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17章

アールスローン戦記Ⅱ 異世界の剣士

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【 ART司令塔 】

グレイゼスがMO60のデータを表示しながら言う
「なるほど… 大型砲銃ならではの 爆薬の量にアールスローン国内のそれらを用いて作り上げた捕獲ネットでは 耐久性が足りないと言う事から 開発は中止されたものを…」
グレイゼスが苦笑て言う
「後に ハブロス司令官が手に入れた ロストテクノロジーの繊維を使ったネットによって 完成をさせた… おまけに その繊維の提供主である事を理由に 国防軍で開発した 唯一の完成品であるMO60の保有者として 国防軍総司令官アース・メイヴン・ハブロスの名で保有者登録… 流石は悪魔の司令官 卑怯と言いますか計算高いと言いますか…」
SoundOnly表示が現れ アースの声が聞こえる
『流石はマスターの最高峰 マスターグレイゼス中佐 国防軍のトリプルトップシークレットから 貴重な情報を確認してくれたようだが?』
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「ハ、ハブロス司令官っ!?あ、あれ?通信切れてましたよねっ!?」
アースが言う
『副無線を繋いでいたのは そちらの判断だろう?』
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「し、しまった…っ 音が止んだから つい 切られたものだと…っ」
アースが言う
『それで?』
グレイゼスが苦笑して言う
「す、すみません 自分は 決して ハブロス司令官を悪く言ったつもりは… むしろっ!」
アースが言う
『むしろ マスターに 卑怯や計算高いと言われる程の司令官とは お前たちARTの司令官は 最高だろう?』
グレイゼスが慌てて言う
「はいっ!最高ーですっ!」
周囲の隊員たちが苦笑している アースが言う
『それで?捕獲対象はどうなった 直ちに そちらの確認を』
グレイゼスが言う
「りょ、了解 司令官っ!捕獲対象は…っ」

【 帝国 門前 】

アースが握り拳で頭を殴る 皇帝が殴られた頭を抑えて言う
「痛いっ これっ アースっ?神の頭を叩くとはっ その方は まこと我がアールスローンの…っ!?」
ART隊員たちが呆気に取られて思う
((天使様 殴った…))
アースが怒って言う
「黙れっ アールスローンの神と言われた 堕天使がっ!やはり 貴方は そんなであるから 楽園を追放されたのだろうっ!?」
皇帝が言う
「否 我は 楽園を追放されたに 有らずして その方らの神として…っ」
ART隊員たちが呆気に取られて思う
((神様と喧嘩してる…))
ハイケルがイヤホンを抑えて言う
「こちらART1隊長 命令通り 中身の消えた捕獲ネットを 帝国の門前へ運んだ所 予定通り 中身の天使が再び現れ 現在…」
ハイケルが視線を向けると アースが言う
「それとも?始業時間を間違えて 楽園の扉へ入り損ねたか?本日はARTの作戦に協力をしてもらう為 我々の始業時間には 帝国内に居てくれと 私は 予め伝えておいた筈だがっ?皇帝っ!?」
皇帝が言う
「うむ!その方の言葉 我が記憶の内に 鮮明に残りしと されど… 我は神である!従いて」
アースが言う
「神だろうと悪魔だろうと 時間を守れと言っているんだっ!神ならば 尚更 人々の模範となるべく 勤めるべきだろうっ その上 模範所か 迎えに送った隊員らから逃げ回るとはっ!」
アースが皇帝の頭を殴る ハイケルが言う
「悪魔の司令官こと ハブロス司令官が そちらの天使を殴っている」
グレイゼスが言う
『天使様殴ってるのっ!?いやっ その前に 銃弾すら貫通した天使様を 何で 殴れるのっ!?』
ハイケルがアースへ向いて言う
「それは…」
ハイケルのゴーグルに小型カメラが付けられている

【 ART司令塔 】

モニターにハイケルの小型カメラからの映像が映っている ハイケルの声が聞こえる
『やはり ハブロス司令官が ”悪魔の司令官”であるから …では ないのか?』
グレイゼスが苦笑して言う
「え…?いや それを言ったら 元祖悪魔の兵士である お前の銃弾は 何で当たらなかったんだ?…って事になるだろう?ハイケル?」
ハイケルが言う
『そうだったな では… やはり…』
グレイゼスがモニターを見ながら思う
(いや、そもそも 現状 こちらのモニターには…)
ハイケルが言う
『元祖悪魔の兵士である 私には… 魂が足りない と言う事か?』
グレイゼスが思う
(その魂が足りなかったり 足りていたりする 現地の隊員たちの目に見えていると言う 天使様の姿は …映ってはいない)
ハイケルが言う
『…グレイゼス?』
グレイゼスがハッとして言う
「あ、いや すまない 何か言ったか?」
ハイケルが言う
『考え中か?では…』
グレイゼスが言う
「ああ 悪いな?また いつもの考え中で… えーと?」
ハイケルが言う
『いや… なら、良いんだ』
グレイゼスが苦笑して言う
「うん ごめんな?では… 改めて 確認をするが… 先ほど 天使様を捕獲した後は… いや それ以前も含めてだが お前たちの無線イヤホンに ハブロ… いやっ 謎のエレキギターの音が聞こえていた …その間は お前たちの目に 天使様の姿が見えて居たんだよな?それで…」

