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16章

アールスローン戦記Ⅱ ナック(ル)ソウル

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【 ART第一訓練所 監視塔 】

シーナが言う
「それから M900及びGT700のターゲット設定を 5:5の割合でセットして下さい」
計測員が言う
「え?それでは 両方のターゲットが同時に出てしまうタイミングが発生しますが?」
シーナが微笑して言う
「良いんです それが狙いでもありますから!」
計測員が疑問しながら言う
「はぁ…?まぁ そうと言うのなら?」
スピーカーからハイケルの声が聞こえる
『シーナ隊員 ターゲットの設定は完了したか?』
シーナが言う
「あ、はい お願いして置きました 今 戻ります …では お願いします」
計測員が言う
「ああ、はい 了解」
シーナが走って出て行く 計測員が紙資料を見て言う
「本当に こんな無茶苦茶な順番で良いのかなぁ?」

【 ART第一訓練所 】

Mハイケルが振り向いて言う
「では 早速 データ取りを開始するが…」
M隊員Bが言う
「はいはーい!少佐ぁ 少佐ぁー!」
Mハイケルが言う
「よし では バイスン隊員から…」
M隊員Bが言う
「アッちゃんが 先行してやりたいそうでありまーす!少佐ぁー!」
M隊員Aが衝撃を受けて言う
「えぇえー!?バ、バイちゃんっ!?」
Mハイケルが振り向いて言う
「よし では アラン隊員から開始しろ」
M隊員Aが言う
「あぁ… 了解 少佐ぁ …まぁ いつもの通りと言えば そうなんだけど」
隊員Bが苦笑して言う
「名前順だもんねー だから アッちゃんの次は俺だしー?」
モニターに隊員Aが映って言う
『何だよ そう言うのなら バイちゃんの事だから 俺はまた ここは サキを先行させると思ったのに… そしたら 俺ら最後の方になるじゃん?』
隊員Bが言う
「うんー 俺もそう思ったんだけどー?」
M隊員Aが測定スペースに立って 振り向いて言う
「思ったんだけど?」
M隊員Bが言う
「だって サッちゃん まだ マシーナリーの起動 出来てないからー?」
M隊員Bの後方 M隊員Cの開かれたコックピット内で 隊員Cが叫ぶ
「やっぱ こう言う所は お約束通りかよっ!?」
Mハイケルが隊員Cへ向いて言う
「では やはり…」
Mハイケルが M隊員Cのコックピットの前で拳を構える 隊員Cが慌てて言う
「だから それ無理ですからっ!今度こそ 俺が逝きますからっ!」
Mハイケルが言う
「冗談だ …何故本気に受け取る?」
隊員Cが後方の亀裂を見て言う
「さっき 少佐が 本当にやったからですがっ!?」
Mハイケルが言う
「そうだったな 了解」
Mハイケルが測定スペースへ向かう 隊員Cが転んでから 溜息を吐きつつシートへ座り直して言う
「…とは言え 本当に これでまた 起動が出来なくなりました~ …何て言ったら それこそ …本当に」
隊員Cが表情を落とすと マシーナリーの電源が入る 隊員Cが呆気に取られて言う
「え?」
M隊員Cのコックピットが閉まり起動する 隊員Cが周囲を見渡してから M隊員Cの手の感覚を確かめて言う
「あ?う、動いた?き、起動しましたぁー 少佐ぁー?」
Mハイケルが振り向いて言う
「そうか では 計測は マスターラキンゼス隊員からの開始へと 変更する」
M隊員Cが衝撃を受け叫ぶ
「何故にーっ!?」
M隊員Bが笑う
「にひひ…っ」
M隊員CがM隊員Bへ指差して言う
「バイスン隊員っ!?お前 また何か 少佐に言ったなぁっ!?」
M隊員Bが言う
「えー?俺はただー?少佐に サッちゃんは ナノマシーンのお陰で どれ位強くなったのかなー?ってー?」
M隊員Cが言う
「だから それ 言っちゃ駄目だからっ!?」
M隊員Bが言う
「きっと すっげー 強くなった筈でありまーす!ってー!?」
M隊員Cが言う
「それは もっと言っちゃ駄目だからっ!?すっげー プレッシャーだからー!?しかも 俺 使えないマスターだからっ!?」
Mハイケルが言う
「測定を開始する」
MハイケルがM隊員Cへ ハンドガンを向ける M隊員Cが衝撃を受けて言う
「しょ、少佐ぁーっ!?」
Mハイケルが発砲する M隊員Cが回避すると 隊員Cが青ざめて言う
「じ… 実弾…っ!?」
M隊員Bが言う
「少佐 本気だぁー!?」
Mハイケルが言う
「測定を開始しろ マスターラキンゼス隊員」
M隊員Cが言う
「りょっ!?了解っ!少佐ぁっ!測定1番手の方が 断然マシなんで 行わせて頂きますーっ!少佐ぁー!」
M隊員CがM隊員Aと場所を変わる Mハイケルが言う
「サキシュ隊員の 回避能力25%上昇を確認… 次は…」
計測員の声が聞こえる
『それでは 測定を開始します メインアーム訓練用蛍光弾充填の小銃をセット』
M隊員Cが小銃を構える 計測員の声が聞こえる
『ターゲット表示… 始め!』
ターゲットが次々現れる M隊員Cが小銃を放ちながら走り始める MハイケルとART1マシーナリーたちが顔を向ける

【 ART整備部 】

ヴィンが微笑して言う
「フフフ… 油断をされたかな?司令官殿?」
ヴィンが後方からアースの両腕を掴んでいて顔を近付けて言う
「例え武器を所持していようとも その武器を扱えない状態とあっては 如何に貴方であってもヴァンパイアを撃退する事は出来ない」
アースが言う
「私の血を奪おうとでも?その様な事をすれば 私を獲物としている エリックアーベストが黙ってはいないと思うが?」
ヴィンが言う
「心配はご無用 彼なら今は眠りに付いている そして… 誇り高い貴方も その事実を彼に伝える事はしない」
ヴィンがアースの首へ牙を近付けて言う
「500年前には味合えなかった 神の力を得た 人の神 ペジテ王の血 今こそ…」
ヴィンが吸血衝動を表す アースが表情を顰めて言う
「ク…ッ!」
アースが両腕に力を入れるが 掴まれている手はビクともしない グレイゼスの声が聞こえる
「あららぁ~!?酷いですねぇ~!?ヴィーンリッヒ先生ー?」
ヴィンが衝撃を受けて言う
「はっ!?この声はっ!?」
ヴィンが振り返って言う
「我が愛しの生徒 マスターグレイゼス!?」
グレイゼスがやって来て言う
「おやおや~?やはり 自分などより ペジテ王の子孫である ハブロス司令官の方が お気に召しておられるご様子で?」
ヴィンがハッとしてアースの手を離して グレイゼスへ向いて言う
「い、いやっ これは…っ 誤解をしないでくれ給え マスターグレイゼスっ 私は ただ ペジテ王の子孫である 彼の血の味を 少々味わってみたいと…っ これは その… 唯の好奇心 と言ったものであって」
アースが言う
「ほう…?唯の好奇心で?」
アースがギターのネックを掴む ヴィンがグレイゼスの頬に手を向けて言う
「君よりも 彼自身を求めた等と言う事では 決して無いのだから…」
グレイゼスが表情を青ざめさせて思う
(う、うわぁ… ハブロス司令官を助けようと 咄嗟にお助けに入ったつもりが… やっぱり 俺に…?今度こそ 本気で来られるかもっ!?)
アースが表情を顰めて言う
「…いや もはや 奴には」
アースがギターを背に回す グレイゼスが一歩後ず去る ヴィンがそのグレイゼスに近付いて言う
「残念ながら マスターの血は頂けないが 私は その君と言う人間を 心から…」
グレイゼスが苦笑して思う
(ひぃ~…っ は、早く 弾いて下さいっ ハブロス司令官っ!)
ヴィンがグレイゼスの頬に触れる アースがキレて言う
「私の仲間に手を出すなと… 言っただろうっ!?この変態科学者ぁあっ!」
アースが全力でヴィンへ殴りかかると その瞬間 グレイゼスの身体がナノマシーンの力で回避される グレイゼスが呆気に取られて言う
「え…っ!?」
グレイゼスが思う
(ナノマシーンが反応を!?)
グレイゼスがハッとすると アースの拳の先で見えない圧力が増幅され ヴィンが巨大な力で殴り飛ばされ 激突した壁が大破する アースが驚き呆気に取られる グレイゼスが呆気に取られて思う
(い、今のは…っ?)
ヴィンが瓦礫の中で身を起こし 表情を驚かせて言う
「ば、馬鹿なっ!?今のっ!?今の力はっ!?」
アースが呆気に取られた状態から自身の拳を見て言う
「…どうやら 私自身も知らぬ間に」
グレイゼスが言葉を失って言う
「ハ、ハブロス司令官…?」
アースが言う
拳の魂ナックソウルが高まり過ぎてしまったらしい」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「いえっ!もう そのレベルの話では ありませんかとーっ!?」

【 ART第三測定所 】

Mラミリツが訓練用セイバーを収めて言う
「どう?数値は?」
Mラミリツが見上げる Mラミリツの中モニターに監視塔の計測員が映り言う
『素晴らしい上昇率です!どちらの測定でも 軒並み20%以上の上昇値を確認!こちらはもう マシーナリーや神経接合ユニットの改善による 上昇に留まりません!』
ラミリツが微笑して言う
「そ?ありがと?」

監視等

計測員がガラス越しにMラミリツを見て言う
「流石は ART2の隊長 ラミリツ・エーメレス・攻長 隊長!」
モニターに映るラミリツが言う
『ふふふ…っ 大げさだよ?それに これ位は ”当然だ”!』
計測員が感心して言う
「おぉ~!」

【 ART第一訓練所 】

Mハイケルが言う
「これ位は 当然だ」
監視塔から計測員の声が聞こえる
『ART1の戦力 平均20%以上の”低下”ですよ!?本当に 良いんですかっ!?ART1隊長 ハイケル・ヴォール・アーヴァイン少佐ぁっ!?』
Mハイケルが言う
「問題ない …予定だ」
Mシーナが呆れて言う
「私の情報が 全然生かされないだなんて… 最低…」
M隊員Aが苦笑して言う
「やっぱり 急に2丁を撃てなんて 少佐並みに 無茶苦茶な事言われても…」
隊員Iが苦笑して言う
「狙って当てるのも難しいが いざ狙わずに撃てって言われると…」
隊員Fが苦笑して言う
「逆にタイミングが狂っちゃうんだよな?」
隊員Nが言う
「当たらねぇモンが 更に 当たらなくなったわ」
隊員Bが言う
「にひひっ つまりー ナッちゃんのサブマシンガンは どっちにしても当たらないって事ー?」
隊員Nが衝撃を受けて言う
「良いんだよっ!俺のは 脅し目的の乱射なんだから 当たらないのが技なのっ!」
隊員Bが言う
「えー?」
隊員Cが言う
「そんな技があるかよ?」
隊員Aが言う
「サキは 意外と当たったな?」
隊員Cが言う
「それ どう突っ込んどく?アラン隊員?」
隊員Bが言う
「ホントホントー!サッちゃんは 意外に当たっちゃったもんねー!」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「当たっちゃったってっ!?つまり 当てて欲しくなかったって事かっ!?バイスン隊員!?」
隊員Bが言う
「えー?だってー?」
隊員Cが言う
「今日の俺は 一味違うんだよっ」
隊員Aが苦笑して言う
「それは もちろん…」
隊員Cが青ざめて言う
「何てったって 今日は朝から… 死ぬほど恐ろしい悪魔に凄みを効かされて来たからなっ!?一度地獄を味わえば 新しい技法だの何だのなんて話は もう どぉおでも良くなって来るんだよっ!?とにかく何をしてでも当てないとって気持ちで 行かないとだなぁっ!?」
隊員Nが言う
「それってつまり いつも通り撃ったんじゃねぇ?ちゃんと 外す気で撃ったのか?サッちゃん隊員?」
隊員Cが言う
「外しちゃ駄目だろっ!?」
隊員Nが言う
「あれ?違ったっけ?」
隊員Bが言う
「ナッちゃん 流っ石ー!」
隊員Nが自慢げに言う
「へっへ~ん!まぁなっ!?任せとけって!」
隊員Fが苦笑して言う
「褒められてないと 思うんだけど?」
Mハイケルが言う
「ここからは もう一度 今度は以前の技法を用いて 計測を行え」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「え!?も、もう一度!?」
隊員C以外の隊員が言う
「「了解!少佐ぁー!」」
MハイケルがM隊員Cへ向いて言う
「マスターラキンゼス隊員」
M隊員Cが衝撃を受けて言う
「う… は、はい?少佐ぁ?」
Mハイケルが言う
「お前は今度こそ 新たな技法を用いての 計測を行え」
M隊員Cが言う
「えっ!?は、はぁ…」
Mハイケルが言う
「では 先ほどと同じ順番にて 行って来いマスターラキンゼス隊員」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「りょ、了解…っ 少佐ぁー…」
M隊員Cが測定場所に立つと 隊員Cが思う
(うぅ… これでもし?俺のデータが 皆の20%低下を 更に悪化させたら?)
隊員Cが横目にモニターを見る モニターの一つにMハイケルが映っている 隊員Cが表情を顰めて思う
(少佐は兎も角 俺がマスターになる事へ期待していた ハブロス司令官が…っ ハブロス司令官の耳に入ったら…?)
隊員Cの脳裏に怒りのアースの姿が思い浮かび 隊員Cが青ざめて言う
「やばいっ これはまた 今度こそ やばいかもっ!?」
隊員Cが思う
(少佐はハブロス家に住んでるし 夕食は一緒に食べてるって言ってたっ それじゃ そこでの会話で 俺の事が知られるかもしれないっ!?)
計測員の声が聞こえる
『では マスターラキンゼス隊員の2回目の計測を…』
隊員Cが言う
「やるっきゃねぇ これやるっきゃねぇよっ!?」
隊員Cが表情を強める 計測員の声が聞こえる
『ターゲット表示… 始め!』
ターゲットが次々現れる M隊員Cが小銃を放ちながら走り始める MハイケルとART1マシーナリーたちが顔を向ける

