漫画の様にスラスラ読める小説をめざしたらネームになった物語の1つ。アールスローン戦記Ⅱ

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14章

アールスローン戦記Ⅱ 魂のビート

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【 ART1 】

ART1マシーナリーたちが荒野を走っている 敵マシーナリーが向かって来る 隊員Aがハッとして言う
「敵マシーナリーを確認!前方 150メートル!ターゲット RTD420マシーナリー!…ショット!」
M隊員Aが構えていた銃を撃つと 前方にいた敵マシーナリーの起動回路を打ち抜き 敵マシーナリーが一瞬動きを止めて倒れる 隊員Aが後方モニターでそれをチェックして言う
「よしっ」
スピーカーから隊員Bの声が聞こえる
『敵マシーナリーを確認!前方 100メートル!ターゲット RTD420マシーナリーっ!ショット ショットー!』
隊員Aが前方モニターを見る M隊員Bが敵マシーナリーへサブマシンガンを放ちつつ接近していく 敵マシーナリーの起動回路にサブマシンガンの弾頭がジャストショットして やがて貫通すると 敵マシーナリーが停止する その横をM隊員Bが過ぎ去ると同時に 敵マシーナリーが倒れる スピーカーから隊員Bの声が聞こえる
『やったー!?すっげぇ~ 少佐ぁー 見たでありますかー!?俺 サブマシンガンでRTD420マシーナリーを倒したでありますー!少佐ぁー!』
スピーカーからハイケルの声が聞こえる
『良くやった バイスン隊員』
スピーカーから隊員Bの声が聞こえる
『えへへ~ 本音言うと チョー怖かったでありますー 少佐ぁー』
隊員Aが苦笑して言う
「けど 今は少佐と一緒だもんな?バイちゃんは… だから」
スピーカーから隊員Bの声が聞こえる
『けど さっき 俺たちの前でー アッちゃんが カッコ良くキメてたからー 俺も気合入れて 頑張ったでありまーす!少佐ぁー』
隊員Aが呆気に取られる スピーカーからハイケルの声が聞こえる
『そうか お前もアラン隊員に 後れを取るまいと 意を決したと言う事だな?バイスン隊員?』
隊員Aが微笑する スピーカーから隊員Bの声が聞こえる
『えー?えっと~? ”意を決した” って言うかー?アッちゃんが出来るなら 俺も出来るかなー?って思ってぇ~?』
隊員Aが衝撃を受けて言う
「なぁっ!?バ、バイちゃんっ!?」
スピーカーから隊員Bの声が聞こえる
『にひひ…っ』
隊員Aが気付き苦笑して言う
「その様子は… バイちゃん 今 俺との無線回線 オープンにしてるだろう?」
スピーカーから隊員Bの声が聞こえる
『にっひひ… バレたぁ?』
隊員Aが呆れて言う
「バレバレだよ まったく バイちゃんは相変わらず…」
スピーカーの先のスピーカーから 隊員Cの声が聞こえる
『前方200メートル!RTD420マシーナリーを確認!』
隊員Aが反応して言う
「あれ?俺 サキとの無線回線を オープンにした覚えは無いんだけど?」
スピーカーから隊員Bの声が聞こえる
『あー それなら きっとー 俺との無線回線を介して 聞こえてるんじゃないー?俺は常にー ART1の皆の無線回線を ぜーんぶオープンにしてるもんねー!俺と少佐の関係と同じみたいにー?』
隊員Aが衝撃を受けて言う
「バ、バイちゃん それはいくらなんでも開き過ぎだってっ 無線回線は多くとも同時に2つ以上は開かない様にしないと!?じゃないと 無線が混線して いざって時に必要な無線を拾えなくなっちゃうぞ!?」
スピーカーから隊員Bの声が聞こえる
『えー?そうだったんだー?それじゃー… サッちゃんの回線はクローズ!』
スピーカーから隊員Cの声が聞こえる
『敵マシーナリー 射程内!ショッ… のわぁあっ!?』
隊員Aが驚いて言う
「なっ!?どうしたっ!?サキっ!?」
M隊員Cの前方で 敵マシーナリーが起動回路へ被弾した様子で止まっていて間を置いて倒れる M隊員Cが慌てて回避してから 隊員Cがホッと息を吐いて言う
「あぁ… びっくりしたぁ~…」
モニターに隊員Aが映り言う
『サキっ!大丈夫かっ!?』
モニターにハイケルが写り言う
『サキシュ隊員 無事かっ!?何があったっ!?』
2つのモニターに映る2人が反応してモニター越しに互いを見ている 隊員Cが言う
「少佐!?アラン隊員も?えっと… そ、それが… ターゲットまで180メートルの 小銃の射程内になったんで 撃とうとしたら …い、いきなりっ 後ろからミサイルが飛んで来て!?そのまま 敵マシーナリーに!」
隊員Cがバックモニターに映っている 倒れている敵マシーナリーを見る 隊員Aがバックモニターで同じマシーナリーを見た後言う
「後ろからミサイルが …って事は 誰か イリアス隊員辺りからの 援護射撃か?」
モニターに映っている隊員Cが言う
『おいおいー アラン隊員?そのイリアス隊員と 同じメインアームを使ってる俺が やっと 射程範囲に入って 銃撃しようとした瞬間だぞ?そもそも小銃メインアームの仲間内で 援護射撃なんて有り得ねぇし?』
モニターに映っている隊員Bが言う
『小銃メインアームチームは 元々支援チームだもんねー?同じメンバーでも 唯一 拳銃メインアームの アッちゃん以外はー?』
隊員Aが呆気に取られてから苦笑して言う
「あぁ… そう言えばそうだな?何しろ 相手がサキだったから 誰かに援護してもらったのかなぁ~?ってさ?」
モニターに映っている隊員Cが衝撃を受けて言う
『おいっ そりゃ どういう意味だっ!?アラン隊員っ!?』
隊員Aが衝撃を受けて言う
「あっ!しまったっ!珍しく サキとの回線をオープンに してたんだったっ!」
モニターに映っている隊員Cが怒って言う
『おいぃいーっ アラン隊員 順番に突っ込ませろっ!』
モニターに映っている隊員Bが楽しんで言う
『さっすがアッちゃん!最高ーっ!』
モニターに映っている隊員Bのスピーカーから隊員Nが言う
『おーう!最高だぜーっ!後ろから ガンガン援護射撃が来てくれるお陰で らっくらくだー!』
隊員Bが疑問して言う
『えー?それが最高ー?』
隊員Aがハッとしてバックモニターを見ると気付いて言う
「あっ!本当だっ 正に ”援護射撃” …と言うか?」
ハイケルがバックモニターを見て言う
「我々の侵入時には 大きな障害となった あの国の防衛システムが 現在は 我々のマシーナリーを除いた その他のマシーナリーを破壊している …それが 我々にとっては 程良い援護射撃と言った所か …しかし」
ハイケルが思う
(この位置は 我々が降り立った あの場所から 凡そ3キロの距離… 進入時には迎撃を受けていなかった場所であった筈だが…?)
モニターに表示が現れる ハイケルが反応して イヤホンを抑えて言う
「目標地点まで 残り 凡そ3キロだ 時間が無い 総員 前方からの 敵マシーナリーの襲撃に備えつつ 全速前進!」
イヤホンに隊員たちの声が聞こえる
『『了解!少佐ぁー!』』
隊員Bが言う
「了解!少佐ぁー!とーつげきー!」
ART1マシーナリーたちが走って行く 周囲の敵マシーナリーたちが 迎撃ミサイルに破壊されて行く

【 パーティー会場 】

アリアが登場すると拍手喝采になる アリアが軽く礼をしてから周囲を見渡して疑問して言う
「…あら?」

アリアが言う
「まぁ こんなに遅い時間にですの?」
ユラが言う
「ああ、ハブロス司令官は 重要な仕事があり 一足先に ホールを後にして居たんだ」
アリアが表情を落として言う
「そうでしたの… それでは お歌は前半だけで 後半のお歌はお父様へは お聞かせ出来なかったのですわね?」
ユラが言う
「う、うむ… だが その… ハブロス司令官の… 代わりに …とは 言えぬが お… いや、私とファーストは聴いていたぞ?…ああっ それから レミックの奴もな?」
ユラの後に居たミックが微笑して礼をする アリアが微笑して言う
「うふっ 分かりましたわ ユラお兄様!それならアリアは 十分でしてよ!」
ユラが苦笑して言う
「そうか…」
ユラが思う
(いや、本当は 俺や誰かなどよりも 誰よりも愛する父親である ハブロス司令官に聴いてもらいたかった筈だ それなのに… コレほど幼い頃から アリアは 父親の”ART司令官” と言う立場を理解し 気丈に振舞っているのだな?…俺は正直 高位富裕層の餓鬼どもは どいつも金と権力に甘やかされた 堕落者だと思っていたが 違った… 少なくとも このアリアは)
ユラが微笑すると アリアが微笑して言う
「それに お父様は 静かなお歌は苦手ですの きっと 後半のお姫様の愛の歌を聞いては お父様はお眠りされてしまってよ?うふふっ」
ユラが一瞬呆気に取られた後軽く笑って言う
「フッ… 確かに 後半の歌に関しては 俺も 歌の内容の理解の方は まったく出来なかったのだが… それでも」
アリアが疑問して言う
「それでも?」
ユラが視線を逸らして 僅かに頬を染めて恥ずかしそうに言う
「それでも その… な、なんと言うか… どれほどに姫が 自国の民や …己を愛した神の事を 想っているのか …と言うのは?…その想いの”強さ”に関してはっ 伝わって来た …様な気がする?」
アリアが喜んで言う
「まあっ 嬉しいですわ!ユラお兄様!ユラお兄様には アリアの ”魂” が伝わったのでしてね!」
アリアがユラに抱き付く ユラが衝撃を受け 慌てて言う
「魂が…?っ!?ア、アリアっ!?」
ファーストが執事2に車椅子を押されてやって来ると 呆気に取られて言う
「あの兄上が アリアの歌を聴いて あの様に お感じになられるだなんて…」
執事2が苦笑して言う
「ファースト様は 本日はめずらしく 後半は まるで旦那様の様に お休みでいらした事は 私は黙っております」
ファーストが怒って言う
「それは レミックと違って お前が 僕を起こしてくれなかったからだろっ」
執事2が言う
「そちらは 失礼を致しました」
ファーストが不満そうに口を閉ざす レミックと執事2が微笑している ユラがアリアからの抱擁に困っている アリアが喜んでいる

【 警空 第二部隊 】

パイロットがモニターを見てから 直接 窓の外を見てハッとして言う
「こちら 警空第二部隊 マッカー隊員!」

【 ART本部 司令塔 】

スピーカーから声が聞こえる
『ART1を発見したっ!』
グレイゼスが喜んで言う
「ハイケル!」
グレイゼスの後ろにエルムαがサブマシンガンを構えている

【 ART1 】

ハイケルがイヤホンを操作してから付け直し言う
「こちらART1隊長 警空第二部隊 聞こえるか!?」
イヤホンに警空第二部隊長の声が聞こえる
『こちら警空第二部隊隊長 ART1隊長 通信は聞こえている!』
隊員Bがハイケルへ向いて微笑する

【 帝国 玉座 】

アースがやって来ると 微笑して言う
「”愛と平和の力を持つ神” …貴方の事か 皇帝?」
玉座に座っている皇帝が苦笑して言う
「…いと 懐かしき 響きよ」
アースが軽く笑い 皇帝の前に立つ 皇帝が言う
「されど その響き… やはり 我には似つかわぬ… その力と共に 免れる事 叶うなれば 我は 何の迷い無く その地位も力をも 明け渡そう」
アースが言う
「残念だが そちらは許されない事だ 例え その貴方自身が 望もうと望まぬともな?」
皇帝が愁いを帯びた目を伏せる アースが言う
「アールスローン戦記の原本を読み解いた 貴方も聞いていたのだろう?皇帝?」
皇帝が目を開きアースへ向く アースが言う
「ならば 答えてもらうぞ?”愛と平和の力を持つ神” その貴方と共に歌われた もう一人の神 ”混沌と破壊の力を持つ神”とは それは …あの 黒い天使 ネロの事か?」
皇帝が静かにうなずいて言う
「ネロは… その方らの 真の神 力なき我に代わり 多くの力を その方らへと 分け与えし」
アースが言う
「ならば 何故 その神が 我々の敵となった?奴が与えた力を 我々人が横暴したが為か?」
皇帝が言う
「否 その方らに与えられし力して それにより行われし事実 …その程度の事で 神は 人を見放す事は致さず 増して その方らの行いなど ネロにとっては 赤子の悪戯に等しきもの」
アースが一瞬間を置いてから言う
「…では 何故だ?何故 奴は 我々の… ”人々の敵”となった?」
皇帝が沈黙する

【 ART1 】

M隊員Iが滑走を続ける 後方からDD6が追い付き まもなくM隊員Iとドッキングして上空へ上昇する 続いて M隊員DがDD6とドッキングを成功させ 上空へ上昇する 次々とマシーナリーが滑走して行く M隊員Aが特殊車両を手に持ち コックピット付近へ近付ける 隊員Aが言う
「では ハッチを開けますので 前方にあります車両の方へと 乗り込んで下さい」
ユウヤが言う
「はい ここまでお世話になりました」
隊員Aが言う
「いえ 荒い操縦で すみませんでした」
ユウヤが苦笑して言う
「こちらこそ あの乱戦を潜り抜ける中 お邪魔をしました …わっ!?」
ユウヤが足もとをふら付かせる 隊員Aが一瞬焦るが ユウヤは体勢を立て直して 苦笑して見せてから外へ向かう 隊員Aがホッとする 

ユウヤが車両の中を見渡して言う
「えっと…?やっぱり こういう時は 俺は運転席では… ない方で 良いんだよな?」
ユウヤが席に向かう 

M隊員Bがやって来て 隊員Bが言う
「アッちゃん 移動は終わったー?次は少佐だから それ俺に貸してー?」
隊員Aが言う
「ああ、それじゃ 中に人が乗ってるんだから そっとな?バイちゃん?」
隊員Bが言う
「了解ー!そ~っと~…」
M隊員Aが特殊車両をM隊員Bの手に乗せる 

特殊車両の中

ユウヤが周囲を見ていると 扉が開き ハイケルが乗り込んで来る ユウヤが言う
「あの… ひょっとしてですが この車両も 隊員さんたちのマシーナリーの様に 高速走行の状態で あの… 空を飛ぶ乗り物に 引き上げてもらうのでしょうか?」
ハイケルがシートベルトをしながら言う
「そちらの”予定”だ」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「う…っ やっぱり …って え?”予定”?」
ハイケルが車両のエンジンを掛ける ユウヤが心配そうに言う
「そちらの ”予定” と、言うのは?まさか…?」
ハイケルが言う
「予定は予定だ つまり」
ユウヤが言う
「つまり!?」
ハイケルが言う
「経験は無くとも 結果を信じ 突き進むのみ!」
ハイケルがフルスロットルで車両を急発進させる ユウヤが悲鳴を上げて言う
「えぇええーーっ!?」
車両が路面の凹凸で激しくバウンドしながら突き進む ハイケルが叫ぶ
「いっけぇええーーっ!」
ユウヤが悲鳴を上げている
「うわぁあああーーっ!」
周囲のART1マシーナリーたちがドッキングを終え上昇して行く 最後のDD6が超低空飛行をして特殊車両とドッキングして上昇する 上昇した上空にて ハイケルが周囲を確認して言う
「作戦成功」
モニターにパイロットが苦笑して映って言う
『お疲れ様です ハイケル少佐 流石と言いますか …加速スピードが予測値をオーバーしていて驚きましたが 無事 成功です』
ハイケルが言う
「問題ない」
ユウヤが目を回している ハイケルがイヤホンを押さえて言う
「こちらART1隊長 ART1各員 状況を」

【 ART2 】

ラミリツが剣を鞘へ収める 村人が喜んで言う
「やったー!有難う御座いましたー!ART2の隊長さん!」
ラミリツが微笑して言う
「どう致しまして また 現れる様でしたら お知らせを下さい」
村人が喜んで言う
「はい!直ぐに お知らせします!」
ラミリツが微笑して言う
「それでは」
ラミリツが立ち去る メディアのカメラが撮影している ラミリツが通信機を着信させて言う
「こちらART2隊長 ART2各員 状況を」

