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18章

アールスローン戦記Ⅱ 通じる言葉

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【 ネロの城 】

城門前

ART1とART2のマシーナリーが揃っている ラミリツが言う
「相手は 剣士ともう1人 そうとなれば こっちは剣士の相手で良いよねっ?ART1隊長っ?」
マシーナリー内にハイケルの声が聞こえる
『了解 ART2隊長』
ラミリツが言う
「よしっ それならっ!ART2は 総員 あの剣士の相手をするっ!」
ART2隊員たちが言う
『『了解!隊長っ!』』
Mラミリツがプラズマセイバーを装備する ART2マシーナリーたちが同じくプラズマセイバーを装備する

M隊員Bのマシーナリー内 ハイケルの声が聞こえる
『ART1は 総員… 謎の生物の相手をする』
隊員Bが言う
「了解!少佐ぁーっ!」
ART1隊員たちが困惑して言う
『え?謎のって!?』 『あっちか?あっちで良いんだよな!?』

城門前に居る隊員Cが アースへ言う
「あ、あの~?司令官…?俺も ART1の あっちに行っても…?」
アースが言う
「マスターラキンゼス隊員は この場にて待機だ」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ!?お、俺も… ART1の… あっちに 行きたいなぁ~って 思ったり…?」
アースが横目に見て言う
「お前は 私の護衛だろう?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?…そ、そうだったのっ!?」
隊員Cが思う
(護衛!?俺が!?護衛って…!?ご、護衛って…?)

ウィルシュが言う
「へぇ…?何だ」

隊員Cがハッとしてアースの後ろへ隠れる

ウィルシュが言う
「どんな奴らを 呼び寄せるのかと思ったら …やっぱり 帝国の兵士は皆 機械の兵士なのか?興醒めだぜ」
アースが言う
「貴方の言う 機械の兵士と言うモノが どの程度の者であるのかは知らないが 私の仲間たちを 甘く見ない事だ」
ウィルシュが笑んで言う
「ハッ!なら 見てろよ?さっさと片付けて お前とその護衛の相手は また直ぐにしてやるよっ!」
ウィルシュが剣を構える 隊員Cが衝撃を受けて思う
(その護衛って やっぱ 俺の事かっ!?つーか 護衛じゃなくて どう見ても 俺が守られてるのに 護衛って…っ!?)
隊員Cが青ざめて言う
「何だっけ…?」
隊員Cがアースを見て思う
(むしろ あんな力を気合で使う この人に 護衛とか要らないでしょっ!?)

Mハイケルが2丁銃を構えて言う
「ターゲット ロックオン」
ART1マシーナリーたちが慌てて銃火器を装備してペリーテへ向ける ペリーテが疑問して言う
「ピュポ~?」
ウィルシュが言う
「数が多いからな?ペリーテ!ここは2手に分かれるぞ お前はあっちの黒い機械兵どもを ぶっ飛ばしてやれ!」
ペリーテが喜んで言う
「ピュポポー!」
ウィルシュが言う
「ああ!俺は あっちの白い方… 剣士の方だ …機械の癖に剣を使うなんて 叩っ斬ってやるっ!」
ウィルシュがART2へ叫びながら向かって行く
「うおぉおおーっ!」
Mラミリツが言う
「総員 衝撃波 回避っ!先手 私が向かうっ!」
ART2隊員たちが言う
「「了解!隊長!」」
ラミリツが操縦桿を操作して叫ぶ
「やぁああーっ!」
Mラミリツがプラズマセイバーを手にウィルシュへ向かう ウィルシュが巨大剣を振り下ろす 巨大剣から発生した衝撃波がMラミリツへ向かう Mラミリツが瞬時に横へ回避する ラミリツが思う
(奴の攻撃は さっきモニター越しに確認したっ!あの巨大な剣を 振り下ろす事で発せられる 衝撃波攻撃っ!だったら それさえを回避してしまえばっ!)
ウィルシュがハッとして横を見る Mラミリツが攻撃を仕掛けに来ている ウィルシュが一瞬驚いて言う
「この機械兵っ!?…チィッ!」
Mラミリツが切り込む ラミリツが思う
(貰ったっ!)
Mラミリツがプラズマセイバーを振るった先 ウィルシュが巨大剣で受け止める ラミリツが驚いて言う
「えっ!?プラズマセイバーが 抑えられたっ!?…それならっ!」
ラミリツがモニターを見ると モニターの中でウィルシュがラミリツへ強い視線を向ける ラミリツが一瞬身構えてからハッとして思う 
(駄目だっ これは 実戦なんだ!…だったら 今はっ!)
ラミリツが言う
「ART2!フォローをっ!」
ART2隊員たちが言う
「「了解!隊長っ!」」
Mラミリツがセイバーを引くと同時に ウィルシュが切り込んで来るが Mラミリツが一歩先に後方へ回避する ウィルシュが反応して言う
「…逃げたか …っ!」
ウィルシュがハッとすると 間髪入れず Mシュナイゼルが切り込んで来る ウィルシュが再び巨大剣で抑えると 逆側からの更なる攻撃に 後方へ回避する Mラミリツが襲い掛かって言う
「やぁああーっ!」
ウィルシュがハッとして言う
「クソッ!機械兵が連携でっ!?」
ウィルシュがART2の度重なる連続攻撃に後退を強いられる