【 ART整備室 】

整備士たちが作業をしている ランコックがやって来て言う
「へぇ~?こいつが 噂の新しいマシーナリーかぁ?何でも 今度のは防御特化なんだって?中佐?…うん?中佐?」
グレイゼスが機械の前にしゃがんでいる ランコックがグレイゼスの近くへ来て疑問する 近くに居た整備士が言う
「あ~ 駄目ですよ?ランコック整備長?」
ランコックが疑問して言う
「うん?どうしちまったんだ?中佐殿は?」
整備士が言う
「今はあれですよ?いつもの 何かに集中しちゃってる奴?マスターさんの」
ランコックが言う
「あぁ また飛んじまってるのかぁ?じゃぁ しょうがねぇ こっちは しばらく放っといて… んで?今回は 何色にするって?」
整備士が言う
「その話はしていませんけど それより 整備長このシステムなんですけど あのユラ様スペシャルのマシーナリーに取り付けたシステムに そっくりなんですよ?これ応用しちゃって良いですかね?」
ランコックが言う
「ンな事よか カラーリングの方が よっぽど重要なんだけどなぁ?どれどれ?」
ランコックが整備士の下へ行く 整備士が苦笑して言う
「むしろ カラーリングの方が 重要じゃないと思うんですけど?」
ランコックが言う
「馬鹿言えっ!見た目は一番っ!カラーリングは重要だろうっ!?」
整備士が言う
「見た目には分からなくとも マシーナリーはどれも 識別信号が出されているんですから それで分かると言うもので…」
ランコックが言う
「そういう問題じゃねぇんだよぉ!?分かってねぇなぁっ!?」

【 ART研究室 】

ベイゼスが作業をしていてコンソールの操作を終えて言う
「よしっ!これで完璧っ これなら例え あちらさんから 第3設定まで妨害されても…っ!」
扉が開きアースがやって来て言う
「システムは組み終えたそうだな?」
ベイゼスが言う
「あ、ハブロス司令官 お疲れ様です!はいっ 無線及びデータ送受信システムは完璧!妨害への対策は 第3設定まで構築!ついでに 第4とまでは行きませんが 万が一第3設定まで妨害をされたとしても ARTのマシーナリーが1機でも稼動状態であれば 最悪そのマシーナリーの前方で起きた出来事だけでも 記録出来ます …まぁ それを回収するって言うのは また別の設定 …と言うより 作戦ですかね?構築する必要が出て来ますが?」
アースが言う
「結構 十分だ 良くやってくれた」
ベイゼスが微笑して言う
「有難う御座います!」
アースが言う
「では 後は自由にしてくれて構わない 今は 明日の作戦に向け 何処の部署でも作業を行っている そうとなれば お前が興味を持たれる作業もあるだろう?」
ベイゼスが言う
「何処でも良いんですか?管轄外の所でも?」
アースが言う
「マスターに管轄の外も内も無いのだろう?多少の得て不得手はあるようだが」
ベイゼスが言う
「そうと言うのなら 今ここで お伺いしちゃいますが?…先ほどの ハブロス司令官のお力を調べたい …と言ったら?」
アースがベイゼスを見る ベイゼスが言う
「あの巨大な力の正体を 調べさせてもらいたい… それが 今のマスターたちの 総意みたいですよ?」
アースが言う
「そうか では その様な事を考えている暇があるのなら 明日の作戦に役に立つ事でも考えろと お前のナノマシーンを使って 彼らの思考を変えさせておけよ?マスター?」
ベイゼスが言う
「俺の持つナノマシーンベイゼスは 皆の思考を変えさせるほどの意思はありませんから …それなら むしろ?情報を提供する事で 思考を終わらせる事なら 出来ると思いますよ?」
アースが言う
「そうか ならば 教えてやる マスターベイゼス 私の力の正体は」
ベイゼスがアースを見る アースが微笑して言う
「このアールスローンに生きる ”生命の総意”だ」
ベイゼスが驚き目を見開く アースが言う
「巨大な力である理由も 分かるだろう?マスター?」
ベイゼスが苦笑して言う
「…それは そう …ですね?」
アースが言う
「では そうと言う事だ 早々に伝達を行い マスターたちを使えるようにして置け この重要な時に 詰まらない事に力を使うなともな?」
アースが出て行く ベイゼスが言う
「確かに …それこそ 神の力を解明しようだなんて考え出したら その神に与えられたナノマシーンが耐えられる筈もない」
ベイゼスが苦笑してから コンソールへ向かいマイクに手を掛けて意識を向ける ベイゼスの意識の中に声が聞こえる
『マスターの仲間たち 聞こえるか?』

【 ART整備室 】

グレイゼスの視線の先 無線ユニットに触れている手から声が聞こえる
『アールスローンに生きる生命の総意 それは…』 『総意は 共に在る 我々も同じ』 『同じじゃないと 共に在るのだから』
グレイゼスが視線を強める

【 ART第二訓練所 】

訓練所の補修整備がされている Mシェイムの中 シェイムがコンソールに手を触れた状態で沈黙している シェイムの意識に声が聞こえる
『ナノマシーンを持つ マスターは 人々と共に在るべし』 『ならば その人々は?』 『人々には 神が共に在る』 『その神とは…?』
シェイムのコンソールのモニターにエミーが映っていて何か言っている

Mシェイムの外

エミーがMシェイムへ向かって叫んでいる
「ちょっと 聞いてるんですかーっ!?マスターシュレイゼス隊長ーっ!?」
エミーが溜息を吐いて言う
「はぁ~ まったく!こんな時位… 使えないマスターの名の下に 1機位 動いて下さいよぉ!?マスターシュレイゼス隊長っ!?」
周囲のART3マシーナリーたちが全員止まっている 作業員が言う
「駄目だな こりゃ?ART3は 全員止まっちまった」
エミーが言う
「この忙しい時に!マスターって 何なのっ!?」

【 ART整備室 】

グレイゼスの意識に声が聞こえる
『神は 数多の神が居られる しかし 我らの信ずる神は』 『我らを導く神は 1人』 『その神とは?』 『その神は…』
アースの声が聞こえる
「このマシーナリーの改善は 間に合いそうか?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが見上げる アースがグレイゼスを見下ろす グレイゼスが微笑して言う
「はい 貴方様のご命令とありませば?…アース・メイヴン・ハブロス司令官?」
グレイゼスの脳裏に声が聞こえる
『我ら人の神 ペジテ王ハブロ』
アースが疑問した後 苦笑して言う
「そうか それなら… 就業時間内に 間に合わせろ 命令だ マスター?」
グレイゼスが苦笑して言う
「またまた ご無茶なご命令を… しかし それなら」
ベイゼスがやって来て言う
「ここを手伝えって事ですね?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが苦笑して言う
「ああ、頼むわ?なんせ…」
ベイゼスが屈んで機械に手を触れる ベイゼスの脳裏に声が聞こえる
『我らの王 ペジテ王の ご命令とあれば』 『我らの神 人の神の ご命令とあれば』
グレイゼスが機械に手を触れていた状態で ベイゼスを見て苦笑する

【 ART第二訓練所 】

ART3のマシーナリーたちが作業を再開する 作業員が言う
「あ… 動き出した?」
エミーが疑問して言う
「何だったの?一体?」
エミーがMシェイムを見上げる

Mシェイムの中

シェイムが頭を抱えていて言う
「な、納得が行きません…っ 何故?何故…っ!?」
シェイムが顔を上げて言う
「あの悪魔が 神などとっ!?彼がペジテ王の子孫とはっ!私には…っ 私には断じてっ!認められないのですがっ!?」
Mシェイムの出力が落ちる シェイムが疑問して言う
「お、おや?何か…?」

Mシェイムの外

Mシェイムが脱力して停止する 作業員が疑問して言う
「あ また 止まった?」
エミーが言う
「って言うか 今度は マシーナリーの起動が 停止したみたいだけど?」
エミーと作業員が疑問してMシェイムを見上げる

【 ATR整備室 】

ランコックが作業を終え体勢を戻して気付いて言う
「…よし これで ユラ様スペシャルと同じ 瞬間的出力増加システムが… お?ハブロス司令官!丁度良かったぁ!」
アースがランコックを見上げる ランコックが言う
「ハブロス司令官!今回は 何色にしますかねぇっ!?このマシーナリーはっ!?」
ランコックが近くの整備士へ言う
「おいっ ここはちょいと 頼んだぞ!?」
整備士が言う
「はいはい 分かりましたよ カラーリングを決めて来て下さい 整備長」
ランコックが笑みを見せてからアースの下へ向かう