野営場

ラミリツが言う
「うーん やっぱ このままじゃ駄目だ 力を得るには この国に受け入れてもらうことは必要だけど それ以上に…」
ラミリツが思う
(”彼ら”に接触したい …あの魔法と呼ばれる力を 自在に操る 彼ら …”ウィザード”に)
ラミリツの脳裏に シュイが灯魔作業をする姿が思い出される ラミリツがその膨大な炎の強さに呆気に取られている ラミリツが視線を強めて言う
「問題は その接触方法だけど…」
ラミリツが腰を下ろし思う
(現状の僕らART2は この国の役に立つという事に対しては それなりに効果が現れつつある …だけど それは同時に ウィザードたちの手が届いていない 離れた場所での作業になってしまってる)
ラミリツが言う
「これじゃ 会えない …彼らに接触するには?その…」
ラミリツが思う
(その切欠を得るには?それは… 彼らが向かう 灯魔台の近くへ行く事が望ましいけど そもそも その灯魔台があれば 少なくとも その周囲に異常魔力は無いのだから 僕らの出番も無い訳で…)
ラミリツが溜息を吐いて言う
「はぁ… 何か良い方法は…?うん?…そうだ!」
ラミリツが立ち上がり通信機を取り出すと 歩きながら通信して言う
「シュナイゼル 僕だけど これから少し確認して来たい所があるから その間 ART2を頼むよ」
通信機のモニターに映るシュナイゼルが言う
『了解 隊長』
ラミリツが通信機をしまうと顔を上げる 視線の先Mラミリツがある

【 ART本部 司令塔 】

スピーカーから声1が聞こえる
『警空第二部隊 ART1マシーナリー全機 及び 特殊装備車両とのドッキングに成功 これより アールスローン帝国へ帰還します』
グレイゼスが微笑する スピーカーから声2が聞こえる
『警空第二部隊 了解だ 帰還ルートは予定通り ルート36を使用 受け入れはアールスローン帝国 警空マルック基地 第一滑走路』
スピーカーから声1が聞こえる
『ルート36 及び 受け入れ警空マルック基地 第一滑走路 了解 飛行時間は 418分を予定 到着時刻は3時32分』
グレイゼスが軽く息を吐いて言う
「3時32分か~」
グレイゼスの後方で金音がする グレイゼスが苦笑して言う
「流石に そいつは待てそうにない… か?…俺の代わりに あいつらの様子を見ていてくれますかね?エルム少佐?」
エルムαがサブマシンガンを構えていて言う
『現時刻は 20時12分…だ 既に就業時間を 3時間12分経過している 当直担当者を除き ART隊員は全隊員 帰宅せよ これは… 最終警告 だ 従わない場合は 強制排除を決行する』
グレイゼスが苦笑して降参の手を上げて言う
「はいはい~ 了~解 …にしても?今日は随分とそちらの 強制排除へ至るまでに お時間を頂きました様で?既存のプログラムとは異なる行動… やっぱり 貴方は?」
グレイゼスがエルムαの顔を覗き込む エルムαが言う
『現在は ART司令官が 特別勤務を決行中 …だ よって ART通常設定は37%緩和中 …だ』
グレイゼスが言う
「なるほど…?そちらは確かに間違いない …とは言え いつかは そちらのカラクリを解析させて頂きますよ?貴方と言う2世代目の悪魔の兵士を作り出した マスターの名を継ぐ者の プライドに掛けましても?」
エルムαが沈黙する中 グレイゼスが一度笑みを見せる エルムαと共に立ち去って行く

【 帝国 】

アースが不満そうに言う
「何?奴は… ”我々の敵では ない” だと?」
皇帝が言う
「そう… ネロは過去も現在も その方らの”味方” ネロこそが その方らの神とある」
アースが怒って言う
「馬鹿を言うなっ!人の命を奪う あのマシーナリーを作ったのも!…作らせたのも 奴ではないのかっ!?」
皇帝が言う
「その方の申す事正しきかな… されど そのマシーナリーに関しては 元はと申せば その方ら人の為に 与えし力ではあったのだが…」
アースが言う
「元は我々の為であったとしても 今は違うっ その証拠に この話をしている現在でさえ この帝国の城壁には 奴に作られ 奴に操られたマシーナリーが押し寄せている!」
皇帝が目を伏せる アースが言う
「奴は アウターに異常電波を発生させ 生物や機械の行動を蝕み 我々人や世界を滅ぼそうとしているっ その様な者は この世界に生きる 我々人類のっ… いや この世界に生きる全ての生命の敵だ!」
皇帝が表情を苦しめる アースが言う
「そうとなれば我々は この世界を守る為に 奴とっ …あの黒い堕天使 ネロと戦う!我々が生き延びる為にはっ 奴を排除しなければならないのだろう!?悪しき神であるネロを!奴の命を奪わなければっ!」
皇帝が悲鳴の様に言う
「やめよっ!」
アースが驚く 皇帝が表情を悲しめ顔を左右に振って言う
「それ以上… 醜き音を 連ねてはならぬ アース…」
アースが言う
「醜いか?そうか 愛と平和の神である 貴方には とても聞くに耐えない響きだろう しかし それが 我々が生き残る為の手段であると言うのなら 私は 迷い無く何度でも発するっ 例え 目の前に 貴方と言う我らの神が居ようともな?」
皇帝が言う
「否 そうではない その方の力は 真強き力 その力 やがては 我が力さえも超えようか… なればこそ その方は もはや見間違う事は許されぬ」
アースが言う
「見間違う?どういう意味だ?現状の私が 見間違っているとでも言うのか?」
皇帝が言う
「現状の… そうよな 現在も 過去に置いても… その方の力は 人の身にありながらも 真強き力よ」
アースが言う
「過去…?」
アースが皇帝を見詰めると 脳裏に夢に見た記憶が一瞬蘇る

青年が呼ぶ
『…ローゼンダーク!』

アースが左目を押さえていた状態から 頭を左右に振り 改めて皇帝を見て言う
「…私は アールスローン戦記の原本を 読み解いた…っ それにより貴方が”愛と平和の力を持つ神”であると言う事と共に あのネロが ”混沌と破壊の力を持つ神”であると言う事は知ったが …その奴が 何故 我々人類へ 敵対する事になったのかは 分からない その理由は? …貴方であるなら 当然知っている筈だ」
皇帝が反応する アースが言う
「教えろ 皇帝っ 奴が…っ 我々を攻撃する その”理由”は 何だっ!?」
皇帝が言う
「その理由は… ネロの行いは…」
アースが注目する 皇帝がアースを見上げて言う
「その方らを… 真… ”守らん”が為にある」
アースが呆気に取られる

【 ART2 】

原生動物たちが唸り声を上げている Mラミリツの足が現れると 原生動物たちが襲い掛かり Mラミリツの足に噛み付く ラミリツの足元のスーツに電流が流れる ラミリツが衝撃を受けて言う
「痛ぁあっ!?」
原生動物たちがMラミリツの両足に噛み付いて来る Mラミリツが慌てて言う
「イタタタタッ!ちょ、ちょっとぉっ!タンマ タンマッ!やめろったらっ!そんな事しても マシーナリーは倒せないんだからぁっ!けど…っ イタタタタッ!」
ラミリツが痛みに表情を引きつらせつつモニターを操作する モニター上に神経信号解除の表示が現れる ラミリツが息を吐いて言う
「あぁ~ 痛かったぁ…」
原生動物たちは尚も噛み付いている ラミリツがその様子をモニターで確認して苦笑する Mラミリツが顔を向ける Mラミリツの視線の先 建設中の灯魔台がある

建設中の灯魔台

大きな足音がして 作業員が驚き振り返ると慌てて言う
「のぉおおーっ!?」
作業員が担いでいた木材を落としそうになる ラミリツが言う
「あっ!」
Mラミリツが作業員の担いでいた木材を指先で摘む 作業員が疑問して呆気に取られる コックピットが開き ラミリツが現れて言う
「脅かしてしまい 申し訳ありません 私は…」
作業員がラミリツを指差して言う
「あー!あんたー!?いつもTVに出てる!」
ラミリツが微笑する

作業員が言う
「あぁ あれねぇ…?いつもですよ」
作業員とラミリツが視線を向ける 一定の位置の手前に野生動物たちが集まっていて唸り声を上げている ラミリツが気付いて言う
「いつも…?…あっ さっき追い払ったばかりなのに…っ!?」
ラミリツが思う
(もう あんなに沢山?…さっきよりも増えた?)
作業員が言う
「それでも なんつったかなぁ?魔… 何とか石?って?”ウィザード様が魔法を掛けた石”がありましてね?それのお陰で あいつらはあれ以上こっちには入って来れないらしくて だから 大丈夫だろうと 分かってはいるんですがね?おっかないっちゃ おっかないですよ… しかも 先日には この先の 灯魔台の その…”何とか石”が カラスに盗まれただなんて 聞いたもんだから 私らも 慌ててカラス避けのネットなんて 張ってみたけれど ここでの仕事は 正に命懸け …とは言いたくないが 早く 工事を終わらせて 安全な町へ帰りたいって言うのが 皆の本音ですよ」
ラミリツが言う
「そちらの お気持ちは良く分かります」
作業員が苦笑して言う
「そうですか…?とは言っても その そちらさんは 原生動物から村を守ったりして 本当に命懸けなんだろうから 私らの不安なんて 大した事無い様に 見えるでしょう?」
ラミリツが言う
「いえ そんな事は無いですよ?むしろ 戦う為の武器を所持されていない 皆さんの方が 心細いでしょう?」
作業員が呆気に取られて言う
「え?あ… あぁ… そう… ですか?あー?そうかもしれないなぁ~ いやぁ どっちにしろ そう言って貰えると 嬉しく思いますよ」
ラミリツが言う
「では 皆さんの そちらの不安を払拭出来るよう 早速 我々ART2が 勤めようと思います!」
作業員が疑問して言う
「え?…と 仰いますと?」
ラミリツが言う
「こちらの工事の 元受は どちらになるのでしょうか?やはり 奉者協会ですか?そちらへ 掛け合って こちらの工事現場に 我々ART2の警備を付けさせてもらえるようにと 打診をしてみます!」
作業員が驚いて言う
「えっ!?良いんですかい!?ここは 村でも町でもないですよ?」
ラミリツが言う
「村や町ではありませんが 我々が守るべき 皆さんが働かれている場所です そちらを守る事は 我々にとっては 先の村や町を守る事と なんら変わりません」
作業員が表情を明るめる

【 帝国 】

アースが言う
「守る為に…?我々を”守る為に” 我々を”攻撃している”とは?どう言う事だ?…言っている意味が 分からないのだが?皇帝?」
皇帝が言う
「それは その方が 神にあらず 人であるが故… されど その方らも ”命”と言う言葉を用いる なれば…」
アースが言う
「”命”は分かる そして 私はその”命を守る”為に 戦おうと言っているが 貴方は?その”命を守る為に” ”命を失わせよう”と言っている」
皇帝が言う
「そうよな?されど 命は その方ら人を含む全ての生物の ”器”の上に在りて そして いつかその器の上から零れ落ち様とも 決して 消える事はあらず… 命と呼ばれし”力”は 未来永劫 輪廻転生を繰り返す」
アースが気付いて言う
「…なるほど そう言う事か …つまり 神と呼ばれる 貴方が言いたい事は 命とは ”その者の身体から” 失われようとも また別の ”新たな者の身体に”宿り 生まれ変わると?」
皇帝が言う
「そう… 人の命の周期は 何と短きものか …その流れは 我らとは 異なり過ぎる」
アースが言う
「では ネロは この世界に ”現在生きている” 生命を 全て失わせ そして 他の”別の者へ” 転生させようとしている …とでも言うのか?」
皇帝が言う
「”その時”が再び得られしか… 果ては その方らの命を 我らが 真 守りきられしか… それらの答えは 定かにはあらず されどネロは その術を用いてでも その方らを守らんとしている まもなく訪れし ”この世界の滅亡の時”から…」
アースが呆気に取られて言う
「この世界の滅亡の時…?」
皇帝が言う
「その方らの命が それを逃れるには その間の時を 最も小さく そして最も弱き力とある ”命”の姿にて 在り続ける他にあらず それはとても難しき事 なれど ネロは信じ その方らを守らんが為に 今こそ その命を 集めんとしている …これで その方にも理解が及ぼう アース?ネロは… ネロこそが その方らの ”真の神”にして… その方の”仲間”とある」
アースが目を閉じて沈黙している 皇帝がゆっくりと顔を左右に振って言う
「…本来であるなら ”人”と在るその方へ その ”人の滅びの時” を伝えし事は それを免れ得る神と在る我らには 許されざれし事… なれど 我は 再び過ちを犯した …許せ アース …力持つ その方を止めるには もはや これを伝えずして 他は在らずと…」
アースが言う
「…そうだ 私は”人”であり ”神”ではない」
アースが皇帝を見る 皇帝が表情を悲しめる アースが言う
「だが そうであるからこそ 私には… 貴方には分からない事が 分かる」
皇帝が疑問する アースが言う
「何が”命を守る為”だ?何が”輪廻転生”だ?――ふざけるなぁあっ!!」
皇帝が驚く アースが言う
「人は生まれてからっ 多くの人や物と出会いっ そして 多く知識と経験を得るっ!彼らから 掛けられた言葉っ 与えられた想いっ それら”全ての記憶”が ”その者”を造っているっ!例え 命と例える ”生命の源が” 鼓動を起こす ”1つの電気信号”であったとしてもっ それを取り入れた この身体にある ”記憶と感覚”っ!この身体には ”魂”が宿っているんだっ!その身体から ”命”だけを取り出し いつか新しいからだに入れてやろうなどと!…余計なお世話だっ!!」
皇帝が呆気に取られている アースが言う
「私は戦うっ!貴様らの様な 滅びの時に怯える臆病な神になどっ 屈してなるものかっ!そして 我らが神!貴方も共に戦えっ!貴方が愛した 姫や その姫の想いが守った 我々と共にっ!それが出来ないと言うのならっ 今 この場で 貴様もぶっ倒してやるぞっ!皇帝っ!!」
アースが握り締めていた手を振り払って 皇帝へ敵意を向ける アースの左目に光が宿り 背に一瞬 強い光の片翼が舞い開く 皇帝が呆気に取られて言う
「…これが 人の… ”命の輝き”… 何と 美しき… 強きちからとあろうか…」
皇帝がアースの光に見惚れる

【 ART2 】

オフィス街の一角 ラミリツがビルを見上げて言う
「ミンディーグストリート510… 良し、このビルだ」
ラミリツがビルへ入って行く

【 ART本部 】

入り口が開くとアースが入ってIDを通して顔を上げる アースの名前が表示され アースがそこから視線を変える 視線の先にART1メンバーの名前が全て表示されている アースが微笑して言う
「戻ったか」
アースが通路を行く

【 ART2 】

受付1が顔を向け驚いて言う
「え…っ!嘘 どうして…!?」
受付2が疑問して作業の手を止め顔を上げると 目の前の人物に驚いて言う
「ラ…ッ!?」
ラミリツが微笑して言う
「私はアールスローン帝国軍 レギスト特殊部隊 第二機動部隊隊長 ラミリツ・エーメレス・攻長 と申します こちらの会社に マリア・シュテーゲルさんが居られると伺って 参ったのですが どちらの部署に居られるのでしょうか?」
受付1が思わず立ち上がって言う
「は、はいっ!マリア・シュテーゲルでしたら!営業課に居ります!ご案内致します!」
受付2が慌てて立ち上がって言う
「わ、私が ご案内します!」
受付1が慌てて言う
「えっ!?私がご案内するったらっ」
受付2が言う
「いえっ!ご案内は 後輩の私の担当ですよっ!先輩っ!」
受付1が言う
「い、良いのよっ 今日は私が…っ!」
受付2が言う
「いつも私ですからっ 私が…っ!」
ラミリツが呆気に取られた後 2人の後ろの案内表示に気付いて思う
(あぁ… なんだ…)
ラミリツが微笑して言う
「”営業課”は2階のフロアが全てですね?でしたら 案内は無くとも大丈夫です」
受付の2人が衝撃を受ける ラミリツが微笑して言う
「ご丁寧にして頂いて 有難う御座います しかし その2階への階段も すぐそこに見えていますので」
受付の2人が苦笑して言う
「そ、そうですね…」 「階段を上がってすぐ近くの者へ言って頂ければ シュテーゲル主任は有名なので」
ラミリツが言う
「有名…?ああ、そうですよね?何しろ ウィザード様の奉者様でもあるのですから」
受付の2人が苦笑する ラミリツが向かおうとして言う
「それでは… …あ、何か 記帳など必要ですか?面会… じゃ無かった …部外者である私が こちらの会社へ勝手にお邪魔をしてはいけないですよね?」
受付1が言う
「はい、それは えっと… 本来ですと ご記帳をして頂くのですが ラミリツ様は… あ、いえっ 攻長様は 著名な方ですので 大丈夫ですっ」
ラミリツが言う
「そうなのですか 有難う御座います では」
受付2が言う
「…あ、あああのっ!サ、サインもらえませんかっ!?ファンなんです…っ」
受付1が怒って言う
「こ、こらっ 駄目よ 仕事中でしょっ!」
ラミリツが呆気に取られた後微笑して言う
「ああ、良いですよ それでは 記帳代わりにと言う事で?」
受付2が喜んで言う
「ありがとうございます!やったーっ!」
受付1が慌てて言う
「えぇえっ!わ、私も 欲しいっ!お、お願い出来ますかぁっ!?」
受付2が言う
「せ、先輩っ!?」
ラミリツが軽く笑って言う
「はい では お二人に」
受付2人が喜ぶ

