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14章

アールスローン戦記Ⅱ 救世主”ゲートキーパーズ”

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銃声が響く ジャックの右肩に被弾する ジャックが目を見開く 警官姿の男が驚いて叫ぶ
「ジャックっ!?」
ジャックが苦しんで叫ぶ
「ぐ…っ!?あ…っ あぁっ!あぁああーーっ!」
ジャックが倒れもがきながら言う
「熱いっ …熱いっ!」
警官姿の男が慌てて言う
「熱いってっ!?まさかっ!?」
警官姿の男の横に男性が立つ 警官姿の男が怒りを噛み殺してから言う
「ジャックに…っ ジャックにヴァンパイア殺しの 銀の銃弾を撃ったんスかっ!?ユウヤ先輩っ!」
ユウヤが呆気に取られた後言う
「…ご、御免 AJ …てっきり 君が …襲われているのだと」
AJが怒って言う
「ジャックは俺の相棒ッスよっ!俺を吸い殺す訳が無いでしょっ!?…っ 何でいつも分からないッスかっ!?ユウヤ先輩は!ヴァンパイアの仲間 ”ゲートキーパーズ”でしょうっ!?」
ハイケルが呆気に取られて言う
「”ゲートキーパーズ”…!?」
ハイケルがユウヤを見る ユウヤは表情を困らせて言う
「そう… なんだけど …うん …そう だよな?御免…」
AJがジャックの横に膝を着いて言う
「ジャックっ!?大丈夫か!?ジャック!?」
ジャックがもがき苦しみながら顔を左右に振る ハイケルがジャックの下へ向かう 隊員たちが顔を見合わせハイケルを追う ハイケルがジャックの横へ到着し 傷を見ると振り返って言う
「バイスン隊員 ナイフを貸せ」
隊員Bがハッとして慌てて探りながら言う
「えっ?りょ、了解 少佐ぁーっ」
ハイケルが隊員Bからナイフを受け取る AJが心配して言う
「何するんだよっ!?」
ハイケルが言う
「弾頭が抜けていない 摘出する」
ハイケルがジャックの傷へナイフを突き刺す AJが表情を驚かせる ジャックが悲鳴を上げる
「ぐっ!?あぁあーっ う…っ うぅ…っ!!」
ジャックが痛みに耐えている ハイケルが傷口をえぐり弾頭を取り出す 銀の弾頭が地面に転がると AJがジャックへ言う
「取れたぞっ!?ジャック これならっ!?」
ジャックが苦しみながら言う
「あ… 熱ぃ…っ 熱ぃよ…っ」
AJが困って言う
「な、何でっ!?」
AJが思わずハイケルを見ると ハイケルが言う
「銀の成分は水溶性の性質を持つ 周囲の血中へ成分が流出してしまったか」
AJが言う
「なら 早く吸い出さなねぇとっ!」
AJがジャックの傷口へ口を付け 血を吸い出して 外へ吐き捨てる行動を繰り返す ハイケルと隊員たち ユウヤが見詰め唇を噛む ジャックの状態が落ち着きを見せる AJが息を切らして見詰めていると ハイケルが言う
「それ位で 十分だ 後は…」
ハイケルがジャックの肩へ拘束布を回して言う
「傷口の回復及び止血の為 圧迫処置を行う …堪えろ」
ハイケルが拘束布を締める ジャックが苦しんで言う
「う…っ!」
ハイケルが手を離して言う
「これで… 通常なら 医療施設へ搬送する所だが …ヴァンパイアの蘇生能力であるなら 恐らく そこまでの必要は無いのだろう」
ジャックが呼吸を整えている間に 傷口がみるみる塞がって行く 隊員たちが驚いて言う
「す、すっげぇ…」
AJがホッとして ハイケルを見て言う
「助かったよ… アンタのお陰だ… 俺一人だったら 出来なかった」
ハイケルが微笑して言う
「それ以前に 我々が助けられている 礼は不要だ」
AJが微笑して頷き立ち上がると ユウヤへ向く ユウヤが表情を困らせて言う
「本当に… 御免 AJ… 今の事も勿論だけど その… 昨夜の事も…」
AJが頭を抑え ため息を吐いてから言う
「はぁ~…っ ほんっとに ユウヤ先輩って ヴァンパイアに厳しいッスよねっ?そんな状態で 自分のヴァンパイアとやって行けている事が 俺には 不思議で溜まらないッスよっ!」
ユウヤが言う
「それは… 息子にも いつも言われてるよ…」
AJが言う
「でしょうね!?」
ユウヤが表情を困らせて言う
「うん…」
ジャックが立ち上がって言う
「…そいつが ヴァンパイア嫌いなのは 今に始まった事じゃねぇだろ?…何マジキレてんだよ?…ダセェぞ?」
AJが一度ジャックを振り向くと表情を困らせて言う
「…け、けど よぉ…」
ユウヤが表情を困らせて言う
「いや、AJが怒るのも 無理は無いよ 俺が悪いんだ ごめん ジャック …痛かったよな?」
ジャックが言う
「痛ぇなんてもんじゃねぇけどな?そもそも そんな古臭ぇリボルバーなんかで 急所外して撃たれたらよ?何時までたっても 死ねずに苦しまされるんだ ひでぇ拷問だぜ?」
AJが衝撃を受けて言う
「え?死なねぇの?」
ジャックが言う
「死なねぇよ」
AJが言う
「マジで?」
ジャックが言う
「マジだ ヴァンパイア 甘く見んな?」
AJがホッとして言う
「…はっ はは…っ な、なんだよ… それじゃ ユウヤ先輩は それを知ってたから?」
ユウヤが苦笑して言う
「あ、いや あの瞬間は 俺は急所を狙ったんだけど …外れて 良かった」
AJが衝撃を受けて言う
「狙ったんッスね…」
ジャックが呆れて言う
「拷問所じゃねぇな… 吸血中は意識飛んでっから 外れなきゃマジでヤバかった…」
AJが言う
「やっぱ 助かったよ あの瞬間 アンタが声を掛けてくれたから…」
AJがハイケルへ向く ユウヤがハイケルと隊員たちを見てからAJへ言う
「あ、そうだった AJ こちらの方々は?」
ジャックが言う
「あ… はい、それが その… …この人たちは 何でも アウターの外からやって来たとか?」
ユウヤが驚いて言う
「え?アウターの外からって?…それじゃっ もしかしてっ!?」
ハイケルが言う
「我々は アールスローン帝国の兵士であり この世界の敵と戦う為 同じく この世界に住む貴方方の力を借りるべく 対話を求めてやって来た」
ユウヤが言う
「やっぱり…っ それなら 我々も 貴方方と話をっ!」
ジャックが反応して言う
「…っ おい、その前に」
AJがサブマシンガンを構えようとして言う
「また集まって来たか… …あっ しまったっ 俺 弾切れなんだった!」
ハイケルがサーベルへ手を掛ける 隊員たちが武器を用意する ユウヤが言う
「それなら、ここは一先ず 皆で 逃げよう」
AJがユウヤへ向いて言う
「み、皆で 逃げるったってっ!?」
ジャックが呆れて言う
「はぁあ?何言ってんだ お前!?こんな大勢の人間連れて 逃げ切れる筈がねぇだろ!?」
ハイケルが言う
「我々の足では 至近距離のヴァンパイアを振り切る事は困難だ」
ユウヤが言う
「俺が”ゲート”を開きますから 皆さんは そのゲートを抜けて下さい!」
ハイケルが言う
「”ゲート” とは?」
ユウヤが胸の前で手を握り もう片方の手を空間へ向けると その先の空間が歪む ハイケルが驚き隊員たちが顔を見合わせる ユウヤが言う
「これが”ゲート”です!さあ この空間の先へ!」
周囲に少年ヴァンパイアたちが集まる ハイケルがそれを横目に見てから ユウヤへ言う
「そのゲートと言うものの先は 何所へと繋がっている?」
ユウヤが言う
「分かりませんっ」
隊員たちが衝撃を受け 隊員Bが言う
「えー?」
隊員Cが呆れて言う
「わ、分からないって…?」
隊員Dが言う
「次元の狭間… とか だったりしたらどうしよう?」
隊員Nが言う
「やべぇってっ!それ やべぇよっ!?」
ユウヤが言う
「正確な到着地は分かりませんが 心配はありません ゲートの終着点は 俺が過去に行った事のある場所か 俺の知っている人が居る その場所に限定され そこへ 貴方方の思考も含まれて 辿り着く筈です なので 追って入る俺やAJが 同じ場所へ辿り着くかは分かりませんが… 出来るだけ急いで合流しますから 今はっ!」
少年ヴァンパイアたちが間合いを詰める ジャックが言う
「出来るだけ 時間は稼いでやる」
AJが弾倉を付けて言う
「1バレット分だけだけど やれるだけやってみる …急いでくれ!」
AJが横目にハイケルを見る ハイケルが頷いて言う
「了解 …行くぞ お前たち」
隊員たちが頷く 隊員Cが怯えて言う
「行くのかよっ まじでっ!?」
隊員Aが苦笑して言う
「それじゃ サキも時間稼ぎに残るか?」
隊員Aと隊員Bが武器を構える 隊員Cが言う
「いやいやいやっ!行くっ!行けば良いんだろ!?」
ハイケルが言う
「ART1 突入っ!」
隊員たちが言う
「「了解っ 少佐ぁーっ!」」
ハイケルがゲートへ入る 隊員Iがゲートの横に居て 後ろに現れなかったハイケルに驚いて言う
「消えたっ!?」
少年ヴァンパイアたちが動き出す ジャックが動き AJと隊員Aと隊員Bが銃を放つ 隊員たちが次々にハイケルを追う

【 ART2 】

奉者協会 記者会見場

大量のフラッシュが焚かれている 女性が言う
「そして こちらの皆さんが 昨日 我々の世界へお越しになった アールスローン帝国からの…」
女性が手を向けた先 ラミリツとART2隊員数名が立っていて カメラが向けられると ラミリツがビシッと敬礼する 隊員たちが従う 女性が続けて言う
「アールスローン帝国軍 レギスト特殊部隊 第二機動部隊 通称ART2の皆さんです 彼らは アールスローン帝国から 遥々こちらの世界へ 我々との友好の為にと いらっしゃいましたので…」
記者が言う
「ソニア副会長っ!それでは 彼らは こちらの世界で 何をしようというのでしょうかっ!?友好の為にとはっ!?話によれば彼らは 巨大な鉄の巨人と共にやって来たと言う事ですがっ!?それを使って この世界へ危害を与えると言うのではっ!?」
ソニアが一瞬困って言う
「…っ そちらは…」
アイザックが言う
「彼らの所有する それは 彼らが アウターにて使用する為の力であり この世界に住む人々へ 使用する事は無いと 誓わせている」
記者たちがざわめく ソニアが微笑して言う
「ウィザード様が この様にと仰っておられるのですから ご心配には及びません」
記者が言う
「で、では アイザック様 万が一にも 彼らが その誓いを破るような事があった時には…?」
記者たちがアイザックへ注目する アイザックが視線をラミリツへ向ける 記者たちがアイザックの視線を追ってラミリツへ向く ラミリツが微笑して言う
「そちらの誓いを破るような事は 決して無いと 私は改めてこの場所にて 皆様へもお誓いを致します しかし 万が一にもその様な事があった場合には 恐らく我々は 一瞬にして 鉄の巨人もろとも ウィザード様の魔法により 吹き飛ばされてしまうのでしょう?そして そのまま 我々のアールスローン帝国へと墜落したのなら 今度は 我々の故郷のアールスローン帝国にて 我々の上官からお咎めを受けます 皆様との友好は 我らARTの上官が 何よりも大切にお考えの事です」
ラミリツが微笑する 記者たちが呆気に取られた後ホッと苦笑し合ってから 記者がラミリツへ言う
「では… その様な上官様から命を受けていらっしゃった 皆さんの事を紹介して頂けますでしょうか?」
ラミリツが言う
「はい、まず 私がこのART2の隊長 ラミリツ・エーメレス・攻長と申します」
記者たちが疑問して顔を見合わせる ラミリツが思う
(あ… やっぱ 変な顔してる …まぁ そうだよね?僕だって 本当は…)
ラミリツが軽く咳払いをして言う
「名はラミリツ 2つ名が エーメレス そして 攻長と言うのは アールスローン帝国の 我らが女帝陛下の家臣であると言う事を示す言葉です 私は 我々アールスローン帝国の女帝陛下の御心をも携え 皆様のお力になりたいと こちらの世界へ参りました」
記者が言う
「…では 今 アールスローン帝国は それほどまでに こちらの世界との友好を 求めていると言う事なのでしょうか?それは…?」
ラミリツが言う
「それは 皆さんの住まれるこちらの世界も 我々のアールスローン帝国も同じく アウターからの異常魔力によって 被害を受けています その被害を無くす為に 我々は 様々な術を得て その方法を編み出そうと考えています 皆さんとの友好も その一端であり…」
アイザックがラミリツを見ている 記者たちがメモをしながらラミリツの話を真剣に聞いている ラミリツが言う
「アールスローン帝国は アウターからの異常魔力を払拭する 力や知識を共有出来る事を目指しています そして 世界は違えど 我々は同じ人間です お互いに助け合い 共に生きる事が出来ると 我らART2は その希望と願いを携え この度 皆様方の世界へと参りました どうか アールスローン帝国 並びに 我らART2を 宜しくお願いします!」
ラミリツが敬礼して微笑する 大量のフラッシュが焚かれる

【 ART1 】

ユルス城

ハイケルが周囲を見渡して言う
「…ここは?一見した所 要塞?もしくは…」
隊員たちが全員到着し 隊員たちの最後に入った隊員Aが周囲を見渡していると 隊員Bが気付いて言う
「あー!ゲートがー!」
隊員Bの言葉に皆が振り向く 空間の歪みが消えて無くなる 隊員たちが呆気に取られると ハイケルが言う
「この場所へ到着したのは 同じ思考を持った 我々ART1だけだったと言う事か」
隊員Cがホッとして言う
「取り合えず 皆と同じで良かった…」
隊員Bが面白そうに笑顔を見せる ハイケルが言う
「先ほどの彼らが いずれ追って来てくれるものと仮定して それまで…」
ハイケルが思う
(ここで待機をするべきか?…しかし この場所が安全であると言う保証は無い だが 下手に動けば 合流の支障となる事や 再びヴァンパイアと出くわすと言う その可能性も…?)
足音が聞こえる ハイケルと隊員たちが反応して顔を向けると ハイケル達の居る階から上の階へ向かう階段の先に タキシードを着た少年がやって来て言う
「ようこそ ユルス城へ」
ハイケルが言う
「ユルス城?」
ハイケルが周囲を見て思う
(と言う事は ここは城の中だったのか…?)
少年が立ち止まりハイケルと隊員たちを見る ハイケルが言う
「唐突な訪問を詫びる 我々は…」
少年がハイケルたちの姿を見て言う
「その見慣れない姿 …どうやら 貴方方が 昨日 アウターの防衛装置を突破して この世界へと入り込んだ 外の世界の方々ですね?」
ハイケルが言う
「それを知っていると言う事は 話が早くて助かる所だが 逆に何故 それらの事を知っている?この世界には 警察が別の警察の仲間へ連絡を行う 無線機すら存在しないのだろう?そうとなれば…」
ハイケルの脳裏にこれまでの事がフラッシュバックして ハイケルが視線を強めて言う
「我々がこれまでに遭遇した その対象と 貴方は繋がっていると言う事になる …すなわち 貴方は ヴァンパイアの彼ら同様に 我々を敵視していると言う事になるのだが?」
隊員Bが呆気に取られてから 隊員Aへ向いて言う
「ア、アッちゃん アッちゃん?少佐は 何で あの人とは 仲良くしようとしないのー?」
隊員Aが隊員Bへ向いて言う
「だって バイちゃん 良く考えてみろよ?俺たちがこの国に入ってからの事」
隊員Bが言う
「えー?この国に入ってからの事って言うと~…」
隊員Bの脳裏に今までのことが思い出される 隊員Aが言う
「最初から今まで ずっとヴァンパイアに追い掛け回されて来ただろう?そこへ 初めて会ったこの人が 俺たちの事を知っているとなれば…?」
隊員Cが言う
「要するに あいつは 俺たちを襲おうとしていたヴァンパイアの仲間って事だろ?」
隊員Nが言う
「そう言や 城にヴァンパイアが住み着いてるって 村の爺さんが言ってたっけ?」
隊員Bが言う
「あー そう言えばー?…って事は あの少年もヴァンパイアー?」
隊員Iが言う
「あの少年がヴァンパイアかどうかは分からないけど… 今までに会ったあの位の少年は 皆ヴァンパイアだった」
隊員Aが銃を確認して言う
「それもそうだな?村で聞いた話が本当なら この世界では4年前から 16歳になった人間が皆 ヴァンパイアになっているって」
ハイケルが言う
「先に聞かせてもらいたい 不躾だが 貴方はヴァンパイアか?それとも…?」
ハイケルがサーベルへ手を掛ける 少年が呆気に取られた後苦笑して言う
「歓迎に来たつもりが 返って警戒をさせてしまったようですね 私は人間ですが そうと言っても 今の貴方方は 私を信用出来ないのでしょうか?」
ハイケルが言う
「我々は この世界の城には ヴァンパイアが住み着いている その可能性があると言う情報も得ている」
少年が言う
「…そうですか では お話を済ませてからと思っていましたが 先に 貴方方の実力を 確認させて頂きますね?」
ハイケルが言う
「どういう意味だ?」
少年が微笑して言う
「こういう意味です」
少年が近くにあるスイッチを押すと 装置が起動して 階段が収納されると共に その下からマシーナリーが1体現れる ハイケルと隊員たちが驚き ハイケルが言う
「マシーナリーだとっ!?」
隊員Iが言う
「RTD420マシーナリーだっ!何で こんな所にっ!?」
マシーナリーが起動してレッドシグナルが灯る 隊員Aが驚いて言う
「シグナルレッド!あのマシーナリーは 異常電波にやられているっ!」
隊員Bが言う
「それじゃ 倒さないとっ!?少佐ぁー!?」
ハイケルが少年を見る 少年が見下ろしている ハイケルが言う
「私が時間を稼ぐ PM70を準備しろ!」
隊員たちが言う
「「了解っ 少佐ぁーっ!」」
ハイケルがマシーナリーへ銃撃を行い 自身をターゲットさせて回避する 天井部に人影が現れ赤い瞳が見下ろしている

