上 下
10 / 55
14章

アールスローン戦記Ⅱ 異国の美女と女神との接触

しおりを挟む
DD6たちが上空で大きく旋回すると 再び アールスローンへ飛び去って行く ハイケルがそれを見て目を細めて言う
「次に彼らが 我々を 回収に来る日時は」
ハイケルが腕時計を見て言う
「3日後のこの時間… タイムリミットは72時間」
ハイケルが腕時計のセットを行う M隊員Aがやって来て言う
「少佐!ART1マシーナリー 全機無事 着陸しました!」
ハイケルが言う
「了解 では 早速 お前たちへ作戦を伝える 我々ART1は 総員この場所より」
隊員たちが真剣な表情で注目する ハイケルが言う
「強行突入を開始する」
皆が驚き言う
「「えっ!?」」
M隊員Bが言う
「了解 少佐ぁーっ!」
M隊員CがM隊員Aへ向いて言う
「りょ、了解!…するのか?」
M隊員Aが言う
「え?えっと…?」
ハイケルが言う
「我々の目標地点までは 今までに数回 政府航空局による最新鋭偵察機を用いての接触を試みたとの事 しかし それらは全て 失敗に終わったとの報告だ そうとなれば 残る手段は2つ 引くか攻めるか しかし 相手は 引く相手は追って破壊する行動が確認されている そうとなれば 我々に残された手段は 1つだ」
隊員たちが沈黙する ハイケルが言う
「私の作戦に 従えない者は この場所にて 72時間後に来るであろう 彼ら警空の迎えを待て 私の作戦に従う者は 私と共に向かう …強要はしない 各自 選べ」
ART1マシーナリーたちが顔を見合わせる M隊員Bがハイケルの前に行って言う
「少佐ぁ 少佐ぁー!突入するなら 少佐もまた 俺の中に入ってた方が 安全でありますー!少佐ぁー?」
ハイケルがM隊員Bへ向いて言う
「そうだな 如何に足の速い 初世代の悪魔の兵士である 私であっても マシーナリーの加速には敵わない バイスン隊員 世話になる」
M隊員Bが言う
「了解!少佐ぁー!」
ハイケルがM隊員Bの手の平に乗る 隊員Aが苦笑して言う
「バイちゃんと少佐は相変わらずだし…」
隊員Cが言う
「まぁ… 少佐が無茶苦茶なのも 今更か…」
M隊員Bのコックピットの前で ハイケルが皆を振り返って言う
「答えは決まったか?」
皆が敬礼して言う
「「了解!少佐ぁーっ!」」
ハイケルが微笑すると コックピットが開かれ 隊員Bが微笑する

【 ART本部 司令塔 】

グレイゼスが言う
「そろそろART1の作戦が開始される頃か…?」
マスター2が言う
「ART1の作戦は 強行作戦なんだろ?いくらハイケル少佐の下に集った 元国防軍の精鋭たちだって そう簡単には受け入れられないだろな ハイケル少佐は… どう説明をするんだ?こんな作戦とも言えない 無謀な作戦を…」
グレイゼスが言う
「いんや?俺の予測だと… あいつは大した説明はしないね?」
マスター2が驚いて言う
「えっ?」
グレイゼスが言う
「危険時には それこそ 各自でその場その場に応じた対処をしなければならない もし説明をするとしたら それら1つ1つを説明する必要に迫られるって事だから それが分からない現状では 説明は無理だ そうとなれば 残る方法は1つ!」
マスター2が言う
「それは?」
グレイゼスが言う
「俺を信じて 付いて来いー!」
マスター2が呆気に取られて言う
「なぁっ!?…まさか そんな…?」

【 ART1 】

ハイケルが言う
「ART1 行くぞ 私を信じ付いて来い!」
隊員Bが言う
「了解!少佐ぁーっ!」
M隊員Cが衝撃を受け言う
「りょ、了解!少佐ぁーっ!」
皆が言う
「「了解!少佐ぁーっ!」」
ハイケルが振り向いて言う
「バイスン隊員!」
隊員Bが操縦桿を操作して言う
「了解 少佐ぁーっ!とーつげきーっ!」
M隊員Bが加速する 皆が続く

M隊員Bを先頭に ART1マシーナリーたちが滑走する 周囲の装置が起動し 次々にミサイルが発射される ハイケルが言う
「総員!ビフォアーバーストショットを狙え!」
M隊員Cが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?そ、そんな事!?」
M隊員Aが言う
「了解!少佐ぁーっ!」
全員が加速したまま M隊員Aが銃を構える ART1マシーナリーたちが銃を構え 降り注いで来るミサイルへ銃を撃つ 隊員Cが言う
「こ、こうなったら もう!」
M隊員Cが上空へ銃を放ちながら言う
「ヤケクソだーっ!」
周囲でミサイルが爆発する

【 ART本部 司令塔 】

グレイゼスがマップを示しながら言う
「そうやって 襲い来るミサイルを 銃弾にて撃破し ART1は 無事 未知なる国のアウターサイドまでたどり着くだろう だが、本当に分からないのは ここからだ」
マスター2が言う
「いや、それ以前に… ART1はその迎撃ミサイルによって 全滅するって言う可能性も有るんじゃないか?銃弾でミサイルを捕らえるなんて そもそも 神業と言われる技術だろう?」
グレイゼスが言う
「そりゃ… 人の技術でやるんならな?」
マスター2が疑問して言う
「うん?…って事は?」
グレイゼスがコンソールを操作して言う
「あいつらのマシーナリーには 最新のミサイル迎撃ユニットを組み込んで置いた これなら… 後は 彼ら自身に その気さえあれば 彼らの持つキーネックレスのナノマシーンたちが ユニットシステムを展開させてくれるだろう …大丈夫だ 彼らのキーネックレスに使われたナノマシーンたちは それくらい 優秀さ?」
マスター2が言う
「そうだな?まぁ この俺の持つ ナノマシーンが入っている キーネックレスを持つ隊員は 無事だろうな?」
グレイゼスが言う
「ああ!なんて言ったって キーネックレスには 3人分の魂の欠片が入ってるんだ 万が一 お前のナノマシーンが入っていても 他の2つの魂の欠片が フォローしてくれるだろうさ?」
マスター2が衝撃を受け言う
「おいっ そりゃ どういう意味だ!?」
グレイゼスが笑って言う
「プクク…ッ」

【 ART1 】

マシーナリーたちが倒れている M隊員Bからハイケルが降り立ち 携帯型装置を使い周囲を確認した後 振り返って言う
「よし、この周囲の環境は アールスローン国内と同様だ 総員 マシーナリーを降りろ ここからは マシーナリーを用いずに 国内の探索へ向かう」
マシーナリーたちのコックピットが開き 全員がくたびれた様子で言う
「「りょ、了解 少佐ぁ~…」」
隊員Cが言う
「俺ら… 生きてるのか…?」
隊員Nが言う
「奇跡って あるんだな…?」
後方には 爆撃によって破壊された荒野が広がっている

【 ユルス城 】

装置に異常を知らせるランプが点滅する 紳士が驚き視線を向けると 装置の操作をしながら言う
「…まさか?いや しかし 間違いない …アウターの防衛装置が突破された」
少年が呆気に取られて言う
「防衛装置が!?」
紳士がモニターを見ながら言う
「…しかも この反応は?」
少年が言う
「突破されたって?それじゃっ 本当に奴らが!?アウターの!?」
紳士が装置を操作していて言う
「いや アウターの機械人形ではなく このサーモ数値… 間違いない 私の作り上げた 対アウター機械兵迎撃装置を潜り抜けた人間が 国内へ…」
少年が言う
「人間が…?どう言う事だよ?だって アウターに人は居られないんじゃ?」
紳士が視線を強めると言う
「アウターに人間は存在出来ない しかし ともすれば…?……そうとなれば 確認をしなければ…」
少年が言う
「確認って… なんか 思い当たる事が有るって事か?なら… その確認をするならアウターへ行くって事だよな?けどさ?今日はこの後 まだ…」
紳士が言う
「確かに いくら急を有する事態とは言え 招待状を与え それに応じるとした者が この後 もう直ぐに来てしまうだろう となると 今 唐突に 私がここを離れる訳にはいかないと言うもの しかし…」
少年が言う
「だったら 誰か他の奴に 向かわせるって言うのは?親父に言って 警察へ指示を送ろうか?」
紳士が言う
「いや アウターの事は警察には知らせていない そちらを行なうには まだ 時期尚早と言うもの …それに何よりも この私が作り上げた あのシステムを潜り抜けるほどの者が相手となれば 人間の警察では太刀打ちが出来ないと言う事も示唆される …そうとなれば」
紳士が機械を操作する 少年が言う
「それじゃ… やっぱ 俺たちが?」
紳士が言う
「いや、どうやら 丁度良い事に その者らの前には 我々の仲間が居る様だ 相手が何であれ 時間稼ぎにはなる」
少年が言う
「時間稼ぎを?じゃ… その間に?」
紳士が微笑して言う
「ああ、我々は この事を ゲートキーパーズのリーダーへ お伝えしよう」
少年が呆気に取られて言う
「ゲートキーパーズに?しかも リーダーって…」

【 ART1 】

ハイケルを先頭に隊員たちが進軍している 隊員Aが言う
「あの… 少佐?」
ハイケルが言う
「どうした アラン隊員?」
隊員Aが言う
「いえ… その… 本当に マシーナリーは アレで大丈夫なんでしょうか?やっぱり 何かもっと…?それに 見張りに誰かを置いた方が 良かったのでは?」
ハイケルが言う
「問題ない あの技術は 古くから大和国にて使われている技であり…」

【 マシーナリー置き場 】

マシーナリーたちが手に木や岩などを持ち 自然と同化しているつもりで置かれている

【 ハイケルと隊員たち 】

ハイケルが言う
「周囲の草木と同化させ 身を隠すと言う 最も多くの者が使用する 最も信頼されている 迷彩技術の1つだ」
隊員Cが言う
「それはつまり 最も人に知られている迷彩技術の1つ って 気もするんだが…?」
隊員Aが苦笑する 隊員Bが言う
「すっげーっ!さっすが 少佐ぁーっ!」
隊員Aが苦笑して言う
「ま、まぁ… 何もしないよりは …良いんじゃないか?」
隊員Nが言う
「何もしない方が その恥もかかないで済む気がしねぇ…?」
隊員Iが苦笑して言う
「っはは… た、確かに?」
隊員Bが疑問して言う
「えー?さっきから 何言ってるのー?皆ー?俺は 少佐が言うならー!」
ハイケルがふと気付き足を止めて言う
「静かにっ」
皆が驚き 隊員Bが言う
「え…?少佐ぁ?」
ハイケルが言う
「何か聞こえる… 恐らく 人の声だ」
隊員たちが驚き耳を澄ますと ハイケルがゆっくり進んでいく 皆が続く

【 美女と男 】

美女が喘いで言う
「あ…っ あ…っ ん… 良いわ もっと… あ~ん 痺れちゃうわぁ~?」
近くの草木が僅かにゆれ ハイケルと隊員A、Cとその他隊員が覗き込むと 隊員たちが衝撃を受ける

【 ハイケルと隊員たち 】

ハイケルが草木の陰から身を離すと言う
「人物を確認」
覗いた隊員たちが苦笑して言う
「た、確かに確認」
隊員Aが苦笑して言う
「確かに… ちょっと~ 場が悪かったみたいだけど」
隊員Bが疑問して言う
「え~?場が悪いって~?やっぱ 俺もー?」
隊員Bが覗こうとすると隊員Aが慌てて抑えて言う
「だ、駄目だよ バイちゃんっ 今は…っ!」
隊員Bが言う
「今はってー?何でー?」
隊員Aが言う
「そ、それは… …サキに聞いてくれ」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「何で俺に回すんだよっ!?」
ハイケルが言う
「現状では敵か味方かの判断は付きかねるが」
隊員Bが疑問して言う
「えー?」
隊員Aと隊員Cが苦笑して言う
「確かに それは…」 「ああ …けど」
ハイケルが言う
「どちらにせよ まずは接触を図ってみない事には始まらない よって… 我々はこれより 対象への接触を図る お前たちはこちらで待機して居ろ まずは 私が1人で向かう …作戦開始」
隊員たちが慌てて言う
「え!?い、今!?」「ちょ、ちょっと待った!少佐っ!?」 「少佐ぁーっ!?」
隊員Aが慌てて言う
「少佐っ!今は流石にっ もう少し待った方がっ!」
ハイケルが言う
「何故だ?その間に ターゲットが移動するという可能性も」
隊員Cが言う
「そうだとしても 今はまずいですって!」

【 美女と男 】

美女が気付くとハイケルたちが居る方へ視線を向けて言う
「あら…?この感じ…?」
美女に襲い掛かっていた男が美女へ言う
「も、もうっ 我慢出来ねぇっ!イクぜ!?」
美女が言う
「ダメよ?」
男が疑問して言う
「え?だって 一緒にここまでくれば やらせてくれるって?」
美女が言う
「ええ だから ここまでで お・し・ま・いよ?」
美女が男の体に腕を回し首元に顔をうずめる 男が不満そうに言う
「い、いいじゃねぇか?ここまで来たら 最後までっ!」
美女が言う
「もう… 仕方が無いわね?それなら これで…」
男が目を見開いて言う
「…うっ!?」
男が美女の豊満な胸に顔を押し付けられながら言う
「あっ!?ああぁーっ!?」