【 ART司令室 】

アースが書類から顔を上げて言う
「なんだ それで 報告書の作成を行う為に 昨夜は屋敷へ戻らず わざわざ 国防軍へ?」
ハイケルが言う
「このART本部にて 作成を行なう予定だったのだが ここへは…」
エルムαが視線を向ける ハイケルが言う
「融通の利かない 2世代目の悪魔の兵士のお陰で 就業時間外に立ち入る事が叶わず 仕方なく 国防軍へ向かい マイク少佐の情報部の部室を 間借りして作成していた」
アースが言う
「それならば さっさと屋敷へ戻って来れば良かっただろう?」
ハイケルが言う
「屋敷の部屋には PCやその他の入力装置を持ち込んでいない… いや、そもそも 私は それらを個人で所有していないんだ それに…」
アースが書類を見ながら言う
「必要とあれば 誰かに言えば良かっただろう?それか…」
ハイケルが言う
「我々が 警空第二基地へ帰還したのは そこへも記入した通り 早朝3:32… 早朝と言うより むしろ 深夜に近い時間だった 従って その様な時間では 屋敷の使用人らも休んでいる時間であろうと… それに もし 起きていたとしても そんな時間に 何かを用意しろと言った所で…」
アースが書類をめくって言う
「何時如何なる時間であろうとも 主の帰宅には挨拶をし 要望には答えるのが使用人と言う者 …そして それを完璧にこなせるのが 我がハブロス家の使用人たちだ 余り甘く見てくれるなよ ハイケル?」
ハイケルが一瞬呆気に取られてから言う
「そ… そうなのか …了解」
アースが苦笑してハイケルを見ると 気を取り直して言う
「それに 先ほど言い掛けた事だが そもそも そちらの深夜に近いと言われる程の時間に戻ったのならば お前はさっさと屋敷へ戻り 休息を取り それこそ 早朝にでも 直接 私へ報告をすれば良かった」
ハイケルが呆気に取られて言う
「うん?…そうだったのか?」
アースが苦笑して言う
「融通が利かないのは お前の方だな?ハイケル少佐?」
ハイケルが衝撃を受けエルムαを見る エルムαがハイケルを見下ろしている ハイケルがムッとして言う
「わ、悪かったな 俺は…っ 私はっ!軍規定に則りっ 報告書を作成して 迅速に報告を行うものだと思ったんだ!以上だっ!」
アースが言う
「ほう…?」
ハイケルがどや顔でアースを見ている アースが鼻で笑って言う
「ふっ… 最も そちらの軍規定は 国防軍規定であって このARTには存在しない」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「ぐぅっ…!」
アースが言う
「ちなみに、このARTの軍規定は たったの2つだ」
ハイケルが呆気に取られて言う
「…2つ?それだけか?」
アースが言う
「ああ、そうだとも?その1つは ”平常時に置かれる終業時間を守る事” もう1つは ”何があろうとも…”」
ハイケルが悪笑んで言う
「”司令官の命令に従う事” か?」
アースが微笑して言う
「”仲間を守る事” だ」
ハイケルが呆気に取られる

【 ART2 】

社員が言う
「うーん… マリア主任は 今は お昼休みみたいですね?」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え?…あ、そうでしたか」
ラミリツが時計を見てから思う
(あぁ… そっか つい 15分前行動を… 僕は兎も角 普通の人は 昼休憩と言ったら 13時きっかりまでなんだ?…それじゃ 仕方が無い)
ラミリツが言う
「では また 休憩が終わった頃にでも 改めて参りますので」
社員が言う
「あ、でも 隊長さんは お忙しいんじゃ?」
ラミリツが言う
「大丈夫です 部隊の事は 副隊長へ任せて参りましたので」
社員が言う
「けど… …あっ 課長!」
課長が通り掛り疑問して顔を向けると ラミリツに気付いて驚く

課長がラミリツへ話しながら歩いて言う
「うちの娘も隊長さんのファンでしてね?私がお会いしたと話せば きっと 羨ましがります」
ラミリツが微笑して言う
「そう仰って頂けると こちらの世界の皆様に 我々の到来を受け入れて頂けている様で とても嬉しく思います」
課長が軽く笑って言う
「っはは もちろん 最初は驚きましたけどね まぁ それも あのウィザード様方の時と比べれば …別の世界の方とは言え 隊長さん方は ”我々と同じ人間”ですから」
ラミリツが気付いて言う
「”同じ人間”…」
課長が言う
「それに 友好を求めて来られたと言うのなら 我々も… あ、では ちょっと失礼します …うんっ マリア君?」
ラミリツが考えて思う
(そっか… 僕らも ハブロス司令官から 他の国に行って来いって言われた時は 緊張をしたけれど …いざ こっちの国に到着して 様子を見てみたら… 何だか落ち付いた …それは)
課長がパーテーションの向こうへ言う
「マリア君 今 ちょっと良いかね?」
マリアが立ち上がって言う
「あ、はい 何ですか 課長?…えっ!?あの人!?」
ラミリツがパーテーションの先に見えたマリアの姿に微笑して思う
(それは この国も 僕らの国アールスローンと…)
女性2人はTVを見ている 他の女性が疑問して マリアの視線の先を見て驚いて言う
「ラ、ラミリツ様っ!?」
TVに映っているラミリツの映像を見ていた2人が本物のラミリツに気付いて黄色い悲鳴を上げる
「「キャァアー!ラミリツ様ぁあー!」」
ラミリツが微笑して思う
(同じだったからだ)
課長が苦笑する ラミリツがTVを見ていた2人へ向くと軽く手を振る 2人が喜ぶ マリアが呆気に取られる

【 ART司令室 】

アースが報告書を置いて言う
「ふん…」
ハイケルが言う
「その報告書にも記した通り 彼らの国から連れて来た かの国の使者は 我々が到着した 警空の基地にて あらかじめ待機していた 政府の外交長へと引渡したが…?」
アースが言う
「ああ、そちらは ミックワイヤー長官から連絡を受けている」
ハイケルが言う
「そうか では やはり… 政府の長官が 話を付けるのか?」
アースが言う
「一応 そこには アーヴィンも… 国防軍総司令官である ヴォール・アーヴァイン・防長閣下も 同席している」
ハイケルが表情を曇らせて言う
「それは …大丈夫なのか?ライヴィン… いや、国防軍総司令官補佐官も そこへ同席しているのか?」
アースが苦笑して言う
「まさかな?他国の使者との対話に 補佐官を同席させる様な事はしないさ」
ハイケルが心配して言う
「で、では…っ!?軍曹だけで…っ!?」
ハイケルが思う
(あのユウヤと言う男…っ 中々のキレ者かも知れない!ハブロス司令官なら兎も角 その男を前に 軍曹では…っ!?)
アースが言う
「それよりも ハイケル少佐」
ハイケルが思う
(それよりも?…部隊作戦を行って連れて来た 他国の使者の事よりも 重要な…?)
ハイケルが疑問して言う
「…何だ?」
アースが一度 報告書へ視線を向けてから言う
「…いや、相変わらずと言うべきか?」
ハイケルが思う
(相変わらず?相変わらず… 私の作戦が 無茶苦茶だったと 怒られるのなら…っ それは!)
ハイケルが言う
「それは!私が 悪魔の兵士であるから…っ!」
アースが言う
「お前の報告書は まったくなっていない!」
アースが報告書でデスクを叩く ハイケルが衝撃を受けて言う
「は?」
アースが不満げに言う
「国防軍の時もそうだったが… 何故 お前の報告書は いつもいつも 必要な箇所が まるっきり 抜けているんだっ?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「な、何っ!?いや?そんな 筈は…っ?」
アースが報告書を見ながら言う
「4:58 政府警察航空局マルック基地第1ゲートよりART1隊員及びART1マシーナリー出撃 同日13:10 第一目的地到着 13:12第二目的地へ向け進軍 14:08 第二目的地到着 14:28 第一ターゲット確認 14:30 第一ターゲットへ接触 14:45 第一ターゲットの自宅と思われる建物へ進軍 15:26 同建物から退避 16:04 農村と見受けられる村へ到着 23:09 同村を退避…」
アースが溜息を吐く ハイケルが言う
「…何か問題か?」
アースが言う
「分からないのかっ?」
ハイケルが言う
「実に 単純明確な報告書だと思うが 一体 その報告書の何処が…」
アースが怒って叫ぶ
「内容が ”まるっきり” 無いっ!!それこそ お前は私へ かの国の内情を伝えようと言う”想い”が まるっきり 無いのかっ!?」
ハイケルが衝撃を受ける

【 ART2 】

マリアの会社 応接室

ラミリツが言う
「こちらへ訪れる前に 一度 周囲の様子を確認したのですが 確かに 結界が張られているその中へは 原生動物は入り込めない様子でした …しかし その周囲には動物たちが集まっていて 万が一 何らかの拍子に 結界が弱まったり 消えてしまったりしたら あの原生動物たちが 建設作業を行っている作業員たちへ襲い掛かるかもしれない… そう考えると ちょっと 放ってはおけないかなと…」
マリアが視線を下げている ラミリツが心配して言う
「ああっ いえ、もちろんっ!?ウィザード様のお力を得た 魔鉱石があるのですから 私の余計な心配かもしれないですがっ?」
マリアがハッとして言う
「あっ!いえっ 違うんです!私も よく考えたら心配だなって…っ」
ラミリツが言う
「それでは 宜しいでしょうか?」
マリアが言う
「え?」
ラミリツが言う
「我々がそちらの警備を行っても?」
マリアが言う
「あ、はいっ それは もちろん!こちらこそ 宜しくお願いします!」
ラミリツが思う
(良し これで 灯魔台の建設も早まるだろうし 上手くすれば その灯魔台へ灯魔作業を行うウィザードたちと接触出来るかもしれない …それに何より)
ラミリツが微笑して言う
「良かった …それでは ”我らが女帝陛下の剣として” その名誉に賭け 建設中の灯魔台の警備 必ずや成し遂げると誓います」
ラミリツがマリアへ対して女帝への敬礼をする ラミリツが思う
(この世界の神様にお仕えする女性… あの女帝陛下たちと同じ その マリアさんがやろうとしている事を 手助けする事は それは 親兵攻長の…)
ラミリツがハッとして思う
(…あれ?僕は?)
マリアが呆気に取られて言う
「”女帝陛下の 剣として”…?」
ラミリツがハッとして言う
「…あ 失礼 つい…」
ラミリツが思う
(…な、何でだろ?そんなつもりは無かった筈なのに… 何だか マリアさんを見ていたら 陛下へ誓いを立てているような そんな感じがして…) 
マリアが気を取り直して言う
「あ、いえ… その …と、とっても心強いです!」
ラミリツが苦笑して言う
「あ… はは… 有難う御座います」
ラミリツが思う
(あぁ… 何恥ずかしい事やってたんだろう 僕…)
ラミリツが視線を逸らして若干表情を困らせる マリアがラミリツの剣へ目を向けていて言う
「…所で あの…」
ラミリツがハッとして気を取り直して言う
「はい?…こちらが何か?」
マリアが言う
「その剣って あの… 本物 …ですか?」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え?」
ラミリツが思う
(…って そうだった ここは同じ人間の住む国ではあっても アールスローンじゃないんだ だから 攻撃の兵士も 親兵攻長も無くて…)
マリアが言う
「あっ すみません …えっと そのっ 私、初めて見たもので!?」
ラミリツが言う
「あ、ああ… そうですか はい、本物ですよ?」
ラミリツが思う
(そうそう だから 今は それこそ アールスローン戦記とかアールスローン信書とか そういうのも無しで 考えないと!)
ラミリツが人知れず気を引き締める マリアが言う
「そうですよね?可笑しな事を聞いて ごめんなさい TVで見ました それで… 本当にその剣で 原生動物を?」
ラミリツが言う
「はい、一応メディアの方へは 予め 実際に斬り付けているシーンは 流さない様にと話を付けてあるので 途中までしかお見せしていないと思いますが 本当に こちらで退治しています」
マリアが言う
「では… あの鉄の巨人は?」
ラミリツが言う
「ああ、あれは 元々 アウターで使用するものですし こちらの世界では 燃料も供給が出来ないので 出来るだけ使用は控えているのです」
マリアが言う
「なるほど」
ラミリツが思う
(そう、本当は そのマシーナリーを使って この国を守っている姿を見せられれば この国からの協力を得る事だって すっごく簡単だったと思うんだけどね?)
ラミリツが言う
「それに 静かな村の中で あちらを動かしては騒がしいですし 折角の田畑も 踏み荒らしてしまうかもしれません それに何より 元々 動物程度が相手なら 人の振るう剣で十分ですから」
マリアが言う
「人の振るう剣で…?」
ラミリツが思う
(…って言うか むしろ そのマシーナリーだって アウターの異常電波さえなければ 人の振るうプラズマセイバーで倒せるんだけど …あんまり 脅かしちゃうと 折角 ”同じ人間”だ って思ってもらったのが 遠くなってしまうかもしれないからね?だから ここは 一先ず この辺で…)
マリアが言う
「ラミリツ”さん”は 凄いですね?」
ラミリツが思う
(そう思うだろうね?この国は それだけ平和だから… …って?あれ?今)
ラミリツが呆気に取られて言う
「…ラミリツ”さん”?」
ラミリツが思う
(さん?…うん?何か 産まれて初めて その敬称でファーストネームを呼ばれた気がするんだけど …でも そっか?この国では 僕は 攻長閣下でも 上位富裕層でもない …ただの一兵士 ただの人間…)
マリアが疑問した後 ハッとして言う
「あっ ごめんなさい!?えっと…っ!?」
ラミリツが思う
(うん そうだった …だから ここも ”同じ”に しとかないとね?)
ラミリツが言う
「ああ、いえ 失礼しました 余り 呼ばれた事の無い …感じ だったもので しかし…」

【 ART司令塔 】

グレイゼスの隣の椅子にハイケルが腰を下ろし溜息を吐いて言う
「はぁ~…っ」
グレイゼスが疑問して言う
「はぁ?ど、どうした~?ハイケル~?」
ハイケルが脱力して言う
「…疲れた」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「”疲れた”って?お前が?大体 疲れたも何も 今日はまだ何も…?」

【 ART司令官室 】

アースが不機嫌にタバコを吹かして言う
「フーッ!まったく 何でARTトップ司令官の私が 報告書などを作成しているんだ!?これも ”総”司令官の ”総” を取ったそのせいか!?」
アースがハイケルの報告書に大量に書き足した書類を横にタイピングをしながらイライラしている エルムαが澄まして沈黙している

