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14章
アールスローン戦記Ⅱ ライデリア家の野良犬とハブロス家の名犬
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【 ハブロス家 庭 】
晴天の朝日に 南西に伸びる複数の飛行機雲が消え入る中 規則正しく空気を斬る鋭い音が響いている ユラが剣を素振りして稽古をしている 規則正しい動きの中でユラの意識では過去の記憶が蘇っている
ルイルが実験中の手を止めて言う
『…は?武道を …ですか?兄上?』
ユラが言う
『そうだ!武道を教えられる奴を 雇ってくれ!なんでも大和武術と言って 柔道とか 空手とか 合気道とか言うらしい… 何がどう違うのかは 良く分からんが それらは武道とか武術とかと言ってだな?…つまり 何なんだ?』
ユラが首を捻る ルイルが溜息を吐いて言う
『はぁ… 意味も分からずに 仰っているのですね?』
ユラが不満そうに言う
『うっ… だ、大体っ 大和の連中が悪いっ!柔道だとか何だとか… 武道とか武術とか… 訳が分からんっ!』
ルイルが言う
『柔道とは 古くは大和国古来の体術であり そちらを改良しスポーツの要素を取り入れる事で 技を競う競技の事を言います 空手の方は 言葉の通り 手に何も持たないと言う事を意味し つまり 素手で戦う体術を言います そして 合気道と言うのは こちらも大和国の体術の1つですが 主に当て身と 関節技を主とする 護身術を言います』
ユラが言う
『ほう?詳しいな?…で、結局 どれが一番強いんだ?ついでに 武道と武術 と言うものの違いは?』
ルイルが言う
『大和では 騎士の事を武士と言いますので 彼らが戦いの為に極める技術の事を全てを武術と言います そして、武道とは その者たちの信ずる道を… 精神的なものを言います 武道は武士の道ですから武士道とも言いますし 更に武道は彼らの武術を直接示す事もあります それら武術には 兄上の仰った 3つの体術の他にも 刀 …とは 剣の事ですが そちらや槍、弓の技術の事も 含まれるのですよ?』
ユラが言う
『おお!そうなのか!なるほど… 武道には 武器を扱う事もあるのだな?剣や槍や弓を… うん?では 銃は無いのか?』
ルイルが頭を押さえて言う
『兄上… それくらいもご存知ではないのでしたら 武道はもちろんですが 武術などとも もう言わないで下さい …と言うか むしろ 黙ってて下さいっ 私の研究の邪魔ですし 本物のユラ・ロイム・ライデリアは その様な事を言う様な… …っ鹿な人ではありませんよっ!』
ユラが疑問して言う
『”かなひと”?…うん まぁ そうだろうな?それは 分かっているが …そうは言われても 俺は…』
ルイルが怒って言う
『それからっ 何度も言っていますが ”俺”ではなく 一人称は”私”です!』
ユラが慌てて言う
『わ、分かったっ では… ”私”は… とにかくっ 何でも良い 力が欲しいんだっ!』
ルイルが言う
『力?…貴方には ”ライデリア家の長男”と言う 私以上に強い力が 有るではありませんかっ!?』
ユラが言う
『それは…っ 俺には 上手く使いこなせん…』
ルイルが怒って言う
『”俺”ではなく!』
ユラが言う
『わ、ワタシはっ!私は…!武道をっ!…いや、武術を?…いや えーと…?』
ルイルが溜息を吐いて言う
『大体 高位富裕層の長男が 何故体術などと…?その様な技術を持っていては むしろ 恥ずかしいですよ?上に立つ者は 下の者を使って 己の身を守らせれば良いのです 政府の長官となるのでしたら… そうですよっ それこそ 国防軍の防長に守らせては如何ですか?丁度良いです 彼らは それこそ 体を使って 戦う組織ですからね?』
ユラが不満そうに言う
『だが 俺は…』
ルイルが不満そうに言う
『”俺”ではなくっ?』
ユラが言う
『わ、私は… 私が… 政府長長官か… 外交を持って…?話し合いで解決など …それこそ 攻長の持つ 剣で解決してしまえば良いものを… …うん?剣?』
ユラが勢い良く言う
『そうか!ルイル!分かったぞっ!』
ルイルが勢いに押されて驚いて言う
『な、何がです?』
ユラが剣を振っている ユラの脳裏で過去のユラの声が響く
『剣術を習えば良いだろう!?政府長は攻長でもある!攻長の武器は剣だ!そうとなれば 私が その剣術を扱えなければ お前も 恥ずかしいだろう!?』
ルイルが言う
『…で、ですから …もう良いです 分かりましたよ』
ユラが言う
『よし!では 見ていろ ルイル!俺は 武道を極める!』
ルイルが言う
『でしたら 剣ではなく 刀ですが 宜しいのですか?』
ユラが言う
『は?カタナ??』
ユラが剣を強く振って思う
(…と、結局 俺はアイツのお陰で 刀術ではなく 無事 剣術を習う事が出来た… そして、お前に それが生かされていると言う 今を 見せる事が出来なかった事は 俺は 残念に思う …しかし やはり お前は 今でも 俺を馬鹿にしたか?それとも…?)
ユラがふと気付き視線を向けると人影が隠れる ユラが疑問して思う
(…気のせいか?)
ユラが剣の素振りを再開しながら思う
(…そうだな?ここは ハブロス家の庭だ あのライデリア家より 1つ2つ上の… 現行に置いては 最上位の高位富裕層の庭 …その様な場所に 曲者など…)
ユラがハッと気付き振るっていた剣先を変え 瞬時に襲い掛かって言う
「そこだっ!!」
金属同士のぶつかり合う甲高い音が響く ファーストが目を見開いて自身の前にある 2つの刃物に言葉を失う ユラが一瞬驚いた後笑んで言う
「…ほう?貴様 やはり 只者ではなかったか?」
執事がナイフでユラの剣を抑えていて 微笑して言う
「いえ 私は あくまで… ハブロス家の執事に御座います」
ユラが言う
「ふん?なるほど ハブロス家の執事たる者 その程度の技術を得ている事が 常か?この俺の剣を それほど小さな刃で抑えられるとは …大した奴だ」
ユラが剣を引く ファーストがゆっくりと息を吐き ホッと胸を撫で下ろしてから執事を見上げて微笑する 執事がナイフをしまい微笑して言う
「滅相も御座いません ユラ様が直前に力を加減して下されました そちらのお陰に御座います」
ユラが苦笑して言う
「ふ…っ 良いだろう?では そうとして置くか?」
執事が軽く頭を下げる ファーストが安堵すると ユラが周囲を見渡してから言う
「で?…何か用か?」
ファーストがユラの様子にハッと誤解し 申し訳なさそうに言う
「あ… 申し訳ありません 兄上っ …兄上の お稽古の邪魔立てをするつもりは無かったのですが… 朝の空気を吸いに 庭の散策をしておりました折に その… 音が聞こえたもので もしやと思い…」
ファーストがユラを見上げると ユラは他方を見ていて思う
(…やはり 違う)
ファーストが疑問する ユラが言う
「それで?…ずっと俺を見ていたのか?」
ユラが視線を強める 執事が気付き悟られない様周囲を伺う ファーストがユラの様子に表情を落として言う
「え?あ… ずっとと言いますか… 失礼しました… そうですね …では 私は 別の場所へ向かいますので」
ユラが言う
「ああ、そうしてくれ 稽古の邪魔だ」
ファーストが驚き表情を落として言う
「…はい では …レミック 噴水の方へ行こう?今日は良い天気だから きっと あの辺りが心地良い筈だ」
執事が微笑して言う
「はい 畏まりました ”噴水の方”に御座いますね?それでは 早速 そちらへ向かいましょう」
ファーストが一瞬呆気に取られた後言う
「え?う、うん…?」
執事がファーストの車椅子を押し始める ユラが元の位置へ戻り剣を構える 執事が車椅子をゆっくりと押す ファーストが疑問して言う
「…ん?レミック?兄上のお邪魔になってしまうから 早く…」
ユラが構えた剣の刃の向きを変えると 刃に人影が映る ユラが目を細めて思う
(人数は…)
執事が意識を周囲に集中していて思う
(…3人)
ユラが剣を振り上げ 共にひそかに視線を向けると 人影が動くのが見える ユラが気付いて思う
(狙いは…っ?)
執事が殺気に気付いて思う
(ファースト様っ!)
次の瞬間 執事が2方向へナイフを投げる 2方向で悲鳴が上がる
「うっ!」 「ぐあっ!?」
ファーストが驚いて言う
「えっ?」
ユラが剣を振るって叫ぶ
「らあぁあーっ!」
ユラの剣が銃を弾き上げる 曲者が驚いて言う
「なにっ!?くそっ!」
曲者がユラへ殴り掛かると ユラが剣の柄で曲者を殴る 曲者が受けた衝撃に悲鳴を上げる
「がはっ!?」
ユラが曲者を地面へ押さえ付ける ファーストが呆気に取られていると 執事が言う
「お見事に御座います ユラ様 そちらは 大和武術 空手の心得に御座いますね?」
ユラが言う
「我流だ 空手は 武器を使わんからな?」
執事がユラに代わって曲者を押さえる ユラが言う
「で?貴様は 何の心得だ?大和武術 忍びの心得か?あの距離で確実に奴らの急所を突くとは …それとも?それも ハブロス家 執事の心得とやらか?」
ユラが視線を向けると 執事が仕留めた曲者が息絶えている 執事が言う
「我が主の為に 必要と御座いませば?」
執事が曲者を締め付ける 曲者が悲鳴を上げて言う
「ぐぅっ!…な、何もっ!何もしゃべらんぞっ 俺は…っ!貴様らに バラす位ならっ!…がっ!?」
ユラが言う
「おっと?」
曲者の口に ユラの剣の柄が押し込まれていて ユラが言う
「舌を噛み切ろうとは …どうやらコイツは 相当に聞く価値がありそうだな?」
執事が言う
「左様に御座いますね では 私の方で…」
ユラが言う
「いや?こいつは 俺の事も見ていた… ファーストが来るまでは… …と言う事は?」
曲者が押し込まれる剣の柄に声を出す
「ぐ…っ」
ユラが言う
「何もしゃべらんと言ったな?」
曲者がユラを見て視線を強める ユラが笑んで言う
「ならば面白い 久しぶりに… 血がうずくと言うものだ」
曲者が一瞬驚く ファーストが呆気に取られて言う
「あ… 兄上…?…ハッ まさかっ!?」
ファーストが思う
(そう言えば…っ 以前見た 国防軍のトリプルトップシークレットにっ 兄上は…っ ユラ・ロイム・ライデリアはっ!?)
ユラが笑んで言う
「まずは 何をしてやるか…?そうだな?ゆっくりと時間を掛けて 貴様の両手両足の…」
ファーストが慌てて耳を塞ぐと 思う
(で、でも…っ 今はっ!今はもうっ 兄上はユラ・ロイム・ライデリアではないっ ユラ・アース・メイヴンなんだっ もう… 下等富裕層の様な…っ そういった事はしないっ そんな趣味なんかは 無くなって…っ だって そんな事っ ハブロス家の家族である 兄上が 行うなんて事は…っ!)
ファーストが閉じていた目を薄く開き視線を向けると 曲者が怯えて必死に顔を左右に振っている ファーストが呆気に取られて思わず手を離すと 曲者の悲鳴の混じった声が聞こえる
「止めてくれっ!話すっ!何でも話…っ があっ!」
ユラが曲者の口に再び柄を押し込んで言う
「何を言っている?まだ 何も始めてはいないだろう?情報を吐くのは それらの事を終えた後の …いや まだだな?やはり もっと 楽しめる方法を」
執事が微笑して言う
「では 私は 早速 そちらの用意へと 取り掛かりますので」
曲者が怯えて言う
「ひぃっ!?」
ユラが笑んで言う
「ああ そうだな 何をやるにしても鉄はじっくりと 熱してやらないとなぁ?中途半端では 焼き切れん まぁ それはそれで 楽しみも長引くと言うものだが …クククッ」
ファーストが怯え 再び耳を塞ごうとした瞬間に 曲者が悲鳴を上げて言う
「…らいでりあだぁあっ!」
ユラが疑問して言う
「あん?」
ファーストが疑問すると ユラが押し込んでいた柄を引く 曲者が涙ながらに言う
「ライデリア!ライデリアだっ!ユラ・ロイム・ライデリアぁあ!!」
ユラが呆気に取られて言う
「なんだと?」
ファーストが呆気に取られていると 曲者が咳き込みながらも言う
「げほっげほっ!ユラ… ロイム・ライデリア…っ …知っているだろう?以前 政府の長官や攻長だった あのユラ・ロイム・ライデリアが…っ ハブロス家の… があっ!?」
曲者が殴られる ユラが曲者を踏み付けて言う
「貴様 …誰に向かって言っているっ!?」
曲者が怯えて見上げる ユラが言う
「ユラ・ロイム・ライデリアが?貴様らを雇い 俺を殺せと?」
曲者が言う
「アンタをヤレとは言われちゃいないっ ハブロス家の者を 連れて来いと…っ だからっ!この庭で 自由を行っていた アンタを見ていたが…っ そうしたら あいつの方が…っ」
曲者がファーストを見る ファーストがハッとすると 執事がファーストを遮って言う
「恐れ多くも このハブロス家の ご子息様方へ手を出そうとは 相応の者に 雇われたと言う事ですね?」
曲者が言う
「だから 言っているだろうっ!?アンタは執事ならっ ライデリア家が このハブロス家に 匹敵する家だと言う事を…っ」
ユラが怒って叫ぶ
「ほざけっ!」
ユラが曲者を蹴り付ける 曲者が悲鳴を上げてて言う
「があぁっ!」
ファーストが痛そうに表情をしかめる ユラが言う
「このハブロス家に ライデリア家など足元にも及ばんっ …更には ユラ・ロイム・ライデリアに雇われただと?笑わせるなっ!貴様は ”誰に” その言葉を言っているっ!?」
曲者が困惑する 執事がユラの近くで言う
「…ユラ様 失礼ながら …今のユラ様は 当時のお姿とは 異なりますので…」
ユラが気付いて言う
「うん?…そうだったな」
ユラが曲者から足を離す 曲者が息を切らせる ユラが言う
「だが」
ユラが曲者の襟首を締め上げて言う
「”ユラ・ロイム・ライデリア”は… 死んだんだ …この俺が 奴をっ!」
曲者が言う
「死んでなんかいないっ!そうと言うのなら 俺たちが見たのは 幻だとでも言うのかっ?政府の公式発表でだって 奴は行方不明だって…っ!それが… きっと戻ってきたんだっ 嘘だと思うなら ライデリア家の屋敷へ行ってくれっ 奴は そこに居るっ!…げほっ げほっ」
ユラが困惑しながら言う
「馬鹿な…っ?」
執事が言う
「すぐに確認を取らせます この者の処理は その後からでも 十分ですかと…?」
ユラがハッとしてから苦笑して言う
「ああ、そうだな?…わざわざ 人を送らせた上で 嘘であったのなら… 分かっているな?」
執事が携帯で連絡をする ユラが剣先を曲者へ向ける 曲者が痛む体を押さえながら言う
「行けば分かるっ だが 本当に…っ これ以上は 何も知らない 俺たちはただ… 雇われただけで…っ」
ユラが言う
「雇われただけ… か …ふんっ?その様な嘘が通じると?」
曲者がユラを見上げて言う
「嘘では… …がぁっ!?」
ユラが曲者を踏みつけながら言う
「このハブロス家へ忍び込めるほどの腕を持つ 雇われの者であるのなら 尚更だ …ハブロス家に劣る ライデリア家の依頼など 受ける筈がないっ」
曲者が目を見開く ユラが言う
「久しぶりに 楽しませてくれるようだな?覚悟は出来ているか?楽に死ねると思うなよ?」
曲者が震える 執事が言う
「ユラ様」
ユラが笑んで言う
「ああ、誰も…」
執事が言う
「奇怪な事に ”ユラ・ロイム・ライデリア”が …確認されていると」
ユラが驚く 曲者がホッとする ユラが執事へ言う
「…ここは お前へ任せる」
執事が言う
「畏まりました しかし ユラ様は…?」
執事がユラに代わって曲者を抑える ユラが言う
「俺が ライデリア家へ向かい 直接 確認をして来る」
執事が言う
「そちらはなりませんっ!」
ファーストがユラの前に行って言う
「兄上っ」
ユラが立ち止まる ファーストが言う
「レミックの言う通りです 兄上が向かわれる必要は無いのですっ 誰か他の者を向かわせれば…っ それに兄上の身に 万が一の事が起きましては 父上が どれほど嘆かれる事かっ!あっ そうです まずは 父上へ 連絡をっ!」
ファーストが携帯を取り出す ユラが言う
「ファースト!」
ファーストが驚いてユラを見上げる ユラがファーストへ向いて言う
「この程度の事で ハブロス司令官の手を煩わせるな」
ファーストが言う
「し、しかし…っ!」
ユラが言う
「”父上”は お前に何と言った?」
ファーストが呆気に取られる ファーストの脳裏に記憶が蘇る
アースがファーストを見て言う
『そして やはり 長男でありこのハブロス家の次期当主となる ファーストの事は 可愛がりたい気持ちはもちろんだが それ以上に 私は …”頼りにしている”』
ファーストが震える唇で言う
「ち、父上は 僕に… ”頼りにしている”と…」
ファーストがユラを見上げると驚く ユラが微笑して言う
「その想いに 答えたいとは思わないか?」
ファーストが呆気に取られて言う
「想いに 答える…っ!?」
ファーストが息を飲んで手を握り締める ユラが言う
「ここは頼んだぞ ファースト そいつはまだ …何かを握っているぞっ」
ファーストが意を決して言う
「…は、はいっ 兄上!…どうか お気を付けてっ!」
ユラが頷き立ち去る ファーストが握り締めた拳を胸にしてから言う
「…レミック!その者を 屋敷の地下へ!それから…」
執事が言う
「畏まりました ファースト様」
執事が曲者の口へ猿轡を噛ませ 立ち上がらせる
【 ART本部 入り口 】
扉が開き エルムαが顔を上げると アースが入って来て微笑して言う
「こちらに変わりは無いか?エルム少佐?」
エルムαが言う
『問題ない』
アースが言う
「それは結構 …うん?」
アースがIDをスキャンしようとして 出退勤ボードの様子に疑問して言う
「今日は… ユラも来て居ないのか …まぁ そうかもな?ART1もART2も居ないとなれば あいつの相手をする者も居ない そうとなれば… 彼らが戻るまで あいつもこちらへは 顔を見せないか…」
アースがIDスキャンをしてから歩き始める エルムαが続く
【 ライデリア家 外 】
ユラがやって来て 周囲を見てから言う
「ふん…?何も 変わっていないか …最も 高位富裕層の家ともなれば その家の者が全て消えたとしても 屋敷は1世代の間は凍結保持される …何故 誰も居らぬ家を 保持する必要があるのかと 思っていたが…」
ユラが気付き目を細めて言う
「…こう言う事か」
ユラが周囲を見渡し向かう 窓の中 室内にユラ・ロイム・ライデリア(以降ロイム)が居る
【 ライデリア家 室内 】
物音がして ロイムが一瞬反応するが 無視して研究を続けていると ロイムの首に刃が当てられ ユラが言う
「ユラ・ロイム・ライデリア …生きていたのか」
ロイムが気付き 溜息を吐いて言う
「…警備の者は 何をしている?」
ユラが言う
「奴らは悪く無い この屋敷に関しては 俺の方が詳しいと言う事だ …何しろ」
ロイムが苦笑して言う
「”私の身代わり”を行っていたから…か?最も とても そちらの役目は 果たせていなかったそうだが?」
ユラが言う
「そんな事は無い ルイルのお陰で 誰も俺を 貴様の偽物だとは思いも…」
ロイムが振り返って言う
「そのルイルが言っていたぞ?」
ユラが反応して言う
「何…っ?」
ロイムが苦笑して言う
「”見た目は確かに そこそこ似てはいますが 頭の方は空っきし 兄上とは 似ても似つきません 正直 あの者が 役とは言え ライデリア家の名を 名乗っているというだけで 私は気分が悪くなります” …ルイルが私の前で いつも言っていた言葉だ」
ユラが怒りを押し殺して言う
「ク…ッ」
ロイムが笑んでから 作業に戻りつつ言う
「それで?」
ユラがロイムを見る ロイムが作業をしながら言う
「その 唯一の見た目さえ 変わった貴様が 今更 何の用だ?例え 今再び 私へ重傷を 負わせたとしても ルイルも居ない貴様に ”ユラ・ロイム・ライデリア”を演じる事などは 不可能だぞ?」
ユラが言う
「今更 その様な事を するつもりは無いっ いや 例え 可能であろうとも 今の俺は ユラ・アース・メイヴン!あのハブロス家の家族だ!貴様の偽物を演じる必要などは 毛頭無い!」
ロイムが苦笑して言う
「ふん?ハブロス家の…?」
ユラが刃を近付けて言う
「そのハブロス家へ 刺客を送り付けたのは 貴様だそうだな?捕らえたその者が 話してくれたぞ?”父上”と貴様に教わった術が 役に立った 礼を言ってやる」
ロイムが息を吐いて言う
「なるほど… 有益な術を 貴様ごときに与えてしまったか」
ユラが言う
「俺も それなりに 貴様ら兄弟の役に立っていただろう?まずは そちらの礼を聞こうか?」
ロイムが苦笑して言う
「ふん… 誰が?野良犬風情の貴様が 調子に乗るなっ!」
ロイムが薬剤をユラへ振り掛ける ユラが瞬時に腕で顔を守ると 腕の衣服が溶ける ユラがそれを見て表情をしかめる ロイムが言う
「折角 飼ってやったものを やはり野良犬だ 主を傷付け その座に騙し入った貴様に 礼などは 必要無いっ」
ユラが言う
「誰が 飼ってくれと頼んだ?貴様らが勝手に 俺を施設から連れ去り 挙句は貴様が生き延びるとなれば 俺を屋敷の地下へ幽閉し 飼い殺しにしていたっ …そこへルイルが 己より優秀な兄を 亡き者とする その計画を持ち掛けて来たんだっ あいつに騙されていたのは 貴様だっ!」
ユラがロイムの手に持つ試験官を剣で払う ロイムが衝撃に体制を崩し 実験台へ身を打ち付けると 悔しそうに言う
「…くっ なるほど …やはり 元は ルイルの画策だったか… しかし 今や その嫉妬深い弟も消え 地位や名誉ばかりを求めた 父も居ない そうとなれば… このライデリア家の全ては私の物だ!余計な事を知る貴様には 消えてもらうっ!」
ロイムがスイッチを押すと 屋敷の壁がセイバーで壊される ユラが身を守りつつ状況を確認すると驚いて言う
「な…っ!?マシーナリーだとっ!?」
ロイムが笑んで言う
「クックック… 驚く事は無い 何故なら この技術を… 政府のマスタートップシークレットを 解明したのは この私だっ ルイルが解明したのではないっ!」
ロイムが白衣の首元にネックセンサーが付けられている ユラが気付いて言う
「それは…っ」
ユラの記憶に ルイルが微笑してネックセンサーをユラへ見せている様子が思い出される ユラが表情をしかめて言う
「そうか… では ルイルは やはり…っ」
ユラが手を握り締める ロイムが言う
「マシーナリーは 私の力だ それが 愚かな弟のお陰で 政府の力とするのならまだしも… 国防軍の!?あのハブロス家の力にされた事は 実に憤慨だっ!今に見て居ろ!奴らから マシーナリーの力を全て奪い返し この国の 最有力者を気取っている あのアース・メイヴン・ハブロスをも 私が 屈服させてくれる!」
ユラがアースの名に反応し 怒って言う
「そうはさせんっ!」
ユラが剣を振るう ロイムが笑って言う
「っはははっ!何だ?その剣で マシーナリーを倒そうとでも言うのか?マシーナリーの装甲は アールスローンで最も硬いと言われている金属の3倍だぞ?それをアールスローンの… しかも 人が振るう剣などで 対抗出来ぬ事くらい 野良犬でも分かれ!愚か者め!」