【 ハイケルと仲間たち 】

ハイケルが言う
「何故だ?ターゲットは 現在 我々の前方30メートルの地点に置いて」
隊員Bが言う
「前方30メートルの地点に置いて~?」
隊員Aが表情を困らせながら言う
「置いて… なぁ?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「お、俺に言わせる気かっ!?」
隊員Bが疑問して言う
「少佐ぁー?ターゲットがどうかしたのでありますかー?少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「ターゲット1は恐らく女性 そして ターゲット2は 男性と思われる 両2名は現在…」
隊員たちが慌てる 隊員が言う
「まさかっ!?」 「言う気かっ!?少佐はっ!?」
隊員Bが疑問して言う
「あれー?もう一人居たのでありますねー?少佐ぁー?それでー?」
草むらの向こうで音がする 皆が反応し ハイケルが振り向く

【 美女と男 】

美女が唇を舐めてから言う
「おしまいって言って上げたのに 早漏な貴方が悪いのよ?アタシは今度でも良かったのに… でも… そうね?他の獲物が手に入るのなら もう貴方の相手は それこそ お・し・ま・い よ…」
美女が微笑する

【 ハイケルと仲間たち 】

隊員Bが言う
「接触を図るって事はー!声を掛けるって事でありますよねー!?少佐ぁー!?それなら その作戦は 俺がやるでありますー!少佐ぁーっ!」
隊員Aが慌てて言う
「あぁあ!バ、バイちゃんっ!?」
ハイケルがハッとして言う
「…それもそうだな 初めて接触を図るとなれば 初対面の者とも気軽に対話が可能である バイスン隊員の技が 役に立つかもしれない …よし バイスン隊員」
隊員Bが言う
「はー!少佐ぁー!」
隊員たちが慌てて 隊員Aが言う
「いやっ その前に!待って バイちゃ…っ!」
ハイケルが言う
「作戦開始」
隊員Bが言う
「了解!少佐ぁー!」
隊員たちが慌てて言う
「だからっ」 「い、今は」 「作戦は開始しちゃ…っ」 「だ、駄目ぇー!?」

隊員Bが草を掻き分けて言う
「やっほー!俺はー!…っ!?」
隊員Bが驚く 隊員たちが慌てて 隊員Aが言う
「バ、バイちゃんっ!」
隊員Cが言う
「や、やばいっ!」
隊員Bが驚き呆気に取られた状態で言う
「う、うっわー…」
隊員たちが隊員Bの背に注目する

【 美女と男 】

美女が隊員Bへ微笑して言う
「ハァ~イ?可愛い 坊やね?このアタシに 何かご用かしらん?」
美女が長い髪を払う 隊員Bが叫ぶ
「すっげー 超ナイスバディの おねーさーんだー!」
覗いていなかった隊員たちが叫ぶ
「「何ぃいーっ!?」」
隊員たちが総崩れで草むらから雪崩れ込んで言う
「のあーっ!?」
美女が微笑して隊員たちを見て言う
「あら…?思っていたより 大勢ね…?貴方方全員を ご満足させてあげる事が 出来ると良いのだけど…?」
美女が悩殺ポーズをキメる 隊員たちが目を輝かせて言う
「「おぉおーっ!?」」
ハイケルが沈黙した後 視線を向けた先 男が倒れている

【 ART本部 司令塔 】

グレイゼスが操作するPCのモニターに複数の点が表示されている マスター1が言う
「生命維持装置の信号を確認 と言う事は…?」
グレイゼスが言う
「ああ、どうやら ART1の連中は 無事 目的地への侵入を 成功させたらしい」
マスター1が言う
「進入は成功したかもしれないが 生命維持装置の信号だけじゃ 無事かどうかは分からないだろう?」
グレイゼスが言う
「いや、大丈夫だ この移動の仕方は… 隊長のハイケルを先頭に 隊員たちがいつも通りの陣形で動いている この状態こそ ART1の全員が無傷で… もしくはそれに近い軽症程度で 無事である証拠だ」
マスター1が一瞬呆気に取られた後苦笑して言う
「なるほどな?伊達に 10何年間 あいつらを見てきただけの事はあるか?元国防軍レギスト駐屯地情報部主任殿?」
グレイゼスが微笑して言う
「そう言う事~!」
マスター1が言う
「だからこそ あっちは あちらのプロフェッショナルを お呼びしたって事か?」
マスター1が顔を向けると 警機情報局員が言う
「ラミリツ隊長 及び ART2隊員 目的地への無事到着を確認」
シェイムが言う
「無事と言う事はっ!?着陸による怪我なども ないと言う事ですねっ!?」
警機情報局員が言う
「はい …恐らく」
シェイムが慌てて言う
「恐らくとはっ!?通信はっ!?もしくは それらが分かるようなっ 何かしらは無いのですかっ!?」
警機情報局員が苦笑して言う
「通信はもちろんですが ART2の現在地は このアールスローン帝国の遥か彼方ですので …こうして 生命維持装置の発信を キャッチ出来ると言うだけでも ギリギリで それ以上は…」
シェイムが心配そうに言う
「で、では…っ」
警機情報局員が言う
「しかし、この信号の動きからして 恐らく… いえ、確立で言えば95%近く 攻長閣下やART2の皆は 無事です …どうか 長年彼らGPTと作戦を共にしてきた 私の見立てを信じて下さい マスターシュレイゼス補佐官」
シェイムが呆気に取られた後言う
「そ、それは…」
グレイゼスが言う
「信じられないのか?マスター?長年 弟さんと作戦を共にして来たと言う ラミリツ攻長が信頼を寄せている 仲間の言葉を」
シェイムが反応し視線を泳がせてから言う
「そ、そうですね… 分かりました 私も… その貴方を 信頼します!…ので 出来うる限りの 援護を…っ」
警機情報局員が言う
「有難う御座います マスターシュレイゼス補佐官 …共に マスターの皆さん」
グレイゼスとマスター1が微笑する 警機情報局員が苦笑して言う
「とは言いましても 本当に この信号は ギリギリの受信状態なので 援護などが出来ない事は元より もし この先 何らかの電波障害を受ければ この信号さえ 途絶えてしまうと言う可能性も…」
警機情報局員の前にあるモニターの信号が点滅した後消える 皆が呆気に取られる シェイムが衝撃を受け慌てて言う
「き、消えてしまいましたがっ!?」
警機情報局員が呆気に取られた状態から苦笑して言う
「あぁ… やはり… この以前に向かわれた フレイゼス外交長の時もそうだったのですが どうやら あちらのお国に備えられていると言う 灯魔力による結界と呼ばれるモノの内側に入られますと 生命維持装置の信号も捕えられなくなってしまうのです ですから これで…」
シェイムが慌てて言う
「ど、どうするのですかっ!?これでは 彼らの生命の確認がっ!?エーメレスが無事であるかと言う事が 分からないではありませんかっ!!」
警機情報局員が困りながら言う
「あ、いや、はい… それは そうですが しかし~…」
グレイゼスとマスター1が呆気に取られた状態から グレイゼスが苦笑して言う
「マスターシュレイゼス… いや、シェイム・トルゥース・メイリス殿」
シェイムがグレイゼスを見る グレイゼスが苦笑して言う
「弟さんは大丈夫さ?」
シェイムが慌てて言う
「何故 そうと言い切れるのです!?貴方だって そちらの受信信号を 確認しているではありませんかっ!?」
グレイゼスが言う
「こっちは 未接触の国へ接触を試みる作戦だ おまけにその相手国からは 以前に迎撃を受けていた事に加え ART1の彼ら自身も 先ほどまで迎撃を受けていた そこへ進入したとなれば 心配は尽きないが …そちらは」
シェイムが反応する グレイゼスが微笑して言う
「既に我々との接触が図られており 交渉の方は兎も角として それ以前の状態に関しては 既に 成功を収めている それも… 優秀な政府外交長 フレイゼス殿の手腕によってな?だったら… その国へ無事到着して進入した ラミリツ隊長率いるART2は 大丈夫だろう?」
シェイムが表情を困らせつつ言う
「それは… 確かに そうですね 既に接触が図られ フレイゼス殿の外交によって あちらの使者を アールスローンへお迎えもした 今となれば…」
マスター1が苦笑して言う
「そうですよ 今更… ただ遠いと言う事が理由で 通信は繋がらないが 心配なんてものは 最初から」
シェイムが表情を落ち着かせ苦笑して言う
「それも そうで…」
グレイゼスが嬉しそうに言う
「最もぉ~!?ラミリツ攻長がぁ~?それこそ!政府攻長としての任務 外交を 失敗させちまったら~!?そっちの保障も無くなっちまうけどなぁ~!」
シェイムが衝撃を受けて言う
「な…っ な…っ!?なぁあっ!?」
マスター1が呆気に取られて言う
「マ、マスターグレイゼス?折角 アイツを安心させてやるつもりだったのに 何で…?」
グレイゼスがハッとして言う
「ん?…あれ?…今 俺 …何か言ったか?」
マスター1が呆気に取られる シェイムが怒りを発散して言う
「グ… グレイゼスーッ!」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「は?」
マスター1が苦笑して言う
「ナノマシーンの悪戯 …か?」

【 ART2 】

Mラミリツが周囲を見渡してから ラミリツが言う
「…どうやら この周囲に異常電波は無いみたいだけど」
ART2マシーナリーが言う
「しかし、こちらの国の使者であった シュテーゲル殿のお話によりますと この辺りは”アウターサイド”と呼ばれる地域であり 時には 我々が異常電波と呼んでいるその影響と 近い現象が起きうる地域であるという事です」
ラミリツが言う
「あぁ そう言えば そうだったけ?さっきアールスローンとの信号が途切れたから 安全区域に入ったんだと思っちゃったんだけど …それじゃ マシーナリーを置いておく場所は もっと彼らの国の近くの方が良いかもね?ここだと もしかしたら …野生の動物なんかに悪戯されちゃうかも知れないし?」
Mラミリツの近くを野生の動物が走り去る ラミリツが微笑する ART2マシーナリーが言う
「そうですね それら野生の動物たちが 異常電波の影響を受け この国の村へ人々を襲いに来る事もあるそうですから マシーナリーへの悪戯も 有り得るかもしれません」
ラミリツが驚いて言う
「え?動物が 人を…?」
ラミリツの脳裏に以前のサーカス事件の様子が思い出され ラミリツが一度視線を落とす ART2マシーナリーがMラミリツを見て言う
「…隊長?」
ラミリツがハッとして気を取り直して言う
「あ、うん いや、何でもない …それじゃ もっと人の住む地域へ近付こう シュテーゲル殿が先に この国の人々へ 僕らの事を伝えておいてくれるって 約束してあるから」
ART2マシーナリーが言う
「了解 隊長 …では このまま北東へ直進という事で?」
ラミリツが言う
「うん、そうだね 正確な位置は分からないけど 少なくとも上空から見た感じなら それでこの国の郊外の 何処かの村に到着するはずだ」
Mラミリツが足元の木の根を跨いで言う
「この地面じゃ 車輪走行は無理だから 歩行にて ART2 前進せよ!」
ART2隊員らが言う
「「了解 隊長!」」
ART2マシーナリーたちが歩行で移動する

【 ART1 】

隊員たちがソファでくつろぎ笑う 周囲を女たちにもてなされている

別室

美女がコップにオレンジジュースを注ぎながら言う
「あら?てっきり お酒の飲めない 子供なのかと思ったわ?」
ハイケルがソファに座った状態で衝撃を受けて言う
「悪かったな 現在は 任務中であるため アルコールは飲まないと それだけだ」
美女がテーブルに飲み物を置くと ハイケルの体に腕を絡めながら言う
「真面目な隊長さんね 確か 少佐だって言ってたかしら?子供に見えちゃうほど若いのに… 立派なのね?」
美女が誘惑するようにハイケルの体に触れる ハイケルがその行動に不満そうに言う
「…私は この国の事について 話を聞かせて欲しいと頼んだ筈だが?」
美女が微笑して言う
「そんなに急かさなくても良いじゃない?折角 そんな異国から来た貴方と出会えたのだから 私だって 貴方の事を知りたいわ~?」
ハイケルが言う
「情報交換か 良いだろう そちらの情報を得ようというのなら こちらも それを提供するのが道理だ では先に 我々の国は この場所から約5000キロ北西にある アールスローン帝こ… くっ!?」
美女がハイケルにキスをする ハイケルが驚いた後 離された口で言う
「…口を塞がれては 伝えようとする情報を 話せないのだが?」
美女が言う
「情報は 口じゃなくて 身体で伝え合えば良いのよ …ねぇ?そうでしょう?」
美女が服を脱ぐ ハイケルが沈黙して言う
「…我々アールスローン帝国の者は 情報は 言葉を用いなければ 伝える事が出来ない それは… ナノマシーンにて伝達を行う マスターたちでさえ同じだ 従って 私は身体ではなく 言葉で伝えてもらいたいのだが?」
美女が呆気に取られて言う
「この私の色気に 落ちないだなんて…?」