ART1マシーナリーたちが銃を乱射している 銃弾の雨の中 ペリーテがあたふた回避して その先で怒って言う
「ピッポポポー!ピポピポポピピポピ!」
隊員Bが言う
「少佐ぁー?ターゲット 何か怒ってるみたいでありますー?少佐ぁー?」
M隊員Bが手榴弾を両手に持っている Mハイケルが両手に銃を持って言う
「どうやら その様だな バイスン隊員」
M隊員Fが小銃を持って居て 隊員Fが苦笑して言う
「そりゃ …怒るでしょう?これだけ皆で 寄って集って攻撃をしていれば」
Mハイケルが言う
「確かに 攻撃とは ターゲットの気性ランクを 高まらせてしまう危険性を持ち合わせている しかし 現ターゲットは天使だ そうとなれば」
Mハイケルが両手の銃口をペリーテへ向けて言う
「恐らく 当たっても 死にはしない …予定だ」
隊員Fが衝撃を受ける 隊員Aが言う
「え!?いや… 駄目なんじゃ?だから 本人も避けてるんじゃないかと …思いますけど?少佐?」
Mハイケルが隊員Aへ向いて言う
「そうなのか?アラン隊員?」
M隊員Aが衝撃を受けて言う
「え!?た、多分ですけど…っ?」
M隊員Aが後方 遠くに居るアースへ向く

アースが戦況を見ている 後ろに居る隊員Cがアースの顔色を伺いつつ言う
「あ、あのぉ… 俺も マシーナリーを 持って来ましょうか…?司令官?」
アースが言う
「現作戦の中に置いて お前に そちらの必要性はない」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「う…っ そ、そうですか… …って言うか その…?」
隊員Cが思う
(そもそも その作戦って…っ!?)
アースが言う
「お前は私の護衛だ そこに居れば良い 必要と有れば 私が そのお前を使用する」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「お、俺を 使用するって…っ?」
隊員Cが横目にハイケルαの死体を見て 衝撃を受け思う
(がぁああ!?や、やっぱ 俺 盾にされるのかなぁっ!?た、頼むよ皆っ!?俺が殺される前にっ 奴らを 倒してくれ~っ!ART1の皆ぁーっ 少佐ぁーっ!?それから ART2の皆さんーっ!?)
隊員CがARTマシーナリーたちを見る