【 ART司令塔 】

グレイゼスが笑って言う
「あぁ~… あの お前流の報告書じゃなぁ?ありゃ ハッキリ言って 報告書じゃなくて行動指示書って言うんじゃないか?」
ハイケルが言う
「何故だ?行動指示書と言うのは これから行う予定であって 俺は その予定を済ませた後の 結果を記載した」
グレイゼスが言う
「だから 例え結果を書いたとしても そもそも報告書って言うのは 予定を起として 実際を承とし そこからどの様に展開されの転 そして結果に至る結 その四つ もしくは間を一つ取ったとしても 最低3つの工程内容を書かないと 報告書とは言えないんだ …大体 機動部隊の隊長なら そんな事位 今更 言われなくったって 分かってたんじゃなかったのか?」
ハイケルが沈黙して言う
「…知らなかった」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「っ!?ほ、本気で言ってるのか?だって お前 それこそ国防軍のレギスト機動部隊に居た時だって…」
ハイケルが言う
「国防軍に居た時は あの報告書で 問題なかったんだ つまり ARTになったから」
グレイゼスが言う
「国防軍に居た時だって その報告書を最終的に読んでいたのは 同じ ハブロス司令官… いや、ハブロス”総”司令官だったんだから …ん?あぁ… と言う事は…」
ハイケルが顔を逸らして言う
「と言う事は つまり ”総司令官”ではなく ”司令官”になったから… やはり ARTになったからなのだろう?」
グレイゼスが言う
「いんや そうじゃない ハイケル お前今まで 国防軍に居た頃の任務の報告は それこそ 国防軍レギスト駐屯地の バックス中佐へ行っていただろう?」
ハイケルが言う
「当然だ 部隊任務の達成報告は その任務を私に与えていた 私の直属の上官 バックス中佐へ行っていた」
グレイゼスが言う
「そう、つまり そう言う事だ それで バックス中佐は お前の不完全な行動指示書… いや?行動結果書へ追記をして置いてくれたんだろう それで 今まで お前はお咎めが無かったんだよ?ハイケル」
ハイケルが呆気に取られて言う
「バックス中佐が…」
ハイケルがバックスの姿を思い出す グレイゼスが微笑して言う
「バックス中佐は レーベット大佐とも親しいお方だったから きっと その分も …お前の事を守ってくれていたんじゃないのか?じゃなかったら あんな報告書は とても 部隊任務報告書として 受け付けられるもんじゃないからな?普通なら その場で叩き返されるレベルだ」
ハイケルが微笑して言う
「そうか… そうだったのか…」
グレイゼスがハイケルの様子を見て微笑すると 間を置いて言う
「…で?そのバックス中佐の援護を受けられなくなったお前さんは?その… 報告書の再提出をしなくて 大丈夫なのか?何なら 今度は俺が…?」
ハイケルが言う
「いや 報告は済ませた 再提出をしろという命令も受けては居ない」
グレイゼスが言う
「あら?そうなのか?けど、いくらこのARTが 実質 ハブロス司令官の個人事業とは言え そのハブロス司令官は お前なんかとは違って 聴いた言葉を一字一句覚えているような事も 出来る訳がないんだから 詳細を記載した任務結果 つまり報告書の作成は必要な筈なんだがな?」
ハイケルが言う
「そうなのか?俺は もはやハブロス司令官は 俺のレコーダー機能さえ携えた 悪魔の… いや 司令官なのかと思い そのまま司令官室で 口頭にて報告を済ませたが …そう言えば 後でもう一度呼ぶから ”首を洗って待って居ろ”と言われたのだが?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「く…っ!?首を洗ってって…」
室内放送の呼びブザーが鳴り 続いて アースの声が聞こえる
『”使えないの悪魔の兵士”っ そこに居るか!?さっさと 来いっ!』
ハイケルが衝撃を受ける グレイゼスが笑って言う
「プッククク…」
ハイケルが表情をしかめて言う
「”欠陥品” の次は ”使えない” か…」
グレイゼスが言う
「この様子だと 報告書の再作成は その司令官様が直々に行ってくれたんだろう?ちゃんと お礼を言うんだぞ~?ハイケル~?」
ハイケルが立ち上がって言う
「その司令官には ”首を洗って待っていろ” と言われたのだが…?」
グレイゼスが言う
「首は洗わなくとも それこそ… 一発ぐらい殴られるかもしれないから 歯でも食いしばって行った方が良いかもな?」
ハイケルが言う
「それはどう言う…」
室内放送の予備ブザーが鳴り 続いて アースの声が聞こえる
『さっさと来いと言っているだろうっ!?殴られたいのか!?』
ハイケルが衝撃を受けて言う
「…やはり 殴られるのか?」
グレイゼスが苦笑して言う
「それはそうと 早く行った方が良いぞ ハイケル 司令官様は お忙しいんだからな?それこそ お前の報告書の再作成なんて 本当は やっている暇は無い位にな?」
ハイケルが言う
「…そうなのか …了解」
ハイケルが立ち去る グレイゼスが苦笑して作業に戻る

【 ART2 】

ラミリツがビルから出て思う
(良し 作戦は順調 …いや むしろ 好調って言うか… まさか あの灯魔台の建設を マリアさんがやっていただなんて これなら もしかしたら…)
ラミリツがビルを振り返って言う
「また 会えるかもしれない」
ラミリツが思う
(この国の 女帝陛下 …マリアさんに)
ラミリツが軽く笑ってからその場を立ち去る

【 ART司令官室 】

アースがタバコの煙を吹き捨てて言う
「フーッ …では、改めて 報告を聞かせてもらうが?」
アースが分厚い報告書をデスクに叩き付けると 灰皿の吸殻の山が崩れる デスクの向こうに居るハイケルが言う
「…報告は先程 済ませた筈だが?」
アースが言う
「先程のは 報告書を作成するに当たっての 概要を聞いただけだ」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「あ、あれがっ!?」
ハイケルが視線を逸らして思う
(ではっ まさか!?あの内容を 全て記載したのか?)
ハイケルが言う
「…とても 俺には真似出来そうに無い」
ハイケルがアースを見て思う
(この男 デキるっ)
ハイケルが言う
「初めて 貴方を尊敬したいと思った ハブロス司令官」
アースが言う
「どうやら 本当に殴られたいようだな ハイケル少佐」

【 ART 第二訓練場 】

マシーナリーに乗り込んでいるユラが周囲を見渡して言う
「ART1は 戻っているのではなかったのか?」
訓練所監視塔から開発者がマイクを使って言う
『ART1は今朝早くにアールスローンへ戻ったばかりですので 本日は出隊してはいません それに 任務完了後は 24時間休暇となりますから 本日は勿論ですが 明日も24時間休暇後は 15時を過ぎますので… 恐らく』
ユラが言う
「なんだ それでは 折角の新しいマシーナリーの… この俺専用のマシーナリーの実力を 確認する事が出来ぬでは無いかっ?」
開発者が言う
『そうですね 対戦データの方は取られませんが …しかし、その他の測定結果は どちらも概ね上昇していますから 性能の向上は間違いないかと』
Mユラが不満そうに腕を振るって言う
「そんな数字上のものでは 何の証明にもならんっ もっと明確な!目に見える結果が無ければ駄目だっ 何かもっと手応えのあるものを用意しろ!」
開発者が苦笑して言う
『そうは仰られましても ユラ様のお力の前では もはやART3のマスターたちの操作するマシーナリーであっても 手も足も…』
Mユラの後方に Mシェイムが倒れていて シェイムが言う
「何故… 私が こんな目に…?…それもこれも 全ては――っ!」

【 ART司令官室 】

アースがくしゃみをしてから言う
「っくしょんっ!…で そのヴァンパイアと言うのは 本当に…」
アースが紙で口を拭って荒っぽくごみ箱へ捨てる ハイケルが疑問して言う
「…俺の知っている 高位富裕層のレーベット大佐とは 比べものにならない程に品が無いのだが これが 超高位富裕層と言われた ハブロス家の…」
アースがムッとして言う
「どうしても 一発殴られたいと言うのなら 素直にそうと言え」
ハイケルが視線を逸らして言う
「…しかし よく思い返せば つい先程は うっかりと本気で尊敬した男だが その実は デスメタルバンド ナックキラーの元祖メンバーである アニ…」
ハイケルの頭が殴られる アースが握り拳と共に言う
「国防軍のトリプルトップシークレットを口外するな お前は 軍法会議に掛けられたいのか?」
ハイケルが殴られた頭を押さえて言う
「その内容で 軍法会議を開けるものなら 掛けられても良いが…っ?」
アースが言う
「ふん?では ハイケル少佐 お前は ARTの隊員だろう?つい先程教えてやった ARTの軍規定を言ってみろ」
ハイケルが言う
「平常時に置かれる終業時間を守る事と…」
アースがハイケルを見下ろす ハイケルが視線を逸らして言う
「何があっても …仲間を守る事」
アースが言う
「その通りだ …そして 目を逸らすな」
ハイケルが一度目を閉じてからアースを見る アースが軽く息を吐いてから報告書を見て言う
「”ヴァンパイアの能力”は …我々の仲間である ”マスターたちの能力を超える” …か」
ハイケルが表情をしかめてから言う
「だが 私はっ!」
アースが言う
「だが お前は?何だ?それを認めないとでも?お前自身が その報告をしておきながら?」
ハイケルが表情を困らせ視線を逸らして言う
「だが それは…っ」
アースが言う
「”それは” 何だ?奴らがマスターたちよりも上を行く事で 我々や 我々の仲間であるマスターたちに 何か問題があるとでも言うのか?」
ハイケルが呆気に取られて言う
「え…?」
ハイケルがアースを見上げる アースが書類を見ながら言う
「彼らヴァンパイアが マスターたちよりも 知能や身体能力 それらが 優れているというのなら 彼らはその彼らに応じた場所へ配置をすれば良い それだけだ」
ハイケルが言う
「そ、それだけだと?いや …しかし?」
アースがハイケルを見て言う
「もちろん そちらへ配備をする前に その優秀な知識を こちらの知能補佐能力のマスターたちへ提供してもらい 彼らマスターたちの力さえも強化出来れば それに越した事は無いがな?」
ハイケルが呆気に取られて言葉を失う アースが苦笑して言う
「マスターの彼らより優秀な存在が現れたら 私が そちらを優遇するとでも考えていたのか?…それで 先ほどの悪態を?それ以前の 報告書から…?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「…あ、いやっ そちらは…っ 報告書は…」
アースが言う
「ああ、あれは いつものお前のままだったな… しかし 報告を行っていた際のお前の声は いつもとは異なっていた …何をそれほど”案じている”のかと思えば そう言う事だったか」
ハイケルが呆気に取られて言う
「案じて?…いや、私は そんなつもりは」
アースが軽く笑って言う
「…フッ まぁ良い では 本人は気付いていなかったのかの そちらの不安を払拭した所で 改めて聞くが …奴らは ”使えそう”か?ハイケル少佐」
ハイケルが言う
「奴らは… …強い」
アースが笑んで言う
「結構」

【 ART2 】

ART2マシーナリーが5機整列して ART2隊員が言う
「ART2マシーナリー5機 起動しました!隊長!」
Mラミリツが言う
「了解!では 予定通り 建設中の各灯魔台へ1機ずつ 一番手前の灯魔台へは 私も同行する 他の灯魔台へは 各自にて向かう事とする!」
ART2マシーナリーたちが言う
「了解!では 自分は一番手前の灯魔台へ向かいます!」 「では 自分はその次の灯魔台へ!」 「では 自分はさらにその次の…!」
Mラミリツが慌てて言う
「え?あ… ああっ ちょ、ちょっと待ってっ!?」
ART2マシーナリーたちが言う
「自分はその次の次の… は、はっ!隊長!?」
ラミリツが考えながら言う
「やっぱ 一番手前の とか その次 とかじゃ 分かり辛いし 定時報告の時も混乱しちゃうよね?緊急時なんかは特に… だから…?」
ART2マシーナリーが言う
「では 各担当者の名前を使用して 呼び分けますか?」
ラミリツが言う
「うーん でも 警備は今日だけじゃないから そのたびに呼び名を変えたら また分からなくなっちゃうし… うん!なら一番手前から1号として 次が2号 その次が3号ね?それなら もし 灯魔台に正式な名前が付けられても変更が利くでしょ?」
ART2マシーナリーたちが言う
「了解、隊長!では 自分は 建設中の灯魔台4号へ向かいます!」 「自分は 続く5号へと向かいます!」
ラミリツが微笑して言う
「そうそう!良い感じ!それじゃ…」
Mラミリツが言う
「ART2 1班 出動!」
ART2マシーナリーたちが言う
「「了解!隊長!」」
ART2マシーナリーたちとMラミリツが出動する

【 ART訓練所 】

ハイケルが言う
「ART1 出動!」
ハイケルが大きく息を吸って吐いてシートへ身を沈める Mハイケルが起動して言う
「…う、動いた 何故…?」
グレイゼスが装置から顔を上げて言う
「お?上手く行ったみたいだな?」
Mハイケルが言う
「お前が改善を?」
グレイゼスが言う
「いんやぁ?何も?」
Mハイケルが言う
「何?では…っ?」
グレイゼスが装置を操作しながら言う
「はぁ?何言ってるんだよ ハイケル?お前は以前だって アールスローン国内では マシーナリーを動かせていたじゃないか?」
Mハイケルがハッとして言う
「…そ、そうだったな …忘れていた」
グレイゼスが苦笑して言う
「おいおい 大丈夫か?そんなんで お前 よく起動出来たなぁ?」
Mハイケルがぎこちなく言う
「あ、ああ… そうだな…」
グレイゼスが疑問して言う
「うん?どうした?」
Mハイケルが言う
「いや…っ」
グレイゼスが装置を操作しながら言う
「そう言やぁ お前が ハブロス司令官へ2回も任務報告をやっていたから 折角の始業前に 俺は お前からの報告を聞けなかった訳だから 今 そのまま マシーナリーへ融合したままで 聞かせてくれないか?」
Mハイケルが衝撃を受けて言う
「えっ!?い、いや… それは… …マシーナリーを降りた後でも 良いだろう?今は 折角 マシーナリーへ融合出来たんだ それならそうと その今の内にやるべき事が…」
グレイゼスが装置を操作してから言う
「その今は お前がマシーナリーへ同化している間のデータ取りなんだから …うん!むしろ 思考を使っている状態のデータ取りは重要かもしれない 機体を動かしている際のデータは今までで十分取られている訳だし 丁度良い!だから そのままで…」
Mハイケルが困って言う
「う…っ そうと 言われても 私は…」
Mハイケルが起動停止して沈黙する グレイゼスが呆気に取られてから慌てて装置を操作する ハイケルがハッとして言う
「うん?…戻った?…何故?」
ハイケルが疑問して周囲を見渡す グレイゼスがモニターを見ていて驚いて言う
「…これは?…そうかっ!もしかしてっ!?」
グレイゼスが操作を急ぐ ハイケルがモニターに映っているグレイゼスの姿を見て疑問する

【 ART司令官室 】

アースが資料を見ながら言う
「ハイケル少佐の報告からして 彼らヴァンパイアたちは 前々から今戦いへ向けての下準備を行っていた… となれば 現行ART2を向かわせている ウィザードらとは異なり 彼らには目的を同じくする我々と 共闘する事に価値が在る …そうとなれば」
内線電話が鳴る アースが反応してスイッチを押すと 秘書の声が聞こえる
『ハブロス司令官 政府長ミックワイヤー長官より お電話が入っております』
アースが微笑して言う
「そうか 繋いでくれ」
アースが受話器を取りながら思う
(政府本部にて行われていた 彼らの使者との対話が終わったのだろう 予想より早かったな となれば当然)
アースが微笑して言う
「お疲れ様で御座いました ミックワイヤー長官 異国の使者 ユウヤ殿とのお話合いが終了されたのですね?概ねこころよいお返事が聞かれましたかと?」
受話器からミックワイヤーの声が聞こえる
『お疲れ様です ハブロス司令官 …それが 重ね重ね申し訳ない こちらも誠心誠意 我々の熱意をお伝えしたのですが』
アースが疑問する

【 ART2 】

建設中の灯魔台1号近辺

ラミリツが周囲を見渡して言う
「こちら ART2隊長 目標地点に到着 周囲に異常なし …うん?あれは…」
ラミリツがモニターに映っているマリアの姿に呆気に取られてから微笑して言う
「わざわざ 様子を見に来てくれたのかな?僕らの為に?それとも… 同じ国の仲間である 建設作業員の人たちの為に?…どちらにしても」
ラミリツが思う
(こんなに早く 再会出来るなんて)
ラミリツが言う
「もしかしたら 少し話でも出来るかな?彼女は…」
ラミリツが思う
(アールスローンの女帝陛下たちとは違って 普通に会話が出来るのだから だとしたら?)
スピーカーからART2隊員の声が聞こえる
『こちら ART2マーヴィック隊員 目標地点に到着』
ラミリツが別モニターを見てから言う
「マーヴィック隊員 ちょっと 話をしたい人が居るから 僕が先に行くね?」
モニターにマーヴィックが映りスピーカーから声が聞こえる
『了解 隊長!では自分は この場所にて待機します』
ラミリツが言う
「先に声を掛けたいだけだから 15分前になったら 来てくれて構わないよ」
マーヴィックが言う
『了解!』
ラミリツが頷いて顔を向ける Mラミリツが前進する