【 ART2 】

ART2マシーナリーたちが歩いている ラミリツが軽く息を吐いて言う
「マシーナリーは この大きさが戦闘時に置いては優位だけど こういった入り組んだ森を抜ける時には ちょっと面倒だね…?」
モニターに映るシュナイゼルが言う
『こちらの国は マシーナリーによる襲撃ではなく 元から居た野生動物が異常電波の影響で 凶暴になっていると言う事ですから ともすれば 動きが制限される こちらの方が不利かもしれません』
ラミリツが言う
「うん… だけど、マシーナリーに乗ってないと 僕らもその異常電波で 洗脳されてしまうかもしれないから やっぱり マシーナリーは必要だし… そうだね 僕らは不利かもしれない」
ラミリツが考えながら言う
「何か作戦を考えないといけないかな…?…とっ!?」
Mラミリツが足を止めると その足の下をウサギが逃げ去る ラミリツが微笑して言う
「…危なかった …異常電波の影響を受けた動物は 目に見えた生物を襲う 対する 異常電波の影響を受けていない動物たちは 闇雲に襲い掛かっては来ない… つまり こっちに気付いても逃げて行くのは 正常な証拠だから 極力 助けてあげたいよね?」
ART2マシーナリーがMラミリツの横に来て言う
「とは申されましても その正常な動物も 異常電波を受ければ 同じ事です… 最悪 この森に住む動物を 全て排除する事になるのでしょうか?」
ラミリツが表情を落として言う
「それは… 辛いね 動物たちを助ける方法があると良いんだけど それは…」
ラミリツの脳裏にサーカス会場での出来事が思い出され ラミリツが息を吐いてから 顔を左右に振って言う
「いや 今はそれよりも 自分たちの任務を成功させよう その為にも 早く この国の人たちと接触して…」
ラミリツの耳に悲鳴が聞こえる
『キャァアーーーッ!』
ラミリツが驚いて言う
「…え?悲鳴?…こんな所で!?しかも…!?」
ラミリツが計器を操作しながら思う
(女性の声…?)
ラミリツが気付く モニターに発信が表示される ラミリツが言う
「人と識別される熱源反応をキャッチしたっ ART2 直ちに 援護へ向かう!」
隊員たちが呆気に取られつつハッとして言う
「「りょ… 了解 隊長!」」
ART2マシーナリーたちが走り出す

Mラミリツが抜き身出て森を走り抜ける ラミリツがモニターを見ながら言う
「ターゲットまで40メートル!…30!20!10!…ここだっ!周囲確認っ!」
Mラミリツが到着して周囲を見る ラミリツがハッと気付くと 1匹の熊がMラミリツに驚くと逃げ出す ラミリツが呆気に取られた後言う
「…え?熊?」
ラミリツが軽く息を吐いて言う
「なんだ~ 熊かぁ…」
ラミリツがシートに身を沈めてからふと思い出して言う
「…あれ?けど 熱源反応は誤認としても …あの 悲鳴は?」
ラミリツがモニターを見ると すぐ近くに反応がある ラミリツが疑問して Mラミリツが自分の下を見下ろすと 女性が地面に座り込んだまま振り返っていて 恐怖に怯えて言う
「…あ …あぁ…っ」
ラミリツがハッとして言う
「ひ、人だ!こんな所に!?やっぱり居たっ!」
ラミリツが女性の足にある怪我に気付き言う
「怪我をしている…っ 君!大丈…!?」
Mラミリツが女性へ手を向ける 女性が強く目を閉じて悲鳴を上げる
「ウィザードさまーーっ!!」
ラミリツが驚いて言う
「わあっ!?何っ!?…ん?あれ?今 ウィザードって?それは 確か この国の…?」
ラミリツが呆気に取られると レイの声が聞こえる
「マリアー!」
ラミリツが声に顔を向けると驚いて言う
「なっ!?嘘っ!?あれはっ!?」
ラミリツの視線の先 大きな光の翼を背にした天使のレイが猛スピードで飛んで来る ラミリツが呆気に取られて言う
「帝国の 皇帝っ!?」
レイが言う
「マリア!!」
レイがマリアの前に降り立つと同時に 天使の姿からウィザードの姿へ変わる ラミリツが呆気に取られて言う
「えっ!?あ、あれ…っ!?…変わった?」
ラミリツが目をこすってから モニターを見直して言う
「お、可笑しいな 見間違えた?…いや でも 確かに…?」
ART2マシーナリーたちが到着する

【 ART1 】

美女が言う
「良いのよ?我慢なんてしないで… 貴方の思うままに… 欲望のままに… …ねぇ?貴方は私に… 何をして欲しいのかしら?」
美女がハイケルの顔へ唇を寄せると ハイケルが言う
「では 言うが …さっさと服を着て この国の事を 教えてもらいたい …それが私の欲望だっ!」
美女が全裸の状態で衝撃を受け 顔を背けて言う
「…可笑しいわ 薬を使っても 私の色気に落ちないだなんて …もしかして 他国の人間には効かないのかしら?」
美女が手に隠し持っている試験管を見る ハイケルが言う
「何の話だ?」
美女が慌てて言う
「い、いいえっ!?何でもないわ?…それより~?」
ハイケルが立ち上がって言う
「もう結構だ」
美女がハッとして言う
「ちょっとっ!?」
ハイケルが言う
「何をしたいのか知らないが そちらに情報交換の意思が無いと言うのであれば 他の住民を探すまで 私は失礼させてもらう」
美女が言う
「あんっ!待ってったらっ!お願いよぉ~?」
美女がハイケルに寄り添う ハイケルが部屋のドアを開けた状態で呆気に取られて言う
「これは…っ?」
ハイケルの視線の先 隊員たちは酒と女に溺れている 美女がひそかに言う
「あら?やっぱり普通なのね…?それじゃぁ… この子だけが 可笑しいのかしら?」
ハイケルが言う
「どう言う事だ?私の隊員たちが… 可笑しくなっている」
美女が怒って言う
「可笑しいのは アナタよっ!」
隊員Cが幸せそうに言う
「おっぱいが いっぱい~」
隊員Nが酔っ払って言う
「さいこ~!」
隊員Bがハイケルを見ると ハイケルがダブって複数人に見える 隊員Bが言う
「あれー?少佐もいっぱい~?さいこー!」
隊員Nが衝撃を受けて言う
「いやっ それは 最高じゃねぇから!…って あれ?俺 何やってたんだっけ?」
隊員Nが疑問する ハイケルが美女を睨む 美女が微笑して言う
「どうやら… 貴方だけが 邪魔な様ね?」
美女の指の爪が鋭く伸びる

【 ART2 】

レイが言う
「大丈夫だぞマリア!こいつはマリアが怖がる マシーナリーとかって言う奴なんだけどさ?けど こいつらの中には!」
マリアが呆気に取られて言う
「こ、こいつらの中には…?え?中にはって…?」
ラミリツのモニターにシュナイゼルが映り言う
『彼は 我々の事を知っている様子ですね?』
ラミリツが言う
「うん そうみたい 何でかは知らないけど… でも それならそれで 好都合!」
シュナイゼルが疑問して言う
『隊長!?』
ラミリツが立ち上がり コックピットが開かれる マリアが振り返ると ラミリツがマシーナリーから降りて来て言う
「驚かせてしまい 申し訳ない 我々は アールスローン帝国軍 レギスト特殊部隊 通称…」

【 ART1 】

ハイケルが叫ぶ
「ART1!起動っ!!」
隊員たちがハッと敬礼して言う
「「了解 少佐ぁーっ!!…て?」」
隊員たちが疑問して周囲を見渡す 美女が舌打ちをして言う
「仲間を正気に戻したっ?…クッ もっと早く 貴方を始末しておくべきだったわっ!」
美女がハイケルへ爪を振るう ハイケルが回避して銃を放ち 銃弾が美女の爪を破壊する 美女が驚いて言う
「何ですってっ!?」
ハイケルが銃を構えて言う
「次は容赦をしない 爪ではなく 痛い思いをしたくなければ 我々を解放しろ」
美女が苦笑して言う
「そう?それなら…」
美女がゆっくりと歩きハイケルの横の扉へ向かう ハイケルが視線を向けていると 美女が微笑し 瞬時にハイケルの銃を掴む ハイケルがハッとして銃を持つ手を引くと 美女が壊されたはずの爪を再生させて ハイケルの腕を切り裂く ハイケルが驚き悲鳴を上げる
「なぁっ!?…クッ!」
ハイケルの手から銃が落ちる 美女がハイケルへ向く ハイケルがもう一方の手で銃を取り出し 美女の腹へ突き付けて言う
「甘かったな?動けば 撃つぞっ」
美女が微笑する
「うふっ…」
美女がハイケルへ手を向ける 銃声 隊員たちが驚く 銃口から消炎が上がる 美女の腹から血が滴る ハイケルが言う
「急所は外した 止血をすれば助かる」
ハイケルが銃を下ろすと 美女が言う
「必要ないわ?」
ハイケルが言う
「何? …っ!?」
ハイケルが驚く 美女がハイケルの体を抑え付け 吸血衝動を現して言う
「貴方の血を飲めば こんな傷なんて 直ぐに治るんだから」
美女が牙を剥く ハイケルが驚いて言う
「まさかっ!?ヴァンパイア…っ!?」
美女が口角を上げると ハイケルの首に牙を立てる ハイケルが苦痛に表情を顰めて言う
「ぐっ!?なんと言う力だっ 相手は女だというのに…っ」
ハイケルが思う
(動けないだと…っ!?)
隊員Bが叫ぶ
「少佐ぁーっ!今助け…!」
隊員Bがサブマシンガンを手に向かおうとすると ハイケルが言う
「来るなっ!バイスン隊員!逃げ…っ!」
美女がハイケルの血を吸い上げると 衝撃を受けて言う
「うっ!?」

【 ART2 】

ART2マシーナリーたちが歩いている Mラミリツ内 ラミリツが正面を向きながら言う
「それじゃ アンタも ウィザードで 僕らの国へ来た使者と同じ… えーっと~ 所属って事?」
レイが言う
「所属?うーん 良く分かんないけど 俺は マリアのウィザードさまだ!」
ラミリツが苦笑して言う
「マリアのウィザードさま… つまり 彼女の… 恋人… とかって事?」
レイが言う
「ああ!そうだぞ!俺はマリアのウィザードさまで マリアの恋人で 俺たちは付き合っていて そういうのを 恋人同士って言うんだ!…って マリアが言ってた」
ラミリツが呆気に取られてから苦笑して視線を向ける ラミリツの視線の先マリアが気を失っている ラミリツが言う
「それじゃ とりあえず そのマリアさんを休ませるためにも 早く 異常電波がない場所へ 連れて行ってあげないとね?」
レイが言う
「ああ そうだな 少し 異常魔力を受けちゃったみたいだけど これくらいなら 俺と愛の証でもすれば 1発で治るって!」
ラミリツが衝撃を受け 頬を赤らめて言う
「うっ… その… あ、愛の証って…?」
レイが言う
「愛の証は 一緒に寝る事だ!夜でも10時のお茶の後の 昼寝の時でも良いしな?俺は 魔力が強いから マリアの身体に入った異常魔力くらいなら 近くに居るだけで追い払えるんだ」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え?それってつまり… ただ傍に居れば良いって事?一緒に… 寝無くても?」
レイが言う
「うん?ああ そうだな!別に寝てても起きてても同じだな!」
ラミリツが息を吐いて言う
「なんだ… …そう言えば ウィザードって元々 人と神様の間… とかって言うんだっけ?」
レイが言う
「ああ そうだぞ!お前 別の国の奴なのに 良く知ってるんだな?」
ラミリツが苦笑して言う
「それは… この国に派遣されるって事で 情報として聞いていただけだけど …まぁ そうだよね?ウィザードなら …そんな神聖な人なら 愛の証とか言っても …そう言うんじゃないんだ?」
レイが言う
「うん?愛の証は 一緒に寝る事じゃないのか?」
ラミリツが軽く笑って言う
「さぁ どうなんだろうね?僕は ウィザードじゃないし… 神聖なウィザード様に 変な事教えて 神様に怒られたくはないから しーらない!」

【 ART1 】

美女が言う
「うぇ…っ!な、何よっ!?この味!?あんた 人間じゃないのっ!?」
ハイケルが言う
「私は悪魔の兵士」
美女が言う
「悪魔の…?」
ハイケルが言う
「…とは言え」
ハイケルが美女の拘束から逃れる 美女がハッとして言う
「あっ!」
ハイケルが落ちていた銃を取り 両手で構えて言う
「この身体に流れる血は 人間の血であるはずだが… どう言う訳かは不明だが 難を逃れた」
美女が微笑して言う
「逃がさないわよ?その特別な貴方はともかくとして 彼らは既に 私たちの 獲物 なのだから?」
ハイケルが言う
「お前たちの獲物?却下する 彼らは ART1 私の部下だっ!」
ハイケルが発砲すると同時に美女が襲い掛かる

【 ART2 】

ラミリツが言う
「それにしても…」
ラミリツがマリアを見て言う
「マリアさんは何で こんなアウターの森の中にいたんだろう?人里からは 大分離れているみたいだけど?」
レイが言う
「ああ、それは…」
振動でマリアの手に握られていた 魔鉱石が床に落ちる レイがそれを拾って言う
「マリアは カラスに取られた こいつを追い駆けてたんだってさ?俺が居れば 直ぐに取り返してやれたのに …ごめんな?マリア?」
ラミリツが気付いて言う
「そう言えば あの時…」
ラミリツの脳裏に 光の翼を背にしたレイの姿が思い出される ラミリツがレイを見て首を傾げて言う
「やっぱ 気のせいだったのかな…」
レイが言う
「うん?そっか なぁ?えっと… 子供の隊長!」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「一言多いよ!僕はもう 子供じゃないんだからっ!」
レイが言う
「そっか?それじゃ…」
ラミリツが言う
「隊長でも良いし ラミリツでも良いよ …それで?」
レイが言う
「じゃぁ ラミリツ アウターサイドの村に向かう前にさ?このまま建設中の灯魔台へ寄ってくれないか?」
ラミリツが言う
「うん?その 建設中の…って言うのは?」
レイが魔鉱石を手に言う
「こいつは その 建設中の灯魔台と その周囲に 結界を張ってた魔鉱石なんだ だから こいつが無いと  その場所は 異常魔力に覆われちゃうんだよ そうすると… マリアが悲しむと思うんだ」
ラミリツが言う
「つまり その石は 結界を張る事が出来る石って事?」
レイが言う
「そうだな?実際に結界を張ってるのは この魔鉱石に込められた灯魔力だけどな?」
ラミリツが言う
「灯魔力?あれ?えっと… と… 灯魔…台?灯魔力?なんだか分からなくなってきちゃったや …けど 分かった 良いよ?それで その建設中の灯魔台って言うのは 何処にあるの?」