【 帝国 門前 】

ハイケルがイヤホンを抑えて言う
「そうだな そして 我々のイヤホンにエレキギターの音が聞こえなくなった後 間も無くして 捕獲ネットの中に見えていた天使の姿は 見えなくなった」
ラミリツがハイケルの様子に気付く イヤホンにグレイゼスの声が聞こえる
『そうなんだよなぁ?それは こっちも同じなんだわ』
ハイケルが言う
「そうか… では そちらもエレキギターの音を 聞いていたという事か?」
ラミリツが言う
「ねぇ?ひょっとして?」
ハイケルがラミリツへ向く グレイゼスが言う
『ああ、そうなんだよ ラミリツ隊長がヒントになる言葉を 言ってくれていたからな?それで ひょっとしてって…?』
ラミリツが言う
「マスターグレイゼス中佐と さっきのエレキギターの音の話 してる?」
ハイケルが言う
「ああ そうだな」
グレイゼスが言う
『え?やっぱり お前もそう思ったか?ハイケル?』
ハイケルが反応して言う
「いや、すまない 今のは お前の無線へ対する返答ではなく こちらの話へ対しての返答だ」
グレイゼスが言う
『ああ、そう言う事か?じゃぁ…』
アースが皇帝へ言う
「…いや これ以上の口論は時間の無駄だなっ!?そもそも1000年以上も生きている 古代人へ 今更その曲がった根性を直せと言うのも 無理な話なのだろう」
皇帝が言う
「アース 我らは 古代人ではあらず …その方らの神であると!」
アースが言う
「では 時間の守られない 我らの神のお陰で 無駄にした時間を取り戻す一環として 早速だが ここに居る 貴方のせいで休暇出隊をされたART2を含む 我々を ネロ・アーク・フォライサーの居る 玉座の下へと送ってくれ」
アースが隊員たちを見てから皇帝へ向く 皆が反応して 隊員Cが言う
「げっ…!?それって… 俺ら あの帝国の中に 送られるって事かっ?」
隊員Bが言う
「それじゃー 遂にー!少佐やラミリツ隊長が 10年前に入ったって言う 帝国の玉座の間に 俺たちも入れるって事ー!?アッちゃんっ!?」
隊員Aが言う
「そうみたいだな?しかも今回は…」
隊員Fが言う
「天使様の… いや 神様の力でっ」
隊員Bが言う
「じゃー 魔法でー!?」
隊員Aが言う
「いや ひょっとしたら あのヴァンパイアが使ってた ゲートとか言う奴かもしれないぞ?」
隊員Fが言う
「そうだよな?魔法より現実的だし 古代人… つまり ロストテクノロジーの力なんだろう?」
隊員Bが言う
「あー そっかー!さっすが フッちゃんーっ!」
隊員Fが苦笑して言う
「あ、いや… 俺は そうかなぁ?って思っただけで」
隊員Iが言う
「いや 流石 フレッド隊員だよ 俺は 想像も付かなかった」
皆が皇帝を見る アースが言う
「それで?彼らの期待へ対する 回答はどうした 皇帝?」
皇帝がアースへ向いて言う
「アース?」
アースが言う
「何だ?皇帝?」
皇帝が言う
「我は… 力失いし 神 である!」
アースが言う
「使えない 神っ だな?」
隊員たちが衝撃を受け 隊員Aが苦笑して言う
「どうやら ハブロス司令官や俺たちの 期待だけ だったみたいだ」
隊員Bが言う
「えー?」
隊員Cがホッとして言う
「あぁ… 良かった… ナノマシーンを持つマスターにとっては 帝国に入るのは 命懸けだからな?これで…」
アースが言う
「よし では 最低限のマスターである マスターラキンゼス隊員を含む ART機動隊員は 総員」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「何で 俺だけ 名指し!?」
アースが言う
「帝国の門の中へと向かえ」
隊員Cが表情を顰めて言う
「や、やっぱり 行くのか…」
ART2隊員らが顔を見合せてから言う
「「了解!司令官!」」
ラミリツが頷き門へ向かう ハイケルがART1隊員らを見ると ART1隊員らも同じく顔を見合せてから軽く笑って居う
「「了解!司令官!」」
隊員Cが俯く ART1隊員らがART2隊員に続く 隊員Aが苦笑して言う
「心配しなくても大丈夫だろ サキ?何しろ 天使様を殴れるほどの ハブロス司令官が一緒だって言うのなら マスターが持つナノマシーンを 帝国に操られるような事なんかは…」
隊員Cが言う
「止めてくれってっ アラン隊員っ!そう言う事言ってるとっ それこそ 操られなくったって 俺を殴りそうな悪魔が…っ」
アースが言う
「どうした?マスターラキンゼス隊員?遠慮はせずに ここでは 私の前を行っても構わないぞ?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「それで 遠慮なく後ろから 殴り付けるつもりですねっ!?」
アースが言う
「その様な事は考えていない 私は… 殴る時には正面へ向かうのが セオリーだと思っている」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「どちらにしても 殴る気は万全って事ですよねっ!?」
アースが言う
「安心しろ …最近は 実際に殴らなくとも 相手を吹き飛ばす事が出来る」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「止めて下さいっ あのパワーで吹っ飛ばされたら ナノマシーンどうこうの前に 俺がマジで逝きますからっ!」
アースが軽く笑って言う
「そちらは冗談だ 現状は あちらの力を使う ロストテクノロジーが不足している そうとなれば… 恐らく あそこまでの技は出来ない」
隊員Cが言う
「恐らくって言った…」
隊員Fが言う
「…っと言う事は?」
隊員Bが言う
「それじゃー ハブロス司令官の あの時のあの技はー ロストテクノロジーを使ってたって事でありますかー?少佐ぁー?」
隊員Bがハイケルへ振り向く ハイケルが言う
「どうやら その様だな バイスン隊員」
隊員Bが言う
「なんだー そうだったんだー?」
アースが言う
「当然だろう?間違っても 天使や悪魔の様な 彼ら古代人のロストテクノロジーを相手に 現代の我々人間の技術や力で叶う筈がない 増して 私はお前たち機動隊員とは異なる 非戦闘員だぞ?」
隊員Bが言う
「あー そう言えばー?俺 あんまりにもハブロス司令官の技が凄いんで すっかり 忘れてましたでありますー」
隊員Aが苦笑して言う
「けど むしろ その非戦闘員の司令官が ロストテクノロジーの あの衝撃に耐えたって言う方が 凄いと思うけど…」
アースが衝撃を受ける 隊員Cが衝撃を受けて言う
「アラン隊員 お前 今日はまた 凄い人に対して いつもの技を…」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「えっ!?俺 また 何か…?」
隊員Bが言う
「あー そう言えばー?俺ら吹っ飛ばされちゃう位だったのにー?あの時1人だけー 何で大丈夫だったんでありますかー?非戦闘員のハブロス司令官ー?」
隊員Bがアースへ向く アースが言う
「それは…っ」
隊員Bが言う
「それはー?」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「げっ!?この感じは いつものっ!?」
隊員Cが言う
「相変わらず 地雷を…」
隊員Aが慌てて言う
「いやっ!それより!ハブロス司令官っ!?全員 帝国の門の中へ入りましたがっ!?ここからは…っ!?」
アースが言う
「ああ、そうだったな 時間を無駄にしない為にも 今はこちらを優先するべきだろう」
隊員Aがホッとして言う
「あぁ… 助かった…」
隊員Nが言う
「この道 結構長いんだよなぁ?」
ハイケルが言う
「走れば大した時間は掛からないが 今回は ハブロス司令官を含め 天使や神と呼ばれる者と 計2名の非戦闘員が同行する 従って」
ラミリツが言う
「そう言えば ハブロス司令官は 毎日通っている道だよね?いつもは?…歩いてるの?ちょっと意外なんだけど?」
アースが言う
「決して歩かれない距離ではないが 出来れば歩きたくは無い距離だ そして 最も重要な問題として その時間が無駄になるだろう?」
ラミリツが言う
「それじゃ?」
ART1隊員たちが顔を見合わせる アースが一度目を閉じてから意識を集中させて通路の壁を見て言う
「今日は お前たちも居るとは言え 3機もあれば足りるか?」
通路の先で動きがある 隊員たちがハッとして顔を向ける