【 ART2 】

TVのモニターにラミリツが映っていて微笑する フラッシュが焚かれている ラミリツがその映像を見ていて思う
(良し 映りは良好 後は…)
ラミリツの前のテーブルに紅茶が置かれる ラミリツがハッとして顔を向けて言う
「あ、有難う御座います」
ソニアが微笑して言う
「随分と 慣れていらっしゃった様ですが?」
ラミリツが疑問して言う
「え?」
ソニアがTVを一度見てからラミリツを見る ラミリツが気付いて言う
「あ… そ、そうですか?」
ソニアが微笑して言う
「私など もう この様な事を3年も続けていますが 未だに カメラを向けられると 緊張してしまって 原稿を読む手が震えてしまう事もあります」
ラミリツが言う
「ああ、カメラを カメラだと思わない方が良いですよ そこには… レンズの先には 大好きな人が居るんだって思うと 自然と笑えるようになります」
ソニアが一瞬呆気に取られて言う
「え…?」
ラミリツがハッとして言う
「あ…っ い、いえっ た、たぶんですけど!?」
ソニアが微笑して言う
「っほほほ… そうでしたか では 次回からは私も その様にと…」
ラミリツが苦笑して言う
「はい 是非…」
アイザックが紅茶を一口飲んで言う
「…その人物と言うのが 誰になるのかが 気になる所だが?」
ラミリツが衝撃を受けアイザックを見る ソニアがアイザックの隣に座り微笑して言う
「そうでしたね?そちらの大好きな人が 例えば 隣に居てしまった場合には どうしたら宜しいのでしょう?」
ラミリツが言う
「え?えーっと その時には…」
ラミリツが思う
(スチール撮影の時は 隣にその人が居るなんて事はないし… …って言うか?そうと言う事は もしかして?)
ラミリツがアイザックを見る アイザックがカップを置いて言う
「それで?」
ラミリツがハッとすると アイザックが言う
「そのカメラへ向かって 伝えた 貴方の言葉は 時を置かずして この世界の… この国の多くの者の耳へと届く筈だ そして 貴方はそれを知っての上で アールスローン帝国の行おうとする事を 伝えた様だが… 果たして その効果は現れるだろうか?」
ラミリツが言う
「それは… この国の方々が アウターの脅威を無くそうと考えているのでしたら 自ずと現れるものかと?」
アイザックが言う
「ふむ…」
ラミリツが疑問する ソニアが苦笑して言う
「この国の人々は… 余り そう言った事は 考えていない様にも 私どもには 思えるのですが…?」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え?でも この国の方々は アウターに異常魔力がある事や その異常魔力から ウィザード様方が 自分たちを守る結界を張って下さっていると言う事実を 知っているのですよね?」
ラミリツが思う
(アールスローンでは 帝国の事や 皇帝の事だって知られていない… マシーナリーの襲来さえ アウターではなく 自分たちを守っている帝国からの 攻撃だと思っているくらいなんだけど…)
ラミリツが言う
「それらの事を知っているとなれば この国の方々は 我々の事を… 歓迎とまでは言いませんが 受け入れて下さるものだと その様に考えたのですが…?」
TVではソニアが原稿を読み上げている
『…そして、トホホ村の灯魔力供給を予定しています 奉者協会はそちらの灯魔台へ ウィザード様と共に…』
アイザックが言う
「自分たちを守ってくれると言うのであれば 受け入れはするだろう… だがそれだけだ それ以上もなければそれ以下もない 貴方方が 自分たちへ危害を与える者ではないのだと分かれば メディアも今後は貴方方を追うような事も無くなる アウターの脅威など アウターサイドの村であるなら兎も角 その場所から離れた 町に住む者にとっては 気に留めるものですらない」
ラミリツが呆気に取られて言う
「そうなのですか… それでは…」
ラミリツが思う
(この国の人たちに 僕らの価値を分かってもらうのは 難しいって事?ARTはアウターの… この世界の敵と戦う為に在る その僕らに力を貸してもらうには 同じく 力を持つ僕たちを 必要としてもらう事だと思ったんだけど… …彼らウィザードの様に)
ラミリツがアイザックを見る アイザックが紅茶を飲んでいる ラミリツが一度視線を落としてから自分に出されている紅茶に気付き言う
「…頂きますね?」 
ソニアが微笑して言う
「はい お口に合いますと良いのですが?」
ラミリツがカップを手に取って1口飲むと気付く ソニアがその様子に微笑して言う
「如何ですか?」
ラミリツが微笑して言う
「はい とても美味しいです 私が今まで飲んだ紅茶の中で」
ソニアが微笑する アイザックがラミリツを一瞥して密かに微笑する ラミリツが言う
「2番目に」
ソニアが呆気に取られる アイザックが反応してラミリツを見る ラミリツはカップの紅茶を見ていて苦笑する

【 ART1 】

隊員たちがPM70を押さえ 隊員Iが撃ち手に構えていて言う
「プラズマチャージ80…85…90!」
隊員Bがハイケルへ向いて叫ぶ
「少佐ぁー!チャージ90突破ー!」
ハイケルが回避しながら言う
「バイスン隊員 了解だ!」
ハイケルが着地地点で手榴弾を用意する マシーナリーがハイケルへ向いていた状態から反応してPM70へ向く その横顔に手榴弾が跳ね返ると同時にハイケルが銃を放ち 手榴弾に当たって爆発する マシーナリーが一瞬停止した後 再びハイケルへ向く 天井で見下ろしている人影が反応して言う
「…ほう?あちらの装備へと向き始めた 機械兵の執着を 爆撃を用いて引き戻した …共に あの小さな爆薬への 正確な射撃 その技術は伊達では無い」
隊員Iが言う
「チャージ完了!」
隊員Iが視線を細める 隊員Bが叫ぶ
「少佐ぁーっ!」
ハイケルが言う
「了解っ!」
ハイケルが走って向かい立ち止まると共にマシーナリーへ銃を向ける マシーナリーが追って向かいマシンガンを向けると ハイケルが一瞬の後回避する マシーナリーがハイケルを追尾した瞬間 そこに構えていた隊員Iが言う
「今だ!ショットッ!」
隊員Iが引き金を引くとPM70が放たれ マシーナリーの右胸へを貫く マシーナリーが一瞬止まった後 後方へ倒れる 隊員Iがホッと肩の力を抜く 隊員Aが言う
「ナイスヒット!イリアス隊員!」
隊員Iが言う
「ふぅ… 久しぶりに緊張した…」
少年が呆気に取られていて言う
「す… すげぇ… あのデカイ機械兵士を 一撃で…っ!?」
ハイケルが少年を見上げる 少年がハッとすると ハイケルが言う
「我々への力試しは コレで十分か?そして、何故 この様な物を操る事が出来る?お前は何者だ!?」
ハイケルが銃を向ける 少年が息を飲むと 少年の前に人影が降りて来て ハイケルから庇う様に立って言う
「客人へ対しての非礼は詫びよう」
ハイケルと隊員たちが驚き ハイケルが言う
「お前は?」
紳士が微笑して言う
「私の名は ヴィーンリッヒ この城の持ち主でもある ヴァンパイアだ」
ハイケルがサーベルを抜く その瞬間ハイケルのすぐ横をすり抜け ヴィンが言う
「…とは言え 貴方方の血を頂こうと 襲うつもりは毛頭無い 従って…」
ハイケルが驚きに目を見開く ヴィンがハイケルへ サーベルを返却しながら言う
「どうか この様な物騒なものは 抜かずに 会話を行ないたいのだが?」
ハイケルが思う
(…クッ 速い!身体補佐能力のマスターと同等か …それ以上か!?)
ハイケルがヴィンへ視線を向けてから サーベルを受け取って言う
「…では 聞かせてもらおう 何故我々へ あのマシーナリーを?我々が あのマシーナリーを破壊する技術を有していなければ…っ」
ハイケルがヴィンへ向けている視線を強める ヴィンが微笑して言う
「そうであったのなら それまでの事… 我々が求めている ”協力者”として 諸君は不足であったとするまでだが …しかし 諸君は アレを破壊して見せた 従って 私が挨拶へと参上した」
ハイケルが言う
「我々が あのマシーナリーに殺されても 構わなかったと言う様な 言い草だな?」
ヴィンが微笑して言う
「助ける義理も 無いと思うのだが?」
ハイケルが言う
「では 今までのヴァンパイアたちも お前の差し金か?我々がヴァンパイアにやられる程度の者であれば 話をするつもりも無かったと?」
ヴィンが言う
「そちらは…」
隊員Bがふと気付き顔を向けて言う
「あー!ゲートだー!」
皆が反応すると ゲートからユウヤが現れ ART1のメンバーに気付き 表情を明るめて言う
「あ!見付けた!良かった 皆さん ご無事で!?」
ユウヤがハイケルの横に来る ハイケルが言う
「一難去って無事では有るが 現在は新たな脅威である 目下のヴァンパイアと対話中だ」
ユウヤが言う
「え?新たな脅威って…」
ユウヤがヴィンを見てからハイケルへ微笑して言う
「貴方方のゲートの目的地として 俺が意識していた この城の… 更には彼の下へと送られていて 本当に良かったです」
ハイケルと隊員たちが衝撃を受け ハイケルが不満そうに言う
「ではっ!”お前は” 初めから このヴァンパイアの下へ 我々を向かわせようと…!?」
ヴィンが反応して言う
「っ!…”お前”?」
ユウヤが言う
「はい、もう一箇所 候補もあったので どちらへ送られるか心配していたのですが このユルス城のヴィンの下で良かったです …ヴィン?彼らと話はしましたか?彼らが ヴィンの言っていた アウターの外からやって来たと言う…」
ハイケルがユウヤへ向いて言う
「このヴァンパイアは お前の 知り合いと言う事なのか… …ぐっ!?」
ハイケルの言葉の途中で ヴィンがハイケルの口を手で掴んで 持ち上げて言う
「”お前”とは?その”お前たち”程度の者が この私の”獲物”であるユウヤを その様に呼ぶとは …例え 戦闘行為を主たる兵士であろうとも 我々の土地へ踏み入っての対話を求めるのであれば 必要最低限の礼節を弁えてはどうだろうか?」
ハイケルが呆気に取られて言う
「え… ”獲物”…っ?」
ハイケルがヴィンの腕を掴み逃れようとして思う
(やはり ヴァンパイアの力かっ …ビクともしないっ)
隊員たちが顔を見合せ困る ハイケルが表情をしかめて言う
「…クッ」
ユウヤが慌てて言う
「あ、ああっ あのっ ヴィン!良いんですよ 俺は!?”お前”でも 何でも!?」
ヴィンが言う
「良くは無いのだよ ユウヤ この世界の救世主とも言えるユウヤを蔑むと言う事は この土地に住む我々を 見下していると言う事… その様な態度では 到底 ”彼”へ会わせる事などは出来ない」
ハイケルが呆気に取られて言う
「この世界の… ”救世主”…?」
ヴィンが言う
「そうだとも ユウヤは この世界の救世主であり …共に この天才科学者ヴィーンリッヒの獲物でもある」
隊員Bが疑問して言う
「やっぱ 獲物ー?」
ヴィンがハイケルから手を離す ハイケルが抑えられていた口を拭い体制を整える ユウヤが表情を困らせて言う
「いえ、待って下さい ヴィン…っ 俺がヴィンの獲物なのは確かですが この世界の救世主まで名乗るつもりは 本当に有りません 俺は… この世界の多くの人間やヴァンパイアを傷付けた 罪人でもあるのですから…」
ヴィンがユウヤを見てから苦笑する ハイケルが沈黙する 隊員たちが顔を見合わせる ユウヤが気を取り直してヴィンへ言う
「…それで、ヴィン?俺は 彼らを ゲートキーパーズの皆に 会わせたいと思うのですが?」
ヴィンが微笑して言う
「ユウヤが そうと言うのであれば 元より 私に異論は無い」
階段が降ろされ 少年がやって来て言う
「けどさ?例えその親父が 何て言おうが あの機械兵士とは 戦わせるつもりだったんだろ?」
ユウヤが疑問して言う
「機械兵士と戦わせるって?…一体何の話だ?セイヤ?」
セイヤが壊れているマシーナリーを指差して言う
「アレの話だけど?」
ユウヤがセイヤの指の先を見て驚いて言う
「えっ!?あ、あれはっ!アウターに居る 機械兵士っ!?」
セイヤが言う
「…気付いてなかったのかよ?あいつらが倒したんだぜ?」
ユウヤが驚いてハイケルたちを見る 無表情なハイケルの後方で 隊員たちが得意げに笑んで見せる ユウヤが呆気に取られて言う
「人間の… 彼らがっ!?す、すごい…っ …凄いじゃないですか!?ヴィン!?それ程の彼らなら きっと!」
ヴィンが苦笑して言う
「私は確認を済ませたまで 最終決定は ゲートキーパーズの総帥である”彼が”下す …さぁ ユウヤ?ゲートを開いてもらえるかな?彼の居る… ミルス城へ」
ハイケルが表情を強める ART1隊員たちが顔を見合わせハイケルを見る

【 ART2 】

街中道中

ラミリツが歩きながら考えている
(この国は ”内閣”って言う組織が国を統べているらしいけど… 今はその”内閣”が解散しちゃってるから 代行しているって言う あの奉者協会会長が 実質 この国の権力者… けど そのアイザック・シュテーゲル殿は 僕らに望むものは 何も無いみたい… そうとなると…?)
ラミリツが立ち止まって言う
「外交って どうしたら良いんだよ…?」
ラミリツが軽く息を吐いて歩みを再開させながら思う
(アイツに聞いて置けば良かった… 参ったなぁ 外交を受け持つのが政府長攻長の役目だけど 僕は元々警機の隊長になるつもりだったんだから 政治的な話し合いとか 取引とか… そう言うのって分かんないし 戦う気のない人を戦いに向かわせようとする その方法なんて …尚更 分かんないよ…っ)
ラミリツが言う
「けど、この外交を失敗させたりなんかしたら… ハブロス司令官 怒るだろうし …期待してくれてるんだよね?たぶん…」
ラミリツが立ち止まり 腕を組んで考えながら軽く息を吐いて言う
「うーん…」
ラミリツが思う
(どうしよう?)
道の反対側に居る女性たちが ラミリツに気付き騒ぎ始めると やがて黄色い声を上げる
「ラミリツ様ー!」
ラミリツが一瞬驚き顔を向けると 女性たちが喜びキャッキャ言いながら言う
「任務!頑張って下さ~い!」
ラミリツが呆気に取られて思う
(任務…?)
ラミリツが思い出す

