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2章
アナザーゲートキーパーズ 『ヴァンパイアの仲間』
しおりを挟むユウヤがスコップで土を盛って言う
「よし… これで 後は」
ユウヤが横を見て そこにある墓標を持ち上げようとして言う
「クッ… 重い…っ」
ユウヤが表情をしかめる 途端に墓標が軽々と持ち上がり ユウヤが呆気に取られて顔を向ける リョウタが言う
「手、貸すよ」
ユウヤが苦笑して言う
「あ… 有難う けど…」
墓石が更に持ち上がりユウヤの手を離れる ユウヤが顔を向けた先で少年Bが言う
「アイツが馬鹿やるの止められなかったもんな?」
ユウヤが言う
「いや 彼の命を奪ったのは俺だから 君たちに責任は」
少年Cが墓石に手を掛けて言う
「これが仲間のけじめって奴だ 俺らのルールでもある だから手伝わせろよ?」
少年Dが言う
「そうだよな 俺らだって全員で止めようとすればアイツを止められた けど出来なかった …なら やっぱ俺たちの責任だ」
少年たちが皆で墓標を持ち上げ ユウヤが土を盛った場所へ置く ユウヤが頷き墓へ手を合わせる 皆がそれに倣う 少女Aが言う
「お父さんと お母さんと… 弟さんたちとも 天国で仲良くね…?」
ユウヤが少女Aを見る 少女Aが言う
「…殺しちゃったんだって 吸いたい気持ち押さえられなくて… そのせいだと思う なりふり構わず色んな人を襲って… 馬鹿やっちゃってた」
ユウヤが表情を落として言う
「そうか… 彼も辛かったんだな?」
少女Aが言う
「うん… もうダメだって… 思ったのかも…?」
ユウヤが少女Aを見る リョウタが視線を伏せる ユウヤが気付きリョウタへ視線を向ける 少年Bが言う
「で?どうするんだよ?えっと …お巡りさん?」
ユウヤが一瞬呆気に取られた後 苦笑して言う
「お巡りさんか… まぁ そうではあるんだけど」
少年Bが気恥ずかしそうに言う
「じゃ、じゃぁ …何?…何だよ?」
少女Aが含み笑いをする 少年Bが怒って言う
「笑うなっ」
リョウタが言う
「取り合えず中へ入ろう ユウヤさんがこのアジトに居る事が 他の島の連中に見られると面倒だし」
少年Cが言う
「そうだな?取り合えず話は中で」
少年Bが言う
「なら そうって事で… 行くぜ?ユウヤサン?」
ユウヤが微笑して言う
「うん」
ユウヤが作ったばかりの墓と その横に並ぶ他の3つの墓を見てから 皆に続く
アジト 内
皆が部屋に戻り ユウヤが言う
「それじゃ改めて聞かせてもらいたいんだけど?」
少女Aが言う
「それって さっきの?」
ユウヤが言う
「うん、君たちが どうしてヴァンパイアになったのか… 何か原因となる事が…?」
少年Bが言う
「そんなの分かんねぇよ」
ユウヤが呆気に取られて言う
「え?分からないって…?」
ユウヤが他の少年を見る 他の少年たちも頷いてみせる ユウヤが呆気に取られて言う
「それじゃ?」
ユウヤが思う
(どう言う事だ?ヴァンパイアになったのは 何か原因となるものが あったんじゃなかったのかっ?)
リョウタが言う
「分かっていたなら もっと早くに… 人間である内に何か出来る事は無いか確認したよ」
ユウヤが言う
「…と言う事は つまり自分たちでは分からない内に?ある日 急にヴァンパイアになった… と言う事なのか?」
少年たちが頷く ユウヤが呆気に取られる 少女Aが言う
「最初は何を食べても美味しいって感じなくて 風邪でも引いたのかと思った」
少年Bが言う
「ああ、俺は何時も食ってた好物が美味いって感じなくて その時は ただ味に飽きたのかなって思ってたよ… けど その内」
リョウタが言う
「その内 体が食べ物を受け付けなくなって… 親にも心配されて病院で点滴を受けたりした… その時の検査なんかで異常は無かったよ」
ユウヤが言う
「それでリョウタ君はその後 点滴さえも体が受け付けなくなってしまったって… お母さんから伺ったけど?」
リョウタが一瞬反応した後 言う
「うん… …て言うか その頃には もうヴァンパイアになっていたんだと思う …血が欲しいって感じてたんだ この飢えを満たせるのはソレなんだ …って」
リョウタがユウヤから目を逸らして黙る ユウヤが気付き言う
「あ… ああ そっか?ごめん… 皆 俺が居ると苦しいんだよな?分かった それじゃ… なるべく早く終わらせるから」
少年たちが沈黙する
翌日 警察署
ユウヤが資料を見ながら思い出している
ユウヤが言う
『では一応 確認をして置きたいんだけど 君たちは皆ヴァンパイアに吸血をされる所か自分がヴァンパイアになるまでは見た事も会った事もなかった …と?』
少年Bが言う
『ああ、まったく無かったぜ?』
リョウタが言う
『そもそも俺はヴァンパイアなんてものが居るって言う事すら信じちゃ居なかった』
少女Aが言う
『私のお父さんやお母さんは見た事があるって言ってたよ?だから夜は外に出ちゃ駄目だって』
ユウヤが言う
『夜は外に…?それは…』
少年Cが言う
『そんなのヴァンパイアにこじつけて 夜 外に出させない為の口実だろ?実際 俺らは昼間だって自由に外を歩けるんだ』
少女Aが言う
『そうだね?…じゃ、ホントは お父さんたちだってヴァンパイアに会った事は無かったのかも…?』
少女Bが言う
『私はヴァンパイアに襲われるじゃなくて 貴族にさらわれるって聞いたけどな?』
少女Aが言う
『キゾク?なにそれ?』
少女Bが言う
『え?知らないの?貴族って言うのは~』
少年Cが言う
『おいおいストップストップだ!…ったく 今話してるのは貴族じゃなくてヴァンパイアの話だろ?話が逸れてるってのっ これだから女は…』
少女Bが言う
『何よっ …ユウヤお巡りさんだって何か原因になる事は無いか~?って聞いてるんだから だったらヴァンパイアでも貴族でも良いじゃない?』
少年Cが言う
『良くねぇだろ!?』
ユウヤが言う
『あ、いや貴族もヴァンパイアと同じく14年前までは居たんだ だから まったく関係が無いと言う事も…?』
少女Bが言う
『ほら?ユウヤお巡りさんだって そう言ってるし!』
少年Cが言う
『…はぁ ユウヤお巡りさん?あんま甘くしてると どんどん話が逸れてくぜ?』
少女Bが怒って言う
『もぉっ』
ユウヤが苦笑して言う
『まぁまぁ?それに視野を広げると言うのも本当に悪くは無いよ?…うん それに話が逸れ過ぎた時には そうやって皆が修正してくれるんだから良いんじゃないか?』
少女Aが笑う 少女Bが言う
『ユウヤお巡りさん やっさっし~!』
少年Cが言う
『その修正をやる俺の身にもなってくれよな?』
皆が笑う ユウヤが苦笑してから言う
『…しかし、そうだな?貴族やヴァンパイアが居た 14年前でも君たちは生まれていた… 当時は… 2歳くらいか?もしかしたら その頃にヴァンパイアに会っていたという可能性も否定は出来ない… これも君たちの親御さんに確認してみるか…』
ユウヤが資料を見ながら思う
(14年前 ヴァンパイアが居なくなる以前に彼らがヴァンパイアに接触していたと言う可能性は否定は出来ない… そして、その影響で彼らがヴァンパイアになった…?いや?もしかしたら彼らのご両親が接触していたと言う事も?)
ユウヤの脳裏に 14年前の城から見た ヴァンパイアの遺体が大量にある風景が思い出される ユウヤが目をつぶって思う
(あの時は驚くほどのヴァンパイアの遺体を見た… だけど もし、両親がヴァンパイアと会っていたり もしくは吸血されていた事が原因だとしたら ヴァンパイアの数はもっと多くなる筈だヴァンパイアは人間の血を吸う… それこそ1人のヴァンパイアが複数の人間を… そうとなれば人間とヴァンパイアの対比は いずれは逆転する筈… なら?)
ユウヤが顔を左右に振ってから思う
(…いや?根拠の無い事をいくら考えても駄目だ だから もっと確実に… やっぱり、まずは彼らの親御さんへ連絡を付けて彼らが2歳になるまでの間にヴァンパイアに接触していたかどうかの確認をしてみよう!まずは そこからだ!)
ユウヤが言う
「よしっ」
ユウヤが立ち上がる ユーノスがやって来て言う
「ユウヤ巡査」
ユウヤが慌てて言う
「あ、はいっ!」
ユーノスが言う
「今日はまた一段と早い様だが?何かあったのか?」
ユーノスがユウヤの前に広げられている資料を見る ユウヤが苦笑して言う
「いえ?何かあったと言いますか…?むしろ何一つ検討が付かなくて…」
ユーノスが言う
「そうか では少し話をしたい ユウヤ巡査 場所を変えよう来てくれ」
ユウヤが言う
「え?あ、はいっ」
ユーノスとユウヤが 取調室へ向かう
取調室
ユーノスが言う
「これを見てくれ」
ユウヤが資料を見て言う
「これは… 出生届… ですね?」
ユーノスが言う
「うむ、ヴァンパイアとなった子供たちの情報を集めていた際に思い出してな?それでヴァンパイアとなった彼らを含む同世代の若者たちを中心に彼らの出生届を集めてみた」
ユウヤが資料に目を通す ユーノスが微笑して言う
「所でユウヤ巡査は実際に役所へ出生届を提出した事は?」
ユウヤが言う
「はい あります 息子の出生届を自分が役所へ提出しましたので その時に… ですから この出生届けを見たのは2回目で… うん?あれ?この数字は…?」
ユウヤが見ていた出生届に疑問して数枚を確認する ユーノスが頷いて言う
「うむ、気付いたか 上部の欄外に整理番号が打たれているだろう?」
ユウヤが言う
「整理番号?では、役所の方で事務処理をする為の番号 …と言う事ですよね?」
ユーノスが言う
「その整理番号は その年ごとに1番から振られているものだそうだ」
ユウヤが言う
「なるほど?では その1年間に限った番号と言う事ですかね?」
ユーノスが言う
「そう言う事になるな?」
ユウヤが出生届を見ていて気付いて言う
「…ん?あれ?番号が…?」
ユウヤが思う
(無くなった…?)