ウィルシュがART2マシーナリーたちの攻撃を回避しながら気付いて思う
(なるほど こいつら…)
ART2マシーナリーたちの連続攻撃から Mラミリツが突っ込んで来て ラミリツが言う
「今度こそっ!」
ラミリツの見るモニターの先ウィルシュが一瞬動きを止める ラミリツが思う
(今だっ!)
Mラミリツがセイバーを振るった瞬間 モニターの中のウィルシュがラミリツを見て笑む ラミリツがハッとして思う
(読まれたっ!?)
ラミリツが急いで操縦桿を操作する Mラミリツが攻撃態勢から作動急停止をすると ウィルシュが巨大剣を構えていて言う
「やっぱり来たなっ!?貰ったぜっ!」
ウィルシュが巨大剣を振るう ラミリツが身を引きながら思う
(間に合うっ!?)
Mラミリツがウィルシュの直前で停止すると ウィルシュが一瞬 振り降ろそうとした巨大剣を止める Mラミリツが横へ回避すると ウィルシュが巨大剣を振りかぶって言う
「そう何度もっ …逃がすかよっ!」
ウィルシュの巨大剣から発生した衝撃波が Mラミリツへ襲い掛かる ラミリツがハッとして思う
(コックピット直撃っ!?駄目 間に合わないっ!)
シュナイゼルが叫ぶ
「隊長ーっ!」
MシュナイゼルがMラミリツを押し倒す Mシュナイゼルの背を衝撃波が襲い シュナイゼルが表情を顰めて言う
「ぐぅっ!」
ラミリツがハッとして言う
「シュナイゼルっ!?」
Mシュナイゼルが脱力して倒れる Mラミリツの中シュナイゼルの映っていたモニターが砂嵐になってから消える  MラミリツがMシュナイゼルを起こして 外部出力で言う
「シュナイゼルっ!大丈夫っ!?」
ウィルシュが疑問して言う
「うん?」
Mラミリツの中 ラミリツのイヤホンにシュナイゼルの声が聞こえる
『大丈夫です 操縦者 損傷無し …かなり痺れましたが』
ラミリツがホッとしてイヤホンを抑えて苦笑して言う
「ごめん でも、有難う お陰で助かったよ コックピットを強制開放するから シュナイゼルは下がってて」
シュナイゼルが言う
『了解 隊長 お願いします』
ラミリツが頷いてから視線を別モニターへ向ける ART2マシーナリーたちがウィルシュへ構える MラミリツがMシュナイゼルのコックピットの主要箇所へセイバーで攻撃をしてから コックピットを手で外す ウィルシュが言う
「…そう言う事か リーダー格の機械兵が決まってるって事じゃない こいつら… 中に本物の人間が 入ってたのかっ!」
シュナイゼルがマシーナリーを降りると ウィルシュを見る ウィルシュがシュナイゼルを見ると Mラミリツがプラズマセイバーを交換してウィルシュへ向き直る ウィルシュが言う
「通りで 機械にしちゃ 良い動きすると思ったぜ …けど そうと分かりゃ!」
ウィルシュが顔を向けて言う
「ペリーテ!遊びは終わりだ!」
ウィルシュの視線の先 ペリーテがART1マシーナリーたちの銃撃から逃げ回っていて言う
「ピュポロポピポ~!」
Mハイケルが追いかけながら2丁銃を撃って言う
「まぁあーてぇえーっ!」
MラミリツとART2マシーナリーたちが呆れの汗を流し ラミリツが表情を引きつらせて言う
「僕らが真剣に戦っている間にっ まさか 遊んでたんじゃないよねっ!?ART1っ!?」
ラミリツが別モニターを見る モニターに隊員Aが映り苦笑して言う
『い、いえ… 遊んでいた訳じゃないんですが… …って言うか 何で俺っ?』
モニターの中のモニターに隊員Bが映って言う
『えー?俺ら 遊んでたんでありますかー?少佐ぁー?』
M隊員Bが振り向くと Mハイケルが2丁銃の装填を終わらせて言う
「遊んでは居ない ART1も真剣に戦っていた …予定だ」
Mラミリツが言う
「嘘でしょっ!?全然 言葉に魂が入ってないからっ!」
Mハイケルが言う
「魂とは 言葉にも…?そうだったな 以前にも言われた事だが やはり 私には そちらの技は真似出来ない様だ」
ART1とART2マシーナリーたちが集合する ペリーテがウィルシュの下へやって来て言う
「ピポポピュポー!」
ウィルシュが言う
「帝国の機械兵と同じだと思って甘く見た まさか 人間が自分から乗り込んでいるだなんてな?同じ人間として 反吐が出るぜ!」
ARTマシーナリーたちがウィルシュを見る ウィルシュが剣を構えて言う
「それこそ うちの帝国の連中が見たら 喜びそうなものだが… 俺はそいつらも気に入らねぇっ この神の力で 一体残らず ぶっ壊してやるよっ!行くぜっ!」
ウィルシュが剣を掲げると ペリーテが剣へ火炎を纏わせる Mハイケルが言う
「来るぞっ!」
Mラミリツが言う
「ART機動部隊 総員 回避っ!」
ウィルシュが言う
「食らえーっ!」
ウィルシュが巨大剣を振り下ろすと 巨大な火炎波がARTマシーナリーたちへ向かう ARTマシーナリーたちが左右に回避すると ウィルシュが瞬時にART1側に現れ言う
「貰ったっ!」
隊員Bがモニターに映ったウィルシュに驚き悲鳴を上げて言う
「しょ、少佐ぁーっ!」
Mハイケルが言う
「バイスン隊員っ!」
Mハイケルが2丁銃を放つと ペリーテが銃弾とウィルシュの間に入りバリアを放って言う
「ピュポロピュポピー!」
Mハイケルの銃弾がバリアに弾かれる ハイケルの意識が驚いて言う
「何っ!?」
ウィルシュがM隊員Bへ巨大剣を振るう 隊員Bが思わず目を瞑って言う
「うわぁあーっ!」
モニターに隊員Aが映っていて慌てて言う
『バイちゃんっ!逃げろーっ!』
電撃音が響くと共にM隊員Bが地面へ倒れる 隊員Bが衝撃に一度目を閉じてから顔を上げるとモニターを見て驚いて言う
「…え?」
M隊員Bの前でMラミリツがウィルシュの剣をプラズマセイバーで抑えている 隊員Bが言う
「ラミリツ… 隊長ぉ…?」
ウィルシュがMラミリツを見ると ペリーテがMラミリツへ向けて炎を放とうとして言う
「ピュポッポー!…ピッ!?」
ペリーテへ向けて銃弾が放たれ ペリーテが慌てて逃げる M隊員Aがやって来て言う
「バイちゃんっ!大丈夫かっ!?」
M隊員BがM隊員Aを見上げて言う
「う、うん…」
MラミリツがM隊員Aを見て言う
「ナイスアシスト!アラン隊員!」
隊員Aが一瞬呆気に取られた後 笑んで言う
「は… はいっ!有難う御座いますっ!ラミリツ隊長!」
M隊員AがM隊員Bへ手を貸して立ち上がらせる ウィルシュが剣を構え直して言う
「くそっ 今のは 取れる筈だったっ」
ART1・ART2の隊員たちが息を合わせる Mラミリツがウィルシュへ剣を向けて言う
「ART機動部隊っ 一気に片を付けるっ!」
隊員たちが言う
「「了解!隊長っ!」」
Mハイケルが頷く