【 ART司令塔 】

オペ子Aが言う
「ART1及びART2隊員らの生体反応 帝国門前から進行」
オペ子Aが顔を上げるとモニターに映っていたハイケルのカメラの映像が砂嵐になる オペ子Aが思わず言う
「あ…っ」
グレイゼスが言う
「お?やっぱり 帝国内の映像は見られないか… じゃぁせめて 音声だけでも …無線解析状況をメインモニターへ!」
オペ子Bが言う
「了解 中佐 無線解析状況をメインモニターへ表示 無線受信レベル 最低ラインにて受信を確認」
オペ子Bがコンソールを操作する グレイゼスがコンソールを操作しながら言う
「映像に関しては 録画映像が再生出来る事を願うしかないが 無線に関しては…」
オペ子Aが微笑して言う
「いつも帝国にいる ハブロス司令官と通信を繋いでいますから 無線に関しては安心ですね?中佐?」
グレイゼスが言う
「隊員たちが使う 無線イヤホンへの周波数とは異なるけど 中継器さえ上げてあれば それこそ 通常の電話さえ可能だからな?これも マスターベイゼスの技術提供があっての 劇的進歩だよ」
シーナがやって来て言う
「マスターグレイゼス中佐!ART1SPメンバー シーナ隊員!只今戻りましたっ!」
グレイゼスが振り返ると シーナの姿に一度驚いて衝撃を受けてから 苦笑して言う
「あ、ああ…っ お帰り シーナ隊員 その… 相変わらずハデに 大活躍だったね?」
シーナが言う
「はいっ!今回も ハブロス司令官に待機命令を受けましたがっ!その今回も ここぞと言う所で ハデに使う予定だから すぐに出動出来るように バイクに乗って待機して居る様に …との指示を受けましたので!それこそノリノリで待機していられました!」
グレイゼスが苦笑して言う
「そ、そう だったんだ?”ノってるか?”って… ”バイクに乗ってるか?”って 事だったのね?」
グレイゼスが思う
(なるほどね?そりゃぁ… 冷静に黙ってろと言われる訳だ?…いや それより そもそも…)
シーナが言う
「はいっ!私はマシーナリーはもちろんですがっ!元々 バイクや車などの機械物が大好きなので!アールスローン史上 最高のバイクと言われている ガワザギのバリバリに乗って 最高のソウルを込めて 待機していましたっ!」
グレイゼスが苦笑して言う
「そ、そう?それは… 良かったね?バイクも最高のを用意してもらってたなんて… そりゃぁ 最高のソウルも篭る訳だ?」
グレイゼスが思う
(そもそも… その… 最高とか ソウルとか ノってるとか そう言うギリギリの言葉を 使わないと言う選択肢は あの人には無いのかって 事なんだけど…?)
シーナが言う
「しかも 今日は その上にっ!最高のギターを聴きながらの 任務でしたので!」
グレイゼスが衝撃を受ける シーナが言う
「それこそ さいっこーでしたっ!」
グレイゼスが言う
「そ、そう…?それは もう… さ、最高も最高だったねっ?」
グレイゼスが思う
(ああ~っ!?それに関してはっ?どう 誤魔化すつもりなんですかー!?アニキ様ーっ!?)
シーナがハッとして言う
「あっ!し、失礼しましたっ マスターグレイゼス中佐!私 つい…っ その… 最高のノリにノッてしまっていたもので…っ こんな趣味に走った話を 中佐にするなんて… しかも 就業中にっ いけませんでしたっ!申し訳ありませんっ!」
シーナが頭を下げる グレイゼスが慌てて言う
「あぁ~ いやいやっ!ま、まぁ その… 任務の達成報告だよね?何はともあれ 任務は最高に成功だったし!ご、ご苦労様っ!」
グレイゼスが苦笑して思う
(うん… 取り敢えず この話はこれで 終わりに出来るか?…就業中で 助かったぁ…)
グレイゼスがホッと息を吐く オペ子Bが言う
「ART機動隊員の使用無線 周波数を確認 受信処理開始 共に 送信処理の設定を開始します」
グレイゼスが反応してからシーナへ向いて言う
「ああ、それじゃ ART1隊長のハイケル少佐か 連絡が繋がったらハブロス司令官へも シーナ隊員の帰還は伝えて置くから ART1SPメンバーのシーナ隊員は この後も何時も通り待機していてくれ」
シーナが敬礼して言う
「了解!中佐!では この場は失礼致します!」
シーナが立ち去る グレイゼスが席へ戻りながら思う
(ART1SPメンバーか… 確かに物は言い様だよな?元々非戦闘員であるシーナ隊員では マシーナリーを用いての作戦でしか使えない そうとなれば勿論 マシーナリーを用いない作戦時には 必然的にART1の出動メンバーからは除外されてしまう …だけど それをネガティブに思わせない為の言い換え そして 彼女の趣味を生かした上での移動手段と 特別な銃火器の管理を任せている… 本当にここまで来ると)
グレイゼスが言う
「我らARTの司令官様は 最高の司令官様なのかもしれないな?」
オペ子Aが苦笑して言う
「中佐も 最高って言葉が 口癖になってしまったみたいですね?」
グレイゼスが衝撃を受け言う
「え?俺 そんなに …言ってる?それ?」
オペ子Aが軽く笑って言う
「結構 言ってますよ?」
オペ男Aが苦笑して言う
「気付いてないって事は それが口癖になってるって証拠ですよ?中佐?」
グレイゼスが苦笑して言う
「参ったなぁ 出来れば 俺まで それを口癖にしたくは ないんだけど…」
オペ子Aが言う
「特に 悪い言葉では 無いと思いますけど?最高と言う事は 一番優れているって意味ですし 任務で言えば大成功 って事じゃないですか?」
グレイゼスが言う
「それはまぁ 元々の意味はそうだけど それを単体で言っちゃうと なんかその… うっかり 別のものを連想してしまうというか… まぁ 特定の人に 言われなければ 良いんだけどさ?」
オペ子Aが疑問して言う
「特定の… と言いますと?」
オペ男Aが言う
「ART1で言うなら ナクス隊員とヴェイル隊員 それに SPメンバーのシーナ隊員だよな?」
グレイゼスが言う
「その3人なら 慣れて来たから もう大丈夫だけど… うん!そうだな!その3人だけなら」
グレイゼスが思う
(どうやら ハブロス司令官が言っていると言う事は 認識されていないみたいだ… それなら それで 本当に気にする必要もないからな?)
オペ子Aが考えながら言う
「後は…」
グレイゼスがハッとして慌てて言う
「ああっ!いやいや~っ えっと 諸君!?今はそのっ!」
グレイゼスが思う
(まずい 折角 認識されていなかったのにっ 俺が誘導してどうするっ!?だから ここは…っ!)
オペ子Bが言う
「無線処理完了 帝国内の ART機動隊員との無線通信 繋ぎます」
グレイゼスがハッとして言う
「そうそう!今は就業中で しかも 任務サポート中だから!?雑談はここまでで~」
オペ子Aが気付いて言う
「あ、そうでした すみません」
グレイゼスが言う
「いや もちろん 多少は構わないよ?それこそ このARTのトップである ハブロス司令官だって いつも~」
無線から隊員Fの声が聞こえる
『最っ高-っ!』
グレイゼスが衝撃を受ける 皆が疑問して オペ子Aがコンソールを操作しながら言う
「今の声は… ART1の…」
オペ男Aが苦笑して言う
「どうやら 最高が口癖のメンバーが また1人増えたみたいだな?」
オペ子Bが言う
「はい ART1フレッド隊員が追加で これで最高が口癖のメンバーは ハブロス司令官を筆頭に 6人ですね?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「筆頭に入ってたのっ!?」
隊員たちが笑う

【 帝国 通路 】

隊員Fが感激した状態からハッとして羞恥して言う
「…あっ あぁっ つい…」
隊員Nと隊員Vがノリで続いて言う
「「最高ー!」」
隊員Fが苦笑する ART機動隊員たちが マシーナリー3機の手や肩に乗って移動している ハイケルが周囲を見てから言う
「コックピットには誰も入っていない そして…」
ハイケルが顔を向けると 隊員Cが呆気に取られて周囲を見ている 近くに居る隊員Dが言う
「誰も操縦してないのに 何で動いてるんだ…?」
隊員Cが言う
「それに マシーナリーの遠隔操縦が出来る マスターも居ないのに…?」
隊員Bが疑問して言う
「サッちゃんはー?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「出来る訳無いだろっ!?そもそもそれが出来る程だったら 俺はART1に居ないってーのっ!」
隊員Aが言う
「サキは マシーナリーの起動が出来るだけの 最低限のマスターだもんな?」
隊員Cが言う
「へいへい そうですよ 最低限で結構です~」
隊員Bが言う
「えー?それじゃー?」
隊員Aが言う
「遠隔操作の出来るマスターも コックピットに入っている操縦者も居ないのに 動いているって…?」
ハイケルがアースへ向く アースが疑問する ラミリツが周囲を見てからアースへ言う
「つまり 今日は3機だけど 数は兎も角 これがいつも ハブロス司令官が使ってる 移動の方法って事だよね?」
アースが言う
「そうだな?」
ハイケルが言う
「では やはり これらのマシーナリーは 貴方が操縦しているという事なのか?それも遠隔操作で 3機を同時に?」
皆がアースへ注目する アースが言う
「いや?確かに 彼らを起動させたのは私ではあるが 動いているのは彼らの意思だ そうとなれば 私が操縦しているという事には ならないだろう?」
皆が呆気に取られ ラミリツが言う
「え?それじゃ…?」
アースが言う
「私は彼らへ 命令を与えただけだ」
皆が衝撃を受け ラミリツが言う
「命令を…って それは確かに 与えてたけどさ…?」