会見場 フラッシュが焚かれている中 ラミリツが言っている
『…して、我々は この世界のアウターサイドの村へ滞在させて頂くと共に 現行 村の警備が手詰まりとなってしまっている 比較的小さな村の原生動物からの被害軽減に努めつつ それらの合間に こちらの世界の町や皆さんの生活など 一般的な様子を伺わせて頂こうと …それが この国へ遣わされた 我々ART2の任務です!』

ラミリツが思う
(そうかっ 僕が言った あの任務を…っ!この国の人たちが 応援してくれている?…それなら!)
ラミリツが軽く手を振って言う
「ありがとうっ」
女性たちがキャッキャ喜んで言う
「キャー!ラミリツ様ー!」 「ラミリツ様ー!」
ラミリツが思う
(なんだ?アールスローンも こっちの国も やっぱ同じじゃない?)
ラミリツが微笑して立ち去る 女性たちが喜んで携帯で写真を撮ったりしている

【 ART1 】

ミルス城

ゲートが開き ハイケルが現れ周囲を見渡す ハイケルに続いて隊員が 隊員たちに続いて ユウヤが現れ言う
「ここがミルス城です そして あの玉座に居るのが…」
ハイケルが玉座へ顔を向けて表情を強める 玉座に座っている男が言う
「やっと連れて来やがったか~ 遅ぇぞ?ユウヤッ ヴィンッ?」
ハイケルが思う
(奴は…?)
ヴィンがゲートを抜けて来て言う
「すまない 少々確認に時間を有してしまった」
男が言う
「まぁ 知能派のヴァンパイアである てめぇに 素早さを求めても 無駄だったなぁ?」
男が笑むと牙が見える ハイケルが思う
(ヴァンパイアか… …そして)
ヴィンが男の下へ向かいながら言う
「その代わり 彼らの能力の確認に関しては 十分に済ませてあると言う事は 保障しよう」
男が言う
「当たりめぇだろぉ?」
ヴィンが苦笑する 男がハイケルたちを見て言う
「でぇ?」
ハイケルが男へ一歩踏み出して言う
「貴方が この国の王か?」
男が笑んで言う
「王?しかも この国の王とはなぁ?そうと言われるのは 何百年振りだ?…くっははっ!悪かねぇなぁ?…とは言え 今の俺は このミルス城の王ではあるが この国の王を名乗っちゃ居ねぇよ?」
ハイケルが言う
「そうか 我々は…」
男が言う
「アールスローン帝国レギスト特殊部隊の第一機動部隊 …でぇ 隊長のてめぇの名は確か ハイケル… ヴォール・アーヴァイン少佐」
ハイケルが呆気に取られた後 訝しんで言う
「何故そこまでを知っている?私が所属部隊の名と共に 自身の名を名乗ったのは この国へ入ってから 唯の一度」
ハイケルが思う
(あの 女ヴァンパイアに…)
美女が現れて言う
「はぁ~い?ART1の隊員さんたち?昨日振りかしらぁ~ん?」
隊員たちが衝撃を受け 隊員Bが言う
「あー!あの超ナイスバディーの お姉さんヴァンパイアー!」
隊員Cが叫ぶ
「出たぁあー!」
美女が隊員Bへ絡んで言う
「あら~?嬉しいわぁ 坊や?そんなに褒めてくれるのなら 貴方には特別に この身体でご挨拶をしちゃおうかしら?」
美女が隊員Bの顔を胸に押し当てる 隊員Bが驚き 喜んで両手でもみながら言う
「わー!すっげー!チョーでっかーい!」
隊員たちが衝撃を受け 隊員Aが頬を染めつつ言う
「バ、バイちゃんっ!?何て大胆なっ!?」
隊員Iが呆気に取られて言う
「あ、あんなに 堂々と…っ」
隊員Cが驚いて言う
「う、羨まし過ぎるっ!」
美女が隊員Cへ言う
「そんなに 求めてくれるのなら 貴方にも…?」
隊員Cがハッとして喜んで言う
「え!?い、良いのか!?俺にも…っ!?」
美女が隊員Cの身体に触れて言う
「ええ もちろんよ?折角の異国の方との出会いだというのだから この機会を逃す手は無いでしょう?お互いを 全身で知り合って… そして たっぷりと 貴方を…」
美女が隊員Cの股間に触れる 隊員Cが赤面して喜んで言う
「た、たっぷりと 俺を…っ!?」
男が言う
「吸い尽くそうとしてるぜぇ?くっはははー!」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
美女が吸血衝動を現して隊員Cの首筋へ吸い付こうとする 隊員Cが悲鳴を上げる
「ひぃっ!?」
ハイケルが瞬時にサーベルを抜き 隊員Cを庇って美女へサーベルを向ける 美女が苦笑して言う
「あら 怖い… これは銀の刃ね?女性の顔に傷を付け様だなんて 酷い殿方だわ~?」
ハイケルが言う
「私の隊員を守る為であるのなら 女ヴァンパイアの顔に傷を付ける事など いとうつもりは無い」
美女が微笑して サーベルを避け ハイケルの近くへ来て言う
「そのサディスティックな所 素敵よ?だけど残念… 貴方の血は …腐ってるから」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「通常の血液ではない事は認めるが 腐ってなどは居ないっ!」
美女が言う
「腐ってるわよ… あんなに不味い血を口にしたのは 初めてだったわ?」
男が言う
「へぇ?そいつは面白ぇなぁ?異国の人間は 腐った血液で生きられるのかぁ?」
ヴィンが言う
「常識的に考え 生きた生物を 死んだ血液で 生かす事など …その様な事は 根本的に有り得ない話だが 900年以上生きているヴァンパイアが 初めて口にしたと言う程の血液を持つ生態とあれば 私も是非 解剖による生態確認を行いたい所では有るのだが…」
ハイケルが衝撃を受け言う
「悪いが この身体は 我々アールスローン帝国の国防軍に置かれる マスタートップシークレットだ 他国の者に 解剖される訳にはいかない」
男が笑んで言う
「へぇ?なら 一口 味見位ぇはしてみるかぁ?」
ハイケルがサーベルを構える 美女が言う
「吸うのなら止めないけど …吐くわよ?」
ヴィンが言う
「止めて置いた方が良い リック 君の身体を壊しては大変だ」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「…クッ 身の安全を感じるが 同時に 耐え難い屈辱をも感じる…っ」
リックが言う
「まぁ そうだなぁ?今は口直しをしようも面倒臭ぇ世の中だ 止めておくぜ… で?元はと言えば 奴らがこの国へ入り込んだ時点で 迎えに行ってやるんじゃなかったのかよ?その割りに1日半も待たせやがって 確認を済ませるまでは待つとは言ったが こんなに待たされるとは思わなかったぜ?」
ハイケルと隊員たちが驚く ヴィンが言う
「あぁ… そちらは謝罪しよう リック 彼らの入国と共に 直接 この私が迎えに行かれれば良かったのだが 生憎 私には その私にしか出来ない確認を済ませる必要があった為に 迎えは その彼らの入国場所に近く アジトを構えていた ラミに頼もうとしていたのだが…」
ユウヤが言う
「俺が ヴィンから話を聞いて ラミの所へ向かった時には 既に ラミと彼らが接触した後で …しかも」
ラミが言う
「彼らが 逃げ出してしまった 後だったのよ~ 本当に残念だったわぁ?…色々な意味で?ねぇ?」
ラミが隊員Nの頬を撫でる 隊員Nが嬉し困って言う
「え、えっと~っ?」
ヴィンが言う
「そして その後 彼らがどちらへ向かったのかと言う事が 分かりかねた事も事実だが 人数は少なくないと聞いていた為 その彼らが 若いヴァンパイアたちに襲われでもすれば 騒ぎになるであろうと… しばらく様子を伺っていたのだよ」
ハイケルがユウヤへ向いて言う
「そして 最終的に あの場所で合流したと言う事か?」
ユウヤが苦笑して言う
「あそこで会ったのは 元々俺は AJに用があって それで 貴方方とは 偶然だったのですが…」
ハイケルが言う
「では 我々と合流する事は 二の次三の次と言った所か」
ヴィンが言う
「諸君が1人2人の使者であったのなら 保護をする必要もあったが 一部隊の力を有して来たと言うからには その諸君の力を垣間見せて頂きたいと思うのも当然 従って 最終目的へ地へ辿り着けないようでは その程度であったと言う事だが 諸君は無事辿り着き 私からの試練であった あのアウターの機械兵士… 諸君の言葉ではマシーナリーと言ったかな?そちらさえも 倒して見せた これで私の確認は 全てクリアしてくれたと言う事になる」
リックが言う
「それなら 俺も 文句は無ぇよ?でぇ?てめぇらの目的は 俺らの力か?それとも…?」
ハイケルが言う
「我々は この世界の存亡を賭け 共に戦う仲間を探しにやって来た この国に置いて 最も高い力や権力を持つのが 貴方であると言うのなら 我々は その貴方が指名する使者を 我らの国へ招待したい」
リックが言う
「使者か… なるほど 端から てめぇが ここで話を付けるつもりはねぇって事だな …良いぜ?連れて行け」
ハイケルが反応する 隊員たちが顔を見合わせ微笑する ヴィンがリックを見て言う
「では リック 彼らと共に 戦おうと?」
ハイケルが注目する リックが口角を上げて言う
「以前は 俺らの餌でしかなかった アールスローンの人間どもが てめぇのモノサシに適ったんだろぉ?唯の人間である あいつらが それだけの力を有して来やがったってぇんなら …今度こそ イケるか?」
ヴィンが言う
「恐らく これが最後のチャンスとなるだろう」
リックが言う
「よし そうとなりゃぁ てめぇらの代表から 話を聞こうじゃねぇか …行って来い ユウヤ」
ハイケルと隊員たちが疑問する ユウヤが衝撃を受けて言う
「え!?俺っ!?」
ヴィンが言う
「そうだな 彼らアールスローン帝国の総帥と 対話を行うとなれば もちろん こちらの代表は ユウヤと言う事になる」
ユウヤが慌てて言う
「えぇええっ!?な、何で俺なんですか!?大体 ゲートキーパーズのリーダーはっ!」
ヴィンが言う
「考えてもみ給え ユウヤ この世界の存亡を掛けるほどの話し合いを ゲートキーパーズのリーダーである ”あの彼”が出来ると思うのかな?」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「…うっ それは… …無理だと思います」
ヴィンが微笑して言う
「その通り 人には向き不向きと言うものがある」
リックが言う
「おうよ 俺の獲物は んな面倒臭ぇ 話になんざ 興味はねぇんだよ …だから そう言った 面倒臭ぇ話し合いは 一応ゲートキーパーズのメンバーである てめぇが行って来い ユウヤ」
ハイケルが呆気に取られている  隊員Bが言う
「”一応”なんだー?」
隊員Iが苦笑して言う
「しかも”面倒臭ぇ”って言われてるけど?」
隊員Cが言う
「そんなんで大丈夫なのか?」
ユウヤが苦笑して言う
「分かったよ リック… それじゃ 一応 ゲートキーパーズのメンバーである 俺が…」
ユウヤがハイケルへ向いて言う
「俺が 行かせて貰います 皆さんの… アールスローン帝国へ!」

【 ART2 】

奉者協会

アイザックが目を閉じている ソニアがティーセットを片付けながら言う
「ART2の皆さんは… 一体どうされるのでしょう?」
アイザックが言う
「…分からん だが、彼らの司令官は とても… 計れぬ男だ」
ソニアが言う
「計れぬ男…?」
アイザックが言う
「ああ… まるで 奴の様に」
ソニアが言う
「奴… では マリアのウィザードさまの様に?」
アイザックが言う
「その者が用立てた部隊 あの若い隊長が どれ程の者なのか それを見届けようと思う」
アイザックが向かいの席に置かれたままになっているティーカップを見る ソニアが微笑して言う
「そちらの”司令官”様が ”マリアのウィザードさま”の様な方で… その方が 選ばれた あの隊長さんは …こちらの世界で言うなれば… ウィザード様でしょうか?この紅茶より 美味しい紅茶を ご存知のようでしたね?」
ソニアがティーカップを取りトレーへ片付ける アイザックが言う
「不思議な事だ …魔法の掛けられた紅茶は それを飲む者の記憶の中にある 最も 好ましいと感じる感覚へ働き掛ける …そうでありながら 彼は2番目にと答えた」
ソニアが呆気に取られて言う
「そうだったのですか …では?」
アイザックが言う
「恐らく、私の そちらの魔法を打ち消すほどの 何かが 彼の中には在ったのだろう それが 彼の力なのか 他なる何かは分からないが」
ソニアが少し考えてからティーセットを片付けに行く アイザックが軽く息を吐きソファから立ち上がるとデスクへ向かおうとする 途中で消灯されているTVへ顔を向ける ソニアが戻って来てアイザックの様子を見ると アイザックが視線をTVから離して言う
「…これからは 君の会見場での様子が変わるのか?」
ソニアが呆気に取られてから軽く笑って言う
「おっほっほ… 隣に貴方がいらっしゃるのでは 変わらないのでしょう?それに あの隊長さんは カメラへの意識と言う事だけではなく なんと言いますか… やはり とても慣れてらっしゃる様子でした」
アイザックが言う
「そうか …とは言え その奴が こちらへ映される事も もう無いだろう 少なくとも この国では」
アイザックがデスクへ向かう ソニアがTVを灯けようとしながら言う
「この時間なら まだ 先ほどの放送が繰り返されているかしら?」
アイザックが席へ座ってから疑問して言う
「同じ映像を 繰り返し見てどうする?」
ソニアが微笑して言う
「私も彼の極意を見習いましょうかと…?」
アイザックが言う
「君は今までのままで良い あの様に 他者へ対して 微笑わらわれては…」
ソニアが疑問しながら言う
「あの様に…?」
TVが付くと レポーターが映って言う
『ただ今 我々チャンネル5は ART2の滞在している コリコリ村に来ております!』
アイザックとソニアが呆気に取られTVへ向く レポーターが言う
『ご覧下さい!あちらが ART2の鉄の巨人!そして その前にいらっしゃるのが ART2の隊員の方々では無いでしょうか!?あのART2隊長 ラミリツ・エーメレス・攻長 隊長と 同じ制服を着ています!ちょっと… お話を聞いてみましょうか!?お話をして頂けると良いのですが… あのっ!任務中 失礼致します!我々は チャンネル5の…!』
アイザックが呆気に取られて言う
「…何が 起きている?この国の人々は 己らの存亡に関わる程の事態にも 無関心で居る者らであった筈だが…?」
ソニアが言う
「そうですね?しかし…」
TVでレポーターが言う
『今朝の奉者協会の会見で紹介されました ART2のラミリツ・エーメレス・攻長 隊長の心強いお言葉と その凛々しいお姿に 現在この世界の多くの人々が!…特に 女性の方々が 注目されていますが!?』
アイザックが呆れてから言う
「…私は 彼らメディアは 己らへ危害を与える事の無いと分かった者を 追う事はしない …と思っていたのだが?」
ソニアが苦笑して言う
「しかし 以前も… 同じ様に ウィザード様方のお姿が初めてメディアのTV映像に映された後も この様な騒ぎになりましたね?今でも この奉者協会の ウィザード様方のプロフィールや その他お写真などを掲載しているHPは 大好評だそうですよ?」
アイザックが言う
「世界が滅亡するかどうかと言う事より この国の者は 容姿の良い男の情報の方が 大切と言う事かっ」
ソニアが笑う
「っほっほっほ… どちらにも人類の存亡が掛かっていますね?貴方?」
アイザックが顔を背けて言う
「知らんっ」
ソニアが軽く笑う TVに映っているシュナイゼルが微笑して言う
『我々ART2の隊長 ラミリツ・エーメレス・攻長 隊長は とても優秀な部隊長です 我々は そのラミリツ隊長と共に この任務へ 全力を尽くす所存にて…』

