしたら 俺なんか絶対会えませんよね?」
ユーノスが一瞬困ってから苦笑して言う
「いや… そんな事は無いだろう?ユウヤ巡査は私よりずっと若いのだから可能性は… 無くは無い」
ユウヤが思う
(それじゃもし会えたとしたら… 俺はどうするつもりだったんだ?)
ユウヤが言う
「いえ、俺は元々警察官候補生ですし …って事で」
ユウヤがAJへ向いて言う
「頑張れよ?AJ?」
AJが衝撃を受けて言う
「えっ!?お、俺っ!?」
ユーノスが苦笑して言う
「そうだな?署内最年少のAJ巡査であるなら 頑張り次第ではその地位まで辿り着けるかもしれんな?」
AJが慌てて言う
「そ、そんなっ 無理ッスよ!?何十年掛かると思ってるんスかっ!?」
ユウヤが言う
「何十年なんてヴァンパイアなら あっと言う間みたいだけど?」
AJが言う
「そんな事を理由に俺はヴァンパイアになりたくはないッスからっ!」
ユウヤが軽く笑う ユーノスが苦笑する

警官たちが帰宅して行く 警官Aがユウヤへ言う
「お先にユウヤ巡査」
ユウヤが言う
「お疲れ様でした」
警官Bが言う
「相変わらず頑張るな?余り無理はするなよ?」
ユウヤが言う
「有難う御座います お疲れ様でした」
警官たちが全て居なくなる ユウヤがそれを確認して言う
「…よし」
ユウヤが立ち上がる

装備室

ユウヤが警察の装備を外し置いて言う
「時間外に これは持って行けない …けど」
ユウヤがリボルバーを見て思う
(こっちは警察の武器ではあっても 俺の私物だし… それに俺には)
ユウヤが試験管を見て思う
(現代警察の自動式の銃より これの方がずっと… 数も効果も強力だ)
ユウヤが言う
「…とは言っても」
ユウヤが思う
(いくら強力な武器を持っていても 人間の俺のスピードでヴァンパイアに敵うとは思えないけどな?それでも…)
ユウヤがリボルバーと試験管を銃ホルダーへセットする

B校アジト

ユウヤがドアの呼び金具を鳴らす 間を置いて リョウタがドアを開け僅かに驚いた後言う
「…本当に来たのか しかも1人で?」
ユウヤが微笑して言う
「夜にもう一度来るって伝えたろう?それにヴァンパイアを相手に人間の仲間を大勢連れて来ても犬死にさせるだけだし… 大体 話をするだけなら俺1人で良い筈だ」
リョウタが沈黙してから言う
「アンタ… 怖くないのかよ?ヴァンパイアが」
ユウヤが言う
「それはもちろん敵だとすれば怖いけど?」
ユウヤがリョウタを見る リョウタが反応する ユウヤが微笑して言う
「少なくとも俺はリョウタ君を敵だとは思っていないからさ?」
リョウタが一瞬驚いてから 表情をしかめて言う
「仲間だと言ったつもりは無いけどな?」
ユウヤが言う
「でも敵ではないだろう?それなら お互い話をする価値はあると思うんだ」
リョウタが考えてから言う
「親の所へ帰れって話だったら最初から断っておくけど それ以外の話なら… 他の皆も聞きたいって言ってる」
ユウヤが微笑して言う
「良かった 有難う」
リョウタが表情をしかめて言う
「だから まだ話が上手く行った訳でもねぇのに…っ」
通路の奥から少年Aの声が聞こえる
「おいっ リョウタ!話ならこっちにもあるんだ 早く連れて来いよっ!」
リョウタが黙る ユウヤが言う
「行こう?皆に紹介してくれよ?」
リョウタが言う
「後悔しても知らねぇぞ?止めるなら今の内に…」
ユウヤが言う
「後悔なら もう十分にしたんだ」
リョウタが疑問する ユウヤが正面を見詰めたまま言う
「だから ここからは俺自身の意思で俺の考えでやる事だ 誰の為でもせいでもない それなら… 今度こそ後悔はない」
リョウタが考えてから言う
「…分かった いや、分かんねぇけど止める気はねぇって事は分かったから …皆に紹介するよ 入って」
ユウヤが微笑して言う
「うん …手土産も無くて悪いな?」
リョウタが苦笑して言う
「そんなもんいらねぇよ …下手すりゃアンタ自身が手土産だ」
ユウヤが軽く笑って言う
「はは…っ それもそうだな?」
リョウタが呆気に取られた後 苦笑して言う
「アンタ変な人間だな?俺が今も人間だったとしても きっと そう思うよ…」
ユウヤが微笑する 屋敷の扉が閉まる