ランコックがアースの下へ向かいながら言う
「型式はRTDシリーズとはちょっと違うみたいで ハブロス司令官のご指摘の通り 防御特化 敵さんの城の近くから持って来たってぇ お話からしても 恐らく こいつはそう言った~ 本陣を守る警備とか防衛のマシーナリーなんだと思われますが… まぁ そんな事は 技術的な話でねぇ?見た目が一番の カラーリングには関係ないでしょうっ!?」
グレイゼスが機械への入力作業をしながら苦笑して言う
「それこそ 見た目で一番分かりやすいとして 関係はありそうにも思うんだけどなぁ?」
ベイゼスが手伝いながら言う
「俺もそう思いますけど?それこそ… うーん 防衛だから 国防軍っぽい色とか?」
ランコックが言う
「それじゃ 駄目だっ 詰まらねぇっ!」
ベイゼスが呆れる グレイゼスが苦笑する アースが言う
「では お前はどの様にしたいと 考えているんだ?ランコック整備長?」
ランコックが言う
「もちろんっ!やるからには ハデにしたいですねぇっ!?…とは言っても 分かってますよ?それなりに 戦場で使うマシーナリーとして 考えますが 今度はどんなお題で行きますかぃ?ART1もART2も ハブロス司令官のご要望をお伺いしましたから?今回もまた 面白いお題を下さいよ?そうしたら 俺がまた 最高のカラーリングを考えますから!」
ベイゼスが言う
「あれ?そうだったんですか?ART1とART2のカラーリングの… ちなみに そのお題って言うのは?中佐はご存知で?」
グレイゼスが言う
「何だと思う?」
ベイゼスが言う
「うーん?」
グレイゼスが言う
「ヒントは アールスローン戦記」
ベイゼスが閃いて言う
「と言う事は!守りの兵士と攻撃の兵士!」
ランコックが言う
「だから お前さんは 詰まらねぇっつてんだぁっ!」
ベイゼスが衝撃を受けて言う
「うぅっ!?マスターの閃きが 間違うなんて?」
グレイゼスが笑って言う
「プクク… 甘い甘い マスターベイゼス研究員?マスターの閃きは それをまた 解釈しないとな?」
ベイゼスが言う
「…と、言う事は?」
グレイゼスが言う
「その2つを 与えた者とは?」
ベイゼスが気付いて言う
「あ!なら つまり!」
ランコックが言う
「ペジテの姫に味方した 神と悪魔は 白と黒で現しましたから 今度は…?ここまで来ましたら やっぱり?」
アースが言う
「そうだな では 次は」
ベイゼスが言う
「まさか 今度は ペジテの …姫とか?」
アースが言う
「そちらは 既に 用意がされただろう?」
ベイゼスが言う
「え?」
グレイゼスが言う
「つまり… シーナ隊員の?」
ランコックが言う
「ああ!そう言やぁ そうだった!」
アースが言う
「そこまで揃ったとなれば 今度は 裏方も用意してやろう」
ベイゼスが言う
「裏方って言うと…?アールスローン戦記の裏方って?」
グレイゼスが考えた後アースを見上げる アースが苦笑して言う
「そろそろ 出番があっても良いだろう?」
グレイゼスが言う
「…と 言われますと?」
グレイゼスの携帯が鳴る 皆が反応して グレイゼスが携帯に出て言う
「こちらマスターグレイゼス中佐 …え?第二訓練所の修復作業中の ART3マシーナリーが?動かないって?…分かった それなら取り合えず 開けてやら無いと」
グレイゼスが携帯を仕舞いながら立ち上がる アースが言う
「何か問題か?」
グレイゼスが苦笑して言う
「起動していたマシーナリーが1機 停止してしまったそうです その… マスターシュレイゼス隊長のマシーナリーが…」
皆が衝撃を受ける グレイゼスが苦笑して言う
「特に暴動などが起きている訳では無いので 恐らく… 彼の持つナノマシーンシュレイゼスに嫌われたものかと?先ほど~ ちょっと そうとなりそうな話題があったもので?」
ベイゼスが言う
「あぁ… 彼なら そうなるでしょうね?」
グレイゼスが言う
「異常電波へ対するシールドを張っている訳では無いので 通風孔は開いてますが 空調が止まれば それなりに苦しいでしょうし?何より 緊急停止をしてしまうと コックピットが開きませんから 自分が行って…」
アースが言う
「救出してやれ 使えないマスターとは言え 一応 奴も仲間だろう?マスター?」
グレイゼスが苦笑して言う
「そうですね?…ちなみに 彼はARTの仲間でも在りますよね?ハブロス司令官?」
アースが言う
「今の所 脱退申請書類は 提出されていない そうとなれば 一応 奴も仲間だ」
グレイゼスが言う
「では どちらであっても 一応の 仲間と言う事なのですか?」
アースが言う
「マスターの繋がりも ARTの繋がりも そこへ加わるかどうかは 本人次第だ そうとなれば 本人ではない私が判断をする事は出来ない」
グレイゼスが言う
「それは… 確かにそうかもしれませんが ハブロス司令官であれば それこそ 一応であっても仲間であるのなら それこそ ”ご自分の者”にされてしまうのでは?」
アースが言う
「ああ ”私の者”だ」
グレイゼスが言う
「では やはり ハブロス司令官の 仲間だ と言う事で?」
アースが言う
「奴が このアールスローンに生きる者である以上 それが 私の力となる」
グレイゼスが呆気に取られる ベイゼスが呆気に取られてランコックを見る アースが言う
「そうとなれば 共に戦う仲間であるのかどうかは 関係は無いだろう?」
ランコックが笑って言う
「あっはっはっ!流石は アールスローン1の高位富裕層 ハブロス家の大旦那様だ!器がデカイねぇ!」
グレイゼスが苦笑して言う
「いや それはもう 高位富裕層や大旦那様の域を 超えて …流石は」
アースが言う
「それよりも 早く助けに行ってやれよ?マスター?今の所は 使えないなりにも 一応 奴は我々の仲間だろう?」
グレイゼスが言う
「はい 了解 司令官」
グレイゼスが立ち去る ベイゼスが苦笑すると ランコックが言う
「それで?ARTの大旦那様?先ほどの マシーナリーのお題の方は?」
アースが言う
「ああ、そちらは…」

【 ART第二訓練所 】

Mシェイムのコックピットが開かれると シェイムが顔を出して言う
「ぷはっ!ぜぇぜぇ… ち、窒息死するかと 思いました…っ」
グレイゼスが言う
「あらぁ?可笑しいなぁ?通風孔は開いていた筈なんだが?」
シェイムが言う
「修復作業の塵や埃が入らない様にと 意図的に閉じておいたのが 仇となりました… とは言いましても この作業を強いられるとあれば 致し方なかった事ではありましたが」
グレイゼスが言う
「はぁ?塵や埃なんて 入る筈が無いだろう?マシーナリーは元々 戦闘仕様なんだから 最初から戦場の砂や煙が入らないように出来てる …とは言え 煙のすすや成分は防がれても 匂い位はするかもしれないが?」
シェイムが言う
「そもそもの そちらの匂いが気に入りません こちらのART本部に置きましても マシーナリー自体に置きましても どちらも やはり 私には合わないものなのでしょう」
グレイゼスが言う
「うーん… まぁ それはそうなのかもしれないが」
シェイムが言う
「貴方だって 本当は このARTの機械まみれの司令塔や 鉄や油のマシーナリーの匂いより あちらの落ち着いた喫茶店で コーヒーの香りに充たされている方が お好みなのでしょう?」
グレイゼスが言う
「もちろん そちらも お好みだ しかし、今は このアールスローンの …いや この世界の戦いの時だろう?そうとなれば 俺は このARTの仲間たちと居る 機械まみれの司令塔やマシーナリーの香りだって どちらもお好みだぜ?シェイム・トルゥース・メイリス殿?」
シェイムが反応する グレイゼスが言う
「…アンタは?どうなんだ?」
シェイムが言う
「わ、私は…」
グレイゼスが言う
「10年前 初めて帝国へ行った時」
シェイムが反応する グレイゼスが言う
「あの時 国防軍のハブロス総司令官と共に 政府の外交長として… マスターシュレイゼスとして 未開の地へ向かおうとしたアンタは とても頼もしかった だから ハブロス総司令官も そのアンタを頼りにしていた」
シェイムが驚いて言う
「彼が…っ 私を…?」
グレイゼスが苦笑して言う
「当たり前だろう?そうじゃなかったら あの時 ハブロス総司令官の命を掛けてでも 守らなければならなかった 政府長長官 ミックワイヤー長官の救出を アンタに託したりなんかはしなかった筈だ」
シェイムが呆気に取られる グレイゼスが言う
「それに アンタも …ミックワイヤー長官の救出を終えた後 再び マシーナリーの蔓延る帝国内へ戻ろうとした 残された仲間である ハブロス総司令官を助け出そうと …そうだっただろう?メイリス殿?」
シェイムが言う
「そちらは…  そ、それはっ そうですっ!それが 皇帝の ご意思でもありましたからっ!?それで… い、致し方なくっ ですっ!」
グレイゼスが苦笑して言う
「分かった分かった どうしても体裁を取り繕いたいって言うのなら マスターシュレイゼスのままでも良い マスターたちの代表として 今度もハブロス司令官の力になってくれよ?マスターシュレイゼス隊長?」
シェイムが疑問して言う
「それは… つまり… 分かりましたっ 現行の この作業をしっかりやってくれと言う事ですね?マスターの中に置いて 1番優秀と言われている マスターグレイゼスからの頼みと言う事でしたら 致し方ありません 私も 一応なりともマスターの仲間ですから?そちらの仲間として」
グレイゼスが言う
「いや そちらの任務ではなくてだな?マスターシュレイゼス」
シェイムが言う
「そちらの… 現行の修復作業ではなく?では  他にも?どちらかの修復をやれと仰るのであれば… 分かりましたっ その貴方にそこまで言われるのでしたら 私も相応に 答えるべきであると 思っ…」
グレイゼスが言う
「明日の任務 ネロ・アーク・フォライサーとの決戦だ その出動部隊の1つ ARTゼロの隊長を …貴方に担って貰いたい」
シェイムが呆気に取られた状態から衝撃を受けて叫ぶ
「…て?…はぁああっ!?」
グレイゼスが微笑して言う
「じゃ、そう言う訳だから?頼んだわぁ~?マスターシュレイゼス隊長ぉ~?」
シェイムが瞬時にグレイゼスの近くへ現れて言う
「ちょ、ちょっと 待って下さいっ!?唐突に 何を仰っておられるのですかっ!?貴方はっ!?」
グレイゼスが気楽に言う
「いやぁ?ハブロス司令官に マスターの中から1人 隊長不在のARTゼロの隊長を 選出して置いてくれって言われててなぁ?誰にしようかなぁ~?って 考えてたもんだから?」
シェイムが言う
「その隊長に私ですかっ!?何故に 寄りに寄って私がっ!?使えないだの 役に立たないだのと マスターの中に置いて 悪名高い私がっ!?あの悪魔の司令官の命の下 この世界の悪の神とされた その者との決戦に!?」
グレイゼスが言う
「いやもう それこそ 悪魔の兵士に悪名高い貴方と悪魔の司令官に悪の神… 全部ひっくるめて コーヒー並みに真っ黒い貴方たちなら 何とか 上手く行くのではないかなぁ~?何てな?」
シェイムが言う
「そんな不味いコーヒーなど とても飲まれたものでは無いでしょうっ!?それよりも 今すぐ考え直して下さい マスター!曲りなりとも貴方は喫茶店のマスターであるのなら 最低限でも 口に出来るレベルのコーヒーを提供するべきですっ!マスターグレイゼス!」
グレイゼスが笑う
「プクク…」

【 ART第一訓練所 】

皆が感心して言う
「「おぉ~…」」
シーナが呆気に取られる 隊員Aが言う
「新しい技法を用いての サキの計測結果… まさかとは思っていたけど」
隊員Bが言う
「サッちゃん…」
M隊員Cが構えを解除する 計測員の声が聞こえる
『マスターラキンゼス隊員の計測結果 先ほどの計測値より 平均戦力 20%以上の 低下を確認!』
M隊員Bが言う
「流っ石 サッちゃんー!」
隊員Aが言う
「マスターになっても 相変わらず…」
隊員Bが言う
「俺たちと 同じだねー!」
隊員Cが苦笑して言う
「皆と同じ平均戦力 20%以上の …低下 い、良いよな!?上がりはしなかったけど 皆と同じ… なら!?」
隊員Nが言う
「まぁ 良いんじゃねぇ?どうせ サッちゃん隊員なんだからよ!?」
隊員Cが言う
「そ、そうだよな!?どうせ サッちゃんだもんな!?ハブロス司令官だって これで 何とか… 保留にしてくれるっ!?よなっ!?」
シーナが呆れて言う
「マスターにさえ 私の情報が 全然生かされないだなんて… 最低…」
計測員の声が聞こえる
『本当に 良いんですかっ!?ART1隊長 ハイケル・ヴォール・アーヴァイン少佐ぁっ!?』
Mハイケルが言う
「問題ない これが私のART1 …だ」

監視塔

計測員が困惑して言う
「ほ、本当に良いんでしょうか?ARTのNo1機動部隊が こんな状態で…っ!? 明日は決戦ですよ?所長っ!?」
所長が表情を困らせながら言う
「う、うむ… ハブロス司令官へ お知らせをしておくべきだろうか…?」
スピーカーからハイケルの声が聞こえる
『監視塔 計測の続きを行う ターゲットの表示を』
計測員がハッとして言う
「は、はいっ 了解…」
所長が言う
「まぁ… そうだな?次の計測を終えてからでも 良いか?計測を開始しろ」
計測員が言う
「了解!」
計測員がコンソール操作を行う 所長が遮へいガラスの先を見る M隊員Aが1丁銃を放って走り始める