回想

アースが言う
『今日は お前たちも居るとは言え 3機もあれば足りるか?』
通路の先で動きがある 隊員たちがハッとして顔を向けると 壁からM420が3機起動する 隊員たちが驚き ラミリツが言う
『420マシーナリーっ!?』
ハイケルが言う
『相手は3機か ならばっ』
ART機動隊員たちが身構える アースが言う
『待て 彼らは 私が呼び寄せた者だ』
皆が呆気に取られ ハイケルが言う
『貴方が…?』
隊員Bが言う
『えー?呼び寄せたって 起動させたって事でありますかー?少佐ぁー?』
隊員Fが呆気に取られて言う
『それも キーネックレスもなしに?』
M420、3機が皆の前にやって来る 皆が怯えると アースが微笑した後M420へ向いて言う
『良く来てくれたな 諸君 早速ですまないが 私を含むこちらに居る者たちを 玉座の間へと運んでくれ 命令だ』
M420、3機のグリーンシグナルが点滅してから上体を下げる 皆が驚くと アースがM420の手の平へ向かい振り返って言う
『では行くぞ …どうした?お前たちも 命令を与えてやらなければ 動かれないのか?』
皆が呆気に取られ各隊長へ向く ハイケルとラミリツが顔を見合わせた後 隊員らへ向く

回想終了

ラミリツが苦笑して言う
「まさか 本当に”アレだけで” って事は無いよね?ハブロス司令官?」
アースが言う
「私が行った事は 本当に ”それだけ”だが?」
皆が衝撃を受ける ハイケルが言う
「そうなのか?」
ラミリツが言う
「いや まさか?だって マシーナリーを動かすには キーネックレスはもちろん 今なら神経接合ユニットとか… …持ってないみたいだけど?」
ラミリツがアースを見る アースが無言で肯定する ハイケルが言う
「もしくは 99%のナノマシーンを保有する マスターたちであれば そして 最低限のマスターではなければ」
隊員Cが衝撃を受ける 隊員Bが笑う
「にひひ…」
隊員Cが言う
「少佐にまで…」
ラミリツが言う
「高位富裕層のハブロス司令官が マスターな訳ないだろ?分かれよ 普通?」
ハイケルが言う
「そうだったな では?」
ラミリツが言う
「それに 大体 そのマスターたちだって 遠隔操作が出来るのは 1人が1機で精一杯だって言うし それじゃ… 本当に?」
アースが言う
「”本当に” 私は彼らへ 命令を与えただけだ」
皆が困惑して顔を見合わせる アースが言う
「特に 可笑しな事では 無いだろう?何故 不思議に思う?」
皆が衝撃を受け ラミリツが慌てて言う
「いやっ 可笑しいでしょっ!?大体 ハブロス司令官なら 一番知ってるよね!?このマシーナリーを ナノマシーンを持たない僕らで 動かせるようになるまでに どれだけ苦労したかっ!?」
アースが言う
「そちらに関しては 巨額の費用と時間を費やしたからな?もちろん 認識している」
ラミリツが言う
「だったら 可笑しいってっ!?」
アースが言う
「その当時であっても そちらの研究開発を行っていた 国防軍マルック駐屯地へマシーナリーを持ち込んでいたのは 私であった筈だが?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「あ…っ」
アースが言う
「そもそも 費用や時間を費やし 苦労をしたのは 彼らをナノマシーンを持たない我々が ”操作する為の方法”であって そちらは 現在であっても その為の道具や訓練を行っていない 私では出来ない事だ」
ラミリツが言う
「え?それじゃ…?」
皆がマシーナリーを見る アースが言う
「だから 言っただろう?私は彼らへ命令を与えただけだと マシーナリーは機械ではあるが その彼らへは 魂を込める事が出来る」
ハイケルが言う
「魂を…?では あの時の無線の指示は そう言う事だったのか?ハブロス司令官?」
アースが言う
「そう言う事だ」
ハイケルが間を置いて言う
「…了解」
ラミリツが視線を逸らして言う
「魂…」
アースが隊員Bへ向いて言う
「ああ、そうだったな?バイスン隊員」
皆が衝撃を受ける 隊員Bが喜んで言う
「はーっ!ハブロス司令官ーっ!」
アースが言う
「先ほどのお前からの問いであった あのロストテクノロジーの衝撃に 非戦闘員である私が 何故耐えられたのかと言う そちらの答えだが」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「えっ!?掘り返された…っ!?」
隊員Bがハッとして言う
「あー!そうでしたでありますー!俺 教えてもらえないと思って 諦めてましたでありますー!ハブロス司令官ー!」
アースが言う
「時間を浪費しない為に 後回しにしていただけだ それと共に 返答として 相応しい言葉を模索していたのだが 残念ながら そちらを導き出す事が出来なかった」
隊員Bが言う
「えー?それじゃー?」
隊員Aが苦笑して言う
「それでも バイちゃんの質問に 答えようと考えてもらえてたって言うだけでも 凄い事だよ」
隊員Iが言う
「それに バイスン隊員も 凄いよな?あのハブロス司令官に名前を呼んで貰って 普通に話せるんだから」
隊員Fが言う
「ああ、本当に」
隊員Cが表情を落として言う
「俺は 呼ばれたくないんだけど…」
隊員Aが苦笑する アースが言う
「…とは言え 今後の作戦の中に置いて ともすれば お前たち自身がロストテクノロジーを 使用すると言う可能性は否めない よって 私はそちらを使用する際の心構えとして 例え明確ではなくとも そちらの術を伝えて置くべきであると 判断をした」
皆がハッとしてアースを見る アースが皇帝の杖を見てから言う
「ロストテクノロジーはそもそも 彼ら古代人の技術であり その彼らが使用する武器だ 従って そちらを使用する方法も 彼らの言葉で言うのなら ”己の精神力を使え” との事だったのだが… それでは分からないだろう?」
隊員Bが言う
「精神力ー?」
隊員Nが言う
「何となく分かるっちゃぁ分かるけど…」
隊員Vが言う
「それを使えって言われてもなぁ?」
ラミリツが考えてから言う
「精神を研ぎ澄ませ …とかは 言われるけど その力を使えって言われても …ちょっと分からないかな? …それじゃ?」
ハイケルが言う
「貴方はそれを どの様にして使ったんだ?ハブロス司令官」
隊員Aが反応して言う
「もしかして また 命令で …とか?」
隊員Fが苦笑して言う
「そうと言われたら それこそ もう 俺らでは使えそうにない様な…」
アースが言う
「命令に関しては その言葉の通り ”命の規律を示す”と言う 明確な説明が出来るが 精神力に関しては その様に説明が付くものではない」
ハイケルが言う
「命の規律を示す…」
隊員Nが困って言う
「やばい 俺 アニキの言葉が難しくて 理解出来なくなって来た」
隊員Vが言う
「けど そんな アニキでも明確に出来ない 精神力って何だろうな?」
隊員Nと隊員Vがアースへ向く ラミリツが一度隊員Nと隊員Vへ視線を向けてからアースへ戻す アースが言う
「更に言えば こちらに関しては 非戦闘員である私よりも むしろ機動隊員である諸君の方が その力は高いものと思われる そうとあれば 諸君もまた 必要時に置いては ロストテクノロジーを使いこなす事が可能である筈だ そして そこに必要な ”精神力”とは 単純明確にして 一言で 言ってしまえば」
皆が集中する アースが言う
「気合だっ」
隊員たちが衝撃を受けて言う
「「えっ!?」」
アースが言う
「以上だ」
ハイケルが言う
「了解 司令官」
ハイケルとアース以外の皆が転び ラミリツが言う
「いや… ちょっと…?ハブロス司令官?」
ハイケルが言う
「実に 単純明確な一言だった 流石は我々ARTのトップにして…」