ユウヤがユーノスへ向いて言う
「あのユーノス警視?この出生届けから先のものには そちらの番号が振られていないようですが?」
ユウヤが資料を見直して考える
(年が変わった訳でもないのに何故急に…?)
ユウヤがハッとして 出生届を確認し直す ユーノスが言う
「そう言う事だ そちらの整理番号は ある時を境に割り振られなくなっているのだが …分かるか?」
ユウヤが日付を確認して思う
(この年月はっ!)
ユウヤが顔を上げて言う
「14年前の…っ ヴァンパイア殲滅作戦が行われた あの日からと言う事ですね!?」
ユーノスが頷いて言う
「その通りだ」
ユウヤが一度息を飲んでから気を取り直して言う
「…いや?では何故?あのヴァンパイアの殲滅作戦と人間の子供の出生届への整理番号… この2つに何か関係があると?」
ユーノスが言う
「そうか… ユウヤ巡査がセイヤ君の出生届けを出す時には既に この整理番号は振られなくなっていた そうとなれば そちらの整理番号の理由を知らないのも無理は無い」
ユウヤが言う
「セイヤの出生届を出す時には無くなっていた整理番号の理由?そもそも番号が無くなったのはヴァンパイアが居なくなった時で?その頃から整理番号は必要でなくなった …と言う事ですよね?つまり その番号は…?」
ユウヤが思う
(逆に考えればヴァンパイアの居た世界では必要とされていた番号と言う事だ …だけど、それは何故?)
ユウヤがユーノスを見る ユーノスが頷いて言う
「では ここまでを踏まえて聞いて欲しいユウヤ巡査?これから言う事は私とユウヤ巡査だけの秘密事項とする良いかね?警察内であっても口外は許されない そして以後この件に関する報告やその他は 全て こちらの密室取調室にて行う」
ユウヤが言う
「え?は、はいっ!?分かりました!」
ユウヤが思う
(警察の仲間内であっても秘密だって事か?何故…?俺たちは今 皆でヴァンパイアの再発の謎を調べているのに?)
ユウヤがユーノスへ向く ユーノスが言う
「では伝えよう この整理番号はだな?役所が割り振っているものではあるが正確に言うのであれば役所が各街の城からの指示を受け行っていた作業だったんだ」
ユウヤが驚いて言う
「役所が城からの…?つまり貴族からの命令であったと言う事ですか!?」
ユーノスが言う
「そう言う事だ そして指示の内容は街の子供の出生届へ番号を割り振り それを保管し2年後に その出生届を城へ提出する 共に その子供たちへ城への招待状を送れと言う内容だった」
ユウヤが言う
「城への招待状っ!?」
ユーノスが言う
「ああ、私も33年前には受け取ったよ… 息子宛のメルス城への招待状をな?」
ユウヤが言う
「では その内容はっ!?」
ユーノスが言う
「内容と言う程の物ではなかったが… 日時が記載されており その日その時に自分の子供を城へ連れて来る様に …と言ったものだった」
ユウヤが言う
「自分の子供を城へっ!?そんな…っ では それでっ!?ユーノス警視は連れて行ったのですか!?」
ユーノスが言う
「ああ連れて行ったとも… もちろん、大切な子供を何をされるかも分からない横暴な貴族の城へなど連れて行きたくなど無かった… だが それでも… 当時は貴族に逆らう事などは出来なかった だから招待状などと柔らかい言葉で記されようとも その実は貴族からの命令と言うのに相応しいものであり我々警察を含む街の者たちは従う他に無かったんだ」
ユウヤが言う
「そうですね… それは分かります しかし14年前には あの城に居た貴族そのものがゲートキーパーズによって退治された それで」
ユウヤが思う
(14年前といえばヴァンパイアを殲滅させた あの作戦の事が色濃くあるけど各街の貴族をゲートキーパーズが退治したのも同じく14年前なんだ …だから!)
ユウヤが言う
「出生届に城への招待状を送る為の整理番号は振られなくなった」
ユーノスが言う
「ああ、そうだな?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「…え?では それで良いのでは?他には何も…?」
ユウヤが思う
(それで全てが解決されたのでは?)
ユーノスが言う
「だが、しかし それにしては どうも そちらへ関連していると思わしき事が起きている この出生届の整理番号なのだが… 奇怪な事に この年の整理番号の113番目 ”以降の子供たちが” 皆ヴァンパイアとして確認されているか もしくは現在行方不明となっている」
ユウヤがハッとして資料を見直して言う
「えっ?…あ、本当だっ!整理番号113番のアルフレット君から後の子供たちが…っ!?」
ユウヤが思う
(これは 一体どう言う事だ!?)
ユーノスが言う
「そこで今度はもう片方 役所から城へ届けられた そちらの出生届が その後どうなったのか… あの城で それらの出生届が どの様に処理されていたのか そちらを確認したい …行って来てくれるか?ユウヤ巡査?」
ユウヤがユーノスを見て言う
「はいっ!行きます!」
ユーノスが頷く
メルス城
警察官がユウヤを先導して来て言う
「ここが当時、ナラーシャナラーシャ公爵が執務室として使っていた部屋であると思われている場所です」
ユウヤが言う
「分かりました では少し確認したい事があるので」
警察官が言う
「はい 何かありましたら呼んで下さい」
警察官が立ち去る ユウヤが部屋を見渡してからデスクを見て言う
「…よしっ」
ユウヤがデスクへ向かい デスクにある資料などの確認を始めながら思う
(それにしても?各街の城に住み着いていた貴族たちが皆 子供たちを城へ招待し続けていたのか?あの自己の利益にしか興味の無かった彼らが…?そもそも何故 2歳になった子供たちを城へ呼び付ける必要があったんだ?子供たちを呼び付けて… いや、まさか?その時に子供たちをヴァンパイアにする何か特別な事を行っていたと言う事かっ!?そのせいでっ!?)
ユウヤがハッとする デスクの引き出しの中に有る出生届を見つけて言う
「あっ!あったっ!」
ユウヤが資料を確認して驚いて言う
「…えっ!?どう言う事だ!?」
ユウヤが周囲を見渡して思う
(ここの出生届の先頭にあるのも あのアルフレット君のっ!?…偶然か?それにこれ以前の分は?113番よりも前の出生届は何処に?)
ユウヤが捜索を再開し デスクや本棚を確認し ゴミ箱を漁る
警察署
ユウヤが戻って来て言う
「ただ今戻りましたっ!」
ユウヤがユーノスのデスクを見るが そこには誰も居ない ユウヤが辺りを見渡す AJがやって来て言う
「ユウヤ先輩ーっ!」
ユウヤがAJを見て言う
「ああ、お早う AJ ユーノス警視を見なかったか?」
AJが言う
「お早うじゃないッスよ!?もう昼過ぎじゃないッスかっ?それよか酷いッスよっ!?相方の俺を置いて何処行っちゃってたんスかっ!?お陰で俺 午前中は1人で寂しくって書類処理がメッチャはかどっちゃいましたよっ!?そのまま自棄になってユウヤ先輩の分まで やっちまいましたからねっ!?」
ユウヤが言う
「え?そうなのか?有難うAJ!助かるよ!」
AJが呆気に取られて言う
「え?いや今のは… てか俺にやらせたら間違えだらけの物になっちゃいますけど…?」
ユウヤが言う
「ああ、良いよ そんなのは …それでユーノス警視は見なかったか?」
AJが言う
「へ?い、良いんスか?重要な書類が間違いだらけの… あ… いや、はい… そう言えば そのユーノス警視からもユウヤ先輩が戻ったら急ぎで通してくれって…?」
ユウヤが言う
「え?急ぎでっ!?」
取調室
呼び出しベルが鳴る ユーノスがドアへ向く ユウヤがドアを開けて言う
「失礼します ユウヤ巡査です!」
ユーノスが言う
「ああ、ユウヤ巡査 待っていた入りたまえ」
ユウヤが言う
「はい 失礼します」
ユウヤが室内に居る女性を気にしてから入室する
署内
AJが書類の山を前に言う
「だぁ~ 冗談で言ったっつーのにっ!ユウヤ先輩マジで受け止めるんだから!?参っちゃうよなぁ~?こんな時だけ冗談が通じないなんて… こうなったら やるっきゃねーっつーのっ!?マジ有り得ねぇ~っ!?」
AJが頭をかきながら書類作業に追われる
取調室
ユーノスが言う
「ユウヤ巡査 紹介しよう こちらは以前、この街のメルス城で働いていた アニータさんだ」
ユウヤが思う
(メルス城で働いていた…っ!?)
ユウヤがハッとして敬礼して言う
「失礼しましたっ …ユウヤ巡査です」
アニータが言う
「アニータです 当時はメルス城でメイドをしていました…」
アニータが軽く頭を下げる ユウヤが思う
(そうかっ!城で働いていたと言う事は…っ!)
ユウヤがユーノスを見る ユーノスが言う
「では アニータさん もう一度お伺いしますが… 当時この街の城に住み着いていた彼ら貴族が この街の2歳となった子供たちを呼び付け 一体 何を行っていたのか …その内容を教えては頂けませんでしょうか?」
ユウヤが思う
(子供たちを城へ呼び付けていた その理由!ユーノス警視も それを調べていたんだな?それに、その答えを得る為に城で働いていたメイドさんを見付けていた…っ これなら!)
アニータが沈黙する ユウヤが一瞬疑問した後言う
「あ、あの… 何か有ったと言う事ですよね?…それは とても言い辛い事が?」
アニータが間を置いて言う
「…はい」
ユウヤが思う
(それは そうである筈だ あの貴族が わざわざ手間を掛けて街の子供たち一人一人を城へ呼び付けていたのだから… そして、その内容は きっと…)
ユーノスが言う
「こちらへお越し頂く際にも申し上げた事ですが 本日伺うそちらの内容に対して例えそれが どの様な内容であろうとも現在の我々警察がアニータさんへ罪を架する事は一切ありません そちらは お約束します ですので どうか捜査に ご協力を」
ユウヤがユーノスを見て思う
(情報提供者へ対する最上級優遇か… けど、それはそうだよな?過去、城へ仕えていた彼女が何を行ったとしても… それはあの貴族からの命令であったのだから逃れる事だって出来なかった… だとすれば元々 彼女に架する罪なんかは無い 例え貴族の命令で2歳になったばかりの子供たちへ何らかの酷い仕打ちを行っていたとしても…)
アニータが顔を左右に振ってから言う
「いえ… このような事が起きるまで何も言わずに居た… 言えずに居た事が私の罪です… それは とてもとても償い切れるものではありません…」
ユウヤが言う
「何も言わずに居た?それは…?」
ユウヤが思う
(やっぱりそうなのか?それで… そのせいで?あの部屋に残されていた出生届の彼らが 今っ!?)