【 ART訓練所 】

グレイゼスが装置を操作して言う
「なるほど …そう言う事だったのか」
ハイケルが言う
「何か分かったのか?」
グレイゼスが言う
「ああ 分かったぜ ハイケル お前が 以前の戦いの際… いや、アウターにて マシーナリーを動かせなかった その理由がな?」
ハイケルが表情を明るめて言う
「そうかっ!では それさえ改良をすればっ!」
グレイゼスが言う
「いや… だが コイツは…」
ハイケルが言う
「何か問題か?」
グレイゼスが言う
「うーん…」
ハイケルが疑問して言う
「…グレイゼス?」
グレイゼスが頭を押さえる ハイケルが気付いて言う
「おい 力を使い過ぎるな?」
グレイゼスがハッとして言う
「あ、ああ… そうだった しかし…」
ハイケルが言う
「難しいのか?…お前たちでも?」
グレイゼスが気付いて言う
「俺たちでも?…うん?そうかっ 俺たちであるから 難しいのかもしれない!そうとなればっ」
グレイゼスが装置の操作をして立ち上がる ハイケルが疑問して言う
「おい?」
グレイゼスが言う
「ナノマシーンの力を使う マスターの俺たちであるから 出来ない事もあるんだ そうとなれば 他の仲間に力を借りれば良い」
ハイケルが言う
「それは…?そもそも マシーナリーの改良は 人の手では…」
通路にアースが現れ言う
「マスターグレイゼス中佐 ここに居たか 丁度良かった」
グレイゼスとハイケルが振り向くと アースが言う
「異国の使者 ユウヤ殿が こちらへ来るそうだ お前も同席して 話を聞いて欲しい」
グレイゼスが一瞬驚いてから言う
「え?自分がですか?しかし 自分は まだ… ハイケル少佐から そちらの国での任務に関する話などは 聞いていないのですが…っ」
グレイゼスが言葉の途中で放られた報告書をキャッチする グレイゼスがそれを確認するハイケルが衝撃を受ける アースが言う
「話はその報告書を読めば分かる …それとも?ハイケル少佐が作成した 単純明確な報告書の方が良いと言うのであれば?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「いえ こちらを読ませて頂きます ハイケル少佐の”アレ”では 自分もさっぱり内容の方は 分かりかねますので」
ハイケルが衝撃を受ける アースが言う
「だろうな」
ハイケルが顔を逸らして言う
「わ、悪かったな… 大体 報告内容が知りたいのなら 私が直接口頭で…」
アースが言う
「それから ハイケル少佐」
ハイケルが疑問する アースが言う
「お前は 任務報告書の作成不手際の処分として 任務完了後の24時間休暇を削減 直ちに 第二訓練所へ向かい 既に行われている 改良型マシーナリーの出力測定検査へ協力しろ」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「何っ!?…いや 24時間休暇の削減は受け入れるとしても 私は今解析された 私がアウターにてマシーナリーを動かせない理由を改良する そちらの作戦に参加したいのだが…?それに マスターグレイゼス中佐も そちらを行わせるべきだと」
グレイゼスが報告書から視線を上げて言う
「いや もしかしたら こっちの作戦に参加した方が良いかもしれない」
ハイケルがグレイゼスへ向いて言う
「どう言う意味だ?」
グレイゼスが言う
「お前がアウターにて マシーナリーを動かせない理由を改良する その作戦には …この報告書に在る マスターよりも知能の高い ヴァンパイアさんの助けが必要だ」
アースが微笑する ハイケルが呆気に取られる 

【 ART2 】

マリアがマシーナリーを見上げる ラミリツがマリアを見てから微笑して言う
「…それで マリアさんは?」
マリアがハッとして言う
「あっ はい?」
ラミリツが言う
「本日は こちらの灯魔台に何か御用で?」
マリアが言う
「あ、いえっ 御用と言う訳ではないのですが 連絡は昨日の内に済ませてあるので 特に問題は無いと思うんですけど それでも やっぱり 私がこの灯魔台建設の企画者なので 一通り 現場を回って 作業員さんたちへ 改めてお話をして 確認をしようかと思いまして!」
ラミリツが思う
(へぇ… 会社で会った時は 事務仕事が担当の内勤の人って感じだったけど 意外と…?…あ?でも よく考えたら 初めて会った時も そうだったっけ?)
ラミリツが微笑して言う
「マリアさんは この灯魔台建設に とても意欲を向けておられるのですね?」
マリアが呆気に取られて言う
「え?」
ラミリツが言う
「初めてお会いした時も その灯魔台建設現場を守る ”魔鉱石”を カラスから取り返す為に そのカラスを追い掛けて アウターまで走って出てしまった程ですし?」
マリアがハッとして慌てて言う
「ああっ そ、それは…っ そうですね?確かにその… 私、必死になると ちょっと 周りが見えなくなってしまうと言うか…っ」
マリアが赤面する ラミリツが微笑して言う
「とても 素敵だと思います」
マリアが驚いて言う
「えっ!?」
ラミリツが言う
「それ程 強い意志を持つ事が出来る人は 中々居ません それに 僕はそういう人は好きです」
マリアが呆気に取られる ラミリツがハッとして言う
「…あ、いえ 失礼しました 任務中に 私情を持ち込んではいけないですね?今のは どうか 聞かなかった事に」 
ラミリツが思う
(ちょっと 気を許しすぎちゃったかな?つい…)
マリアが微笑して言う
「有難う御座います 何だか… 安心しちゃいました」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え…?」
マリアが言う
「ラミリツさんが隊長の ART2の皆さんなら 私 信用出来ます!」
ラミリツが微笑して言う
「ART2の彼らの事は 僕が保証します」
マリアが微笑して言う
「はい」
ラミリツが頷いてから言う
「それでは 私は…」
ラミリツが周囲を見る ART2マシーナリーと作業員たちの姿が見え 作業員たちが安心した様子でマシーナリーを見上げたりしている ラミリツが言う
「そろそろ 次の灯魔台へ向かおうと思うのですが」
ラミリツがマリアへ向くと マリアもその様子を見ていた状態からラミリツへ向き直って言う
「はい、私もそうしようと思います」
ラミリツが言う
「それなら丁度良かった 既に 残りの灯魔台へも隊員たちが到着していますので そちらへ 更に私が現れると 作業員の方々を 余計に驚かせてしまうかもしれません そこで もし 可能でしたら 以前 初めてこちらの村へ向かった あの時の様に マリアさんに同行させて頂けたら きっと そちらの余計な不安を与えずに 済むかと思うのですが?」
マリアが微笑して言う
「そうですね!現場の作業員さんたちまで気を遣って下さって 有難う御座います!」
ラミリツが微笑して言う
「いえ、こちらこそ …では 私は以前の様に マリアさんの乗った車の後ろにでも 追走させて頂きますので…」
ラミリツが周囲を見渡して思う
(…って 思ったんだけど …あれ?今日は?)
マリアがハッとして言う
「…あっ!」
ラミリツが疑問して言う
「本日は 先日の様に 車で…?」
マリアが顔を逸らして言う
「…どうしよう …ウィザードさまに…?ううんっ でも…」
ラミリツが疑問して言う
「…あの?マリアさん?」
マリアがハッとして慌てて言う
「は、はいっ!?」
ラミリツが苦笑して言う
「どうかなさいましたか?」
ラミリツが思う
(どうしたんだろう?まさか お客の許可も無く 運転手が帰ってしまうなんて事は 無いと思うんだけど?)
マリアが困り苦笑して言う
「あの… その… 私、今日ここへは ウィザードさまに 魔法で送って頂いて…」
ラミリツが一瞬呆気に取られてから言う
「え?…あ、そ、そうなのですか?…やっぱり 凄いですね?”魔法”… で…」
ラミリツが思う
(魔法で… マリアさんを ここまで ”ぶっ飛ばし”たのかな?あの神様だったりするウィザード様が?…いや 流石に それは無いと思うんだけど?)
マリアが苦笑して言う
「それで私、最初から 建設現場を全て回るつもりだったのに 肝心の移動の車を… 手配していなくて …あはっ」
ラミリツが呆気に取られた後 思わず噴き出して笑う
「…ぷっ …ふふふっ」
ラミリツが思う
(面白い とても あの女帝陛下たちと 同じとは思えないや?…やっぱり マリアさんは 普通の人?)
マリアが苦笑して言う
「すみません 折角 一緒に行って 作業員さんたちを 脅かさせないようにって 良い方法を考えて頂いたのに 私が…」
ラミリツが気を取り直して言う
「あ、いえ 失礼しました …けど、それでしたら?」
マリアが疑問して言う
「はい?」
ラミリツが微笑して言う
「宜しかったら 一緒に参りませんか?こちらのマシーナリーで!」
マリアが驚いて言う
「えっ!?」

【 ART 第二訓練所 】

Mハイケルがふっ飛ばされて盛大な音と共に床に倒れる Mユラが剣を振るって言う
「どおしたっ!ハイケル少佐!まったく話にならんぞ!?先ほどの どうしようもないART3の隊長よりも どうしようもないぞぉお!?貴様はそれでも ”どうしようもない悪魔の兵士”なのかあっ!?」
Mハイケルの意識の中でハイケルが視線を逸らして思う
(今度は ”どうしようもない悪魔の兵士”… か…)
Mハイケルが脱力する Mユラが怒って言う
「えぇえいっ!何を休んでいるかぁあ!立あてぇええ!」

【 ART2 】

マリアがマシーナリーコックピット内を見渡して呆気に取られている ラミリツが入って来て言う
「お誘いをして置きながら 申し訳ないのですが 生憎 シートは操縦者の分しかないもので」
マリアが慌てて言う
「あっ!はいっ!もちろん 大丈夫です!」
ラミリツが言う
「なるべく急いで向かいますので その間は 掴まっていて下さい」
マリアがシートの横後ろへ向かい言う
「はいっ えっと… ここで大丈夫ですか?」
ラミリツが微笑して言う
「はい そちらで大丈夫です …では 失礼しまして」
ラミリツがシートへ座り 操縦桿を握ると 一度呼吸を落ち着かせる マリアが疑問する ラミリツが静かに言う
「…行くよ?」
マリアが呆気に取られていると 次の瞬間 周囲の機材に電源が入りコックピットが閉まる マリアが驚いて周囲を見る ラミリツがマリアへ向いて言う
「では 出発しますね?」
マリアが言う
「あっ!はいっ」
ラミリツが操縦桿を握ると Mラミリツが上体を少し下げて滑走を開始する コックピットの周囲のモニターに様々な表示が現れラミリツが言う
「周囲状況異常なし 制御装置各種異常なし システムオールグリーン」
マリアが呆気に取られて周囲を見渡す ラミリツが気を抜いて言う
「…後は 次の灯魔台建設現場まで 約10キロ 直線ですし …その間 宜しかったら 少し お話でも如何でしょうか?」
マリアが言う
「は、はいっ そうですね?えっと…?」
ラミリツが言う
「こちらの世界に来て 一通り 様子を見せて頂き ある程度のお話は伺ったのですが こうしてゆっくりと個人的に お話をする機会と言うのは 今までに無かったので …それに ウィザード様へお仕えする ”奉者様”とお話をする機会と言うのも …ですので もし宜しかったら?」
マリアが言う
「はい、それでは 私もっ …出来たら ラミリツさんやART2の皆さんが住んでいる アールスローン帝国と言う世界の お話をお聞きしたいです!」
ラミリツが微笑して言う
「それなら ”お互いの世界を”紹介する と言った感じですかね?」
マリアが微笑して言う
「そうですね それで良いと思います!」
ラミリツが言う
「では お話を持ちかけたのは私ですから 私から アールスローン帝国の紹介をしましょうか?」
マリアが言う
「はい お願いします!」

【 ART司令塔 】

扉が開きハイケルが入って来ると気付き 疑問して言う
「…グレイゼス?」
グレイゼスが振り向いて言う
「お?ハイケルか?何だ?そっちは もう終わったのか?」
ハイケルが隣の席に来て言う
「いや 終わったと言うか… 一応 休憩だ」
グレイゼスが疑問して言う
「休憩?まだ… 30分も経ってないが?」
ハイケルが言う
「”どうしようもない悪魔の兵士” より ”どうしようもないART3の隊長” の方が まだ 対戦相手になると… いや、それより お前は?ハブロス司令官に 同席したのではなかったのか?」
グレイゼスが言う
「ああ、同席してるぜ?通信上でな?」
グレイゼスが視線を戻すと 視線の先 デスクモニターに 応接室の映像が映っている ハイケルが気付いて言う
「同席とは 通信上であっても そうと言う物なのか?…では 無線を使って お前がハブロス司令官へ指示を?」
グレイゼスが言う
「いんやぁ まさか?」
ハイケルが言う
「では… …”いつもの盗聴”か?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「その言い方やめてくれるっ!?それじゃ いつも 俺が盗聴しているみたいだろう!?…それに」
ハイケルが疑問して言う
「違ったのか…?」
グレイゼスが言う
「ただ聞いているだけじゃなくて 必要とあれば いつでも入って来いと言われている …つまり 相手の素性が知れない間は 近付けない様にって事だろう」
ハイケルが言う
「近付けない様に …とは?」
グレイゼスが微笑して言う
「我らが司令官様は お優しいんだよ …やっぱり 兄弟だよな?あの防長閣下とさ?」
ハイケルが疑問して言う
「軍曹が…?…どうかしたのか?」
グレイゼスが苦笑し呆れて見せてからデスクモニターへ向き直る モニター横のスピーカーから アースの声が聞こえる
『…こちらへ御越しを頂いた理由の方は 貴方と先にお話を行って頂いた ミックワイヤー長官より伝え聞いているのだが …貴方ご自身が ARTの司令官である私と 話をしたいと そう仰って下さったのだとか?』
グレイゼスが気を引き締める ハイケルがデスクモニターを見る スピーカーからユウヤの声が聞こえる
『はい 俺は 貴方が ”この世界の支配者”だと 思いましたので』
グレイゼスが呆気に取られる スピーカーからアースの声が聞こえる
『それはまた… 随分と唐突な話だが 私が貴方にお会いしたのは 今が初めてだと言うのに 一体何故?このアールスローン帝国の概要は 既に 説明がされていると思うのだが?』
ユウヤが言う
『それは ミックワイヤー長官から 詳しく伺いました …けど 俺は それ以前から… 俺たちの国へ来た ハイケル少佐から』
ハイケルがビクッと衝撃を受ける グレイゼスがハイケルを横目に見る ユウヤが言う
『一度はこのアールスローン国の2大組織の片方として… いえ、もう片方の組織 政府を退けるほどの 国防軍総司令官になって置きながら その地位を捨てて 独自に作った組織を統括して アウターを超えて他国へ兵士を向かわせている …貴方こそ 先の2大組織を影で操る この国の 本当の支配者なのでしょう?』
グレイゼスが言う
「ハイケル…」
ハイケルが困って言う
「…俺は …この国の一般常識を伝えたまでだが…?何か悪かったのか?」
グレイゼスが言う
「その 一般とは違って 成り行きを知らずに 初めてその情報を取り入れる者へ いきなり結果を伝えたりなんかしたら まるで ハブロス司令官が最終的に その地位へ就く為に 事を行った様に 聞こえちまうだろう?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「そ、そうなのか!?」
グレイゼスが言う
「さぁて… そんな経過は兎も角 既にそうと思われてしまっている 異国の使者さんに 何と答える?ハブロス司令官?…ここで下手を打てば 折角得られる予定だった ヴァンパイアさんたちの力が…」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「俺の… せいなのか…?」
アースが言う
『…ああ そうだな?』
ハイケルが衝撃を受ける グレイゼスが驚いてモニターを見る アースが言う
『では 単刀直入に聞かせてもらおう そのお前は 私と 手を組むのか?』
グレイゼスが慌てて言う
「ハ、ハブロス司令官っ!?」
ハイケルが言う
「俺の… せいなのか…?」
アースが言う
『この世界を救うには もはや 手段を選んでいる暇は無い …お前たちも 私と共に戦え』
グレイゼスが慌てて言う
「ハ、ハブロス司令官っ!?」
ハイケルが言う
「俺の… せいなのか…?」
ユウヤが言う
『では その様に 伝えておきます』
グレイゼスが慌てて言う
「ハ、ハブロス司…っ!?」
ハイケルが言う
「俺の… せいなのか…?」
アースが言う
『ああ 返答は急げとも 付け加えて置けよ?』
グレイゼスが言葉を失う ハイケルが言う
「俺の… せいなのか…?」
ユウヤが言う
『分かりました』