【 メイリス家 食堂 】

ラミリツが叫ぶ
「って!?はぁああっ!?あ、明日っ!?ネロ・アーク・フォライサーとの 決戦ってっ!?」
シェイムが呆気に取られて言う
「き… 聞いてなかったのか?エーメレス?」
ラミリツが叫ぶ
「聞いてないよっ!?全然っ!?一言もっ!?」

【 ハブロス家 アースの部屋 】

ハイケルが呆気に取られて言う
「決戦?…明日か?」
アースが言う
「そうだ 作戦開始は10時 お前たちART1 及び ART2、ARTゼロを 仲間のヴァンパイアの持つ力 ゲートを用いて 直接 今作戦のターゲットである 奴の居城とされる城門の前へと出動させる 詳しい作戦内容は 同日 本作戦の総指揮を任せてある マスターグレイゼス中佐より 説明があるだろう」
ハイケルが言う
「了解」
アースが言う
「では 話は以上だ 下がって良い」
ハイケルが立ち去ろうとする アースの携帯が鳴る アースが携帯を取って着信させて遠ざける 携帯からラミリツの叫び声が響く
『ちょっと!?どう言う事っ!?ハブロス司令官っ!?』
アースが遠ざけた携帯を近付けて言う
「単刀直入に うるさいぞ ガキ?」
携帯からラミリツの叫び声が響く
『うるさくもなるよっ!?何で 今日の就業時間中に言ってくれ…っ!?』
アースが携帯の音量を下げる操作をしてから 携帯を普通に構えて言う
「お前はARTに来て居ようとも 本日のART2は 24時間休暇だった 休暇中に就業時間は無いだろう?」
ハイケルが言う
「…私を含むART1は就業中だったのだが?」
ラミリツの声が聞こえる
『そんなの関係ないでしょっ!?だって 決戦なんだからっ!?』
アースが言う
「作戦の開始及び説明は同日 明日だ 特に急を有する事態でもないとあれば 本日休暇中であったART2へ連絡をする必要は無い」
ラミリツが言う
『だからって!?普通そういうのはっ!?』
アースが言う
「業務上の文句を言いに この時間に連絡を寄越したと言うのなら 切るぞ?」
ラミリツが言う
『だから!そうじゃなくっ…!』
アースが通話を切って言う
「やはり ガキだな」
アースが微笑する

【 メイリス家 食堂 】

ラミリツが携帯を前に呆気に取られて言う
「き… 切られたっ!?決戦だよっ!?世界の命運を賭ける程の戦いを 明日に控えてのっ!?その連絡なのに 切っちゃうっ!?普通っ!?」
フレイゼスがラミリツの後方食卓にて 苦笑して言う
「ラミリツ殿?その… 世界を救うための決戦を前にされている ラミリツ殿へ 大変申し上げ辛いのですが… 折角のお時間ですので 今は お夕食を召し上がっては如何かと?」
ラミリツが衝撃を受け振り返り怒って言う
「何で そんなに 余裕なのっ!?世界を救うための決戦を前にしてるって 言って置きながらっ!?事の重大さ 分かってんのっ!?」

【 ハブロス家 アースの部屋 】

アースが言う
「これで一通りの連絡は行き届いた」
アースが携帯を向ける レミックが受け取る アースが席を立とうとすると気付いて言う
「何だ?ハイケル少佐?まだ居たのか 私は 下がって良いと言った筈だが?」
ハイケルが言う
「…ハブロス司令官 明日の決戦… その作戦に対してなのだが」
アースが席を離れながら言う
「それならば 明日に聞こう」
アースが立ち去ろうとする ハイケルがアースへ言う
「明日の作戦の際には ART1から シーナ隊員を省いてもらいたい」
アースが足を止めて僅かにハイケルへ向く ハイケルがアースへ向き直って言う
「彼女の戦力は認める そちらを得て 私自身の技術も向上した しかし 隊員たちは… 私の隊員たちは 彼女から教えられた技術を 私と同様に 直ちに取り入れると言う事は出来ない 彼らは 悪魔の兵士ではなく… 人間の兵士であるからだ」
アースが言う
「もちろん そちらは 私も分かっている 従って お前のように 直ぐに取り入れろなどと言うつもりは毛頭無い 共に戦い その技術を目の当たりにしていれば 自ずと取り入れられるようになるだろうと… しかし」
ハイケルがアースを見る アースがハイケルへ向き直って言う
「ART1の隊長である お前がそうと言うのであれば 考慮をするが?」
ハイケルが言う
「私には… 彼ら人間の兵士の様に 時間を掛けて 技術を取り入れると言う事は 分からない だが… 今回の作戦には やはり 間に合わないものだと その様に判断をする」
アースが微笑して言う
「上出来だ」
ハイケルがアースを見る アースが言いながら出て行く
「では 今回はお前の判断を優先してやろう 寛大な司令官に感謝しろよ?ハイケル?」
ハイケルが呆気に取られた後言う
「…了解 伯父様…」
ハイケルが一人残された部屋から立ち去る

通路

アースが歩きながら軽く笑う
「ッフフフ…」
レミックが気付き微笑して言う
「どちらかの作戦が ご成功されましたようで 何よりで御座います アース様」
アースが言う
「ああ、人間の兵士ではなく 悪魔の兵士である筈の彼が 己とは異なる 人間の能力を理解し 認識し そして その人間の兵士たちを… 己の仲間を想い 誰にも教えられていない作戦を構築した …恐らく 彼を元とする アールスローン史上に置いて ここまで 悪魔の兵士を より人間らしく仕上げた司令官は 私を置いて他には居ないだろう」
レミックが言う
「はい 正しく 人の神とされました ペジテ王ハブロの生まれ変わりであらされる アース様ならではの 偉業に御座いますかと」
アースが気付いて言う
「うん?何だ 知っていたのか?お前は それを知る マスターたちの仲間ではない筈だが?…いや?それに ペジテ王ハブロの子孫とは言われるが ”生まれ変わり”などと 言われたのは初めてだが?」
レミックが言う
「おや そちらは 失礼を致しました どうか お聞き流しを」
アースが言う
「お前が間違いで その様な言葉を 用いる筈が無いだろう?そちらは 何の作戦だ?レミック?」
アースとレミックが浴室へ入ると レミックがアースの上服を脱がせつつ言う
「はい 私も 不思議にと思い 様々なコネを用いて確認を致しました 10年前… あちらの事故の後 我が主の御身の上に起きました 出来事を…」
レミックがアースの眼帯を外す アースが言う
「この目の事か?それなら 私も 今日知った所だ しかも 異国の者からな?彼女の言葉で言う所の これは ”アークの瞳”であると」
アースが左目を手で覆う レミックが言う
「アーク… 異国の魔法使い ウィザードが神と崇める お方に御座いますね?」
アースが言う
「ああ そして 今度は別の国のヴァンパイアが言った 私を ”人の神”と… つまり このアークの瞳を持つ人間であると言う事なのだろう …そう言う事か?お前が口にした ペジテ王ハブロの生まれ変わり と言うのは?」
レミックが微笑して言う
「私は それら 異国の方々の言葉に関します事実は まったく 得る事は叶いませんでしたが」
アースが衝撃受け 不満げに言う
「謀ったな?レミック?」
レミックが微笑して言う
「滅相も御座いません 私は唯 我が主の御身を 案ずるのみに御座いますので」
アースが言う
「ふん…っ では何だ?私の性格は 今更言わなくても 分かっているだろう?」
レミックが言う
「はい では 申し上げますと… 私が知る事が叶いました事実は 唯一つ アールスローンの人々が 今も記憶する ペジテ王と両碗の騎士 あちらを題材とされる 飾り鎧や絵画は今も数多が御座いますが それら どちらに置かれましても」
レミックがアース服を脱がしながら言う
「ペジテ王ハブロの背には 天使の翼が 片方にのみ存在します 正に 我が主の御身の上に起きました この奇跡の様に」
アースが驚き 横目にレミックを見て言う
「な…っ!?何の… 冗談だ?レミック?」
レミックが微笑して言う
「はい 申し訳御座いません 唯の冗談と申してしまえば それまでに御座いますが …あちらの事故の際に負われました アース様のお背中の傷の痕が 余りにも そちらの天使の片翼の様にと 見受けられましたもので」
アースがホッとして言う
「何だ そう言う事か… まぁ 身に負った怪我の痕ならば 服を着ていれば見えはしない… それも背中であれば 自身でも …ならば 良かった あの絵画や飾り鎧の様に 本当に翼が現れたりなどしたら 悪魔の兵士所か 人間の司令官である 私が 人間では居られなくなる …まったく 悪い冗談だ 止めてくれ」
レミックが言う
「はい 左様に御座いますね 失礼を致しました」
アースがレミックの前を去ると 光の羽根が舞い落ちる レミックが微笑して言う
「…それら人間の目には 見えませんので ご安心を ハブロ様」
レミックがアースの後を追う

翌日

07:00

【 ART第二訓練所 】

シュナイゼルが敬礼して言う
「お早う御座いますっ!隊長っ!」
シュナイゼルの視線の先 ラミリツが衝撃を受けて言う
「お、お早う… シュナイゼル…」
ラミリツが振り返ると ART2隊員たちが敬礼して言う
「「お早う御座いますっ!隊長っ!」」
ラミリツが言う
「う、うん お早う 皆… えっと~… 皆は 昨夜は …よく眠れたかな?」
隊員たちが疑問して周囲を見渡す シュナイゼルが呆気に取られた後 疑問して言う
「は…?はっ!自分を含めまして 隊員らの様子を見ましても その様にと?しかし …隊長は?」
ラミリツが苦笑して言う
「う、うん ちょっとね?寝不足… かも?」
シュナイゼルが苦笑して言う
「そちらは お珍しい事ですが …しかし そうと仰る事でしたら 本日は号令を含め ART2の部隊指揮は 及ばずながら ART2副隊長の私めが  代役を お受け致しますが?」
ラミリツが言う
「いや 流石に そうは行かないよ だって…」

同時刻

【 ART第一訓練所 】

隊員Aが言う
「お早う御座います!少佐ーっ!」
ハイケルが振り向いて言う
「お早う アラン隊員」
隊員Bが走って向かいながら言う
「アッちゃん アッちゃん!大ニュース!大ニュースー!」
隊員Aが苦笑して言う
「お早う バイちゃん 相変わらず 1番乗りで 今日は少佐から何の話を…?」
隊員Bが言う
「それ所じゃないよ!アッちゃん!何て言ったって 今日は決戦なんだってーっ!アッちゃん!?」
隊員Aが言う
「決戦?へぇ?そうなのか …って 何の?決戦 って言うと…?」
隊員Fと隊員Cがやって来て 隊員Cが言う
「あれ?何だよ フレッド隊員と一緒になったから 今日はART1の出隊1番乗りだと思ったのに 相変わらず 早いなぁ?バイスン隊員?」
隊員Bが言う
「サッちゃんとフッちゃんも お早うー!ねー!ねー!2人にも 大ニュース!」
隊員Fが言う
「お早う バイスン隊員 お早う御座います 少佐」
隊員Cが言う
「あぁ そうだった お早う御座います 少佐ー!」
ハイケルが言う
「お早う フレッド隊員 マスターラキンゼス隊員」
隊員Cが衝撃を受ける 隊員Aが言う
「身体補佐能力のマスターでも 1番乗りは逃すものなんだな?サキ?」
隊員Cが言う
「それとこれとは関係ないし 逃してるんだから 尚更 そこんトコは突っ込まないでくんない?アラン隊員?」
隊員Bが言う
「そんな事より 大ニュースだってー!」
隊員Fが言う
「バイスン隊員が サッちゃん隊員への突っ込みより 優先するほどの 大ニュースと言うと?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「その言い方も止めてくんない?フレッド隊員?」
隊員Bが言う
「それより 大ニュース!」
隊員Cが言う
「はいはい じゃぁ 何だよ?聞いてやるから 言ってみろって?バイスン隊員?」
隊員Bが言う
「実は 今日はー!」
隊員Iが現れて言う
「お早う御座います 少佐ー 及び その他の張り切り隊員の皆」
ハイケルが言う
「お早う イリアス隊員」
隊員A隊員C隊員Fが言う
「お早う イリアス隊員」 「お早ー イリアス隊員」 「お早う イリアス隊員」
隊員Bが言う
「お早ー!イッちゃん!それでね!それでねー!」
隊員Iが言う
「うん?どうかしたのか?バイスン隊員?」
隊員Fが言う
「何か大ニュースがあるんだってさ?」
隊員Iが言う
「へぇ?それは?」
隊員Bが言う
「にひっ 実はー!」
隊員Nが現れて言う
「おっはよー!皆ー!ってぇか 皆 マジで早ぇなー!?」
ハイケルが言う
「お早う ナクス隊員」
隊員A隊員C隊員F隊員Iが言う
「お早う ナクス隊員」 「お早ー ナクス隊員」 「お早う ナクス隊員」 「お早う ナクス隊員」
隊員Bが言う
「お早う!ナッちゃん!それよりー!」
隊員Nが衝撃を受けて言う
「あっ!?それよりって!?俺なんかの事より って事かー!?ひどいぞ  バイちゃん隊員!?」
隊員Bが言う
「そうじゃないけどーっ それよりー!」
隊員Nが言う
「そうじゃないけど それよりって 結局 どっちなんだよっ!?バイちゃん隊員っ!?」
隊員Bが言う
「えー?」