灯魔台建設現場5

ART2マシーナリーたちが居て Mラミリツが周囲を見渡す ラミリツがコンソールを操作してから言う
「折角 到着したけど 残念ながら ここは もう異常電波が 数値を超えてしまっている これじゃ外には出られないよ?」
レイが立ち上がって言う
「大丈夫だ 俺が結界を張るから ここを開けてくれ ラミリツ」
ラミリツが言う
「え?結界を張れるの?」
レイが言う
「ああ この杖の魔鉱石に 魔力が貯められているからな?少しの間なら こいつで魔法を使えるんだ」
ラミリツが言う
「魔法… 本当に そんな力が… …あっ!?」
ラミリツが気付く ラミリツの視線の先マリアの膝にあった怪我が消えている ラミリツが呆気に取られて言う
「あの擦り傷が治ってる…!?それじゃ 本当に?」
ラミリツがレイを見る レイがラミリツを見て微笑する

【 ART1 】

隊員Bが表情を困らせ叫びながらサブマシンガンを放つ
「来ーるなーっ!」
放たれたサブマシンガンの内 数発が隊員Bへ向かってくる女1に命中するが 女1は吸血衝動を現して さらに向かって来る 隊員Bが驚いて言う
「うわー こいつら本当にーっ!?」
隊員Aが驚いたまま言う
「ヴァっ!?」
隊員Cが叫ぶ
「ヴァンパイアぁあっ!?」
隊員Cの前で 女2が誘惑しながら言う
「たっぷりと楽しませて… たっぷりと 吸ってあげるわ?坊や?」
隊員Cが慌てて武器を構えて言う
「せ、折角のお誘いですがっ!後半部分は遠慮させて頂けないでしょうかぁあっ!?」
ハイケルが叫ぶ
「サキシュ隊員っ!!」
隊員Cが慌てて言う
「す、すみませんっ!少佐ぁーっ!俺は何もっ!!」
ハイケルが叫ぶ
「伏せろっ!!」
隊員Cが呆気に取られて言う
「へ?…のわっ!?」
隊員Cの顔ぎりぎりを銃弾が掠めて 隊員Cの横から襲いかかろうとしていた女3にヒットする 隊員Cが衝撃を受けて言う
「我が人生に 二度と無いであろう 2人もの女から 求められるという幸せが…っ!」
女3が起き上がって言う
「貴方のその幸せ 私たちが叶えて あ・げ・る…」
女3が吸血衝動を見せる 隊員Cが悲鳴を上げて言う
「やっぱり 遠慮して置きますーっ!」
ハイケルが両手で銃を放ちながら言う
「バイスン隊員!アラン隊員!」
隊員Bと隊員Aが顔を上げると顔を見合わせ頷く ハイケルが言う
「ART1 退避だっ!」
隊員たちが言う
「「了解 少佐ぁー!」」
隊員Bが手榴弾を投げ 隊員Aがそれを撃ち抜く

森の中の屋敷の壁が破壊され ハイケルと隊員たちが逃げ出す 美女が言う
「逃がさないと言ったでしょう?」
美女が部下の女たちを見る 女たちが頷く 美女と女たちが追う ハイケルが振り返る 隊員Bが言う
「少佐ぁーっ!あいつらー!」
隊員Cが驚いて言う
「滅茶苦茶はえぇえーっ!?」
美女が微笑する ハイケルが気付き言う
「ART1 総員 振り返るな!全速前進!」
ハイケルが手榴弾を投げる 隊員たちがハッとした後叫ぶ
「「了解 少佐ぁー!」」
ハイケルの投げた手榴弾が爆発する 周囲に強い光が放たれる 美女が驚いて言う
「これはっ 目晦ましっ!?うぅっ!」
美女と女たちが視界を取り戻すと ハイケルと隊員たちは居なくなっている 美女が言う
「やられたわ… …久しぶりの 活きの良い獲物だったと言うのに 残~念~?」
美女が唇を舐める

ハイケルと隊員たちが息を切らせながら歩いている 隊員Aがしんどそうに言う
「うぅ… なんとか逃げ遂せたみたいだけど… …気持ち悪い」
隊員Bが言う
「うんうん きれーなおねーさんたちだったけどー ヴァンパイアじゃ やっぱー?」
隊員Aが苦笑して言う
「いや、彼女たちが 気持ち悪いんじゃ無くて…」
隊員Bが疑問して言う
「あれー?違うのー?アッちゃんー?」
隊員Nが苦笑して言う
「俺も… さっきまで飲まされていた 酒が回って その上全力で走ったりなんかしたから…」
隊員Eが苦笑して言う
「俺も…」
隊員Bが言う
「えー?だから言ったじゃんー?就業中にアルコールなんか飲んじゃ駄目だってー?」
隊員Cが言う
「そうは言っても 人生に二度と無いかも知れない 美女に誘われて美女に注がれて美女に飲まされて…」
隊員Cの脳裏に吸血衝動を現した女の姿が思い出される 隊員Cが悲鳴を上げる
「うわぁあっ!遠慮しますぅっ!」
隊員Cがハッとして言う
「駄目だ… 俺 酔ってるわ…」
隊員Iが苦笑して言う
「確かに 夢に見そうだよな?」
隊員Cが表情をゆがませて言う
「言わないでくれよ~」
隊員Eがしんどそうに言う
「休みてぇ~…」
隊員たちがハイケルを見る ハイケルが言う
「追って来る様子はないが もうしばらくは距離を稼ぐ」
ハイケルが先行する 隊員Bが言う
「了解 少佐ぁー!」
隊員たちが息を吐き 言う
「「了解 少佐ぁー はぁ…」」

【 ART2 】

Mラミリツのコックピット内にマリアが寝かされている ラミリツがマリアの体に自身の上着を被せると 顔を向ける ラミリツの視線の先 レイが杖を掲げると レイの体が浮き上がり 建設中の灯魔台の灯魔口へと向かう ラミリツが立ち上がり コックピットの外へ出る ラミリツがレイを見上げて言う
「何も無い空中に浮いてる… まるで… あの時の 皇帝や僕らみたいに?」
ラミリツが見上げる先 レイが魔鉱石を見てから言う
「うーん やっぱ この石の灯魔力じゃ足りないな?このまま放って置いたら 異常魔力で壊されたり また取られちゃったりするだろうから それなら…」
レイが杖を向けて 魔力を送るが魔鉱石に光は蘇らない レイが表情を困らせて言う
「この杖の魔力じゃ足りないか?よしっ それじゃ!」
レイが正面を向くと一度目を閉じ 天使の姿に変わる ラミリツが驚いて言う
「えっ!?」
レイの手にあった魔鉱石が浮き上がり レイが杖を変えて魔鉱石へ力を込めると強く光る  レイが微笑すると 魔鉱石が灯魔口へゆっくり落ちて 一瞬の後周囲に結界が張られる ラミリツがハッとして言う
「これはっ あの時と同じだ!皇帝が 機械兵士の動きを止めた時とっ!?」
レイがゆっくりと降りて来てラミリツへ振り返る ラミリツが言う
「貴方は 一体…っ!?」
レイが静かに言う
「我は…」

マリアが目を覚まして言う
「ん…?」

レイが気付き微笑して言う
「…いや 俺は」
ラミリツが言う
「え…?」
レイがウィザードの姿に戻って言う
「俺は マリアのウィザードさまだ!」 
ラミリツが呆気に取られて言う
「…え?あ、あれ?」

マリアが身を起こし 周囲を見て言う
「こ、ここは…?」

レイが言う
「マリアー!」
レイがマリアへ向かって飛んで行く ラミリツが目の前を猛スピードで過ぎ去ったレイに驚いて言う
「うわっ!?」
レイがマリアの傍に現れて言う
「マリア!大丈夫か!?マリア!」
マリアが呆気に取られて言う
「ウィザードさま?私…?」
ラミリツがその様子に呆気に取られた後 苦笑して言う
「なんだか 分かんないけど…」
ラミリツが自身の近くに舞い落ちる光の羽根を受け止めて言う
「まぁ… 良っか?」
ラミリツの手の上で光の羽根が静かに弾けて消える ラミリツが微笑してマリアたちへ振り返る

【 ART1 】

ハイケルを先頭に隊員たちが歩いていて 隊員Cがへとへとになって言う
「はぁ…はぁ… 喉が 渇いた…」
隊員Nが言う
「俺も… やっぱ 酒のせい…?」
隊員Eが言う
「飲まなきゃ良かった… それか…」
隊員Iが言う
「バイスン隊員みたいに ジュースにして置けば良かった…」
隊員Cが言う
「いや?それかよぉ?それこそ 命懸けの一生に一度のチャンスだったんだから あの… 彼女たちの…」
隊員Cが女たちの豊満な巨乳を思い出す 隊員Eが鼻の下を伸ばして言う
「生… 乳…?」
隊列から遅れている一部の隊員たち(2軍)がエロ顔になる ハイケルが気付き振り返って言う
「どうした?サキシュ隊員から その後方の隊員 遅れているぞ 隊列を乱すな」
遅れていた隊員たちが衝撃を受け慌てて言う
「「は、はーっ!少佐ぁーっ!」」
ハイケルが視線を戻して正面を向くと気付いて言う
「うん?」
皆の視線の先 農村があり 放牧されている乳牛が鳴く
「ンモー?」
ハイケルが言う
「牛…?」
2軍が乳牛の乳に反応して叫ぶ
「「生乳ー!!」」
2軍が走って向かう ハイケルが呆気に取られて言う
「あっ!おいっ!?」
残った隊員たち(1軍)が呆気に取られ 隊員Bが言う
「サッちゃんたち… そんなに牛乳が好きだったんだ~?」
隊員Aが苦笑して言う
「そうじゃないと思うけど…?」



民家の中 隊員たちが水をがぶ飲みしている ハイケルがそれを見てから正面へ向き直って言う
「隊員らへのもてなしを感謝する 我々は…」
農夫が言う
「いやぁ~ うちの牛の周りに群がってる 彼らを見た時には それこそ 何者かと思ったが どうやら貴方たちは 人間の様だ 我々には それだけで十分」
ハイケルがいぶかしんで言う
「”人間の様”?」
農婦がトレーを持って現れて言う
「はい、今朝絞りたての牛乳 …コレが飲みたかったんだろう?」
2軍が衝撃を受け 受け取りながら言う
「そ、そうそう… 俺ら 牛乳が 大好きで…」 「そうそう!牛乳がね?」 「牛乳は か、身体に良いからな?」
2軍たちが苦笑いしながら牛乳を飲み 驚いて言う
「お?」 「うめぇえ~!?」 「本当だ!牛乳って こんなに美味かったっけ!?」
農婦が軽く笑って言う
「おっほっほ… まだあるから いっぱい飲んでね?」
農夫が嬉しそうに微笑んで言う
「ああ、良いね 若い者たちが 一仕事した後 牛乳を飲み干す姿は 一昔前なら この村でも良く見る光景だったよ」
ハイケルが言う
「一昔前…?」
農婦がハイケルの前に牛乳の入ったコップを置く ハイケルが軽く会釈をする 農夫が言う
「あんたらが 外の世界からここまで来なさったと言う事は… 森の中にアジトを構える あの女たちにも会ったのだろう?」
ハイケルが表情を険しくする 農夫が言う
「無事で何よりだった 下手をすれば 血液だけでなく 命まで奪われかねない」
ハイケルが言う
「あの女たちは …我々の世界では 作り話の上でのみ現れる者だが …ヴァンパイア なのか?」
隊員たちがハイケルの方へ注目する 農夫と農婦が表情を落としてから 農夫が言う
「そう… ヴァンパイアは この世界には昔から居って …それでも18年前に1度は ゲートキーパーズのお陰で 殲滅させたのだが…」
ハイケルが言う
「18年前に殲滅させた?そのゲートキーパーズと言うのは?」
農夫が言う
「ゲートキーパーズと言うのは その18年前に突然現れた この世界の救世主のような存在だった その彼らは 最初に 我々の住むこの世界の10の街を支配していた 悪党貴族たちを倒し 奴らが従えていたヴァンパイアを倒すと 更には世界中のヴァンパイアを殲滅してくれたんだ …しかし その14年後 今から4年前に 居なくなったはずのヴァンパイアが突然に再び現れた …噂によると 過去には悪党貴族たちが居た 各街の城にも 再びヴァンパイアが住み着いたとか?」
ハイケルが言う
「では 今やこの世界は そのヴァンパイアたちに 支配されているという事なのか?」
農婦が言う
「この村は だいぶセンターから離れていますから 村の外の事は余り伝わりませんが それでも 定期的に警察が村の状況を確認に来てくれてますからね?まだ人間の警察組織が 機能しているみたいですよ?そうとなれば 街の方も この村と同じく 持ちこたえているのでは無いでしょうかねぇ?」
農夫が言う
「ああ、街の生乳業者が うちとの取引を続けてるんだ ヴァンパイアは牛乳なんて飲まないから 今も街に居る人間が飲んでくれているって事だろう?」
農夫が自分の前にある牛乳を飲む 農婦も農夫の隣で牛乳の入ったコップを持って言う
「ええ、そうですね?」
農婦が牛乳を飲む ハイケルが間を置いてから自分の前の牛乳を飲む