ユウヤが呆気に取られる リョウタが言う
「アンタが来るかもしれないって事で ふつーの奴らは今日は帰らせた …だから今ここに居るのは」
ユウヤが一人一人の顔を見てから頷いて言う
「ああ、皆 親御さんたちから捜索願の出されている顔だな?名前の方は… ごめん 就業時間外に資料は持ち出せなくて それに人数も多いから覚え切れなかった… けど、顔は覚えておいたから」
少年Bがユウヤに近付いて来て言う
「それで?…捜索願が出されてるって?だから俺らを連れ戻しに来たのかよ?お巡りさん?」
ユウヤが言う
「いや、そもそも その君たちがここに居るのは君たちを大切に思う親御さんたちと同様に 君たち自身もご両親やご家族に危害を加えない為… その対策としてなんじゃないのか?」
少年たちが反応する ユウヤが微笑して言う
「だとすれば まずは そちらの対策を得てからじゃないと 親御さんたちの希望であり 君たちの望みでもある …君たちを自分たちの家に帰らせると言う事は出来ないからな」
少年たちが視線を逸らす ユウヤが思う
(やっぱり帰りたいんだな?そうだよな?突然 自分たちがヴァンパイアになって… 人間じゃなくなったなんて過去のヴァンパイアを知る俺たち以上に彼らの方が困惑している筈だ… 増して)
少女Aが言う
「…帰りたいよ だけど警察が何か出来るって言うのっ?警察はヴァンパイアを殺すんでしょっ!?お母さんが言ってたもんっ!」
少年Aが言う
「ざけんなよっ!?お前ら忘れたのか?俺らは無敵のヴァンパイアだぜ!?何で今更 警察なんかにビビってんだよっ!?それに てめぇも!警察として俺らを親の下へ引っ張って行くって言うならまだしも 対策だぁ?はっきり言えよっ?俺らを殺す為に!その俺らがヴァンパイアだって事を確認しに来たんだろうがよっ!」
少女Aが両手で顔を覆う ユウヤが言う
「確かに驚いたよ まさか… 全員がヴァンパイアになっていたとは… てっきり獲物にされているのだと思っていたんだ …だけど」
少年Aが不満そうに言う
「『だけど 全員ヴァンパイアになってました~』…そう伝えるんだろう?けど残念だったな?お巡りさん?アンタはここで!」
少年Aが瞬時に牙を剥く リョウタがハッとして言う
「止めろっ!」
ユウヤが言う
「動くなっ」
少年Aが疑問する ユウヤが少年Aの胸にリボルバーを突き付けていて言う
「俺は君たちを助けたいんだ その為に ここに来た …俺は確かに警察官だけど出来れば もうこれ以上ヴァンパイアを殺したくない… だから お願いだ」
ユウヤが少年Aの目を見て言う
「俺に この銃を撃たせないでくれ」
少年Aが言う
「銃なんか… 怖かねぇんだよ!俺らヴァンパイアはなっ!さっさと死ねぇえー!」
少年Aが手を振り上げる ユウヤが視線を強める 重い銃声が響く 少年たちが驚く 少年Aが一瞬目を見開いた後 苦笑して言う
「…から 言ってるだろ?ヴァンパイアに 銃なんか… …っ!?」
少年Aが被弾した傷から湧き出す出血に呆気に取られて言う
「な…なんで?血が… 止まらねぇっ?」
ユウヤが言う
「銀の銃弾だ 銀はヴァンパイアの力を奪う その傷は治らない」
少年Aが言う
「銀の… そ… んな…」
少年Aが倒れて動かなくなった後 肉が腐る 少女Aが口を押さえて怯える 少年たちが息を飲む ユウヤが少年たちへ銃を向けて言う
「今の警察は皆 銀の銃弾を詰めたヴァンパイア対策の銃を装備している それに警察には その銃を遥かに越えるヴァンパイア退治の秘策があるんだ …君たちに勝ち目は無い」
少年たちがユウヤを見て視線を強める ユウヤが銃の撃鉄を上げて言う
「…だから協力してくれ 君たちを助ける為には君たちの協力が必要だ俺に力を貸して欲しい」
少年たちが疑問してから 少年Bが言う
「…つまり警察のアンタが警察から俺たちを助けてくれるって言うのか?」
ユウヤが言う
「俺1人では出来ない それに… 本当に助けられるかも分からない… 勝手な事を言っているのは分かってる だけど… 今度は本当に守りたいんだ俺の仲間である君たちを… そして 叶えたいんだ仲間との約束をっ!」
リョウタが言う
「その仲間って?アンタの仲間との約束って何なんだ?」
ユウヤが言う
「俺の仲間は… 人間とヴァンパイアの両方で約束は… えっと… そうだな?沢山有ったよ?ルールがあったから… だけど俺が叶えたいと思っているのは」
皆が注目する ユウヤが言う
「人間とヴァンパイアとの共存を」
少年たちが言う
「共存…」
ユウヤが言う
「警察は今もう一度ヴァンパイアを退治しようとしている だけど そんな事じゃ きっと何時まで経っても終わらない …同じ事が繰り返されるのでは意味が無い筈だ」