ロイムが手を振るうと マシーナリーがプラズマセイバーをユラへ振り下ろす ユラが言う
「愚かは 貴様だっ!」
ユラの直前で マシーナリーのセイバーが止まる ロイムが驚いて言う
「何っ!?」
ユラが笑んでロイムへ視線を向けて言う
「どうだ?貴様の技術など ハブロス司令官のARTはもちろん 現状の政府にも劣ると言うもの!コレが ”今の” アールスローンの力だ!」
ユラが意思を向けると マシーナリーがセイバーを引き自身へ突き刺し停止する ロイムが驚いて言う
「そんな…っ!?馬鹿な…っ」
マシーナリーが倒れて地響きがする 改めてロイムの首に刃が向けられる ロイムが僅かに驚き刃を見る ユラが剣を向けていて笑んで言う
「ルイルの様に ただ 研究だけに溺れているのなら 見逃せてやれたが… ハブロス司令官や彼のものに 危害を与えると言うのでは そうは行かない …選べ」
ロイムがユラを見る ユラが言う
「今 ここで もう一度俺の手に掛かり 今度こそ死ぬか?それとも… ルイルの様に ただ研究者としての名誉だけを求め 生き続けるか?」
ロイムが笑んで言う
「私は 弟とは違う 研究者としての名誉はもちろん このアールスローン最高位の 地位と 権力をも手に入れるっ!私の力で!」
ユラが表情を強めて言う
「ならばっ!死ねぇえーっ!」
ユラが剣を振り上げるとロイムがスイッチを押す ユラの足元の落とし穴が開き ユラが驚く
「なっ!?」
ユラが落下する ロイムが笑う
「あっははははっ!」
ユラが落下する中剣を壁へ突き刺しぶら下がって止まると言う
「…ぐぅっ!」
ユラが上を見上げると ロイムが見下ろして言う
「…ははははっ!古典的な武器に 古典的な方法で…?まさか この様な世代遅れな物が 役に立つ日が来るとはな!?貴様が 銃を使う者で無くて 助かった!”礼を言って”やる!あっははは!」
ユラが表情をしかめて言う
「くそっ まさか こんな物が…っ」
上部でロイムが言う
「ほう?やはり しぶといな野良犬は?」
ユラがロイムを見上げて言う
「ク…ッ」
ロイムが言う
「そうして 今の飼い主の 助けでも待つつもりか?」
ユラが言う
「俺がここに来ている事は ハブロス家の者に知られているっ そして… ハブロス司令官ならばっ!」
目下で水音がする ユラが気付き視線を向けると ロイムが言う
「その助けが来るまで耐えられるのか?そこからでは 這い上がる事も不可能 …そして 足元の水には 過去ライデリア家で 父上のご趣味に晒された連中の 死肉で 肥えたピラニアどもが… 久々の獲物に 群がっている… 例え ハブロス家の連中が このライデリア家に押しかけて来ようとも お前が居たと言う その証拠は 彼らが食い消してくれるだろう?」
ユラが表情を悔しがらせる ロイムが言う
「いや…?そもそも…?ハブロス家の者は ここへは来ないか?」
ユラが言う
「何っ!?」
ロイムが笑んで言う
「ユラ・アース・メイヴン …と、言ったな?つまり お前は 養子にされようとも その名が示す アース・メイヴン・ハブロスの”私物”であると …ただの道具であると言う事だ 父上が お前を 私の身代わりに使おうとした そちらと同じだ!」
ユラが驚き 気を取り直して叫ぶ
「違うっ!!」
ロイムが言う
「何が違う?家の名を与えられず 個人の所有物だと 名付けられ!その役割通りに アース・メイヴン・ハブロスの実の子供を守る為に この場所へ 己の命を危険に晒しながらもやって来たっ!ハブロス殿も 上手い事 野良犬を使いこなす様だ!その手腕は 父上と同等だな!?」
ユラが叫ぶ
「黙れっ!!ハブロス司令官はっ 貴様の父親とは違うっ!」
ロイムが言う
「クックック… まぁ良い 精々 そこで力を使い果たし 奴らの餌となれ …っははははは!」
ユラが表情をしかめて言う
「く…っ」
落とし穴の蓋が閉じる
【 ART本部 司令室 】
アースが書類にサインをして 作業を終えると一息吐いて言う
「ふぅ…」
アースが書類や資料を見た後 落ち着かない様子で モニターの出退勤状況を見てから立ち上がって部屋を出て行く
【 ART本部 研究室 】
グレイゼスが言う
「このシステムさえ組み込めば… 後は~ センサーを使って プラズマの移動をさせられるような… そんな気がするんだが?」
マスター2が資料を覗き込んでいて言う
「うーん それは ナノマシーンの囁きか?どう考えても それだけじゃ 移動が可能な根拠が無いだろ?下手をすれば 周囲への漏洩と言う事もある 相手はプラズマなんだから」
グレイゼスが言う
「そうなんだよなぁ?…どぉ~いう事だ?」
マスター2が言う
「おいおい?しっかり ナノマシーンと同調させろよ?」
グレイゼスが苦笑して言う
「それを 同調率No1マスターの 俺に言うかぁ?」
マスター2が言う
「その座を 現行No2マスターの 俺が奪うのも 時間の問題かもな?」
グレイゼスが言う
「おっと?そうは行かない それなら どっちが早く このシステムの構想を組み上げるか 競争だ!」
マスター2が言う
「望む所だ!」
グレイゼスとマスター2が拳を合わせてから 各自作業を開始する アースが後方でその様子を見ていて言う
「…こちらの問題は無い様だな?…ふむ?」
アースが部屋を出て行く グレイゼスがふと気付いて顔を向けると アースが去って行くのが見える グレイゼスが疑問する
【 ハブロス家 ファーストの部屋 】
ファーストが驚き怒って言う
「えっ!?何を言っているんだっ!?兄上は このハブロス家の家族である事は勿論 僕やアリアの兄弟だぞっ!それならっ!?」
エリーナが言う
「私は 悪魔の兵士だ」
ファーストが言う
「分かっているとも!だから 言っているんだ!兄上の手助けへ向かってくれと!悪魔の兵士は 無敵の強さを持つのだろう!?」
エリーナが言う
「無敵 では無い 何度でも蘇る…」
ファーストが言う
「それを無敵と言っているんだっ!いや そんな事はどうでも良い!とにかく 兄上の手助けに!」
エリーナが言う
「私は 悪魔の兵士だ」
ファーストが一瞬呆気に取られてから怒って言う
「だから それは 分かっているとっ!」
エリーナが言う
「悪魔の兵士は… 私は アリアを守る事が 任務だ」
ファーストが呆気に取られる エリーナが言う
「私は アリアの物 …お前の命令を 聞く者では無い」
ファーストが呆気に取られた後 表情を怒らせて言う
「…それならっ!」
執事が入って来て言う
「ファースト様」
ファーストが執事へ向いて言う
「レミック!コイツを 追い出してくれっ 代わりに 他の…っ!」
執事が言う
「お言葉の途中に 失礼を致します ライデリア家へ向かわれました ユラ様が…」
ファーストが驚き慌てて言う
「兄上に 何かっ!?」
【 ライデリア家 落とし穴中 】
剣にしがみ付く手が震え始める ユラが表情を苦しませて言う
「…くっ」
目下の水面が慌しくなる ユラがそれを見てから言う
「俺を待っているのか?…誰が 貴様らの餌になどっ」
剣にしがみ付く手が震える ユラが表情を苦しませ 記憶が蘇る
ロイムが笑んで言う
『ユラ・アース・メイヴン …と、言ったな?つまり お前は 養子にされようとも その名が示す アース・メイヴン・ハブロスの”私物”であると …ただの道具であると言う事だ 父上が お前を 私の身代わりに使おうとした それと同じだ!』
ユラが歯を食いしばって思う
(”同じ”ではない…っ ハブロス司令官は 奴の父親やルイルとは 違う…っ)
アースが言う
『ユラ 私と共に来い お前の得た力と 私の得た力で …我々は この世界を手に入れるっ!』
アースがユラへ手を向ける
アースが言う
『良くやった ユラ 期待通りだ』
ユラが驚く アースが微笑して言う
『いや 流石は 元政府長攻長と 言った所か?お前の実力は大したものだな?これからは お前専用の マシーナリーの開発をさせよう』
ユラが驚いて言う
『え…?』
アースが言う
『お前の実力をもっと出し切れる様 そして マシーナリー自体の性能も上がれば さらに強くなるだろう?楽しみだな?』
ユラが剣にしがみ付く手を強めて思う
(最初は 俺の”力”を認められていると… それだけで良かったっ …例え利用されているとしても 俺の力が認められてさえいれば… 俺の居場所は 確保されるとっ だが…っ)
記憶が蘇る
ファーストの声が聞こえる
『お早う御座います 兄上』
ユラが驚いて目を見開き 慌てて顔を向ける ファーストが車椅子を押されて食堂に入ってくる ユラがハッとする ファーストが微笑して言う
『兄上は いつも このお時間に ご朝食を取られていたのですか?どうりで 普段ご一緒出来ないと… …?』
ユラが呆気に取られていると ファーストが疑問する ユラがハッとして慌てて言う
『あ、ああっ いや …こ、この時間と言うかっ 俺は…っ』
ユラが思う
(唯の 道具として 使うつもりであるのなら…)
ファーストが呆気に取られた後 苦笑して言う
『え?ハブロス家の邪魔を?…何を仰るのです?兄上』
ユラが呆気に取られて言う
『兄上…?』
ファーストが微笑して言う
『はい 兄上は ハブロス家の当主 アース・メイヴン・ハブロスの養子ですから 義理とは言っても 私の兄上です …あ、もしや 私に兄上と呼ばれるのは お嫌ですか?でしたら…』
ユラが言う
『いや そんな事は無いが…』
ファーストが微笑して言う
『では 兄上で宜しいでしょうか?実は 私は昔から 上の兄弟が欲しいと思っていたもので 兄上と呼ばせて頂けると とても嬉しいのです …それと 出来たら その兄上と 朝食をご一緒させて頂けると なお嬉しいですが?』
ユラが表情を悲しめて思う
(もし ハブロス司令官の道具だと言うのであれば ファーストまでが 俺へあの様な演技をする必要は無かった筈だ アイツの障害は 俺やルイルの… ライデリア家の者が発端だった ハブロス司令官はもちろん ファースト本人は とても 許せる事では無いだろう…っ だが アイツは… 俺を ”兄上”と… そして…)
アースが言う
『それに』
ユラがアースを見上げようとすると アースが言う
『お前は 私の息子だ』
ユラが目を見開いて驚く アースが言う
『そのお前を 弟のアーヴァインの息子である ハイケル少佐より 大切に思うのは 当前だろう?』
ユラが驚きのままに言う
『お、俺 が…?』
アースがユラの肩に手を添えて言う
『分かったな?ハイケル少佐だけではない お前が助かる為であるなら 何を犠牲にしても構わない …必ず 生きて 私の下へ戻って来い』
脳裏にアースの声が聞こえる
『ユラ!』
ユラがハッとして言う
「ハ、ハブロス司令官?」
脳裏にアースの声が聞こえる
『ユラ 聞こえているな?今すぐに そのマシーナリーを捨て 外へ逃げろ』
ユラが呆気に取られて言う
「しかし アウターには異常電波が!私は再び洗脳され…っ!?」
アースが言う
『僅かの間なら お前自身へ 力を与える事が出来る その間に マシーナリーを乗り換えろ!』
ユラが一瞬反応して動こうとすると 体に激痛が走り 脱力して言う
「く…っ ダメだ 動けない…っ それに この身ではもう マシーナリーを替えた所で 俺は… 戦えるか…」
アースが言う
『ならば 生き残るだけで良いっ!』
ユラが驚く アースが言う
『言った筈だっ ユラ!必ず 生きて 私の下へ戻って来いとっ!』
ユラが言う
「ハブロス… 司令官…っ」
ユラが苦しそうに体を起そうとする アースが言う
『急げっ!ユラッ!』
敵560が槍を振り下ろそうとして止まっている アースが言う
『長くは押さえられないっ』
ユラが一度シールド越しに 敵560を見てから 歯を食いしばり声を上げながら体を起す
「ぐ…っ あぁああーっ!」
ユラの体が力任せに起き上がると シールドを蹴破る
ユラが剣を握り締めて思う
(そうだっ ハブロス司令官は 俺を認めてくれたっ!俺の力をっ!そして 例え 演技であろうともっ …俺を家族としてっ 自分の息子の1人として!…俺には それで 十分だっ!)
ユラが片手で剣に捕まり 片手で携帯を取り出してモニターを見てから操作をして着信を待ちながら思う
(ARTの通信機っ …やはり 役に立った!)
【 ハブロス家 ファーストの部屋 】
ファーストの携帯が着信する ファーストがハッとして 慌てて着信させて言う
「兄上っ!!」
携帯からユラの声が聞こえる
『聞けっ ファースト!ユラ・ロイム・ライデリアは生きていたっ!奴は ハブロス司令官を狙っている!奴の事を ハブロス司令官へ伝えろっ!そしてっ 家族をっ!お前やアリア…っ ハブロス司令官の 大切な家族を 誰一人 奪わせるなっ!奴はっ!ユラ・ロイム・ライデリアは…っ』
ファーストが言う
「兄上っ!!」
【 ライデリア家 落とし穴中 】
ユラが叫ぶ
「アールスローンの力と権力を 狙っているっ!しかしっ ARTならばっ ハブロス司令官のARTや お前の国防軍ならっ!奴を抑えられる!奴はっ 政府のマスタートップシークレットを持っているがっ あれは…っ ルイルが作ったものより …劣るっ!!あの程度の力ならばっ マスターたちは 操られないっ!だから 今の内に!!」
剣を握る手が震える ユラが表情を苦しませる 携帯からファーストの声が聞こえる
『分かりましたっ!兄上っ!!』
ユラがホッとしてから静かに言う
「…ファースト 最後に 俺を兄上と呼んでくれた お前へ… 礼を…」
剣を握る手が外れかかる ユラが微笑する 携帯からファーストの声が聞こえる
『…って 下さいっ!兄上!間も無く レギストがっ!』
ユラが一瞬反応して言う
「レギスト…」
ユラの手が剣から離れる瞬間 携帯からファーストの声が聞こえる
『レギストが直ぐそこまで来ています!』
ユラがハッとして言う
「な、何っ!?レギストがっ!?…のあっ!?」
ユラが携帯を捨て 慌てて両手で剣にしがみ付く 落ちていく携帯からファーストの声が聞こえる
『必ず 兄上をお助けしますっ!!それまで どうか 耐えて下さいっ!兄上は…っ ハブロス家の …大切な家族です!!』
携帯が水に落ち ピラニアたちが群がる
【 ハブロス家 ファーストの部屋 】
ファーストが慌てて言う
「兄上っ!?」
携帯から雑音が聞こえると間も無く通信が途絶える ファーストが慌ててモニターへ向いて言う
「国防軍レギスト機動部隊!応答をっ!!」
【 ライデリア家 室内 】
爆風と共に エリーナが現れ PM70Eを肩に掛けて言う
「国防軍レギスト機動部隊 目標地点へ到着した …任務を開始する」
隊員たちが言う
「「了解!少佐ぁー!」」
【 ハブロス家 ファーストの部屋 】
ファーストが心配して言う
「兄上…っ どうかご無事で…っ」
【 ライデリア家 室内 】
エリーナがMP70Eを構えて言う
「ターゲットの体温を感知 …ショット」
MP70Eが放たれる 隊員たちが衝撃を受け 慌てて言う
「しょ、少佐ぁっ!?」 「下に 人が居るのに!?」 「幾らなんでも PM70は やばいでしょうっ!?」
エリーナが隊員たちへ向いて言う
「問題ない …ターゲットを確認」
隊員たちが落とし穴を覗き込んで言う
「あっ!」 「本当だっ!?」
ユラが剣にしがみ付きながら 土ぼこりに咽て言う
「…げほっ げほっ!…おいっ!貴様らっ 下に居ると 分かっていて 爆撃をするとはっ!?」
隊員たちが落とし穴を覗き込みながら言う
「ターゲットを 目視にて確認!」 「あ、おい 誰か?総司令官補佐官に連絡した方が 良いんじゃないか?」 「え?あぁ じゃ、俺が?」
隊員が携帯を操作している横で エリーナが自分の体にロープを結び付けている 隊員たちが疑問して居る 隊員が携帯の着信に言う
「あ、こちら 国防軍レギスト機動部隊であります!ターゲットの ユラ・ロイム …じゃ、なかった …ユラ・アース・メイヴン殿を 発見!これより…?」
隊員がエリーナを見ると エリーナが言う
「ユラ・アース・メイヴン 救出作戦を展開する」
ユラが腕の痛みに耐えながら剣を握り直そうとすると 手が砂にすべり外れる ユラが驚き 叫ぶ
「あっ!?あぁああーっ!?」
隊員たちが慌てて言う
「あ!」 「落ちた?」
エリーナが落とし穴へ飛び込む 隊員が驚き慌てて言う
「しょ、少佐ぁっ!?」
エリーナが側面の壁を蹴って加速すると ユラの顔が水面ギリギリの所で捕らえられ ユラが言う
「ぐぅっ!?」
ユラが視線を向けると エリーナがユラを掴んだまま澄ました表情で言う
「ターゲットを確保」
ユラが呆気に取られた状態から慌てて怒って言う
「…お、遅いわっ!馬鹿者っ!」
ピラニアが跳ねてユラの鼻先を掠める ユラが衝撃を受ける 隊員たちが呆気に取られた状態からホッとして言う
「ま、間に合った…」 「ふぅ~… 間一髪…」
隊員が顔を向けると エリーナβたちが命綱を様々な形で握っている
【 ART本部 ART3格納庫 】
シェイムが表情をしかめて言う
「う… う… う~ご~け~~っ!」
シェイムの前でマシーナリーは動かない シェイムが脱力し 息を切らせて言う
「はぁ…はぁ… やはり コックピットへ乗り込まない状態では…」
ART3隊員がマシーナリーの肩に乗った状態でやって来て言う
「あれ?マスターシュレイゼス隊長?まぁ~だ マシーナリーの遠隔操縦が出来ないんですかぁ~?」
シェイムが衝撃を受け 怒って言う
「あ、貴方という方はっ!仮にも 私を隊長と呼んで置きながらっ 隊員である貴方が なんと言う言い草ですかっ!?その様な事 部下の者が上司へ対して…っ!」
アースが通路から覗き見ていて言う
「こちらも… 多少の問題は有る様だが 異常は無い…」
アースが格納庫へ背を向けて息を吐いてから言う
「…気のせいか?後は 有るとすれば アウターへ向かった あいつらの状況と言う事になるが… そちらは 皇帝の力を使った所で 今の私に何か出来ると言う事も無い… となると やはり?」
グレイゼスの声が聞こえる
「ハブロス司令官」
アースが反応して顔を向けて言う
「ん?…どうした?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが近くへ来て 一度ART3の状況を見てから言う
「”どうした?”…は こっちの台詞ですかと?」
アースが疑問する グレイゼスが苦笑して言う
「何か 落ち着かない ご様子ですね?」
アースが反応してから苦笑して言う
「…そうだな?少し前までは このARTには お前たちと… いや そこに居る 出来損ないマスターの隊長を除く 現状が 通常の姿であったが」
シェイムがくしゃみをする
「はっくしゅっ!…うん?風邪ですかね?やはり慣れない事はするものでは…」
シェイムがため息を吐く
アースが苦笑して言う
「その奴はもちろんだが」
アースが通路を歩き始める グレイゼスが続く アースが言う
「ART1やART2の連中が入り うるさいほど賑やかになったのも束の間… これでは何か物足りないと感じるのも 仕方が無いのかもしれん」
アースが通りかかった空のART2格納庫を見て 再び歩き出す グレイゼスが微笑して言う
「それにART1やART2はもちろんですが… 今日は”彼”も居ませんからね?」
アースが疑問して言う
「彼?」
グレイゼスが軽く笑って言う
「っはははっ 酷いですねぇ?大切な ”息子さん”を お忘れですか?」
アースが疑問して言う
「息子?…ファーストなら 今日は 屋敷に居る筈だ …それに あいつがここへ来たのは それこそ この本部が完成した その日その時に 私と共に来た 1度きりだが?」
グレイゼスが言う
「あらら?それでは もしや 本当に…?演技なんですか?ハブロス司令官?」
アースが疑問して言う
「演技?…何の事だ?からかうのなら 話題を選べよ?私は 家族の事に関しては 厳しいぞ?」
グレイゼスが言う
「おっと… 怖いですね?では 真面目に伺いますが …ユラ・アース・メイヴン殿の事は?」
アースが言う
「もちろん その名を与えた以上 アイツは 養子であろうと 私の息子だ」
グレイゼスが苦笑して言う
「でしたら 先ほどは?」
アースが言う
「そう言う事か… 先ほどは単純に 今までの感覚で 息子と聞かれれば ファーストの事を最初に考えただけだ アイツは… ユラとは異なり 自身で己を守る事が出来ない 人の扱い方も まだ 出来上がっては居ない だから 最初に心配をすると それだけだ」
グレイゼスが言う
「そうですか… 国防軍総司令官補佐官の称号があるとなれば 我々からは 鬼と金棒を持った補佐官殿という気がしますが …そうでもないんですね?」
アースが言う
「称号だけでは 人は動かせない… お前たちも そうだっただろう?マスター?」
グレイゼスが微笑して言う
「はい 確かに?」
アースが言う
「だが、それで良い 本当に 称号だけで… 権力に屈して力を貸すような連中など 仲間にはならない …それこそ お前の言う通り 唯の演技だ」
グレイゼスが言う
「ええ その通りですかと!」
アースが言う
「しかし、そうだな… お前に言われて気が付いた… 私は確かに 今日 この本部に入った時から 気にしていたんだな… ユラの事を」
グレイゼスが微笑して言う
「騒がしいという訳では無いですが 元々存在感の大きな方ですからね?居られるのと居られないのでは やはり変わりますよ」
アースが言う
「アイツの現状は 情状酌量の執行猶予中だ こちらへ来ないと言っても それほど動き回る事も無いだろう …恐らく ファーストと同じく屋敷に居ると思うが」
グレイゼスが言う
「でしたら 午後には1度くらい こちらへ来られますかね?ART機動部隊の連中が出払っていると言う事で 今は ユラ殿専用のマシーナリーを開発中なもので?」
アースが微笑して言う
「そうか、では そいつを伝えてやろう きっと 喜んで来るだろう アイツは元より 権力よりも むしろ 物理的な力を好むタイプだ」
グレイゼスが言う
「おやおや?しかし 世界の王様に なさるのですよね?」
アースが苦笑して言う
「いや、きっとならないだろう …例えその座を与えようとも アイツは剣を持って 前線へと向かう筈だ」
グレイゼスが笑顔で言う
「はっは~ん?なるほどぉ?そぉして 空いたその座には~ 父親である ハブロス司令官が~?あぁ やっぱり そんな裏がありましたかぁ~?」
アースが言う
「人聞きが悪いぞ マスターグレイゼス?私は…」
グレイゼスが苦笑して言う
「おっと …失礼しました いや、今のは本当に 俺の持つナノマシーンが…」
アースが背を向けて言う
「ならば ”グレイゼス” 教えてやろう 私の本心を… その空いた王の座には」
グレイゼスが反応する アースが顔を向け微笑して言う
「私はファーストを座らせたい」
グレイゼスが呆気に取られる アースが言う
「優秀な弟の王に 勇敢な兄の兵長 そして 妹はアールスローン1の歌姫だ …どうだ?マスターグレイゼス?私の子供たちは 最高だろう?っはははは!」
アースが立ち去る グレイゼスが呆気に取られた状態から苦笑して言う