村道

ハイケルが歩いて村の様子を見ている 周囲には 青年以降の年代の人々が農作業を行っている ハイケルが視線を強めて思う
(この世界の様子を考えるには 現状では情報が不足だが この村の住民の話を聞いた限りでは…)
ハイケルが言う
「この世界には ヴァンパイアと呼ばれる者が 存在する そして…」
ハイケルが思う
(そのヴァンパイアは 一度は18年前に殲滅させたが その14年後 今から4年前に再び現れた …そして?)
ハイケルが周囲の様子を見て言う
「この村の若者たちは皆 ヴァンパイアに?」
ハイケルが思う
(全て 殺されてしまったという事か?血を吸われて…?だから この村には 若者が居ないのか?)
ハイケルが時計を確認してから思う
(残り時間は…)
ハイケルが言う
「時間が惜しい」
ハイケルが向かう

農婦が言う
「え?もう村を出るって?」
ハイケルが言う
「我々には タイムリミットがある 仲間が迎えに来るそれまでの間に この世界の状況を確認し 最も権力を有する者と交渉を行わなければならない そうとなれば…」
農夫が言う
「それならば 向かう先は決まっている 各街にある城だ そこに居るのが噂通りヴァンパイアなのか はたまた 貴族までもが蘇ってしまったのかは分かりかねるが どちらにせよ 昼間にするべきだ 今からでは遅過ぎる」
農婦が言う
「そうですよ?行くのなら 今日はこの村に泊まって 明日の朝早くにでも出た方が良いですよ」
ハイケルが言う
「と、言うと やはり ヴァンパイアと言う者は 昼間は動かれない者なのか?…いや しかし?」
ハイケルが思う
(あの女ヴァンパイアたちに会ったのは 昼間の森の中で…?)
農婦が言う
「この世界では昔から 夜に出歩くと ヴァンパイアや貴族にさらわれると言われていますし 今から向かうのでは お城へ着くのも 夜更けになってしまうでしょう?」
ハイケルが言う
「城と言うのは この村から それほど遠いのか」
農夫が言う
「生憎この村には車も無いので お送りする事も出来ない それでも折角お越しになった 外の世界からの人間だ どうか 今夜はこの村で夜を明かし 向かわれるのは明日にした方が良い ともすれば 明日当たりなら 丁度 警察の方も来られるかもしれない そうしたら 私から 貴方方の事を伝えましょう その方がお早いでしょう?」
ハイケルが言う
「…それは確かに」
ハイケルが思う
(元々軍隊で動くとなると 街中では幾分分が悪い 出来る事なら この村の中で 先に警察と接触出来ると言うのなら 余計な騒ぎも起きずに済む)
ハイケルが言う
「分かった では… 多人数で済まないが 今夜はこちらの村で世話になる」
農夫たちが微笑して頷く

【 ART2 】

灯魔台建設現場5

レイがマリアの傍に現れて言う
「マリア!大丈夫か!?マリア!」
マリアが呆気に取られて言う
「…ウィザードさま?私…?」
ラミリツがコックピットを見上げて言う
「彼女に…」
ラミリツが思う
(彼女に聞いたら分かるかな?あのウィザードが まるで アールスローンの皇帝の様な姿に… 天使の姿になるって事…)
ラミリツが少し考えてから気を切り替えて思う
(…いや、まずは 相手との意思疎通を図る事が先だ これは 犯罪心理学からの応用だけど 最初は当たり障りの無い事から対話を行って 相手の信頼を得る事から始めた方が良い 現状でも 彼女はあのウィザードの彼女だって事まで分かっているんだし そうとなれば…)
ラミリツがコックピットへ上がって言う
「気が付かれましたね?」
マリアがハッと顔を向けると ラミリツが微笑して言う
「ご気分は如何ですか?アウターの異常電波… いえ、異常魔力を 受けてしまったようですが こちらのウィザード様が そちらの異常魔力の力を無効化して下さったとか?」
マリアが呆気に取られて言う
「異常魔力を…?」
マリアがレイへ向く レイが言う
「ああ!本当は愛の証をするのが 一番良いんだけどな!?」
マリアが衝撃を受け頬を染めて慌てて言う
「そ、それはっ」
ラミリツが衝撃を受け一瞬視線を逸らして思う
(…って さっきも言っていたけど もしかして こっちの国では そう言う事が 結構オープンなのかな?そうとなると 色々と変わって来そうな気もするんだけど… …ん?)
レイが言う
「けど俺の魔力は強いからさ?傍に居るだけでも ちょっと異常魔力を受けた位なら そんなのはすぐに消えちゃうよ!だから今はもう マリアの身体に異常魔力の痕跡は無いから 大丈夫だぞ マリア!」
マリアが言う
「は、はいっ そちらは 有難う御座いますが…っ」
マリアが赤面している ラミリツがそれに気付き苦笑して思う
(あのウィザードは兎も角 彼女のあの様子だと どうやらそっちの心配は無いみたい?…それなら 予定通りに!)
ラミリツが軽く笑って言う
「それなら良かった 足の怪我の方も ウィザード様の魔法で治られたようですし 本当に 凄い力ですね?」
マリアが気を取り直して言う
「そ、そうですね… あっ こちらっ 有難う御座いました 後…っ えっと…っ?」
ラミリツが貸していた上着を受け取りつつ マリアの様子を伺って思う
(…うん?視線が合わない…?何かを考えているのかな?うーん… いや、たぶん)
ラミリツが言う
「では こちらの灯魔台は もう大丈夫なのですよね?先ほどの魔鉱石で…」
マリアがハッとして言う
「あっ!そうだ!魔鉱石の力が…っ」
ラミリツが微笑して思う
(うん やっぱり 彼女は 状況が把握出来なくて 混乱してるんだ それなら まずは 状況を知らせて 安心させてあげた方が…)
中年男性の声が聞こえる
「マリアさーん!?」
マリアが声に振り返ると驚いて言う
「え…っ!?運転手さんっ!?」
ラミリツが思う
(あれ?彼女の知り合い…?運転手さんって事は… そっか やっぱマリアさんは 高位富裕層の方とか…?いや?だとしたら 運転手と呼ばれた あの人からの敬称は”お嬢様”か”マリア様”…だよね?それじゃ…?)
レイが言う
「何だ?アイツは マリアの運転手さんか?そっか マリアはここまで 車で来てたんだな?そうだよな 俺が居なかったから…」
マリアが言う
「そ、それよりもっ ウィザードさまっ!あの魔鉱石の力は 弱まってしまっていてっ ですから ここも 異常魔力に!」
ラミリツが思う
(いや、詮索は後にしよう)
ラミリツが機械を操作して言う
「うん… やはり その魔鉱石に力を与えたお陰ですかね?異常魔力の数値が すっかり無くなっています ついさっきまでは 人間や大きな動物まで影響を受けてしまう位 強かったのですが」
マリアが言う
「え?魔鉱石に力を!?」
レイが言う
「ああ!俺が 灯魔力を入れておいてやったからな!これでまた しばらくは大丈夫だぞ マリア!」
マリアがホッとして言う
「そ、そうだったんですか…」
運転手がマシーナリーに呆気に取られつつ マリアの下へやって来て言う
「マ、マリアさん?これは… もしかして これが 異世界からの協力者と言う 鉄の巨人ですかっ!?」
ラミリツが呆気に取られて言う
「鉄の…?」
ラミリツが思う
(巨人って… あぁ でも そう言えば こっちの国の人って あの警空の特殊戦闘機を 鉄の鳥 って言った人たちだったっけ?それじゃ… しょうがないか?)
ラミリツが言う
「はい、我々は アールスローン帝国から参りました まずは皆さんの 友人として 皆さんのお役に立てるようにと」
マリアが呆気に取られて言う
「友人として…?」
ラミリツが微笑して言う
「はい その為にも こちらの世界の皆さんに 私の部下たちと この鉄の巨人を紹介したいと 近郊の村へ向かおうとしていた所なのですが」
レイが言う
「うーん そうだな?お前とその鉄の巨人1体位なら 俺の魔法で 軽くぶっ飛ばしてやれるんだけどさ?お前の部下とか そいつらの鉄の巨人とか 全部ってなるとな?」
ラミリツが一瞬衝撃を受けてから 微笑して言う
「魔法でぶっ飛ば…っ?いえ、それは凄いですね?例え1体でも その様な事が可能だとは 恐れ入りました」
レイが言う
「そうか!恐れ入ったか!それなら 早速 お前とお前の鉄の巨人を コリコリ村までぶっ飛ばしてやろうか!?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「え!?あ… いえ 折角ですが 私は隊員らと共に行動するつもりなので そちらは 遠慮させて頂きます」
レイが言う
「なんだ 残念だったな マリアのウィザードさまは すげぇんだぞって 見せてやりたかったんだけどな?」
ラミリツが思う
(あ~ 良かった… いくら衝撃緩和は出来ると言っても ぶっ飛ばされるのは困るし)
ラミリツが気を取り直して言う
「ちなみに そちらの コリコリ村と言うのは?もしや こちらから一番近い村の名前でしょうか?」
レイが言う
「ああ!そうだぞ!たぶんな!」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「た… たぶん?」
マリアが苦笑して言う
「ウィザードさま?たぶんではなく こちらの灯魔台から一番近い村の名前は コリコリ村で間違いありませんよ?」
レイが言う
「そっか マリアが言うなら そうだな!」
ラミリツが苦笑して思う
(つまり 人と神様の間と言われるウィザード様よりも 人間のマリアさんに聞いた方が良いって事?…まぁ そうかもね?人と神様の間の人より 同じ人同士の方が…?)
ラミリツがマリアへ向いて言う
「えーと では そちらの村へ向かうには…?」
マリアが言う
「はい、では ご案内しますね?私も そちらのコリコリ村へ戻る所なので」
マリアが運転手へ向く マシーナリーを見ていた運転手がマリアを見上げて頷く ラミリツが思う
(うん、やっぱ まずは 同じ 人間同士で 仲間になるって事の方が 重要だよね?)
ラミリツが微笑して言う
「有難う御座います 助かります」

【 ART1 】



民家の一室 隊員Bがベッドに座って言う
「夕食のあのシチュー 美味かったでありますねー!少佐ぁー?」
ハイケルが窓から外を眺めていて言う
「そうだな バイスン隊員」
隊員Bが言う
「俺 アールスローンでも シチュー系は結構色々食べてましたけどー?アレは何て名前のシチューなのかー 分からなかったでありますー 少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「私も 料理や料理名に関しては メディアの情報から覚えているが 今日提供された あちらのシチューは それらどちらの料理にも当てはまらない …最も 端から異国の料理だ 当てはまらないのも当然だ」
隊員Bが言う
「その異国の地で 1晩を明かすのがー 少佐と同室で2人きりーって言うのがー 俺 ちょっと嬉しいでありますー 少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「そうか そちらは想定外の発言だな バイスン隊員」
隊員Bが頬を染めて視線をそらして言う
「えー?だって俺ー ずっと 少佐とー…」
ハイケルが自分のベッドへ向かいながら言う
「私の想定では バイスン隊員はアラン隊員と同室を 希望するものと考えていたのだが?」
隊員Bが言う
「アッちゃんとはー この前 2人でメルシ国に行った時にー 2人きりの同室体験をしたでありますー だから 今回は少佐とー!」
ハイケルが苦笑して言う
「そうか では 私はアラン隊員に先を越されてしまったようだ」
隊員Bが驚き頬を染めて言う
「え?そ、それって 少佐ぁ…?」
ハイケルが言う
「冗談だ」
隊員Bが呆気に取られた後 笑って言う
「あ… あっはははー やっぱ 少佐 チョー面白れー 俺、今ちょっと 本気にしちゃったでありますー 少佐って ホント 冗談とかの上達レベル半端ねー!」
ハイケルが言う
「バイスン隊員の普段の発言から検索し その返答として利用出来る冗談をいくつか覚えていた …とは言え 私はそちらの言葉の意味する所の方は 理解が出来兼ねるのだが?」
隊員Bが言う
「あれー?」
ハイケルがベッドへ入って言う
「では、冗談はそれくらいで 明日は早い 私は就寝する」
隊員Bが言う
「えっと~ 少佐ぁ?今の冗談はそれくらいって言うのはー もしかして 意味の方が分からないって言った そっちの事に対しても~?…って?」
ハイケルが寝入っている 隊員Bが衝撃を受けて言う
「少佐 もう寝てるー!?少佐 寝るのも チョー速ぇ~!?」