アースが微笑して笑う
「…フッ」
隊員Cが遠くのARTマシーナリーたちを見て言う
「あぁ~… 皆が… ART1とART2の全員が 団結してるって時に 何か俺一人だけ すっげぇ… 寂しいんですけど…」
アースが言う
「お前も活躍がしたいのか?マスターラキンゼス隊員?」
隊員Cがハッと衝撃を受け 慌てて言う
「いえーっ!?活躍とかっ!?そう言うのは 結構ですんでっ!?止めて下さいーっ 司令官ーっ!」
アースが笑う
「クックック…」
隊員Cが青ざめて言う
「ヤバイ… 俺 何か やばい物 掘ったかも…っ!?」

ウィルシュが火炎波で攻撃を繰り出すとMハイケルが言う
「回避っ!」
ARTマシーナリーたちが瞬時に回避する Mラミリツが言う
「左だっ!ART2!抑えろっ!」
M隊員Fの前で ART2マシーナリー2機がプラズマセイバーでウィルシュの巨大剣を抑える ウィルシュが驚き瞬時に後退すると Mハイケルが言う
「ART1 放てーっ!」
ART1マシーナリーたちが一斉銃撃を行う ペリーテがウィルシュの前に降り立ちバリアを放つ 銃弾がバリアに弾かれると バリアに向かってMラミリツが斬り掛かりながら言う
「銃で駄目ならっ!これでっ!?」
Mラミリツがバリアをプラズマセイバーで切り裂く ペリーテが驚いて言う
「ピュポオ~!?」
ウィルシュが驚き慌てて言う
「逃げろ!ペリーテっ!」
ペリーテが逃げると ウィルシュがMラミリツへ巨大剣を構える ラミリツがニヤリと笑むと Mラミリツが回避する ウィルシュが驚きMラミリツを視線で追った瞬間 Mラミリツの後ろに居たMハイケルが言う
「ターゲット ロックオン」
ウィルシュが目を見開く Mハイケルが両手銃を放つと ウィルシュが巨大剣の刀身を盾に防御する Mハイケルが連射撃で銃弾を打ち尽くすと ウィルシュが顔を上げハッとする ウィルシュの背後にMラミリツがプラズマセイバーを突き付けていて言う
「さぁ これで貴方の負けだ 降伏しろ」
ウィルシュが表情を怒らせて言う
「ク… クソッ!」
Mハイケルが2丁銃を装填して向ける