アニータが両手で顔を覆って言う
「それにっ 今から何をやっても… もう間に合いませんっ 全ては終わってしまったのですから…っ うぅ…っ」
ユウヤが言う
「”終わってしまった”?」
ユウヤが思う
(終わったって?貴族やヴァンパイアに関する事が… と言う事か?…それなら尚更!?)
アニータが泣き始める ユウヤとユーノスが顔を見合わせ ユウヤが言う
「アニータさんっ どうか教えて下さいっ!」
アニータが更に泣き出す ユーノスがユウヤを抑えるが ユウヤが言う
「俺には責任があります!何もせずに“終わらせる”事なんて出来ないっ!」
アニータが反応する ユーノスがユウヤへ言う
「ユウヤ君…」
ユウヤが真剣に言う
「お願いしますっ 俺に教えて下さい アニータさん!」
アニータが顔を上げ左右に振って言う
「…しかし もう間に合わないのですよ?」
ユウヤが思う
(間に合わない?それはヴァンパイアになった彼らを… リョウタ君たちを人間に戻す事が?…そうなのか?本当に?…だけどっ!)
ユウヤが言う
「…例え そうだとしても それでも俺は知りたいんですっ それはきっと… ”人間とヴァンパイアの仲間”であったゲートキーパーズの俺が… 貴族やヴァンパイアを退治した俺たちは 知っていなければいけない事だと思うんです!」
アニータが反応する ユウヤが思う
(そうだ今も貴族が居れば… もしくはヴァンパイアが居れば直接確認する事が出来た事だ だけど俺たちが それを出来なくしたっ そして… 彼が居れば?間に合わないと言われた それさえも何とかする薬を作ってもらえたかもしれなかったっ だけど それだって俺が…)
ユウヤが手を握り締める アニータがユウヤを見て言う
「…ゲートキーパーズ?…貴方が?」
ユウヤが言う
「はい」
アニータが言う
「そうですか… それなら少しですが私の肩の荷も下りた気がします」
ユーノスとユウヤが疑問して ユウヤが思わず言う
「え…?」
ユーノスが言う
「彼が 元 ゲートキーパーズであったと言う事と貴女が気にしていらっしゃる事とは 何か 関係が?」
アニータが言う
「ゲートキーパーズは貴族を退治した組織で そのゲートキーパーズにはヴァンパイアが居ると言う事は私も当時の新聞などで存じておりました それに… 貴方も今 ”人間とヴァンパイアの仲間であった”… と 仰いましたね?でしたら 貴方もご存知であった筈です」
ユウヤが言う
「俺が知っていた?…それは?」
アニータがユウヤを見て言う
「人間とヴァンパイアは共に生きるべきである …と言う事を」
ユウヤが驚き ユウヤの脳裏にヴィンの姿が過る ユーノスが言う
「共に生きる… とは?それは14年前 我々人間がヴァンパイアを殲滅した あれが間違えであったと言う事ですか?」
アニータが言う
「…そうですね ですから もう間に合わないのです 警察は14年前にヴァンパイアを殲滅させました それは つまり人間を殲滅させると言う事でした …これで宜しいでしょう?これ以上を知っても もう何も変わりません」
アニータが立ち上がる ユウヤが言う
「待って下さいっ!それは…!?」
署内
AJが言う
「あ~っ!無理だぁ~!やっぱ無理!元々ユウヤ先輩の書類の量ってパネェんだから… それを出来の悪い俺が…」
遠くで爆発音が轟く AJが驚き顔を向けて言う
「なっ!?何だっ!?」
取調室
建物が揺れる ユウヤとユーノスとアニータが一瞬驚き ユウヤが呆気に取られて言う
「じ、地震…?」
再び建物が揺れる ユーノスがハッとして言う
「いや、違う!」
アニータが怯える
署内
警官たちが次々に殴り飛ばされ うち1人がAJのすぐ近くまで殴り飛ばされて来る AJが驚いて言う
「この力…っ まさかっ!?」
AJが顔を向ける 署内にヴァンパイアと生徒たちがやって来る AJが驚いて言う
「やっぱ!あいつら!?この前のD校のっ!?」
ヴァンパイアAがAJの声に気付いて言う
「あいつだ!この前 俺の腕に治らねぇ 怪我させた奴」
ヴァンパイアBが言う
「あぁ あの弱い方?」
ヴァンパイアAが言う
「チッ… 今度こそ…っ」
AJがハッとして銃を撃つが ヴァンパイアAが一瞬で AJを床へ叩き付けて言う
「あの時の落とし前!付けさせてもらうぜ!?その命でなっ!?」
AJが苦しそうに言う
「くそ…っ また俺の血を吸うつもりかっ ヴァンパイアっ!」
ヴァンパイアAが怒って言う
「うるせぇっ!」
ヴァンパイアAがAJの頭を床へ叩き付ける AJが悲鳴を上げて言う
「ぎゃぁあっ!ぐぅ…っ」
ヴァンパイアAが言う
「今度は血だけじゃ許せねぇんだよ?この傷跡を消せるって言うなら考えてやるけどな!?」
AJが睨みつけて言う
「ふざけんなよ…っ ルール無視の喧嘩なんかしやがってっ これだからD校の奴らは…っ」
ヴァンパイアAが言う
「はっ!ルール?ヴァンパイアと人間の喧嘩にルールなんかあるか!強いて言うなら…」
ヴァンパイアAがAJの銃を持つ手を捻って言う
「銀の銃弾は 反則だろ?」
AJが悲鳴を上げる
「あぁああーっ!」
ユウヤが叫ぶ
「AJっ!!」
AJがハッとして言う
「ユウヤ先輩っ!」
ヴァンパイアAがハッとして言う
「あいつはっ!」
AJが気付き咄嗟に ヴァンパイアAを押さえ込む ヴァンパイアAがハッとする AJが叫ぶ
「ユウヤ先輩っ!使って下さいっ!アレをっ!!」
ユウヤが気付く ヴァンパイアAがAJへ向き 怒って言う
「この野郎っ!」
ユウヤが試験管へ手を伸ばしつつ思う
(これは本当に最後の…っ)
ユウヤが周囲を見る 周囲ではヴァンパイアやその仲間たちが警察官たちを攻撃している ユウヤが思う
(けど、今は皆を助けないとっ!)
ヴァンパイアAがAJを振り払って言う
「邪魔だってぇんだっ!退けっ!」
AJがヴァンパイアAの力に振り払われ デスクへ体を打ち付けて言う
「ぐぅっ!」
ヴァンパイアAがユウヤへ向く 銃声が響き ヴァンパイアAが目を見開き後方へ視線を向ける AJが銃を向けていて 次々に撃って言う
「くそ…っ やっぱ普通の弾じゃ…」
ヴァンパイアAが自身の被弾を見て 怒って言う
「この… 野郎ぉおーっ!」
ヴァンパイアAがAJの首を絞める AJが悲鳴を上げる
「がっ!」
ヴァンパイアAが笑んで言う
「このまま へし折ってやるっ!」
AJが必死に銃を向け 互いに強い意思を向ける ヴァンパイアAがハッとして 目を見開き苦しみ始めて言う
「う…?あぁ…っ あぁああーっ!?」
ヴァンパイアAが体中の傷を押さえながら悲鳴を上げて言う
「あぁあーっ!熱いっ!熱い…っ!!」
AJが開放されて疑問して言う
「え…?」
周囲のヴァンパイアたちが苦しみ始める ユーノスが言う
「今だっ!総員!ヴァンパイア対策の手錠を使えっ!奴らを取り押さえろっ!」
警察官たちが言う
「はいっ!」
D校の人間たちが言う
「や、やべぇ…っ」 「また やられたっ!?」 「逃げろーっ!」
D校の人間たちが逃げようとした先 警察官たちが居て言う
「おっと?お前たちも 逃げられないぞ?」 「全員 逮捕だっ!」
ヴァンパイアたちが手錠を掛けられ床に押し付けられた状態で言う
「くそ…」 「力が… 入んねぇ…っ」
AJが周囲を見渡した後 自分の正面の床の上に這いつくばり苦しんでいるヴァンパイアAを見下ろす ヴァンパイアAが苦しんで言う
「し、死ぬのか…?俺… も…!?」
ヴァンパイアAが苦しみながら目を開く AJが見下ろしている ヴァンパイアAが悔やしそうに苦笑して言う
「くそ… お前の …勝ち だな…?がはっ!」
ヴァンパイアAが吐血して弱る AJが表情をしかめて言う
「おい…?もしかしてマジでやべぇの…?ヴァンパイアの癖に?」
ヴァンパイアAが息を切らしAJを見上げていた目を閉じる AJが表情をしかめて言う
「…チッ 見てらんねぇよ」
ユウヤが周囲を見渡し 手に持っている空になった試験管を見て言う
「この黒い2本のラインはヴァンパイアを殺すものでは無くて… その力を奪うものだったのか…」
ユウヤが思う
(もしかしたらヴィンは俺に選ばせようとしたのかもしれない ヴァンパイアの力を奪う薬であれば 後は… 俺たちの判断で出来る事だから)
ユウヤが顔を向ける AJがヴァンパイアAに肩を貸し歩いている ユウヤが気付いて言う
「あのヴァンパイアは…?確か あの時の…?」
ユウヤの視線が ヴァンパイアAの腕にある怪我の痕を認識する AJがヴァンパイアAを支えながら 不自由そうにドアを開け出て行く ユウヤが呆気に取られて言う
「AJ…?」
ユウヤが周囲を確認してから AJの出て行ったドアへ向かう
医務室
ユウヤが医務室の標識を見上げてから 床に落ちている血痕を見て ドアを見る
医務室 内
ユウヤがドアを開ける AJの声が聞こえる
「…たくっ しょうがねぇな?…っ 痛っつぅ~ …これならイケルだろ?ほら後は吸うだけだ」
ユウヤが驚いて言う
「AJっ!?何をっ!?」
AJが一瞬驚いて言う
「あ、ユウヤ先輩…?」
ユウヤが視線を向ける 診察台に寝かされているヴァンパイアAが AJの指を吸っている ユウヤがハッとする AJのもう片方の手に血の付いたカッターが握られている ユウヤが驚いて言う
「まさか… 自分でっ?」
AJが苦笑して言う
「あ… はい… コイツ その… マジでヤバイみたいで もう噛み付く力も無かったんッスよ?だから これならって?」
ユウヤが言う
「だからってっ!?」
ユウヤがヴァンパイアAを見る ヴァンパイアAの傷が回復して行く ユウヤが呆気に取られて見つめる ヴァンパイアAが言う
「不味ぃ…」
AJが衝撃を受け 怒って言う
「あっ この野郎っ 折角 提供してやったのにっ!」
ヴァンパイアAが口を拭って言う
「薬みてぇな味がしたぞ?お前サツの癖にキメてんのか?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「なっ!?」
ユウヤが思う
(何を言ってるんだ?命を助けられたと言う時に…っ!)