別の民家の一室

隊員Nが床に引かれた布団に寝転んで言う
「床で寝るなんて 初めてだぜ…」
隊員Aが隣の布団に座って言う
「宿も無い村に一晩泊まらせてもらうんだから 布団があるだけマシだろ?」
隊員Nが言う
「まぁ 藁の布団に寝るよりはマシだけどよ?少佐とバイスン隊員は ベッドに寝てるんだろうな?あの民家のじーさん言ってたぜ?うちのせがれたちが使っていた部屋に ベッドがあるからってよ?」
隊員Aが言う
「なら そのベッドがある部屋への同室を ナクス隊員が希望すれば良かったじゃないか?少佐と同室で …おまけに もしかしたら そのベッドは1つだったり?」
隊員Nが衝撃を受けて言う
「だったら 尚更 そのベッドの下に 藁も敷かないで寝ろって 言われたかもしれねぇじゃねぇか!?」
隊員Aが言う
「まぁ ナクス隊員と少佐じゃ そうなるだろうけど バイちゃんだったら きっと 一緒に寝ましょうよ!少佐ぁー!なんて言えるんだろうな?」
隊員Nが言う
「流石のバイちゃん隊員でも そこまでは無いだろ?」
隊員Aが言う
「ん?そうか?…俺は言われたけどなぁ?」
隊員Nが驚いて言う
「えぇえっ!?まさかお前ら本当にっ!?」

別の民家の一室

隊員Cが言う
「まさか 馬小屋で寝る日が来るだなんて…」
隊員Eが言う
「藁があるだけマシだろ?」

別の民家の一室

隊員Vがくしゃみをして言う
「へぇっくしゅっ!携帯毛布忘れた…」
隊員Dが衝撃を受けて言う
「えっ!?じゃ、じゃぁ… 入る?下床だけだし 風邪引くだろ?」
隊員Vが震えながら言う
「入れてもらって良いか…?ドルト隊員?」
隊員Dが言う
「皆には内緒だぞ?」
隊員Vが言う
「も、もちろんっ」

【 ART2 】

ART2マシーナリーたちが道路を滑走している Mラミリツの前に車が走っていて 後部座席に乗っているマリアが後ろを伺う

マシーナリー内

ラミリツがモニターに映るマリアの様子に気付き微笑する 別のモニターにシュナイゼルの映像が映り言う
『こちらシュナイゼル 出発地点より40キロを経過 ART2マシーナリー 全機異常なし』
ラミリツが言う
「了解」
ラミリツが気付き横を見る Mラミリツが建設中の灯魔台を過ぎる ラミリツが視線を正面へ戻して言う
「これで5個目… どうやら あの灯魔台と言うのは 10キロ置きに建設されている様だね?」
シュナイゼルが言う
『そちらの様子ですね』
ラミリツが言う
「村からアウターへ向けて 殆ど一直線に繋がっている… と言う事は この国の人たちは… アウターへの道を築こうとしているのかな?」
シュナイゼルが言う
『アウターへの道を…?では 最終的に この世界の敵が居るとされている  そちらの場所まで でしょうか?』
ラミリツが考えて言う
「うーん… いや そうだね?それは どう考えても難しい …と言うより 不可能だ 大体 作っている間に アウターの敵マシーナリーに壊されてしまうだろうし …だとしたら?」
シュナイゼルが言う
『そうですね… では このアウターサイドのシールドを 強化する為に …等でしょうか?』
ラミリツが言う
「シールドの強化か… それが出来るのなら良いけれど それをやろうと思ったら こんなに遠くまで一直線に5つ以上も作るかな?」
シュナイゼルが言う
『確かに 我々が捜索包囲網を敷く場合に置きましても 中心とする箇所から徐々に円を広げますから この国が円形である事からしても そちらは有り得ないですね 失礼しました』
ラミリツが苦笑して言う
「いや、良いよ つまり この国の人に 直接 聞いてみなければ 分からないって事」
シュナイゼルが言う
『当初は 機械技術に疎い国かとされていましたが あの建設現場の機材や 自動車 そして この舗装路面の技術を見る限りでは どうやら 我々が思っていたほど 機械やその他に疎いと言う訳では 無い様子です …これは ハブロス司令官への朗報となりそうですね?』
ラミリツが微笑して言う
「うん そうだね それに …もしかしたら そのハブロス司令官と 同じ位 重要な人に 僕らは既に 会っているのかも?」
シュナイゼルが疑問して言う
『え?そちらは…っ?』
前方モニターに映っている車内で マリアが再び後方のマシーナリーを見る ラミリツが微笑して言う
「まだ ハッキリとは分からないけど… 何となく そんな感じがするんだ …僕の直感だけどね?」
シュナイゼルが一瞬呆気に取られた後微笑して言う
『はい、では 我らは 我らの隊長の そちらの直感に従います』
ラミリツが微笑して言う
「ふふ…っ ありがとっ!」
シュナイゼルが敬礼してモニターから消える ラミリツが正面を向くと気付いて言う
「うん?…もしかして 村に到着かな?」
マリアを乗せた車が村へ入り減速する ラミリツが言う
「ART2マシーナリー全機 減速 隊長機を1機先行させる 後続は少し置いてから来てくれ 極力 村の人たちを威嚇し無い様に」
隊員の声が聞こえる
『『了解 隊長!』』
Mラミリツの後ろに続いていたマシーナリーたちが減速する

コリコリ村

Mラミリツが前方の車から視線を上げる 村の入り口に大勢の村人が集まっていて その真ん中にアイザックと女性が居る ラミリツが反応して思う
(うん?あの人は 資料にあった ウィザードの…)
ラミリツが資料を思い出して思う
(奉者協会会長 アイザック・シュテーゲル)
ラミリツが微笑して言う
「凄いなぁ もしかして?」
ラミリツが思う
(僕らがこの村に来って事が 予め 分かっていて 待っていてくれたのかな?それも… 魔法で?)
村人たちが怯える中 Mラミリツがアイザックの前に跪く 村人たちが呆気に取られて顔を見合わせる ラミリツが言う
「よし、良いよ 皆来て」
隊員の声が聞こえる
『『了解 隊長!』』
ラミリツがシートベルトを外しながら言う
「ART2隊長 これより 異国の使者アイザック・シュテーゲル氏 及び 異国の人々へ接触を図る 現時刻は… アールスローン帝国時間21時10分 …任務開始」
ラミリツが立ち上がる

【 ART1 】

深夜 各民家の一室で隊員たちが寝ている ハイケルが物音に気付き目を開けて言う
「うん…?」
次の瞬間銃声が一発鳴り響く ハイケルがハッと目を開いて言う
「銃声!?どこだっ!?」
ハイケルが思う
(何が起きた?まさか!?)
隊員Bが悲鳴を上げて言う
「ぎゃぁあーっ!しょ、少佐ぁーっ!」
ハイケルがハッと振り返って言う
「バイスン隊員っ!」
ハイケルが銃を構えハッとして言う
「っ!お前はっ!?」

別の民家

小銃が落ちている 隊員Vがサブマシンガンを構え 隊員Dを庇って言う
「大丈夫かっ!?ドルト隊員っ!?」
隊員Dが息を切らせて言う
「な、なんとかっ!?」
隊員Dが吸血痕のある首を押さえている 隊員Vがサブマシンガンを構えていて言う
「昼間のねぇちゃんたちじゃないっ 男のヴァンパイアだっ!それも…っ!」

別の民家

ハイケルが言う
「少年?…そうか もしやこの村のっ!?」
少年ヴァンパイアがハイケルへ襲い掛かる ハイケルが言う
「ヴァンパイアであるなら…っ!」
ハイケルが銃を撃つ 少年ヴァンパイアが被弾して一瞬止まるが 再びハイケルへ向く ハイケルが言う
「やはり 利かないか…っ バイスン隊員!」
隊員Bがもう一人の少年ヴァンパイアへ銃を向けていて言う
「はーっ!少佐ぁー!」
ハイケルが言う
「退避だっ!」
ハイケルが銃を撃ち鳴らす 隊員Bが言う
「了解 少佐ぁー!」
ハイケルと隊員Bが部屋のドアを体当たりで叩き壊して通路を走る



村の至る場所から銃声が聞こえる ハイケルと隊員Bが走っていて ハイケルが無線イヤホンを試してから言う
「…繋がらないかっ バイスン隊員!」
隊員Bが言う
「はーっ!少佐ぁー!」
ハイケルが言う
「照明弾を放つ 上を見るな!」
隊員Bが言う
「了解 少佐ぁー!」
隊員Bが下を向くと同時に ハイケルが上空へ銃を放つ

別の民家 外

隊員Aが言う
「照明弾!きっと少佐だっ 行くぞ!ナクス隊員!」
隊員Nが民家から逃げ出して来て言う
「了解…っ うおぁあっ!?」
隊員Nの後方から 少年ヴァンパイアが襲い掛かる 隊員Aが瞬時に銃を放つと 少年ヴァンパイアが被弾して吹っ飛ばされる 隊員Nが呆気に取られると 隊員Aが言う
「行くぞナクス隊員!俺たちは 少佐の下へ集合する!」
隊員Nが隊員Aの顔を見てハッとして言う
「あ、ああ!了解っ!アッちゃん仮隊長!」
少年ヴァンパイアが起き上がる 隊員Aと隊員Nがそれに気付き走り出す

ハイケルと隊員B その他隊員たちが周囲へ構えている 隊員Bが気付き言う
「少佐ぁー!アッちゃんたちも 着ましたー!」
隊員Aと隊員Nが走って来て 隊員Aが言う
「遅れてすみません!少佐ぁーっ!」
ハイケルが言う
「良く辿り着いた アラン隊員、ナクス隊員」
隊員Bが言う
「少佐ぁー!これで!」
ハイケルが言う
「ART1の集合を確認 …だが これは…っ」
ART1の周囲を少年ヴァンパイアたちが囲い その周囲に村人たちが松明を持って囲っている ハイケルが農夫へ向いて言う
「この村の少年たちは ヴァンパイアに殺されたのではなく ヴァンパイアに なっていたと言う事か?そして 貴方方は その彼らへ我々をっ!?」
農夫が言う
「外の世界から来られたと言う 貴方方には申し訳ないが これがこの世界の現状だ… 4年前から 人間であったはずの子供たちは 皆 16歳を迎えると ヴァンパイアになってしまう様になった …これではもう この世界はお仕舞いだろう ヴァンパイアは人間の血を必要とするが いずれはその人間が居なくなる そうなれば ヴァンパイアも同じ事… それなら 我々は せめて」
農夫の隣に居る少年ヴァンパイアが言う
「父さん 良いか?もう… 耐えられないっ」
別の少年ヴァンパイアが言う
「村人以外の人間だ 全部吸っちゃって良いんだろ?」
別の少年ヴァンパイアが言う
「人1人吸い尽くしたら 満足出来るのかな?やっと…っ」
少年ヴァンパイアたちがART1へ近付く 隊員Bが言う
「しょ、少佐ぁーっ!?」
隊員Aが言う
「少佐っ ヴァンパイアたちは 銃弾を浴びせても倒せませんっ どうしたら!?」
ハイケルが言う
「そうだな アラン隊員 …だが そうとなれば …方法は1つだっ」
ハイケルが片手に拳銃を持った状態で手榴弾を取り出す 隊員Aが気付き頷いて言う
「了解 少佐ぁっ!…バイちゃん やるぞ!?」
隊員Bが頷いて言う
「了解!アッちゃん!」
隊員Bが手榴弾を両手に持つ ハイケルが言う
「ART1 退避する!私に付いて来い!」
ハイケルが手榴弾を正面へ投げ付け 拳銃で打ち抜く 少年ヴァンパイアがハッとすると 手榴弾が爆発し ハイケルが爆風を切り抜ける 隊員たちが言う
「了解っ!少佐ぁーっ!」
隊員たちがハイケルを追い 隊員Bが後方へ手榴弾を投げ付けて言う
「くーらえー!」
隊員Aが拳銃を構えていて言う
「ショットッ!」
隊員Aの発砲した銃弾が手榴弾に当たり爆発する ハイケルが後方を見ていて気付いて言う
「あのヴァンパイアたちが…?」
隊員Cがハイケルへ向いて言う
「少佐ぁっ!?」
ハイケルがハッとして正面へ向き直って言う
「このまま走り抜ける!バイスン隊員 アラン隊員は 援護を続行!」
隊員Bが手榴弾を手にとって言う
「了解っ!少佐ぁー!」
隊員Aが銃を手に頷く ART1が走り抜けた後方手榴弾が次々に爆発する

郊外

ART1隊員たちが身体を折り 息を整えている ハイケルが周囲を確認して言う
「どうやら 追っ手は無い様だ」
隊員Iが言う
「見ず知らずの俺たちに 自棄に親切だと思ってたら まさか…」
隊員Cが言う
「村ぐるみで 俺らをヴァンパイアの子供たちへの 餌にしようとしていたなんてな…?おっかない世界だぜ…」
隊員Aが言う
「しかし 追っ手が無いと言うのは 意外と言うか…」
隊員Eが言う
「ああ、あのヴァンパイアは凄いスピードで 間近で放たれた銃弾を回避したんだ きっと 俺たちを追おうと思えば 一瞬で追い付ける筈」
隊員Dが言う
「あの女ヴァンパイアたちに追われた時は あっという間に追い付かれたもんな?」
ハイケルが言う
「あの少年ヴァンパイアたちは 人間の村民を守っていた」
隊員たちが呆気に取られて言う
「え?」
ハイケルが言う
「私の最初のビフォアーバーストショットは 致し方ないとして 村民を巻き込む形で放った しかし その際 あの少年ヴァンパイアは そのスピードを用いて 村民たちを爆風から回避させていた」
隊員Aが言う
「少年ヴァンパイアたちが 人間の村民を守った…」
隊員Bが言う
「そうだったんだー?あー!もしかして 少佐ぁー!?だから あの後も 俺たちに!?」
ハイケルが言う
「ああ、従って 私は彼らのその行動を利用する為 バイスン隊員とアラン隊員へ 援護の続行を指示した 彼らが村民の保護を優先するのであれば 我々が逃げるその間の時間稼ぎは出来るだろうと」
隊員Bが言う
「なるほどー 流石少佐ぁー!」
隊員Iが言う
「あの少年ヴァンパイアの1人が 村民の人間に 父さんって 呼びかけてた… 人間とヴァンパイアでは有っても 家族である事は変わらないから …だから 守ったのかな?」
隊員Cが言う
「家族や村民なら襲わないけど 村民以外の俺たちだったら 容赦なく血を吸うって事だろ?だったら 余計な事考えてると 次の時は吸い殺されちゃうぞ?イリアス隊員?」
隊員Iが言う
「そ、それも そうだな?気を付けるよ 有難う サッちゃん!」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「だから サッちゃんは止めろって…っ」
ハイケルがコンパスと時計を見てから言う
「よし 休憩は終了だ ART1 移動を再開する」
隊員たちが言う
「「了解っ 少佐ぁーっ!」」
ハイケルと隊員たちが歩き出す