【 ART司令塔 】

グレイゼスが表情を引きつらせている ハイケルの声が聞こえる
『最高の司令官だ ハブロス司令官』
グレイゼスが言う
「いや… 今ので その最高から 大分下がった様な…?」
周囲の隊員たちが苦笑している アースの声が聞こえる
『ちなみに 何の根拠も無いのだが そちらが先ほどの お前の質問へ対する回答でもある 分かったか?バイスン隊員?』
隊員Bの声が聞こえる
『はーっ!了解!司令官ー!分かりましたの 有難う御座いますでありますーっ!ハブロス司令官ー!』
隊員Aの声が聞こえる
『良いのっ!?』
グレイゼスが苦笑しながらコンソールを操作して言う
「いやいや 待って下さいよ?」
グレイゼスが思う
(あの時のシーナ隊員のマシーナリーに残されていた空間データからして ART機動隊員たちや あの場所に居たハイケルのデコイたちは マッハ1の衝撃波を受けていたんだ そして それを真正面で抑えた筈の ご本人の説明がそれと言うのは… うん?真正面から抑えた?)
グレイゼスが苦笑して言う
「…まさか」
グレイゼスが思う
(あれは 相手からのロストテクノロジーによる攻撃を ハブロス司令官が抑えたのではなくて 双方が放った事によって起きた衝撃かっ!?だから それを放った中心地点に居た 本人たちが無事で 周囲の者たちが吹き飛ばされたと言う事っ!?そして…っ)
グレイゼスが言う
「それ程の事を 気合で行ったと…」
グレイゼスがモニターを見る オペ子Bが言う
「無線受信レベル低下っ 補助プログラムを展開します!」

【 帝国 玉座の間 】

アースが言う
「到着だ 総員 マシーナリーを降り 前方 アールスローンの悪魔の前へと向かえ」
隊員たちが衝撃を受けて言う
「ア、アールスローンの悪魔って…」
隊員たちがネロを見る ネロが衝撃を受けて言う
「我は 悪魔では在らずと…っ 幾度となく 申して居ろう ハブロ?」
ART隊員たちが驚いて言う
「えっ!?あの天使は…っ」「何で アールスローンの帝国にっ!?」
ART隊員たちがアースを見る アースが言う
「そちらこそ 好い加減 その中途半端な呼び方を止めたらどうだ?仮にも 悪魔だろう?」
隊員たちが衝撃を受ける ネロが言う
「”仮にも 神”と申さぬかっ」
ART隊員たちが呆気に取られている前で 皇帝がネロの下へ向かいながら言う
「うむ!流石は アールスローンの真の神 ネロである!我が居らず アースも居らずと このアールスローンの防衛が危うきと在らば その方とあらば 自ずと そちらをこなしてくれようと 我は一辺の疑いも持たずして 目的の下へと向かう事 叶いしや?」
ラミリツが衝撃を受けて思う
(え?それって つまり… 誰にも代わりを頼む事をしないで 防衛を放棄してたって事…?)
ラミリツが視線を向ける ネロが言う
「いや せめて一辺たる言伝は 置くべしや… 漸く力取り戻したるは この城の警報に 飛び起こされし 真 騒々しき目覚めであった」
隊員Cが言う
「何かもう 何処も突っ込む気になれねぇ…」
隊員Aが苦笑して言う
「そもそも あの様子じゃ どっちが 本当の神様なんだか分からないしな…?」
アースが言う
「どちらでもない」
隊員たちが衝撃を受ける 隊員Cが言う
「最強の突込みが入った」
アースから礼を言われた3機のマシーナリーたちが去って行く アースがネロと皇帝の下へ向かいながら言う
「とは言え 我々現代の人間を越える ロストテクノロジーの力を持つ 古代人である事は確かだ 従って 彼らの呼称は 神でも天使でも悪魔でも 好きに呼んだら良いだろう」
ラミリツが言う
「そうは言われてもさ?色々あったら分かり辛いし …なら ハブロス司令官は 何て呼んでるの?確か…」
アースが指差しながら言う
「私は単純明確に 皇帝と …悪魔」
ネロが衝撃を受けて言う
「ネロ・アーク・フォライサー殿と 呼んで居ったであろうっ?」
アースが言う
「ああ そうとも呼んだか?」
ラミリツが苦笑して言う
「そう… なら それで 良いんじゃない?それで統一って事で?」
アースが言う
「そうだな では そちらで統一だ」
隊員たちが思う
((どっちだろうっ!?))
アースが言う
「では 早速だが 貴方の城へ向け ゲートを開いてくれ 混沌と破壊の力を持つと言われる 仮にも神であるならば 出来るだろう?」
ネロが言う
「そちらは仮ではあらずして 成れば無論 可能と在る」
隊員Bが言う
「それじゃー あっちの神様はー?」
皆が皇帝を見る 皇帝が微笑して言う
「我は 愛と平和の…」
アースが言う
「使えない 神っ だろう」
皇帝が衝撃を受けて言う
「力失いし 神 であるっ」
隊員たちが衝撃を受ける 隊員Aが言う
「やっぱり ハブロス司令官の最高の突込みには 付いていけないな?サキ?」
隊員Cが言う
「いや あれは付いて行っちゃ駄目だろ?」
隊員Fが言う
「何しろ 相手は 神様だもんな?」
隊員Bが言う
「えー?」