AJが言う
「そうそう!ケーサツだと その辺で押収したブツをいくらでも~?…って やってねぇよっ!馬鹿っ!」
ユウヤが呆気に取られる ヴァンパイアAとAJが笑う ユウヤが呆気に取られていた状態から 苦笑して言う
「…なるほど?付いて行けないや…?」
ユウヤが思う
(いつものアレはAJ流じゃなくて… それが現代風なのかな?)
AJが疑問して言う
「え?」
ヴァンパイアAが言う
「おい おっさんが何か言ってるぜ?」
AJが言う
「こら おっさんって言うな お前を2回もノックアウトした ユウヤ大先輩だよ!」
ヴァンパイアAが不満そうに言う
「チッ… あの薬 何なんだ?ケーサツの最終兵器って奴か?」
ユウヤが言う
「え?えっと… あれは…」
AJが言う
「そうそう!だからヴァンパイアなんて俺たちに取っちゃ もう敵じゃないってね!」
ユウヤが思わずAJを見る ヴァンパイアAが不満そうに言う
「クソ… そんなモンがあったなんて… 知ってりゃ こんな馬鹿な事しなかった …素直に 他校の島でも潰しときゃ…」
ユウヤが思う
(あの薬は警察のものでは無いけど… けど… 物も言葉も使い様… AJは ふざけているだけじゃない って事なのかもしれない それなら…)
ユウヤが言う
「ああ 警察にとってヴァンパイアはもう敵じゃないよ?それより今回の これも君たちの言う島争いって言う物なのか?それで今回は警察署を?」
ヴァンパイアAが言う
「まぁな?…ってぇか もう んなガキの争いじゃなくってよ?ガチでやんねぇと俺らが野垂れ死んじまうだろ?C校の連中に島全部取られた時には俺らが食える奴らを全員持ってかれて… それで こっちもマジになるしかねぇって時に …アンタらにやられたんだよ」
ユウヤがAJを見る AJが頷いてから ヴァンパイアAを見る ヴァンパイアAが表情をしかめて言う
「こっちがマジだって事 見せ付けてやるつもりが… 逆に たった2人の人間にやられて俺らは良い笑い者だぜ?オマケにソイツを払拭してやろうと来たら来たで今度は このザマだ… 畜生っ どうしてくれんだよ?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「そ… んな事言われても… そもそも君たちは自分たちが何をしたのかをっ!」
AJが苦笑して言う
「まぁまぁ!ユウヤ先輩も!ここはまぁ?こいつらの意見も聞いてやりましょうよ?」
ユウヤが驚いてから言う
「AJ!?君なんて殺され掛けたんじゃないかっ それも2回もっ!?」
AJが言う
「まぁ… その2回とも?俺にはユウヤ先輩って言うバリ強な大先輩が居たんッスから!つまり これってチートって奴っしょ?」
ユウヤが呆気に取られて思う
(チ、チートって何だ…?)
ヴァンパイアAが言う
「んな事言ったら俺らヴァンパイアの方が よっぽどチートなんだけどな?それも数が増えれば あっという間に他校の奴らの方が有利になっちまって… 俺らは最初にちょっと飛ばし過ぎたから目ぇ付けられててよ…」
AJが言う
「あぁ そらキツイな?」
ユウヤが苦笑して思う
(駄目だ… 付いて行けないや… けど どうやら…)
ユウヤが言う
「と、取り合えず AJは彼とは打ち解けたみたいだし?そのまま… 話を続けてくれ?その~ …オッサンは やっぱり退散するよ?それに向こうの手伝いをしないと」
AJが言う
「え?そおッスか?」
ヴァンパイアAが言う
「他の連中には手錠掛けたんだろ?一目で分かったアレは俺らでも切れねぇ… あの銃の弾と同じで銀が使われてる」
AJが気付いて言う
「え?あ、そうなの?じゃぁ 一応 お前も付けとく?」
ヴァンパイアAが不満そうに言う
「付けたかねぇけど… それがケジメだってぇんなら」
AJが言う
「よし!ならケジメはケジメだもんな?じゃぁ… って あ、悪ぃ!俺 持ってねぇや?」
ヴァンパイアAが言う
「ねぇのかよっ」
ユウヤが苦笑して部屋を出て行く 後ろで ヴァンパイアAが言っている
「なら持って来いよっ!?」
AJが言う
「え?やっぱ付けたい?付けとく?」
ヴァンパイアAが言う
「ちげぇえよっ ケジメだっつってんだろっ!?」
ユウヤが苦笑して思う
(やっぱり付いて行けないや アレが ついさっきまで本気で戦っていたヴァンパイアと人間… なのか?)
ユウヤがドアを閉めて立ち去る
署内
ユウヤが苦笑して息を吐いて言う
「20代の会話に付いて行けないって… 歳取ったのかな…?俺…」
ユーノスがやって来て言う
「ユウヤ巡査 怪我は無かったか?」
ユウヤが言う
「はい!大丈夫です!何か手伝う事は ありますか?」
ユウヤが周囲を見渡す 周囲では犯人拘束や怪我人の治療が行われている ユーノスが言う
「いや、こちらはもう大丈夫だろう …うん?AJ巡査は一緒ではないのか?」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「あ、はいっ 彼らは …いえっ 彼は!大丈夫 …みたいです」
ユーノスが疑問して言う
「うん?」
ユウヤが苦笑して言う
「い、いえっ 今は医務室で休んでいますので…っ」
ユウヤが思う
(俺でも付いて行けない若者たちのあの現状に俺より年配のユーノス警視が付いて行けるとは思えないし… あっちは取り合えずAJに任せよう …それで!)
ユウヤが言う
「あっ!そ、それでっ!?ユーノス警視 先程の話は?アニータさんの…っ」
ユーノスが言う
「ああ、彼女は この騒ぎが収まった折に帰ってしまった」
ユウヤが言う
「えっ!?帰って!?あ… しかし仕方が無いですね?この様な事が目の前で起きれば恐ろしくて」
ユーノスが言う
「うむ 私も もう少し話を伺いたい所だったのだが 元々 任意同行で来て頂いていたからな?あちらが帰ると言えば無理に引き止める事は出来ない …それに」
ユウヤが疑問して言う
「それに?」
ユーノスが少し考えてから言う
「少し心配だな…?」
ユウヤが言う
「え?心配とは?」
ユーノスがユウヤへ向いて言う
「襲撃が起きていた際の彼女の様子がな… 怯えるでもなく妙に落ち着いていて… いや、むしろ何処か遠くを見るように悲観した面持ちだった」
ユウヤが言う
「それは… 先程までの彼女の様子のままであった と言う事ですか?」
ユーノスが言う
「いや、それ以上に何と言うか… この様な事は言いたくは無いが彼女はもしかしたら己の罪を受け入れようとしているのかもしれない」
ユウヤが呆気にとられて言う
「己の罪を…?それは どう言う事ですかっ?」
ユーノスが言う
「つまり言ってしまえば… 自害を考えていたのではないかと…」
ユウヤが驚いて言う
「えっ!?そんな…っ!?」
ユーノスが言う
「私の杞憂であれば良いのだが あの様な状態で対象を帰宅させる事は本来であれば とても危険だ場合によっては監視を必要とするのだが… 今回は彼女が事件の関係者と言う訳でも無いからな?」
ユウヤが心配そうに言う
「それでも危険性があると言う事なら監視を付けた方が良いのでは?」
ユーノスが言う
「いや、残念ながら我々警察には事件事故の容疑者でもなく本人からの依頼もなしに一個人を監視する様な事は許されていない 従って… 今は唯 彼女の無事を祈るしかない」
ユウヤが言う
「そう… ですか…」
ユウヤが表情を落として思う
(彼女は何を知っていたのだろう?人間とヴァンパイアが共に生きる事が必要だ と言った …俺やテールの他に初めて人間でありながらヴァンパイアを容認する考えのある人間だった)
ユウヤが言う
「もっと話を聞きたかったのですが…」
ユーノスが言う
「そうだな 監視は許されないが もう一度 話を聞きたい… もしくは現状に進展が起きれば それを報告すると言う形で連絡をする事は可能だ」
ユウヤがハッとしてユーノスへ向き微笑して言う
「それならっ 現代のヴァンパイアと我々が親しくなったと連絡すれば彼女も喜んでくれるかもしれませんね!?」
ユーノスが呆気に取られて言う
「うん?ヴァンパイアと我々が…?」
ユウヤが気を取り直して思う
(そうだ!何も悪い事ばかりじゃないっ 俺はB校のリョウタ君たちヴァンパイアと仲間になった それにAJだって今日のあのD校のヴァンパイアと… それなら!)