【 ART第二訓練所 】

ART2隊員たちが驚いて言う
「「えっ!?…っ」」
シュナイゼルが呆気に取られた状態でラミリツを見る ラミリツが苦笑して言う
「…って 急に言われても 意味分からないよね?でも…」
ラミリツが気を取り直して言う
「う、うんっ じゃぁ 気を取り直して… 私も… 急に知らされた事で 事態は把握し切れてはいない しかし 作戦実行は 間違いなく 本日 時間は…」

【 ART第一訓練所 】

ハイケルが言う
「10時とされているが その前に 詳しい作戦内容や その他の情報は ART司令塔主任マスターグレイゼス中佐より 行われるとの事だ」
隊員たちが呆気に取られ 隊員Cが言う
「ま… まじかよ…っ」
隊員Aが隊員Bへ向いて言う
「決戦って… 本当にっ!?俺らの決戦の場って言われた…っ アウターに居るって言われた あのっ!?」

【 ART第二訓練所 】

シュナイゼルがラミリツへ言う
「では 隊長 そちらの作戦に置いての 我々の敵と仰いますのは?」
ラミリツが言う
「我々の敵は この世界の悪」

【 ART第一訓練所 】

ハイケルが言う
「我々の相手は この世界の神」

【 ART第一訓練所 】 【 ART第二訓練所 】

ハイケルが言う
「今作戦に置かれる ターゲットは」

ラミリツが言う
「正義の名の下に 征するべき悪は」

ラミリツとハイケルが同時に言う
「「ネロ・アーク・フォライサー だ」」

ART1隊員とART2隊員が自分たちの隊長へ向いて意思を固めて言う
「「了解!少佐ぁー!」」
「「了解!隊長!」」
ハイケルとラミリツが頷く

9:00

【 ART司令塔 】

ラミリツが慌てて言う
「って!?はぁああ!?ちょっと待ってよっ!?何で!?」
グレイゼスが言う
「あ~ もしかして 聞いてなかったかな?作戦の詳細は 俺から聞くようにって?」
ハイケルがラミリツを見る ラミリツが言う
「聞いてないしっ!有り得ないからっ!?だって 決戦だよっ!?だったら その作戦の説明はっ このARTの司令官である ハブロス司令官がするのが 当然でしょっ!?」
グレイゼスが苦笑して言う
「それは まぁ… そうかもしれないし ラミリツ隊長の 気持ちは分かるんだが…」
ラミリツが言う
「だったらっ!ハブロス司令官は何処っ!?司令官室っ!?」
グレイゼスが言う
「あーっ いやいや!ハブロス司令官は…」
ハイケルが言う
「ハブロス司令官は 現在外出中である事が ART1のメンバーボード確認係りである バイスン隊員より伝達されている」
ラミリツが衝撃を受けてから言う
「はぁ?何その係り?」
グレイゼスが苦笑して言う
「ま、まぁ そんな訳で?ハブロス司令官は 現在…」
ラミリツが言う
「外出中ってっ!?決戦当日に 司令官が司令塔に居ないって それこそ有り得ないからっ!?」
グレイゼスが言う
「あぁ いやいや?それは 確かに ハブロス司令官は この司令塔には居ないが むしろ もっと良い司令塔に居る訳だし?」
ラミリツが疑問して言う
「もっと良い 司令塔って?」
グレイゼスが言う
「それに 今回は ご本人も…」
司令塔に連絡ブザーが鳴る グレイゼスが反応して言う
「おっと?その ご本人からだ」
グレイゼスがスイッチを押して言う
「こちら ART司令塔主任 マスターグレイゼス中佐です ハブロス司令官」
モニターにSoundOnlyの表示がされ スピーカーからアースの声が聞こえる
『防衛サポートの準備は完了だ マスターグレイゼス中佐 そちらは?』
ラミリツが言う
「ハブロス司令官っ!?今 何処っ!?準備って!?何の話っ!?」
アースが言う
『その声は ラミリツ隊長か?そこに居ると言う事は 作戦内容は聞いたのではないのか?』
グレイゼスが言う
「あぁ すみません ハブロス司令官 今は少々 ごたついてまして 作戦内容の伝達は これからでして…」
アースが言う
『そうか 作戦開始時刻に変わりは無い 多少の遅れは許容範囲ではあるが 制限は存在する 無駄話は極力控え 今作戦へ専念しろ』
ラミリツがハッとする グレイゼスが気を取り直して言う
「了解 司令官 作戦伝達後に 改めて こちらから連絡を入れます」
SoundOnlyの表示と共に通信が切れる グレイゼスが言う
「って 訳だから 早速 作戦を伝達する ラミリツ隊長も 良いな?」
ラミリツが言う
「…了解」
グレイゼスが頷いてから言う
「では これより 本作戦の内容を伝達する 我々ARTは…」

09:30

ART1、ART2マシーナリーたちが起動される グレイゼスが言う
『ART1、ART2、ARTゼロの3部隊を本戦へ投入する 各機動部隊は 直ちにマシーナリーを起動 作戦開始時刻1000ヒトマルゼロゼロへ向け ART第一訓練所へ待機』
ART1、ART2、ARTゼロのマシーナリーたちが 第一訓練所へ集合して周囲を確認する M隊員BがARTゼロマシーナリーたちを見て言う
「へぇー?ARTゼロって 銀色だったんだねー?アッちゃんー?」
隊員Aがモニターを見ながら言う
「うん そうみたいだな?しかも 唯の銀色って言うか 何か 俺たちと違って…?」
隊員Cがモニターに映って言う
『ARTゼロは 今回の任務に向けて カラーリングが変えられたって話だ 兄貴が率いていた時は 特に色は変えられてなかったらしい』
モニターに映っている隊員Bが言う
『あれー?そうだったんだー?』
グレイゼスが言う
『同、待機中に 各部隊へは 他国からの援軍がそれぞれ到着する予定だ 各部隊長 及び 隊員は それらの者との接触 及び 意思の疎通を行う様に』
隊員Bが言う
「それで それでー?他国の援軍って?俺たちART1には 何処の誰が~?」
空間ゲートが開き ラミが現れて言う
「はぁ~い?可愛い坊や?あたしを 覚えているかしらん?」
隊員Bが言う
「あー!あの お姉さんはー!」
M隊員Bが言う
「チョー おっぱいのデッカイ お姉さんだ~!」
周囲のマシーナリーたちが衝撃を受ける M隊員Aが慌てて言う
「バ、バイちゃんっ!今は その言い方はっ!」
隊員Cが頬を染めつつ言う
「そ、それじゃぁ ひょっとして?俺らART1への援軍ってのは…?」
ラミが悩殺ポーズをキメながら言う
「ええ 坊や?あたしを覚えていてくれたと言う事は あたしを受け入れてくれるって事かしら?それなら 早速?お互いに 気持ち良くなれる魔法でも 如何かしら~ん?」
隊員Iが赤面しながら言う
「き、気持ちよくなれる魔法って…?」
空間ゲートからリックが現れて言う
「はっ!耐え性のねぇてめぇは 吸えねぇ野郎どもの部隊に 加われだとよ?ラミ?」
ART1隊員たちが衝撃を受ける 隊員Nがハッとして言う
「あっ!危ねぇ!吸い殺される所だったっ!?」
ラミが言う
「あら 残念~?それなら その吸えない野郎どもって言うのは?そんな男が居るだなんて あたしには信じられないけれど?…あの腐ってる子 以外はね?」
Mハイケルが言う
「悪かったな」
空間ゲートからヴィンが現れて言う
「吸えない野郎どもとは 即ち 血中にナノマシーンを携える者 マスターの名を持つ隊員らで構成が成されている ARTゼロと呼ばれる部隊である筈だが?」
ラミが言う
「そう… 確かに  そんなんじゃ 吸えないわよねぇ?でも良いわぁ?吸えないなら お互いに身体で気持ち良くなるのも 悪くは無いもの?それで どの子たちが そのARTゼロなのかしら?」
M隊員Bが言う
「おねーさんー!ARTゼロはー!」
ヴィンが言う
「ARTゼロのマシーナリーは アールスローンの騎士を モチーフとしたデザインであるとの事 そうとなれば?そちらのマシーナリーとは…」
ラミが言う
「あら そう言う事?なら分かっちゃったわ?」
ラミがARTゼロのマシーナリーたちへ向かう M隊員Bが言う
「えー?アールスローンの騎士を モチーフとしたデザインってー?」

09:05

【 ART司令塔 】

ランコックがやって来て言う
「マスターグレイゼス中佐!終わったぜ?」
ラミリツとハイケルとグレイゼスが顔を向け グレイゼスが言う
「ああ、早朝から お疲れ様 何とか間に合ったか?」
ハイケルが言う
「間に合ったとは?」
ランコックが言う
「まったく うちの御曹司司令官様は相変わらず デカイ事を 急に言って すぐに終わらせろ なんて言うもんだから 折角のアールスローンの騎士様のデザインが たったの2色しか塗り切れなかったぜぇ カーッ 悔しいねぇっ!」
グレイゼスが苦笑して言う
「っはは 今回は2色まで塗られたんなら 良かったじゃないか?それこそ 前回の作戦の時は 2部隊分だったから 単色カラーで精一杯だったもんな?」
ランコックが言う
「まったくっ 折角の題材だったって言うのに…っ」
グレイゼスが微笑する ラミリツが言う
「アールスローンの騎士様って?」
ランコックが言う
「おお!そうだよな!?それこそ 本来ならアールスローンの騎士様である 親兵攻長様のART2にするべきだと 思うんだが …裏方を用意するって言うから てっきり あの新しいマシーナリーの話しかと思ったら まずはARTゼロのカラーリングを変えろってよぉ?新しいマシーナリーの塗装は その次だ なんって言うもんから こっちも 大急ぎよっ!?」

09:30

【 ART第一訓練所 】

隊員Aが言う
「ああ、そういえば 思い出した あのカラーリングって 昔見たアールスローン信書の挿絵に書かれていた アールスローンの騎士 親兵攻長が着ていた鎧の色に似てるんだ だから 俺も 騎士っぽい… 鎧っぽいカラーリングだなって?」
隊員Fが言う
「深みのあるシルバーに 落ち着いたイエローの縁取り 本当に人が着る鎧みたいで マシーナリーにしては中々渋いデザインだよな?」
隊員Bが言う
「でも 何でー?ARTゼロが アールスローンの騎士なのー?」