「なるほど…?今のアース・メイヴン・ハブロスに適う者は 本当に …少なくとも このアールスローンには居ないですね?」
アースが去って行く グレイゼスが見詰めている
【 ライデリア家 外 】
ユラが隊員たちの中で携帯で通話している 携帯からファーストの声が聞こえる
『本当に ご無事で何よりでした!兄上!』
ユラが言う
「ああ、手間を掛けた 礼は言うが… 最初から 俺を尾行させていたのか?」
ファーストが言う
『いえ 僕はいざという時の為に 国防軍の力を… エリーナ少佐のデコイを向かわせようと 依頼をしていたのですが …断られてしまいまして …あ、しかしっ その… 尾行していたと言いますか… 私が命じる以前に レミックが 兄上へ監視の者を付けていたのは事実でして… お陰で 兄上の身に 危険が起きたと言う知らせを いち早く知る事も出来ました』
ユラが言う
「分かった …そうだな 元々 俺は 自由に動ける身の上では無い 監視の目が付くのは当然か」
ユラが顔を向けると 隊員がマシーナリーを確認していて エリーナへ言う
「少佐ーっ このマシーナリーは 完全に起動回路を破壊されているので…」
ユラがそれを見ながら携帯へ言う
「それで 俺の身に危険が迫った事を理由に レギストを?国防軍No1の部隊を寄越したのか?」
ファーストが言う
『そちらは… 何と言いますか… その…っ』
エリーナがユラの前に来て言う
「ついでだ」
ユラがエリーナへ向いて言う
「”ついで” だと?」
エリーナが言う
「そうだ 我々 国防軍レギスト機動部隊の任務は アールスローン国内に発生した 未確認マシーナリーを確認 及び 必要と有れば 破壊する事だった …そのついでに ファースト・ライヴァイン・ハブロス総司令官補佐官からの 特別任務 を 実行した」
ユラが言う
「…なるほど?」
携帯からファーストが言う
『申し訳ありません 兄上… 補佐官である僕には 直接 国防軍の部隊を動かす力が有りませんので その様な形で…』
ユラが苦笑して言う
「構わん 何にせよ お前に助けられた ファースト」
【 ハブロス家 ファーストの部屋 】
ファーストが呆気に取られた状態から苦笑して言う
「有難う御座います 兄上 そう仰って頂けると 今後の励みになります」
携帯からユラの声が聞こえる
『随分と謙虚… いや?弱気だな?お前は国防軍総司令官補佐官だろう?直接部隊を動かす事が許されぬのなら あの防長殿へ命じれば良いだけだ』
ファーストが一瞬呆気に取られた後 苦笑して言う
「いえ… そんな…?叔父上は確かに 僕の助言は ご納得し受け入れては下さいますが その叔父上へ僕が命令をする などと言う事は…」
携帯からユラの声が聞こえる
『うん?その前後は どう違うんだ?』
ファーストが呆気に取られて言う
「え?…えっと…?」
携帯からユラの声が聞こえる
『まぁ 良い …それはそうと 最初に俺を尾行ていた者と 連絡は取れるか?レミックが雇っていたと言う そいつらだ』
ファーストが気を取り直して言う
「あ、はい そちらは 元々 このハブロス家が 抱えている者でしたので」
携帯からユラの声が聞こえる
『では そいつらへ連絡をして 現在の ”ユラ・ロイム・ライデリア”の居場所を確認してくれ 恐らく 奴らは追っているだろう』
ファーストが疑問して言う
「え?”ユラ・ロイム・ライデリア”の居場所を…?では そちらには?」
【 ライデリア家 外 】
ユラが周囲を見渡してから言う
「奴は俺を罠に掛けてすぐに 何処かへと消えたらしい …レギストの連中が来た時には 屋敷は蛻の殻だったそうだ」
エリーナが視線を向けて言う
「お陰で センサーによる お前の熱元反応を 確認出来た」
上空で熱源センサーが起動している 携帯からファーストの声が聞こえる
『そうでしたか… 分かりました では レミックへ伝えます …あ、それから 父上へもっ!』
ユラが言う
「ああ… だが ハブロス司令官へ伝えるには やはり 一言付け加えてくれ」
ファーストが言う
『はい 何でしょう?兄上?』
ユラが言う
「この件は …俺とお前の ”2人で” ケリを付けると」
ファーストが驚いて言う
『えっ!?』
ユラが微笑して言う
「力を貸してくれるだろう?ファースト?」
ファーストが言う
『そ、そちらは もちろんっ!?僕に出来る事でしたら…っ!?』
エリーナが言う
「これも ついで …だ」
エリーナがユラの剣を渡す ユラが微笑して受け取り 一振りしてから言う
「よしっ!では やるぞ ファースト!まずは レミックへ伝え 奴の居場所を洗い出せ!」
ファーストが言う
『わ、分かりました!では…っ レミックから連絡を入れさせます しかし… どうか くれぐれも お気を付けくださいっ 兄上!』
ユラが笑んで言う
「ああ そうだな?」
ユラが通話を切り エリーナへ言う
「どうせ 貴様も来るのだろう?」
エリーナが言う
「管轄外だ」
ユラが不満そうに言う
「あん?」
エリーナが言う
「私は 悪魔の兵士… アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスを 守る者 …お前の命令を聞く者ではない」
ユラが言う
「ふん…?そうなのか?…5人も6人も居るのなら 1匹くらい構わんのではないのか?」
エリーナが言う
「何人居ようと 任務は同じだ 私は 悪魔の兵士… アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスを 守る者 …お前の命令を聞く者では…」
ユラが言う
「分かった もう良い つまり アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスの命にしか 従わぬと言うのだろう?」
エリーナが言う
「そうだな」
ユラが言う
「もしくは… 同じ ”ハブロス”の名を持つ者の命に… か?」
エリーナが言う
「何の話だ?」
ユラが苦笑して言う
「ふん …まぁ 良い …それでも 俺は」
携帯が鳴る ユラが反応し携帯を着信させて言う
「俺だ 奴の居場所が分かったか?」
エリーナが沈黙している ユラが言う
「…そうか 分かった …ああ、知っている ここから直接向かう」
ユラが通話を切り エリーナへ言う
「ベムール・ラング・エベレス 及び マルーズ・ハイス・スノーズ… どちらも元政府重役だった連中だ 知っているか?」
エリーナが言う
「両者は 共に 消息不明にて 政府警察が捜索を行っている」
ユラが言う
「2年前まではな?消息不明者の捜索は 10年が時効だ …どうやら その奴らが ユラ・ロイム・ライデリアと組んでいるらしい …奴の現在地は そのエベレスの屋敷だそうだ」
エリーナが言う
「私は 国防軍レギスト機動部隊の隊長だ …政府警察が追っている その者らの逮捕へは 向かえない」
ユラが言う
「では 俺が1人で行ってやる …偽物では有ったが 一度はその 政府警察をも束ねる 政府長の”役”をやっていたのだからな?」
エリーナが言う
「ならば お前は 身分虚偽罪による 罪人だ」
ユラが言う
「罪人か… ならば これで その罪へも ケリを付けてやろう」
ユラが立ち去る エリーナが沈黙する
【 ART本部 司令室 】
アースが戻って来ると 秘書が電話をしていて アースに気付くと慌てて言う
「ハブロス司令官っ 大変です!ファースト様から お電話でっ」
アースが反応して言う
「うん?ファーストから?」
アースが電話を換わって言う
「どうした?ファースト?」
電話からファーストの声が聞こえる
『父上!連絡が遅くなり申し訳ありませんっ 実は…っ』
アースが軽く驚く
【 エベレス邸 室内 】
ロイムが不満そうに言う
「しつこい野良犬がっ あの場所から 生き延びたのか!?」
ユラが言う
「野良犬では無い ハブロス家に引き取られた ”飼い犬”だ」
ロイムが面白そうに言う
「ほう?…っははははっ 滑稽だな?自ら ”飼い犬”と受け入れたか?」
ユラが言う
「ライデリア家に 閉じ込められていた 野良犬より 遥かに幸福だ」
ロイムが反応しムッとして表情をしかめる ベルームが言う
「やれやれ どちらであろうと ライデリア殿?我が屋敷に 犬を入れられるのは 困るのだよ 特に… 彼の様な 薄汚い犬などはねぇ?」
ユラがベルームを睨む ベルームが目を細めて言う
「あぁ… 変わらない やはり 最下層の目は あの頃から 我々には気分が悪くてねぇ?最も 当時は 少なくとも ルイル・エリーム・ライデリア殿が リードを引いていたから 良かったものの…」
ユラが笑んで言う
「ふん?では 貴様は あの頃から 俺が偽物のユラ・ロイム・ライデリアであると言う事を?」
ベルームが言う
「もちろん?何しろ 本物の彼の事は 当時の政府研究局所長であった ガルイッド殿から聞いていたのだからね?」
ユラが苦笑して言う
「なるほど… つまり 当時の政府重役どもは 全員 グルであったと言う事か そして その貴様らで 偽物のユラ・ロイム・ライデリアであった俺を 政府長として担ぎ上げた…」
ベルームが言う
「ああ… とは言え もちろん全員ではなく」
ユラが言う
「当時の政府警察長… 現在のミックワイヤー長官や 政府外交長であったメルフェス・ラドム・カルメスは知らなかったのだろう?どちらも 貴様らの”敵”であった者だ」
ベルームが笑んで言う
「一応は 政府長を演じただけの事は有るようだね?それとも…?それが 野良犬の鼻の力なのか…?」
ユラが言う
「何とでも言え この俺が 今日 ここに来たのは …もはや言うまでも無い アース・メイヴン・ハブロスから 手を引け さもなくば…」
ユラがロイムへ剣を向け 視線をべムールへ向ける ロイムが表情をしかめて言う
「…くっ …べムール殿っ!?」
ロイムがべムールへ視線を向ける べムールが軽く笑って言う
「っはっは… やはりそちらも変わらない …何でも ”力”で解決しようとする …知識や権力という物が無い 愚かな者 …下級の者のやる事だよ?元攻長閣下?」
ユラが言う
「黙れ 知識と権力があると自負している貴様らは その下級の者に 命を握られていると言う 現状が 分からんのか?」
べムールが言う
「やれやれ… では 聞こうかね?元攻長閣下?君は一体何が望みかね?」
ユラが言う
「聞こえなかったのか?俺は アース・メイヴン・ハブロスから 手を引け と言っている ハブロス司令官本人からはもちろん 彼の”家族”や”組織”からも だ」
べムールが笑いながら顔を左右に振って 改めて言う
「そんな見え透いた嘘は もう結構なんだよ 元攻長閣下?…本当の望みは何かね?」
ユラが言う
「何だと?」
べムールが言う
「そのハブロス司令官の… ハブロス家を超える権力かね?財力かね?確かに 現在のハブロス殿は 傍目には政府や国防軍の下位を装っているが それは上辺だけ… 彼の持つARTと言う組織の力が有れば 政府も国防軍も 今や敵ではないのだろう …しかし そのハブロス殿にも 弱点がある …それが 君の言う彼の ”家族”や”組織” そのものと言う事」
ユラが視線を強める べムールが言う
「どうかね?元攻長閣下… 我々と 今一度 手を組まないかね?我々が組めば 今度こそ…」
ロイムが言う
「べムール殿っ この様な野良犬など居なくともっ!」
べムールが言う
「ライデリア殿 貴殿は 以前の戦いを知らない… あのハブロス家を」
ユラが言う
「…守るには」
べムールとロイムがユラを見る ユラが言う
「やはり 貴様らのような 高位富裕層における害虫を 消し去る必要があるらしい… その為に 最下層の野良犬であった俺が 必要とされるのなら 本望だっ」
ユラが剣を振るってべムールへ向かいながら叫ぶ
「消え失せろーっ!」
べムールが逃げ出す 護衛2人がユラへ銃を放つが ユラが護衛2人の銃を剣で弾き 銃が宙を舞っている間にべムールへ向かう べムールが慌てて言う
「ひぃっ!」
べムールがロイムを盾にする ロイムが驚いて言う
「なっ!?べムール殿っ!?」
ユラの後方から護衛2人が再び銃を手にとってユラへ発砲する ユラが回避すると 銃弾がロイムに当たり ロイムが目を見開き悲鳴を上げて言う
「ぐっ!?ば、馬鹿な…っ ぐはっ!?」
ロイムが倒れると ユラが護衛2人を切り裂き ロイムへ向き ロイムが息絶えているのを見て 表情をしかめ言う
「チッ… 俺が 仕留める筈だったものを…」
ユラがハッとすると べムールが窓から外へ出て逃げようとしている ユラが追って窓から飛び出して言う
「待てっ!べムールっ!」
ユラが外に出ると驚く 屋敷の周囲を政府警察が包囲していて ミックワイヤーが現れる ユラとべムールが驚くと 警察官が言う
「元政府重役ベムール・ラング・エベレス!お前を逮捕する!」
べムールが驚き後ず去って言う
「な、何故っ 政府警察がっ!?」
ミックワイヤーが微笑して言う
「元 政府警察特別隊員エリーナ隊員より 指名手配中のベムール・ラング・エベレスが 屋敷に戻っているらしいとの連絡を受け 包囲していた」
べムールが呆気に取られた後 慌てて言う
「何を言うのかねっ!?ミックワイヤー!?私の罪状は とっくに時効を迎えているのだよっ!」
ミックワイヤーがべムールの近くに来て言う
「政府警察に置いての時効はな?」
べムールが呆気に取られて言う
「せ、政府警察に置いてだと!?」
ミックワイヤーが言う
「政府警察には アールスローン国内より 日々何十件と言う事件や事故の報告が入って来る 従って 如何に不本意であろうとも 時効と言うものを設けなければ 裁き切れなくなる …しかし 国防軍に置いては?」
べムールが驚いて言う
「まさか…っ」
ミックワイヤーが笑んで言う
「彼らの下に入って来る 事件やその他は少ない 従って そこには基本的に時効と言うものは存在しない そこで私は 彼ら国防軍へ 元政府重役であった 貴方方の罪状を 一時的に預かって頂いて居たんだ …特に貴方とマルーズ殿に関しては 国外へ逃亡したと言う情報も入っていたからな?」
べムールが表情をしかめて言う
「くぅ… 政府と国防軍を 組ませたりなどするから…っ これも あの…っ!」
べムールの両手に手錠がかけられる べムールが驚きうな垂れる ユラがやって来て苦笑して言う
「現 政府長長官殿が わざわざ政府警察を率いて 逮捕に現れるとはな?」
ミックワイヤーが微笑して言う
「まさか 元 政府長長官にして 攻長閣下であった貴方が… 偽物のユラ・ロイム・ライデリアであったとは それを知らされた時には驚いたが …本物は?」
ユラが言う
「死んだ …今度こそ」
ミックワイヤーが苦笑して言う
「そうか… 彼には 政府のマスタートップシークレットに関わった者と言う罪状を 国防軍にて 取り留めて置いて頂いたのだが …そちらは 不要となってしまったか」
ユラが言う
「俺への罪状は無いのか?元とは言え 政府長長官や攻長を ”演じた” 偽物だぞ?」
ミックワイヤーが言う
「確かに 貴方は ユラ・ロイム・ライデリアの偽物では有ったのでしょう …しかし、同姓同名の”ユラ・ロイム・ライデリア”として 政府長長官兼攻長となり 職務を全うしていた…」
ユラが呆気に取られて言う
「…は?」
ミックワイヤーが言う
「違いますかな?」
ユラが衝撃を受け 慌てて言う
「え!?いやっ!?その… …すまん 言っている意味が 分からんのだが?つまり…?」
ミックワイヤーが微笑して言う
「つまり、貴方のそちらの件に関しましては 無罪と言う事で」
ユラが驚いて言う
「は…っ!?無罪?…そ、そうだったのか…?」
ユラが息を吐く ミックワイヤーが言う
「…しかし?」
ユラが反応して言う
「うん?」
ミックワイヤーが言う
「貴方は その次に ”メルフェス・ラドム・カルメス”を名乗り」
ユラが衝撃を受けて言う
「うっ!?」
ミックワイヤーが言う
「その上で 本物のカルメス外交長を実質軟禁しっ 彼の権力を利用して 再び政府長となった そちらの事件に関しては!”現在執行猶予中”と言う事になっている 従って!」
ユラが顔を逸らして言う
「あ、ああ…」
ミックワイヤーが言う
「どうか これからも 相応の振る舞いを お願いしたい …次に 何か事件を起せば 今度こそ 我々は 貴方を逮捕しない訳には行かなくなる」
ユラが言う
「わ、分かった… これからは…」
ミックワイヤーが言う
「貴方が事件を起せば 今度は ハブロス家の 貴方の養父である ハブロス司令官にも ご迷惑がかかりますからな?」
ユラが反応して言う
「…そうだな?それに ファーストや… 家族の皆に…」
ミックワイヤーが反応し微笑する ユラが気を落ち着かせると 警官がミックワイヤーの下へ来て言う
「長官っ!指名手配犯のベムール・ラング・エベレスの逮捕 及び ユラ・ロイム・ライデリアの遺体の収集は完了しましたが 送られていた情報の中で もう1名居るものとされていた 指名手配犯マルーズ・ハイス・スノーズの所在が掴めません!」
ミックワイヤーが言う
「何…っ」
ユラが反応して言う
「そうだっ 奴を忘れていた!奴も べムールやライデリアと組んで ハブロス司令官の力を狙っている!…とすればっ!?こうしては居られんっ!」
ミックワイヤーが言う
「彼らが ハブロス司令官の力を?」
ユラが護送車を見て向かう ミックワイヤーが慌てて言う
「ユ、ユラっ …アース・メイヴン殿っ!?」
【 ART本部 司令塔 】
グレイゼスが言う
「なるほど そう言う事でしたか では…?」
アースが言う
「ああ、そのユラとファーストの2人で 事件を解決すると 意気込んでいるらしい …フッ」
グレイゼスが苦笑して言う
「おやおや?お命を狙われるかもしれないと言うのに 随分と余裕ですね?流石は 元国防軍総司令官にして 現…」
アースが言う
「いや、余裕という訳ではない 正直に言えば まったく 仕事が手に付かない 出来る事なら 私自信で そちらの事件を解決してしまいたい程なのだが」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
アースが苦笑して言う
「しかし、2人が… いや、あのファーストが ”兄上と自分に任せろ” と言うんだ …これを不意にする訳にも行くまい?」
グレイゼスが微笑して言う
「今更ですが 良い父親ですよね?ハブロス司令官は?」
アースが視線を向けて言う
「お前も もう直ぐ そうなるのだろう?」
グレイゼスが微笑して言う
「はい… けど そちらは秘密ですよ?」
アースが言う
「何故 秘密にする?仲間甲斐の無い奴だな?」
グレイゼスが言う
「仲間であるからこそです ART3やART4の連中は兎も角として ART1やART2は基本的に独身の奴らで 構成しているじゃないですか?その彼らに… 心配を掛けたくないんですよ」
アースが言う
「隠した所で 隠し通せるものではない すぐに知れる …特に お前は ハイケル少佐と仲が良いだろう?」
グレイゼスが言う
「ええ、そのハイケルには 特に」
アースがグレイゼスを見る グレイゼスが苦笑して言う
「アイツは… 悪魔の兵士ですからね?」
アースが言う
「子を得る事は出来ない」
グレイゼスが言う
「ええ…」
アースが言う
「ならば尚更 伝えるべきだ」
グレイゼスがアースを見て苦笑して言う
「え?冷たいですね?ハイケルだって ハブロス司令官の家族だと 仰っていませんでしたっけ?」
アースが言う
「家族だとも?だから 分かる …いや 知っている」
グレイゼスが疑問して言う
「え?」
アースが微笑して言う
「ハブロス家で 幼いファーストを一番気に掛けていたのは そのハイケル少佐だった」
グレイゼスが驚いて言う
「えぇえっ!?」
アースが言う
「最初は慣れぬ事に 戸惑っている様子だったが ファーストの方が ハイケル少佐に興味を持ち 彼の名をよく呼んでいた… ああ、そうだ 悔しいから言いたくはないのだが ファーストが最初に口にした言葉は ”ハイケル” だった」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「本当ですかっ!?」
アースが意地悪く人差し指を立て言う
「本人らには 秘密だぞ?」
グレイゼスが苦笑して言う
「…っはは …了解っ 司令官!」
アースが苦笑してから 時計を見て息を吐いて言う
「…やはり 仕事にならないな?ここでこうしている位なら 帝国へ行くか… 皇帝の力も そろそろ 戻るだろうが まだ手を貸して置いた方が 良いのかもしれん」
グレイゼスが言う
「では 自分が政府や国防軍の様子を確認して 何か情報がありましたら 直ぐに連絡をします」
アースが言う
「いや、そちらも あいつらへ任せてやってくれ」
グレイゼスが言う
「え?しかし…っ!?」
アースが言う
「ここはART …アールスローン帝国軍だ 例え その司令官であろうとも ARTの力を個人の利害に使用する事は許されない それに… 可愛い子には 旅をさせろ と言うだろう?」
アースが横目にグレイゼスを見る グレイゼスが苦笑して言う
「最初から 随分と険しい旅の様ですが… 分かりました そうと言われるのでしたら その様に?」
アースが言う
「一応 こちらの防衛は強化して置け 元政府重役の奴ら程度が このARTへ何か出来るとは思えないが」
グレイゼスが言う
「そうですね では 一応 強化防衛体制を布いて置きます お疲れ様です」
アースが立ち去りながら言う
「お疲れ、後は頼んだぞ マスターグレイゼス中佐」
グレイゼスが言う
「了解!司令官!」
グレイゼスが席に座り直し 気を取り直して言う
「…よし では やりますかね?」
グレイゼスが作業を行う
【 ART本部 出入り口 】
アースが携帯で話しながら IDをスキャンして言う
「…そうか アリアは居ないか …ああ、そうだったな そろそろオペラ公演が始まると言っていたか …分かった では 皇帝の下へ連れて行くのは またの機会に…」
出退勤ボードのアースの名前が消灯する アースが通話を切り携帯を仕舞ながらドアを出ると 周囲に数十人の敵小隊が銃を構える アースが呆気に取られて言う
「うん…?」
敵小隊の中にマルーズが現れて言う
「突然の訪問を失礼致します ハブロス殿?」
アースの後ろでドアが閉まる アースが呆気に取られつつ言う
「元政府重役 マルーズ・ハイス・スノーズ…」
マルーズが笑んで言う
「おや?私めの名を 元国防軍総司令官にして 現 ART司令官である アース・メイヴン・ハブロス殿が ご存知であられるとは 光栄ですな?」
アースが言う
「当時の国防軍総司令官として 知っているべき 情報であったと言うだけだ …あぁ そう言えば その後は国防軍の指名手配犯の名でもあったか?」
マルーズが一瞬驚いた後言う
「な、なんだとっ?」
アースが苦笑して言う
「ご存じないのか?貴方の名が 時効というものが存在しない 国防軍の指名手配犯の名簿に 記されていると言う事実を…?」
アースが心の中で思う
(エルム少佐 聞こえるか!?)