ユウヤが言う
「近い内に彼女から もっと色々な事を教えてもらえるかもしれません!」
ユーノスが呆気に取られてから苦笑して言う
「なんだ そう言う事か…」
ユウヤが疑問して言う
「え?」
ユーノスが微笑して言う
「やはりユウヤ君は また我々警察の1歩2歩先を行っているのだな?」
ユウヤが一瞬呆気に取られた後 苦笑して言う
「いえ… そうでも無いです少なくとも今回はユーノス警視と同じか ちょっと後ろ位だと思いますけど?」
ユーノスが苦笑して言う
「そうか?それなら私の上司としての立場は一応は あるか?」
ユウヤが軽く笑い思う
(どうやら俺もやっと1人で それなりに…?いや、皆でだけど俺たちは この事件の解決へ 着実に近付いているんだ)
《 …と、そう 思っていた矢先に 》
翌朝 ユウヤの家
ユウヤが驚いて言う
「えっ!?そんな…っ!」
リマとセイヤが朝食を取る手を止めてユウヤを見る ユウヤが新聞の記事に目を見開いて言う
「アニータさんが…っ」
《 ユーノス警視の予測は 的中してしまった 》
セイヤが疑問して言う
「アニータって?」
リマが言う
「この街の… そうね?元モデルって感じかな?って言っても私よりも ずっと大先輩だけどね?」
ユウヤがリマへ向いて言う
「え?そうだったのっ?」
リマが言う
「ええ、私のお母さんの時代の人で そのアニータさんもとても綺麗な人だったんだって それで やっぱり当時のこの街の貴族に買われて お城で働かされていたって」
ユウヤが言う
「なんだ… 知ってたのか それに…」
ユウヤが思う
(そうか良く考えれば あの頃の貴族は街の人間を好き勝手にして居たんだ だから城の… 自分の身の回りの世話をさせる人間だってリマの言う様に街の綺麗な女性へ無理強いをして)
セイヤが食事をしながら言う
「へぇ~?それで?そのアニータが どうしたって?もしかして親父 そいつのファンなの?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「ファ、ファンっ!?」
リマが苦笑して言う
「セイヤ?アニータさんは私やお父さんの お母さんやお父さん位の年齢よ?セイヤから見たら お婆ちゃん位の!そうとなれば いくらなんでも… ねぇ?貴方?」
ユウヤが苦笑して言う
「え?あ、当たり前だろ?…けど、そっか そんな感じだったのか確かに アニータさんは綺麗な人だったな…」
ユウヤが思う
(それに あのご年齢からなのか…?何だか達観した感じで …だから そのせいだったのかな?何処か… 寂しそうで それでいて あの感じが とても…)
セイヤが言う
「へぇ~ なんだ そっか?…けど 親父って結構 年上好きそうだし?そー言うの熟女好きってぇの?」
リマが呆気に取られた後ユウヤを見て言う
「そうなの?ユウヤ?」
ユウヤがハッとして慌てて言う
「へ?…なっ?なぁあっ!?ち、違うよっ!?俺は別にっ!?そんなんじゃなくてっ 何か あの感じが…」
ユウヤが思う
(何となく誰かに似ていたなって…?)
リマがユウヤを見詰めて言う
「じ~?」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「お、俺が好きなのは リマだけだ!…よ?」
ユウヤがハッとしてセイヤを見る セイヤが食事の手を止めたまま呆気に取られていて 途端に笑い出す ユウヤが顔を赤くして言う
「こ、こらっ!セイヤっ!?」
リマが微笑して言う
「うふふっ 私も好きなのはユウヤとセイヤだけよ?」
ユウヤが顔を赤らめながら言う
「お、俺はっ!」
セイヤが言う
「親父は母ちゃん一筋なのにな?ヒューヒュー!」
ユウヤが怒って言う
「セイヤっ!」
リマとセイヤが笑う ユウヤが顔を赤らめつつ苦笑する
警察署 入口
ユウヤがため息を吐いて思う
(まったく… 今朝はセイヤのお陰で変な汗をかかされた… まぁ確かに俺は熟女好きって言うか… いやっ 古いものはっ!嫌いじゃないけど…っ!?けど、それとこれとは…っ)
ユウヤが軽く息を吐いてから 気を取り直し顔を上げて言う
「お早う御座いま… すっ!?」
ユウヤが驚いて目を見開く AJが言う
「あ!お早う御座いますッス!ユウヤ先輩!へへ~?どうッスか?今日は俺!ユウヤ先輩より早いッスよ!?」
ユウヤが呆気に取られたまま言う
「い、いや!?それよりも…っ!?」
ヴァンパイアAが言う
「なんだぁ?先輩だからって社長出勤かよ?後輩より遅く来るとかマジ有り得ねぇ… 先輩としての示しとかって考えねぇ訳?」
ユウヤが慌てて言う
「そんな事より!何で君が居るんだっ!?大体 君はっ!?」
ユウヤが思う
(ヴァンパイアなのにっ!?しかも昨日 警察署を襲撃した犯人の一味なのに…っ!?)
ヴァンパイアAが不満そうに言う
「なんだよヴァンパイアが警察署に居ちゃいけねぇのかよ!?」
ユウヤが言う
「い、いや…」
ユウヤが思う
(あれ…?余り良く無い様な気がするのは… 俺だけか?)
AJが言う
「あぁ サーセン ユウヤ先輩?コイツが一緒に行くって聞かなくってッスね?」
ユウヤが呆気に取られたまま言う
「い、一緒に行くって…?ここに!?警察署に!?」
AJが言う
「はい あ、けど お陰でって言いますか?俺 今日はバッチリ!遅刻はしないで済みましたけどね!ユウヤ先輩 知ってます?ヴァンパイアってマジぱねぇ位 足速ぇんッスよ!?」
ユウヤが言う
「あ… う、うん… それは知っている気がする けど…?」
ユウヤが思う
(…いや、そんな事よりも 今はっ!?)
ユーノスがやって来て言う
「お早うユウヤ巡査 今日は珍しく少し遅かった様だが?何か…?」
ユウヤがハッとして思う
(ま、まずいっ!こんな所がユーノス警視に見付かったりしたらっ!?)
ヴァンパイアAが笑んで言う
「途中で どっかのヴァンパイアに捕まって血を吸われてたので遅れました~ …なんて言ったらマジ笑えるよな?ハハハッ!」
ユウヤが衝撃を受けて思う
(それは笑えないしっ そもそも そんな事 言ってないで!今こそ その人の目に留まらない その素早さで逃げ…っ!)
AJが言う
「あのな?ユウヤ大先輩に限って そこら辺のヴァンパイアになんか吸われる訳無いだろ?…って事で知り合いのヴァンパイアに吸われてたんッスよね?ユウヤ先輩?」
ヴァンパイアAが爆笑する ユウヤが衝撃を受けて思う
(どちらのヴァンパイアであっても俺は吸われたくないよっ!…って だから今はそんな事言ってる場合でも笑ってる場合でも無いんだっ!)
ユウヤがユーノスの前で慌てて言う
「い、いえっ!そのっ!きょ、今日は ちょっと… 新聞を読んでいたら遅くなってしまって!決してヴァンパイアに吸われていた訳では…っ …じゃなかったっ!決して…っ 決して…!?」
ヴァンパイアAとAJが一瞬呆気に取られた後 爆笑して AJが言う
「やっぱユウヤ先輩の冗談ってマジ面白れー!あっははは!」
ヴァンパイアAが言う
「ってぇ~か、これマジ天然なんじゃねぇのっ!?はははっ!」
ユウヤが思う
(決して…っ 君たちを今すぐ まとめて消してしまいたいっ!)
ユウヤが手を握り締め怒りを抑える ユーノスが気付いて言う
「ああ… 新聞と言うとアニータさんの記事だろう?私も驚いた… もしやとは思ってはいたが …本当に残念だ」
ユウヤが衝撃を受け思う
(…えっ!?そ、それはそうだけど それよりもユーノス警視!?まさかユーノス警視の目には このヴァンパイアの姿が見えていないのかっ!?)
ユウヤが言う
「は、はい… そう… で す ね…?」
ヴァンパイアAがAJへ言う
「アニータってぇ?」
AJが言う
「知らねぇ~」
ユウヤが思う
(…いや そんな訳無いよな!?だから ここは俺が…っ!)
ユウヤが言う
「あ、あのっ ユーノス警視!すみませんっ!彼は その…っ!」
ユーノスが言う
「うん?彼?」
ユーノスがAJとヴァンパイアAを見てから ユウヤへ向く ユウヤが言う
「は、はいっ 彼は… これで …え、AJとは気が合っている様なのでっ その… 多分」
ユウヤが思う
(大丈夫だと… なんて?そんな何の根拠も無い事を言っても どうしようもないっ!なら どうする!?…いや?その前に?この様子だとユーノス警視は彼がヴァンパイアだと言う事に 気付いて無… い…?)
ユーノスが微笑して言う
「ああ、とても懐かしい光景だからな?思わず放っておいてしまったが …AJ巡査 彼の事は 一応このフロアの者へ紹介をしてもらわなければ彼がヴァンパイアだと知らぬ者が うっかり近付いて吸血されてしまっては困るからな?はっはっは…」
ユウヤが思う
(それ所か 受け入れているのかっ!?)
ユウヤが言う
「な… なんで?」
ヴァンパイアAが言う
「おい おっさん?いくらヴァンパイアだからって ただ近付いて来た奴の血を吸ったりしねぇよ?こっちにだって選ぶ権利があんだろ?」
ユウヤが思う
(いや、そう言う問題じゃなくて)
ユーノスが苦笑して言う
「まぁ それはそうかもしれないが我々から見ればヴァンパイアと言うのは そう言った概念なのだよ」
ヴァンパイアAが言う
「チッ… 野良犬じゃねぇんだから ちゃんと人間としてのヴァンパイア扱いをしろよな?」
AJが言う
「人間としてのヴァンパイアって?それ どういう意味だよ?」
ユウヤがハッとして思う
(AJが珍しく冗談抜きで要点をっ!?)
ユーノスが微笑して言う
「人間の味方であるヴァンパイアとして扱って良いと言う事だろうか?」
ユウヤが驚きユーノスを見る ユーノスがヴァンパイアAを見る ヴァンパイアAが視線を逸らして言う
「ま、まぁ… そんな感じ…?じゃねぇの…?」
AJが笑んで言う
「じゃねぇと飯抜きだからな?」
ヴァンパイアAが言う
「るせぇよっ 獲物は黙ってろ」
ユウヤが呆気に取られて言う
「獲物…?」
AJが言う
「俺が お前の獲物なら俺にとってもお前は獲物だぜ?これで俺もユウヤ先輩ほどじゃないけどチートなヴァンパイアの力を使い放題ってね!?やったねっ!」
ユウヤが呆気に取られて思う
(これでは… 2人は まるで…)
ユーノスが苦笑して言う
「まるで若い頃のタカヤとデュークの様だ」
ユウヤが驚いてユーノスを見る ヴァンパイアAが言う
「タカヤ?デュークって?誰?」
ヴァンパイアAがAJを見る AJがジェスチャーを付けて言う
「さぁ?」
ユーノスが苦笑して言う
「…と言ってもデュークは あの頃でも既に100歳を越えたヴァンパイアであったそうだがな?」
AJが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?ひゃ、100歳っ!?」
ヴァンパイアAが驚いて言う
「はぁあ!?有り得ねぇだろっ!?それに いくらヴァンパイアの力があっても100歳の爺さんじゃ」
ユウヤが苦笑して言う
「いや、ヴァンパイアは人間より遥かに長命なんだ 俺の知っていたヴァンパイアは900歳を越えてるって言ってたよ それも女性の…」
AJとヴァンパイアAが驚き AJが言う
「900歳ってっ!?それってマジッスかユウヤ先輩?」
ユウヤが言う
「うん、マジだよ?冗談じゃなくて本当の話 …って言っても見た目は… 20代後半から30代って感じだったかな?」
ユウヤが思う
(あれ?そうと言うと俺ってやっぱり あの頃から熟女好きだったのか…?)