隊員Cが喜んで言う
「やったぁ~っ!俺たちの勝利ですよ!ねっ!?司令官っ!?…あ、あれ?」
隊員Cがアースの顔色を伺って言う
「あ、あの~?」
アースがウィルシュを見詰めている 隊員Cが疑問してウィルシュとアースを見比べる

Mラミリツが言う
「武器を捨て 降伏しろ!大人しく従えば 貴方の罪は問われない」
ウィルシュが苦笑して言う
「…ハッ 俺の罪は問われない?馬鹿言うなよ?リジル様は そんな生易しい事は言わないぜ?」
ラミリツが一瞬驚いた後言う
「…それでは?」
ウィルシュがMラミリツの隙を突き 一気に駆け出す ラミリツがハッとして言う
「しまったっ!逃がし… っ!?」
ラミリツがモニターを見ると慌てて思う
(まずいっ!奴の狙いはっ!)
Mラミリツが叫ぶ
「ハブロス司令官っ!」

隊員Cが悲鳴を上げて言う
「えぇええーーっ!?こっち来るぅううーっ!?」
アースが隊員Cを盾にして言う
「よしっ!今だっ!マスターラキンゼス隊員っ!ハデにキメろっ!」
隊員Cが悲鳴を上げて言う
「止めて下さいっ!司令官ーっ!」

Mラミリツが追って走る ART1マシーナリーたちが銃を構えるが 隊員Fが言う
「駄目だっ!マシーナリーの銃撃で 誤射をしたら取り返しが付かないっ!」
Mハイケルが追って走り出す 隊員Nが驚いて言う
「って 少佐ぁーっ!?」
隊員Aが言う
「いや 少佐なら大丈夫だ!」
隊員Bが言う
「だよねー!少佐なら 命中率100%ー!」
隊員Iが言う
「いや だけど…っ!?間に合わないんじゃ…?」
隊員Bが言う
「え…?」
隊員Fが言う
「いくら 100%でも マシーナリーの銃撃じゃ その弾圧にだって生身では耐えられないから」
Mハイケルが限界ラインで立ち止まり言う
「…くっ 間に合わなかった…っ」