【 ネロの城 】

玉座の間

ネロとアースと隊員たちがゲートを抜けて来る アースが周囲の様子を見てから言う
「長居は無用だ 早速先日置き去りにしたマシーナリーを持ち帰るぞ 特に問題は無い筈だが 各自にてマシーナリーの状態を確認しろ」
ラミリツが言う
「了解 司令官」
ラミリツがART2隊員たちを見る ART2隊員たちが言う
「「了解!司令官!」」
ハイケルがART1隊員たちを見て言う
「ART1も同じだ」
ART1隊員たちが言う
「「了解!司令官!」少佐ぁー!…あれ?どっち?」
ART2隊員たちがマシーナリーへ向かう ART1隊員たちが困惑してからマシーナリーへ向かう アースが様子を見てから言う
「貴方も アールスローンから この場所へのゲートを 開く事が出来たのだな?」
ネロが言う
「言うまでも無かろう?」
アースが言う
「ならば わざわざ アウターへ異常電波やマシーナリーを用いるような事をせずとも 直接 マシーナリーを送り込む事も出来た筈 そうとあれば 何故…?」
ネロが言う
「異常電波に関しては その力 我が力にあらずして」
アースが反応して言う
「うん?そうだったのか?」
ネロが言う
「かの力こそ 我らの神たる者の力ぞ」
アースが言う
「貴方方の 神の力?…そうか では…」
ネロが言う
「過去 我らは力合わせして その力たるものを防ぐ術を得し 神への購いを行った それが凡そ900年前の事 かのペジテ王国が栄えに在りし頃の事」
アースが言う
「その時に一度 そのペジテ王国を含む この世界に生きるものと 貴方方の神との戦いが行われたのだったな?そして 貴方を含むこの世界の者は 神に敗北した」
ネロが言う
「当時はその方らの力など 真僅かなる物であった しかし 代わりに多くの我ら天の使いが この世界の人々を見守っていた その我らが力合わせるとなれば 神さえもを討てしと 思い上がって居ったのだ」
ラミリツがやって来て言う
「それって つまり ロストテクノロジーを使う古代人が 沢山居たって事だよね?」
アースが言う
「ロストテクノロジーや古代人は その時代に生きていた人々より 更に前に存在した者らだ そうとなれば お前が想像する 沢山と言う程では無かっただろう」
ラミリツがアースを見る アースがネロを見ると ネロが言う
「そうよな 当時は その我らが見守りし人々の国の数だけ 天の使いは存在した そして その国の者たちは 己らの天使の事を神と呼び 奉って居った」
ラミリツが言う
「そうだったんだ?それじゃもしかしたら それで天使や神様って言葉が 生まれたのかもね?」
アースが言う
「そうかもな?その当時の人々が その様に言わなければ それらの言葉は 生まれなかったのかもしれないな?」
ネロが言う
「なればもう 古代人にて 構わぬ」
アースとラミリツがネロを見る ネロが言う
「お前たちの申す通り 当時に死に絶えた 我が国の民らにとってこそ 我は神であり天使であり そして 悪魔であったのだろう 彼らを守る筈の我らが 引き起こせし争いにて 彼らの身を失わせてしまった」
アースが言う
「身を?では 命はどうなった?」
ラミリツが言う
「命はって…?それは 身が …身体が失われたら 同じでしょ?」
アースが言う
「それが 我々の認識とは異なり 神と名乗る古代人たちにとっては 違うものらしい」
ラミリツが言う
「え…?それじゃ…?」
ネロがハイケルを見て言う
「従いて 我は 彼らの為に 新たなる身を作った… されど 我が力にて生まれし 器の上に 彼らの命たるモノ乗る事や 叶わずと …そう お前以外は」
ハイケルが呆気に取られて言う
「私が…?」
ラミリツがハイケルを見る ネロが苦笑して言う
「何故 お前一人の身の上にのみ 我が民の命たるが乗りし事叶うのか …我には果せぬ力 恐らく それが その方らの神とある 奴の力たるもの」
ラミリツが言う
「僕らの神って言うのは やっぱ…?」
ラミリツがアースを見る アースが言う
「あの皇帝の事だろう」
ラミリツが言う
「だよね?そっか アールスローン戦記の原本にあったのは この事だったんだ?」
ハイケルが言う
「では 私は…?」
ART1、ART2マシーナリーたちがやって来て M隊員Bが言う
「少佐ぁー!ハブロス司令官ー!マシーナリー問題なしでありますー!」
Mシュナイゼルが言う
「ART2のマシーナリーも同じく 異常はありません!司令官!」
アースが言う
「よし では お前たちのマシーナリーも 起動を済ませ アールスローンへ帰還するぞ」
ラミリツが言う
「了解!司令官!」
ハイケルが言う
「了解」
ラミリツとハイケルがそれぞれのマシーナリーへ向かう アースがネロへ向いて言う
「皇帝とは異なり 貴方の方が 話が出来るな?」
ネロが言う
「奴とて 真 伝えんと思いしや 伝える事叶うとあろう されど 奴は… 奴の力たるものに しばし 阻まれる事有りして」
アースが言う
「力に…?」
ネロが言う
「己の民たるその方を 想わんが為 生じる力ぞ 故に …悪くと思うな」
アースが言う
「私を想う事で 生じる力?確か 皇帝の持つ力とは…」
外部で轟音が轟く アースと皆が驚き ハイケルとラミリツが立ち止まる アースが言う
「何だ?今の音はっ?」
アースがネロを見る ネロが表情を険しくする

門前

閉じられた門の前に 他国の風貌の男と天使の翼を持つ者が居て 天使の翼を持つ者が 門へ向けて火の玉を数発投げ付けてから首を傾げて言う
「ピュポロ~?」
他国の風貌の男が 天使の翼をもつ者へ横目に視線を向ける

玉座の間

空間モニターに門前の様子が映し出されている アースがモニターを見て言う
「彼らは?貴方の知る者か?」
アースが振り向く アースの視線の先ネロが玉座に居て言う
「我が記憶に かの者らの姿は有らず」
ラミリツが呆気に取られて言う
「天使っ!?それにもう一人の方も 見た事が無い容姿だよ?アールスローンはもちろん メルシ国の人でも マリアさんたちの ウィザードたちの国でも あんな姿の人は見た事が無いっ」
ハイケルが言う
「私も同じだ ヴァンパイアたちの国にも あの様な姿の人間は見なかった」
モニターの中で 天使の翼をもつ者が火の玉を数発投げ言う
『ピュポ~…』
ラミリツが言う
「あの天使は あの城扉を開けようとしているみたいだけど?」
モニターの中で 他国の風貌の男が言う
『なら 俺がやる ペリーテ 剣だ』
ペリーテと呼ばれた天使の翼を持つ者が言う
『ピュポポ!…ピ!』
アースとラミリツとハイケルが驚く

門前

他国の風貌の男が巨大剣を構えて言う
「んじゃ いっちょっ…!おりゃぁああーっ!」
他国の風貌の男が巨大剣を振り上げ 城門へ向けて振り下ろすと 巨大剣から火炎波が放たれ扉へ向かう

玉座の間

轟音が轟く アースとラミリツとハイケルが轟音に周囲を見てから アースが言う
「とても 友好的であるとは言い難いが …何か情報は?」
アースがネロを見ると ネロが言う
「我に解せる事は あの者らは 他の土地より訪れし 神へ仕えし者のクローンと 神に選ばれし 人であると言う事」
ラミリツが反応して言う
「神へ仕えし者のクローンって もしかして?」
ラミリツがアースを見る アースが言う
「あの レイ・アーク・フォライサーと 同じであると言う事か?しかし 彼の場合は我々と同じ言葉を用いるが?」
ネロが言う
「原理は同じく されど 今ここへ訪れし かの者は 果てなく劣化したるクローン… かのレイ・アーク・フォライサーより 遥かに劣る 恐らく 意図的に量産されし者とあろう」
ラミリツが言う
「それならっ!?」
轟音が響く アースが言う
「そうだな 何にせよ このまま放っておく訳にも行かないだろう この場所は… 過去に滅んだ アールスローン王国 そして 現代の我々の仲間の国でもある」
ラミリツがネロを横目に見てから頷いて言う
「だよね?」
ハイケルが言う
「作戦は?」
ラミリツがハイケルを見てからアースへ言う
「相手は2人みたいだけど?」
ハイケルが言う
「片方は剣だが 片方は…」
アースが言う
「素性の知れない相手だ そうとなれば まずは 私が向かう」
ハイケルが驚く ラミリツが思わず声に出して驚いて言う
「え…?何言ってるのっ!?」
アースが言う
「現状に置いても 相手の気性ランクはAランクからSランク いちじるしく好戦的と言える要素を見せている しかし だからと言って こちらもそれに合わせては 同レベルと言う事になる 我々ARTは戦いの為の部隊ではあるが 決して 戦いを引き起こす為の部隊ではない」
ラミリツが言う
「だからってっ!?1人で行くなんて駄目だよっ!?ハブロス司令官!?」
アースが苦笑して言う
「もちろん?非戦闘員の私が 1人で とは言わない あちらが戦力を有する者2名となれば こちらも 同じく戦力を有する2名を連れて行く」
ハイケルが言う
「2名を… では?」
ハイケルとラミリツが顔を見合わせる ラミリツが頷く

門前

他国の風貌の男が 巨大剣を担ぎ上げて言う
「…頑丈なドアだなぁ もしかして ドンピシャで 野郎が居る国にでも 当たったのか?」
ペリーテが言う
「ピピョロー!」
他国の風貌の男が疑問して言う
「うん?誰か来るって?…ん?」
他国の風貌の男が顔を向けると城門が開く 他国の風貌の男が一瞬ハッとした後 巨大剣を構え直して顔を向けると 視線の先 アースが歩いて来て立ち止まり 一瞬間を置いてから言う
「私は アールスローン帝国軍 レギスト特殊部隊 司令官 アース・メイヴン・ハブロスだ」
アースの左横にハイケルβが居る ART隊員たちが空間モニターを見上げている アースが言う
「可能であるなら 貴方の名と この国へ訪れた そちらの理由を」
隊員Cが思う
(いや そんなモンより 何よりも…っ)
アースが言う
「確認させて頂きたいのだが?」
隊員Cが強く思う
(何で 連れて行く2人の片方に 俺を選んだのか!?そっちの理由を 確認させてもらいたいんですけどーっ!?司令官ーっ!?)
アースの右横に 隊員Cが青ざめて居る アースの後方で城扉が閉まる 