AJが呆気に取られて言う
「20代後半から30歳に見える900歳って…?」
ヴァンパイアAが言う
「想像付かねぇ… って、あ?じゃ、ちょっと待てよ?もしかして それって …ヴァンパイアになったら見た目の歳は取らなくなるって事か?」
ユーノスが苦笑して言う
「羨ましい限りだな?ユウヤ巡査?」
ユウヤが苦笑して言う
「え?い、いえ?自分は…」
ユーノスが苦笑して言う
「そんな風に言っていられるのも後数年だぞ?ある日鏡を見て髪に白いものが目立ち始めるとな…?はっはっは」
ユウヤが衝撃を受け苦笑して言う
「な、なるほど… そう言うものなんですね?」
ユウヤが思う
(確かにユーノス警視も大分 髪に白いものが目立ち始めたもんな …じゃ もしかして俺もそろそろなのか?)
ヴァンパイアAが鏡を見てから言う
「げぇ~ マジかよ?…俺はこれから もっと良い男になる予定だったっつーのに?」
AJが笑んで言う
「そんな予定は無かったっつーのに~?」
ヴァンパイアAが怒って言う
「あっ てめぇっ!」
ヴァンパイアAがAJを殴ろうとするが AJがひょいと避けて笑う ユウヤが呆気に取られて苦笑する
ユウヤが書類を見て言う
「よし…っ」
ユウヤが書類をそろえて思う
(昨日の書類処理も全て終わったし 今日は特にユーノス警視からの指示も無いから…)
ユウヤが立ち上がる AJが言う
「あっ もしかして終わったんッスか!?ユウヤ先輩っ!?」
ユウヤが言う
「うん AJはまだ掛かりそうだな?なら、俺は少しパトロールをして来るよ」
ユウヤが思う
(…と、言って置いて この隙に…っ)
AJが言う
「いやっ それなら 俺も一緒に行かないとっ!パトロールは 2人1組が基本っしょっ!?」
ユウヤが言う
「あ… あぁ… それは まぁ… そうだけど…」
ユウヤが苦笑して思う
(言われてみればそうだな?…それに 今なら?このAJになら 隠さなくても?)
ユウヤが言う
「…なら AJ 実は…」
ユウヤがAJに耳打ちする AJが驚いて言う
「えぇえっ!?今度はA校のアジ…っ!?…むぐっ!」
ユウヤがAJの口を押さえて 小声で言う
「ちょっと様子を見て来るだけだからっ!…だから俺1人で大丈夫だって …な?」
AJが口を押さえられつつ言う
「にゃ、にゃにっ 言ってるんッシュかっ!?ユウニャ先輩っ!むしろ…っ 全然 大丈夫じゃないじゃないッスかっ!?それなら 俺と あのヴァンパイアが一緒にっ!」
ヴァンパイアAが雑誌から視線を向けて言う
「あぁ?」
ユウヤが思う
(ヴァンパイアの彼と その彼の協力を得られるAJが一緒に行ってくれるのなら本当はお願いしたい所だけど… 出来れば今回もB校の皆の時と同じ様にやりたい …だとしたら やっぱり…)
ユウヤがAJの口を開放して言う
「大丈夫だって それに… あ!ほら?俺にはさ?あの試験管の武器があるだろ?」
ユウヤが思う
(物も言葉も使い様… とは言え やっぱり嘘を付くのは気が引けるけど)
AJが気付いて言う
「あ…」
ユウヤが苦笑して言う
「な?…って 事だから大丈夫だ 俺は1人で行って来る AJは… その書類処理 頑張ってな?」
AJが言う
「は、はい… 書類は兎も角 一応 気を付けて下さいねユウヤ先輩?A校の奴らもD校程じゃないッスけど …結構ハードッスから」
ユウヤが微笑して言う
「うん 分かったよ 警告は受け取っておく それじゃ…」
ユウヤが立ち去る
車内
ユウヤが地図を見てから言う
「えっと… A校の建物からアウターへ真っ直ぐ行って4ブロック先を右折… あそこか?」
ユウヤが地図を置いて車を発車させる ユウヤが運転しながら思う
(AJには 俺には試験管の武器があるから大丈夫だ …って 言ったけど本当は)
ユウヤが装備している試験管へ意識を向けてから思う
(この試験管は人間に対する武器なんだよな?だから俺が今 本当にヴァンパイアに対して使える武器は現代警察の自動式の銃と親父から貰った 過去の警察が使っていた対ヴァンパイア用のリボルバー…)
ユウヤがリボルバーを意識して思う
(初めて使った この前は相手が この銃の事を知らなかったから… 避けられる事も無くて 結果として倒す事は出来た …けど今度もそう上手く行くかな…?)
ユウヤの脳裏に記憶が蘇る
AJが言う
『一応 気を付けて下さいねユウヤ先輩?A校の奴らもD校程じゃないッスけど …結構ハードッスから』
ユウヤが苦笑して言う
「参ったな… 今更だけど やっぱりAJにも一緒に来て貰うべきだったか?」
ユウヤが思う
(そもそも前回のアレは 実力というよりも運が良かったと思うべきだ… 本来なら人間が撃った銃弾じゃヴァンパイアは捕らえられない だから…)
ユウヤがハッとして言う
「そ、そうだっ 俺は そもそもA校の卒業生なんだしっ!?だから…っ!?」
ユウヤが思う
(最初から仲間として…っ …上手く行くか?もちろん!倒すんじゃ無く話し合いの… 方で…?)
ハンドルを持つユウヤの手が震える ユウヤが気付き苦笑して言う
「あ、あれ…?何だか… すごく不安になって来たな?何でだ?以前までは こんな風には…」
ユウヤがハッとして思う
(…そうか お守りが… …ヴァンパイア用の試験管が無くなったから …つまり俺は今度こそ)
ユウヤが一度身震いしてから言う
「命賭け …か」
ユウヤが苦笑して車を走らせる
A校アジト 近郊
パトカーが止まり ユウヤが車内で地図と外を見比べてから 車外へ出る ユウヤがA校アジトへ向かいながら思う
(きっと この建物だ… 回りの廃墟と違って人が出入りしている気配がある)
ユウヤが立ち止まり服の上から銃を確認してから 建物の入り口を見て思う
(うっ… 緊張して来た …けど、俺はヴァンパイアになってしまった彼らを助ける為に来たんだからっ 仲間として… その話し合いを…っ!)
ユウヤが生唾を飲み込んだ後 意を決して小声で言う
「…よし …行くぞっ」
ユウヤが一歩踏み出そうとする 小声が聞こえる
「ユウヤさんっ」
瞬時にユウヤの体がさらわれる ユウヤが驚いて言う
「え?…あっ!?」
一瞬の後
ユウヤが廃墟の屋上に居て 呆気に取られつつ 眼下のA校アジトを見てから振り返る リョウタが言う
「やっぱり ユウヤさんだった」
ユウヤが言う
「リョウタ君?…あれ?何んで?B校の君がA校のアジトの近くに?」
リョウタが言う
「それはこっちの台詞ですよユウヤさん… アウターへ向かうパトカーが見えたから まさかと思って追って来て正解でした」
ユウヤが言う
「俺を追って?…そうなのか?それじゃ… 何か俺に用が?」
リョウタが軽く息を吐いてから言う
「いえ、元は無かったですけど今はユウヤさんが ここに来た その理由を聞かせて下さい …まさかとは思いますけど?」
ユウヤが苦笑して言う
「俺がここに来たのは俺が君たちのB校のアジトへ行ったのと同じ理由だよ?こちらのA校の学生の親御さんからも捜索願が出されているしな?それに…」
ユウヤが思う
(彼らとも話をしてリョウタ君たちの様に…)
リョウタが言う
「ここの連中は俺らみたいに甘くは無いですよ!?あいつらは…っ 同じA校のヴァンパイアにならなかった連中を吸い殺した連中です」
ユウヤが驚いて言う
「えっ!?吸い殺した…っ!?」
リョウタが言う
「はい …俺らの場合は傍に置いてたらヤバイって分かりましたから その頃からヴァンパイアになった連中とならなかった連中でアジトの場所を変えてました けど あいつらは… ”ならなかった連中”を吸い殺したって話です」
ユウヤが言う
「それは本当の事なのか?証拠は?」
リョウタが言う
「その”ならなかった連中”の1人が俺らの所に助けを求めて来たんで今も匿ってます 詳しい話は そいつから聞いて下さい ユウヤさんになら そいつも居るB校の人間の方のアジトの場所 教えますよ」
ユウヤが言う
「そうか 分かった 有難う もちろん信じるよ」
リョウタが苦笑してから 気を取り直して言う
「…って事で A校のヴァンパイア連中は そんな奴らですから」
ユウヤが言う
「うん… でも俺は行かないと」
リョウタが言う
「ユウヤさんっ!?」
ユウヤが言う
「彼らとも話をしたいんだ …きっと彼らだってヴァンパイアになってしまった事で困っていると思うから… 君たちと同じ様に」
ユウヤが思う
(そうだ 俺は助けないといけないっ 彼らを!…俺には その責任があるんだっ)
ユウヤが手を握り締める リョウタが言葉を失ってから一度視線を逸らし 間を置いて言う
「…分かりました ユウヤさんは俺らにとって唯一の希望みたいなもんですから」
ユウヤが呆気に取られて言う
「え?俺が?希望って…っ?」
ユウヤが思う
(俺が?彼らの…?)