09:06

【 ART司令塔 】

グレイゼスが言う
「ARTゼロの隊長は 何と言っても 元政府外交長マスターシュレイゼスだ またの名を 反逆の兵士… アールスローン信書に置かれる 親兵攻長の仲間 即ち 彼と共に在った ナノマシーンだったのではないか?と言う説がある だとしたら そのナノマシーンを身に持つのは アールスローンの騎士であるべきだって?そんな理由だったらしい」
ラミリツが言う
「つまり マシーナリーの中に居るマスターたちを ナノマシーンに例えて マシーナリーそのものを 騎士として用いたって事?」
ハイケルがラミリツを見る ランコックが言う
「まぁ そう言うこったろうな?俺は取り合えず そんな細けぇ話は隅に置いて アールスローンの騎士をデザインしろって事で 楽しませてもらったぜ?」
グレイゼスが言う
「それじゃ そのARTゼロの塗装も落ち着いた頃だろう?そろそろ マシーナリーの起動作業に入ってくれ 異国からの援軍も その頃には 第一訓練所へ到着する筈だ」
ハイケルが言う
「了解」
ラミリツが言う
「え?待って それは良いんだけど 詳しい作戦内容の方は?」
グレイゼスが言う
「ああ、そっちは 異国からの援軍や他の隊員たちも含めた状態で説明するから まずは ART1共にART2 両部隊は 第一訓練所へ集合してくれ ARTゼロも既に向かっている」
ラミリツが言う
「そ?分かった それなら」

09:35

【 ART第一訓練所 】

ラミリツが言う
「こちらART2隊長 ART司令塔 マスターグレイゼス中佐 応答を」
グレイゼスの声が聞こえる
『こちらART司令塔 マスターグレイゼス中佐』
ラミリツが言う
「ART機動部隊は3部隊とも集合した 異国の援軍も ヴァンパイアたちが到着 詳しい作戦内容の説明は… まだなの?」
グレイゼスが言う
『ああ、それなら 時間も近付いているし そろそろ説明をして置こう ART機動部隊各員 及び 耳の良いヴァンパイアさんたち 全員 聞こえているか?』
ラミがMシェイムの肩に座って居て言う
「ええ 今の所はね?」
ヴィンが言う
「アウターへ出て 彼らのマシーナリーが外部空間とを遮断するシールドを展開するようになれば 我々であっても マシーナリー内の通信音は聞き取られないだろう 必要とあれば 外部へ向けての出力を用いてくれ給え」
グレイゼスが言う
『了解しました ヴィーンリッヒ先生 各マシーナリー操縦者の皆も援軍への伝達は その様に頼む …それと先に伝えておくと 作戦中はマシーナリー内外の音は全て集音され こちらで確認及び録音をしているので 各自 そのつもりで』
隊員Cが衝撃を受けて言う
「う…っ 何か そう言われると すげぇ やり辛い」
隊員Bが言う
「えー?何でー?サッちゃんー?」
隊員Cが言う
「そう言う バイスン隊員とかが 居るからだろっ!?」
隊員Bが言う
「えー?」
隊員Fが苦笑して言う
「下手に 独り言や… 歓声なんかは 上げられないな?」
隊員Nが言う
「何だ?フッちゃん隊員は 意外と そう言う事 言っちゃう人だったんだなぁ?」
隊員Fが衝撃を受け苦笑して言う
「う…っ それを言わないでくれよ?」
ラミリツが言う
「そんなに気にしなくったって良いと思うけど?そもそも 気にするのなら むしろ遅いよ?今までだって 作戦中の各部隊のそれらは 全て録音されているんだから?」
ART1隊員たちが衝撃を受けて言う
「「えっ!?」」
ラミリツが言う
「そんなの当たり前っ 知らなかったの?」
隊員Cが言う
「そ、そうだったのか…」
隊員Fが苦笑して言う
「知らなかった… 恥ずかしいなぁ…」
隊員Bが言う
「俺はー!いつでも オープンだからー!全然 気にしないよー?」
隊員Aが苦笑して言う
「流石 バイちゃんだ…」
グレイゼスが言う
『そうそう その位気にせずに?何らかの事態に遭遇した際に ちょっと 確認する程度だ むしろ 現場での感想って言うのは それが見えないこちらにとっては 重要な情報になる訳だから どんどん言ってくれて構わない こちらとしても 助かるし それ以外の独り言や歓声だって大歓迎だ マシーナリーの挙動に関する歓声は そのマシーナリーを改善して来た 俺たちへの励みにもなるからな?フレッド隊員?』
隊員Fが衝撃を受けて言う
「げっ!?やっぱり 聞かれてたっ!?」
グレイゼスが言う
『ああ それから サキシュ隊員こと マスターラキンゼス隊員の突込みを 楽しんでおられる お方も居る訳だから?』
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ!?そ、それって… 俺の突込みを楽しんでるって… 一体 誰ですか?中佐?」
グレイゼスが言う
『あれ?…聞きたい?』
隊員Cが衝撃を受けて言う
「いえっ!?やっぱ 遠慮して置きますっ!?」
グレイゼスが言う
『あぁ そう?ここは言って置けよって?それこそ後で 俺が突っ込まれそうだけど まぁ 今は良いか?…ああ そうだった 今回の作戦時には そのハブロス司令官が』
隊員Cが衝撃を受けて言う
「やっぱりっ!?この会話から 思い出すってっ!?しかも ”その”って言ったしっ!?」
グレイゼスが笑ってから言う
『プクク… あぁ いやいや ここは 一応 重要な所だから よく聞いて置いてくれよ?ART隊員諸君?』

【 ART司令塔 】

モニターに複数の映像が映し出される オペ男Aが言う
「政府警空第一部隊 及び 同第二部隊より 本作戦へ向けての第一サポート作戦 システム展開 バックアップの開始を確認 共に 第二サポート作戦へ向けての準備が完了との報告」
オペ男Bが言う
「映像センサー展開 サーモセンサーを表示」
モニターにサーモセンサーの表示がされる オペ子Aが言う
「センサー解析 本作戦 第一作戦範囲に敵影及びその他サーモ感知なし 第二作戦範囲に 複数のマシーナリーサーモを感知 感知数量 算出不能」
モニターにSoundOnly表示がされていて アースの声がスピーカーに聞こえる
『センサー類は現状を維持 国防軍へ 本作戦へ向けてのサポート開始を指示しろ 同時に 政府警空第一部隊へは撤退指示を 同じく第二部隊へは一時回避指示を行え』
ラキンゼスが言う
「了解 司令官 国防軍へ通達 本作戦へ向けてのサポート開始の指示を行います」
オペ男Aが言う
「了解 司令官 政府警空第一部隊へ撤退 及び 同第二部隊へ一時回避の指示を行います」
グレイゼスが周囲の様子を確認してから 自分の前のモニターに映る 第一訓練所の様子に言う
「ハブロス司令官は 本作戦のサポート指示を行うと共に 諸君への最重要バックアップを行う」
グレイゼスの前のモニターにハイケルが映って居て声が聞こえる
『サポート指示は分からなくもないが 最重要バックアップとは?』
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「あ…っ」
ハイケルの横のモニターに映っているラミリツが 隣のハイケルのモニターを見て言う
『サポート指示って事は 政府や国防軍への応援要請やその他の 補助的な指示って事だよね?でも バックアップって…?』
グレイゼスが慌てて言う
「ああっ いやいやっ!今のは ちょっと~… こ、言葉を 間違えたかな!?」
ハイケルが疑問して言う
『言葉を間違えた?…お前がか?マスターグレイゼス?』
グレイゼスが苦笑して言う
「う…っ」
ラミリツが言う
『マスターの中でも 最高のマスターである筈の アンタが?』
グレイゼスが苦笑して言う
「ま、まぁ そうは言わないでくれよ?現に 今 間違えたんだからさ?マスターだって 間違えたり 失敗する事はあるって… なぁ?マスターラキンゼス隊員?」
隊員Cの不満そうな声が聞こえる
『なんで俺に振るんすかぁ?最高のマスターである筈の マスターグレイゼス中佐ぁ?』
グレイゼスが苦笑して言う
「庇ってくれよぉ マスターの仲間だろう?」
隊員Cが言う
『俺は最低限のマスターにして ART1のサッちゃん隊員ですからぁ?』
グレイゼスが苦笑してから言う
「つまりその… マスターだって 慣れない事は不得手なんだよ って 事で?では 作戦伝達の続きだが…」
ラミリツが言う
『そんな状態で 大丈夫なの?』
グレイゼスが苦笑して言う
「まぁ そう言わずに 聞いてくれ そのマスターたちで構成されている ARTゼロはもちろん」
アースの声が聞こえる
『ART司令塔 ART第一訓練所のゲートを開放しろ』
オペ子Aが言う
「了解 司令官 ART第一訓練所のゲートを開放します」
オペ子Aがコンソールを操作する

【 ART第一訓練所 】

訓練所のゲートが開く ARTマシーナリーたちがゲートへ向く グレイゼスの声が聞こえる
『今回援軍に来てくれた ヴァンパイアさんや…』
レイが現れて言う
「ラミリツの所へ到着ー!」
ラミリツが気付いて言う
「マリアさんのウィザードさま!?」
レイに続いて アイザック、グレーニッヒ、シュイが現れる ラミリツがハッとして言う
「それに…っ」
グレイゼスが言う
『ウィザードの皆さんとは違って 我々アールスローンに住む ARTの隊員たちは皆 今作戦のターゲットとされる 敵の力によって 意識や精神と言ったものを コントロールされてしまう可能性がある それを未然に防ぐ為に』
レイが言う
「それじゃ 俺は マリアの所へ戻るからなー!じゃあな!ラミリツ!先輩やグレーニッヒやマッキのウィザードは置いていくからさ!勝手に使ってくれよ!?」
アイザックとシュイが衝撃を受ける グレーニッヒが笑う
「ヒーヒッヒッヒッ!」
Mラミリツが慌てて言う
「え!?あ、あの…っ 勝手にってっ!?」
レイが消える ラミリツが慌てて言う
「ああっ!?ちょ、ちょっとっ!?」
グレイゼスが言う
『こちらも対策を用意した その対策と言うのが』
ラミリツが軽く息を吐いて言う
「はぁ… しょうがない あのウィザードさまじゃ きっと作戦なんかは… それに」
ラミリツが思う
(あのウィザードさまなら それこそ マリアさんの傍にさえ居れば 意識や精神がコントロールされてしまうなんて事も 無いのだろうし?)
グレイゼスが言う
『それでは これから 各マシーナリーの第3モニター及び副無線を固定にする その他モニターや主無線は通常通り使ってくれ』
ラミリツが気を取り直して言う
「え?あ… えっと 第3モニターと副無線を固定に?」
ラミリツが思う
(それで 一体どうやって…?)
第3モニターにライブ開始前の映像が映り 副音声にナルの声が響く
『ナックキラースペシャルライブ 最終ステージは この…っ!』
ラミリツが呆気に取られて言う
「え…っ!?」
隊員Aが呆気に取られて言う
「こ、これが…?」
隊員Cが呆気に取られて言う
「まさか… 固定?」
隊員Bが言う
「ってー 言うとー?」
ハイケルが言う
「ナックキラースペシャルライブ?これを 見ながら行えと?」
グレイゼスが言う
『あ、いや… 本当は映像は無くても良いんだが… 有った方が良いんじゃないか~?って言う事で?まぁ もちろん作戦中は見てはいられないと思うが そのぉ… ライブはノリだ って言うものだから?』
ハイケルが言う
「ライブはノリ?」
シュナイゼルが呆気に取られた状態から苦笑して言う
「え~…っ 少々 作戦任務中に不謹慎かとも思われますが… しかし こちらも 敵から我々へ対する意識や精神へのコントロールを防ぐ為の そちらの予防と言う事では …致し方ないものだと …そう言う事ですよね?隊長?」
MシュナイゼルがMラミリツへ向く Mラミリツの中 第3モニターでナルが叫ぶ
『ライブツアー最終ステージは ナックキラーの原点と言われる この場所での追加ライブだ!最後は派手にキメてやるよ!どーだ 最高だろうー!?』
ラミリツが感極まって言う
「さいっ…」
M隊員NとM隊員Vが叫ぶ
「「最高ーっ!!」」
ラミリツがハッとする 第1モニターに映るシュナイゼルが疑問して言う
『…た、隊長?』
ラミリツが赤面してから取り繕って言う
「さ、さい… さい… 再確認っ!!ART2全機!無線及びその他…っ な、何でもっ!」
シュナイゼルが呆気に取られた後言う
『は…?りょ、了解っ!隊長!』
ラミリツが顔を逸らして言う
「危なかったぁ…っ」