アースの左目が力を帯びる
【 ART本部 地下 】
1体のエルムαの目が開き 続いて次々に9体のエルムαの目が開くと 一斉に動き充填装置から出て 走り出す
【 ART本部 出入り口 外 】
マルーズが困惑した後顔を左右に振って言う
「な、ならば 尚更だっ!今 ここで 貴様の力を奪いっ!我々が再び アールスローンの力と権力を手に入れれば…っ!」
アースが言う
「アールスローンの力と権力…か やはり 貴方には そのどちらも似合わない 貴方に似合うのは… 政府警察の 牢獄では?」
アースの後方でエルムαたちの足音が聞こえる アースが口角を上げる マルーズが怒って言う
「黙れっ!その貴様に似合うのは!国防軍でもARTでも使われているだろう!?お前たちの大好きな 鉄砲玉だ!その身に たっぷりと食らうが良い!」
アースが微笑しているが 後ろのドアが騒がしくなる アースが疑問して思う
(うん…?どうした?エルム少佐っ?)
【 ART本部 出入り口 内 】
エルムαたちが出入り口のドアを攻撃して エルムαが言う
「…問題発生 だ」
エルムαたちがドアへ発砲したりこじ開けようとするが ドアはびくともしない
【 ART本部 出入り口 外 】
アースが密かに焦って思う
(…っ!そうか ART本部の防衛を 強化させている …そのせいでっ)
アースが視線を向けた先 センサーが動き 敵小隊をセンサーが感知している アースが思う
(現状の異常状態に 扉が強化ロックされたか… まずいな?これは… どうするっ!?)
ユラの声が響く
「待てーっ!」
皆が反応し アースが驚いて言う
「ユラっ!?」
ユラがアースの前に立ち塞がり 叫ぶ
「雇われの兵士どもっ!聞けっ!貴様らを雇った そこのマルーズ・ハイス・スノーズは 今ここに向かっている 政府警察に捕らえられると決められている者だっ!その者に味方したとなれば 貴様らも 同罪となるぞっ!」
敵小隊の隊員たちがユラの言葉に思わず武器を引く マルーズが言う
「黙れっ!何をしている お前たちっ!金ならいくらでもくれてやる!今 私の命令を聞かぬ者は 我が同胞が許しはせぬぞ!金と命が惜しくば 奴を!アース・メイヴン・ハブロスを撃てっ!」
敵小隊の隊員たちが悩み 銃を構え直す ユラが叫ぶ
「愚か者どもがっ!貴様らはっ 誰に銃を向けている!?それが 分からぬと言うならば…っ!」
ユラの耳に付けられているイヤホンからファーストの声が聞こえる
『兄上っ もう少しです!後少しっ 時間をっ!時間を稼いで下さいっ!』
ユラが言葉に詰まってから 意を決して言う
「…っ アース・メイヴン・ハブロスはっ!このARTの司令官にして!貴様らや私が居る このアールスローンを守る …”救世主”だぞっ!?」
アースを含む全員が呆気に取られる ユラが言う
「分からんのか!?貴様らとて マシーナリーを知っているだろう!?」
敵小隊隊員たちがハッとする ユラが叫ぶ
「あれこそが!今 アールスローンや この世界を滅ぼさんとする 悪鬼たる力だ!しかし ハブロス司令官は 唯一 その力を打ち壊し!尚且つ 奴らを己の力として このアールスローンを守る事が出来るっ!この人を失えば 我々に 未来は無いっ!!」
敵小隊隊員たちが言葉を失い周囲と顔を見合わせる アースが呆気に取られたままユラを見る ユラが敵小隊を見詰めていると マルーズが叫ぶ
「な、何をしている!?撃てーっ!」
敵小隊隊員たちがハッとして マルーズを見る マルーズが言う
「何が”救世主”だっ!?あのような…っ!まるで…っ アールスローン戦記でも信ずる 愚か者の言葉に 何を感化されているっ!?さあ 撃て!お前たちに必要なのは 救世主でも何でもないっ!金だろう!?奴を仕留めた者には…っ!お前たちが 一生遊んで暮らせる 金をくれてやる!!」
敵小隊隊員たちが銃を構える マルーズが叫ぶ
「撃てー!」
ユラがアースの前で手を広げて言う
「止めろーっ!」
アースが叫ぶ
「避けろ!ユラ!」
無数の銃声が響く ユラが目を見開くと 敵小隊隊員たちの銃が打ち上げられる ユラが驚くと アースが苦笑して言う
「良くやった エリーナ少佐 …いや、国防軍レギスト機動部隊!」
ユラが顔を向けた先 エリーナβを始めとする 国防軍レギスト機動部隊の隊員たちが並んでいて銃撃を終えた状態で居る 隊員たちが笑みを見せる エリーナが言う
「犯人らを拘束しろ」
隊員たちがハッとして慌てて言う
「「りょ、了解 少佐ぁー!」」
隊員たちが敵小隊隊員たちの拘束に向かう 軍曹の声が聞こえる
「兄貴ーっ!」
アースが言う
「アーヴィン」
軍曹が到着して言う
「兄貴っ 無事で何よりなのだ!」
アースが言う
「なるほど?お前の指令か?」
軍曹が言う
「うむ!ファーストから事情を聞き 国防軍レギスト機動部隊を 向かわせたいと言う事であったので 自分が!…そのぉ …たまたま」
アースが言う
「確か お前は今日 このART本部に近い 国防軍プロイム駐屯地への 出向予定だったな?」
軍曹が言う
「う、うむ… つまりは その様な訳で 自分も久方ぶりに 国防軍レギスト機動部隊の任務に出動したのだが… …結局の所 出動命令をしただけで 作戦には間には合わなかったのである」
周囲では レギスト隊員たちが 敵小隊隊員らを拘束している アースが言う
「そうか… しかし助かった 防長閣下の… いや?国防軍総司令官の命令で無ければ エリーナ少佐は 我々を守る事はしなかっただろう」
軍曹が呆気に取られて言う
「む?…いや?そんな事は 無いのでは…?何しろ 兄貴やユラ殿は ハブロス家の家族である そうであるのなら 当然 その兄貴や…」
軍曹がエリーナを見る エリーナが軍曹たちを見てから 無表情に視線を逸らし 周囲を確認すると マルーズが政府警察に逮捕されている エリーナが言う
「任務完了」
エリーナが立ち去ろうとする アースが微笑して言う
「どうやら これで事件は片が付いたようだな?ユラ?」
ユラが反応し 改めて周囲を見渡してから言う
「う… うむ?そう だな…?何と言うか… 随分と あっけない終わりだった…」
アースが言う
「そうか?私は とても 驚かされたぞ?」
ユラが反応して言う
「う…っ すまん… ファーストへ知らせた後 急いで向かっていた為 連絡を送る事が出来なかった そして ファーストもレギストを起動させる為に 手間取っていたのか… 結局 連絡は…」
アースが言う
「いや?私が驚いたと言っているのは お前たちから 連絡が来なかったからと言う事ではなく… 先ほどの お前の言葉が…」
ユラが衝撃を受け 慌てて言う
「あっ あれは…っ!?」
アースが微笑して言う
「まさか お前が私の事を ”救世主”と思っていたとはな?言われた 私まで 驚いてしまったぞ?」
ユラが慌てて言う
「だ、だからっ あれはっ そ、そのっ!?そ、そうだともっ!?あの獄中でっ アールスローン戦記を ひたすら読み続けていたっ その影響でっ!?」
軍曹が疑問して言う
「はて?複製のアールスローン戦記に ”救世主” などと言う言葉は 出て来たであろうか…?」
ユラが衝撃を受け 怒って言う
「黙れっ!防長っ!」
軍曹が衝撃を受け言う
「のわあっ!?じ、自分は何かっ!?」
ユラが怒って言う
「やはり貴様という奴はっ!」
軍曹が盾で防御体制をとりながら言う
「な、何故 自分を 敵視するのか?!自分は…っ!自分は ユラ殿の ”叔父さん”であるがっ!?」
ユラが怒って言う
「誰が 貴様などっ!?」
遠くでスナイパーがアースへ狙いを付けている アースは気付かずに ユラと軍曹の言い合いに笑っている ユラのイヤホンにファーストの慌てた声が聞こえる
『兄上っ!大変ですっ!そちらへは マルーズの雇った者たちだけではなくっ 万が一の失敗に備えて 予め べムールが雇った 刺客が!スナイパーが潜んでいると!』
ユラが驚いて言う
「何っ!?」
アースが疑問して言う
「どうした?ユラ?」
ユラがハッとすると 視線の先 森の中で スナイプスコープのレンズが一瞬光ると同時に 小銃の銃声が一発響く アースがハッとするとアースの前にユラが飛び込む アースが目を見開き叫ぶ
「ユラッ!?」
ユラが目を見開いた状態で 頬に白い液体が飛び散る ユラが一度視線をそちらへ向けてから 再び正面を見て言う
「な… 何故…?貴様が…っ?」
ユラの前にレギストの制服を着た隊員が倒れる アースがそれを確認してから ユラを見て言う
「ユラ 無事か?」
ユラが呆気に取られたまま アースを見て言う
「あ、ああ… 俺は… しかし 何故…?奴が ここに?」
ユラが視線を遠くへ向ける アースがその視線に合わせると 驚いて言う
「ハイケル少佐っ!?」
ユラとアースの前で ハイケルがスナイパーを差し出して言う
「狙撃犯を捕獲した」
ハイケルがスナイパーを手放すと スナイパーが地に倒れて言う
「ぐ…ぅっ」
軍曹が驚いて叫ぶ
「しょ、少佐ぁーっ!?」
ユラが言う
「どう言う事だ!?何故貴様がここに!?貴様は!ART1の連中と共に アウターの任務へ向かったとっ!?それなのに 何故 隊長の貴様がっ!?」
軍曹が言う
「そ、そうでありますっ!少佐ぁ!?ART1のあいつらは 少佐が居られなければ きっと… のあっ!?しょ、少佐がぁあっ!?」
ハイケル2人目が現れて言う
「周囲100メートルに 伏兵及びその他の存在は無い 襲撃犯及び国防軍指名手配犯マルーズ・ハイス・スノーズを逮捕 状況クリア …だ 司令官」
2人のハイケルがアースを見る 軍曹が呆気に取られて言う
「しょ、少佐が… 2人っ!?」
アースが言う
「なるほど…?」
アースが倒れているレギストの制服を着た者を仰向けにさせると それがハイケルだと分かる 軍曹が混乱して叫ぶ
「さ、3人!?何故!?何故 少佐が3人もっ!?これは 一体ーっ!?」
アースが言う
「落ち着け アーヴィン 彼らは… デコイだ」
軍曹が言う
「な、なんとぉっ!?し、しかし 兄貴っ?少佐は”真に不甲斐無く申し訳ない初世代の悪魔の兵士” であるが故に デコイの遠隔操作は 出来ない筈なのであるっ!」
アースが言う
「ああ、真に不甲斐無く そちらは残念なのだが… しかし、それが得意である 優秀な2世代目が居るだろう?」
軍曹が言う
「は、はえっ!?優秀な2世代目の… それは…」
軍曹がエリーナを見る エリーナが言う
「何だ?」
軍曹が言う
「で、では… エリーナ少佐が 少佐を…?」
エリーナが軍曹を見て言う
「何の話だ?」
軍曹が言う
「はえ?し、しかし… 2世代目の悪魔の兵士は…」
ART本部の入り口が開き 3人のエルムαが倒れていて 残りのエルムαがアースの下へやって来る 軍曹が衝撃を受けて叫ぶ
「エ、エルム少佐ぁーっ!?」
エルムαが一度軍曹を見てから ハイケルを見て言う
『ART本部セキュリティが 強化防衛体制であった為 扉のロックが解除出来なかった よって 緊急事態に付き… 欠陥品の悪魔の兵士を 代用した』
ハイケルが両手で自分の口角を引っ張り情けない顔になる 軍曹が衝撃を受ける エルムαが言う
『各部伝達効率異常なし 身体能力 人型マシーナリーより46%低下 欠陥品 …だ …唯一 表面皮膚の柔軟率は23%上昇 よって衝撃緩和性能は 私より 優秀 …だ』
ハイケルが口角を引っ張ったまま居る 軍曹が言う
「しょ、少佐ぁっ!?良かったでありますね!あのエルム少佐に 褒められたであります!少佐は エルム少佐より… 何か分かりませんが 柔らかいそうで!」
ハイケルが口角を引っ張ったまま言う
「ひょ(そ)うだな」
軍曹が言う
「しかしながら少佐?その… お気持ちは分かるのでありますが~ 余りそちらを伸ばし続けると言いますのも~ もしや 口や頬の皮膚が伸びきってしまうのではありませんかと?自分は少々 心配なのでありますのが…」
ハイケルが口角を引っ張ったまま言う
「みょ(も)んだいない」
ハイケルが口角を更に引っ張った後ぱちんと離す 軍曹が衝撃を受ける アースが言う
「ハイケル少佐のデコイであるのなら プラズマの充填ではなく 我々と同じ食料による エネルギー摂取が可能だろう …エルム少佐?それならば 彼のデコイを用いて…」
エルムαが言う
『無理だな これら3体には 私の遠隔操作チップが試験導入されている …が そちらの設定とデコイの設定に 多くの誤差が生じている 故障するのは 時間の問題 …だ』
アースが苦笑して言う
「そうか それでは 無理だな?」
ハイケルが再び口角を引っ張る アースが微笑して言う
「確かに 随分と違うようだ 貴方とは?」
アースがエルムαの口角を掴んで伸ばすが大して伸びない 軍曹が衝撃を受けて言う
「のあっ!?あ、兄貴っ!?な、なななな なんとぉお 恐ろしい事をっ!?」
アースが微笑して言う
「この顔の皮膚を ハイケル少佐のデコイと同程度の 柔らかい物へと変更すれば 貴方も もう少しは 柔らかくなるのだろうか?エルム少佐?」
エルムαが言う
『無理だな』
アースが苦笑して言う
「そうか そちらも残念だ」
アースがエルムの口角を引っ張りきって離す エリーナが言う
「お前も 悪魔の兵士…か?」
エルムαがエリーナを見て言う
『私は 悪魔の兵士 …ではない』
軍曹が驚きエルムαを見て言う
「な、なんとっ!?しかし どこから どう見ても エルム少佐なのである 更に デコイを使いこなせると言う事も?それでも 悪魔の兵士では無いとは 一体?」
ハイケルが口角を引っ張っている エルムαが軍曹の前を素通りして エリーナへ言う
『お前は …何だ?』
軍曹が衝撃を受けて言う
「は、はえっ!?自分の言葉は 無視…っ!?」
軍曹が振り返った先 エリーナがエルムへ言う
「私は 悪魔の兵士だ」
エルムαが言う
『了解 誰の警護を請け負っている?』
エリーナが言う
「私は アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスの物だ 従って 私の所有者であるアリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスを守る事が 任務だ」
エルムαが言う
『了解 では お前も 欠陥品 …だ』
軍曹が呆気に取られる エリーナが不満そうに言う
「何の話だ?」
エルムαが言う
『お前も 欠陥品 …だ お前は お前の所有者である アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスを 守らなかった』
エリーナが言う
「何の話だ?私はアリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスを守る 悪魔の兵士だ アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスを…」
エルムαが言う
『守る …には 当人の体のみを守る …では 不足だ』
エリーナが言う
「…何故だ?」
エルムαがアースへ視線を向ける エリーナが目を細める 離れた場所で アースがユラへ向いて言う
「ユラ」
ユラがハッとして言う
「ん?あ、ああ?」
アースが微笑して言う
「良くやってくれた」
ユラが一瞬呆気に取られて疑問する アースが言う
「兄として 弟のファーストを信じ 共に 家族である私を守り 事件を解決してくれた …やはり お前を家族にして良かったと 私は今 心から思っている」
ユラが呆気に取られた状態から苦笑して言う
「…フッ 例え アース・メイヴン・ハブロスの”所有物”とされようとも 家族である事は変わらんのだろう?だったら 俺はそれで良い… いや 十分…」
アースが一瞬呆気に取られた後 苦笑して言う
「ん?何を言っている?確かに 高位富裕層の規定により 当主の認知した第二子までにしか 家の名を与えられないと言う 規定のお陰で お前に”ハブロス”の家名は 与えられなかったが」
ユラが衝撃を受けて言う
「な、なにっ!?その様な規定がっ!?」
アースが言う
「それさえなければ 当然 私はお前にも ハブロスの名を与えたとも?…しかし それは出来なかった そこで 代わりとして 私の名を 全て与えたんだ」
ユラが驚いたまま言う
「そ、そうだったのか…っ」
アースが言う
「ユラ・アース・メイヴン …お前は 間違いなく 私のハブロス家の家族にして ファーストやアリアの兄であり 私の息子だ」
アースが微笑しユラの肩を叩く ユラがハッとすると アースが言う
「…まったく 親に心配を掛ける 悪い息子だがな?」
ユラが呆気に取られた後 頬を染め 視線を逸らして言う
「そ… そうだな…?すまん…」
アースが軽く笑う エルムαが言う
『任務完了 …だ』
エリーナがエルムαを見て沈黙する ハイケル2人が 己の頭へ銃銃を向け自壊する 軍曹が衝撃を受け叫ぶ
「しょ、少佐ぁあーっ!?」
軍曹がハイケルを抱き起こして慌てている ART本部入り口前で倒れていたエルムα2体が立ち上がる エルムαたちが退散して行く 軍曹がハイケルを抱き上げて叫ぶ
「少佐ぁっ!?少佐がぁああー!!」
アースが苦笑して言う
「落ち着け アーヴィン そいつらは… 始めから死んでいる エルム少佐に操られていただけだ」
軍曹が泣きながら言う
「し、しかしぃ 少佐がぁあっ!自分がこれほど傍に居ながらもっ!少佐をっ!?少佐ぉおーっ!」
エリーナが言う
「…任務完了 …帰還する」
隊員たちが言う
「了解!少佐ぁーっ!」
エリーナと隊員たちが立ち去る 皆が去って行く 軍曹が1人で叫んでいる
「少佐ぁっ!少佐ぁあーーーっ!」
【 DD6機内 】
ハイケルがハッと目を覚まして言う
「…はっ 軍曹っ!?…ん?ここは…?」
ハイケルが疑問して周囲を見渡してから ホッとして言う
「夢… か…」
ハイケルが肩の力を抜くと パイロットが言う
「ハイケル少佐 間も無く 目標地点の10キロ手前です」
ハイケルが言う
「了解 では…」
ハイケルが口角の違和感に手でさすってから イヤホンを装着する
隊員たちが各々準備を整える中 ハイケルの無線が聞こえる
『ART1 間も無く 目標地点へ到着する ART1隊員は着陸体制へ移行 各自 輸送機パイロットと通信、タイミングを計り 輸送機とのドッキングを解除 目標地点へ着地しろ』
隊員Iがパイロットへ言う
「それじゃ」
パイロットが言う
「ああ!また迎えに来るからな!」
隊員Iが言う
「うん!アンタと この”マッカービー”を 待ってるよ!」
パイロットが微笑して手サインを送る 隊員Iが微笑して手サインを返した後 スイッチを押す シートが動き DD6からマシーナリーへ移動する
地上
DD6が次々に地上近くを低空飛行してマシーナリーを解除する マシーナリーたちが次々に派手な音を立てて着地する中 1つのパラシュートが開きハイケルが着地し 空を見上げる DD6たちが上空で大きく旋回すると 再び アールスローンへ飛び去って行く ハイケルが目を細めて それを見送ると言う
「次に彼らが 我々を 回収に来る日時は」
ハイケルが腕時計を見て言う
「3日後のこの時間… タイムリミットは72時間」
ハイケルが腕時計のセットを行う M隊員Aがやって来て言う
「少佐!ART1マシーナリー 全機無事 着陸しました!」
ハイケルが言う
「了解 では 早速 お前たちへ作戦を伝える 我々ART1は 総員この場所より」
隊員たちが真剣な表情で注目する ハイケルが言う
「強行突入を開始する」
皆が驚き言う
「「えっ!?」」
M隊員Bが言う
「了解 少佐ぁーっ!」
続く
晴天の朝日に 南西に伸びる複数の飛行機雲が消え入る中 規則正しく空気を斬る鋭い音が響いている ユラが剣を素振りして稽古をしている 規則正しい動きの中でユラの意識では過去の記憶が蘇っている
ルイルが実験中の手を止めて言う
『…は?武道を …ですか?兄上?』
ユラが言う
『そうだ!武道を教えられる奴を 雇ってくれ!なんでも大和武術と言って 柔道とか 空手とか 合気道とか言うらしい… 何がどう違うのかは 良く分からんが それらは武道とか武術とかと言ってだな?…つまり 何なんだ?』
ユラが首を捻る ルイルが溜息を吐いて言う
『はぁ… 意味も分からずに 仰っているのですね?』
ユラが不満そうに言う
『うっ… だ、大体っ 大和の連中が悪いっ!柔道だとか何だとか… 武道とか武術とか… 訳が分からんっ!』
ルイルが言う
『柔道とは 古くは大和国古来の体術であり そちらを改良しスポーツの要素を取り入れる事で 技を競う競技の事を言います 空手の方は 言葉の通り 手に何も持たないと言う事を意味し つまり 素手で戦う体術を言います そして 合気道と言うのは こちらも大和国の体術の1つですが 主に当て身と 関節技を主とする 護身術を言います』
ユラが言う
『ほう?詳しいな?…で、結局 どれが一番強いんだ?ついでに 武道と武術 と言うものの違いは?』
ルイルが言う
『大和では 騎士の事を武士と言いますので 彼らが戦いの為に極める技術の事を全てを武術と言います そして、武道とは その者たちの信ずる道を… 精神的なものを言います 武道は武士の道ですから武士道とも言いますし 更に武道は彼らの武術を直接示す事もあります それら武術には 兄上の仰った 3つの体術の他にも 刀 …とは 剣の事ですが そちらや槍、弓の技術の事も 含まれるのですよ?』
ユラが言う
『おお!そうなのか!なるほど… 武道には 武器を扱う事もあるのだな?剣や槍や弓を… うん?では 銃は無いのか?』
ルイルが頭を押さえて言う
『兄上… それくらいもご存知ではないのでしたら 武道はもちろんですが 武術などとも もう言わないで下さい …と言うか むしろ 黙ってて下さいっ 私の研究の邪魔ですし 本物のユラ・ロイム・ライデリアは その様な事を言う様な… …っ鹿な人ではありませんよっ!』
ユラが疑問して言う
『”かなひと”?…うん まぁ そうだろうな?それは 分かっているが …そうは言われても 俺は…』
ルイルが怒って言う
『それからっ 何度も言っていますが ”俺”ではなく 一人称は”私”です!』
ユラが慌てて言う
『わ、分かったっ では… ”私”は… とにかくっ 何でも良い 力が欲しいんだっ!』
ルイルが言う
『力?…貴方には ”ライデリア家の長男”と言う 私以上に強い力が 有るではありませんかっ!?』
ユラが言う
『それは…っ 俺には 上手く使いこなせん…』
ルイルが怒って言う
『”俺”ではなく!』
ユラが言う
『わ、ワタシはっ!私は…!武道をっ!…いや、武術を?…いや えーと…?』
ルイルが溜息を吐いて言う
『大体 高位富裕層の長男が 何故体術などと…?その様な技術を持っていては むしろ 恥ずかしいですよ?上に立つ者は 下の者を使って 己の身を守らせれば良いのです 政府の長官となるのでしたら… そうですよっ それこそ 国防軍の防長に守らせては如何ですか?丁度良いです 彼らは それこそ 体を使って 戦う組織ですからね?』
ユラが不満そうに言う
『だが 俺は…』
ルイルが不満そうに言う
『”俺”ではなくっ?』
ユラが言う
『わ、私は… 私が… 政府長長官か… 外交を持って…?話し合いで解決など …それこそ 攻長の持つ 剣で解決してしまえば良いものを… …うん?剣?』
ユラが勢い良く言う
『そうか!ルイル!分かったぞっ!』
ルイルが勢いに押されて驚いて言う
『な、何がです?』
ユラが剣を振っている ユラの脳裏で過去のユラの声が響く
『剣術を習えば良いだろう!?政府長は攻長でもある!攻長の武器は剣だ!そうとなれば 私が その剣術を扱えなければ お前も 恥ずかしいだろう!?』
ルイルが言う
『…で、ですから …もう良いです 分かりましたよ』
ユラが言う
『よし!では 見ていろ ルイル!俺は 武道を極める!』
ルイルが言う
『でしたら 剣ではなく 刀ですが 宜しいのですか?』
ユラが言う
『は?カタナ??』
ユラが剣を強く振って思う
(…と、結局 俺はアイツのお陰で 刀術ではなく 無事 剣術を習う事が出来た… そして、お前に それが生かされていると言う 今を 見せる事が出来なかった事は 俺は 残念に思う …しかし やはり お前は 今でも 俺を馬鹿にしたか?それとも…?)