【 ART1 】

ミルス城 外

ユウヤを先頭に ハイケルと隊員たちが城から出てくる ハイケルが一度立ち止まり振り返って城を見てから 周囲を見渡して呆気に取られる 隊員たちも呆気に取られて 隊員Bが言う
「ここってー…?」
隊員Cが言う
「いつの間にか こんな街の中の…?それも 城の中に居たのか?」
隊員Bが言う
「ゲートって 凄いねー?アッちゃん?」
隊員Aが呆気に取られて言う
「あ、ああ…」
隊員Bがハイケルへ向いて言う
「少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「空間移動… 現実に その様な事が出来るとは それも… 我々が元居た あの場所とは まったく異なる街中の それも 建物の中にまで… 空間だけでなく 物理的なものまで越え 我々は瞬時に移動した」
隊員Aが言う
「そう考えてみると 本当に凄い…」
ハイケルが考えながら言う
「ともすれば その力こそが この国の彼らの 力か…?」
先を行くユウヤがふと立ち止まり振り返って言う
「うん?あれ?…どうかしましたか?」
ユウヤが距離の離れたハイケルたちへ向き直る ハイケルが反応して言う
「いや、問題ない …それより ここは 我々が貴方と出会ったあの場所から どちらの方位へ どれほど離れた場所なのだろうか?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「え?あ… えっと… そうですね?そもそも 皆さんと会ったあの場所は メルス街でしたし… ここは このミルス城が示す様に ミルス街なので 街すら異なるのですが」
ハイケルが言う
「…そうか では まずはその ”メルス街”へと向かわなければ 我々の保有するマシーナリーの その隠し場所へ向かう事は困難だ」
ユウヤが言う
「場所に関しては どうぞ ご心配なく 既に 皆さんのマシーナリーがあると言う その場所が何処かと言う事は ヴィンから聞いていますので」
ハイケルと隊員たちが衝撃を受け ハイケルが言う
「なっ!?」
隊員Cが言う
「げっ… それじゃ もしかして…?」
隊員Bが言う
「あれー?それじゃ 少佐ぁ?あのマシーナリーを隠した 少佐の技は 見破られちゃいましたでありますー 少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「ああ… どうやらその様だな バイスン隊員」
隊員Aが苦笑して言う
「って 事は…」
隊員Nが言う
「あの技をやったって 恥もバレた…」
ハイケルが視線をそらして言う
「作戦失敗か…」
隊員たちが呆れる クラクションが聞こえる ハイケルと隊員たちとユウヤが反応して顔を向けると 輸送車の運転席からAJが顔を出し手を振って言う
「ユウヤ先輩~!少佐さーん!」
ユウヤが一瞬呆気に取られてから言う
「AJ!?それに…っ」
輸送車の屋根にジャックが座っていて 苦笑する ユウヤがハイケルへ向いて言う
「どうやら 彼らが送ってくれるみたいです!行きましょう?」
ハイケルが言う
「あ、ああ…」
ユウヤが向かう ハイケルが隊員たちへ向くと 隊員Dが言う
「わざわざ車で行かなくても またゲートを出してくれれば 速いのにな?」
ハイケルが言う
「ゲートの到着地点は ユウヤ殿が以前の内に 訪れた事のある場所に限られていると言っていた 恐らくそれ故に… と言う事なのだろう」
隊員Dが言う
「あ… そっか?そう言えば そんな事も言ってたっけ?」
ハイケルが言う
「共に 到着地点は 明確に定まる訳でもないと… そうとなれば 仮に もし ユウヤ殿がその場所を以前の内に訪れていたとしても 我々複数人を伴って向かう事は リスクを伴うと言う事にもなる …現状は この国の代表との接触 及び 使者の同行と言う 当初の目的が果たされている以上 それ程に急ぐ理由も無い そうとなれば 警察の車両による移動は 最も有効な手段 我々は このまま 彼らの好意を受け入れる」
隊員たちが微笑して言う
「「了解 少佐ぁー!」」
ハイケルと隊員たちが 輸送車へ向かう 先に到着していたユウヤとAJがハイケルたちを見て微笑する

【 ART2 】

コリコリ村

駅にあるTVに映像が流れていて 映像のシュナイゼルが言う
『…や、ニコニコ村などが 今の所 予定に含まれています 詳しい事は 現在奉者協会本部にて そちらの会長と相談を行った隊長が戻りましてから 最終決定がなされますが 如何なる事がありましょうとも 我々ART2隊員は 我らが隊長の強い意志の下 団結して任務に当たるものと この身に誓っておりますっ』
ラミリツがTVの映像を見ていて微笑する TVの映像がスタジオへ切り替わりキャスターが言う
『…と言う事です!チャンネル5は明日も ART2の皆さんの活動を追って 拝見させて頂く事となりましたので!引き続き 明日からは 異世界からの協力者 ART2の活動を映像として 視聴者の皆様へお届け出来るものと…!』
ラミリツが言う
「良し これなら…っ」
ラミリツが駅を出て行く

野営地

隊員が敬礼して言う
「隊長!お帰りなさいませ!」
ラミリツが言う
「うん、ただいま 何か問題は無かった?」
隊員が言う
「はっ!特段”悪い問題は” 御座いませんでした!」
ラミリツが言う
「”悪い問題は”… って?それじゃ?」
シュナイゼルが来て言う
「隊長 お帰りなさいませ」
シュナイゼルが敬礼する ラミリツが敬礼を返して言う
「ただいま あ、シュナイゼル TV見たよ 良い感じだったね?」
シュナイゼルが苦笑して言う
「有難う御座います …とは申しましても 今回は少々緊張致しました」
ラミリツが言う
「あれ?そう?何時も通り とっても落ち着いて見えたけど?」
シュナイゼルが苦笑して言う
「はい、隊長の日々のアールスローンにてのご活躍のお陰で 私もそちらを追うメディアのカメラに慣れていたと言う事が 項を奏したと言った所でしたが」
ラミリツが苦笑して言う
「ふふ… いつもありがと!」
シュナイゼルが苦笑して言う
「いえ …しかし、やはり そちらの いつもとは異なり こちらは別の国だと言う認識から 少々言葉が硬くなってしまいました」
ラミリツが微笑して言う
「うん、良いんだよ それが 本当に丁度良い感じだった やっぱ ここはアールスローンじゃないからね?僕らは別の世界から来た人間なんだからさ?少し硬いくらいの方が 誠実に見えると思うんだ 僕もそうしているし?」
シュナイゼルが言う
「そうでしたか そうと言う事でしたら …それと アールスローンと同じく 極秘としていない 行動予定の方を メディアへは伝えて置きましたが …そちらは宜しかったでしょうか?」
ラミリツが言う
「うん!ばっちり!ありがと!ほんとに 上手くやってくれたよ!事前の打ち合わせも無しに 助かった!」
シュナイゼルが一瞬呆気に取られた後苦笑して言う
「…あ、はい そうでしたか?私はメディアの前でART2を紹介すると言う 隊長のお言葉を耳にした時から この様になるものだと 身構えて居りましたが?」
ラミリツが言う
「あれ?そうだったの?僕はただ この国の人たちへ紹介するなら メディアは丁度良いなって 思っただけだったんだけど?」
シュナイゼルが言う
「そちらは 意外と申しますか…?隊長ならば ”メディアにカメラ”と聞けば きっと そちらをご利用されるものかと… その様な 勝手な解釈をしていました」
ラミリツが苦笑して言う
「え?心外だなぁ~?僕だって 元々資金集めの理由が無ければ モデルなんてやらなかったよ?」
シュナイゼルが言う
「…え?そうでしたか?私はてっきり… お好きなのかと…?」
ラミリツが頬を染めて言う
「そんな訳無いでしょっ!?僕は 元々 警機の隊長になるつもりだったんだからっ!そんな 軟派な事考えた事もなかったよっ!?」
シュナイゼルが呆気に取られて 顔を逸らして言う
「あぁ… そうでしたか そちらは大変 失礼致しました…?…意外だったな?」
ラミリツがムッとして言う
「聞こえてるけど?」
シュナイゼルが衝撃を受け 苦笑する

【 ART1 】

車内

車が街中を走っている AJが運転している ハイケルと隊員たちが窓から外の様子を見ていて ハイケルがユウヤへ向いて言う
「可能であれば 貴方方のこの世界の事を 我々へ教えてもらいたいのだが」
ユウヤが反応して言う
「あ、はい そうですね?えっと… それでは…?」
ユウヤが周囲を見渡す ジャックがAJの近くで腕組みをしてユウヤを見ている ユウヤがそのジャックを見てから ハイケルへ向いて言う
「では まず 何と言っても 我々の国には 俺やAJのような 普通の人間と 彼の様な ヴァンパイアとなった人間が居ます」
ハイケルが反応して言う
「…そうだったな 確か そのヴァンパイアとなった人間 つまり 元は人間であった者が 16歳を過ぎると ヴァンパイアになると …その様に話を聞いたのだが?」
ユウヤが言う
「はい そうですね」
隊員たちが顔を見合わせる ハイケルが少し考えてから言う
「…では その人間の中に置いても ヴァンパイアにならない人間も 居ると言う事か?貴方や AJ殿の様に」
ユウヤが言う
「いえ 厳密に言うのなら そもそも この国にヴァンパイアに”ならない人間”と言うのは 居ません」
ART1隊員たちが驚く ハイケルが疑問して言う
「何っ?…では?」
ユウヤが言う
「つまり ヴァンパイアに”ならない”のではなく ヴァンパイアに”しない”ために… 人間のままで居させる為に 事前に ”ある事”をします それを行えば 16歳になってもヴァンパイアにはならずに 人間のままで居られるんです」
ハイケルが言う
「…なるほど」
ユウヤが言う
「しかし、これは 俺も最近聞いた話なのですが 元々 この国に生きていた人間は アウターの外の敵と戦う為に力を得ようと その為に ヴァンパイアの力を手に入れたらしいです」
ハイケルが言う
「では やはり この国の 貴方方の戦力は 彼らヴァンパイアと言う事か?」
ユウヤが言う
「そうですね?戦力は何か?と聞かれれば その答えになると思います」
ハイケルが言う
「そうか…」
ハイケルが思う
(では ゲートの事は 公にするつもりは無いのか…?)
ユウヤが言う
「後は ゲートの力も 多少役には立つと思いますが」
ハイケルが反応する ユウヤが苦笑して言う
「こっちは 使える者や人数が限られていますし 元々 アウターの戦いの為と言うより この国の問題を解決する為に 作られた技術らしいので」
ハイケルが言う
「…了解」
ハイケルが思う
(特に隠すつもりは無いのか…?理由も明確に有る そして 前回の事も考慮するとなれば 必要に迫られれば それなりに 我々の助けとして使用するつもりも有るのだろう)
ハイケルが言う
「では ゲートの事は良いとして 我々と共に戦うとなれば そのヴァンパイアの能力について もう少し詳しい話を聞きたいのだが?」
ユウヤが言う
「はい、分かりました と言っても 既に 皆さんはヴァンパイアと対峙した事がある様なので その力はある程度 ご存知かとも思いますが 改めてという事でしたら まず 大まかに言って ヴァンパイアには2つの種類があります」
ハイケルが言う
「2つの…」
隊員たちが顔を合わせ 隊員Cが言う
「種類?もしかして 男女の違いか?」
隊員Eが言う
「それって 普通 種類って言うか?」
隊員Nが言う
「性別って言わねぇ?」
ユウヤが言う
「その2つの種類と言うのは 能力の違いで 1つは筋力などが普通の人間の何倍もあるような能力で もう1つは筋力ではなく 頭の良さが… 知能が高いと言うんでしょうか?簡単に言うと 前者は 戦士に向いていて 後者は…」
ハイケルが思う
(筋力などが優れる者と 知能に優れる者… まるで 我々アールスローンにおける マスターたちと同様だ 身体補佐能力のマスターと 知能補佐能力のマスター 前者はもちろん戦士として 後者はその知能から 戦略及び兵器開発などの 後衛サポートに特化している)
ユウヤが言う
「その知識を持って 研究開発した 機械や 薬を用いて 戦う事が多いですね?」
ハイケルが反応して言う
「…戦う?知能特化の当人らが 戦うのか?」
ユウヤが言う
「はい ヴァンパイアは元々群れを成さずに 個別に生きる事で それらの能力を上げる事へ繋がるとされているそうで… あ、そうですね それも有って ヴァンパイアは 年齢が高い者ほど 強いと言われています 経験による能力の向上の他にも 視力や聴覚、嗅覚など 人間が通常では鍛えられないような そう言った能力も研ぎ澄まされて 高まるそうです… それは大体100歳位で」
隊員たちが衝撃を受け 隊員Cが言う
「ひゃ、100歳!?」
AJが横目にジャックを見て言う
「まだまだだな?」
ジャックが視線をそらして言う
「るせぇよ」
ハイケルが言う
「そうか… と言う事は ヴァンパイアは 不老不死なのか?」
ユウヤが言う
「基本的には そうであると… ただ とてもゆっくりですが 歳は取るそうで不老ではないですね?それに 不死と言うのも 致命傷を受けた場合や 銀で受けた損傷は 治らないそうです」
ハイケルが言う
「不老不死ではない…」
ジャックが不満そうに言う
「おいおい ユウヤ大先輩?そんな堂々と 俺らの弱点を 他の連中に吹き込むんじゃねぇよ?」
ユウヤが呆気に取られてから苦笑して言う
「…あ、それもそうだな?ごめん ジャック」
ジャックが不満そうに言う
「ったくっ やっぱり アンタは ヴァンパイアを殲滅させてぇのか?18年前みてぇに?」
ユウヤが苦笑して言う
「それは 言わないでくれよ…」
ハイケルが反応して言う
「…と言うと もしやとは思っていたのだが その18年前にヴァンパイアを殲滅させた ゲートキーパーズと言うのは?」
ハイケルがユウヤを見る ユウヤが表情を落として言う
「はい… それは 俺 です…」
ハイケルが驚く 隊員たちが顔を見合わせる ハイケルが言う
「…しかし その貴方が 現在ヴァンパイアと行動を同じくし 尚且つ そのヴァンパイアを用いて戦う為に この国の使者として 我々に同行する… これは 一体どう言う事だ?」
ユウヤがハイケルを見て苦笑して言う
「つまり その俺は …元々 知能の高いヴァンパイアの策略に 踊らされて ヴァンパイア殲滅作戦を行ったんです そして その後も 彼や彼らと行動を共にしています …しかし 今は 自分の意思で 踊らされては居ない …つもりですが どうなんでしょうね…?」
ハイケルが言う
「では そのヴァンパイアの殲滅作戦は 元は その知能の高いヴァンパイアが行った事であったと…?あの… ヴィーンリッヒと言う名の ヴァンパイアが?」
ハイケルがヴィンの姿を思い出し 視線を強める ユウヤが言う
「はい 彼は 俺たち人間と 彼らヴァンパイアが 共に生きられる世界を目指している者です …その為に 自らの意思でヴァンパイアになった …それほどの人です」
ハイケルが言う
「共に生きられる世界を目指して… その為に ヴァンパイアとなりヴァンパイアを殲滅させた …そして 再びヴァンパイアは生まれ始めた …つまりは 基本 不老不死であるヴァンパイアを 入れ替える為の作戦だったと言う事か?」
ユウヤが言う
「はい そうです その通りだと思います」
ハイケルが思う
(恐ろしい男だ… ともすれば 奴よりも?)
ハイケルの脳裏にリックの姿が思い浮かぶ ユウヤが言う
「彼は800歳を越えるヴァンパイアです そして、今までも その作戦を行って来た… その上で 今の俺たちの この世界があります 俺は 何が正しいか 間違いかは分かりませんが 彼が この世界の為に尽くしていると言う事は 間違いないと思っています」
ハイケルが言う
「…そうだな」
ハイケルが思う
(物事に犠牲は付き物だ 犠牲の無い結果は存在しない その犠牲が仲間となるか 敵となるか その違いに過ぎない それを考えれば 仲間を失った上の勝利… 成功と呼ばれるものも あるのかもしれない …だが)
ハイケルが言う
「同じヴァンパイアの仲間を殲滅させ 世界を救おうとは …大した男だ」
ハイケルが思う
(俺には とても真似は出来ない …したいとも思わない …俺には出来ない)
ユウヤが苦笑して言う
「そうですね…」