【 ART2 】

薪が燃えている その前でラミリツが紙を見ながらペンを回して言う
「う~ん…」
シュナイゼルがやって来て言う
「お疲れ様です 隊長」
ラミリツが気付き微笑して言う
「お疲れ、周囲状況は大丈夫だった?」
シュナイゼルが言う
「はい、異常ありません」
ラミリツが言う
「そ、…それなら 悪いんだけど 次の巡回は僕が行くから シュナイゼルは先に休んで置いて貰えるかな?」
シュナイゼルが言う
「私は構いませんが 隊長は先ほども巡回を交代されていますし 少し休まれた方が宜しいのでは?」
ラミリツが苦笑して言う
「そうしたいんだけどさ?これからの予定がまったく決まらなくて …これじゃ どうせ休むに休めないからね?」
シュナイゼルが言う
「そうは申されましても、明日は早朝に 奉者協会本部へと向かわれるのですよね?」
ラミリツが言う
「うん、それはそうなんだけど それなら尚更 僕らがこれから 何をするのかって事を言えないとマズイでしょ?」
シュナイゼルが考えながら言う
「そうですね… こちらのお国を守るために来た …と言うのが本音ですが」
ラミリツが言う
「だけど シュテーゲル殿の話によると この国のアウターサイドには 異常魔力に侵された原生動物の暴動はあっても マシーナリーは1機も入って来ていないって言うんだ そうとなると 僕らの出番って 正直無いって言うか…」
シュナイゼルが苦笑して言う
「そちらの動物たちの駆除をする と言うのでは駄目でしょうか?」
ラミリツが言う
「それは出来るけど やるとしたら それこそ シュナイゼルが以前に言っていた様に アウターサイドの森に居る動物を全部駆除する事になっちゃうよ それは… 僕はやっぱり やりたくない …それをやるくらいなら」
ラミリツが考えて思う
(…だけど 僕らに出来る事は それ位しか)
シュナイゼルが表情を困らせて言う
「そうですね 異常魔力が有る以上は いずれはその日が訪れてしまうのかもしれませんが… 今はまだ 正常で居られる動物も居ると考えると 心苦しいですね」
ラミリツが言う
「森の中を巡回して その異常魔力に侵された動物たちだけを 駆除すると言う方法も考えたんだけどさ?」
シュナイゼルが反応して言う
「では そちらで宜しいのでは?」
ラミリツが言う
「僕らはそれで良いよ?けど それじゃ 駄目なんだと思う」
シュナイゼルが言う
「…と、仰いますと?」
ラミリツが言う
「僕らART2は 何の為に この国に来てる?」
シュナイゼルが言う
「我々ART2の任務は この国を守り この国との… …外交を?」
ラミリツが微笑して言う
「そ そう言う事 つまり この国の人たちに 僕らが来て 良かった~ って 思ってもらわないと駄目なんだ だから それをするには この国の人たちの目に 見えてないと駄目 この国の人が行けない場所で頑張ったって 誰の目にも見えないでしょ?」
シュナイゼルが苦笑して言う
「なるほど 流石は アールスローン帝国の現No1モデルの認識は違いますね?私はそちらを行う事で この国へのそちらの動物らからの被害が減れば ”やがて”は我々の行動が認識されると考えたのですが」
ラミリツが笑んで言う
「ふふふっ 甘いね シュナイゼル?そんなんじゃ流行に乗り遅れちゃうよ?流行は時間と派手さが勝負なんだから  短い時間でより多くの人を惹きつけられないと ”やがて”気付かれる程度じゃ その時には別の流行が始まっちゃうよ?」
シュナイゼルが苦笑して言う
「っははは やはり お若い攻長閣下には 敵いません 老体は 大人しく 休む事にします」
ラミリツが微笑して言う
「そうそう 流行は若者に任せて 先輩はその若者の至らない所を しっかりフォローしてくれないとね?その為にも 休める時に休んで置いてよ」
シュナイゼルが言う
「了解 隊長っ」
ラミリツが頷く シュナイゼルが敬礼してから立ち去る ラミリツが紙に向き直って軽く息を吐いて言う
「…って言っても 思い付かないなぁ もしかして 僕も もう 若者じゃなかったりして?」
ラミリツが苦笑して考える

【 ART1 】

廃墟地区

ハイケルと隊員たちが歩いている 隊員Bが言う
「なんかー この辺りってー?俺たちのアールスローンで言う ランドム地区に似てなーい?」
隊員Aが言う
「うーん 確かに… いかにも富裕層の屋敷って感じの 廃墟がある所は似ているけど ランドム地区は もっと その屋敷の廃墟が敷き詰められた感じじゃないか?ここはどちらかと言うと 一般の市街地の中に お屋敷が点在しているから どちらかと言うと ランドム地区よりメイス地区に似てるように 俺には思えるよ?まぁ そのメイス地区は廃墟では無いけど」
隊員Bが言う
「あー?そうだねー?廃墟では無いけど ちゃんと道路とか 車が通れる様に整備してあるし メイス地区の方が似てるかもー?」
ハイケルが言う
「そうと言う事は つまり 我々のアールスローンでは廃墟にはならない程 設備が整えられている この周囲が廃墟となり アウターに近い それら設備に乏しいあちらの村が生存していた… これらは この世界の何を意味しているのか」
隊員Bが衝撃を受け言う
「え?えっとぉ~?」
隊員Bが隊員Cへ向く 隊員Cが衝撃を受け慌てて言う
「なっ!?何で こんな時だけ 俺の方へ振るんだよ!?何時も通り アラン隊員へ頼れよ!?」
隊員Aが苦笑して言う
「俺に頼られてもなぁ?」
隊員Iが言う
「そもそも廃墟になるって事は その周囲の環境が廃れて行ったと言う事だから… そして あの村が残っていた …つまり 文明の退化?」
隊員Aと隊員Cが衝撃を受け 隊員Bが言う
「おおー!イッちゃん そう言う事分かる人だったんだー!?」
隊員Iが苦笑して言う
「あ… いや~ その… フレッド隊員だったら どう考えるかなぁ~?って?」
隊員Aが苦笑して言う
「イリアス隊員は フレッド隊員の分も頑張ろうって 気合が入ってるからな?」
ハイケルが言う
「文明の退化… 共に訪れた荒廃 …しかし」
ハイケルが立ち止まる 隊員たちが立ち止まりハイケルの視線の先を見る ハイケルの視線の先には 大規模な破壊行為がされた後がある 隊員たちが驚く ハイケルが言う
「コレだけの破壊活動が出来るという事は 少なくとも 文明は退化しては居ない 今は あの村よりも こちらの廃墟に近い文明が残っていると考え 備えておいた方が良いだろう」
隊員Dが言う
「戦争でもあったのかな?爆薬を使った後だろう?あれ」
隊員Iが言う
「人間同士の戦争か?」
ハイケルが周囲を確認し 壁の衝撃跡を見て言う
「いや 恐らく… 人間とヴァンパイアの 争いの跡ではないかと思われる」
隊員Bが壁を見て気付いて言う
「あー 本当だー!ほら アッちゃん!これ銃弾の跡だよ!」
隊員Aが言う
「うん それに こっちのは 物理的な攻撃の跡だ そうとなれば まるで あの村から逃げて来た俺たちと同じ様に」
隊員Bが言う
「でもさー?それなら 何で 人間が居た筈の屋敷の方が 爆薬で壊されてるのかなー?」
隊員Aが気付いて言う
「うん?それも そうだよな…?」
ハイケルが考える 物陰で何かが動く ハイケルが気付き顔を向けるが姿は見えない ハイケルが言う
「…気のせいか?」
物陰に背を付けて少年2がハイケルたちを見て言う
「…何だっ?あいつらはっ?」
ハイケルが隊員たちへ向いて言う
「これ以上 ここに居ても意味が無い ART1 移動を再開する」
隊員たちが言う
「了解 少佐ぁー」
ハイケルと隊員たちが移動を再開する 少年2が目を光らせ姿を消す

【 ART2 】

村内

ラミリツが周囲を見ながら歩いていて思う
(参ったなぁ~ 本当に何も思い付かないや… そもそも こっちの流行って 僕らは何も分からないし…)
ラミリツがマリアの姿を思い出して 立ち止まり考えて言う
「あのファッションセンスから言って 美的感覚なんかは僕らとそう変わらないと思うんだけど… …うん?ファッション?」
ラミリツが歩みを再開させながら思う
(朝には 奉者協会本部に行って… そこで行われる定時記者会見で 僕らの事も紹介してくれるって シュテーゲル殿は言っていた… 定時記者会見 …記者会見って言う事は やっぱ メディアのカメラなんかもあるって言う事だよね?確か…)
ラミリツが自分たちのマシーナリーの前を行く車の中に カーTVのモニターが見えたのを思い出す ラミリツが思う
(この国にも メディアとかTVとかがあるんだから 僕らの事はそれでこの国内の人に知らせる事が出来る 問題は そこで 何を発言するか ただ挨拶しただけじゃ インパクトに欠けるだろうし 服装はまぁ良いとして…って?あれ?)
ラミリツが顔を左右に振って言う
「ああ 駄目駄目っ そうじゃないって…っ 今は…」
ラミリツが思う
(今は資金集めのモデルとしてじゃなくて この国との外交の為に来ているんだから…)
ラミリツが立ち止まって言う
「…何をしたら良いかな?僕一人じゃなくて…」
ラミリツが思う
(ART2の皆で…)
ラミリツが言う
「って言っても 皆が出来る事は」
ラミリツが思う
(戦う事だけだ… し…?)
ラミリツが前方に見えた人影にハッとして木陰に隠れて思う
(人…?こんな時間に?)
ラミリツが時計を確認する(深夜3時) ラミリツが視線を人影に戻して思う
(農作業を開始するにしては 早過ぎる それに 何もない村で この時間にやれる事なんて…っ)
ラミリツが視線を強めて言う
「…もしかして?」
ラミリツが思う
(…泥棒?だとしたら …窃盗容疑で逮捕っ!)
ラミリツが意を決して身を隠して様子を伺う 人影が歩いて行く ラミリツが追う 人影が周囲をうかがっている ラミリツが思う
(周囲を伺っているっ 間違いない 人が居ない事を見計らって 民家に…っ!?)
ラミリツが疑問して言う
「…って あれ?」
人影が森の方へ向かう ラミリツが思う
(民家の方へは向かわない?…けどっ)
ラミリツが人影を居って様子を見る 人影は手に鈍器を持っている ラミリツが視線を強めて思う
(手には凶器や侵入時の道具となる 鈍器を持っている…っ それに どう見ても辺りを伺っているとしか見えない あの様子は…っ)
人影がハッとして走り出す ラミリツがハッとして思う
(逃がすかっ!)
人影が暴れている ラミリツが驚き思う
(まさかっ!暴行窃盗犯っ!?)
ラミリツが剣を引き抜いて言う
「そこまでだっ!」
ラミリツが人影を見る 村人が驚いてラミリツを見る ラミリツが視線を変えて村人の前を見ると驚いて言う
「…えっ!?」
ラミリツの視線の先 狼が唸っている ラミリツがハッとして思う
(あの目はっ 異常魔力を受けた原生動物っ!?)
狼が一瞬ラミリツへ向く 村人がハッとして鈍器を振り回して言う
「このっ!森へ帰れっ!おらたちの家畜を襲いおって!このっ このっ!」
ラミリツが呆気に取られて言う
「…も、もしかして?」
ラミリツが思う
(家畜への被害を抑える為の 見回りの人…?)
狼が怒って吠える 村人が怯えて言う
「ひいっ!」
ラミリツがハッとする 狼が村人へ襲い掛かる 村人が怯えて尻餅を着く ラミリツが叫ぶ
「危ないっ!」
ラミリツが剣を振るう 狼の悲鳴が聞こえる 村人が呆気に取られる ラミリツの前に狼が倒れる ラミリツが表情を落として言う
「…ごめんよ」
ラミリツが思う
(助けてあげられなくて…)
ラミリツが剣を鞘へ収める 村人が呆気に取られていると ラミリツが振り返り 手を差し伸べて言う
「先ほどは失礼しました 夜間の見回りをされている方だと気付けずに 貴方を疑ってしまいました」
村人が言う
「…いやぁ 驚いた あんたら… あの鉄の巨人を操れるだけじゃ ないんだな?」
ラミリツが一瞬驚いた後微笑して言う
「はい、我々は 元は 警察の機動部隊 人体を用いて 人の事件解決を行う者でしたので」
村人が言う
「そうだったのかい 警察の…?」
村人がラミリツに手を借りて立ち上がると言う
「この世界の警察も あんたの様に強ければ こんな風に 原生動物を退治してもらえるんだがなぁ?」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え?出来ないのですか?」
村人が苦笑して言う
「出来ない出来ない!出来るんだったら とっくに依頼しているよ!?この村のような小さい村は 皆!」
ラミリツが呆気に取られた状態から 微笑して言う
「…これだっ!」