ユラがふと気付き視線を向けると人影が隠れる ユラが疑問して思う
(…気のせいか?)
ユラが剣の素振りを再開しながら思う
(…そうだな?ここは ハブロス家の庭だ あのライデリア家より 1つ2つ上の… 現行に置いては 最上位の高位富裕層の庭 …その様な場所に 曲者など…)
ユラがハッと気付き振るっていた剣先を変え 瞬時に襲い掛かって言う
「そこだっ!!」
金属同士のぶつかり合う甲高い音が響く ファーストが目を見開いて自身の前にある 2つの刃物に言葉を失う ユラが一瞬驚いた後笑んで言う
「…ほう?貴様 やはり 只者ではなかったか?」
執事がナイフでユラの剣を抑えていて 微笑して言う
「いえ 私は あくまで… ハブロス家の執事に御座います」
ユラが言う
「ふん?なるほど ハブロス家の執事たる者 その程度の技術を得ている事が 常か?この俺の剣を それほど小さな刃で抑えられるとは …大した奴だ」
ユラが剣を引く ファーストがゆっくりと息を吐き ホッと胸を撫で下ろしてから執事を見上げて微笑する 執事がナイフをしまい微笑して言う
「滅相も御座いません ユラ様が直前に力を加減して下されました そちらのお陰に御座います」
ユラが苦笑して言う
「ふ…っ 良いだろう?では そうとして置くか?」
執事が軽く頭を下げる ファーストが安堵すると ユラが周囲を見渡してから言う
「で?…何か用か?」
ファーストがユラの様子にハッと誤解し 申し訳なさそうに言う
「あ… 申し訳ありません 兄上っ …兄上の お稽古の邪魔立てをするつもりは無かったのですが… 朝の空気を吸いに 庭の散策をしておりました折に その… 音が聞こえたもので もしやと思い…」
ファーストがユラを見上げると ユラは他方を見ていて思う
(…やはり 違う)
ファーストが疑問する ユラが言う
「それで?…ずっと俺を見ていたのか?」
ユラが視線を強める 執事が気付き悟られない様周囲を伺う ファーストがユラの様子に表情を落として言う
「え?あ… ずっとと言いますか… 失礼しました… そうですね …では 私は 別の場所へ向かいますので」
ユラが言う
「ああ、そうしてくれ 稽古の邪魔だ」
ファーストが驚き表情を落として言う
「…はい では …レミック 噴水の方へ行こう?今日は良い天気だから きっと あの辺りが心地良い筈だ」
執事が微笑して言う
「はい 畏まりました ”噴水の方”に御座いますね?それでは 早速 そちらへ向かいましょう」
ファーストが一瞬呆気に取られた後言う
「え?う、うん…?」
執事がファーストの車椅子を押し始める ユラが元の位置へ戻り剣を構える 執事が車椅子をゆっくりと押す ファーストが疑問して言う
「…ん?レミック?兄上のお邪魔になってしまうから 早く…」
ユラが構えた剣の刃の向きを変えると 刃に人影が映る ユラが目を細めて思う
(人数は…)
執事が意識を周囲に集中していて思う
(…3人)
ユラが剣を振り上げ 共にひそかに視線を向けると 人影が動くのが見える ユラが気付いて思う
(狙いは…っ?)
執事が殺気に気付いて思う
(ファースト様っ!)
次の瞬間 執事が2方向へナイフを投げる 2方向で悲鳴が上がる
「うっ!」 「ぐあっ!?」
ファーストが驚いて言う
「えっ?」
ユラが剣を振るって叫ぶ
「らあぁあーっ!」
ユラの剣が銃を弾き上げる 曲者が驚いて言う
「なにっ!?くそっ!」
曲者がユラへ殴り掛かると ユラが剣の柄で曲者を殴る 曲者が受けた衝撃に悲鳴を上げる
「がはっ!?」
ユラが曲者を地面へ押さえ付ける ファーストが呆気に取られていると 執事が言う
「お見事に御座います ユラ様 そちらは 大和武術 空手の心得に御座いますね?」
ユラが言う
「我流だ 空手は 武器を使わんからな?」
執事がユラに代わって曲者を押さえる ユラが言う
「で?貴様は 何の心得だ?大和武術 忍びの心得か?あの距離で確実に奴らの急所を突くとは …それとも?それも ハブロス家 執事の心得とやらか?」
ユラが視線を向けると 執事が仕留めた曲者が息絶えている 執事が言う
「我が主の為に 必要と御座いませば?」
執事が曲者を締め付ける 曲者が悲鳴を上げて言う
「ぐぅっ!…な、何もっ!何もしゃべらんぞっ 俺は…っ!貴様らに バラす位ならっ!…がっ!?」
ユラが言う
「おっと?」
曲者の口に ユラの剣の柄が押し込まれていて ユラが言う
「舌を噛み切ろうとは …どうやらコイツは 相当に聞く価値がありそうだな?」
執事が言う
「左様に御座いますね では 私の方で…」
ユラが言う
「いや?こいつは 俺の事も見ていた… ファーストが来るまでは… …と言う事は?」
曲者が押し込まれる剣の柄に声を出す
「ぐ…っ」
ユラが言う
「何もしゃべらんと言ったな?」
曲者がユラを見て視線を強める ユラが笑んで言う
「ならば面白い 久しぶりに… 血がうずくと言うものだ」
曲者が一瞬驚く ファーストが呆気に取られて言う
「あ… 兄上…?…ハッ まさかっ!?」
ファーストが思う
(そう言えば…っ 以前見た 国防軍のトリプルトップシークレットにっ 兄上は…っ ユラ・ロイム・ライデリアはっ!?)
ユラが笑んで言う
「まずは 何をしてやるか…?そうだな?ゆっくりと時間を掛けて 貴様の両手両足の…」
ファーストが慌てて耳を塞ぐと 思う
(で、でも…っ 今はっ!今はもうっ 兄上はユラ・ロイム・ライデリアではないっ ユラ・アース・メイヴンなんだっ もう… 下等富裕層の様な…っ そういった事はしないっ そんな趣味なんかは 無くなって…っ だって そんな事っ ハブロス家の家族である 兄上が 行うなんて事は…っ!)
ファーストが閉じていた目を薄く開き視線を向けると 曲者が怯えて必死に顔を左右に振っている ファーストが呆気に取られて思わず手を離すと 曲者の悲鳴の混じった声が聞こえる
「止めてくれっ!話すっ!何でも話…っ があっ!」
ユラが曲者の口に再び柄を押し込んで言う
「何を言っている?まだ 何も始めてはいないだろう?情報を吐くのは それらの事を終えた後の …いや まだだな?やはり もっと 楽しめる方法を」
執事が微笑して言う
「では 私は 早速 そちらの用意へと 取り掛かりますので」
曲者が怯えて言う
「ひぃっ!?」
ユラが笑んで言う
「ああ そうだな 何をやるにしても鉄はじっくりと 熱してやらないとなぁ?中途半端では 焼き切れん まぁ それはそれで 楽しみも長引くと言うものだが …クククッ」
ファーストが怯え 再び耳を塞ごうとした瞬間に 曲者が悲鳴を上げて言う
「…らいでりあだぁあっ!」
ユラが疑問して言う
「あん?」
ファーストが疑問すると ユラが押し込んでいた柄を引く 曲者が涙ながらに言う
「ライデリア!ライデリアだっ!ユラ・ロイム・ライデリアぁあ!!」
ユラが呆気に取られて言う
「なんだと?」
ファーストが呆気に取られていると 曲者が咳き込みながらも言う
「げほっげほっ!ユラ… ロイム・ライデリア…っ …知っているだろう?以前 政府の長官や攻長だった あのユラ・ロイム・ライデリアが…っ ハブロス家の… があっ!?」
曲者が殴られる ユラが曲者を踏み付けて言う
「貴様 …誰に向かって言っているっ!?」
曲者が怯えて見上げる ユラが言う
「ユラ・ロイム・ライデリアが?貴様らを雇い 俺を殺せと?」
曲者が言う
「アンタをヤレとは言われちゃいないっ ハブロス家の者を 連れて来いと…っ だからっ!この庭で 自由を行っていた アンタを見ていたが…っ そうしたら あいつの方が…っ」
曲者がファーストを見る ファーストがハッとすると 執事がファーストを遮って言う
「恐れ多くも このハブロス家の ご子息様方へ手を出そうとは 相応の者に 雇われたと言う事ですね?」
曲者が言う
「だから 言っているだろうっ!?アンタは執事ならっ ライデリア家が このハブロス家に 匹敵する家だと言う事を…っ」
ユラが怒って叫ぶ
「ほざけっ!」
ユラが曲者を蹴り付ける 曲者が悲鳴を上げてて言う
「があぁっ!」
ファーストが痛そうに表情をしかめる ユラが言う
「このハブロス家に ライデリア家など足元にも及ばんっ …更には ユラ・ロイム・ライデリアに雇われただと?笑わせるなっ!貴様は ”誰に” その言葉を言っているっ!?」
曲者が困惑する 執事がユラの近くで言う
「…ユラ様 失礼ながら …今のユラ様は 当時のお姿とは 異なりますので…」
ユラが気付いて言う
「うん?…そうだったな」
ユラが曲者から足を離す 曲者が息を切らせる ユラが言う
「だが」
ユラが曲者の襟首を締め上げて言う
「”ユラ・ロイム・ライデリア”は… 死んだんだ …この俺が 奴をっ!」
曲者が言う
「死んでなんかいないっ!そうと言うのなら 俺たちが見たのは 幻だとでも言うのかっ?政府の公式発表でだって 奴は行方不明だって…っ!それが… きっと戻ってきたんだっ 嘘だと思うなら ライデリア家の屋敷へ行ってくれっ 奴は そこに居るっ!…げほっ げほっ」
ユラが困惑しながら言う
「馬鹿な…っ?」
執事が言う
「すぐに確認を取らせます この者の処理は その後からでも 十分ですかと…?」
ユラがハッとしてから苦笑して言う
「ああ、そうだな?…わざわざ 人を送らせた上で 嘘であったのなら… 分かっているな?」
執事が携帯で連絡をする ユラが剣先を曲者へ向ける 曲者が痛む体を押さえながら言う
「行けば分かるっ だが 本当に…っ これ以上は 何も知らない 俺たちはただ… 雇われただけで…っ」
ユラが言う
「雇われただけ… か …ふんっ?その様な嘘が通じると?」
曲者がユラを見上げて言う
「嘘では… …がぁっ!?」
ユラが曲者を踏みつけながら言う
「このハブロス家へ忍び込めるほどの腕を持つ 雇われの者であるのなら 尚更だ …ハブロス家に劣る ライデリア家の依頼など 受ける筈がないっ」
曲者が目を見開く ユラが言う
「久しぶりに 楽しませてくれるようだな?覚悟は出来ているか?楽に死ねると思うなよ?」
曲者が震える 執事が言う
「ユラ様」
ユラが笑んで言う
「ああ、誰も…」
執事が言う
「奇怪な事に ”ユラ・ロイム・ライデリア”が …確認されていると」
ユラが驚く 曲者がホッとする ユラが執事へ言う
「…ここは お前へ任せる」
執事が言う
「畏まりました しかし ユラ様は…?」
執事がユラに代わって曲者を抑える ユラが言う
「俺が ライデリア家へ向かい 直接 確認をして来る」
執事が言う
「そちらはなりませんっ!」
ファーストがユラの前に行って言う
「兄上っ」
ユラが立ち止まる ファーストが言う
「レミックの言う通りです 兄上が向かわれる必要は無いのですっ 誰か他の者を向かわせれば…っ それに兄上の身に 万が一の事が起きましては 父上が どれほど嘆かれる事かっ!あっ そうです まずは 父上へ 連絡をっ!」
ファーストが携帯を取り出す ユラが言う
「ファースト!」
ファーストが驚いてユラを見上げる ユラがファーストへ向いて言う
「この程度の事で ハブロス司令官の手を煩わせるな」
ファーストが言う
「し、しかし…っ!」
ユラが言う
「”父上”は お前に何と言った?」
ファーストが呆気に取られる ファーストの脳裏に記憶が蘇る
アースがファーストを見て言う
『そして やはり 長男でありこのハブロス家の次期当主となる ファーストの事は 可愛がりたい気持ちはもちろんだが それ以上に 私は …”頼りにしている”』
ファーストが震える唇で言う
「ち、父上は 僕に… ”頼りにしている”と…」
ファーストがユラを見上げると驚く ユラが微笑して言う
「その想いに 答えたいとは思わないか?」
ファーストが呆気に取られて言う
「想いに 答える…っ!?」
ファーストが息を飲んで手を握り締める ユラが言う
「ここは頼んだぞ ファースト そいつはまだ …何かを握っているぞっ」
ファーストが意を決して言う
「…は、はいっ 兄上!…どうか お気を付けてっ!」
ユラが頷き立ち去る ファーストが握り締めた拳を胸にしてから言う
「…レミック!その者を 屋敷の地下へ!それから…」
執事が言う
「畏まりました ファースト様」
執事が曲者の口へ猿轡を噛ませ 立ち上がらせる
【 ART本部 入り口 】
扉が開き エルムαが顔を上げると アースが入って来て微笑して言う
「こちらに変わりは無いか?エルム少佐?」
エルムαが言う
『問題ない』
アースが言う
「それは結構 …うん?」
アースがIDをスキャンしようとして 出退勤ボードの様子に疑問して言う
「今日は… ユラも来て居ないのか …まぁ そうかもな?ART1もART2も居ないとなれば あいつの相手をする者も居ない そうとなれば… 彼らが戻るまで あいつもこちらへは 顔を見せないか…」
アースがIDスキャンをしてから歩き始める エルムαが続く
【 ライデリア家 外 】
ユラがやって来て 周囲を見てから言う
「ふん…?何も 変わっていないか …最も 高位富裕層の家ともなれば その家の者が全て消えたとしても 屋敷は1世代の間は凍結保持される …何故 誰も居らぬ家を 保持する必要があるのかと 思っていたが…」
ユラが気付き目を細めて言う
「…こう言う事か」
ユラが周囲を見渡し向かう 窓の中 室内にユラ・ロイム・ライデリア(以降ロイム)が居る
【 ライデリア家 室内 】
物音がして ロイムが一瞬反応するが 無視して研究を続けていると ロイムの首に刃が当てられ ユラが言う
「ユラ・ロイム・ライデリア …生きていたのか」
ロイムが気付き 溜息を吐いて言う
「…警備の者は 何をしている?」
ユラが言う
「奴らは悪く無い この屋敷に関しては 俺の方が詳しいと言う事だ …何しろ」
ロイムが苦笑して言う
「”私の身代わり”を行っていたから…か?最も とても そちらの役目は 果たせていなかったそうだが?」
ユラが言う
「そんな事は無い ルイルのお陰で 誰も俺を 貴様の偽物だとは思いも…」
ロイムが振り返って言う
「そのルイルが言っていたぞ?」
ユラが反応して言う
「何…っ?」
ロイムが苦笑して言う
「”見た目は確かに そこそこ似てはいますが 頭の方は空っきし 兄上とは 似ても似つきません 正直 あの者が 役とは言え ライデリア家の名を 名乗っているというだけで 私は気分が悪くなります” …ルイルが私の前で いつも言っていた言葉だ」
ユラが怒りを押し殺して言う
「ク…ッ」
ロイムが笑んでから 作業に戻りつつ言う
「それで?」
ユラがロイムを見る ロイムが作業をしながら言う
「その 唯一の見た目さえ 変わった貴様が 今更 何の用だ?例え 今再び 私へ重傷を 負わせたとしても ルイルも居ない貴様に ”ユラ・ロイム・ライデリア”を演じる事などは 不可能だぞ?」
ユラが言う
「今更 その様な事を するつもりは無いっ いや 例え 可能であろうとも 今の俺は ユラ・アース・メイヴン!あのハブロス家の家族だ!貴様の偽物を演じる必要などは 毛頭無い!」
ロイムが苦笑して言う
「ふん?ハブロス家の…?」
ユラが刃を近付けて言う
「そのハブロス家へ 刺客を送り付けたのは 貴様だそうだな?捕らえたその者が 話してくれたぞ?”父上”と貴様に教わった術が 役に立った 礼を言ってやる」
ロイムが息を吐いて言う
「なるほど… 有益な術を 貴様ごときに与えてしまったか」
ユラが言う
「俺も それなりに 貴様ら兄弟の役に立っていただろう?まずは そちらの礼を聞こうか?」
ロイムが苦笑して言う
「ふん… 誰が?野良犬風情の貴様が 調子に乗るなっ!」
ロイムが薬剤をユラへ振り掛ける ユラが瞬時に腕で顔を守ると 腕の衣服が溶ける ユラがそれを見て表情をしかめる ロイムが言う
「折角 飼ってやったものを やはり野良犬だ 主を傷付け その座に騙し入った貴様に 礼などは 必要無いっ」
ユラが言う
「誰が 飼ってくれと頼んだ?貴様らが勝手に 俺を施設から連れ去り 挙句は貴様が生き延びるとなれば 俺を屋敷の地下へ幽閉し 飼い殺しにしていたっ …そこへルイルが 己より優秀な兄を 亡き者とする その計画を持ち掛けて来たんだっ あいつに騙されていたのは 貴様だっ!」
ユラがロイムの手に持つ試験官を剣で払う ロイムが衝撃に体制を崩し 実験台へ身を打ち付けると 悔しそうに言う
「…くっ なるほど …やはり 元は ルイルの画策だったか… しかし 今や その嫉妬深い弟も消え 地位や名誉ばかりを求めた 父も居ない そうとなれば… このライデリア家の全ては私の物だ!余計な事を知る貴様には 消えてもらうっ!」
ロイムがスイッチを押すと 屋敷の壁がセイバーで壊される ユラが身を守りつつ状況を確認すると驚いて言う
「な…っ!?マシーナリーだとっ!?」
ロイムが笑んで言う
「クックック… 驚く事は無い 何故なら この技術を… 政府のマスタートップシークレットを 解明したのは この私だっ ルイルが解明したのではないっ!」
ロイムが白衣の首元にネックセンサーが付けられている ユラが気付いて言う
「それは…っ」
ユラの記憶に ルイルが微笑してネックセンサーをユラへ見せている様子が思い出される ユラが表情をしかめて言う
「そうか… では ルイルは やはり…っ」
ユラが手を握り締める ロイムが言う
「マシーナリーは 私の力だ それが 愚かな弟のお陰で 政府の力とするのならまだしも… 国防軍の!?あのハブロス家の力にされた事は 実に憤慨だっ!今に見て居ろ!奴らから マシーナリーの力を全て奪い返し この国の 最有力者を気取っている あのアース・メイヴン・ハブロスをも 私が 屈服させてくれる!」
ユラがアースの名に反応し 怒って言う
「そうはさせんっ!」
ユラが剣を振るう ロイムが笑って言う
「っはははっ!何だ?その剣で マシーナリーを倒そうとでも言うのか?マシーナリーの装甲は アールスローンで最も硬いと言われている金属の3倍だぞ?それをアールスローンの… しかも 人が振るう剣などで 対抗出来ぬ事くらい 野良犬でも分かれ!愚か者め!」
ロイムが手を振るうと マシーナリーがプラズマセイバーをユラへ振り下ろす ユラが言う
「愚かは 貴様だっ!」
ユラの直前で マシーナリーのセイバーが止まる ロイムが驚いて言う
「何っ!?」
ユラが笑んでロイムへ視線を向けて言う
「どうだ?貴様の技術など ハブロス司令官のARTはもちろん 現状の政府にも劣ると言うもの!コレが ”今の” アールスローンの力だ!」
ユラが意思を向けると マシーナリーがセイバーを引き自身へ突き刺し停止する ロイムが驚いて言う
「そんな…っ!?馬鹿な…っ」
マシーナリーが倒れて地響きがする 改めてロイムの首に刃が向けられる ロイムが僅かに驚き刃を見る ユラが剣を向けていて笑んで言う
「ルイルの様に ただ 研究だけに溺れているのなら 見逃せてやれたが… ハブロス司令官や彼のものに 危害を与えると言うのでは そうは行かない …選べ」
ロイムがユラを見る ユラが言う
「今 ここで もう一度俺の手に掛かり 今度こそ死ぬか?それとも… ルイルの様に ただ研究者としての名誉だけを求め 生き続けるか?」
ロイムが笑んで言う
「私は 弟とは違う 研究者としての名誉はもちろん このアールスローン最高位の 地位と 権力をも手に入れるっ!私の力で!」
ユラが表情を強めて言う
「ならばっ!死ねぇえーっ!」
ユラが剣を振り上げるとロイムがスイッチを押す ユラの足元の落とし穴が開き ユラが驚く
「なっ!?」
ユラが落下する ロイムが笑う
「あっははははっ!」
ユラが落下する中剣を壁へ突き刺しぶら下がって止まると言う
「…ぐぅっ!」
ユラが上を見上げると ロイムが見下ろして言う
「…ははははっ!古典的な武器に 古典的な方法で…?まさか この様な世代遅れな物が 役に立つ日が来るとはな!?貴様が 銃を使う者で無くて 助かった!”礼を言って”やる!あっははは!」
ユラが表情をしかめて言う
「くそっ まさか こんな物が…っ」
上部でロイムが言う
「ほう?やはり しぶといな野良犬は?」
ユラがロイムを見上げて言う
「ク…ッ」
ロイムが言う
「そうして 今の飼い主の 助けでも待つつもりか?」
ユラが言う
「俺がここに来ている事は ハブロス家の者に知られているっ そして… ハブロス司令官ならばっ!」
目下で水音がする ユラが気付き視線を向けると ロイムが言う
「その助けが来るまで耐えられるのか?そこからでは 這い上がる事も不可能 …そして 足元の水には 過去ライデリア家で 父上のご趣味に晒された連中の 死肉で 肥えたピラニアどもが… 久々の獲物に 群がっている… 例え ハブロス家の連中が このライデリア家に押しかけて来ようとも お前が居たと言う その証拠は 彼らが食い消してくれるだろう?」
ユラが表情を悔しがらせる ロイムが言う
「いや…?そもそも…?ハブロス家の者は ここへは来ないか?」
ユラが言う
「何っ!?」
ロイムが笑んで言う
「ユラ・アース・メイヴン …と、言ったな?つまり お前は 養子にされようとも その名が示す アース・メイヴン・ハブロスの”私物”であると …ただの道具であると言う事だ 父上が お前を 私の身代わりに使おうとした そちらと同じだ!」
ユラが驚き 気を取り直して叫ぶ
「違うっ!!」
ロイムが言う