【 ART2 】

ラミリツが言う
「…と、簡単に説明すると その様な感じなのですが…」
ラミリツが思う
(ちょっと省略し過ぎちゃったかな?…けど まぁ 嘘は言っていないし?)
マリアが考えてから言う
「そうですか… えっと… では… …ラミリツさんは どうして ARTに入ったのですか?」
ラミリツが呆気に取られて言う
「…え?」
マリアが言う
「アールスローン帝国の2大組織 政府と国防軍… それで ARTと言うのは その国防軍の一部なのですよね?でも ラミリツさんは政府の方で その上 その政府を象徴する 攻長さんなのですよね?」
ラミリツが言う
「あ~ え~っと… いえ、ARTは 国防軍の一部 …と言うか 国防軍のトップだった人が 国防軍を辞めた上で 新たに 個人事業として設立した組織なので… 一応 国防軍ではない と言う 扱いなのですが…」
ラミリツが思う
(う~ん でも ある意味 国防軍は今もハブロス司令官の意のままなんだから やっぱり ARTは国防軍の一部?…いや むしろ 国防軍がARTの一部?…あれ?)
マリアが言う
「あ、そうなんですか…?えっと それじゃ… ラミリツさんも 政府をお辞めになったのですか?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ?…い、いえっ!?辞めてない…と 思うのですが?」
マリアが言う
「あ、そうですよね?だって 今も ”攻長”さん ですもんね?」
ラミリツが苦笑して言う
「はい そうですね…?」
ラミリツが思う
(えっと だから…)
マリアが言う
「それでは ARTは… ラミリツさんの 政府の一部なのでしょうか?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「いえっ!それは 無い…!」
ラミリツが思う
(うん!それは無いっ 何しろARTの司令官は ハブロス司令官なんだから …けど あれ?よく考えたら 今 ARTで一番地位が高いのって… 政府長攻長の 僕 …じゃなかったっけ?)
ラミリツが苦笑して言う
「筈なんだけどなぁ…?」
マリアが疑問した後 微笑して言う
「…ふふっ それじゃ やっぱり ラミリツさんの 政府の一部 なのでは無いですか?」
ラミリツが疑問して言う
「へ?」
マリアが言う
「つまり こっちの世界で言い変えれば ”ARTの社長さんは”元々は”国防軍と言う会社の社長さん”で でも その社長さんは国防軍をお辞めになって 新しい会社ARTを設立して”社長さん”をしています …そこへ 政府という会社の… ”会長”である ラミリツさんが!出向して そちらの新企業ARTへ 実質的な力で ”投資をしている” …と言う事だと思うのですけど?」
ラミリツが呆気に取られつつ言う
「は… はい… そう ですね?それで 合っていると…?」
ラミリツが思う
(うん…?大体合ってる気がする…?)
マリアが言う
「と言う事は 会社は ”資本”となるそちらを供給している人が ”一番の権力”を持つものですから」
ラミリツが思う
(資本…は 国防軍と共に政府も提供している そして その政府からの融資手配は 僕が政府長攻長の権限で行ったし 実質的な力である 僕と元GPTの一部も やっぱり 僕の権限で連れて来た …と言う事は マリアさんの言う通り 僕はARTの中で間違いなく 権力は一番高い… 筈なんだけど?)
ラミリツが首を傾げる マリアが一人で納得して頷いて言う
「と言う事で!やっぱり ARTは”ラミリツさんの政府の子会社”だと思います!」
ラミリツが思う
(…でも やっぱり そこはしっくり来ない… 何でだろう?やっぱ 社長が…?いや、ARTトップである最高責任者が ハブロス司令官だから?…あっ!)
マリアがラミリツを見て疑問して言う
「…ラミリツさん?」
ラミリツが思う
(いや、違う そうじゃないんだ 僕らは…っ)
ラミリツが言う
「いえ、やっぱり 違います」
マリアが疑問した後言う
「え?あ… ごめんなさい やっぱり こっちの世界とは考え方が…」
ラミリツが微笑して言う
「いえ、そうではなくて 我々は… ARTは 会社とか組織とかでは無くて ”仲間”なんです」
マリアが呆気に取られて言う
「え?」
ラミリツが言う
「だから 地位も名誉も属する組織も関係ない 僕らは ”共に生きる為に” 協力して 戦おうとしている …その”仲間たち”の集まった場所をARTと言って その皆をまとめているのが 我々ARTの司令官です」
マリアが呆気に取られた後微笑して言う
「”仲間”… ふふっ それなら分かりました!」
ラミリツが疑問すると マリアが言う
「この鉄の巨人さんも ”仲間”だって 言っていましたよね?」
ラミリツが一瞬呆気に取られた後 微笑して言う
「はい そうです そして もし 受け入れて頂けるのであれば こちらの世界の”ウィザード”様たちも」
マリアが呆気に取られて言う
「ウィザードさまたちも…?」
ラミリツがマリアを見て微笑して言う
「それに もちろん ”マリアさん”も!」
マリアが一瞬呆気に取られた後微笑して言う
「私も…?…はいっ!」
ラミリツが一瞬驚いた後微笑して言う
「あ、そろそろ建設現場に到着なので 減速します」
マリアが言う
「はいっ 分かりました!」
Mラミリツが減速して 灯魔台建設現場の駐車場へ入って行く

【 ART司令官室 】

グレイゼスが苦笑して言う
「自分が応接室へ向かうも何も無く… 実際 言葉を失ってしまったのですが… 何故 異国の使者へ対して あの様に仰ったのです?」
アースが言う
「別に良いだろう?嘘は言っていない」
グレイゼスが言う
「いえ… 嘘かどうかと言う事ではなく …せめて もう少し オブラートに包んでと言いますか…?ARTは国防軍や政府では無いですが …いえ、むしろ 今はその国防軍や政府と言う 国家組織の上を行く程の存在な訳ですから もう少し外交的に お話をされても宜しかったのではないかと…?自分は思ったのですが…?」
アースが言う
「彼はその 外交を得意とする政府の長官と話をした上で それを退け 私に会いに来たんだ それも 彼の中では この国の… ”支配者”と定めた その私にだ」
グレイゼスが言う
「はぁ… その様子でしたね?ですから 尚更」
アースが言う
「つまり 奴は ”そんな外交的な話は良いから 答えを聞かせろ”と 言いたかったのだろう?従って 私は それに答えた」
グレイゼスが気付いて言う
「…そう言う事でしたか」
アースが微笑して言う
「ハイケル少佐から 報告書を作成するに当たり 口頭にて確認した報告によれば 彼らは既に戦う意思を決している そうとなれば 余計な言葉は不要 そして こちらも 同等に 戦う意思があるのだと… それが伝わりさえすれば 彼らには十分である筈だ」
グレイゼスが言う
「なるほど …つまり、こちらも 既に 戦う意思を決していると… 自分たちは 貴方たちと同じ考えを持つ ”仲間である”と 伝えたかった訳ですね?」
アースが微笑して言う
「そう言う事だ」
グレイゼスが言う
「分かりました …しかし、ハブロス司令官?そうならそうと…」
アースが言う
「うん?」
グレイゼスが苦笑して言う
「何も あんな喧嘩腰な物言いを なさらなくても?」
アースが衝撃を受けて言う
「う…っ あれは その…っ 奴の挑発的な態度に つい、こちらも 答えてやりたくなって…っ」
グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ~?やっぱり~?相変わらず そんな事でしたかぁ~?…んっ!?」
グレイゼスが慌てて口を押さえる アースが不満そうに言う
「ああ!そんな事だっ 悪かったな ”グレイゼス”!」
グレイゼスが苦笑して言う
「良く ナノマシーンの言葉だと お分かりに…」 
アースが不満そうに言う
「ふんっ」

【 ART 第二訓練所 】

Mシェイムが殴り飛ばされて地面に落下する Mユラが喜んで言う
「はーはっはっはっ!今のは 中々良い攻撃だったぞ!褒めてくれる マスターシュレイゼス隊長!さあっ!もう一戦だあ!立てぇえ!」
Mユラが剣を振りかぶって構える シェイムが目を回しながら言う
「いえ… ですから 何度も言っていますが それらの攻撃は全て…」
Mシェイムが起き上がって小銃を構える シェイムが衝撃を受けて言う
「シュ、シュレイゼス!?もう良いですからっ!…いえっ むしろっ!?」
Mユラが喜んで言う
「よぉおしっ!その心意気!真戦士の誇りと見たり!いざっ!もう一戦!らぁああーーっ!」
MシェイムがMユラの攻撃を華麗に回避して小銃を構える Mユラが空かさず小銃を叩き上げ Mシェイムが体勢を崩しそうになる コックピット内でシェイムが揺らされ悲鳴を上げる
「ひぃい~っ ぐぅう~!?」
Mシェイムが再び体勢を戻して小銃を構える Mユラが回避すると Mシェイムが小銃を撃って追う Mハイケルが目を奪われていて言う
「あれはっ!マシーナリーの対戦において これ以上に無い動きだっ!ART3は実質 後衛部隊であると言うのに その隊長が あの動きとは…っ!」
ハイケルが思う
(奴は デキるっ!)
Mシェイムがスピーディーに旋回して小銃を構える Mユラがハッとして言う
「…くっ!?しまったっ!?」
シェイムがすっかり目を回して失神する Mシェイムが小銃を構えていた状態から 脱力して停止する Mユラが体勢を立て直してから疑問して言う
「…と、あん?」
スピーカーから計測官の声が聞こえる
『マスターシュレイゼス隊長 失神しました』
MユラとMハイケルが衝撃を受け Mハイケルが言う
「し… 失神?…あれ程の動きが出来る者が?」
Mユラが言う
「なんだ ”また” か」
Mハイケルが言う
「また?」
MユラがMハイケルへ向いて言う
「よし、では また”奴の中身が”目を覚ますまで 貴様っ 私の相手をしろ!…じゃなかった 相手をしてやる!」
Mハイケルが疑問して言う
「それはどちらでも良いが ”奴の中身”… とは?」
計測官が苦笑して言う
『中身と言われますか… むしろ マスターシュレイゼス隊長の体内にある ナノマシーンシュレイゼスは健在なのですが どうも そちらを使いこなす マスターの身体の方が 持たない様で…』
Mユラが言う
「これこそ 正に 宝の持ち腐れだ」
Mハイケルが言う
「そうだな」
シェイムが目を回しながら言う
「何故… 私が… この様な目に~…?」
シェイムが脱力する

【 ART2 】

マシーナリーが滑走している

Mラミリツ内 マリアが言う
「…とっても 不思議な感じ…」
ラミリツが疑問して言う
「え?」
マリアがハッとして苦笑して言う
「あっ!あの… この”マシーナリー”…なのですけど その… ラミリツさんが動かしていると言う事は分かるんですが なんて言うか… それだけじゃないような?…いえっ ごめんなさい 私、変な事言ってますよねっ?」
ラミリツが一瞬驚いて思う
(…驚いた もしかして?)
ラミリツがキーネックレスを意識してから言う
「…いえ 凄いですね マリアさん」
マリアが疑問して言う
「え?」
ラミリツが言う
「その通りです 実は このマシーナリーは ”私だけの意思”で 動かしている訳ではないんです」
マリアが呆気に取られて言う
「へ?あの…?それは?」
ラミリツが思う
(う~ん けど これは 言ってしまっても?…いや)
ラミリツが言う
「…う~ん そうですね?マリアさんなら良いかな?」
マリアが疑問すると ラミリツが言う
「本当は このマシーナリーは 普通の人間には動かせないものなのです」
マリアが驚いて言う
「えっ!?それじゃ…!?」
ラミリツが言う
「でも 私は普通の人間です …ですので このマシーナリーを動かすには 元々 こちらを動かす事が出来る その者の力を借りなければいけなくて ですから マリアさんが感じているのは そちらの力… つまり ”彼ら”の意思でないかと?」
マリアが呆気に取られて言う
「そ、そうなんですか…?私は その…」
キーネックレスが一瞬煌く ラミリツがハッとして思う
(…よし、ここまで話したのなら …今がチャンスだっ!)
ラミリツが言う
「でも それに気付かれるとは やっぱり マリアさんが ウィザード様や…”神様に”お仕えする 奉者様だからなのでしょうかね?」
ラミリツが思う
(ちょっと強引だけど もし?マリアさん自身も あのウィザード様の事を 知っているのなら?)
マリアが反応して言う
「…っ い、今 ”神様”にって!?」
ラミリツが軽く笑って思う
(ああ、この反応 …やっぱり 知ってたんだ)
マリアが困って言う
「そ、それって あの…っ もしかしてですけど?ラミリツさんは…っ?」
ラミリツが言う
「はい、貴女と一緒に居た あのウィザード様が ”神様”になっている姿を見ました」
マリアが困って言う
「あ、あの…っ!その事は どうか…っ」
ラミリツが微笑して言う
「あ、やっぱり?”秘密”ですか?」
ラミリツが思う
(そうだよね?神様の事は… 天使様の事は 秘密にする …それは)
マリアが困る ラミリツが笑って言う
「ふふ…っ ご心配なく そちらは 我々も”同じ”ですから」
マリアが疑問して言う
「え?」
ラミリツが思う
(ハブロス司令官と同じだよね?)

【 ART司令官室 】

アースが言う
「経過は兎も角… これで 後は あちらの動きを待つだけだ」
アースが椅子を立つ グレイゼスが報告書から顔を上げて言う
「では こちらの報告書にあった ”ヴァンパイアさんの知識”を 得られるかどうかと言う事を あちらのお国の使者さんへ 確認する事は しないと言う事で?」
アースがグレイゼスの横で一度立ち止まって言う
「それほどの者が 差し向けた使者であるなら 相応の者かとも思ったが… ”あの”ユウヤ殿では そちらの問いへ対する答えは 聞き出せないだろう」
グレイゼスが疑問して言う
「それは…?自分は ハブロス司令官が 彼と挨拶をする所から拝見していましたが そう言ったお話は 一切 して いなかったですよね?」
アースが言う
「話さなくても分かるだろう?」
アースが歩みを再開する グレイゼスが呆気に取られて言う
「え…?話さなくても?それは…?」
アースが言う
「帝国へ向かう 何かあれば連絡を」
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官っ?」
アースが部屋を出て行く グレイゼスが呆気に取られてから頭を押さえて言う
「…何で 分かるんだ?まさか 本当に…?」
グレイゼスが視線を泳がせてから部屋を出て行く

【 ART2 】

マシーナリーが滑走している

Mラミリツ内 ラミリツが操縦しながら思う
(建設中の灯魔台は次で最後… マリアさんに聞いて置きたかった事 …あのマリアさんのウィザードが アールスローンの皇帝と同じだって事は 分かった だから 今回はこれで十分 かなり 作戦は進んだ)
ラミリツが密かに微笑する マリアが考えている様子から言う
「あ、あの…」
ラミリツが一瞬ハッとして 平静を装って言う
「はい?」
マリアが言う
「えっと… 私はその… ウィザードさまの奉者で …神様とも 一緒に く、暮らしていたりなどもするのですが …でも 本当に 何も知らなくて だから…」
ラミリツが思う
(あぁ~ びっくりしたぁっ… 一瞬 僕が考えていた事が 伝わっちゃったかと思ったけど …そうじゃなかったみたいだ)
ラミリツが言う
「そう言えば あのウィザードさまは… マリアさんの ”彼氏だ”って 言っていましたからね?」
マリアが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
ラミリツが軽く笑って言う
「”彼氏で恋人同士で 付き合っている” …と言っていたので そういう関係だと言う事は理解していましたが 神様と一緒に住んでいる と言うのは 改めて聞くと 凄いですよね?…はははっ」
ラミリツが思う
(アールスローンの皇帝は あの城から出られないのにね?…でも、今はもう あの鎖のようなシステムに縛られている訳では無いんだし ハブロス司令官が 会いに行ってあげてる… そう考えると 以前のあの作戦は やっぱり良かった)
マリアが頬を赤らめて言う
「そ、それは…っ そうですね?改めて考えると凄いですよね?あ… はは…?」
ラミリツが思う
(まぁ きっと ハブロス司令官も 出来る事なら あの皇帝も ”自分の者”とか言って?それこそハブロス家の屋敷に 持ち帰りたいのかもしれないけど?)
ラミリツが密かに笑う マリアが言う
「そ、それは そうなのですが… …そうではなくてっ」
ラミリツが思う
(…と、今は そう、アールスローンの事じゃなくて)
マリアが言う
「あの… そんな状態でも 私… 奉者として… いえ、この世界に生きる人として この世界の事とか 戦いの事とか 何も知らなくて …ですから」
ラミリツがマリアを見てから視線を逸らして思う
(そうだった こうして 僕らART2が マリアさんたちの国へ来たのも ただ 親睦を深めに来た訳じゃない …そう、これは 作戦の一つで)
ラミリツが言う
「…そう ですか …だけど」
ラミリツが思う
(戦いは もう 始まっているんだ だから 僕らは この作戦を…っ ウィザードたちの力を 何とかして手に入れないと!)
マリアが意を決して言う
「教えてもらえませんか?」
ラミリツが一瞬驚いて言う
「…え?」
マリアが言う
「教えてもらえませんか!?私に… ラミリツさんたちの事や この世界の事… 神様は?…私のウィザードさまや アールスローンの神様は 何をするつもりなんですか?」
ラミリツが驚いて思う
(マリアさんたちも… 戦うつもりだったの?てっきり… あの街中の様子と言い …それこそ 戦いなんて まったく無い まったく知らない 平和な国なのに…?)
マリアが言う
「ラミリツさんたちが やろうとしている事も 私… 教えて欲しいですっ」
ラミリツが思う
(僕らがやろうとしている事… それは… ウィザードたちの力を… いやっ 違う!)
マリアが見詰める ラミリツのキーネックレスが煌く ラミリツが意を決して言う
「…それでは 私も 全てを知っている訳ではないのですが それでも 自分たちを導いてくれる 彼がやろうとしている事が 正しいと 信じていますので」
マリアが言う
「彼…と言うのは 先ほどの?」
ラミリツが言う
「我々ARTの 司令官である ”彼が”やろうとしている事を お知らせします」
マリアが言う
「はい」