玉座の間

Mラミリツの中 ラミリツがモニターを見ていて言う
「いくら僕らが それぞれの部隊の隊長だからってっ!?こんな時の為に 副隊長だって居るんだしっ そもそも 連れて行くのが アンタのデコイと あの最低限のマスターって どう言う事っ!?」
Mラミリツが顔を向けると Mハイケルが言う
「正確な理由の程は不明だが マスターラキンゼス隊員は 普段は最低限のマスターではあるが 以前には 私を あのネロ・アーク・フォライサーの攻撃から ナノマシーンの力を用いての回避を行った事がある そちらを考慮すれば」
ラミリツが言う
「それじゃ その時みたいにっ!?ハブロス司令官は ”攻撃の回避の為に” マスターラキンゼスを使うって事っ!?それで 攻撃は アンタのデコイにさせるとでも言うのっ!?」
Mハイケルが言う
「私のデコイを用いての そちらは確かに可能ではあるが 以前の戦いを考慮すれば 恐らく戦力としては使えないものと思われる あれは動きはするが 戦力は この私よりも劣る」
ラミリツが言う
「剣を使っての攻撃だったら むしろ 僕の方が上だよ!?だったらどうしてっ!?」
モニターから他国の風貌の男の声が聞こえる
『俺は ログウェルン ファーストクラスター ウィルシュ』
ラミリツがモニターを見て疑問する ART1隊員たちが仲間とのモニターで顔を見合わせる アースの声が聞こえる
『ログウェルン?聞いた事の無い言葉だ』
ウィルシュが言う
『こっちだって アールスローンなんてのは 聞いた事が無い …それに俺の知る帝国は そんな名前じゃないからな?』
アースが言う
『では その様な貴方が 一体何の用があって この国へ来られたのか?』
ウィルシュが言う
『ああ、別に この国だろうが 何処だろうが構わないっ 俺は リジル様に許可を得て このプラントの手頃な所を ぶっ潰しに来ただけだ』
隊員Bが別モニターへ向いて言う
「プラントって何ー?アッちゃんー?」
モニターに映っている隊員Aが言う
『いや 全然分かんないよ バイちゃん それに多分 皆だって…』
隊員Bが言う
「えー?それじゃー?」
隊員Bが周囲を見た後モニターを見る

門前

アースが意識の中で言う
《”プラント” とは? ”リジル様” と言う者は?分かるか?ネロ?》
アースの意識の中にネロの声が聞こえる
《それらは 真 神の領域たる事… されど今は その方へと 伝えよう》
アースが視線を強める ウィルシュが苦笑して言う
「…って 言った所で 分からないだろうな?そりゃ そうだろうぜ?アンタは ”ここに居る”… つまりは 唯の…」

玉座の間

モニターの中でアースが言う
『なるほど?つまり貴方は 貴方方の ”神の傍に仕える者” であると?』
ウィルシュが反応する 皆が驚く 隊員Bが言う
「えー!ハブロス司令官は 分かるみたいだよー!?アッちゃんー!?」
隊員Aが呆気に取られて言う
「あ、ああ…?そうみたいだな?」
ラミリツが驚いて言う
「”神の傍に”って…?」
ハイケルが視線を強める 隊員Bが言う
「すっげー さっすが 司令官ー!何でも知ってるんだー!?」
皆がモニター内のやり取りに注目している ネロが沈黙して思う
(その知識 与えはしたが… そちらを用いて 如何にする?ハブロ…?)
ネロが空間モニターを見る

門前

アースが言う
「ちなみに このプラントでは その者らの事は アークと呼ぶ」
ウィルシュが反応して言う
「っ!…なるほど なら お前は知っているか?カイ・アーク・フォライサーって 奴をっ!」
アースが反応する

玉座の間

ラミリツがハッと驚いて言う
「カイ・アーク・フォライサーってっ!」
ラミリツが思う
(それは マリアさんのウィザードさまである 彼の…っ!)
皆がMラミリツへ向き ハイケルが言う
「知っているのか?ラミリツ隊長?」
ラミリツがモニターに映っているハイケルを一度見てから視線を泳がせて言う
「それは…っ …知っていると言うか その人が…っ」
ラミリツが思う
(レイ・アーク・フォライサーと言うクローンの ”元の人の” 名前だって事っ なら それで?…その事は報告書にも書いたっ だから ハブロス司令官も知ってるっ でもっ!?それを どうするのっ!?)
ラミリツがモニターを見て思う
(ハブロス司令官っ!?)

門前

ウィルシュが視線を強める アースが思う
(こちらが同等の知識を有する者だと言う そちらの認識を与えてやろうと言う作戦だったが… 意外な返答を得られたな?では そうとなれば…)
アースが間を置いて言う
「…面識は無いが その名は知っている」
ウィルシュが微笑して言う
「そうか?けど 知ってるんなら それだけでも十分だ お前は… そいつのせいで死ぬんだよ 自分が殺される理由が分かるだけ マシだろう?」
アースが言う
「ほう?名は兎も角 顔も知らない相手のせいで 命を奪われるとは そちらは不本意なのだが?」
ウィルシュが剣を構えて言う
「なら 精々あの世から 奴へ恨みでもぶつけるんだなっ!?」
アースが苦笑して言う
「生憎 例えそれが出来たとしても そちらを行うつもりは無い  私の命を奪うのが 貴方であるのなら 私はその貴方へと 恨みをぶつけるだろう」
ウィルシュが笑んで言う
「へっ!なら やってみろっ!?そんな事が怖くて ファーストクラスターを やっていけるかってんだっ!うおぉおおー!」
ウィルシュがアースへ襲い掛かる

玉座の間

ラミリツがハッとして言う
「ハブロス司令官っ!!」
皆がハッと息を飲む

門前

ウィルシュの巨大剣が人体を切り裂く ウィルシュが視線を上げ舌打ちをして言う
「チッ…」
アースが言う
「なるほど どうやら 本気ではあるようだ」
アースの前で ハイケルαが白い液体を流し倒れる