「何が違う?家の名を与えられず 個人の所有物だと 名付けられ!その役割通りに アース・メイヴン・ハブロスの実の子供を守る為に この場所へ 己の命を危険に晒しながらもやって来たっ!ハブロス殿も 上手い事 野良犬を使いこなす様だ!その手腕は 父上と同等だな!?」
ユラが叫ぶ
「黙れっ!!ハブロス司令官はっ 貴様の父親とは違うっ!」
ロイムが言う
「クックック… まぁ良い 精々 そこで力を使い果たし 奴らの餌となれ …っははははは!」
ユラが表情をしかめて言う
「く…っ」
落とし穴の蓋が閉じる
【 ART本部 司令室 】
アースが書類にサインをして 作業を終えると一息吐いて言う
「ふぅ…」
アースが書類や資料を見た後 落ち着かない様子で モニターの出退勤状況を見てから立ち上がって部屋を出て行く
【 ART本部 研究室 】
グレイゼスが言う
「このシステムさえ組み込めば… 後は~ センサーを使って プラズマの移動をさせられるような… そんな気がするんだが?」
マスター2が資料を覗き込んでいて言う
「うーん それは ナノマシーンの囁きか?どう考えても それだけじゃ 移動が可能な根拠が無いだろ?下手をすれば 周囲への漏洩と言う事もある 相手はプラズマなんだから」
グレイゼスが言う
「そうなんだよなぁ?…どぉ~いう事だ?」
マスター2が言う
「おいおい?しっかり ナノマシーンと同調させろよ?」
グレイゼスが苦笑して言う
「それを 同調率No1マスターの 俺に言うかぁ?」
マスター2が言う
「その座を 現行No2マスターの 俺が奪うのも 時間の問題かもな?」
グレイゼスが言う
「おっと?そうは行かない それなら どっちが早く このシステムの構想を組み上げるか 競争だ!」
マスター2が言う
「望む所だ!」
グレイゼスとマスター2が拳を合わせてから 各自作業を開始する アースが後方でその様子を見ていて言う
「…こちらの問題は無い様だな?…ふむ?」
アースが部屋を出て行く グレイゼスがふと気付いて顔を向けると アースが去って行くのが見える グレイゼスが疑問する
【 ハブロス家 ファーストの部屋 】
ファーストが驚き怒って言う
「えっ!?何を言っているんだっ!?兄上は このハブロス家の家族である事は勿論 僕やアリアの兄弟だぞっ!それならっ!?」
エリーナが言う
「私は 悪魔の兵士だ」
ファーストが言う
「分かっているとも!だから 言っているんだ!兄上の手助けへ向かってくれと!悪魔の兵士は 無敵の強さを持つのだろう!?」
エリーナが言う
「無敵 では無い 何度でも蘇る…」
ファーストが言う
「それを無敵と言っているんだっ!いや そんな事はどうでも良い!とにかく 兄上の手助けに!」
エリーナが言う
「私は 悪魔の兵士だ」
ファーストが一瞬呆気に取られてから怒って言う
「だから それは 分かっているとっ!」
エリーナが言う
「悪魔の兵士は… 私は アリアを守る事が 任務だ」
ファーストが呆気に取られる エリーナが言う
「私は アリアの物 …お前の命令を 聞く者では無い」
ファーストが呆気に取られた後 表情を怒らせて言う
「…それならっ!」
執事が入って来て言う
「ファースト様」
ファーストが執事へ向いて言う
「レミック!コイツを 追い出してくれっ 代わりに 他の…っ!」
執事が言う
「お言葉の途中に 失礼を致します ライデリア家へ向かわれました ユラ様が…」
ファーストが驚き慌てて言う
「兄上に 何かっ!?」
【 ライデリア家 落とし穴中 】
剣にしがみ付く手が震え始める ユラが表情を苦しませて言う
「…くっ」
目下の水面が慌しくなる ユラがそれを見てから言う
「俺を待っているのか?…誰が 貴様らの餌になどっ」
剣にしがみ付く手が震える ユラが表情を苦しませ 記憶が蘇る
ロイムが笑んで言う
『ユラ・アース・メイヴン …と、言ったな?つまり お前は 養子にされようとも その名が示す アース・メイヴン・ハブロスの”私物”であると …ただの道具であると言う事だ 父上が お前を 私の身代わりに使おうとした それと同じだ!』
ユラが歯を食いしばって思う
(”同じ”ではない…っ ハブロス司令官は 奴の父親やルイルとは 違う…っ)
アースが言う
『ユラ 私と共に来い お前の得た力と 私の得た力で …我々は この世界を手に入れるっ!』
アースがユラへ手を向ける
アースが言う
『良くやった ユラ 期待通りだ』
ユラが驚く アースが微笑して言う
『いや 流石は 元政府長攻長と 言った所か?お前の実力は大したものだな?これからは お前専用の マシーナリーの開発をさせよう』
ユラが驚いて言う
『え…?』
アースが言う
『お前の実力をもっと出し切れる様 そして マシーナリー自体の性能も上がれば さらに強くなるだろう?楽しみだな?』
ユラが剣にしがみ付く手を強めて思う
(最初は 俺の”力”を認められていると… それだけで良かったっ …例え利用されているとしても 俺の力が認められてさえいれば… 俺の居場所は 確保されるとっ だが…っ)
記憶が蘇る
ファーストの声が聞こえる
『お早う御座います 兄上』
ユラが驚いて目を見開き 慌てて顔を向ける ファーストが車椅子を押されて食堂に入ってくる ユラがハッとする ファーストが微笑して言う
『兄上は いつも このお時間に ご朝食を取られていたのですか?どうりで 普段ご一緒出来ないと… …?』
ユラが呆気に取られていると ファーストが疑問する ユラがハッとして慌てて言う
『あ、ああっ いや …こ、この時間と言うかっ 俺は…っ』
ユラが思う
(唯の 道具として 使うつもりであるのなら…)
ファーストが呆気に取られた後 苦笑して言う
『え?ハブロス家の邪魔を?…何を仰るのです?兄上』
ユラが呆気に取られて言う
『兄上…?』
ファーストが微笑して言う
『はい 兄上は ハブロス家の当主 アース・メイヴン・ハブロスの養子ですから 義理とは言っても 私の兄上です …あ、もしや 私に兄上と呼ばれるのは お嫌ですか?でしたら…』
ユラが言う
『いや そんな事は無いが…』
ファーストが微笑して言う
『では 兄上で宜しいでしょうか?実は 私は昔から 上の兄弟が欲しいと思っていたもので 兄上と呼ばせて頂けると とても嬉しいのです …それと 出来たら その兄上と 朝食をご一緒させて頂けると なお嬉しいですが?』
ユラが表情を悲しめて思う
(もし ハブロス司令官の道具だと言うのであれば ファーストまでが 俺へあの様な演技をする必要は無かった筈だ アイツの障害は 俺やルイルの… ライデリア家の者が発端だった ハブロス司令官はもちろん ファースト本人は とても 許せる事では無いだろう…っ だが アイツは… 俺を ”兄上”と… そして…)
アースが言う
『それに』
ユラがアースを見上げようとすると アースが言う
『お前は 私の息子だ』
ユラが目を見開いて驚く アースが言う
『そのお前を 弟のアーヴァインの息子である ハイケル少佐より 大切に思うのは 当前だろう?』
ユラが驚きのままに言う
『お、俺 が…?』
アースがユラの肩に手を添えて言う
『分かったな?ハイケル少佐だけではない お前が助かる為であるなら 何を犠牲にしても構わない …必ず 生きて 私の下へ戻って来い』
脳裏にアースの声が聞こえる
『ユラ!』
ユラがハッとして言う
「ハ、ハブロス司令官?」
脳裏にアースの声が聞こえる
『ユラ 聞こえているな?今すぐに そのマシーナリーを捨て 外へ逃げろ』
ユラが呆気に取られて言う
「しかし アウターには異常電波が!私は再び洗脳され…っ!?」
アースが言う
『僅かの間なら お前自身へ 力を与える事が出来る その間に マシーナリーを乗り換えろ!』
ユラが一瞬反応して動こうとすると 体に激痛が走り 脱力して言う
「く…っ ダメだ 動けない…っ それに この身ではもう マシーナリーを替えた所で 俺は… 戦えるか…」
アースが言う
『ならば 生き残るだけで良いっ!』
ユラが驚く アースが言う
『言った筈だっ ユラ!必ず 生きて 私の下へ戻って来いとっ!』
ユラが言う
「ハブロス… 司令官…っ」
ユラが苦しそうに体を起そうとする アースが言う
『急げっ!ユラッ!』
敵560が槍を振り下ろそうとして止まっている アースが言う
『長くは押さえられないっ』
ユラが一度シールド越しに 敵560を見てから 歯を食いしばり声を上げながら体を起す
「ぐ…っ あぁああーっ!」
ユラの体が力任せに起き上がると シールドを蹴破る
ユラが剣を握り締めて思う
(そうだっ ハブロス司令官は 俺を認めてくれたっ!俺の力をっ!そして 例え 演技であろうともっ …俺を家族としてっ 自分の息子の1人として!…俺には それで 十分だっ!)
ユラが片手で剣に捕まり 片手で携帯を取り出してモニターを見てから操作をして着信を待ちながら思う
(ARTの通信機っ …やはり 役に立った!)
【 ハブロス家 ファーストの部屋 】
ファーストの携帯が着信する ファーストがハッとして 慌てて着信させて言う
「兄上っ!!」
携帯からユラの声が聞こえる
『聞けっ ファースト!ユラ・ロイム・ライデリアは生きていたっ!奴は ハブロス司令官を狙っている!奴の事を ハブロス司令官へ伝えろっ!そしてっ 家族をっ!お前やアリア…っ ハブロス司令官の 大切な家族を 誰一人 奪わせるなっ!奴はっ!ユラ・ロイム・ライデリアは…っ』
ファーストが言う
「兄上っ!!」
【 ライデリア家 落とし穴中 】
ユラが叫ぶ
「アールスローンの力と権力を 狙っているっ!しかしっ ARTならばっ ハブロス司令官のARTや お前の国防軍ならっ!奴を抑えられる!奴はっ 政府のマスタートップシークレットを持っているがっ あれは…っ ルイルが作ったものより …劣るっ!!あの程度の力ならばっ マスターたちは 操られないっ!だから 今の内に!!」
剣を握る手が震える ユラが表情を苦しませる 携帯からファーストの声が聞こえる
『分かりましたっ!兄上っ!!』
ユラがホッとしてから静かに言う
「…ファースト 最後に 俺を兄上と呼んでくれた お前へ… 礼を…」
剣を握る手が外れかかる ユラが微笑する 携帯からファーストの声が聞こえる
『…って 下さいっ!兄上!間も無く レギストがっ!』
ユラが一瞬反応して言う
「レギスト…」
ユラの手が剣から離れる瞬間 携帯からファーストの声が聞こえる
『レギストが直ぐそこまで来ています!』
ユラがハッとして言う
「な、何っ!?レギストがっ!?…のあっ!?」
ユラが携帯を捨て 慌てて両手で剣にしがみ付く 落ちていく携帯からファーストの声が聞こえる
『必ず 兄上をお助けしますっ!!それまで どうか 耐えて下さいっ!兄上は…っ ハブロス家の …大切な家族です!!』
携帯が水に落ち ピラニアたちが群がる
【 ハブロス家 ファーストの部屋 】
ファーストが慌てて言う
「兄上っ!?」
携帯から雑音が聞こえると間も無く通信が途絶える ファーストが慌ててモニターへ向いて言う
「国防軍レギスト機動部隊!応答をっ!!」
【 ライデリア家 室内 】
爆風と共に エリーナが現れ PM70Eを肩に掛けて言う
「国防軍レギスト機動部隊 目標地点へ到着した …任務を開始する」
隊員たちが言う
「「了解!少佐ぁー!」」
【 ハブロス家 ファーストの部屋 】
ファーストが心配して言う
「兄上…っ どうかご無事で…っ」
【 ライデリア家 室内 】
エリーナがMP70Eを構えて言う
「ターゲットの体温を感知 …ショット」
MP70Eが放たれる 隊員たちが衝撃を受け 慌てて言う
「しょ、少佐ぁっ!?」 「下に 人が居るのに!?」 「幾らなんでも PM70は やばいでしょうっ!?」
エリーナが隊員たちへ向いて言う
「問題ない …ターゲットを確認」
隊員たちが落とし穴を覗き込んで言う
「あっ!」 「本当だっ!?」
ユラが剣にしがみ付きながら 土ぼこりに咽て言う
「…げほっ げほっ!…おいっ!貴様らっ 下に居ると 分かっていて 爆撃をするとはっ!?」
隊員たちが落とし穴を覗き込みながら言う
「ターゲットを 目視にて確認!」 「あ、おい 誰か?総司令官補佐官に連絡した方が 良いんじゃないか?」 「え?あぁ じゃ、俺が?」
隊員が携帯を操作している横で エリーナが自分の体にロープを結び付けている 隊員たちが疑問して居る 隊員が携帯の着信に言う
「あ、こちら 国防軍レギスト機動部隊であります!ターゲットの ユラ・ロイム …じゃ、なかった …ユラ・アース・メイヴン殿を 発見!これより…?」
隊員がエリーナを見ると エリーナが言う
「ユラ・アース・メイヴン 救出作戦を展開する」
ユラが腕の痛みに耐えながら剣を握り直そうとすると 手が砂にすべり外れる ユラが驚き 叫ぶ
「あっ!?あぁああーっ!?」
隊員たちが慌てて言う
「あ!」 「落ちた?」
エリーナが落とし穴へ飛び込む 隊員が驚き慌てて言う
「しょ、少佐ぁっ!?」
エリーナが側面の壁を蹴って加速すると ユラの顔が水面ギリギリの所で捕らえられ ユラが言う
「ぐぅっ!?」
ユラが視線を向けると エリーナがユラを掴んだまま澄ました表情で言う
「ターゲットを確保」
ユラが呆気に取られた状態から慌てて怒って言う
「…お、遅いわっ!馬鹿者っ!」
ピラニアが跳ねてユラの鼻先を掠める ユラが衝撃を受ける 隊員たちが呆気に取られた状態からホッとして言う
「ま、間に合った…」 「ふぅ~… 間一髪…」
隊員が顔を向けると エリーナβたちが命綱を様々な形で握っている
【 ART本部 ART3格納庫 】
シェイムが表情をしかめて言う
「う… う… う~ご~け~~っ!」
シェイムの前でマシーナリーは動かない シェイムが脱力し 息を切らせて言う
「はぁ…はぁ… やはり コックピットへ乗り込まない状態では…」
ART3隊員がマシーナリーの肩に乗った状態でやって来て言う
「あれ?マスターシュレイゼス隊長?まぁ~だ マシーナリーの遠隔操縦が出来ないんですかぁ~?」
シェイムが衝撃を受け 怒って言う
「あ、貴方という方はっ!仮にも 私を隊長と呼んで置きながらっ 隊員である貴方が なんと言う言い草ですかっ!?その様な事 部下の者が上司へ対して…っ!」
アースが通路から覗き見ていて言う
「こちらも… 多少の問題は有る様だが 異常は無い…」
アースが格納庫へ背を向けて息を吐いてから言う
「…気のせいか?後は 有るとすれば アウターへ向かった あいつらの状況と言う事になるが… そちらは 皇帝の力を使った所で 今の私に何か出来ると言う事も無い… となると やはり?」
グレイゼスの声が聞こえる
「ハブロス司令官」
アースが反応して顔を向けて言う
「ん?…どうした?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが近くへ来て 一度ART3の状況を見てから言う
「”どうした?”…は こっちの台詞ですかと?」
アースが疑問する グレイゼスが苦笑して言う
「何か 落ち着かない ご様子ですね?」
アースが反応してから苦笑して言う
「…そうだな?少し前までは このARTには お前たちと… いや そこに居る 出来損ないマスターの隊長を除く 現状が 通常の姿であったが」
シェイムがくしゃみをする
「はっくしゅっ!…うん?風邪ですかね?やはり慣れない事はするものでは…」
シェイムがため息を吐く
アースが苦笑して言う
「その奴はもちろんだが」
アースが通路を歩き始める グレイゼスが続く アースが言う
「ART1やART2の連中が入り うるさいほど賑やかになったのも束の間… これでは何か物足りないと感じるのも 仕方が無いのかもしれん」
アースが通りかかった空のART2格納庫を見て 再び歩き出す グレイゼスが微笑して言う
「それにART1やART2はもちろんですが… 今日は”彼”も居ませんからね?」
アースが疑問して言う
「彼?」
グレイゼスが軽く笑って言う
「っはははっ 酷いですねぇ?大切な ”息子さん”を お忘れですか?」
アースが疑問して言う
「息子?…ファーストなら 今日は 屋敷に居る筈だ …それに あいつがここへ来たのは それこそ この本部が完成した その日その時に 私と共に来た 1度きりだが?」
グレイゼスが言う
「あらら?それでは もしや 本当に…?演技なんですか?ハブロス司令官?」
アースが疑問して言う
「演技?…何の事だ?からかうのなら 話題を選べよ?私は 家族の事に関しては 厳しいぞ?」
グレイゼスが言う
「おっと… 怖いですね?では 真面目に伺いますが …ユラ・アース・メイヴン殿の事は?」
アースが言う
「もちろん その名を与えた以上 アイツは 養子であろうと 私の息子だ」
グレイゼスが苦笑して言う
「でしたら 先ほどは?」
アースが言う
「そう言う事か… 先ほどは単純に 今までの感覚で 息子と聞かれれば ファーストの事を最初に考えただけだ アイツは… ユラとは異なり 自身で己を守る事が出来ない 人の扱い方も まだ 出来上がっては居ない だから 最初に心配をすると それだけだ」
グレイゼスが言う
「そうですか… 国防軍総司令官補佐官の称号があるとなれば 我々からは 鬼と金棒を持った補佐官殿という気がしますが …そうでもないんですね?」
アースが言う
「称号だけでは 人は動かせない… お前たちも そうだっただろう?マスター?」
グレイゼスが微笑して言う
「はい 確かに?」
アースが言う
「だが、それで良い 本当に 称号だけで… 権力に屈して力を貸すような連中など 仲間にはならない …それこそ お前の言う通り 唯の演技だ」
グレイゼスが言う
「ええ その通りですかと!」
アースが言う
「しかし、そうだな… お前に言われて気が付いた… 私は確かに 今日 この本部に入った時から 気にしていたんだな… ユラの事を」
グレイゼスが微笑して言う
「騒がしいという訳では無いですが 元々存在感の大きな方ですからね?居られるのと居られないのでは やはり変わりますよ」
アースが言う
「アイツの現状は 情状酌量の執行猶予中だ こちらへ来ないと言っても それほど動き回る事も無いだろう …恐らく ファーストと同じく屋敷に居ると思うが」
グレイゼスが言う
「でしたら 午後には1度くらい こちらへ来られますかね?ART機動部隊の連中が出払っていると言う事で 今は ユラ殿専用のマシーナリーを開発中なもので?」
アースが微笑して言う
「そうか、では そいつを伝えてやろう きっと 喜んで来るだろう アイツは元より 権力よりも むしろ 物理的な力を好むタイプだ」
グレイゼスが言う
「おやおや?しかし 世界の王様に なさるのですよね?」
アースが苦笑して言う
「いや、きっとならないだろう …例えその座を与えようとも アイツは剣を持って 前線へと向かう筈だ」
グレイゼスが笑顔で言う
「はっは~ん?なるほどぉ?そぉして 空いたその座には~ 父親である ハブロス司令官が~?あぁ やっぱり そんな裏がありましたかぁ~?」
アースが言う
「人聞きが悪いぞ マスターグレイゼス?私は…」
グレイゼスが苦笑して言う
「おっと …失礼しました いや、今のは本当に 俺の持つナノマシーンが…」
アースが背を向けて言う
「ならば ”グレイゼス” 教えてやろう 私の本心を… その空いた王の座には」
グレイゼスが反応する アースが顔を向け微笑して言う
「私はファーストを座らせたい」
グレイゼスが呆気に取られる アースが言う
「優秀な弟の王に 勇敢な兄の兵長 そして 妹はアールスローン1の歌姫だ …どうだ?マスターグレイゼス?私の子供たちは 最高だろう?っはははは!」
アースが立ち去る グレイゼスが呆気に取られた状態から苦笑して言う
「なるほど…?今のアース・メイヴン・ハブロスに適う者は 本当に …少なくとも このアールスローンには居ないですね?」
アースが去って行く グレイゼスが見詰めている
【 ライデリア家 外 】
ユラが隊員たちの中で携帯で通話している 携帯からファーストの声が聞こえる
『本当に ご無事で何よりでした!兄上!』
ユラが言う
「ああ、手間を掛けた 礼は言うが… 最初から 俺を尾行させていたのか?」
ファーストが言う
『いえ 僕はいざという時の為に 国防軍の力を… エリーナ少佐のデコイを向かわせようと 依頼をしていたのですが …断られてしまいまして …あ、しかしっ その… 尾行していたと言いますか… 私が命じる以前に レミックが 兄上へ監視の者を付けていたのは事実でして… お陰で 兄上の身に 危険が起きたと言う知らせを いち早く知る事も出来ました』
ユラが言う
「分かった …そうだな 元々 俺は 自由に動ける身の上では無い 監視の目が付くのは当然か」
ユラが顔を向けると 隊員がマシーナリーを確認していて エリーナへ言う
「少佐ーっ このマシーナリーは 完全に起動回路を破壊されているので…」
ユラがそれを見ながら携帯へ言う
「それで 俺の身に危険が迫った事を理由に レギストを?国防軍No1の部隊を寄越したのか?」
ファーストが言う
『そちらは… 何と言いますか… その…っ』
エリーナがユラの前に来て言う
「ついでだ」
ユラがエリーナへ向いて言う
「”ついで” だと?」
エリーナが言う
「そうだ 我々 国防軍レギスト機動部隊の任務は アールスローン国内に発生した 未確認マシーナリーを確認 及び 必要と有れば 破壊する事だった …そのついでに ファースト・ライヴァイン・ハブロス総司令官補佐官からの 特別任務 を 実行した」