【 ART 司令塔 】

グレイゼスがモニターを見て考えている ハイケルがやって来て言う
「マスターグレイゼス中佐っ!何故 先に教えてくれなかったんだ!?俺のマシーナリーは 改善前の 旧型であると!俺も 同じ新型のマシーナリーを 使ってさえいたらっ!」
ハイケルが手を握り締める グレイゼスが視線を細めて言う
「…分からないな」
ハイケルが一瞬呆気に取られて言う
「分からないだと?私は お前の指示通り 第二訓練所の 第二格納庫にあったマシーナリーから 短銃を装備したマシーナリーを用いて計測対戦を行ったっ しかし その後確認をした所 第二格納庫には 旧型のマシーナリーしか置いていなかったのだとっ 訓練所の管理官がっ!」
グレイゼスが言う
「…何で分かったんだ?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「何で分かったんだ?だと!?俺自身は分からなかったがっ いくら私が真に不甲斐無く申し訳ない初世代の悪魔の兵士であろうともっ あの元政府長長官兼攻長であっただけの ユラ殿にあそこまで追い込まれる筈がっ!」
グレイゼスが言う
「…どう見ても 聞いても 分からないっ」
ハイケルが怒ってコンソールを叩く グレイゼスが驚いて顔を向ける ハイケルが怒って言う
「それなら お前は まず 数分前の第二訓練所のモニターを確認しろっ!私のマシーナリーが手も足も出せずに ユラ殿のマシーナリーに叩きのめされている その姿をっ!」
グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ 悪い… 居たのか ハイケル」
グレイゼスがイヤホンを外す ハイケルが呆気に取られる グレイゼスが苦笑して言う
「悪い悪い 今ちょっと 本気で考えていたものだから」
ハイケルが疑問して言う
「考えていた?…と言っても」
ハイケルがデスクモニターを見てから言う
「モニターには プログラムやその他の情報は 表示されていないが?」
グレイゼスが苦笑して言う
「ああ 今考えていたのは そう言った事じゃなくて… ハイケル?お前 今朝 ハブロス司令官は もはや お前のレコーダー機能さえ持った 悪魔の司令官なんじゃないかって 言っただろう?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「い、いや… 俺は 悪魔の司令官ではなく 悪魔の兵士と 同じ程の能力がある 司令官なのでは無いか?と言おうとしたのだが…」
グレイゼスが言う
「ああ、そうだったか まぁ それなら そうで良いんだが…」
ハイケルが言う
「良いのか それで?悪魔の… 司令官?」
グレイゼスが苦笑して言う
「いや、そうじゃなくて… と言うか …そうなのかな?ってさ?」
ハイケルが言う
「は?」

【 ART第二訓練所 】

MユラがMシェイムを摘み上げて言う
「なんだ またか!?…おいっ 起きろ!中身っ!」
MユラがMシェイムを揺する シェイムが失神した状態で揺さぶられる 計測官が苦笑して言う
『ユラ様 どうか 今日の所はこの辺りで… あまりそう ご無理をさせますと 中身のマスターシュレイゼス隊長の 外身のお命に危険がありますので』
Mユラが言う
「ふんっ そうか 中身だか外身だか どうでも良いが ハブロス司令官の駒を殺す訳にはいかん ならばコイツは止めにして …では!もう一度だっ どうしようもない悪魔の兵士!…む?」
Mユラが周囲を見渡して言う
「奴は何処へ行ったぁあっ!?」
計測官が苦笑する

【 ART司令塔 】

ハイケルが言う
「内容を話さなくても その内容へ対する 相手の返答が分かる?」
グレイゼスがコンソールを操作しながら言う
「ああ、そうなんだよ ハブロス司令官と異国の使者さんの会話は 全部聞いていたし 録画で見直しもしたんだが そう言った話は 一言も 本当に一切していないんだ …それこそ ヴァンパイアのヴァの字も お互いに口にしていない それなのに…?」
グレイゼスが考える ハイケルが無関心に数回瞬きをしてから言う
「そうか それで?」
グレイゼスが疑問して言う
「はぁ?」
ハイケルが言う
「そんな事よりも 俺は お前が何故 俺に新型のマシーナリーの保管場所を 伝えてくれなかったのか と言う事へ対しての 確認をしたいのだが?」
グレイゼスが苦笑して言う
「ああ、それは 簡単だ お前には旧型のマシーナリーを使って欲しいと思ったから あえて そっちの保管場所を教えたんだよ」
ハイケルがムッとして言う
「何故 そんな事をっ!?」
グレイゼスが苦笑して言う
「まぁまぁ そう怒るなって 答えも簡単だ それこそ そのデータが欲しかったんだ お前たちART1がこの本部を離れている間に 俺たちが行ったマシーナリーへの改良が どの程度の成果を成したかってな?」
ハイケルが言う
「そんな事は それこそ お前が好きなデータ上で見れば良かっただろう?旧型のデータは既にある そうとなれば 新型も今まで通りに使い そのデータを取れば 旧型との差が分かる筈だ わざわざ新旧を用いての対戦などを 行わせずとも」
グレイゼスが苦笑して言う
「まぁ それはそうなんだが ユラ殿が どうしても 目に見える結果を出したいってな?」
ハイケルが不満そうに言う
「…そう言う事かっ つまり ハブロス司令官は 俺へ 報告書作成の不手際の罰として 自分の息子であるユラ殿の気晴らしに…っ」
ユラが現れて言う
「ハブロス司令官が何だと?」
ハイケルとグレイゼスが一瞬衝撃を受けてからユラへ向く ユラが部屋へ入って来て言う
「おい どうしようもない悪魔の兵士っ 勝手に居なくなるではないっ もう一度 対戦相手をしてやるっ さっさと マシーナリーへ戻れ!」
ハイケルが笑んで言う
「よしっ ならば今度こそ!」
ハイケルが立ち上がる グレイゼスが苦笑して言う
「新型を使うつもりかぁ?知らないぞ?悪魔の司令官に知れても?それこそ 今度は本当に一発殴られるかもしれないぞ?プクク…ッ」
ハイケルが言う
「問題ない 確かに 痛くはあったが あの程度ならば許容範囲だ やはり 奴は悪魔の司令官ではなく ただの司令官だ」
グレイゼスが苦笑して言う
「まさか本当に殴られていたのか…」
ユラが言う
「先ほどから 何を言っている?悪魔の司令官だと?ハブロス司令官を侮辱する事は 元政府長長官兼攻長であった この俺が許さんぞ?」
ハイケルがユラを見上げて言う
「望む所だ」
ユラが笑んで言う
「ほう?どうやら 痛い目に会いたいようだな?ならば 今度こそ容赦をしてはやらんからな?」
グレイゼスが困って言う
「おいおい 悪魔の兵士さんに 元政府の攻長 またの名を 攻撃の兵士さん?勇ましいのは結構だが どちらも 守りの兵士である 元国防軍総司令官のハブロス司令官やアーヴィン君のお仲間だろ?仲良く頼むぜ?」
ハイケルが言う
「問題ない 悪魔の兵士は 守りの兵士を守れば良いのだろう?それなら 政府の攻長 攻撃の兵士を 攻撃する事は 許されている筈だ」
ユラが言う
「愚かな 原本を守る筈が その内容を知らぬ 悪魔の兵士め 悪魔の兵士も攻撃の兵士も それは どちらも ペジテ王の子孫と共に戦う兵士だ」
ハイケルが呆気に取られて言う
「そ、そうなのか!?」
グレイゼスが言う
「どうやら そうらしいな?アリアちゃんのオペラによると」
ハイケルが言う
「アリアのオペラによると?」
グレイゼスが言う
「お前たちが居ない間に アールスローン戦記の原本を読み解く その方法が分かったんだよ それで」
ハイケルが言う
「そうだったのか… とは言え 守りの兵士を守ろうと ペジテ王の子孫と共に戦おうと それこそ 直接 ペジテの姫を守ろうとも 同じ事だ ”強くなければ 何も守れはしない”」
グレイゼスが微笑して言う
「それは 確かに」
ユラが笑んで言う
「そうだな それには同感だ」
ハイケルがユラと共に向かおうとする グレイゼスが言う
「それじゃ 俺も この悩みはお預けにして そちらのデータ取りに付き合いますかね?万が一にも ヴァンパイアさんたちの力を得られないとなれば マスターの俺たちで 何とかしなければならない訳だし」
ユラが疑問して言う
「悩み?」
ハイケルが言う
「大丈夫なのか?気に掛かる事がある状態では ナノマシーンの使用に障害が起きるのだろう?」
グレイゼスが苦笑して言う
「障害と言っても ちょっと気が散るって程度だ データ取りなら尚更 問題ないって?」
ユラが言う
「何か問題なのか?」
ハイケルがグレイゼスを見る グレイゼスが苦笑して言う
「いえ 問題と言う訳ではないのですが… それならぁ~?元政府長長官兼攻長であった ユラ様ならぁ?分かりますかねぇ~?話をしなくても 相手の対話レベルが分かってしまう そのカラクリがぁ~?」
ハイケルが疑問して言う
「…グレイゼス?」
グレイゼスがハッとして言う
「おーと?またか?今日は随分と おしゃべりだな?グレイゼス?」
ハイケルが言う
「ナノマシーンの言葉か」
グレイゼスが苦笑してみせる ユラが言う
「相手の対話レベル?つまり 相手が下民か?高位富裕層か?と言う事か?」
グレイゼスが驚く ハイケルがグレイゼスの様子に顔を向ける グレイゼスが苦笑して言う
「…なんだ そういう事だったのか それで… …お陰さまで 悩みが晴れました 元政府長官兼攻長のユラ様!」
ハイケルが疑問してグレイゼスとユラを見る ユラが鼻で笑って言う
「ふんっ 確かにそちらの称号の方が 地位や名誉は高いが 今の俺は ユラ・アース・メイヴンだ そして、こちらの一歩低い地位や名誉の方が 俺にとっては遥かに価値がある」
グレイゼスが微笑して言う
「では やはり ユラ殿で?」
ユラが言う
「お前たちマスターは ハブロス司令官の仲間だろう?そうとなれば そちらの呼び方を許してやる ハブロス司令官に感謝するのだな?」
グレイゼスが苦笑して言う
「ええ、そちらのハブロス司令官には 感謝してますとも?…あの時も 分からない俺に わざと はぐらかしてくれたんだ」
ユラとハイケルが疑問する グレイゼスが笑んで言う
「よしっ それじゃ 早速!我らARTの戦力アップを目指して 一戦行きますか!お二人さん?」
ユラとハイケルが笑んで言う
「「了解っ」」

【 帝国 】

エレキギターの激しい曲が掻き鳴らされている アースが玉座でエレキギターを弾いている 

城の屋上

アースの音を聞きながら皇帝が閉じていた目を開くと言う
「…ネロの子か」
皇帝の近くを黒い羽根が舞う 皇帝が言う
「されど その方の姿は 我が記憶に在らず …我に名乗れる名はあらずとも その方の名の響き 伺う事叶うならば?」
皇帝が振り返る 白衣の男が微笑して言う
「アールスローンの皇帝… またの名を アールスローンの神 …お目に掛かれ 光栄の至り 私の名は」
ヴィンが口元に試験管を当てて言う
「天才科学者 ヴィーンリッヒ」
皇帝が微笑する

帝国門前

ユウヤが周囲を見ながらやって来て言う
「ここが帝国… ミックワイヤー長官は アールスローン国の隣国と言っていたけれど ハイケル少佐の話では…」
ユウヤが少し離れた所から 帝国の門を見上げる

玉座の間

アースが演奏の手を止め顔を上げる 視線の先 空間モニターにユウヤの姿が映っている アースが視線を強めると 映像に白衣が映る アースが思わず立ち上がる 皇帝が玉座の間にやって来て言う
「かの者は… 案ずる必要に在らず… 己が”獲物”を 迎えに参ったと 申しておった」
アースが言う
「”獲物”?…では ユウヤ殿を その様に呼んでいたと言う あの男が 報告にあった ヴィーンリッヒ… と言う名の …ヴァンパイアかっ」
アースがモニターを見上げる

帝国門前

ユウヤが驚いて言う
「ヴィンっ!?一体どうやって ここへっ!?」
ヴィンが微笑して言う
「フフフ… 驚く事は無いのだよ ユウヤ 例えアウターの先であろうとも その場所に ユウヤが居てさえくれるのであれば」
ユウヤが言う
「まさかっ ゲートで!?」

玉座の間

アースが言う
「話をしたい ここは任せるぞ 皇帝」
アースが皇帝の横を過ぎようとする 皇帝が言う
「アース… 気を付けよ?」
アースが一瞬驚いて立ち止まると振り向いて言う
「ふ…っ 珍しいな?」
皇帝が言う
「その方は 我が民… 彼らは 他の民… なれば その方の身を案ずる事 我が勤めと在ろう?」
アースが微笑して言う
「そうか 初めて貴方を 我々の神と認めたくなったぞ?皇帝」
皇帝が衝撃を受ける アースが笑んで言う
「冗談だ …それに いざと言う時は ”いつものように” 力を貸してくれるのだろう?…難なら 使うか?」
アースがエレキギターを皇帝へ向ける 皇帝が苦笑して言う
「そちらは その方の武器 その方の助けとなろう」
アースが微笑する
「…ふっ それは どうだろうな?私の武器… いや 私を助ける力は 私の仲間である ”ARTの彼ら” そのものなのだからな?」
皇帝が微笑すると アースが外へ向かおうとする モニターにリックが映り込む アースが反応して言う
「うん?…彼は?」
空間からリックの声が聞こえる
『…はん?変わらねぇな?アールスローンはよぉ?』
アースが驚く 空間からユウヤの声が聞こえる
『リック?リックまで来たのかい?』
アースが言う
「リック?…確か」
リックが言う
『ああ 来てやったぜぇ?…でぇ?アールスローンの神は …この中に居やがるのかぁ?』
リックがモニターへ向いてニヤリと笑む アースが視線を強め走り出す 皇帝がアースの後姿を見送り微笑する

城内

アースが息を切らせ走りながら言う
「はぁ はぁ はぁっ… エルム少佐っ!」
通路に居たエルムα1が顔を上げると アースがエルムα1の背に飛び乗って言う
「走れ!命令だっ!」
エルムα1が言う
『了解』
エルムα1が走りながら言う
『喫煙を控えるべき …だ』
アースが衝撃を受け言う
「だったら 貴方が代行してくれても 良かったのだぞっ!あの報告書の書けない 出来損ないの悪魔の兵士の代わりに!」
エルムα1が言う
『無理だな』
アースが言う
「ならば 黙って走れ!命令だっ!」
エルムα1が沈黙して走って行く

城門前

リックが城門へ向き直る ヴィンが言う
「この佇まいからして 相応の備えがあるものと 推察されるが?」
リックが口角を上げて言う
「どぉって事ねぇよ?てめぇの城の方が よっぽど厄介だ」
ヴィンが言う
「…と 言う事は?」
リックが言う
「ああ、以前にな?」
ユウヤが言う
「以前に?…まさか 来た事が?…っ!?」
リックとヴィンとユウヤが反応して門へ向くと 門が音を立てて開かれる ユウヤが驚く ヴィンが言う
「おや?彼は…?」
ヴィンがリックへ向く リックが笑んで言う
「はん?出迎えかぁ?それとも?」
門の中には アースがエレキギターを背に回して立っていて言う
「この先へは 向かわせられないな?」
アースが門を出ると アースの後ろにエルムα2と3が立つ 更に後ろの門の中に エルムα1が倒れていて言う
『燃料切れ…だ』
エルムα1が沈黙する 門が閉まる ユウヤが呆気に取られて言う
「何故 ここに…?」
リックが気付いて言う
「へぇ?なるほど?今回はてめぇが 直々に出迎えか?」
アースが一度ユウヤへ視線を向けてから リックへ言う
「この場所へ 何の用だ?貴方は…」
アースがヴィンを見て言う
「”ユウヤ殿を 迎えに来た”のだと その様に伝え聞いたのだが?」
ヴィンが微笑して言う
「その通り 私の用は それだけだ」
アースがリックへ向いて言う
「では?」
リックが言う
「その前に聞かせやがれ てめぇ 名は?」
アースが反応してから微笑して言う
「聞きたくば 己から名乗ってはどうか?」
リックがニヤリと笑んで言う
「言ってくれるじゃねぇか?そうとなりゃぁ こっちも相応に対処をしてやるが… あんまりこの俺様を 甘く見ると…」
ユウヤが言う
「あ、リック 彼は アース・メイヴン・ハブロスさんと言う名前で 役職はARTの司令官だと」
アースが怒りを押し殺して思う
(…あの野郎っ)
リックが笑って言う
「っははーっ!悪かったなぁ?空気の読めねぇ奴でよぉ?」
アースが言う
「その様だな」
リックが言う
「まぁ 良い… なら俺は エリックアーベスト またの名を…」
ユウヤが驚いて言う
「えぇえっ!?リックは ”エリックアーベスト”って 名前だったのかいっ!?」
リックが怒って叫ぶ
「てめぇは ちっと黙ってろやあっ!」
ヴィンがユウヤへ微笑して言う
「ユウヤ?世の中には ”空気を読む”と言う言葉が有るのだよ またの名を ”お約束”とも言われるのだが」
ユウヤがヴィンへ向いて言う
「ああ、そうですね ヴィン すみません …あ、二人ともどうぞ?俺に構わず 続けて下さい」
ユウヤが微笑する アースとリックが沈黙している