末端の宿

AJが言う
「この宿が この街にある最後の宿だから 今夜はここに泊まって 明日の朝にでも 出発したら 昼ごろには アウターの近くまで行けるんじゃないかって?」
ハイケルが言う
「そうか しかし 生憎 我々はこの土地に置かれる 金銭を所持していない為 宿に泊まる事は出来ない 従って このまま アウターへと向かおうと思うのだが?」
AJが言う
「ああ、宿代なら 大丈夫!あんたらの分は この ユウヤ先輩がー!」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「えっ!?そうだったのか!?」
AJが笑んで言う
「って 言うのは冗談で この輸送車共々 うちの署長から 預かってるから ご安心を~ってね?」
ユウヤがホッとしてから 改めて言う
「なんだ… あ、でも それじゃ ユーノス警視長が?」
ハイケルがユウヤを見る AJが言う
「いや、ぶっちゃけ 諸経費に出来たらしいッスよ?何でも上からの命令だとか?」
ユウヤが苦笑して言う
「上から と言う事は…」
AJが苦笑して言う
「まぁ そう言う事ッスね?」
ハイケルがユウヤへ向いて言う
「上からと言うのは?警察の上層 我々の世界で言うなら 政府の長官と言う事になるのだが?こちらの世界では 誰に当たるのだ?」
ユウヤが言う
「長官は… 以前 殉職してしまったので 今は… 言ってしまうと空席です」
ハイケルが疑問して言う
「そうなのか …では 先ほどの ”上”と言うのは?」
ユウヤが言う
「そちらは その… 悪い言い方で言うなら 警察を影で操っている者… と 言いますか…」
ハイケルが言う
「それは?…誰だ?」
ハイケルが思う
(つまり その者こそが この国の…)
ハイケルがハッとしてリックを思い出す ハイケルが言う
「…”あの” ヴァンパイアか?」
ユウヤが言う
「”その”ヴァンパイアの 元 相方と言うか… 一応 人間です」
ハイケルが言う
「一応?」
隊員Bがユウヤを見て言う
「一応~?」
ユウヤが言う
「あっ いえ!俺じゃないですよ!?」
AJが輸送車の運転席から顔を出して言う
「それじゃ ユウヤ先輩も 皆さんも 明日は気を付けて!」
ハイケルが反応してAJへ向く 隊員たちが疑問して言う
「って 事は…」 「明日は…?」
AJが言う
「ここから先は 昼間でも ヴァンパイアがワンサカ居るんで 車じゃ行けないんッスよ!」
ハイケルと隊員たちが衝撃を受ける 隊員たちが言う
「な、なら…?」 「尚更!?」
AJがユウヤへ向いて言う
「じゃ 明日は ユウヤ先輩 この人たちの護衛を 頑張って下さいね~?」
ハイケルと隊員たちが呆気に取られる ユウヤが苦笑して言う
「う、うん… 出来るだけ 頑張ってみるよ」
ハイケルが言う
「出来るだけ 頑張る…?ま、待てっ!それならっ」
ハイケルがAJの前に行く AJが疑問すると ハイケルが言う
「それならば お前の持つ 銀の銃弾を 私に与えてもられないか?私のみならば兎も角 隊員たちをヴァンパイアの餌食にする訳にはいかない このサーベルも1刀のみでは 何時折れてしまうとも限らない」
AJが言う
「ああ、それなら大丈夫だって 何しろ ユウヤ大先輩が居るんだから?」
ハイケルが言う
「その”ユウヤ大先輩”では 安心出来ないから 言っているんだっ!」
ユウヤが衝撃を受けて苦笑して言う
「はは…」
屋根の上に座っている ジャックが言う
「”そのユウヤ大先輩”が ヴァンパイア嫌いで ヴァンパイアの仲間だって事は ヴァンパイアの連中には 知られてっから 心配ねぇんだよ?」
ユウヤが言う
「その ”ヴァンパイア嫌いで” って言う所は 誤解だよ ジャック?」
ジャックが言う
「誤解の上で 俺は アンタの銀の銃弾に 撃たれたのかよっ?」
ユウヤが衝撃を受けて言う
「う…っ それは…」
ハイケルが言う
「ヴァンパイアの仲間である事が ヴァンパイアの者らには 知られている… いや、そうだとしても それを知らぬヴァンパイアが居ると言う可能性や 知った上でも 襲い掛かってくるヴァンパイアが居るかもしれない 従って…」
AJが言う
「心配するなって ”少佐ぁー”?あんたの気持ちは 分からないでもないけど ユウヤ先輩は マジでパネェ位強いから …伊達に ”ヴァンパイアの殲滅作戦”を やっちゃいないってね?」
ハイケルが反応して言う
「… ”ヴァンパイアの殲滅作戦” …そうか」
ハイケルが思う
(確かに あのヴァンパイアを ”殲滅”… 殲滅と言う言葉を使われるほどの数と その事を行った その者であると言うのならば… 例え本人は踊らされていたと言おうとも …相応の実力者であると言う事か?)
ハイケルが言う
「…了解」
AJとジャックが笑む ユウヤが苦笑する

【 ART2 】

ラミリツが剣を振るって言う
「やぁああーっ!」
ラミリツの前で熊が倒れる ラミリツが剣を振るって鞘へ収める 集まっていた村人たちが驚いて言う
「た、たまげたぁ~ あんなデカイ熊を 剣でやっつけたよ!?」 「ああっ たまげた~!」
ラミリツが歓声に微笑してから振り返って言う
「それでは また 原生動物が現れた際には お知らせ下さい …そうですね?先ほどの様に 激しい音を立てて頂ければ 我々も向かう様に致しますので?」
村人がタライと棒を見せて言う
「ああ!それじゃ また コイツでお知らせしますよ!」
村人がタライを棒で叩いて見せる 村人たちが笑う ラミリツが軽く笑って見せる

野営所

ラミリツが薪の前にやって来て言う
「そっか… あれは 本当に良い手かもしれない ああやって 皆に知らせてくれれば 僕らは勿論 村の人たちにも 何所が危険なのかが分かるし…」
ラミリツが思う
(何より村に来た メディアの連中にも 分かりやすい!…そうとなれば)
ラミリツが剣を見てから微笑して 薪の前に座ると近くの荷物から資料を取り出して言う
「最初は 僕が街の様子を見に行くつもりだったけど… 予定変更!だから… これで良し!うーん 後は出来たら もう少し こっちの国の話を聞きたいんだけど …あのシュテーゲル殿って なんか話し辛いんだよね?何って言うか 堅くってさ…?けど 情報は収集しないといけないし… どうしたら もっと この国の話を 聞けるかな?」
ラミリツが紙とペンを持って考えたり記入したりする

【 ART1 】

宿 部屋

ハイケルが言う
「…と、我々のアールスローン帝国は その様な国だ」
ユウヤが言う
「政府と国防軍… その2つの力を持つ 女帝陛下 …では アールスローン帝国は そちらの女帝陛下の権限において 帝国の全てが統括されていると言う事ですよね?」
ハイケルが言う
「あ… ああ… …そうだな」
ユウヤが少し疑問してから考える ハイケルが思う
(話を聞く以上 こちらも一般のアールスローン国民が知る範囲にある 常識を伝えた所だが… 実際は アールスローン帝国の女帝陛下は 行方不明であり その実権は 政府と国防軍の長へ委ねられている しかし、そちらは 一般は勿論アールスローンの有力者の中に置かれても ごく一部の限られた者のみが知る事だ そうとなれば)
ハイケルがユウヤをチラッと見てから思う
(例え 生死をかけた戦いを共に行う相手であろうとも 伝えるべきではないだろう 増して 現状では そちらが確約されている訳でもない そして 万が一にでも 今後 彼が知る事になろうとも 私が伝えなかった事で 不利に働く事は… …無いっ)
ユウヤが言う
「…では 一つお伺いしたい事が」
ハイケルが反応して言う
「あ、ああ 何だ?」
ユウヤが言う
「そちらの女帝陛下ですが 普段は御所に居られ 御簾に姿を隠されていて そのお声も 一部の者… 政府や国防軍の長である者にしか 伝えられないと言う事は… 失礼とは思いますが 言ってしまえば そちらの政府と国防軍の長の者が 口裏を合わせてしまえば 女帝陛下に代わって アールスローン帝国を動かせますよね?」
ハイケルが衝撃を受けて思う
(う…っ 気付かれたかっ)
ハイケルが言う
「…そ …そうかも しれないな?」
ユウヤが言う
「あぁ やっぱり…」
ハイケルが言う
「…しかしっ 政府と国防軍とは言おうとも その長は 双方において2名ずつ …実際は4人の長が居ると言う事になっている そうとなれば… その4人が全員 ”悪”になると言う事は…っ」
ユウヤが言う
「そうでしょうか?だって そちらの 4人は2つの家の者なのですよね?そうである以上 4人とは言っても 実質 その思想は2つだとは 考えられないでしょうか?」
ハイケルが言う
「あ、ああ… いや、しかし それは今までの話であり 現状においては 過去の そのアールスローン帝国に無い 政府は2つの家の者が長となり 国防軍は… 1人だ」
ユウヤが言う
「あれ?では 国防軍のもう1名はどちらへ?」
ハイケルが言う
「ああ、そちらは… そちらの者こそ 現在 我々ARTの司令官として ARTと言う組織を作り 国防軍の付属部隊として 従えた… 元 国防軍総司令官の アース・メイヴン・ハブロスと言う者だ」
ユウヤが言う
「では そちらの方は 今は 国防軍ではなく… アールスローン帝国の2大組織から離れ…?」
ハイケルが言う
「ああ、そうだ 従って 現状の彼は 権力は有していない」
ユウヤが言う
「権力は有していない… …そうでしょうか?」
ユウヤが反応して言う
「何故だ?実際 ハブロス司令官は 国防軍総司令官と言うアールスローンの国家家臣としての地位を退いている それはつまり 権力は有していないと言う事へと繋がる」
ユウヤが言う
「本当に権力を有していないのなら 現状の様に 自分の部下である貴方方を 他国への使者として送るなどと言う事が出来るでしょうか?いえ、むしろ ここまでの事が出来ると言う事自体が 権力を有している証拠です これは俺の勝手な解釈ですが… 貴方方のアールスローン帝国の 最も高い権力者は 貴方の司令官である そちらのアース・メイヴン・ハブロス殿では無いでしょうか?」
ハイケルが驚いて言う
「なっ!?」
ハイケルがユウヤを見る ユウヤが言う
「しかも その事実を 貴方や 貴方の言う一般のアールスローン帝国民が 認識していないと言う事 …つまり アールスローン帝国は今や 彼の意思一つで どうにでも出来る所まで来ているのだと 俺は思います」
ハイケルが視線を強くして思う
(この男… 最初は物腰の弱い 心身ともに非力な男だと思っていたが 誤算だった …そうだ、そもそも この男は 人間でありながら ヴァンパイアへ銃を向け 人間でありながら ヴァンパイアたちのトップであろう あのヴァンパイアにも物怖じせず 接していた男だ そして今も…)
ユウヤが考えている ハイケルが思う
(我々が戦いを行う軍隊で在ると言う事を認識している状態で その隊長である私へ対し 事前に断りはしようとも 我々の国を否定する言葉を 堂々と発して見せている …つまり 彼は 私を恐れていない 我々の力をっ …それは 何故だ?その自信は 奴の何所から現れている?)
ユウヤが言う
「それで…?」
ハイケルが反応して言う
「何だ?」
ユウヤが言う
「皆さんと一緒に アールスローン帝国へ行ったら 私は どちらの方と お話をするのでしょうか?やはり 貴方方 ARTの司令官 アース・メイヴン・ハブロス殿と ですかね?」
ハイケルが言う
「…いや、先にも言った通り 我々アールスローン帝国の第二権力者である 政府と国防軍の長と 対話を行ってもらう事になると思われる」
ユウヤが言う
「ああ、そうなんですか 分かりました」
ハイケルが沈黙する

【 ART2 】

ラミリツが微笑して言う
「…と、その様にお願いします 皆さんも 視聴者が画面から目を逸らすような映像は 流したくないでしょう?」
メディアの人が言う
「それは確かに …では 原生動物を前に 剣を構えて 立ち向かう所までなら 宜しいですかね?」
ラミリツが言う
「はい それでしたら …ああ、もちろん 皆さんも身の安全を確保出来る所まで 下がった上で お願いしますね?」
メディアの人が言う
「分かりました」
メディアの人が自分たちのスタッフの下へ向かい言う
「確かに 血生臭い映像なんか流したら 我々のチャンネル5から チャンネル7辺りの ウィザード様特集にでも チャンネルを変えられそうだしな?斬り付けている映像は 撮らない様にしよう」
メディアのスタッフが言う
「そうだな 視聴者は主に女性だからな?…それにしても 随分とメディアの事に 詳しいみたいだな?あの隊長さん?」
メディアの人が言う
「うーん?」
ラミリツがメディアのスタッフたちへ背を向けた状態で考えて言う
「うーん 要望は こんなもんで良いかな?あんまり最初から色々と注文を付けると こっちがメディア慣れしてるって バレちゃいそうだし?」
ラミリツの通信機が鳴る ラミリツとメディアの人らが気付き ラミリツが一度メディアの彼らを気にしてから軽く喉を整えて 通信機を着信させて言う
「うんっ… こちら ART2隊長 ランラン村の警備は順調 そちらは?」
メディアのスタッフらがカメラを向ける ラミリツが言う
「そうか 分かった では 引き続き 予定通りの警備を 次の定時連絡まで続行してくれ」
通信機から隊員の声が聞こえる
『了解!隊長!』
通信機が切れる ラミリツがチラッとメディアの様子を伺ってから 歩き始める メディアの連中がラミリツを追う

【 ART1 】

朝 宿屋前

ユウヤが道を示して言う
「ここをまっすぐ 道なりに向かえば ”アウターに近い村”に到着します そこから先は道は無くなりますが…」
ハイケルが言う
「”その村”と言うのは もしや…」
隊員Dが言う
「まさか… だよな?」
ユウヤが言う
「はい、恐らく 皆さんが こちらの国で最初に人間に出会った村だと… あぁ 夜には ヴァンパイアに襲われたと言う そちらの村です」
隊員Eが言う
「やっぱりっ!?」
ハイケルが言う
「出来る事なら 我々は そちらの村は 回避したいのだが?」
ユウヤが言う
「大丈夫です 今回は俺も居ますし あの村には 行った事もありますから …それに 俺が知らない道を行く方が 危険なので」
ハイケルが言う
「では これから向かうルートは 貴方にとっては既知のルートであると言う事か?」
ユウヤが言う
「はい そうです …ですが 安心して とは言い切れないので 一応気を付けて 俺に付いて来て下さい」
ハイケルが言う
「…了解」
 ハイケルが隊員たちへ視線を向ける 隊員たちが言う
「「りょ、了解ー…」」

道中

ユウヤを先頭にハイケルが続き隊員たちが続く ハイケルが周囲を警戒して思う
(周囲状況は 異なるルートではあるが 昨日見た風景と似通っている 廃墟と思われる荒れた建物の数々… 時より見受けられる 屋敷と呼ぶに相応しい建物… …そして)
周囲の物陰に人の気配がする ハイケルが目元を険しくして思う
(我々を伺う 気配 …ヴァンパイアかっ!?)
ユウヤが言う
「ハイケル少佐」
ハイケルが言う
「何だ?」
ユウヤが言う
「もう少し 俺の近くを歩いて下さい 隊員の皆さんたちも それで もし誰か一人でも連れ去られたら すぐに気付ける様に 全員で気を付けて…」