ユラが言う
「…なるほど?」
携帯からファーストが言う
『申し訳ありません 兄上… 補佐官である僕には 直接 国防軍の部隊を動かす力が有りませんので その様な形で…』
ユラが苦笑して言う
「構わん 何にせよ お前に助けられた ファースト」
【 ハブロス家 ファーストの部屋 】
ファーストが呆気に取られた状態から苦笑して言う
「有難う御座います 兄上 そう仰って頂けると 今後の励みになります」
携帯からユラの声が聞こえる
『随分と謙虚… いや?弱気だな?お前は国防軍総司令官補佐官だろう?直接部隊を動かす事が許されぬのなら あの防長殿へ命じれば良いだけだ』
ファーストが一瞬呆気に取られた後 苦笑して言う
「いえ… そんな…?叔父上は確かに 僕の助言は ご納得し受け入れては下さいますが その叔父上へ僕が命令をする などと言う事は…」
携帯からユラの声が聞こえる
『うん?その前後は どう違うんだ?』
ファーストが呆気に取られて言う
「え?…えっと…?」
携帯からユラの声が聞こえる
『まぁ 良い …それはそうと 最初に俺を尾行ていた者と 連絡は取れるか?レミックが雇っていたと言う そいつらだ』
ファーストが気を取り直して言う
「あ、はい そちらは 元々 このハブロス家が 抱えている者でしたので」
携帯からユラの声が聞こえる
『では そいつらへ連絡をして 現在の ”ユラ・ロイム・ライデリア”の居場所を確認してくれ 恐らく 奴らは追っているだろう』
ファーストが疑問して言う
「え?”ユラ・ロイム・ライデリア”の居場所を…?では そちらには?」
【 ライデリア家 外 】
ユラが周囲を見渡してから言う
「奴は俺を罠に掛けてすぐに 何処かへと消えたらしい …レギストの連中が来た時には 屋敷は蛻の殻だったそうだ」
エリーナが視線を向けて言う
「お陰で センサーによる お前の熱元反応を 確認出来た」
上空で熱源センサーが起動している 携帯からファーストの声が聞こえる
『そうでしたか… 分かりました では レミックへ伝えます …あ、それから 父上へもっ!』
ユラが言う
「ああ… だが ハブロス司令官へ伝えるには やはり 一言付け加えてくれ」
ファーストが言う
『はい 何でしょう?兄上?』
ユラが言う
「この件は …俺とお前の ”2人で” ケリを付けると」
ファーストが驚いて言う
『えっ!?』
ユラが微笑して言う
「力を貸してくれるだろう?ファースト?」
ファーストが言う
『そ、そちらは もちろんっ!?僕に出来る事でしたら…っ!?』
エリーナが言う
「これも ついで …だ」
エリーナがユラの剣を渡す ユラが微笑して受け取り 一振りしてから言う
「よしっ!では やるぞ ファースト!まずは レミックへ伝え 奴の居場所を洗い出せ!」
ファーストが言う
『わ、分かりました!では…っ レミックから連絡を入れさせます しかし… どうか くれぐれも お気を付けくださいっ 兄上!』
ユラが笑んで言う
「ああ そうだな?」
ユラが通話を切り エリーナへ言う
「どうせ 貴様も来るのだろう?」
エリーナが言う
「管轄外だ」
ユラが不満そうに言う
「あん?」
エリーナが言う
「私は 悪魔の兵士… アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスを 守る者 …お前の命令を聞く者ではない」
ユラが言う
「ふん…?そうなのか?…5人も6人も居るのなら 1匹くらい構わんのではないのか?」
エリーナが言う
「何人居ようと 任務は同じだ 私は 悪魔の兵士… アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスを 守る者 …お前の命令を聞く者では…」
ユラが言う
「分かった もう良い つまり アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスの命にしか 従わぬと言うのだろう?」
エリーナが言う
「そうだな」
ユラが言う
「もしくは… 同じ ”ハブロス”の名を持つ者の命に… か?」
エリーナが言う
「何の話だ?」
ユラが苦笑して言う
「ふん …まぁ 良い …それでも 俺は」
携帯が鳴る ユラが反応し携帯を着信させて言う
「俺だ 奴の居場所が分かったか?」
エリーナが沈黙している ユラが言う
「…そうか 分かった …ああ、知っている ここから直接向かう」
ユラが通話を切り エリーナへ言う
「ベムール・ラング・エベレス 及び マルーズ・ハイス・スノーズ… どちらも元政府重役だった連中だ 知っているか?」
エリーナが言う
「両者は 共に 消息不明にて 政府警察が捜索を行っている」
ユラが言う
「2年前まではな?消息不明者の捜索は 10年が時効だ …どうやら その奴らが ユラ・ロイム・ライデリアと組んでいるらしい …奴の現在地は そのエベレスの屋敷だそうだ」
エリーナが言う
「私は 国防軍レギスト機動部隊の隊長だ …政府警察が追っている その者らの逮捕へは 向かえない」
ユラが言う
「では 俺が1人で行ってやる …偽物では有ったが 一度はその 政府警察をも束ねる 政府長の”役”をやっていたのだからな?」
エリーナが言う
「ならば お前は 身分虚偽罪による 罪人だ」
ユラが言う
「罪人か… ならば これで その罪へも ケリを付けてやろう」
ユラが立ち去る エリーナが沈黙する
【 ART本部 司令室 】
アースが戻って来ると 秘書が電話をしていて アースに気付くと慌てて言う
「ハブロス司令官っ 大変です!ファースト様から お電話でっ」
アースが反応して言う
「うん?ファーストから?」
アースが電話を換わって言う
「どうした?ファースト?」
電話からファーストの声が聞こえる
『父上!連絡が遅くなり申し訳ありませんっ 実は…っ』
アースが軽く驚く
【 エベレス邸 室内 】
ロイムが不満そうに言う
「しつこい野良犬がっ あの場所から 生き延びたのか!?」
ユラが言う
「野良犬では無い ハブロス家に引き取られた ”飼い犬”だ」
ロイムが面白そうに言う
「ほう?…っははははっ 滑稽だな?自ら ”飼い犬”と受け入れたか?」
ユラが言う
「ライデリア家に 閉じ込められていた 野良犬より 遥かに幸福だ」
ロイムが反応しムッとして表情をしかめる ベルームが言う
「やれやれ どちらであろうと ライデリア殿?我が屋敷に 犬を入れられるのは 困るのだよ 特に… 彼の様な 薄汚い犬などはねぇ?」
ユラがベルームを睨む ベルームが目を細めて言う
「あぁ… 変わらない やはり 最下層の目は あの頃から 我々には気分が悪くてねぇ?最も 当時は 少なくとも ルイル・エリーム・ライデリア殿が リードを引いていたから 良かったものの…」
ユラが笑んで言う
「ふん?では 貴様は あの頃から 俺が偽物のユラ・ロイム・ライデリアであると言う事を?」
ベルームが言う
「もちろん?何しろ 本物の彼の事は 当時の政府研究局所長であった ガルイッド殿から聞いていたのだからね?」
ユラが苦笑して言う
「なるほど… つまり 当時の政府重役どもは 全員 グルであったと言う事か そして その貴様らで 偽物のユラ・ロイム・ライデリアであった俺を 政府長として担ぎ上げた…」
ベルームが言う
「ああ… とは言え もちろん全員ではなく」
ユラが言う
「当時の政府警察長… 現在のミックワイヤー長官や 政府外交長であったメルフェス・ラドム・カルメスは知らなかったのだろう?どちらも 貴様らの”敵”であった者だ」
ベルームが笑んで言う
「一応は 政府長を演じただけの事は有るようだね?それとも…?それが 野良犬の鼻の力なのか…?」
ユラが言う
「何とでも言え この俺が 今日 ここに来たのは …もはや言うまでも無い アース・メイヴン・ハブロスから 手を引け さもなくば…」
ユラがロイムへ剣を向け 視線をべムールへ向ける ロイムが表情をしかめて言う
「…くっ …べムール殿っ!?」
ロイムがべムールへ視線を向ける べムールが軽く笑って言う
「っはっは… やはりそちらも変わらない …何でも ”力”で解決しようとする …知識や権力という物が無い 愚かな者 …下級の者のやる事だよ?元攻長閣下?」
ユラが言う
「黙れ 知識と権力があると自負している貴様らは その下級の者に 命を握られていると言う 現状が 分からんのか?」
べムールが言う
「やれやれ… では 聞こうかね?元攻長閣下?君は一体何が望みかね?」
ユラが言う
「聞こえなかったのか?俺は アース・メイヴン・ハブロスから 手を引け と言っている ハブロス司令官本人からはもちろん 彼の”家族”や”組織”からも だ」
べムールが笑いながら顔を左右に振って 改めて言う
「そんな見え透いた嘘は もう結構なんだよ 元攻長閣下?…本当の望みは何かね?」
ユラが言う
「何だと?」
べムールが言う
「そのハブロス司令官の… ハブロス家を超える権力かね?財力かね?確かに 現在のハブロス殿は 傍目には政府や国防軍の下位を装っているが それは上辺だけ… 彼の持つARTと言う組織の力が有れば 政府も国防軍も 今や敵ではないのだろう …しかし そのハブロス殿にも 弱点がある …それが 君の言う彼の ”家族”や”組織” そのものと言う事」
ユラが視線を強める べムールが言う
「どうかね?元攻長閣下… 我々と 今一度 手を組まないかね?我々が組めば 今度こそ…」
ロイムが言う
「べムール殿っ この様な野良犬など居なくともっ!」
べムールが言う
「ライデリア殿 貴殿は 以前の戦いを知らない… あのハブロス家を」
ユラが言う
「…守るには」
べムールとロイムがユラを見る ユラが言う
「やはり 貴様らのような 高位富裕層における害虫を 消し去る必要があるらしい… その為に 最下層の野良犬であった俺が 必要とされるのなら 本望だっ」
ユラが剣を振るってべムールへ向かいながら叫ぶ
「消え失せろーっ!」
べムールが逃げ出す 護衛2人がユラへ銃を放つが ユラが護衛2人の銃を剣で弾き 銃が宙を舞っている間にべムールへ向かう べムールが慌てて言う
「ひぃっ!」
べムールがロイムを盾にする ロイムが驚いて言う
「なっ!?べムール殿っ!?」
ユラの後方から護衛2人が再び銃を手にとってユラへ発砲する ユラが回避すると 銃弾がロイムに当たり ロイムが目を見開き悲鳴を上げて言う
「ぐっ!?ば、馬鹿な…っ ぐはっ!?」
ロイムが倒れると ユラが護衛2人を切り裂き ロイムへ向き ロイムが息絶えているのを見て 表情をしかめ言う
「チッ… 俺が 仕留める筈だったものを…」
ユラがハッとすると べムールが窓から外へ出て逃げようとしている ユラが追って窓から飛び出して言う
「待てっ!べムールっ!」
ユラが外に出ると驚く 屋敷の周囲を政府警察が包囲していて ミックワイヤーが現れる ユラとべムールが驚くと 警察官が言う
「元政府重役ベムール・ラング・エベレス!お前を逮捕する!」
べムールが驚き後ず去って言う
「な、何故っ 政府警察がっ!?」
ミックワイヤーが微笑して言う
「元 政府警察特別隊員エリーナ隊員より 指名手配中のベムール・ラング・エベレスが 屋敷に戻っているらしいとの連絡を受け 包囲していた」
べムールが呆気に取られた後 慌てて言う
「何を言うのかねっ!?ミックワイヤー!?私の罪状は とっくに時効を迎えているのだよっ!」
ミックワイヤーがべムールの近くに来て言う
「政府警察に置いての時効はな?」
べムールが呆気に取られて言う
「せ、政府警察に置いてだと!?」
ミックワイヤーが言う
「政府警察には アールスローン国内より 日々何十件と言う事件や事故の報告が入って来る 従って 如何に不本意であろうとも 時効と言うものを設けなければ 裁き切れなくなる …しかし 国防軍に置いては?」
べムールが驚いて言う
「まさか…っ」
ミックワイヤーが笑んで言う
「彼らの下に入って来る 事件やその他は少ない 従って そこには基本的に時効と言うものは存在しない そこで私は 彼ら国防軍へ 元政府重役であった 貴方方の罪状を 一時的に預かって頂いて居たんだ …特に貴方とマルーズ殿に関しては 国外へ逃亡したと言う情報も入っていたからな?」
べムールが表情をしかめて言う
「くぅ… 政府と国防軍を 組ませたりなどするから…っ これも あの…っ!」
べムールの両手に手錠がかけられる べムールが驚きうな垂れる ユラがやって来て苦笑して言う
「現 政府長長官殿が わざわざ政府警察を率いて 逮捕に現れるとはな?」
ミックワイヤーが微笑して言う
「まさか 元 政府長長官にして 攻長閣下であった貴方が… 偽物のユラ・ロイム・ライデリアであったとは それを知らされた時には驚いたが …本物は?」
ユラが言う
「死んだ …今度こそ」
ミックワイヤーが苦笑して言う
「そうか… 彼には 政府のマスタートップシークレットに関わった者と言う罪状を 国防軍にて 取り留めて置いて頂いたのだが …そちらは 不要となってしまったか」
ユラが言う
「俺への罪状は無いのか?元とは言え 政府長長官や攻長を ”演じた” 偽物だぞ?」
ミックワイヤーが言う
「確かに 貴方は ユラ・ロイム・ライデリアの偽物では有ったのでしょう …しかし、同姓同名の”ユラ・ロイム・ライデリア”として 政府長長官兼攻長となり 職務を全うしていた…」
ユラが呆気に取られて言う
「…は?」
ミックワイヤーが言う
「違いますかな?」
ユラが衝撃を受け 慌てて言う
「え!?いやっ!?その… …すまん 言っている意味が 分からんのだが?つまり…?」
ミックワイヤーが微笑して言う
「つまり、貴方のそちらの件に関しましては 無罪と言う事で」
ユラが驚いて言う
「は…っ!?無罪?…そ、そうだったのか…?」
ユラが息を吐く ミックワイヤーが言う
「…しかし?」
ユラが反応して言う
「うん?」
ミックワイヤーが言う
「貴方は その次に ”メルフェス・ラドム・カルメス”を名乗り」
ユラが衝撃を受けて言う
「うっ!?」
ミックワイヤーが言う
「その上で 本物のカルメス外交長を実質軟禁しっ 彼の権力を利用して 再び政府長となった そちらの事件に関しては!”現在執行猶予中”と言う事になっている 従って!」
ユラが顔を逸らして言う
「あ、ああ…」
ミックワイヤーが言う
「どうか これからも 相応の振る舞いを お願いしたい …次に 何か事件を起せば 今度こそ 我々は 貴方を逮捕しない訳には行かなくなる」
ユラが言う
「わ、分かった… これからは…」
ミックワイヤーが言う
「貴方が事件を起せば 今度は ハブロス家の 貴方の養父である ハブロス司令官にも ご迷惑がかかりますからな?」
ユラが反応して言う
「…そうだな?それに ファーストや… 家族の皆に…」
ミックワイヤーが反応し微笑する ユラが気を落ち着かせると 警官がミックワイヤーの下へ来て言う
「長官っ!指名手配犯のベムール・ラング・エベレスの逮捕 及び ユラ・ロイム・ライデリアの遺体の収集は完了しましたが 送られていた情報の中で もう1名居るものとされていた 指名手配犯マルーズ・ハイス・スノーズの所在が掴めません!」
ミックワイヤーが言う
「何…っ」
ユラが反応して言う
「そうだっ 奴を忘れていた!奴も べムールやライデリアと組んで ハブロス司令官の力を狙っている!…とすればっ!?こうしては居られんっ!」
ミックワイヤーが言う
「彼らが ハブロス司令官の力を?」
ユラが護送車を見て向かう ミックワイヤーが慌てて言う
「ユ、ユラっ …アース・メイヴン殿っ!?」
【 ART本部 司令塔 】
グレイゼスが言う
「なるほど そう言う事でしたか では…?」
アースが言う
「ああ、そのユラとファーストの2人で 事件を解決すると 意気込んでいるらしい …フッ」
グレイゼスが苦笑して言う
「おやおや?お命を狙われるかもしれないと言うのに 随分と余裕ですね?流石は 元国防軍総司令官にして 現…」
アースが言う
「いや、余裕という訳ではない 正直に言えば まったく 仕事が手に付かない 出来る事なら 私自信で そちらの事件を解決してしまいたい程なのだが」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
アースが苦笑して言う
「しかし、2人が… いや、あのファーストが ”兄上と自分に任せろ” と言うんだ …これを不意にする訳にも行くまい?」
グレイゼスが微笑して言う
「今更ですが 良い父親ですよね?ハブロス司令官は?」
アースが視線を向けて言う
「お前も もう直ぐ そうなるのだろう?」
グレイゼスが微笑して言う
「はい… けど そちらは秘密ですよ?」
アースが言う
「何故 秘密にする?仲間甲斐の無い奴だな?」
グレイゼスが言う
「仲間であるからこそです ART3やART4の連中は兎も角として ART1やART2は基本的に独身の奴らで 構成しているじゃないですか?その彼らに… 心配を掛けたくないんですよ」
アースが言う
「隠した所で 隠し通せるものではない すぐに知れる …特に お前は ハイケル少佐と仲が良いだろう?」
グレイゼスが言う
「ええ、そのハイケルには 特に」
アースがグレイゼスを見る グレイゼスが苦笑して言う
「アイツは… 悪魔の兵士ですからね?」
アースが言う
「子を得る事は出来ない」
グレイゼスが言う
「ええ…」
アースが言う
「ならば尚更 伝えるべきだ」
グレイゼスがアースを見て苦笑して言う
「え?冷たいですね?ハイケルだって ハブロス司令官の家族だと 仰っていませんでしたっけ?」
アースが言う
「家族だとも?だから 分かる …いや 知っている」
グレイゼスが疑問して言う
「え?」
アースが微笑して言う
「ハブロス家で 幼いファーストを一番気に掛けていたのは そのハイケル少佐だった」
グレイゼスが驚いて言う
「えぇえっ!?」
アースが言う
「最初は慣れぬ事に 戸惑っている様子だったが ファーストの方が ハイケル少佐に興味を持ち 彼の名をよく呼んでいた… ああ、そうだ 悔しいから言いたくはないのだが ファーストが最初に口にした言葉は ”ハイケル” だった」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「本当ですかっ!?」
アースが意地悪く人差し指を立て言う
「本人らには 秘密だぞ?」
グレイゼスが苦笑して言う
「…っはは …了解っ 司令官!」
アースが苦笑してから 時計を見て息を吐いて言う
「…やはり 仕事にならないな?ここでこうしている位なら 帝国へ行くか… 皇帝の力も そろそろ 戻るだろうが まだ手を貸して置いた方が 良いのかもしれん」
グレイゼスが言う
「では 自分が政府や国防軍の様子を確認して 何か情報がありましたら 直ぐに連絡をします」
アースが言う
「いや、そちらも あいつらへ任せてやってくれ」
グレイゼスが言う
「え?しかし…っ!?」
アースが言う
「ここはART …アールスローン帝国軍だ 例え その司令官であろうとも ARTの力を個人の利害に使用する事は許されない それに… 可愛い子には 旅をさせろ と言うだろう?」
アースが横目にグレイゼスを見る グレイゼスが苦笑して言う
「最初から 随分と険しい旅の様ですが… 分かりました そうと言われるのでしたら その様に?」
アースが言う
「一応 こちらの防衛は強化して置け 元政府重役の奴ら程度が このARTへ何か出来るとは思えないが」
グレイゼスが言う
「そうですね では 一応 強化防衛体制を布いて置きます お疲れ様です」
アースが立ち去りながら言う
「お疲れ、後は頼んだぞ マスターグレイゼス中佐」
グレイゼスが言う
「了解!司令官!」
グレイゼスが席に座り直し 気を取り直して言う
「…よし では やりますかね?」
グレイゼスが作業を行う
【 ART本部 出入り口 】
アースが携帯で話しながら IDをスキャンして言う
「…そうか アリアは居ないか …ああ、そうだったな そろそろオペラ公演が始まると言っていたか …分かった では 皇帝の下へ連れて行くのは またの機会に…」
出退勤ボードのアースの名前が消灯する アースが通話を切り携帯を仕舞ながらドアを出ると 周囲に数十人の敵小隊が銃を構える アースが呆気に取られて言う
「うん…?」
敵小隊の中にマルーズが現れて言う
「突然の訪問を失礼致します ハブロス殿?」
アースの後ろでドアが閉まる アースが呆気に取られつつ言う
「元政府重役 マルーズ・ハイス・スノーズ…」
マルーズが笑んで言う
「おや?私めの名を 元国防軍総司令官にして 現 ART司令官である アース・メイヴン・ハブロス殿が ご存知であられるとは 光栄ですな?」
アースが言う
「当時の国防軍総司令官として 知っているべき 情報であったと言うだけだ …あぁ そう言えば その後は国防軍の指名手配犯の名でもあったか?」
マルーズが一瞬驚いた後言う
「な、なんだとっ?」
アースが苦笑して言う
「ご存じないのか?貴方の名が 時効というものが存在しない 国防軍の指名手配犯の名簿に 記されていると言う事実を…?」
アースが心の中で思う
(エルム少佐 聞こえるか!?)