【 ART 第二訓練所 】

Mユラがセイバーを振りかぶって叫ぶ
「らぁああーーっ!」
Mハイケルが気を引き締めて回避する Mユラが瞬時に身を翻して言う
「甘いわぁあ!その動きは 見切ったっ!」
Mユラがセイバーを空かさず振るうと Mハイケルが上空へ回避して言う
「それは こちらもだっ!」
Mハイケルが短銃を向けるが 短銃の先Mユラは居なくなっている ハイケルの意識が驚いて言う
「なっ!?何っ!?…はっ!」
Mハイケルが振り返ると その先にMユラが居て ユラがにやりと笑んで言う
「貰ったぁあっ!」
Mユラがセイバーを振るう Mハイケルが短銃で受け止めようとするが 短銃の銃身がセイバーに斬られる ハイケルが驚いて言う
「しまっ…!」
Mユラがセイバーを突き向けて叫ぶ
「食らえぇええーー!」
ハイケルの意識が観念する グレイゼスがエンターキーを押しながら言う
「はいはい~」
MハイケルがMユラのセイバーに貫かれる Mハイケルが悲鳴を上げる
「ぐあぁあああーー!…っと?うん?…痛くない?…が?」
Mハイケルが床に無様に落下する ハイケルが衝撃に表情をしかめて言う
「うぅうっ!…う、うん?痛くない?それに …戻っている?」
ハイケルが正面のモニターへ顔を向けて言う
「何時の間に?」
モニターにグレイゼスが映って言う
『よし どうやら 上手く行ったみたいだな?』
ハイケルが言う
「お前が?」
MユラがMハイケルを締め上げて言う
「うん?何だ?今度は貴様も 中身が失神したのか?」
ハイケルが疑問して言う
「中身が失神…?いや、私は マスターシュレイゼス隊長の様に 失神した訳ではないのだが?」
モニターのグレイゼスが苦笑して言う
『その マスターシュレイゼス隊長に 感謝しろよ ハイケル?彼が散々ユラ殿に打ちのめされてくれたお陰で ナノマシーンを使った融合操作の場合でも 神経接続を解除するシステムを 組上げられる様になったんだ これなら お前の時も同様に ヤバイ時には こっちで強制的に 融合を解除出来る』
ハイケルが言う
「なるほど そう言う事か」
ハイケルが体勢を戻す グレイゼスが言う
『と言っても このシステムは中身の操縦者を守る事は出来るが 攻撃を受けたマシーナリーを守る事には繋がらないから そのマシーナリーはもう駄目だな …今 こっちで ハッチを開ける』
ハイケルが気付いて言う
「そうなのか?では…」
Mユラが言う
「ふむ?どうやら この勝負も 俺の勝ちの様だな?ハイケル少佐?」
ハイケルが悔やむ ハッチが開く グレイゼスが顔を上げて言う
「よし 開いたぞー ハイケル?」
ハイケルがコックピットから身を乗り出して言う
「ならば もう一戦だっ!先ほどの一戦で 新型マシーナリーの挙動は把握したっ …次こそは!」
グレイゼスが呆気に取られる Mユラが言う
「はーはっはっは!負け惜しみか?だが 良いだろう もう一戦 望む所だ!」
グレイゼスが言う
「え?いや… ちょっと お二人さん?」
ハイケルがグレイゼスへ向いて言う
「グレイゼス!もう一機 マシーナリーを用意しろ!もちろん 新型の方だっ!」
グレイゼスが困って言う
「あのなぁ そうは言っても マシーナリーは有限なんだから お前たちのお遊びで そう 次々に壊して良いものじゃないんだ」
ハイケルが言う
「必要なら 帝国の外から持ってくれば良いだろう!?それこそ帝国の城壁へは 有限である筈のマシーナリーが 無限と押し寄せて来る!」
グレイゼスが苦笑して言う
「そうは言ったって そのマシーナリーはそのままじゃ 俺たちの仲間には なってくれないんだから…」
グレイゼスが首を傾げて言う
「本当はそれこそ 何処かの 悪魔の兵士さんの お仲間の筈なんだけどなぁ?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「う…っ」
グレイゼスが苦笑して言う
「それとも ハイケル?お前が ハブロス司令官に おねだりしてくれるのかぁ?”メイヴィン伯父様ぁ~ ハイケル 新しいマシーナリーが 欲しいですぅ~” とでも 言ってくれるのかぁ?プクク…っ」
ハイケルが衝撃を受け赤面して言う
「だ、誰が そんな事を…っ いくら その叔父様に弄ばれていようともっ そこまでの台詞を口にした日には 私はもはや 生きては行かれないっ!」
Mユラが言う
「どうせ蘇るのなら 口にしてから 死んでしまえば 良かろう?」
グレイゼスが衝撃を受ける ハイケルが振り返って言う
「…それもそうだな?」
グレイゼスが慌てて言う
「だぁああ こらこらっ!本当に もう これ以上 俺の仕事を増やさないでくれっ!」

【 帝国 】

リックがアースへ言う
「…チッ 相変わらず空気の読めねぇ ユウヤのせいで 気分が乗らねぇが まぁ良い!俺は 元々その気だって 長ぇ方じゃねぇんだ …おい ユウヤ!」
リックがユウヤへ顔を向ける ユウヤが疑問すると リックが言う
「てめぇが ”この国の支配者”から 聞いたってぇ言葉は もしかしてだが この野郎の言葉か?」
ユウヤが一瞬呆気に取られてからヴィンへ向く ヴィンが微笑して言う
「ユウヤから聴いた言葉を 先だって 私から リックへ伝えて置いた」
ユウヤが苦笑して言う
「なるほど それなら… そうだよ リック?この世界の支配者である ARTの司令官… 彼の言葉だ」
リックがアースへ向いて言う
「だろうな?だと思ったぜ?」
アースが言う
「では そちらへ対する返答を 聞かせてもらえると?」
リックが言う
「その為に わざわざ この俺様が 来てやったんだ …答えは急げとも 抜かしやがっただろうぉ?」
アースが微笑して言う
「良い答えが聞かれるものと 期待をさせてもらうが?」
リックが言う
「そいつはよぉ 言うまでもねぇ 最初っから決まってやがんだ 俺らは 端から この世界を潰そうなんざしやがる クソ野郎は 叩き潰してやろうと思っていた訳だが」
アースが言う
「では そちらの目的を同じくする 我々の仲間になると?」
リックが言う
「はん?仲間か …そうだなぁ?要は そのてめぇらがよぉ 割と 力を持ち始めたんじゃねぇかってなぁ?もしそうだってんならぁ…?」
リックが瞬時にアースの間近へ現れる アースがリックへ視線を向ける リックが笑んで言う
「俺らの”餌”としてじゃぁなく ちったぁ その俺らの”力”にでも なりやがるか?…って事なんだよ?人間?」
リックがアースの首を見て牙を剥く アースが言う
「品のないヴァンパイアだな?」
リックがアースを見て言う
「…チッ 可愛くねぇ野郎だ それが分かっていて 怯えもしねぇのか?」
アースが言う
「ユウヤ殿は 私を”この国の支配者”とした そして その彼を差し向けた貴方は 私が相応の者であると言う事を認識している その状態で 貴方が私を襲う事はしないだろう?」
リックが少し離れて言う
「なるほど 伊達に アウターの先へと 行き付いただけの事はあるぜ …”500年前とは大違いだ”」
リックとアースが沈黙してユウヤへ意識を向ける ユウヤがふと気付いて周囲を見渡して言う
「えっと… 俺は 今 何かを言うべきなのでしょうか?」
ユウヤがヴィンを見上げる ヴィンが微笑して言う
「いや?ユウヤは ”何も感じなかった”とあれば 特に 彼らの”そちらの期待”へと 応じる必要は 無いのではないかな?」
リックがアースへ視線を向けて言う
「でぇ?相変わらず空気の読めねぇ ユウヤのツッコミがねぇ所で てめぇはどうよ?」
アースが言う
「そうだな 私も余り気の長い方ではない 従って 過去やその他に囚われるのではなく 今 私が言いたい事は一つ 諸君ヴァンパイアは 私の仲間となれ」
アースがリックを見る リックが笑んで言う
「はっ!こいつは面白ぇ …てめぇ 気に入ったぜ?」
アースが言う
「では?」
リックが言う
「言っとくがなぁ?てめぇは もう とっくに この俺様の”獲物”だ てめぇ流に言うなら ”仲間”って奴か?」
アースが言う
「そちらは 力を貸してくれるものと 認識して良いという事か?諸君ヴァンパイアの力は 我々にとって大きな飛躍となる 特に…」
アースが視線をヴィンへ向ける ヴィンが微笑して言う
「おや?私が何か?」
ユウヤがヴィンへ向いて言う
「ヴィン 彼はあのARTの方ですから 恐らく ヴィンが以前指摘した 彼らのマシーナリーを強化して欲しい と言う事ではないかと…?」
ヴィンが微笑して言う
「フフフ… ユウヤ 今回はとても良く空気を読めていた様だが… 残念ながら」
アースが疑問する リックが言う
「ああ、残念ながらなぁ?そいつは 俺にとっては どぉでも良い事だ ヴィンの力は 俺は十分知ってる アイツは ”使える”ヴァンパイアだ つまり 今 俺が知りてぇのは …”てめぇの力”の方なんだよ?」
リックがアースを見る アースが言う
「私の?…分かった では そちらへの答えは 私の力は ARTの仲間たちの力だ そして彼らへ命令を与える事が出来る ”ARTの司令官と言う立場” それこそが 私の力だ」
リックがアースを見て言う
「ふん…?なるほど?確かに そいつは力だなぁ?だがよ そうじゃねぇんだよ?俺が聞きてぇのは」
アースが疑問して言う
「そうではない… とは?それ以外の力など… 私の地位や名誉は この国では力だが 異国の貴方方には関係の無い力だ」
リックが視線を強めて言う
「なら 気付いてねぇとでも?」
アースが疑問する ヴィンが言う
「私が確認した限りでは 彼の力は この国を守る防衛能力を 有している様だが?」
アースが気付いて言う
「その事か …いや、だがそれさえも 貴方方には関係の無い力だろう?」
リックがアースを見る アースが言う
「詳細は不明だが そちらに必要な力は 恐らく このアールスローン帝国を守る事は出来ても 同様に 他の国へ同じ事が出来るのかは… いや 根拠は弱いが 出来るとは思えない」
リックがアースの顔を見てから 視線を逸らして言う
「ふ~ん?なるほど ならぁ… そうだなぁ?わざわざ この俺様が来てやったんだぁ 直々に 確認してやろうじゃねぇか?」
アースが疑問する リックが笑んで言う
「お互い気が短けぇってぇなら 手っ取り早いのが良いよなぁ?」
アースが言う
「うん?それはそうだが…?」
リックがアースへ向き直って言う
「てめぇが どれだけヴァンパイアの力を 知ってやがるのかは知らねぇが …ヴァンパイアはよぉ?」
アースが疑問する 次の瞬間 リックがアースの間近に現れて言う
「血を吸った 相手の力を 手に入れる事が 出来んだよ?」
アースが驚いてリックを見て言う
「何っ!?」
リックがニヤリと笑んで吸血衝動を現して言う
「貰うぜ…?てめぇの 力を」
リックがアースの身体を押さえ付ける アースがハッとして言う
「エルム少佐っ!」
エルムα2と3がリックへ掴み掛かる リックが気付いて言う
「邪魔しやがるんじゃねぇえ!この機械人形どもがぁあっ!」
リックがエルムα2と3を次々に破壊する アースが一歩後ず去り驚いて言う
「これが ヴァンパイアの力…っ!?」
アースが思う
(あのエルム少佐のっ …いや、人型マシーナリーが 一瞬で!?)
アースがハッとすると リックがアースの頭と肩を掴んで 牙を剥いて言う
「悪く思うなよぉ?この程度の力なら わざわざ てめぇを 生かしてやる必要はねぇぜ?」
アースが表情を怒らせて言う
「おのれっ ヴァンパイア…っ!」
アースが思う
(皇帝っ!力を…っ!)
リックがアースの首へ牙を立てる アースが驚き悲鳴を上げる
「ぐあぁああーっ!」
ユウヤが驚いて言う
「リックっ!何をっ!?」
ユウヤが思わず踏み出す ヴィンがユウヤの肩を押さえて言う
「ユウヤ 行ってはいけない」
ユウヤがヴィンへ向いて言う
「しかしっ!」
ヴィンがリックとアースへ視線を向ける ユウヤがヴィンの視線を追う アースが耳元に聞こえる吸血音に表情をしかめて思う
(ぐ…っ 血が…っ 吸い取られて行く…!…皇帝っ!力を!早く…っ!)
アースが苦しみ呼吸を荒くして言う
「はぁっ ぐ… うぅ…っ!」
アースがリックの身体を引き剥がそうとするが まったく動かない アースが意識を薄れさせつつ思う
(分かっている 人型マシーナリーを容易く倒した このヴァンパイアに 私の腕力などで敵う筈が無い…っ 皇帝…っ エルム少佐…っ 何故…っ!?)
アースの脳裏に皇帝やエルムの姿が思い出された後 リックの言葉が思い出される

『ヴァンパイアはよぉ?血を吸った 相手の力を 手に入れる事が 出来んだよ?』

アースが思う
(このままでは…っ 私の力が…っ …力?私の力は…)
アースの脳裏にARTのメンバーが思い出される アースが思う
(彼らに… 助けを…?…いや 間に合う 筈が…)
アースの腕が力を失い リックを引き剥がそうと掴んでいた手が離れ 背に持っていたエレキギターのネックに当たる その振動で僅かに音が鳴る アースがハッとして 皇帝の言葉を思い出す

『そちらは その方の武器 その方の助けとなろう』

アースが表情を苦しめつつ 左手を後ろへ回し その爪でエレキギターの弦を弾く 音が鳴ると リックが驚き悲鳴を上げて離れる
「ぎゃぁあっ」
リックが自分の身体を抱き抱えて苦しそうに言う
「な、なんだ?今のはっ!?」
ヴィンが両手で頭を押さえていた状態から表情をしかめて言う
「うぅ… 何やら 身体を蝕むかの様な 忌まわしい力が…」
ユウヤが疑問して言う
「え?…リック?ヴィンも 急に どうしたのですか?」
ユウヤがヴィンを心配する リックがユウヤへ視線を向けて言う
「てめぇは 何ともねぇのか?ユウヤ?」
ユウヤが疑問して言う
「何とも って…?一体 何が…?」
アースが地面へ崩れるように膝を着くと 牙を立てられた首を押さえ 息を切らせながら言う
「はぁ… はぁ… そう言う… 事か…っ」
アースが背にしていたエレキギターを見る リックが息を吐いて言う
「はぁ… まぁ良い …これで てめぇも 漸く その力に… …っ!?」
リックが顔を上げた先 アースが笑んで言う
「よくも やってくれたな?ヴァンパイア?」
リックが衝撃を受けて言う
「え?いや… ちょっと待てよ?てめぇ 分かってやがんだろぉ?」
アースが笑んで言う
「ああ 分かっているとも?…従って こちらは礼だっ!」
リックが目を見開く アースがエレキギターを掻き鳴らして言う
「さあっ 聞けーっ!」
アースがエレキギターを響かせる リックが悲鳴を上げる
「ぎゃぁああーーっ!止めやがれええー!」
ヴィンが両耳を押さえて苦しんで言う
「うぅう…っ 全身の神経を震わされる 何と酷い振動だ…っ」
ユウヤが呆気に取られて言う
「え…?えーと…?俺は… こんな時は 何を言ったら良いのだろう?」
ユウヤが困り頭をかく


続く
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