【 ART1 】

検問跡

ハイケルと隊員たちが道を歩いていると パトカーから警官姿の男が降りて言う
「はいはーい そちらの御一行さんー?」
ハイケルと隊員たちが立ち止まり ハイケルが言う
「人物を確認…」
隊員Bが言う
「少佐ぁー?あの人物も ヴァンパイアでありますかー?少佐ぁー?」
隊員Aが言う
「見た目の年齢的に その可能性は有り得るな?」
隊員Aが武器を意識する 隊員Cが言う
「あの村に居た少年ヴァンパイアたちと 同じか… 少し上か?」
ハイケルが言う
「接触を試みる 総員 この場にて 待機だ」
ハイケルが一歩前へ出る 隊員たちが小声で言う
「「了解 少佐ぁーっ」」
警官姿の男がハイケルを見る ハイケルが警官姿の男を見る 互いが互いを見た後 警官姿の男がART1隊員たちを一瞥してからハイケルへ言う
「うーん… やっぱり違う …あんた達 正規の警察じゃないな?けど 一見して警察の様に見える服装で 街中を歩く事は 法律で禁じられている ここは郊外だけど この検問跡を抜ければ メルス街だ そうとなれば 身分偽装罪で逮捕する事になる」
ハイケルが言う
「そうか そちらは謝罪する 我々はこの国の住民では無い為 そちらの法律は知らなかった」
警官姿の男が疑問して言う
「ん?”この国の”?」
ハイケルが言う
「国とは言わないか?ならば 貴方方の世界と言えば分かるだろうか?我々は 貴方方の住むこの土地の外 我々はアウターと呼んでいるが そちらの異常空間を越えた先にある アールスローン帝国から来た者だ」
警官姿の男が呆気に取られて言う
「そ、それじゃ!?別世界から来たって言うのか!?あんた達…?」
ハイケルが言う
「そうだ 言葉は兎も角 そちらの認識で正しい そして 我々は 貴方方の世界に置いて 最も 権力を有する者と 対話を行いたいと望んで来たのだが… 先ほど貴方は 警察 と言う言葉を口にした その言葉が我々の認識するものと同じであるのなら 貴方はその人物を知っているのでは無いだろうか?もしそうであるなら その者の居場所や詳細を教えてもらいたい」
警官姿の男が驚いてから 改めてハイケルたちを見る 隊員Bが周囲の様子を見てから隊員Cへ言う
「ねぇねぇ サッちゃん?あの人はやっぱり 人間なのかな?それとも…?」
隊員Cが衝撃を受け慌てて言う
「だ、だから そういう事を 俺に振るなってっ」
警官姿の男が考えながら言う
「最も権力を有する…?う、う~ん…」
警官姿の男が視線をそらして呟く
「…やばいっ これ マジだ…っ どうする俺っ!?」
隊員たちが顔を見合わせる 隊員Iが言う
「何となくだけど… ヴァンパイアでは無さそうな…?」
隊員Aが言う
「ああ、とりあえず …敵意は感じない」
隊員Cが言う
「いや、普通 警察が敵意は 持たないだろ?」
隊員Bが言う
「そうだっけ~?」
警官姿の男が困り考える ハイケルが間を置いて言う
「…もしくは その貴方の上官の者でも?」
警官姿の男が言う
「そ、そっか!それだそれ!えっと… それじゃ…っ」
ハイケルがふと気付き周囲を見る 警官姿の男がハイケルの様子に気付いて言う
「うん?何か…?」
少年2の声がする
「おいっ AJ!囲まれてるぞっ!」
警官姿の男が衝撃を受けて言う
「げっ!?マジかよっ!?やっべ 話に気を取られて…っ」
ハイケルが銃を手にして言う
「あの村のヴァンパイアたちかっ!?」
少年ヴァンパイアたちが現れる ハイケルがその顔を見て思う
(いや?違う… 別の…っ)
隊員たちが武器を手に構える 警官姿の男が言う
「ジャック!」
警官姿の男の横に少年2が現れて言う
「相手は餓鬼どもだ やろうと思えば出来るが… どうする?」
警官姿の男がサブマシンガンを構えて言う
「群れてるんだろ?そうとなったら 話しても聞かねぇよっ」
ジャックが構えて言う
「なら ヤっちまうぜ?」
警官姿の男が言う
「ああ!…おいっ あんた達!」
ハイケルが警官姿の男へ向く 警官姿の男が言う
「相手はヴァンパイアだ 俺の相棒が相手をするから あんた達は俺の近くを離れるなよ!?」
ハイケルが言う
「貴方の相棒が?」
ジャックが牙を剥く 隊員たちが怯える ハイケルが言う
「ヴァンパイア…っ!?」
少年ヴァンパイアたちが襲い掛かって来る 警官姿の男が叫ぶ
「よーし それじゃ…『大変だー!ヴァンパイアが襲ってきた~!』って事で 正当防衛 開始ーっ!」
ジャックが攻撃を開始する 警官姿の男がサブマシンガンを放つ ジャックと警官姿の男が協力して少年ヴァンパイアを攻撃していて 警官姿の男がサブマシンガンの弾倉を交換する 隊員Bが言う
「少佐ぁっ!俺たちも!?」
隊員Bがサブマシンガンを構える ハイケルが言う
「待機だっ バイスン隊員!」
隊員Bが驚いて言う
「えっ!?…けどっ 少佐ぁっ!俺たちだって!」
ハイケルが警官姿の男に攻撃された少年ヴァンパイアの様子に目を細めて思う
(被弾したヴァンパイアの様子が …我々の時とは異なっている!?…何故だ?)
ハイケルが警官姿の男のサブマシンガンを見て思う
(我々の銃と 何か異なるのか…っ?)
ハイケルが警官姿の男の弾倉の交換時に 充填されている銃弾を見て気付いて言う
「…その弾頭の質感 銀を使用した銃弾で損傷をさせれば 銃撃による効力が得られると言う事か?」
警官姿の男が反応しハイケルへ視線を向けて言う
「ヴァンパイアには 銀で攻撃!こいつは 常識ってね!」
ハイケルが言う
「そうか 生憎 我々の所持する銃弾は 全て…」
ハイケルがハッとして 装備のサーベルを見る 警官姿の男が弾倉を交換しようとしてハッとして言う
「ゲッ!?これラスイチかっ!?ジャック!後は頼…っ?!」
ジャックが警官姿の男へ向くと 警官姿の男の前を何かが過ぎる 警官姿の男がハッとして向き直ると驚いて言う
「あっ!?おいっ!アンタっ!?」
ハイケルが瞬時にサーベルを少年ヴァンパイアの心臓へ突き刺す 少年ヴァンパイアが一瞬驚いた後 苦しんで叫ぶ
「ぐっ!?ぎぁあぁああーー!?熱いっ!熱い!あぁああーー!」
ハイケルがサーベルを引き抜くと 少年ヴァンパイアが傷口を押さえてもがいた後 やがて絶命する 警官姿の男が呆気に取られると ジャックが言う
「銀のサーベルかよ?」
警官姿の男が言う
「ひえ~ バリレトロ~?」
隊員Bが言う
「え~?俺たちには 銀のサーベルなんてないし~?」
隊員Aが苦笑して言う
「それを言ったら 俺たちには少佐並みの 剣の腕だって無いだろ?バイちゃん?」
隊員Bが言う
「あ~?それもそうかも~?」
ジャックが言う
「一丁上がり… にしてもアンタ 本当に人間か?そんな動き出来る人間なんて 見た事ねぇよ?」
ハイケルがサーベルを鞘に収める 警官姿の男が言う
「確かに けど 人間だろ?俺の目で 動きを追えたんだ」
ハイケルが言う
「私は… いや、自己紹介が不足していた 我々は アールスローン帝国軍 レギスト特殊部隊 通称ARTの第一機動部隊だ 従って 相応の戦闘技術は身に付けている だが 残念ながら こちらの世界に ヴァンパイアが居ると言う情報は得られていなかった為に 必要な武器及び弾薬が不足している 可能であれば 貴方の組織の方と対話を行い そちらの提供を受けたい」
警官姿の男が言う
「…どうやら 別世界から来たって事を 度外視しても あんた達は 警察の真似をしている唯の連中って訳じゃないらしい 分かった とりあえず うちの署長に合わせよう 警察のトップには 各街の警察署の署長が連絡を取る事になってるから あんた達の最初の希望にも それで良い筈だ」
ハイケルが言う
「では この世界において 最も権力を有する者は 警察のトップ… 長官と言う事か?」
警官姿の男が少し考えながら言う
「ん?えっと~ …たぶん?」
隊員たちが疑問して 隊員Cが言う
「たぶん?」
警官姿の男が言う
「それじゃ 早速 メルス街警察署へ~ …って事になるんだけど 参ったなぁ 車はパトカー1台しかないから あんたら全員連れて行くとなると 輸送車を持って来ないといけないけど… パトカー飛ばしても署まで1時間 輸送車で戻って来るのに1時間以上掛かるとなると またヴァンパイアが集まってきちゃいそうだしな… 街へ入って待つにしても あんた達目立つから 騒ぎになりそうだし…?」
警官姿の男が考える ハイケルが警官姿の男とパトカーを見てから言う
「あのパトカーには 無線機は搭載していないのか?そちらで 他の警察へ応援を呼ぶ事は?」
警官姿の男が言う
「は?無線機って?」
ハイケルが不意を突かれて言う
「うん?では 無線機は搭載しては居ないのか?それで どうやってお前たちは 連絡を取り合っている?」
警官姿の男が言う
「連絡は… …あ!そっか!そうだな!それなら ジャック!」
警官姿の男がジャックへ向き 近付いて行きながら言う
「お前ちょっと ひとっ走り戻って 誰か暇してる署員に 輸送車をここまで運ぶ様にって 伝えて来てくれよ それまで 俺がこの人たちと 街の方へ向かって置くから 途中で…」
ジャックが顔をそらしたまま 息を抑えて言う
「…っ 無理 今は… 走れねぇよ… …っ」
警官姿の男が気付き周囲を軽く見てから言う
「あ、そうだった 悪ぃ悪ぃ ちょっと 相手が多かったもんな?喉が渇いたんだろ?」
ジャックが唇を噛む 警官姿の男が苦笑する ハイケルが目を細める 隊員たちが疑問している 警官姿の男が一度ハイケルたちを見てから苦笑し ジャックへ向いて言う
「じゃぁ 今日は ここで先に吸っちゃえよ?」
ジャックが驚いて警官姿の男を見て言う
「…けど あいつらが…」
警官姿の男が微笑して言う
「そのあいつらの為でもあるんだから?…ほらよ?」
警官姿の男が制服の首元を緩め 首を見せるジャックが吸血衝動を現す 隊員たちがハッとして 隊員Dが言う
「お、おい…?」
隊員Iが言う
「ヤバイんじゃないかっ?あれ…っ?」
隊員Bが言う
「しょ、少佐ぁーっ?」
ハイケルが警官姿の男の首を見て気付いて思う
(複数回の吸血痕…)
ハイケルが言う
「…いや 大丈夫だ」
隊員たちが驚いて言う
「えっ!?」
ジャックが警官姿の男の首に牙を立てる 隊員たちが衝撃を受けて言う
「「あっ!」」
ジャックが吸血しつつ警官姿の男の服を握る 隊員Cが言う
「え、え~と…っ?」
隊員Aが言う
「任意で吸血させてるって事は 分かるにしても…」
隊員Bが言う
「ア、アッちゃん?ほ、本当に 大丈夫かな…?あの人?」
隊員Aが苦笑して言う
「う、う~ん…?」
隊員Aがハイケルを見る ハイケルは沈黙している 隊員Aが苦笑して言う
「だ、大丈夫… …なんじゃないか?たぶん…?」
隊員Bが言う
「たぶん~?」
隊員たちが見詰める中 吸血が続けられている 隊員たちが焦り始め 隊員Cが言う
「ほ、本当に…っ?」
隊員Iがハイケルへ言う
「しょ、少佐?そろそろ 引き剥がしてでも 止めた方が良いんじゃっ?」
ハイケルが言う
「問題ない」
隊員たちが不安気に顔を見合わせる 車の音がする ハイケルが疑問して顔を向けると 男性が下車して 叫ぶ
「AJっ!」
警官姿の男が驚き目を開く ハイケルが疑問する 隊員たちが顔を見合わせ 隊員Bが言う
「あの人の知り合いー?」
ハイケルがハッとしてジャックへ向いて叫ぶ
「離れろ!」
警官姿の男がハッとしてジャックを引き剥がす ジャックは意識が朦朧としている 銃声が響く ジャックの右肩に被弾する ジャックが目を見開く 警官姿の男が驚いて叫ぶ
「ジャックっ!?」


続く
しおりを挟む

処理中です...