アースの左目が力を帯びる
【 ART本部 地下 】
1体のエルムαの目が開き 続いて次々に9体のエルムαの目が開くと 一斉に動き充填装置から出て 走り出す
【 ART本部 出入り口 外 】
マルーズが困惑した後顔を左右に振って言う
「な、ならば 尚更だっ!今 ここで 貴様の力を奪いっ!我々が再び アールスローンの力と権力を手に入れれば…っ!」
アースが言う
「アールスローンの力と権力…か やはり 貴方には そのどちらも似合わない 貴方に似合うのは… 政府警察の 牢獄では?」
アースの後方でエルムαたちの足音が聞こえる アースが口角を上げる マルーズが怒って言う
「黙れっ!その貴様に似合うのは!国防軍でもARTでも使われているだろう!?お前たちの大好きな 鉄砲玉だ!その身に たっぷりと食らうが良い!」
アースが微笑しているが 後ろのドアが騒がしくなる アースが疑問して思う
(うん…?どうした?エルム少佐っ?)
【 ART本部 出入り口 内 】
エルムαたちが出入り口のドアを攻撃して エルムαが言う
「…問題発生 だ」
エルムαたちがドアへ発砲したりこじ開けようとするが ドアはびくともしない
【 ART本部 出入り口 外 】
アースが密かに焦って思う
(…っ!そうか ART本部の防衛を 強化させている …そのせいでっ)
アースが視線を向けた先 センサーが動き 敵小隊をセンサーが感知している アースが思う
(現状の異常状態に 扉が強化ロックされたか… まずいな?これは… どうするっ!?)
ユラの声が響く
「待てーっ!」
皆が反応し アースが驚いて言う
「ユラっ!?」
ユラがアースの前に立ち塞がり 叫ぶ
「雇われの兵士どもっ!聞けっ!貴様らを雇った そこのマルーズ・ハイス・スノーズは 今ここに向かっている 政府警察に捕らえられると決められている者だっ!その者に味方したとなれば 貴様らも 同罪となるぞっ!」
敵小隊の隊員たちがユラの言葉に思わず武器を引く マルーズが言う
「黙れっ!何をしている お前たちっ!金ならいくらでもくれてやる!今 私の命令を聞かぬ者は 我が同胞が許しはせぬぞ!金と命が惜しくば 奴を!アース・メイヴン・ハブロスを撃てっ!」
敵小隊の隊員たちが悩み 銃を構え直す ユラが叫ぶ
「愚か者どもがっ!貴様らはっ 誰に銃を向けている!?それが 分からぬと言うならば…っ!」
ユラの耳に付けられているイヤホンからファーストの声が聞こえる
『兄上っ もう少しです!後少しっ 時間をっ!時間を稼いで下さいっ!』
ユラが言葉に詰まってから 意を決して言う
「…っ アース・メイヴン・ハブロスはっ!このARTの司令官にして!貴様らや私が居る このアールスローンを守る …”救世主”だぞっ!?」
アースを含む全員が呆気に取られる ユラが言う
「分からんのか!?貴様らとて マシーナリーを知っているだろう!?」
敵小隊隊員たちがハッとする ユラが叫ぶ
「あれこそが!今 アールスローンや この世界を滅ぼさんとする 悪鬼たる力だ!しかし ハブロス司令官は 唯一 その力を打ち壊し!尚且つ 奴らを己の力として このアールスローンを守る事が出来るっ!この人を失えば 我々に 未来は無いっ!!」
敵小隊隊員たちが言葉を失い周囲と顔を見合わせる アースが呆気に取られたままユラを見る ユラが敵小隊を見詰めていると マルーズが叫ぶ
「な、何をしている!?撃てーっ!」
敵小隊隊員たちがハッとして マルーズを見る マルーズが言う
「何が”救世主”だっ!?あのような…っ!まるで…っ アールスローン戦記でも信ずる 愚か者の言葉に 何を感化されているっ!?さあ 撃て!お前たちに必要なのは 救世主でも何でもないっ!金だろう!?奴を仕留めた者には…っ!お前たちが 一生遊んで暮らせる 金をくれてやる!!」
敵小隊隊員たちが銃を構える マルーズが叫ぶ
「撃てー!」
ユラがアースの前で手を広げて言う
「止めろーっ!」
アースが叫ぶ
「避けろ!ユラ!」
無数の銃声が響く ユラが目を見開くと 敵小隊隊員たちの銃が打ち上げられる ユラが驚くと アースが苦笑して言う
「良くやった エリーナ少佐 …いや、国防軍レギスト機動部隊!」
ユラが顔を向けた先 エリーナβを始めとする 国防軍レギスト機動部隊の隊員たちが並んでいて銃撃を終えた状態で居る 隊員たちが笑みを見せる エリーナが言う
「犯人らを拘束しろ」
隊員たちがハッとして慌てて言う
「「りょ、了解 少佐ぁー!」」
隊員たちが敵小隊隊員たちの拘束に向かう 軍曹の声が聞こえる
「兄貴ーっ!」
アースが言う
「アーヴィン」
軍曹が到着して言う
「兄貴っ 無事で何よりなのだ!」
アースが言う
「なるほど?お前の指令か?」
軍曹が言う
「うむ!ファーストから事情を聞き 国防軍レギスト機動部隊を 向かわせたいと言う事であったので 自分が!…そのぉ …たまたま」
アースが言う
「確か お前は今日 このART本部に近い 国防軍プロイム駐屯地への 出向予定だったな?」
軍曹が言う
「う、うむ… つまりは その様な訳で 自分も久方ぶりに 国防軍レギスト機動部隊の任務に出動したのだが… …結局の所 出動命令をしただけで 作戦には間には合わなかったのである」
周囲では レギスト隊員たちが 敵小隊隊員らを拘束している アースが言う
「そうか… しかし助かった 防長閣下の… いや?国防軍総司令官の命令で無ければ エリーナ少佐は 我々を守る事はしなかっただろう」
軍曹が呆気に取られて言う
「む?…いや?そんな事は 無いのでは…?何しろ 兄貴やユラ殿は ハブロス家の家族である そうであるのなら 当然 その兄貴や…」
軍曹がエリーナを見る エリーナが軍曹たちを見てから 無表情に視線を逸らし 周囲を確認すると マルーズが政府警察に逮捕されている エリーナが言う
「任務完了」
エリーナが立ち去ろうとする アースが微笑して言う
「どうやら これで事件は片が付いたようだな?ユラ?」
ユラが反応し 改めて周囲を見渡してから言う
「う… うむ?そう だな…?何と言うか… 随分と あっけない終わりだった…」
アースが言う
「そうか?私は とても 驚かされたぞ?」
ユラが反応して言う
「う…っ すまん… ファーストへ知らせた後 急いで向かっていた為 連絡を送る事が出来なかった そして ファーストもレギストを起動させる為に 手間取っていたのか… 結局 連絡は…」
アースが言う
「いや?私が驚いたと言っているのは お前たちから 連絡が来なかったからと言う事ではなく… 先ほどの お前の言葉が…」
ユラが衝撃を受け 慌てて言う
「あっ あれは…っ!?」
アースが微笑して言う
「まさか お前が私の事を ”救世主”と思っていたとはな?言われた 私まで 驚いてしまったぞ?」
ユラが慌てて言う
「だ、だからっ あれはっ そ、そのっ!?そ、そうだともっ!?あの獄中でっ アールスローン戦記を ひたすら読み続けていたっ その影響でっ!?」
軍曹が疑問して言う
「はて?複製のアールスローン戦記に ”救世主” などと言う言葉は 出て来たであろうか…?」
ユラが衝撃を受け 怒って言う
「黙れっ!防長っ!」
軍曹が衝撃を受け言う
「のわあっ!?じ、自分は何かっ!?」
ユラが怒って言う
「やはり貴様という奴はっ!」
軍曹が盾で防御体制をとりながら言う
「な、何故 自分を 敵視するのか?!自分は…っ!自分は ユラ殿の ”叔父さん”であるがっ!?」
ユラが怒って言う
「誰が 貴様などっ!?」
遠くでスナイパーがアースへ狙いを付けている アースは気付かずに ユラと軍曹の言い合いに笑っている ユラのイヤホンにファーストの慌てた声が聞こえる
『兄上っ!大変ですっ!そちらへは マルーズの雇った者たちだけではなくっ 万が一の失敗に備えて 予め べムールが雇った 刺客が!スナイパーが潜んでいると!』
ユラが驚いて言う
「何っ!?」
アースが疑問して言う
「どうした?ユラ?」
ユラがハッとすると 視線の先 森の中で スナイプスコープのレンズが一瞬光ると同時に 小銃の銃声が一発響く アースがハッとするとアースの前にユラが飛び込む アースが目を見開き叫ぶ
「ユラッ!?」
ユラが目を見開いた状態で 頬に白い液体が飛び散る ユラが一度視線をそちらへ向けてから 再び正面を見て言う
「な… 何故…?貴様が…っ?」
ユラの前にレギストの制服を着た隊員が倒れる アースがそれを確認してから ユラを見て言う
「ユラ 無事か?」
ユラが呆気に取られたまま アースを見て言う
「あ、ああ… 俺は… しかし 何故…?奴が ここに?」
ユラが視線を遠くへ向ける アースがその視線に合わせると 驚いて言う
「ハイケル少佐っ!?」
ユラとアースの前で ハイケルがスナイパーを差し出して言う
「狙撃犯を捕獲した」
ハイケルがスナイパーを手放すと スナイパーが地に倒れて言う
「ぐ…ぅっ」
軍曹が驚いて叫ぶ
「しょ、少佐ぁーっ!?」
ユラが言う
「どう言う事だ!?何故貴様がここに!?貴様は!ART1の連中と共に アウターの任務へ向かったとっ!?それなのに 何故 隊長の貴様がっ!?」
軍曹が言う
「そ、そうでありますっ!少佐ぁ!?ART1のあいつらは 少佐が居られなければ きっと… のあっ!?しょ、少佐がぁあっ!?」
ハイケル2人目が現れて言う
「周囲100メートルに 伏兵及びその他の存在は無い 襲撃犯及び国防軍指名手配犯マルーズ・ハイス・スノーズを逮捕 状況クリア …だ 司令官」
2人のハイケルがアースを見る 軍曹が呆気に取られて言う
「しょ、少佐が… 2人っ!?」
アースが言う
「なるほど…?」
アースが倒れているレギストの制服を着た者を仰向けにさせると それがハイケルだと分かる 軍曹が混乱して叫ぶ
「さ、3人!?何故!?何故 少佐が3人もっ!?これは 一体ーっ!?」
アースが言う
「落ち着け アーヴィン 彼らは… デコイだ」
軍曹が言う
「な、なんとぉっ!?し、しかし 兄貴っ?少佐は”真に不甲斐無く申し訳ない初世代の悪魔の兵士” であるが故に デコイの遠隔操作は 出来ない筈なのであるっ!」
アースが言う
「ああ、真に不甲斐無く そちらは残念なのだが… しかし、それが得意である 優秀な2世代目が居るだろう?」
軍曹が言う
「は、はえっ!?優秀な2世代目の… それは…」
軍曹がエリーナを見る エリーナが言う
「何だ?」
軍曹が言う
「で、では… エリーナ少佐が 少佐を…?」
エリーナが軍曹を見て言う
「何の話だ?」
軍曹が言う
「はえ?し、しかし… 2世代目の悪魔の兵士は…」
ART本部の入り口が開き 3人のエルムαが倒れていて 残りのエルムαがアースの下へやって来る 軍曹が衝撃を受けて叫ぶ
「エ、エルム少佐ぁーっ!?」
エルムαが一度軍曹を見てから ハイケルを見て言う
『ART本部セキュリティが 強化防衛体制であった為 扉のロックが解除出来なかった よって 緊急事態に付き… 欠陥品の悪魔の兵士を 代用した』
ハイケルが両手で自分の口角を引っ張り情けない顔になる 軍曹が衝撃を受ける エルムαが言う
『各部伝達効率異常なし 身体能力 人型マシーナリーより46%低下 欠陥品 …だ …唯一 表面皮膚の柔軟率は23%上昇 よって衝撃緩和性能は 私より 優秀 …だ』
ハイケルが口角を引っ張ったまま居る 軍曹が言う
「しょ、少佐ぁっ!?良かったでありますね!あのエルム少佐に 褒められたであります!少佐は エルム少佐より… 何か分かりませんが 柔らかいそうで!」
ハイケルが口角を引っ張ったまま言う
「ひょ(そ)うだな」
軍曹が言う
「しかしながら少佐?その… お気持ちは分かるのでありますが~ 余りそちらを伸ばし続けると言いますのも~ もしや 口や頬の皮膚が伸びきってしまうのではありませんかと?自分は少々 心配なのでありますのが…」
ハイケルが口角を引っ張ったまま言う
「みょ(も)んだいない」
ハイケルが口角を更に引っ張った後ぱちんと離す 軍曹が衝撃を受ける アースが言う
「ハイケル少佐のデコイであるのなら プラズマの充填ではなく 我々と同じ食料による エネルギー摂取が可能だろう …エルム少佐?それならば 彼のデコイを用いて…」
エルムαが言う
『無理だな これら3体には 私の遠隔操作チップが試験導入されている …が そちらの設定とデコイの設定に 多くの誤差が生じている 故障するのは 時間の問題 …だ』
アースが苦笑して言う
「そうか それでは 無理だな?」
ハイケルが再び口角を引っ張る アースが微笑して言う
「確かに 随分と違うようだ 貴方とは?」
アースがエルムαの口角を掴んで伸ばすが大して伸びない 軍曹が衝撃を受けて言う
「のあっ!?あ、兄貴っ!?な、なななな なんとぉお 恐ろしい事をっ!?」
アースが微笑して言う
「この顔の皮膚を ハイケル少佐のデコイと同程度の 柔らかい物へと変更すれば 貴方も もう少しは 柔らかくなるのだろうか?エルム少佐?」
エルムαが言う
『無理だな』
アースが苦笑して言う
「そうか そちらも残念だ」
アースがエルムの口角を引っ張りきって離す エリーナが言う
「お前も 悪魔の兵士…か?」
エルムαがエリーナを見て言う
『私は 悪魔の兵士 …ではない』
軍曹が驚きエルムαを見て言う
「な、なんとっ!?しかし どこから どう見ても エルム少佐なのである 更に デコイを使いこなせると言う事も?それでも 悪魔の兵士では無いとは 一体?」
ハイケルが口角を引っ張っている エルムαが軍曹の前を素通りして エリーナへ言う
『お前は …何だ?』
軍曹が衝撃を受けて言う
「は、はえっ!?自分の言葉は 無視…っ!?」
軍曹が振り返った先 エリーナがエルムへ言う
「私は 悪魔の兵士だ」
エルムαが言う
『了解 誰の警護を請け負っている?』
エリーナが言う
「私は アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスの物だ 従って 私の所有者であるアリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスを守る事が 任務だ」
エルムαが言う
『了解 では お前も 欠陥品 …だ』
軍曹が呆気に取られる エリーナが不満そうに言う
「何の話だ?」
エルムαが言う
『お前も 欠陥品 …だ お前は お前の所有者である アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスを 守らなかった』
エリーナが言う
「何の話だ?私はアリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスを守る 悪魔の兵士だ アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスを…」
エルムαが言う
『守る …には 当人の体のみを守る …では 不足だ』
エリーナが言う
「…何故だ?」
エルムαがアースへ視線を向ける エリーナが目を細める 離れた場所で アースがユラへ向いて言う
「ユラ」
ユラがハッとして言う
「ん?あ、ああ?」
アースが微笑して言う
「良くやってくれた」
ユラが一瞬呆気に取られて疑問する アースが言う
「兄として 弟のファーストを信じ 共に 家族である私を守り 事件を解決してくれた …やはり お前を家族にして良かったと 私は今 心から思っている」
ユラが呆気に取られた状態から苦笑して言う
「…フッ 例え アース・メイヴン・ハブロスの”所有物”とされようとも 家族である事は変わらんのだろう?だったら 俺はそれで良い… いや 十分…」
アースが一瞬呆気に取られた後 苦笑して言う
「ん?何を言っている?確かに 高位富裕層の規定により 当主の認知した第二子までにしか 家の名を与えられないと言う 規定のお陰で お前に”ハブロス”の家名は 与えられなかったが」
ユラが衝撃を受けて言う
「な、なにっ!?その様な規定がっ!?」
アースが言う
「それさえなければ 当然 私はお前にも ハブロスの名を与えたとも?…しかし それは出来なかった そこで 代わりとして 私の名を 全て与えたんだ」
ユラが驚いたまま言う
「そ、そうだったのか…っ」
アースが言う
「ユラ・アース・メイヴン …お前は 間違いなく 私のハブロス家の家族にして ファーストやアリアの兄であり 私の息子だ」
アースが微笑しユラの肩を叩く ユラがハッとすると アースが言う
「…まったく 親に心配を掛ける 悪い息子だがな?」
ユラが呆気に取られた後 頬を染め 視線を逸らして言う
「そ… そうだな…?すまん…」
アースが軽く笑う エルムαが言う
『任務完了 …だ』
エリーナがエルムαを見て沈黙する ハイケル2人が 己の頭へ銃銃を向け自壊する 軍曹が衝撃を受け叫ぶ
「しょ、少佐ぁあーっ!?」
軍曹がハイケルを抱き起こして慌てている ART本部入り口前で倒れていたエルムα2体が立ち上がる エルムαたちが退散して行く 軍曹がハイケルを抱き上げて叫ぶ
「少佐ぁっ!?少佐がぁああー!!」
アースが苦笑して言う
「落ち着け アーヴィン そいつらは… 始めから死んでいる エルム少佐に操られていただけだ」
軍曹が泣きながら言う
「し、しかしぃ 少佐がぁあっ!自分がこれほど傍に居ながらもっ!少佐をっ!?少佐ぉおーっ!」
エリーナが言う
「…任務完了 …帰還する」
隊員たちが言う
「了解!少佐ぁーっ!」
エリーナと隊員たちが立ち去る 皆が去って行く 軍曹が1人で叫んでいる
「少佐ぁっ!少佐ぁあーーーっ!」
【 DD6機内 】
ハイケルがハッと目を覚まして言う
「…はっ 軍曹っ!?…ん?ここは…?」
ハイケルが疑問して周囲を見渡してから ホッとして言う
「夢… か…」
ハイケルが肩の力を抜くと パイロットが言う
「ハイケル少佐 間も無く 目標地点の10キロ手前です」
ハイケルが言う
「了解 では…」
ハイケルが口角の違和感に手でさすってから イヤホンを装着する
隊員たちが各々準備を整える中 ハイケルの無線が聞こえる
『ART1 間も無く 目標地点へ到着する ART1隊員は着陸体制へ移行 各自 輸送機パイロットと通信、タイミングを計り 輸送機とのドッキングを解除 目標地点へ着地しろ』
隊員Iがパイロットへ言う
「それじゃ」
パイロットが言う
「ああ!また迎えに来るからな!」
隊員Iが言う
「うん!アンタと この”マッカービー”を 待ってるよ!」
パイロットが微笑して手サインを送る 隊員Iが微笑して手サインを返した後 スイッチを押す シートが動き DD6からマシーナリーへ移動する
地上
DD6が次々に地上近くを低空飛行してマシーナリーを解除する マシーナリーたちが次々に派手な音を立てて着地する中 1つのパラシュートが開きハイケルが着地し 空を見上げる DD6たちが上空で大きく旋回すると 再び アールスローンへ飛び去って行く ハイケルが目を細めて それを見送ると言う
「次に彼らが 我々を 回収に来る日時は」
ハイケルが腕時計を見て言う
「3日後のこの時間… タイムリミットは72時間」
ハイケルが腕時計のセットを行う M隊員Aがやって来て言う
「少佐!ART1マシーナリー 全機無事 着陸しました!」
ハイケルが言う
「了解 では 早速 お前たちへ作戦を伝える 我々ART1は 総員この場所より」
隊員たちが真剣な表情で注目する ハイケルが言う
「強行突入を開始する」
皆が驚き言う
「「えっ!?」」
M隊員Bが言う
「了解 少佐ぁーっ!」
続く
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