物陰で息を潜める者たちの一人が 息を荒げて言う
「…はぁっ …くっ …我慢 …出来ねぇっ」
他の者が言う
「よせっ!」

ハイケルが思う
(近くを歩け …か …確かに この先何が起きるかが 不鮮明である以上は なるべく固まって行動したいと その様に思うのは当然だが 実際襲撃を受けた際には 各自が相応に動けるよう 必要最低限の距離を保つのが 軍隊の基本移動戦術 …とは言え)
ハイケルが言う
「…了解 総員 移動時確保距離を半歩前進」
隊員たちが言う
「「了解 少佐ぁー」」
ハイケルが思う
(現状の我々が持つ武器では ヴァンパイアを倒す事は出来ない… そうとなれば 唯一 その力を有するのであろう この男に頼る他に無い… 従って その命令にも)
ユウヤとハイケルと隊員たちが距離を縮めて歩いていて 隊員Bが言う
「何か歩き辛いねー?アッちゃんー?」
隊員Aが苦笑して言う
「うん 普段から前後左右に 歩幅2つ分の距離を保つ様にって 癖が付いてるからな?けど 今はしょうがないよ」
ハイケルがユウヤの手元を見て思う
(…従いはするが その奴はと言えば 我々と同じく人間であり 射撃の腕も… 悪いとは言わないが 普通… いや、レギストで考えるのなら 低い方だ 更に、その奴が 現在手にしているのが…)
ハイケルが疑問視する ユウヤの手元には試験管が握られている 隊員Cが言う
「…にしてもよ?誰か1人でも 連れ去られたらって… いくらなんでも それに気付かないなんて事は なぁ…?」
隊員Iがハッとする 隊員Cが振り返って言う
「…イリアス隊員?…って?いねぇええっ!?」
隊員Cの声に皆が驚き ハイケルがハッと顔を上げて叫ぶ
「イリアス隊員っ!」
ハイケルの声と視線に隊員たちが驚いて空を見上げると 隊員Iがヴァンパイア1に後方から口と身体を押さえられ 上空へ飛躍している ヴァンパイア1が言う
「1匹くらい良いだろうっ!?そんなに大勢で 俺らの根城に来る方がっ!」
ハイケルが瞬時に銃を構えるが思う
(クソッ やられたっ!人1人を抱えて あれだけの飛躍っ 能力は身体補佐能力のマスターと同じかっ!?だとすれば 銃弾では間に合わないが…っ!)
ユウヤが叫ぶ
「そのヴァンパイアを押さえろっ!さもなくばっ!」
ユウヤが手に持っている試験管を自身の前に構える ハイケルが銃を向けたまま横目にユウヤを見る ヴァンパイア1がユウヤの手に持たれている試験管の印を見て 表情を驚かせる 次の瞬間 ヴァンパイア1の両サイドからヴァンパイアが現れ ヴァンパイア1を押さえて 地上へ降り立つ 隊員Iが地面に降りると共に慌てて隊員たちの下へ走りながら言う
「ひぃぃ~っ!」
隊員Bが言う
「イッちゃんっ!?大丈夫っ!?」
隊員Iが息を切らせて言う
「あ、ああっ 大丈夫だ 口を押さえられただけで 血は吸われて居ないっ!」
隊員Bが言う
「良かった~ なら大丈夫だね?イッちゃん?」
隊員Iが衝撃を受けて言う
「えっ!?な、なら大丈夫って!?」
隊員Bが言う
「え~?だってぇ~ ヴァンパイアに血を吸われると ヴァンパイアになっちゃうんでしょ~?」
隊員Dが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?」
隊員Vが隊員Dからそっと離れる 隊員Dが気付いて衝撃を受ける ユウヤがヴァンパイアたちの前に行き 微笑して言う
「有難う 分かってくれて」
ヴァンパイアたちが舌打ちをして消える ユウヤが苦笑する ハイケルがやって来て言う
「それがお前の武器と言う事か 移動を開始してから ずっと 手に持っていたが …それで?その中にあるものは一体何だ?」
ユウヤが言う
「はい これは 白金の粉末です」
ハイケルが言う
「白金?」
ユウヤが言う
「ヴァンパイアにとっては 銀の粉末よりも強力な猛毒だそうで この粉が 例えば腕の皮膚に付けば 腕そのものが落ちるほどだとか…」
ハイケルが驚く 隊員たちが怯える ユウヤが言う
「ああ、もちろん 人間には無害なので 安心して下さい?…と言っても この周囲には 見ての通り 大勢のヴァンパイアたちが身を潜めて 俺たちを狙っています ですから 万が一にも 俺が この試験管を手放して 中身が振り撒かれた時には その飛散範囲は 彼らを巻き込むのに十分で 触れれば勿論 呼吸で吸い込んだりすれば 一瞬で死に至ります」
ハイケルが言う
「では 先ほどのヴァンパイアらは それを恐れて 貴方の命令に従ったと言う事か?」
ハイケルが思う
(確かに その白金の威力は大した物だが …本当に それだけか?あの様子は …そうは見えなかったが)
ユウヤが言う
「後は 彼らが この薬を… この様な試験管の薬を使うヴァンパイアを 知っている事が大きいですかね?」
ハイケルがユウヤを見てから言う
「では その薬は ヴァンパイアが作ったものなのか」
ユウヤが苦笑して言う
「はい ですので 俺は 虎の威を借る狐… ここにいる彼らより強いヴァンパイアの威を借りている人間と言う事です それだけですよ」
ハイケルが言う
「なるほど」
ハイケルが思う
(とは言え あの落ち着き様 …本当にそれだけだとは 思えないが)
ユウヤが言う
「では 行きましょう …あ、それから 万が一 ヴァンパイアに吸血されても ヴァンパイアにはなりませんから ご安心を!」
隊員Dがホッとして言う
「よ、良かった…」
隊員Bが笑んで言う
「にっしし~ ドッちゃん 吸われちゃったんだ~?」
隊員Dが首筋を手で押さえ怒って言う
「だけどヴァンパイアにはならないんだからなっ!?」
隊員Bが言う
「えー?そんなの 今更じゃない?だって あのAJって人は ちょくちょく血をあげてるけど 人間だったんだし~?」
隊員Dが言う
「ちょくちょくって…?どれ位あげてるかなんて 俺たちが見たのは あの時の1回だけだったじゃないか?それなのに?」
隊員Bが言う
「ちょくちょくあげてる様子だから大丈夫だって 少佐はそれで止めなかったんだってさー?あの人の首には 沢山 吸血された痕が残ってたからって~!」
隊員Dが気付いて言う
「あ… そういう事だったのか それで…」
隊員Dが手を離すと 首筋に吸血痕が残されている



ユウヤとハイケルと隊員たちが村の入り口に立っている 村人たちがハイケル達の姿に気付き 気まずい様子で視線をそらす 隊員たちが苦笑して言う
「なんか…」 「凄く… 気まずい」
ハイケルがユウヤへ向いて言う
「この場は 村の者を刺激しないよう 我々は長居をせずに切り抜けたい ともすれば 村のヴァンパイアたちに…」
ハイケルが思う
(以前の貸しを 返されると言う可能性も…)
ユウヤが言う
「そちらは大丈夫です それに ここからは」
ラミが現れて言う
「待ってたわ~?ユウヤ~ 待ちくたびれちゃったわよ~?」
隊員たちが衝撃を受け言う
「で、でた~っ!」
ラミがユウヤに近付き誘惑する ユウヤが苦笑して言う
「やぁ ラミ 待たせて ごめん」
隊員Bが喜んで言う
「あー!超ナイスバディの おねーさーん!昨日ぶりー!」
ラミが気付き 隊員Bへ近付いて言う
「あら 可愛い坊や 昨日ぶりに おっぱいが 欲しいのかしらぁ?それなら…」
ラミが隊員Bの顔を胸に押し付ける 隊員Bが言う
「わー やっぱ 超でっか~い!」
隊員Bがラミの胸を揉む 隊員たちが怯えながら言う
「す、すげぇ羨ましいけど…っ」 「恐ろしくて とても真似は出来ねぇ…っ」
ラミが微笑して言う
「貴方のその 無邪気で 強欲な所 素敵よ…?それこそ…」
ラミが吸血衝動を現して言う
「その無防備な 首筋に… キスをしたくなっちゃう位…」
ラミが隊員Bの首筋を見詰める 隊員たちが衝撃を受け 隊員Aが言う
「バ、バイちゃんっ!危ないっ!」
隊員Bが疑問して振り返って言う
「えー?危ないってー?」
隊員Bの伸ばされた首筋に ラミが目を見開く 隊員Dが怯えて言う
「吸われるぞっ!?バイスン隊員っ!」
隊員Bが疑問してラミへ向き直って言う
「え?…あー それじゃー 俺も おねーさんに お返ししないとー?」
隊員たちが驚いて言う
「「えぇええー!?」」
ラミが言う
「あら なんて聞き分けの良い坊やだ事?それなら…?」
ラミが唇を舐める 隊員Bが言う
「どきどき…」
ラミが牙を近付けると ユウヤが言う
「駄目だ ラミっ!」
ラミが動きを止める 隊員Bが疑問して言う
「えー?ちょっと位 俺は良いのにー?」
ユウヤが近くへ来て言う
「貴方の様に ヴァンパイアに理解のある方は とても嬉しいんだけど ラミは… その… 吸い尽くしちゃうタイプだから」
隊員たちが衝撃を受けて言う
「「えっ!?」」
隊員Bが言う
「えー?そんな違いが有るのー?」
ラミが苦笑して言う
「ちゃんと 耐えるわよ ユウヤ…?」
ユウヤが苦笑して言う
「駄目だよ ラミ …ラミの耐え症の無さは 俺は知ってるんだから」
ラミが言う
「あんっ そうよね?ユウヤとは 身体で知り合った仲だから… あたし自身より ユウヤにはあたしの事が知られちゃってるのだったわね?それこそ… あたしの体中を…?」
ラミがユウヤに近付いて言う
「ねぇ?ユウヤ?折角 この場所まで来たのだから あたしのアジトへ寄っていかない?たっぷりと 歓迎してあげるわ?」
ラミがユウヤの身体に触れようとする ユウヤが苦笑して言う
「折角だけど 今は急ぎだし それに ラミ それ以上俺に近付くと」
ヴィンがユウヤの後ろに現れ言う
「私の獲物から 離れ給え ラミ」
隊員たちが驚いて言う
「げっ!?」 「もう一人もいたのか…っ」
ヴィンが試験管を構えている ハイケルが気付いて思う
(そして あの試験管は…)
ハイケルの脳裏にユウヤが同じ印の試験管を構えていた姿を思い出す ハイケルが言う
「…そう言う事か」
ラミが言う
「そうは言っても 相変わらずね ヴィン?ユウヤを守るのなら そんな恐ろしい薬を持って身を潜めるのではなくて この魅力的な首筋に…」
ラミがユウヤの首筋を指でなぞる ハイケルが思う
(あのヴァンパイアは ラミと言う名のヴァンパイアとは異なり 恐らく 我々の近くにずっと潜んでいた… それが ユウヤ殿の あの自信だったと言う事だ)
ヴィンが視線を強めて言う
「触れるなと言った筈だが?」
ヴィンが試験管の栓へ掛けている指を動かす ラミが苦笑して言う
「…分かったわよ」
ハイケルが言う
「ずっと我々を監視していたのか」
皆がハイケルを見る ヴィンが苦笑して言う
「諸君を監視していた訳ではない 私は 何時もと同じく 危険を冒している私の獲物を見守っていただけ そして、その諸君を守っていたのが ユウヤであったと それだけかな?」
ハイケルが言う
「では…」
ハイケルが思う
(我々の身に何かあっても 助けるつもりは無かったと言う事か …相変わらず)
ハイケルが言う
「やはり 我々を守ってくれていたのは ユウヤ殿”だけ”であったと言う事か」
ヴィンが口角を上げ鼻で笑う
「フ…ッ 最初からそうなのだと 伝えてあった筈では無かろうか?」
ハイケルが思う
(何かを企んでいるのか?気の抜けない奴だ)
ユウヤが言う
「では ラミと …ヴィンとも合流をしたし 早速 村を抜けて 彼らARTの皆さんが使用すると言う 機械兵士が隠されている場所へと向かわないと?」
ラミが言う
「そうね?この村は あたしの娘たちの故郷でもあるから 大切なその場所へ 白金を撒かれちゃっては 彼女たちが可愛そうだわ?だから 残念だけど 今は…」
ラミがユウヤから離れる ユウヤが苦笑してからヴィンへ向いて言う
「それで… ヴィン?その場所と言うのは この村から遠いのでしょうか?彼らの話では 今日の15時にアウターの指定の場所へ 彼らの仲間たちが迎えに来るそうで …ですから それに間に合わせないといけないのですが」
ヴィンが言う
「15時か… 彼らの機械兵士が置かれているのは この村から北西へ4キロほど行った場所だが アウターにてのそちらの指定場所へ向かうのに どの程度時間を有するかは不透明 そうとなれば 極力 無駄に時間を費やす事の無い様にと 早速向かおうか?」
ユウヤが言う
「はい」
ラミが言う
「あら 残念~ しばらくこの国を離れるのなら その前にたっぷりと あたしの身体を ユウヤへ味合わせて上げたかったのに…?」
ラミがユウヤへ投げキッスをする ユウヤが苦笑して言う
「有難う ラミ けど それをすると 今はもう ヴィンだけじゃなくて 妻にも怒られるから 勘弁してくれよ」
ラミが苦笑して言う
「うふっ 相変わらず 真面目なのね ユウヤ?…でも そんなユウヤだからこそ 欲しくなっちゃうのよね?あたしの 獲物としても 男としても…?」
ラミがユウヤの太ももに触れる ユウヤが苦笑する ヴィンが試験管を構えている

【 ART2 】

ラミリツが言う
「なるほど そう言えば 先にこちらの世界へ… 我々アールスローンからの使者として参りました その者からも 灯魔台と言う物の存在は聞いていました しかし、実物の方は…」
メディアの人が言う
「でしたら!お時間が取られる様でしたら この後にでも 見に行かれませんか!?そして そちらの映像を是非っ!」
ラミリツが言う
「うーん そうですね …では これから3時間ほどあれば 時間は足りそうですか?…あ、しかし 灯魔台へ行くには センター行きの電車を待たなければならないので 今からでは とても間に合いませんね?そちらの電車は 10分ほど前に 出てしまっていますから …次の電車を待つとなると 時間が足りなくなってしまいます」
メディアの人が言う
「でしたら!我々の車で お送りしますから!是非 行きましょう!」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え?いえ、そんな… 皆さんのお力をお借りしては 申し訳ないです」
メディアの人が言う
「いえいえ!こちらこそ 是非 お願いします!この世界へお越しになったART2の皆さんに この世界のウィザード様方の素晴らしい力をお見せしたいと!この世界に生きる者なら 誰しもが思っているのですから!」
ラミリツが思う
(ウィザード様 …か こういう時に名前を出されるという事は この国の人たちにとっては やっぱ ウィザード様が一番凄い人だって言う その認識があるって事 …それなら)
ラミリツが言う
「なるほど 灯魔台では ウィザード様方のお力を 拝見する事が出来るのですね?ああ、そうだ 午後の休憩の時間を変更すれば 時間は間に合いそうですので 今のうちに 先に少し休憩を取って 次の電車にて 向かう事にします 隊員たちへの連絡もありますので また 後ほど」
ラミリツが思う
(本当は送ってもらえたら 楽なんだけどね こういうメディアへの借りって 後々大きくなるから)
メディアの人が言う
「分かりました!では また 後ほど!」
ラミリツが微笑して思う
(よし 上手く撒けた)