少年たちが顔を見合わせてからユウヤを見る ユウヤが言う
「だから俺はまずヴァンパイアとなった君たちを守る そして、出来る事なら人間に戻したいと思う… と言っても それは残念ながら出来るかどうかは分から無いけど… でも どうか俺に教えてくれないか?…何故 君たちはヴァンパイアになったんだ?一体どうして?どうやって?」
少年Bが息を吐いて言う
「こいつは驚いた… まさか こんな大人が… しかも警察に居るなんてよ?」
少年Cが言う
「ああ、本当に… それに…」
ユウヤが屈んで少年Aの遺体を確認して思う
(これは… まるで14年前のヴァンパイアの遺体を片付けた あの時と同じ… やはりヴァンパイアは その身に銀を受けると これほどまで腐敗してしまうのか… とても ついさっきまでの あの少年の姿とは思えない …これでは司法解剖でも)
ユウヤが表情を落としてから言う
「彼には… すまなかったと思う… それに…」
少女Aが言う
「まるで犯した罪の重さみたい」
ユウヤが言う
「え?」
少年Bが言う
「そいつ… 自分がヴァンパイアになった事に大喜びして辺り構わず色んな人間の血を吸いまくってたんだ …そのせいかもな?」
少女Aが言う
「レイナ先輩は死んでも そんな風にならなかったもの…」
ユウヤが言う
「レイナ先輩…?…あっ」
ユウヤが思い出して思う
(B校の女子生徒レイナ… 捜索願の出されていたっ!)
ユウヤが言う
「彼女は… 死んでしまったのか?」
リョウタが言う
「ああ、自分がヴァンパイアになったと分かって …自殺した その時俺らも知ったんだ銀のナイフで心臓を刺せばヴァンパイアだって死ねるんだって」
少年Bが少年Aの遺体を見て言う
「レイナはこんな風にはならなかった… 人間の姿のままで …けど牙はあったからな?両親に自分がヴァンパイアになった事を知られたくねぇって言ってたから… 俺たちで埋めてやったよ… この屋敷の庭に… 他にも2人」
ユウヤが言う
「…そうだったのか やっぱり君たちも苦しんでいたんだな?」
少年Bが言う
「そう言う連中だけって訳でもねぇけどな?」
ユウヤが少年Bを見る リョウタが言う
「今は島争いが激化してるから 良い気になっている奴らも多いよ D校とかマジでヤバイし… うちにだってコイツが居たくらいだ」
リョウタが少年Aを見る ユウヤが言う
「…そうか うん、考え方は皆一様では無いから ヴァンパイアになった事を喜ぶ元人間だって 居るだろう」
少女Aがユウヤに掴み掛かって言う
「ねぇ!?本当に治せるの?人間に戻れるの?私たちっ!?」
ユウヤが言葉に詰まる 少年Bが言う
「治せるとは言ってねぇだろ?」
リョウタが言う
「ああ、それでも大人の仲間が出来れば 俺たちが助かる可能性はあるかもしれない」
少年Cが言う
「増して警察の人間だ… ヤバイ時には助けてくれる …んだよな?」
ユウヤが言う
「俺に出来る限りの事はするよ」
少女Aが言う
「出来る限りってっ!?そんなんじゃっ!」
少年Bが少女Aを引き離して言う
「好い加減にしろ」
少女Aが言う
「だってっ やっと大人の人が…っ」
少年Cが苦笑して言う
「そりゃまぁ ヴァンパイアになったってガキの俺らよりは頼りに見えるよな?」
ユウヤが苦笑して言う
「頼りになれるかどうかも分からないけど… 俺に出来る事をやるしかない」
ユウヤが思う
(それは以前も同じだった… だけど今度は)
ユウヤが言う
「今度は誰かに言われてじゃない自分で考えて見付けた答えに向かって やれる事を精一杯やる そして何があろうと …今度こそ絶対に俺は君たちを裏切らない約束する」
少年たちが顔を見合わせた後 リョウタが苦笑して言う
「なんか…」
少年Bが言う
「頼りになるんだか ならねぇんだか分かんねぇけど…」
少女Aが苦笑して言う
「でも… 嬉しいかも…?」
少年Cが言う
「まったく大人っぽくねぇ大人だな?アンタ?おっさんの癖に?」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「お、おっさん …か は、はは…」
リョウタが言う
「信じるよアンタの事… 俺らの仲間だって」
ユウヤが微笑して言う
「有難う これで やっと前進出来るよ」

≪ 俺の止まっていた14年前からの時間が この日 一発の銃声と共に再び動き始めた ≫

ユウヤがリボルバーを見て苦笑して言う
「…まだ湿気って無かったんだな?」
リボルバーが光を受けて銀色に光る


続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...