リョウタが言う
「ですから… …そうだっ!それなら ちょっとだけ待っていて下さい!」
ユウヤが言う
「え?」
リョウタが言う
「すぐに戻りますからっ!ここで静かにしていて下さい 連中に見付からないようにっ」
リョウタが消える ユウヤが慌てて言う
「あっ リョ、リョウタ君っ!?…うわっ!?」
ユウヤが踏み出した先 建物の床が崩れ落ちる ユウヤが危うく踏み外しそうになった体を戻して再びA校のアジトを見て思う
(あそこに居るヴァンパイアとなった学生たちは リョウタ君が言うような連中なのか?それなら やっぱり… あの試験管のお守りが欲しかったよな?それか…)
ユウヤが苦笑して言う
「俺を助けてくれる仲間が…」
ユウヤが思う
(ヴィンや… テール… ゲートキーパーズの皆が居てくれたら… 何も怖い事なんて)
ユウヤが表情を落とす リョウタの声が聞こえる
「お待たせしました ユウヤさんっ」
ユウヤが疑問して振り返る リョウタとB校のヴァンパイアたちが揃っていて ユウヤが驚いて言う
「え?リョウタ君…?それに…っ!?」
少年Bが言う
「弱い仲間は皆で守る… それが俺らのルールだ」
少年Cが言う
「しょうがねぇから俺らが守ってやるよ?オマワリサン?」
ユウヤが呆気に取られてからリョウタを見る リョウタが苦笑して言う
「アイツらが素直に話をするって言うなら俺たちも手は出さない …けど、あいつらが もし、ユウヤさんを襲って来たら その時は俺たちが相手をします」
ユウヤが呆気に取られて言う
「リョウタ君が…?皆も…?」
リョウタと皆が苦笑してユウヤを見る ユウヤが微笑して言う
「…有難う 皆 とても心強いよ」
少女Bが言う
「こんなのとーぜんだから!」
少女Aが言う
「お礼なんて要らないよ?」
ユウヤが微笑する リョウタが言う
「それじゃ今度こそ 行きますか?ユウヤさん」
ユウヤが言う
「うん、宜しく」
リョウタが頷くのを合図に ユウヤと皆が消える
A校アジト
A高ヴァンパイア1が苦笑して言う
「へぇ?俺らと話を?」
ユウヤが言う
「俺は人間だけどヴァンパイアの味方でもある …それに君たちを助けたいと思っているんだ」
A高ヴァンパイア2が言う
「は?俺らを助けたいって?何から?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「え?いや、それはもちろん…?」
A高ヴァンパイア1が言う
「俺らの一番の天敵であるB校のヴァンパイアからだって言うなら …今すぐ その後ろの連中を1匹残らず始末してくれよ?聞いてるぜ?ケーサツにはヴァンパイアを殺す武器があるんだろ?」
B校ヴァンパイアたちが視線を強める ユウヤが呆気に取られた後 気を取り直して言う
「俺の事を信じられないと言うなら それは こんな突然の事だからしょうがない… だけど どうか信じて欲しい 俺は本当に君たちを助けたいと思っているんだ 今はその方法は分からないけど もう一度 君たちを普通の人間に戻すと言う事を目指していて…」
A高ヴァンパイア1が言う
「俺らを普通の人間に?」
ユウヤが苦笑して言う
「うん、そうだよ?君たちだってヴァンパイアではなく普通の… 人間に戻りたい とっ!?」
ユウヤの目前で拳が止められる ユウヤが息を飲んで視線を向ける A高ヴァンパイア1の腕をリョウタが掴んで押さえている ユウヤが呆気に取られて思う
(い、今のは…っ!?)
A高ヴァンパイア1が横目にリョウタを見て口角を上げて言う
「へぇ…?お前らは ふつーの人間に戻りてぇのか?それで このケーサツの手伝いを?」
ユウヤが気付いて言う
「…え?今 何て?」
リョウタが一度ユウヤを見た後A高ヴァンパイア1へ視線を戻して言う
「ああ、戻りたいな?お前らと違って俺らはヴァンパイアなんてクソ食らえだ」
A高ヴァンパイア1が笑んで言う
「面白ぇ それならB校のお前らは やっぱ俺らの敵だって事だ …この人間と同じでなっ!?」
A高ヴァンパイア1が掴まれていた腕を振り払い 再びユウヤへ殴り掛かる ユウヤがハッとする リョウタが言う
「ユウヤさんっ!下がってっ!」
リョウタがA高ヴァンパイア1に応戦する ユウヤが数歩後ずさりながら言う
「リョ、リョウタ君…っ!?」
A高ヴァンパイア2が笑んで言う
「面白ぇ!それなら今回のルールはヴァンパイアと違って ぶっ殺せる人間をヤッた方が勝ちだっ!」
A高ヴァンパイア2がユウヤへ襲い掛かる ユウヤが銃を抜こうとする それより早く少年CがユウヤとA高ヴァンパイア2の間に入って言う
「ヤらせるかよっ!」
少年CとA高ヴァンパイア2が戦う ユウヤが更に後ずさって銃を握る A高ヴァンパイア女が背後に現れて言う
「へぇ~?それが噂の?」
ユウヤが驚きハッと振り返る 少女AがユウヤとA高ヴァンパイア女の間に入って言う
「あんた達には触らせないから!」
ユウヤがハッとして思う
(そうか この銃の事が…っ!?それに…っ)
A高ヴァンパイア女と少女Aが戦う ユウヤが銃を握って思う
(もし俺がこれを奪われたら… 彼らは この銃で他のヴァンパイアを殺しかねない!)
ユウヤが銃を握り周囲を見渡す 周囲ではB校とA校のヴァンパイアたちが戦っている
A高ヴァンパイア1が負傷に苦しんでから顔を上げて言う
「クッソ やりやがったなぁ うらあぁあーっ!」
A高ヴァンパイア1がリョウタへ殴りかかる ユウヤが思う
(ヴァンパイア同士の戦いでは 通常の負傷では勝敗は決まらない… 彼らの体は余程の致命傷を受けない限り生命の補完が出来るまでに回復してしまう… だったら彼らが負傷して動きを止めた その瞬間に…っ)
ユウヤが銃を握って思う
(通常では追い付けない彼らヴァンパイアの動きが止まる その瞬間なら 俺でも この銀の銃弾で仕留められる!…だけどっ)
ユウヤがA高ヴァンパイア1へ銃を向ける A高ヴァンパイア1がハッと視線を向ける ユウヤが引き金に掛けた指を動かせずに思う
(駄目だ…っ 撃てない… 彼らは俺と同じ考えを持つ仲間ではない…っ 人間でも無い…っ だけど俺は彼らを殺したくて ここへ来たんじゃないんだっ 俺は…っ!)
少女Aが負傷して悲鳴を上げる
「いったぁ~いっ もうっ 嫌っ」
ユウヤがハッとして少女Aを見る A高ヴァンパイア3が少女Aの腕を掴んで言う
「そら捕まえた!ヴァンパイアになったって女はやっぱり男には敵わねぇんだよ 大人しく…」
A高ヴァンパイア3が少女Aの服を破る 少女Aが驚いて言う
「キャアッ!何するのよっ!?」
A高ヴァンパイア3が言う
「何って?決まってんだろ?」
A高ヴァンパイア3が少女Aの腕を掴み引き寄せる 少女Aが悲鳴をあげて言う
「嫌っ!離してっ!」
ユウヤが銃を向けて言う
「止めろっ!さも無いとっ!」
A高ヴァンパイア3がユウヤを見て笑む ユウヤが気付く リョウタが顔を上げて言う
「ユウヤさんっ!」
ユウヤがA高ヴァンパイア3に殴り飛ばされ 床に体を打ち付けて思う
(うっ!速い…っ!?脅しじゃ効かないっ …こっちも本気で撃つ気じゃないと …ヤられるっ!)
ユウヤが顔を上げる ユウヤの前でリョウタがA高ヴァンパイア3を押さえて殴り飛ばす ユウヤが身を起して言う
「有難う 助か… あっ!?リョウタ君っ!」
リョウタがわき腹を押さえていて言う
「はぁ… はぁ… あいつ…」
ユウヤがリョウタの視線の先 A高ヴァンパイア3を見る A高ヴァンパイア3が手にナイフを持っていて言う
「そっちが武器を使う ってんなら こっちだって良いだろ?」
少年Bが少女Aを庇って立っている横で 少年Cが言う
「バトルで武器は禁止だ女を犯す事だってな?だからユウヤサンは お前がルールを無視するなら容赦しねぇって言ってんだよっ」
A高ヴァンパイア1が言う
「なら ここからはルール無視でやり合おうじゃねぇか?お互い武器ありって事でよ?じゃねぇと何時まで経っても勝負が付かねぇだろ?…ヴァンパイア同士のバトルじゃな?」
A高ヴァンパイア1がナイフを出す A校のヴァンパイアたちが武器を持つ B校のヴァンパイアたちが一歩引き 少年Bが不満そうに言う
「…これだから A校の連中は…っ」
少女Bが言う
「それでも前はD校よりマシだったんだけど」
少年Cが不満そうに言う
「そのD校を追っ払っちまったんじゃ D校より悪くなるんだろうがよ?…で、どうする?」
少年Cがリョウタを見る リョウタが言う
「…それなら最後の手段だ」
少年Bが言う
「アレをやるのか?…分かった 覚悟 決めるぜ!」
リョウタが周囲を見渡す B校のヴァンパイアたちが息を切らせている ユウヤが疑問して思う
(え?最後の手段?何かをやるのか?確かに このままじゃ…)
ユウヤが周囲へ視線を向ける 少年Cがいきなり声を上げて言う
「っしゃぁあっ!それなら てめえらっ!ここからは俺らも本気だ!全力で…っ!」
A校のヴァンパイアたちが一瞬驚いてから 気を引き締める B校のヴァンパイアたちが体勢を整える A校のヴァンパイアたちが武器を構えるが ユウヤが言う
「え?…うわっ!?」
ユウヤの体がさらわれ ユウヤを連れたB校のヴァンパイアたちが いっせいに逃げ出して 少年Bが言う
「にっげろーーっ!」
A校のヴァンパイアたちが 呆気に取られた状態から ハッとして言う
「…え?…あっ!お、おいっ!?逃げんのかよっ!おいっ!?腰抜けどもっ!?」
A高ヴァンパイア1が呆気に取られて言う
「ま… マジで逃げた?」
A高ヴァンパイア女が言う
「ダッサ…」
A高ヴァンパイア2が言う
「だからって誰よりも先に負けてた奴が言うなよな?」
A高ヴァンパイア女が言う
「うるさいわね良いじゃない?別に?あたしは女なんだから?最初からバトルなんて興味ないの」
A高ヴァンパイア3がA高ヴァンパイア女に近寄って言う
「ならヤらせろよ?」
A高ヴァンパイア女が瞬時にA高ヴァンパイア3の頬を平打ちする A高ヴァンパイア3が言う
「痛ってっ!」
C校敷地内
ユウヤとB校の少年たちが現れ 少年Cが言う
「追って来てるかっ!?」
少年Bが言う
「…いや、大丈夫みてぇだ」
少年Cが息を吐いて言う
「助かったぁ…」
ユウヤが呆気に取られた状態から苦笑して言う
「最後の手段って… 逃げる事だったのか?」
ユウヤが微笑する 少年Cが衝撃を受けてから怒って言う
「逃げたんじゃねぇよっ 撤収したのっ!」
ユウヤが呆気にとられて言う
「え?だから それは…?」
ユウヤが思う
(同じだと思うんだけどな?…けど、まぁ これも…?)