【 ART1 】

森の中

ヴィンを先頭にユウヤとハイケルと隊員たちが続き ラミが隊員Aへ誘惑しながら言う
「あら~?貴方も よく見たら… とってもハンサムじゃない?」
隊員Aが衝撃を受け苦笑して言う
「ど、どうも…」
ラミが微笑して言う
「身長もあるし… 顔だけじゃなくて …きっと身体の方も 素敵なんじゃないかしら~?」
ラミが隊員Aの身体に触れる 隊員Aがギクッとする 隊員Bが言う
「さっすが おねーさーん!アッちゃんの身体はー 俺よりも 筋肉質で がっちりしてるよー?おねーさんも 喜んじゃうくらいかもー?」
隊員Aが衝撃を受け慌てて言う
「バ、バイちゃんっ!?」
ラミが隊員Aへ絡んで言う
「まあ それは 素敵ね?鍛え抜かれたその身体… 是非 見せてもらいたいわ~?それから…」
隊員Aが苦笑して言う
「せ、折角ですが 俺もまだ その…っ 吸い尽くされては 困るので…」
ラミが言う
「分かってるわよ それなら 血では無くて その身体を味合わせて貰うと言うのは どう?ヴァンパイアは何も 人間の血だけを求めている訳では ないのだから…」
隊員Bが言う
「あれー?そうなんだー?」
ラミが言う
「ええ ヴァンパイアはね?戦う力を得る為に その他の力を失ってしまうの …そうね?特に人間の3大欲求って知ってるかしら?それらが失われてしまうのよ」
隊員Nが言う
「人間の3大欲求って?」
隊員Cが言う
「食欲・性欲・睡眠欲って奴だろ?」
隊員Nが言う
「へ~?それが無くなると… 何か悪いのか?」
ラミが言う
「それが無くなったら 何も楽しく感じられないじゃない?だから あたしたちは 人間からその欲を得るの その欲が強い人間ほど 強く感じる… それはもう とっても美味しいのよ?」
隊員Aが言う
「失った3大欲求を人間から得る… その方法は 血を吸うのではなくて?」
ラミが言う
「血を吸う事でも得られるし こうして近くに居るだけでも… 近付けば近付く程に 触れれば触れるほどに 感じるわぁ?ねぇ?貴方も今 感じているでしょう?」
ラミが隊員Aの手を自分の胸の谷間に押し込む 隊員Aが衝撃を受け頬を染めて言う
「た、確かに…っ」
隊員Cが言う
「アラン隊員まで…っ」
隊員Nが言う
「う、羨ましいっ!」
ラミが言う
「貴方が今感じている その快楽が… あたしにも伝わって来て… お互いに気持ちよくなれるの… ねぇ?女のヴァンパイアは 貴方たちと とっても相性が良いでしょう?」
ラミが隊員Aの太ももに触れる 隊員Aが衝撃を受け言う
「よ、良過ぎるのも 困る気がするのですが…っ!?」
隊員たちが羨ましがっている ユウヤが横目に隊員たちの様子を見ていて苦笑する ハイケルが言う
「私の隊員たちを たぶらかされては 困るのだが?」
ユウヤが苦笑して言う
「あぁ… すみません…」
ヴィンが言う
「その様な敵が 今後の諸君の前に現れないとは言い切られない そうである以上 現状のあちらはあちらで 諸君にとっては良い教訓となったのではないのかな?」
ハイケルが返す言葉を失って沈黙する
「…」
ユウヤが苦笑して言う
「ま、まぁ… 今回は ラミはもう 彼らの仲間として居る訳で 彼らも それで 気を許しているのでしょう?ですから…?」
ハイケルが思う
(確かに 現状はそれで良いかもしれないが この国へ初めて侵入した一昨日も あの女ヴァンパイアやその仲間の女ヴァンパイアらに 隊員たちは”可笑しく”されてしまっていた …今回は 奴の言う通り 今後へ対する良い教訓となった)
ユウヤが言う
「ヴィンもハイケル少佐も どうか そう 気を張らずに?仲間として 仲良く…」
ハイケルが言う
「我々のマシーナリーの隠し場所を知っているという事は 貴方は既に 我々のマシーナリーを 確認したと言う事だろう?」
ハイケルが思う
(そして…?)
ヴィンが言う
「諸君の機械兵士… いや、”マシーナリー”は 確認をさせて頂いたが それだけだ 私が 諸君のマシーナリーへ 何かを施したと言う事実は無い」
ハイケルが思う
(施しては居ない… となれば?いや、それよりも 確認をしたと言う事は)
ハイケルが言う
「では”確認”とは?我々のマシーナリーへ施されている それら機能を確認したという事か?」
ヴィンが言う
「ふむ 確かに あのマシーナリーに備わっている機能の確認はさせてもらった しかし そちらはさしたる事ではない 言ってしまえば 私の知識や技術より低能だ その諸君のマシーナリーから 私が得られた技術は何も無い」
ハイケルが思う
(低能だと?我々アールスローン帝国のマスターたちが作り上げた あのマシーナリーがっ?)
ハイケルがムッとして言う
「…クッ」
ユウヤが困って言う
「あ、あの… どうか そう…」
ヴィンが言う
「しかし 唯一 あのマシーナリーの特色と言える その他の機械兵士との違い… 私では アウターから襲い来る機械兵士の その超微電流に汚染されたシステムを復旧させる事は出来兼ねるのだが… 諸君の使用している元機械兵士 あのマシーナリーは 一度は汚染されたシステムを復旧させ 尚且つ 諸君の微力な改善にて施されている防衛シールドたるものが 万が一機能を失い 超微電流による汚染が再び行われたとあっても それを受け付けない高度なシステムが組まれている この技術 …いや 知識は」
ヴィンがハイケルを見下ろす ハイケルが見返すと ヴィンが言う
「この私が 解析すら出来ないモノ… それは あの低脳な改善を行った者とは ”異なる者の知識” そちらには感服させられはした… だが それもその筈 この”知識”は 恐らく諸君の国に居られる 神の業 なのだろう?」
ハイケルが驚いて思う
(…何という事だっ そこまでが知られている?気付かれているっ!この者たちは 我々のアールスローン帝国へ入っても居ないと言うのに ここまでの事を 知られたと言う事は…っ)
ヴィンが苦笑して言う
「おや 少々 言葉が過ぎてしまったかな?だとしたら失敬?君を怯えさせるつもりは無かったのだが…」
ハイケルが表情を険しくしてヴィンを見る ヴィンが微笑して言う
「どうか そう 身構えないで頂きたい 諸君には これから 私の大切なユウヤの身を預けなければならない 従って 私はただ 諸君が それに値する者であるのかを あちらのマシーナリーから確認していただけなのだよ そもそも 己の国を離れ アウターを抜け 他国である こちらへ 私の作り上げた防衛システムさえを切り抜けて 進入した …諸君の事は 私は 初めから相応に評価をしているつもりだ」
ハイケルが反応して言う
「あの防衛システムは 貴方が作ったものだったのか?…対空から対地 銃火器の他にも様々な防衛装置があったが あれを全てか?」
ヴィンが言う
「その通り アウターから この国へ 侵入して来た機械兵士のプログラムから それを撃ち壊す為の有力な兵器を開発し それを突破されれれば また対策をと… その様にして 私は人間であった頃から 由に900年近く この国の全ての防衛装置を手掛けて来た」
ハイケルが呆気に取られる ヴィンが微笑して言う
「伊達に天才科学者と呼ばれては居ないのだよ 最も 900年も行っているのであれば 出来て当然 むしろその異常なまでの執着から 変態科学者と呼ばれるのにも 最近は言い得て妙だと思えているのだが」
ハイケルが言う
「変態…?」
ユウヤが衝撃を受け苦笑して言う
「い、いえ セイヤには やっぱり ちゃんと言い聞かせて置きますのでっ …俺が戻って来てからと言う事になりますが」
ハイケルが言う
「セイヤとは… 確か あの時の…」
ハイケルがセイヤの姿を思い出す ユウヤが言う
「セイヤは俺の息子です けど 俺とは違って…」
ユウヤがヴィンをチラッと見る ヴィンが疑問する ユウヤが苦笑して言う
「そ、その… ヴァンパイアが相手でも 物怖じしないと言いますか…?」
ハイケルが言う
「我々から見れば その貴方も ヴァンパイアへ対しての物怖じは 無い様にと見えるが?」
ユウヤが苦笑して言う
「いえ、俺は怖がってばかりです ですから AJの相方であるジャックを 急に撃ってしまったりしましたし?」
ハイケルが呆れて言う
「…そちらを”物怖じしない”と 言うのでは無いだろうか?」
ユウヤが疑問して言う
「え?あれ?…そうでしたっけ?」
ヴィンが笑う
「クックック…」
後方では 隊員Iがラミに弄ばれ 隊員たちが笑っている

【 ART2 】

ラミリツが見上げて言う
「…これが”灯魔台”」
ラミリツが思う
(あの建設中だった奴の 完成形って訳ね?それで…)
ラミリツが言う
「そして その灯魔台に灯されている あの炎が… ”灯魔”」
ラミリツの周囲でメディアの人たちがカメラを構えている ラミリツが思う
(…って 言ってはみたけど 正直 僕の目には ただの火にしか見えないんだけど?僕らが知ってる普通の火と… 何所か違うって言うのかなぁ?けど これが”灯魔台”であれがウィザード様の灯した ”灯魔”って言う ”魔法の炎”だと言うのなら …ここは)
ラミリツが言う
「ウィザード様が灯された そちらの灯魔の力によって この世界は守られていると言う事ですね?」
案内係りが言う
「はい その通りで御座います 灯魔台の灯魔は ウィザード様方が神様から与えられた 大いなる魔法の力により灯され そして 必要に応じて その魔力を供給する事で この世界を守る結界が維持されているのです」
ラミリツが言う
「必要に応じて 魔力を供給する?それでは…」
ラミリツが思う
(出来るんなら この灯魔台に 今 それをしてもらいたいって思うのは 僕だけかな?何か凄く…)
ラミリツが言う
「とても 頼りな… 頼りになりますね!?」
ラミリツが思う
(あ、あっぶな~っ!うっかり 本心言っちゃう所だったよっ!)
案内係りが言う
「はい 特にこちらの灯魔台は マリア・シュテーゲル奉者様が 管理維持を担当されておられるので 必要時には すぐに ウィザード様にお越し頂けると言う事もあり こちらの灯魔台神館を管理する私も…」
ラミリツが気付いて言う
「マリア・シュテーゲル奉者様?…あっ」
ラミリツが思う
(確か あの子の名前…っ ”マリア”って名前だった …それに ウィザード様と一緒に居たって事は 彼女がその マリア・シュテーゲル奉者様?)
ラミリツが気配に気付きハッとして顔を向けると 一筋の風が吹き抜け わずかな火柱と風と共にワインレッド色のローブに身を包んだヴィザードと女性が現れる ラミリツがヴィザード見てハッとして言う
「彼は…っ?」
ラミリツが思う
(ウィザード?…にしては 今までに見た2人のウィザードとは 衣装の色が違うけど?)
案内係が驚いて言う
「ウィザード様っ!?…えっと 本日は…っ?」
女性が言う
「ほら~?だから言ったじゃーん!?唯でさえ 管轄外なんだから 急に入り込んじゃったら びっくりするってぇ~?」
ヴィザードが言う
「管轄外の灯魔台に 唐突に魔力供給を依頼されたのならば 受付を抜け直接灯魔台へ向かい 作業を終わらせてしまおうと… 思ったんだ」
女性が言う
「あぁ そう言う事~?けど ざーんねんー?見付かっちゃいました~!にゃははー」
ヴィザードがバツの悪そうに顔を逸らす 女性が案内係りへ向いて言う
「って 事で 改めまして!奉者協会 第二地区担当の マキ・ミンディーク奉者ですが 今日は こちらの第六地区担当のマリア・シュテーゲル奉者とそちらのウィザード様が忙しいので あたしたちが助っ人で来ましたー!灯魔の魔力供給でーす!」
案内係りが呆気に取られた状態から気を取り直して言う
「…は?あ!ああっ そ、そうでしたかっ それは… 有難う御座います えっと… ミンディーク奉者様!」
マキが言う
「いえいえー!それから ミンディークじゃなくて マキで良いですよー!?あんまり苗字で呼ばれないんでー 報告なんかでも返って分かり辛いと思うんで!」
案内係りが言う
「は、はい か、畏まりました マキ奉者様…」
マキがヴィザードへ言う
「やっぱ驚いちゃうよねー?先に電話して置けば良かった~」
ヴィザードが言う
「驚いているのは 唐突な魔力供給の作業に対してでは 無いと思うんだが…」
マキが疑問して言う
「え?それって…?」
マキが案内係りを見てから その後ろにいるラミリツに気付き 驚いて言う
「…え?え?え?えぇーー!?あの人ぉー!見て見て!シュイ!あの異世界の アールスローンの人だよー!すっごーい 何で ここに居るんですかー!?」
ラミリツが呆気に取られた状態から言う
「あ… はい えっと…」
ラミリツが思う
(何か 色の違うウィザード様以上に 凄い人に会っちゃったんだけど… どうしよう?)
ラミリツが表情を引きつらせる

【 ART1 】

マシーナリー保管場所

隊員たちがマシーナリーを起動させ M隊員Aが言う
「ART1マシーナリー 全機 起動しました!少佐!」
ハイケルが言う
「了解」
ラミが言う
「あ~んっ 残念~ それじゃ もう 皆 イってしまうのね~?もう少し 味わいたかったのに~?」
ヴィンが言う
「それほど時を置かず 再び相対するだろう  彼らがユウヤの護衛さえ務めてくれたとあれば」
ラミが言う
「それもそうね?だったら その時は~?」
隊員Cが言う
「その時こそ…っ 今度こそ俺もやってもらおうっ 後ちょっとで俺の番だったのに~…っ」
ヴィンが言う
「ユウヤさえ戻れば 私に意見は無い 後は ヤるなり吸うなり 君の好きにするが良いだろう ラミ」
ラミが吸血衝動を見せて言う
「あら 嬉しい…」
隊員Cが衝撃を受ける モニターに隊員Bが映って言う
『良かったねー!サッちゃん!』
隊員Cが怒って言う
「何所が良いんだよっ!お前ばっかり美味しい所だけっ!それから サッちゃん 言うなー!」
ユウヤが周囲を見渡してから疑問して言う
「あの… 1機足りないみたいですが?隊長の 貴方の分が?」
ハイケルが衝撃を受けてから言う
「いや… 私は その…」
M隊員Bがハイケルの前にやって来て言う
「少佐 少佐ぁー!アウターへ抜けるなら 少佐は また 俺の中に入っていた方が良いでありますー!少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「あ、ああ そうだな バイスン隊員 あの防衛システムを切り抜けるには 如何に 足の速い初世代の悪魔の兵士である 私であっても 容易ではない …再び世話になる」
ヴィンが言う
「悪魔の…?」
M隊員Bのハッヂが開き 隊員Bが言う
「了解 少佐ぁー!」
M隊員Aが言う
「あ、それじゃ…?」
M隊員Aのハッヂが開き 隊員Aが言う
「ユウヤさんは 俺のマシーナリーへ どうぞ」
隊員Bが隊員Aへ向いて言う
「あー アッちゃんが アッちゃんの中に誰か入れるのって 初めてだよね?それなら 俺が先に入って置けば良かったかもー?」
隊員Aが頬を染めて言う
「え?いや それは…っ それからバイちゃん その言い方は 誤解を招くからっ」
ハイケルがM隊員Bへ向かう ユウヤがその様子を見てから ヴィンへ向いて言う
「では 行って来ます」
ヴィンが微笑して言う
「ああ どうか 気を付けて …と、そうだった ユウヤ こちらを」
ヴィンがユウヤへ何かを手渡す ユウヤが疑問して言う
「これは?」
ヴィンが言う
「あちらの国の防衛が 超微電流を遮断するシステムでは無いと有れば 恐らく通じるだろう …そちらで連絡を… 私は ずっとユウヤの戻りの時を 待っている」
ユウヤが微笑して言う
「分かりました」
ユウヤがM隊員Aへ向かう M隊員Bのハッヂの前でハイケルが様子を見ている ヴィンがハイケルへ言う
「そう… 言い忘れていたが 諸君のマシーナリーが発する特殊信号を 私のシステムへと組み込んで置いた 以降は 私の製作した防衛システムが 諸君を標的とする事は無い」
ハイケルが言う
「…そうか それは助かる」
ハイケルが思う
(最も そうと言う事は…)
ヴィンが言う
「もちろん そちらにより 諸君の動きは 私には手に取るように分かるだろう そして 諸君と共に向かう 私の大切なユウヤの状態も同じく」
ユウヤが衝撃を受け手に持っているものを見て言う
「えっ?もしかして?」
ハイケルが言う
「彼を 無事に送り届ける事が 我々の任務でもある 監視をしたければ… そちらで存分に見ていろっ!」
ヴィンが口角を上げ微笑して言う
「ああ、存分に拝見させて頂こうか?」
隊員Bが呆気に取られて言う
「しょ… 少佐ぁー…?」
ハイケルが隊員Bへ向きマシーナリー内へ向かいながら言う
「問題ない 行くぞ バイスン隊員」
隊員Bが言う
「は、はーっ!了解 少佐ぁー」
隊員Bがマシーナリーのハッヂを閉じる

ART1マシーナリーたちがアウターへ向く ヴィンが見上げる ラミがヴィンを見てからマシーナリーを見る ハイケルが言う
「ART1!出動!」
隊員たちが言う
「「了解!少佐ぁー!」」
マシーナリーたちが走り出す ラミが呆れて言う
「…何だか 頼りないわね?ユウヤは大丈夫かしら?」
ヴィンが言う
「心配ない 彼らの仲間らとの合流場所は定かでは無いが 恐らく この国のアウターに置かれる半径8キロから10キロ以内と思われる そちらであるなら 私のシステムの防衛範囲となっている いざとなれば 私のシステムがアウターの脅威から ユウヤを守る」
ラミが言う
「そう…?でも 天才科学者殿は 相変わらずよね?あたしが心配しているのは ユウヤがこの国のアウターで無事かと言う事よりも 彼らの国へ到達してからの事よ?」
ヴィンがラミへ視線を向けて言う
「そちらへ対しても 抜かりは無い ユウヤは私の獲物だ 何があろうとも無事に戻られるようにと 手段は整えてある」
ラミが言う
「流石ね?それなら… ユウヤの大切な所も 欠けたりしないで ちゃんと 無事に戻って来てくれると言う事よねぇ?そこが無くなってしまっては 私にとってはユウヤも 価値が無くなってしまうもの?」
ラミが立ち去る ヴィンが苦笑して言う
「フ…ッ 相変わらず 女ヴァンパイアは品が無いな?」
ラミが遠くで言う
「何か言ったかしら?ヴィン?」
ヴィンが言う
「…いや?ユウヤは 私の獲物だ と?」
ラミが微笑して立ち去る