【 ART第二訓練所 】

Mシーナの中 第3モニターにライブ映像が流れている シーナが言う
「最高なのに… 最低っ!どう言う事ですかっ!?私だけ 待機って!?私だって ART1の機動隊員ですよっ!?それなのに どうしてですか!?マスターグレイゼス中佐っ!?」
第1モニターにグレイゼスが映っていて表情を困らせて言う
『あぁ ごめんな?俺も詳しい事は聞いていないんだが… シーナ隊員は 別部隊として待機させるようにって指示だったものだから… とりあえず そちらの第二訓練所で 現状のまま 別命あるまで待機だ シーナ隊員』
シーナが言う
「指示だったって事は 中佐に指示を与えた …つまり ハブロス司令官の判断ですね!?それなら ハブロス司令官に直接聞きますっ!通信を繋いで下さいっ 中佐っ!」
グレイゼスが言う
『シーナ隊員 元後衛サポートの君なら分かるだろう?支援部隊及び司令官は既に 本作戦開始へ向けての作業を開始している そうとなれば 既に指示を与えた者へ それ以上に伝える事は無い』
シーナが言う
「納得行きませんっ!今作戦は決戦ですっ 我々ARTは この決戦を制する為に結成されたのではないのですか!?その為の機動部隊にして 最高部隊のART1です!その隊員である私が 1名だけで待機とは それは… それは 本当は待機では ないんじゃないですかっ!?」
グレイゼスが言う
『作戦中に口論をしている時間は無い ART司令官の命令により 君は待機だ シーナ隊員』
シーナが怒りを押し殺して言う
「ART司令官の命令…っ 最高の司令官だって言わせて置きながら…っ やっぱり 女性だからってっ 女性の私が怪我をしたら 男性の自分の地位や名誉に傷が付くから!…だから向かわせたくないって それだけじゃないっ!」
グレイゼスが言う
『…シーナ隊員』
シーナが言う
「通信を繋いで下さいっ!マスターグレイゼス中佐!」
グレイゼスが言う
『今の君では 到底繋ぐ事は出来ない』
第1モニターが切られる シーナが一瞬驚いてから悔しがって言う
「…分かってます けど せめて… せめてっ 本人から言われないとっ …諦め切れないっ!だって 折角 ここまでやってくれたのにっ!それなのに…っ!」
シーナが両手で顔を覆う

【 帝国 】

玉座にアースが座っていて 見上げている視線の先 空間モニターにシーナの姿が映っている アースが言う
「ARTの姫君は 決戦とあっても 変わらずのノリの様だな?」
アースが微笑する レイが現れて言う
「おーい アーク・メイヴン・ハブロス!ウィザードの皆を ラミリツの所へ 届けてやったぞ?」
アースが言う
「ご苦労 レイ・アーク・フォライサー殿 では 今度は貴方も 貴方の姫君と共に ARTの司令塔へと向かってくれ」
レイが言う
「俺の姫君?マリアの事だな!」
アースが言う
「そして あちらへ到着したら その後は 私からの指示があるまで その場へ留まって居てくれ ART司令塔へは 今作戦に置かれる全ての情報が届く 我々ARTの部隊と共に向かう 貴方の部下であるウィザードたちの情報も分かる」
レイが言う
「そっか 先輩の事も分かるって言うなら マリアも喜ぶだろうから そうしてやるぞ!けど お前はどうするんだ?アーク・メイヴン・ハブロス?」
アースが言う
「私はこちらで行う事がある この場所であるなら アールスローン内の情報も全て分かるのでな?」
レイが言う
「へぇそうなのか?…ん?なら 俺とマリアもここで良いんじゃないか?つまり どっちに居ても 分かるって事だろう?」
アースが衝撃を受けて言う
「あ、いや…っ こちらは少々 騒がしくなる予定なんだ 従って… 情報は得られるが 騒がしいとあっては そちらの確認も難しくなるだろう …それに何しろ」
アースが思う
(誰かに居られては こちらのノリが悪くなる…)
レイが疑問して言う
「ん?ノリ?ノリって何だ?アーク・メイヴン・ハブロス?」
アースが衝撃を受けてから言う
「うっ …いや、良いんだ 気にしないでくれ 少なくとも アークの貴方には 関係の無い話だ」
レイが言う
「そっか?俺には関係は無いのか?それなら… じゃぁ やっぱ お前にも関係はないんじゃないか?だって お前は”アーク”・メイヴン・ハブロスなんだからさ?」
アースが言う
「いや それを言うのなら 私は アース・メイヴン・ハブロスであるから 関係が…」
アースが思う
(…いや むしろ アニキであるから関係があるんだ)
レイが疑問して言う
「うん?アニキって…?」
アースが衝撃を受け 怒って言う
「もう良いっ 時刻も迫って来ているっ 貴方はさっさと マリア殿を迎えに行き ARTの司令塔にて 待機して居ろっ!命令だっ!」
レイが言う
「そっか?何か分かんないけど 俺はマリアのウィザードさまだからな!マリアの所へ戻るよ じゃあな!アーク・メイヴン・ハブロス!」
レイが消える アースが衝撃を受け困惑して言う
「…と、本当に分かっているのか?マリア殿の下へ戻るだけではなく 彼女を連れてART司令塔へと…」
アースが思う
(まぁ… クローンとは言えアーク そして 人の心の内が読まれる程と言うのなら 大丈夫…)
レイがマリアと共に現れて言う
「到着ー!アーク・メイヴン・ハブロスの下へ 到着したぞ!?マリア!?」
マリアが言う
「あ、はい そうですね ウィザードさまっ …それで すみませんっ アーク・メイヴン・ハブロス指令官さん 時間に遅くなってしまってっ!」
アースが僅かに顔を引きつらせつつ言う
「い、いや… 問題ない それよりも…」
アースが思う
(むしろ お前は本当にアークと呼ばれる神なのかっ!?レイ・アーク・フォライサーっ!?)
レイが笑顔で言う
「だから 俺は マリアのウィザードさまだって 言ってるだろ?アーク・メイヴン・ハブロス?」
アースが言う
「…その様だな?」
レイが言う
「ああ!」
マリアが疑問して言う
「え?えーと…?」

【 ART第一訓練所 】

アイザックが言う
「では 我々ウィザードは それぞれの能力を考慮した上で 貴方方ARTの各部隊への配属は この様に」
ART2にアイザック ART1にシュイ ARTゼロにグレーニッヒが居る ラミリツが思う
(あぁ… 能力は兎も角 マリアさんのお義父上である アイザック・シュテーゲル殿と一緒って ちょっと気になる所だけど)
グレーニッヒがARTゼロマシーナリーに触れて言う
「ヒーヒッヒッヒッ!これはこれは面白いねぇ~?人の身で在りながら 鉄の巨人と同化しているだなんて~?一体ど~んな魔法なのかなぁ~?ヒーヒッヒッヒッ!」
ラミリツが言う
「…まぁ アレよりは良いんだけど」
シュイがART1マシーナリーを見て言う
「この部隊からは とても多くの火の助力となる力を感じる 特に… この鉄の巨人から」
シュイがM隊員Bを見る M隊員Bが言う
「えー?火の助力ってー?」
M隊員Aが言う
「ひょっとして バイちゃんの あの手榴弾の事なんじゃないか?」
M隊員Bが言う
「あー!それならー!今日は特別 い~ぱいあるからー!楽しみにしててねー アッちゃん!」
M隊員Aが苦笑して言う
「楽しみにって… そんなに沢山 ビフォアーバーストショットを狙えって言われるのも ちょっと プレッシャーだけど …むしろ シーナ隊員から聞いた話なら ARTのマシーナリーなら 誰がやってもビフォアーバーストショットは狙えるって話だったから 別に 俺じゃなくても良いんじゃないか?バイちゃん?」
M隊員Bが言う
「えー?それって アッちゃん 俺に浮気しろって言ってるー?」
M隊員Aが衝撃を受けて言う
「だ、だから バイちゃんっ その言い方は…っ!」
グレーニッヒが笑って言う
「ヒーヒッヒッヒッ!むしろ 面白い魔法を使うARTゼロより 話題そのものが面白そうな ART1の方が良かったかなぁ?」
アイザックが言う
「叔父上 大切な戦いだ 今回ばかりは そう 笑ってばかりは居られずに…」
グレーニッヒが笑う
「ヒーヒッヒッヒッ!ヒーヒッヒッヒッ!」
アイザックが衝撃を受け怒りを押し殺す 隊員Cが呆れて言う
「何か… とりあえず 俺らART1が あの人と一緒じゃなくて 良かったかも…?」
隊員Bがモニターに映って言う
『えー?それなら 俺はー』
隊員Cが言う
「バイスン隊員は むしろ あの人と組みたかったんだろ?分かってるって?」
隊員Bが言う
『そうじゃなくってー?』
隊員Cが言う
「何だ 違うの?それじゃ…?」
隊員Bが言う
『それこそ サッちゃんが 出来の良いマスターだったら ARTゼロで 一緒になったかもしれなかったのにねー?残念だったねーサッちゃん?』
隊員Cが衝撃を受けて言う
「そ、それは…っ それならもうっ!俺は出来の悪いマスターで ART1に戻って来て 優秀なマスターたちのARTゼロには 間違っても ならなくって 良かったよっ!あの笑うウィザードと一緒じゃないしなっ!?」
隊員Cの脳裏に声が聞こえる
『その笑うウィザードと一緒の俺たちに 聞こえているのだが?』
隊員Cが衝撃を受けて言う
「げっ!?この感じは…っ マスターの… 仲間たちの声…っ」
隊員Bが疑問して言う
「えー?マスターのー?」
隊員Fが言う
「そう言えば…?ARTゼロとは無線通信は 繋がっていないのかな?ヴァンパイアさんやウィザードさんたちへの 感想の声なんかも聞こえなかったし?」
隊員Nが言う
「あぁ そう言やぁ ART2からも隊長や副隊長の声は聞こえてっけど… それじゃ ひょっとして それ以下の隊員である 俺らの声も聞こえてねぇんじゃね?」
ラミリツの声が聞こえる
『君らの声なら聞こえてるよ?』
隊員Nが衝撃を受けて言う
「あれっ!?聞こえてたっ!」
ラミリツが言う
「そもそも 君たち 喋り過ぎだから 通常は 作戦中はもちろん 作戦内容を説明する間だって 部隊招集をされた隊員は 必要事項以外は発声しないものなんだよ?」
隊員Bの声が聞こえる
『えー?そんなの詰まらないしー?』
ラミリツが言う
「楽しむものじゃないから」
グレーニッヒが笑う
「ヒーヒッヒッヒッヒッ!面白いねぇ?これが お国や世界を守ろうと言う 軍隊さんのお話なんだねぇ?ヒーヒッヒッヒッヒッ!」
ラミリツが言う
「ほら そんな君らが笑われてるだろ?その君らは 僕らART2の仲間でもあるんだから そう言う事も考えないと?」
Mハイケルが言う
「悪かったな これが 私のART1だ」
MラミリツがMハイケルへ向く グレイゼスの声が聞こえる
『まぁまぁ お二人さん 何だったら ART1とART2の無線も 各部隊無線に切り替えるから 重要な合同作戦の前に 喧嘩は無しだぜ?仲良く行きましょう?仲良く?』
ラミリツが言う
「別に 喧嘩をしている訳じゃないよ 各部隊にはそれぞれのやり方があるんだし 隊長のアンタが良いって言うのなら それで良いんだと思う …けど それでも 常識として伝えて置きたかっただけだから?」
Mハイケルが言う
「了解 情報提供を感謝する ラミリツ隊長」
グレイゼスが言う
『うん、それじゃ そう言う事でな?』
ラミリツが言う
「それはそうと つまりARTゼロは その部隊無線を使っているって事?兄… マスターシュレイゼス隊長とも 通信繋がらないけど?」
グレイゼスが言う
『ああ、えっと~ ARTゼロに関しては だなぁ…?その~ 元々 ナノマシーンを使って マシーナリーとの同化を行っているものだから 通常無線を使用するよりも… なんと言うか その… ナノマシーンを使った通信の方が 自然なもので?彼らは 通常はそいつを使ってるんだよ』
ラミリツが言う
「ああ、そう言う事?それじゃ…」
グレイゼスが言う
『そうそう そう言う…』