ユウヤが軽く笑う ユウヤの近くでリョウタが膝を着いて言う
「ク…ッ」
ユウヤがハッとして振り返って言う
「あっ リョウタ君っ!」
ユウヤがリョウタの前に屈んで思う
(そうだっ リョウタ君は あのヴァンパイアに刃物で刺されて…っ!)
ユウヤがリョウタの血で染まった服を見て言う
「大丈夫かっ!?すぐに手当てをしないとっ!」
リョウタが苦笑して言う
「て… 手当てなんて …俺ヴァンパイアですから…」
リョウタが苦しそうに苦笑する ユウヤが言う
「それは… 分かっているけどっ」
少年Cが言う
「大丈夫だってナイフで刺されても しばらくすれば傷は塞がるんだ …その内 傷跡だって消えちゃうんだぜ?」
ユウヤが少年Cを見てからリョウタへ視線を戻しながら言う
「それは そうでも…っ」
リョウタが苦しそうに息をしている ユウヤが言う
「痛みはあるんだろ?だったら傷が塞がるまで… どこか近くで横になるとか…?」
ユウヤが周囲を見渡して思う
(…って ここが何処なのか 俺には分からないけど)
少年Bが言う
「まぁ 確かに安静にはしておいた方が良いだろうけど…?」
少年Cが言う
「けど、そんな ゆっくりして居られる場所でもねぇからな?連中が追って来ないんなら俺らもさっさとズラからねぇと… 見付かったら厄介な事になるぜ?」
ユウヤが疑問して言う
「え?見付かったら…?」
ユウヤが思う
(だって 追っては来て居ないんじゃ?)
少年Bがリョウタへ肩を貸して立ち上がらせながら言う
「A校の連中から逃げる為に 一時的にC校の連中の島に逃げ込んだんだ… つっても ここは元はと言えばD校の島だった場所だけど」
ユウヤが気付いて思う
(D校の?…と言う事は ここはA校の彼らのアジトの場所から西へ行った… この前 俺とAJが初めてD校の彼らと戦った あの場所の近くと言う事だ …言われてみれば あの遠くに見える建物には見覚えがある)
ユウヤが遠くの建物に目を細める 少年Bがリョウタへ言う
「ジャンプは出来そうか?」
リョウタが表情をしかめて言う
「衝撃はキツイ… 出来るだけ…」
少年Bが言う
「分かった それじゃ道なりに走るって事で… 距離は遠くなるけど」
リョウタが言う
「ああ…」
ユウヤが言う
「いや、待って?衝撃が辛いと言うのなら今はそんなに動かさない方が …もう少し街の近くへ このアウターの近郊じゃなければ彼らも来ないだろ?今、ここからB校のアジトまで歩かせるなんて大変だよ?それで… 俺の車は取りには行けないなら街で車を拾って…」
少女Aが言う
「…それ無理」
ユウヤが言う
「え?何で?リョウタ君じゃなくても誰か俺を街まで連れて行ってくれさえすれば?」
少女Bが言う
「街には行けないよ… 多分 今見たら皆だって… 襲っちゃうと思う」
ユウヤがハッとして皆を見る 皆が視線を逸らしながらも 血を欲しそうにしている ユウヤが気付いて思う
(…そうか人間だって運動でもすれば喉が渇くし増して彼らは…っ それに …ヴァンパイアは人間の血を吸う事で …傷を癒せるっ!?)
ユウヤが視線を感じ ハッとしてリョウタへ向く リョウタが吸血衝動を現しつつユウヤの首を見ている ユウヤが気付いて思う
(ヴァンパイアの瞳っ!?吸血衝動が…っ!)
リョウタがハッとして 視線を逸らし苦しそうに息をする ユウヤが気付いて思う
(…そうか最初から街へ行く必要も …いや、休ませる必要だって無いんだ 今ここで俺が リョウタ君へ俺の血を与えれば!)
ユウヤが気を取り直してリョウタを見る リョウタが言う
「ユウヤさんっ」
ユウヤが一瞬驚いて言う
「…えっ?」
リョウタが吸血衝動を抑えながら言う
「…逃げて 下さい… 俺…っ このままじゃ …”また”」
ユウヤが思う
(”また”?…いや 今は)
ユウヤが言う
「良いんだ リョウタ君」
リョウタが驚いて ユウヤを見る ユウヤが言う
「まずは その傷を治そう?…俺の血で」
リョウタが驚いて目を見開く 皆が驚く ユウヤが苦笑して言う
「大体その怪我は俺を庇った時に負ったものだ …それに皆にも お礼をしたいって思うけど流石に 今 全員に吸われたら俺の体が持たないから 今はリョウタ君だけを」
ユウヤが苦笑する 少年Bが一瞬考えてから言う
「…まぁ 確かに それが良いかもな?」
ユウヤが少年Bを見る 少年Cが言う
「そうだな?大体ここまで力を使った上で傷まで治したとあればリョウタは誰も吸わねぇでなんか居られねぇんだから… だったら今ユウヤさんに…」
ユウヤがリョウタへ向き直る 皆が見詰める中 リョウタが顔を上げないまま言う
「…いや、駄目だ 駄目… です」
ユウヤが疑問して言う
「え?」
皆が疑問して 少年Cが言う
「何が駄目なんだよ?相手公認で血を吸えるなんて こんなラッキーな事なんて…」
リョウタが言う
「俺… 抑えられない かも しれない… から…」
ユウヤが反応する 少年Bが言う
「はぁ?何言ってるんだ?むしろ お前はいつも抑え役じゃないか?俺ら皆の」
少女Bが言う
「そうだよ?リョウタは吸い過ぎちゃう事だって無いし?痛みも少ないって上手なんだから!ユウヤさんも良いって言うんだしさ?この際いつもより少し多めに貰っちゃっても良いんじゃない?」
ユウヤが苦笑して言う
「え、えっと…?そうだね?少し多めって言うか… 出来れば 1リットルぐらいで お願いしたいんだけど?」
少女Aが言う
「え?1リットルも良いの!?」
少年Bが言う
「ほら?痩せ我慢したって無駄だぜリョウタ?目の色が変わってる …本当は欲しいんだろ?」
リョウタが吸血衝動を見せつつ言う
「欲… しい… …けどっ」
ユウヤが言う
「リョウタ君 我慢しなくて良いよ?俺に出来るのは これ位しかないんだ …こんなオッサンの血で悪いけど」
ユウヤが苦笑する リョウタが吸血衝動に意識を支配されながら言う
「欲し…い… ユウヤサン… ク…ッ けど、俺…っ …怖い …んだよ また…っ」
リョウタがうつむく ユウヤが気付いて思う
(怖い?また…?それは…?)
少女Aが近くへ来て言う
「大丈夫よ!リョウタ!リョウタが止められなかったら あたしたちが止めてあげるから!」
少年Cが言う
「そう言う事だ!もしもの時は引き剥がしてやっから心配するなよリョウタ!」
少女Bが言う
「それに やるなら早くしないと… それこそC校の連中に見付かったりしたら …ユウヤお巡りさん あいつらに吸われちゃうよ?」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「うっ… それは困るな?それに もしそうなら俺は ここに居る皆に吸ってもらいたいから」
皆が一瞬驚く ユウヤが苦笑して言う
「当たり前だろ?俺は君たちの仲間なんだ それなら仲間のヴァンパイアに吸ってもらいたいよ」
皆が呆気に取られてから苦笑し 少年Bがリョウタを見て言う
「ほら リョウタ?ユウヤさんが ここまで言ってくれてるんだ」
リョウタが吸血衝動を必死に抑えている 少年Cが少女Bへ密かに言う
「…おい?ありゃ… マジでやべぇからよ?いざって時は ちゃんと止めろよ?お前ら?」
少女Aが驚いて言う
「えっ!?あたしたちがっ!?」
少年Cが慌てて少女の口を押さえて 小声で言う
「しっ!…馬鹿っ!ユウヤサンに聞こえるだろっ!?怖がらせたら血が吸い辛くなるっ」
少女Aが少年Cの手を外そうとしながら言う
「だ、だけどぉ~っ!?」
少年Cと少女Aがユウヤたちを見る ユウヤが上着の首元のボタンを外し左首を軽くこすってから言う
「これで…」
リョウタが堪えきれずに牙を剥いて吸血衝動を見せる 少年Bがユウヤの首を見て言う
「あ、ヤベ… 俺まで…っ」
少年Bが顔を逸らす リョウタが自分を支えていた少年Bを振り払って ユウヤの首へ噛み付く ユウヤが痛みに表情を歪めて言う
「うっ…!」
皆がハッとする ユウヤが表情を苦しめつつ思う
(うぅ…っ 結構 痛かったな…?それに久しぶりだからか?ヴァンパイアに吸血されるのって こんなに…)
リョウタがユウヤの首に吸い付いて強く吸い上げている ユウヤが表情を苦しめつつ思う
(こんなに…っ 吸い取られているって感覚が あったっけ…?これは血の気が引く感覚… 所じゃないな?大丈夫だと分かっていても正直… 少し… 怖い とすら…)
ユウヤが表情をしかめて言う
「…うっ!」
リョウタが強く吸血する ユウヤが表情をしかめつつ思う
(い、痛い…っ 牙で傷付けられた皮膚が自分の血が吸い取られる度に 痛みが…っ …うっ は、早く… 終わらない… か な… あ… あれ…?俺…?)
少年Cが表情を困らせつつ言う
「お、おい…?そろそろ… じゃねぇか…?」
少女Aが困りつつ言う
「え?えっと…?い、1リットルって… そんなに早かった… っけ?」
少年Cが言う
「いや…っ 1リットルとか正直 分からねぇけど…っ?」
ユウヤが景色の揺らいで行く視界を見て思う
(あ… れ…? 俺… 意識… が…?)
ユウヤの意識が遠くなり 両手の力が抜ける ユウヤのうつろな意識の中 少年Bの慌てた声が聞こえる
「…タッ …リョウタッ!駄目だっ!もう止めろっ!おいっ!お前ら早く手伝えっ!リョウタを引き剥がせっ!早くしねぇと ユウヤさんがっ!…死んじまうよっ!!」
ユウヤが思う
(…え?俺… が…?)
ユウヤの意識がブラックアウトする リョウタの悲鳴の様な声が聞こえる
「…ユウヤさんっ!?」
ユウヤが思う
(リョウタ君…)
続く
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