M隊員B コックピット内

激しい上下振動の中 ハイケルが時計を見てから言う
「防衛装置へ対する対処は無くなろうとも アウターへ出れば 制御を奪われたマシーナリーからの攻撃はある筈だ 総員 戦闘態勢を維持しろ!」
隊員Bが言う
「了解 少佐ぁー!」
通信機から隊員たちの声が聞こえる
『『了解 少佐ぁー!』』

【 アールスローン 】

オペラホール

開演前のボックス席にアースが現れる 客席にいた人々が拍手を送る アースが人々へ視線を向けた後 軽く礼をすると 後方から ユラの声が聞こえる
「オペラか… 実際に聴いた事は無いが やはり 俺には… 場違いの様な…?」
アースが振り向いた後 微笑して言う
「ここまで来て 今更 何を言っているんだ?ユラ?」
ファーストが連れて来られて言う
「そうですよ 兄上 アリアも ”ユラお兄様にお聞かせ出来る” と 喜んで居たではありませんか?」
ユラが言う
「う、うむ… しかし…」
アースが言う
「新調した燕尾服も良く似合っている それに何より 今日の演目を聞けば お前も興味が沸くだろう?」
ユラが言う
「演目… と 言われても 先ほども言ったが 俺は オペラを聴くのは今日が初めてで 演目も何も…?」
アースが言う
「今日の演目は ”アールスローン戦記”だ」
ユラが衝撃を受け言う
「…帰る」
ユラが出入り口へ向かう アースが言う
「ユラ そう 答えを急ぐな」
ユラが立ち止まって言う
「悪いが 本当に”アレ”だけはもう…っ アールスローン戦記に取り憑かれた 精神異常者を装う為とは言え 俺は10数年間も 獄中であの本を 嫌と言うほど読んで居たんだっ もはや そのタイトルさえ耳にしたくない そして ”内容”も…っ」
アースが言う
「その”内容”は 恐らく お前が今までに その目や耳にした事の無い 内容となる筈だ」
ユラが反応する アースが言う
「アールスローン戦記の原本…」
ユラが驚く アースが微笑して言う
「嫌と言うほど ”複製”を読んでいたのなら 今度こそ ”本物”を知ってはどうだ?」
ユラが振り返って言う
「まさか それをっ!?原本の内容を このオペラでっ!?」
ユラが驚いて目下の人々を見る アースが言う
「恐らく 誰も ”本物”だとは思わないだろうな?…ここに居る我々以外は」
ユラがアースを見る アースが言う
「アールスローン戦記の原本は お前も知っての通り 2つある そして その理由は…」
開始5分前の合図が鳴り響く ユラがハッとする アースが言う
「このアールスローンには ”2つの原本”に同じく その原本を与えたのは ”2人の神”であったからだ」
ユラが驚いて言う
「”2人の神”…?アールスローンの神と… …悪魔?」
アースが微笑して言う
「そうとなれば 物語は 片方だけでは完結しない アールスローン戦記を知るには 2つの原本を用意する必要があったんだ」
ユラが言う
「2つの原本を…っ!?では!?」
ユラが周囲を探す アースが苦笑して言う
「とは言え その”本人ら”は その様な事には まったく気付いていない様子だったがな?」
ユラが言う
「気付いていないとは?その様な状態で…っ!?」

舞台裏

軍曹が言う
「アリアの事は 何があろうと アリアの叔父さんであり 国防軍総司令官にして 守りの兵士である 自分が守るのである!従って アリアは安心して 歌へと打ち込めば良いのである!」
アリアが微笑して言う
「うふふっ 有難う御座いますわ アーヴィン叔父様!」
軍曹が言う
「うむ!そうして アリアも心を落ち着かせれば 歌の失敗は無いのである!」
アリアが言う
「あら?でも そちらは違いましてよ?叔父様?」
軍曹が言う
「む?そうであるのか?」
アリアが言う
「ええ!例え お歌の歌詞を間違えてしまったとしても そこに”魂”があれば 思いは伝わるのでしてよ?」
軍曹が疑問して言う
「た、魂が…?」
アリアが言う
「そうですわ!それに 演目は アールスローン戦記 この演目は アリアはもう 何十回 何百回と歌っていますの 今更間違えるなんて事はありませんでしてよ?それこそ アリアはお眠りしてしまっても 寝言で歌えるほどですわ?」
軍曹が衝撃を受けて言う
「なんとっ!それは凄いのである!」
アリアが軽く笑って言う
「うふふっ …でも 本日は お父様やお兄様は勿論 アーヴィン叔父様や ユラお兄様にも御越し頂いているのですから!アリアはしっかりと目を覚まして 魂を込めて 今までで”1番”の!最高のアールスローン戦記を 歌いますわ!」
軍曹が言う
「おお!そうである!ライブは集まってくれたファンたちの為にも 最高の物を見せる為に 全力で行い 今までで”1番”良い 演奏をするのである!ナックキラーの 元祖ギターリスト アニキの口癖であった!」
アリアが言う
「まぁ そうでしたの?最高の物を見せる為に 全力で ”1番”良い演奏を… うふふっ まるで お父様の様な方ですわね?」
軍曹が衝撃を受けて言う
「あ!そ、そうであったっ それは 秘密なのである…っ」
アリアが言う
「え?秘密?まぁっ それは… そちらも お父様の口癖ですわ?では そちらの ”何とか”キラーの”何とか”様は…」
軍曹が慌てて言う
「あ、いやいやっ それは あの その…っ!」
開始の合図が鳴る アリアと軍曹が反応し アリアが言う
「それでは アーヴィン叔父様 アリアは行って参りますわ!」
軍曹が言う
「う、うむ!行くのだ アリア!自分は ここから全力で応援して…!…ではなかった 全力で警備をしているのであるっ!」
アリアが言う
「はいっ!叔父様!」
アリアが舞台へ向かう

照明が落とされる 観客の人々とアース、ユラが見詰める先 舞台にスポットライトが照らされ アリアが現れ歌い始める

”遥か昔 この世界には 多くの人々と 多くの神が共に在った”

観客たちが呆気に取られ周囲を伺ってから再び舞台へ向く アリアが歌い続ける

”力無き 弱き人々は 群れを成し 世界の一部へと集まった この世界の西の一部に集りし… その人々は 後に アールスローンの民と呼ばれる この歌は アールスローンの民と その彼らを愛した 神々の歌である”

音楽が余情を現し 人々が歓声を上げる ユラが呆気に取られて言う
「これが オペラか …ふむ 悪くない」
ファーストが言う
「この様な歌詞は初めて聴きました」
アースが表情を強めて言う
「今までとは 冒頭から異なっている …さぁ アリア この後 我々に 何を聴かせてくれる?」
アリアが歌う

”人々の下へ降り立ちし神々は 弱く愛しき人々へ 己らの力を分け与えた 愛と平和の力を持つ神と 混沌と破壊の力を持つ神は その力を人々へと分け与えた 神の力を得た人々は 愛と平和の為に 力を使い アールスローンの地は王国へ至り 神の力は アールスローンの王国とその地に住む人々へ 永久とわの繁栄をもたらした”

ユラが疑問して言う
「2人の神は 守りの兵士と 戦いの兵士を ペジテの姫へと与えたのではなかったのか?」
アースが言う
「どちらかと言えば アールスローン戦記より アールスローン信書の内容と似通っている… 最も アリアの持つ原本は そちら側に近い もう一つの原本を持つ アーヴィンを 舞台裏へ待機させてはいるが…」
アースが舞台裏へ視線を向ける

舞台裏

軍曹が疑問して言う
「うむ?演目は アールスローン戦記だと聞いていたが?あのような内容は 自分はまったくもって 見た事も聞いた事も無いのであるが…?…はて?」
軍曹が首を傾げる

舞台

人々が不思議そうに聞き入っている先 アリアが歌う

”数百年の後 ある時代 アールスローンの国に 1人の美しい姫が現れた”

舞台裏

軍曹が反応して言う
「おお!姫の登場である!ペジテの姫とは異なるが 美しい姫の登場こそ アールスローン戦記である!」

ボックス席

ユラが言う
「アールスローンの国に姫が…?ペジテではあらぬのか?」
ファーストが言う
「兄上 政府のアールスローン信書においては 姫は アールスローン王国に居られるのですよ?」
ユラが衝撃を受けて言う
「何っ!?そうなのか!?…俺は 政府の長官兼攻長をやっていたが 正直 政府の信仰書である アールスローン信書は 見た事も読んだ事も無い…」
ファーストが軽く笑う アースが言う
「政府の信仰書 アールスローン信書は 国防軍の信仰書である アールスローン戦記の 前編であると言うのが我々の見解だが …このまま 順を追って 歌われると言う事か?」
アースが舞台へ向く

舞台

アリアが歌う
”美しき姫は 竪琴を奏で アールスローンの国と人々の繁栄を 神に感謝していた 美しき姫の姿とその歌声に 1人の神が魅了され 姫の前へと降り立つと 愛しき姫へ 惜しみない愛を与えた しかし…”

人々が注目する 軍曹が言う
「しかし?」
ユラが言う
「何が起きた?」

アリアが歌う
”神に愛されし姫は 人々からの愛を失わせた 人々は 神に愛されし姫を 僻み忌み嫌い 人々は神の愛を奪いし 姫への 暴徒となった”

人々がざわめく 軍曹が言う
「なんとっ それは大変である!しかし アリアの事は アリアの叔父さんであり 国防軍総司令官にして守りの兵士でもある自分が守るのだっ 従って 心配は不要なのであるっ アリア!」
ユラが言う
「まぁ… その人々の思いは 分からんでもないな?俺であっても その様な者を目前にすれば…」
アースが言う
「僻みや嫉妬は 何も解決させはしない 必要なのは…」

アリアが歌う
”姫は人々に怯え 己を愛する神へと お頼みした どうか 人々から自分を守る 強き 守りの力を与えて下さい”

軍曹が言う
「うむっ!任せるのである!自分が行くのである!」
ユラが言う
「守るだけでは足らぬ 必要なのは …攻撃の力だっ!」
アースが言う
「守りの力… アールスローン戦記の冒頭 守りの兵士の登場か?」

アリアが歌う
”しかし 愛と平和の力持つその神に 姫の願いを叶える力は無かった 神は もう一人の神から 力を借り受けた 姫の身は 混沌と破壊の力を持つ神により作られし 攻撃の兵士によって守られた”

軍曹が衝撃を受けて言う
「なんとっ!?攻撃の兵士とは つまり…っ!」
ユラが言う
「そうだともっ 身を守るには 攻撃の兵士… 即ち 攻長っ!」
軍曹が言う
「悪魔の兵士である 少佐の御登場である!」
アースが言う
「攻撃の兵士… それは 攻撃の兵士と悪魔の兵士の その どちらであったのか… …いや 今はその事よりも ここで重要なのは 守りの兵士ではなく 攻撃の兵士が先に現れていると言う事だ」

アリアが歌う
”嗚呼… 戦いの歴史は 再び始まった 姫への嫉妬に始まりし 戦いの中で 人々からは 神により与えられし 愛と平和の力が失われようとしていた 姫は憂い 深い悲しみに打ち拉がれた 神もまた 姫の悲しみに 己の行いを嘆くと 愛する姫の為 己の持つ神の力を 2つに分け アールスローンの何処いずこへと落とした …その1つは アールスローンが その名を得るより前に眠らされし 古代王国ペジテの王 その子孫の身へと託された”

軍曹が驚いて言う
「なんとっ!?」
ユラが言う
「古代王国だとっ!?ペジテは 古代の王国であったのかっ!?」
アースが視線を強める 観客たちがざわめく

アリアが歌う
”愛と平和の力を持つ神により その力、1つを受け取りしペジテ王の子孫 …姫は ペジテ王の子孫の下へと逃れた しかし かの者の力は 争いを収める力には至らず 子孫は伝えた 我が譲り受けし この力では 姫を守るには至らず 我は求む 姫を守る強き守りの力を”

アースが言う
「守りの力…」
ファーストが言う
「では 守りの兵士は 姫ではなく ペジテ王の子孫が神へ願った と言う事でしょうか?」

アリアが歌う
”子孫の願いは 神へは届かず… されど 子孫の願いは神の力を授かりし人々へ 再び力を与えるに至った 混沌と破壊の力を持つ アールスローンの民により ペジテ王の子孫の下へは もう一人の攻撃の兵士が現れた 人々へ力を戻した 人の神ペジテ王の子孫の 力となる為に”

ユラが言う
「人の神… ふむ 確かに 一度は与えられた神の力 それを再び与えたとあれば 人であっても神に等しいと… その様に 思われると言う事だな?その思いは 俺にも…」
アースが言う
「神に作られた攻撃の兵士と それを真似て 人に作られた攻撃の兵士 …これで 2つの アールスローン戦記の原本にある 2人の悪魔の兵士が登場した …そうとなると 政府の親兵攻長とは?その どちらかの攻撃の兵士の事だったと言う事か?」

アリアが歌う
”姫の身は ペジテ王の子孫と2人の攻撃の兵士に守られた しかし 収まらないアールスローンの戦い 姫は悲しみに暮れ 決意を固める 争いの元とある 己を消し去る事を…”

観客たちが驚き アースたちも驚き顔を向ける 

アリアが歌う
”姫の決意は固く 姫を守ると誓いしペジテ王の子孫は その決意に従う ”願わくば我を再び神の下へ” 姫の最後の願い されど ペジテ王の子孫には神との誓いが その身に受けし 神との誓いがある限り 姫を危ぶませる事は叶わず 子孫は 己が友へ 姫を託した その友は 強き人の騎士と在り 彼は誓った 我らが 人の神ペジテ王の子孫 貴方との誓い 必ずや成し遂げよう”

ユラが言う
「む?強き人の騎士?それに…」
アースが言う
「なるほど 古代王国ペジテ王の子孫である その者の友人にして 騎士と言うのでは 間違いない 彼こそが…  親兵攻長」

アリアが歌う
”嗚呼… 幾多の苦難を乗り越え 遂に戻りし姫の城 されど 如何なる事か 神はその身を アールスローンの地へと… 姫が愛した その地へと捧げていた 神の想いは 姫の想いを越え 姫の愛すべき人々を永遠に守らん 姫は願った 我が願いを叶えし 愛しき貴方様の下へ 我が魂を共に… 姫の願いは届いたのか?姫は再び立ち上がり アールスローンの何処へと 消え行った 人々の記憶と共に …忘れ去られし 愛と平和の力持つ神は 今も この地を アールスローンを守っている 美しき1人の姫の 記憶と共に…”

アースが視線を強めて思う
(これが アールスローン戦記の真実…っ)

音楽が高まる 客席がスタンディングオベーションで埋まる アリアが歌い終えると ふと疑問して周囲を見渡してから ボックス席を見上げる ボックス席にいるアースが拍手をしている アリアが微笑し礼をする 舞台の照明が落とされる 歓声が更に高まる

【 ART本部 司令塔 】

オペ子が言う
「警空第二部隊 間もなく アウター目標地点へ到達」
グレイゼスがモニターを見詰めている モニターに音声表示がなされ スピーカーから声1が聞こえる
『警空第二管制 応答を!こちら警空第二部隊 アウター目標地点へ到達した!』
スピーカーから声2が聞こえる
『こちら警空第二管制 警空第二部隊 了解だ そちらの目標地点地上に ART第一機動部隊が到着している筈だが 目視にて確認は出来るか?』
スピーカーから声1が聞こえる
『目視にて 目標地点地上には… … … こちらから確認出来るのは アウターに置かれる 通常のマシーナリーと思われる 敵マシーナリーのみ!ART1の姿は… 確認出来ないっ』
オペ子が一瞬驚いてグレイゼスへ向く グレイゼスがモニターを見る視線を強める スピーカーから声2が聞こえる
『現時刻は1445 合流時刻は1500とされている 警空第二部隊は 合流予定時刻まで上空にて旋回待機 逐一地上の様子を確認し 彼らの姿を探し出せ!』
スピーカーから声1が聞こえる
『警空第二部隊 了解!』
グレイゼスが言う
「…急げよ ハイケルっ」


続く
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