Mシェイムの中でシェイムが言おうとする
「エーメレ… ぐっ!?」
シェイムが頭を押さえて言う
「イタタタ…っ な、何故…っ!?」
無線からグレイゼスの声が聞こえる
『…言う事なんだ、しかし ART1やART2 及び こちらの司令塔からの無線や 副無線に関しては 彼らにも届いているから 必要と在れば 通常通り無線にて呼びかけてくれて 問題は無い 丁度その… 今回のARTゼロにはナノマシーンの通信より 通常の無線を得意とする方も 居たりするもんだから… な?』
シェイムの脳裏に声が聞こえる
『隊長が…』 『主に隊長が…』
シェイムが怒って言う
「その隊長が 使えないマスターの私で 申し訳ないですねっ!?」
シェイムの脳裏にグレイゼスの声が聞こえる
『まぁ そんな訳だから ARTゼロの無線通信は 基本 受信無線に設定してあるから 安心してくれ?マスターの皆』
シェイムが怒って言う
「どういう意味ですかっ!?そちらはっ!?」
シェイムの脳裏に声が聞こえる
『流石はマスターグレイゼス』 『流石はマスターの最高峰』 『頼りになるな マスターグレイゼス』 『頼りになる マスターグレイゼスだから』
シェイムが衝撃を受けて言う
「そんなマスターたちのARTゼロを この私が率いる事が出来るのか!?今更ながらに 不安になって来ましたよっ!」
ラミリツの声が聞こえる
『良く分からないけど 取り合えず こっちからの通信は届いているって事だよね?それなら…』
グレイゼスが言う
『あぁ そうそう そう言う事だから そちらは安心してくれ』
シェイムが悔やんで言う
「うぅ… エーメレス… 折角 兄弟で力を合わせて 任務に励もうというのに… 通じている無線に返す事が出来ないとは…っ この不満は 一体どちらへと ぶつけたら良いのだろうかっ!?」
MシェイムがMラミリツを見る

Mラミリツの中 ラミリツが視線を落とした状態から顔を上げて思う
(通信は繋がっているけれど 基本 あっちからの返答は無いって事… 聴いた瞬間は残念だって思ったけど …よく考えたら これはこれで良かったのかもしれない そんな僕は… やっぱり”ガキ”なのかな?)
ラミリツが苦笑してから時計を見て言う
「司令塔?そろそろ 時間だけど?」
グレイゼスが言う
『ああ、それでは ART機動部隊 及び 援軍の皆さん 最終チェックを行ってくれ こちらも 作戦開始へ向けての最終チェックに入る』
Mハイケルが言う
「ART1 了解」
ラミリツが言う
「ART2 了解」
シェイムの声が聞こえる
『ARTゼロ 了解』
ラミリツが一瞬反応してから微笑して頷く

【 帝国 屋外 】

皇帝が遠くを見て微笑して言う
「ネロ…」
皇帝の脳裏にアースの声が聞こえる
『皇帝 まもなく作戦開始時刻となる 奴への宣戦布告の準備は?』
皇帝が苦笑して言う
「アース?我らは その方らの神と在る …なれば?」

帝国 玉座の間

アースが顔を上げて言う
「奴は 既に こちらの動きを察していると?」
アースの視線の先 空間モニターに映っている皇帝が言う
『その方らが 視察に参った 先の時は 謀らずも ネロの休息の時とあった』
アースが苦笑して言う
「ほう?そうだったのか… 言われてみれば この場所へ他国の者を呼ぶと言う事を前提に 貴方のその時を狙ったのだが 奴もまた 同じであったという事か?…そして 必要が無いと言われれば それまでではあるが」
アースが目を閉じて立ち上がる 空間モニターに映る皇帝が気付きモニター越しにアースを見る アースが閉じていた目を開いて言う
「皇帝!奴へ伝えろ 我らアールスローン帝国軍 レギスト特殊部隊が お前の下へ向かうと!…止められるものなら 止めて見せろともなっ!?」
皇帝が微笑して言う
『承知 その方の想い しかと届けよう』
皇帝が目を閉じる アースが視線を変えて言う
「ART司令塔 応答を」

【 ART司令塔 】

モニターにSoundOnlyの表示がある グレイゼスが言う
「こちらART司令塔 マスターグレイゼス中佐 ART機動部隊 及び 国防軍、政府警空部隊 全て 準備は整いました ハブロス司令官!」
エルムαが現れて言う
『仲間を 連行した』
グレイゼスが顔を向ける エルムαの後ろにレイとマリアが居て マリアが周囲の様子にハッとしてグレイゼスを見上げて緊張する グレイゼスがエルムαを見ると エルムαが言う
『対象は マリア・シュテーゲル 及び マリアのウィザードさま …だ』
マリアが緊張して言う
「あ、あの…っ お、お邪魔… しますっ?」
レイが言う
「マリア 怖がらなくても 大丈夫だぞ?マリアには 最強のウィザードである俺が居るんだし アーク・メイヴン・ハブロスが ここに居てくれって言うんだからさ?お茶でも飲んで ゆっくりしてれば良いんじゃないか?マリア?」
マリアが衝撃を受け レイへ向いて言う
「ウィ、ウィザードさまっ!?今はその…っ と、とても そう言う状態では無いのですからっ!?」
グレイゼスが苦笑してから 気を取り直して言う
「マリア・シュテーゲル様とマリア様のウィザード様 連絡は受けております 私は このART司令塔を任されております マスターグレイゼス中佐です このような慌しい場所で申し訳ないのですが 作戦終了まで どうかご協力を」
マリアが慌てて言う
「は、はいっ!こちらこそ よ、宜しくお願い致しますっ?え、えっと… マ、マスターグレイゼス中佐さん…?」
グレイゼスが一瞬呆気に取られた後微笑して言う
「はい こちらこそ 宜しくお願い致します?…っはは」
マリアが一瞬呆気に取られる グレイゼスが笑顔を見せる マリアがホッとして 微笑して言う
「はいっ!」
グレイゼスが微笑して頷くと 正面へ向き直って言う
「こちらART司令塔 マスターグレイゼス中佐 マリア・シュテーゲル様とマリア様のウィザード様の2名が 到着しました ハブロス司令官!」
アースが言う
『よし これで全ての人員が整った サポート体制にも問題は無い 予定通り メインサポートの開始と共に 作戦を展開させろ マスターグレイゼス中佐』
グレイゼスが言う
「了解!司令官!」
マリアが緊張してグレイゼスを見てから 周囲を見渡し 呆気に取られて疑問する

【 ART第二訓練所 】

Mシーナ内 シーナが第1モニターに映る司令塔の映像にマリアを見て 表情を落として言う
「私を… 探してる?」
シーナが思う
(そうよね… あそこに居れば… 私は 彼女に 頼まれ事もされていたのだし …あぁ でも あの時は とっくに ハブロス司令官に 最低って言っちゃってて…)
シーナが息を吐いて言う
「それこそ 私は…」
シーナが第3モニターの映像を眺めてから 苦笑して言う
「本当は あの中で… あの観客たちの中で 楽しんでいたんだろうな?ナックキラー仲間のエミーと一緒に」
シーナがチケットを取り出して開いてから言う
「ううん… こんな事なら ART1に配属されていたって 今日は休暇を取って それこそ2人でライブ会場に行っていたら良かった…っ そうしたら ここで待機しろだなんて そうと言われる現実も知らずに… 最高の夢の中に居られたのに…っ」
シーナが力なく第3モニターを見る

【 ライブ会場 】

ナルが言う
「てめぇら!ナックソウルの準備は良いかぁあーっ!?さいっこうの時間が 始まるぜぇえーっ!?」
観客たちが歓声を上げる
「「最高ーっ!」」
エミーが喜んで叫ぶ
「最高ーっ!あっははー!もうっ 早く早くぅっ!シーナの分も ナックソウルを燃やしちゃうわよーっ!」

【 ART第一訓練所 】

グレイゼスの声が聞こえる
『間も無く 作戦開始時刻となる 先行サポート 第一作戦 エリックアーベスト氏 ゲートの解放を!』
リックが言う
「おうよ?やっと始まりだなぁ?待たせやがって てめぇえら 気合を入れてやがれよぉ?ひょっとすっと 野郎は既に 気付いていて てめえらが大好きな周波数を垂れ流して 待ってやがるかも知れねぇぜ?」
Mハイケルが言う
「大好きな周波数?」
リックが笑んで言う
「快楽に流されて 野郎のモンになっちまったりなんざしやがったら… まぁそん時は安心しやがれ?俺様が さっさと そのてめぇらを 1匹残らず ぶっ潰してやるからよぉ?ははーっ!」
ラミリツが言う
「周波数による操り… 政府のマスタートップシークレットだった あの黒の楽団が使っていた力って事?」
Mハイケルが言う
「なるほど それで そちらへの対抗策として ナックキラーのライブ音楽を使用すると言う事か」
グレイゼスが言う
『その通りだ お二人さん そんな訳だから ライブの開始までは ゲートの先にあるとされる 城門へは近付かないように 手前にて 待機だ』
Mハイケルが言う
「了解」
ラミリツが頷く リックが笑んで言う
「この俺様が てめぇらの為に 地獄へのゲートを開いてやるぜぇ?」
シェイムが視線を強める 隊員A、Fが視線を強める 隊員C、Nが表情を引きつらせる 隊員Bが期待に目を輝かせる リックがゲートを開く ウィザードたちが反応して シュイが言う
「…あれが ゲート?」
グレーニッヒが言う
「ヒッヒッヒ… 実に興味深いねぇ?」
アイザックが言う
「我々とは異なる力だ」
ラミとヴィンがウィザードたちを見る Mハイケルが言う
「では 行くぞ ART1進軍」
ART1隊員たちが言う
「「了解!少佐ぁー!」」
MハイケルとART1マシーナリーたちがゲートを抜けていく ラミリツが呆気に取られて言う
「き、消えた…っ まるで…」
Mラミリツがウィザードたちを見る ラミリツが思う
(あの… 移動魔法とは違うみたいだけど …でもっ)
Mラミリツが言う
「ART1に続き 我々ART2が向かう ART2総員 進行!」
ART2隊員たちが言う
「「了解!隊長っ!」」
ART2マシーナリーたちがゲートへ消える シェイムが呆気に取られて言う
「き、消えた… エーメレスまでっ!?い、一体 あれは どうなってっ!?」
シェイムの脳裏に シェイムの声が聞こえる
『行こう マスターの仲間たち』
シェイムがハッとして言う
「い、今のはっ シュレイゼスっ!?」
シェイムの脳裏にマスターたちの声が聞こえる
『行こう マスターの仲間たち』 『行こう…』 『マスターの仲間 ARTゼロはゲートへ行こう』 『行かないと マスターだから』
Mシェイムが動き出す シェイムが衝撃を受けて言う
「ま、待って下さいっ シュレイゼスっ!?私はっ 私は まだっ 心の準備が…っ!あーっ!」
無線にイリンゼスの声が聞こえる
『好い加減 だらしないぞ?マスターの後輩?』
シェイムがハッとして言う
「その声は…っ まさか イリンゼスっ!?マスターの先輩 マスターイリンゼス!?貴方なのですか!?」
モニターにイリンゼスの姿が映って笑って言う
『へっへ~ん!そう言う事!』
シェイムが苦笑して言う
「そんな… 今まで まったく 知りませんでした まさか 貴方がハブロス司令官のARTに…?」
イリンゼスが言う
『感動の再会は後ってな?今は決戦の時だ 行くぜ?シェイム?いや… マスターシュレイゼス隊長!?』
シェイムが微笑して言う
「はいっ 分かりました マスターイリンゼス 行きましょうっ!」
Mシェイムがゲートを抜けて行く

【 ART司令塔 】

グレイゼスが苦笑して言う
「流石はARTゼロの副隊長 マスターイリンゼスだ」
グレイゼスが思う
(って言うか あれじゃぁ どっちが隊長か 分からないよなぁ?)
グレイゼスが苦笑してから モニターを見て言う
「ART司令塔 メインモニターへ アウター第一センサーの映像を表示しろ」
オペ男Aが言う
「了解!中佐!ART司令塔 メインモニターへ アウター第一センサーの映像 表示します」
メインモニターに アウターの映像が映る グレイゼスが表情を強めて思う
(…これが 今作戦のターゲット ネロ・アーク・フォライサーの居城か!)
メインモニターに ネロの城と城下町が映っている


続く
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