玉座の間

隊員Bが言う
「あーっ!少佐がーっ!」
ハイケルが言う
「私が1体死んだ」
隊員Aが苦笑して言う
「容赦なく 盾に…」

門前

隊員Cが青ざめて思う
(ヤ、ヤバイ…っ!もしかして次は…っ!?)
隊員Cがハイケルαへ向けていた視線をアースへ向けると アースが言う
「ファーストクラスターとは 即ち 神に選ばれた 無差別な 殺戮兵器であると言う事か?」
ウィルシュが言う
「違うっ!俺たちは 神に選ばれっ その ”神の遣いを得た人間”だ!だからこそ お前みたいな 唯の人間は 俺たちの判断で 生かすも殺すも自由だって事だっ 今度こそ…っ!」
ウィルシュが巨大剣を構える アースが言う
「”神の遣いを得た”…?なるほど?では そちらに浮いて見える者が その神の遣いか?」
隊員Cが身を引きつつ焦って思う
(んな どーでも良い様な事っ!?目の前で剣を構えられて置きながら 何で考えていられるんだっ!?それこそ このまま その天使様に 神様の所へ 送られちゃうかもしれないってのにーっ!?)
ウィルシュが笑んで言う
「ああ、そうだぜ?ペリーテは神から与えられた 天使様だ なんなら その天使様の力で送ってもらいたいか?それなら…」
アースが微笑して言う
「そうだな?そちらの方が 面白そうではある」
隊員Cが衝撃を受けて思う
(面白いってーっ!?何にも面白くなんか無いですしっ!?むしろ俺はっ!今直ぐ逃げ出したいんですけどっ!?)
ウィルシュが言う
「贅沢な奴だぜ?けど 良いぜ?それなら お前もそっちのも 全部纏めてっ!」
隊員Cが衝撃を受ける アースが言う
「それで 私や彼を殺して この国を潰そうと言うのか?そちらの理由に 先ほどのカイ・アーク・フォライサーが関係していると言う事だったが… このプラントの神の遣いであるアークが…?ともすれば 貴方のプラントへ何らかの危害を与えたと言う事か?」
ウィルシュが怒りと共に手を振り払って言う
「奴は!俺たちのプラントで ログウェルンの街を壊滅させやがった!それも 唯 奴の力を示す為だけに…っ だったら こっちも同じ事をして 俺の力を見せ付けてやるよっ!」
アースが言う
「同じ事を?」
ウィルシュが言う
「ああ そうだ!この国は丁度 壊滅させられたログウェルンの街と同じ位の規模だ 出来れば 野郎が管理していた国だったら 尚の事 良かったんだが この国に居るお前が 名前しか知らないって言うんじゃ 外れだったみたいだな?」
アースが言う
「そうか分かった」
ウィルシュが微笑してアースを見る アースが言う
「どうやら 貴方は… 救いようも無く 愚かな様だ」
ウィルシュが衝撃を受けて言う
「なっ!?」

玉座の間

隊員たちが言う
「「えっ!?」」
ラミリツが言う
「ちょっ!?…何言っちゃってるのっ!?ハブロス司令官っ!?」
モニターの中で アースが言う
『貴方方のプラントに有るその街を カイ・アーク・フォライサーが破壊した その仕返しに相手の土地で 同じ事をして見せようとは?そのような事をして何になる?そもそも貴方が その剣を向けるべき相手は カイ・アーク・フォライサー本人である筈だ しかし 貴方は 直接本人の下へ向かうのではなく 本人が居らず 知られもしていない 何の関係も無い この国を壊滅し それで憂さを晴らそうとは?ファーストクラスターと言う地位に居ながら 貴方は愚かなだけに留まらず 果てしなく弱い!』
ラミリツが思う
(そんな事言っちゃったらっ!)
ハイケルが言う
「流石は 悪魔の司令官 だ」
隊員Aが呆気に取られている 隊員Bが隊員Aへ向いて言う
『ねぇ アッちゃんー?大丈夫かなー?…サッちゃん』
隊員Aが唾を飲み込む

門前

ウィルシュが呆気に取られた状態から怒りを押し殺して言う
「…の野郎ぉっ!?」
隊員Cが顔面蒼白で硬直している アースが言う
「貴方がそれを行えば その愚かさは 貴方のプラントの神の失態となる だが 許可を得ていると言うのでは つまりは 貴方の神もまた その程度であるのか?もしくは 貴方の行いなど 予てより考慮していないか そのどちらかと言う事になるのだろう …それで?貴方はどうする?」
アースがウィルシュへ向き直って言う
「それでも 行うと言うのであれば 私を含む この国を守る全ての者が相手になるが?」
ウィルシュが言う
「面白れぇ… そこまで言われて 引き下がれるかよっ!?…ペリーテ!全力でコイツをぶっ潰すぞっ!」
ペリーテが喜んで奇声を発する
「ピュポロポー!」
アースが言う
「…なるほど 劣化したクローンには 思考能力さえないと言う事か」
アースが思う
(これまでの会話を聞いても 一向にライム色の それ以外の色が 現れないとは… まるでノリだけと言った所だな)
ウィルシュが巨大剣にペリーテの炎を纏わせる アースが思考状態から視線をウィルシュへ向ける ウィルシュが言う
「俺からも1つ言ってやるよ?俺はな…?てめぇみてぇに何の力も無ぇくせに 威張りこくって 部下に命令するだけの ”帝国の司令官”って奴が 大嫌いなんだよっ!死ねぇええーっ!」
ウィルシュがアースへ向け巨大剣を振り下ろす 隊員Cが悲鳴を上げて思う
(ひぃいいーっ!やられるうーっ!)
隊員Cが頭を抱えてしゃがみ込む

玉座の間

皆が驚き ラミリツが叫ぶ
「ハブロス司令官っ!」
隊員Nと隊員Vが叫ぶ
「「アニキーッ!」」

門前

火炎波が防がれる ウィルシュが一瞬疑問した後驚いて言う
「…なっ!?」
アースが拳を突き出し 火炎波を弾いた状態で言う
「ふん?やはり 弱いな?この程度とは」
ウィルシュが呆気に取られて言う
「う、嘘だろっ!?何で 唯の人間が!?俺とペリーテの力をっ!?」
ペリーテが楽しんで言う
「ピュポロポー!」
隊員Cがへたり込んでいて言う
「し、死ぬ…っ 俺 死ぬって…っ」

玉座の間

隊員Bが言う
「あー!あれはー!少佐ぁー!ハブロス司令官の技が また見られたでありますー!少佐ぁー!」
ハイケルが言う
「どうやらその様だな バイスン隊員」
ラミリツがホッとして言う
「な、なんだ…?あれって いつも出来るものなの…?それじゃ…?」
ラミリツが思う
(ハブロス司令官は 今も ロストテクノロジーを 使って…?)
ラミリツがモニターを見る 隊員Nと隊員Vが叫ぶ
「さっすが アニキーッ!」 「最高ーっ!」
隊員Fが苦笑して言う
「それにしても ロストテクノロジーを使うあの技を 気合の一言でやってるって言うのは… やっぱり ちょっと 見習おうにも…?」
隊員Iが苦笑して言う
「無理だろ…?増して この状況で?」

門前

ウィルシュが一歩下がる アースが言う
「これが最後の警告だ 愚かな仕返しは止め 直ちにこの場を立ち去る事だ 私は司令官 お前がこれ以上戦いを続けると言うのならば こちらも 相応の力を呼び付ける」
ウィルシュが下がろうとする足を止め 気を取り直して言う
「…ここで引き返す訳には行かねぇっ 同じ規模の仕返しじゃ足りねぇんなら… …それ以上をやるまでだっ!その最初に お前と この国をぶっ潰してやるよっ!」
アースが言う
「そうか お前の言う事も一理有る 最も私であるなら 異なる方法を考えるが 今のお前には もはや何を言っても 無意味だろう」
アースが思う
(憎悪や怒りの色より 不安や怯え… 困惑の色も混じる こう言った状況で)
ウィルシュが巨大剣を構えて言う
「やってやるぜ!部下でも何でも 呼ぶってんなら呼んでみろよっ!…全部纏めてぶっ潰してやるっ!」
アースが思う
(最後まで戦おうと 己の意思を貫き通す事… それは 正しくとも間違っていようとも それこそが意思 それが奴の持つ力 その力を前には… これ以上を戦えないのは 私の方だ)
隊員Cのイヤホンにラミリツの声が聞こえる
『ハブロス司令官っ!』
隊員Cがアースを見る アースがウィルシュを見てから言う
「分かった では 今の そのお前の相手を行わせる」

玉座の間

隊員たちのイヤホンにアースの声が聞こえる
『ART1 ART2 出動だっ』
隊員たちが言う
「「了解!司令官っ!」」
Mラミリツが動き出す ART2マシーナリーが続き MハイケルとART1マシーナリーたちが通路へ向かうとゲートが現れ ARTマシーナリーたちが消える ネロが言う
「…正しきとも  間違いともあらず  …その者の想いぞ見る  お前と…  彼らであるならば… 真 救えるか?」
ネロが空間モニターを見上げる モニターに映る門前にARTマシーナリーたちが揃う


続く
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