ウィルシュがアースへ向かいながら巨大剣を振り上げて言う
「お前さえ倒せばっ!」
隊員Cがガタガタ震えながら言う
「ハ、ハハハ ハブロス司令官っ!?こ、こここここ これっ!無理でしょっ!?ど、どどどっ どう考えても 俺1人の盾じゃっ マ、マジ 足りないでしょぉおっ!?」
アースが怒って言う
「馬鹿かっ!?本気でその様に 考えているのかっ!?」
隊員Cが悲鳴を上げながら言う
「じゃぁあ どう考えれば良いんですかぁあっ!?俺 馬鹿ですからっ!分かるように 命令して下さいっ!?司令官ーっ!?」
ウィルシュが振りかぶって言う
「死ねぇえー 司令官ーっ!」
アースが言う
「回避だっ!サキシュ隊員っ!」
隊員Cが悲鳴を上げて言う
「回避ってーっ!?」
ウィルシュが巨大剣を振るう アースが言う
「助けろっ!ラキンゼスっ!命令だっ!」
ウィルシュが巨大剣を振りかぶると 隊員Cとアースが直前に瞬間移動している ウィルシュの剣圧で門が破壊される すぐ横で隊員Cが硬直している アースが言う
「今のは 本当にギリギリの所だったな?」
ウィルシュが巨大剣を構える アースが隊員Cへ言う
「どうした マスターラキンゼス隊員っ!?今こそ お前の マスターとしての力を使えっ!出番だぞっ!?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「出番とか言われてもっ!?俺  こう言うハデな出番とか マジいらないですからっ!?俺は 最低限のマスターなんですから ハブロス司令官だって 知ってるでしょうっ!?」
アースが言う
「私の命令で動かせる この距離では足りないっ!奴との距離を広げろっ マスターラキンゼス隊員!命令だっ!」
ウィルシュが向かって来る 隊員Cが怯えて言う
「だから 俺っ 無理ですからっ!ハブロス司令官こそっ また気合でぶっ飛ばして下さいっ!お願いしますっ!心からっ!」
アースが言う
「それが出来ないから お前に頼っているのだろっ!?分からないのかっ!?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「分からないでしょう!?ってか そうだったんですかっ!?そう言う事こそ 冗談抜きに マジ先に言って下さいっ!?司令官ーっ!?」
ウィルシュが巨大剣を振り上げる アースが表情を顰めて思う
(出来ればやりたくは無かったがっ …こうとなっては やるしかないかっ!?)
アースが隊員Cを手放し気合を込める ウィルシュが巨大剣を振るうと同時に アースが攻撃を繰り出そうとした瞬間 隊員Cがアースを連れて瞬間移動をする アースが驚くと アースと隊員Cが Mハイケルの後方にあった岩に激突する Mハイケルが驚き言う
「な…っ!?無事かっ!?ハブロス司令官 及び マスターラキンゼス隊員っ!?」
アースの右腕が岩を破壊した様子で アースが言う
「ハデにキメろとは言ったが… ここまでを行う必要は無いだろう?下手をすれば2次災害の恐れもあったぞ?」
隊員Cが言う
「いえっ 2次災害の心配がある 岩をぶっ壊したのは ハブロス司令官の気合のせいだと 思いますけどっ!?」
アースが岩を背後に自分の前に居る隊員Cへ言う
「更には 護衛対象の私を 自身の衝撃緩和に使うとは どうやら減給処分を受けたいようだな?マスターラキンゼス隊員」
隊員Cが青ざめながら言う
「そ、そんな… 助けた筈が 減給処分って…っ」
隊員Cが落ち込む

ウィルシュが力尽きそうな様子で巨大剣を持ってアースの下へ向かおうとする MハイケルとMラミリツが立ち塞がる ウィルシュが巨大剣を構えようとして叶わずに息を切らせる アースが言う
「限界か?」
Mラミリツがアースを見て言う
「どうする?捕らえるよね?」
アースが言う
「可能で有ればな?」
Mハイケルが言う
「可能であればとは?ターゲットは戦力喪失 加えて 体力も消費している 捕らえる事は容易であると思われるが …うん?」
ペリーテがウィルシュの下へ向かいながら言う
「ピュポー!」
ペリーテがウィルシュの下へ到着すると ウィルシュの前で奇声を発してから MラミリツとMハイケルへ向いて 怒って奇声を発する
「ピュポロピュポピポピポピュポロポー!」
Mラミリツが困って言う
「…何か 怒ってるみたいだけど?」
Mハイケルが言う
「理解不能だ」
ペリーテがアースへ向く MラミリツとMハイケルがアースを見ると アースがペリーテへ言う
「その者を連れ 己の土地へ 逃げ帰る事だ」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え…?ハブロス司令官?」
ペリーテが奇声を発してから ウィルシュへ向いて周囲に電磁波を発生させる ウィルシュがアースを見ると ペリーテと共にウィルシュが消える 皆が驚き Mハイケルが言う
「消えた…?」
ラミリツが言う
「ウィザードたちの 移動の魔法みたいなものかな?…って言うか さっきの天使みたいな アレの言葉 分かったの?ハブロス司令官?」
アースが言う
「まさかな?分かる訳がないだろう?」
Mハイケルが言う
「では?」
アースが言う
「そちらの条件下に置かれた際に 考えるであろう事を 想定しただけだ」
ラミリツが言う
「あぁ… なんだ そう言う事?」
Mハイケルが言う
「貴方であるのなら 理解が出来るものなのかと思っていた 悪魔の司令…」
アースがMハイケルのスネへ気合派を放つ Mハイケルが衝撃を受けて言う
「がぁあっ!」
Mハイケルがスネを抑えてうずくまる Mラミリツが呆れる アースが言う
「これにて本防衛作戦は完了とする ART機動部隊は総員 アールスローンへ帰還しろ」
ラミリツが微笑して言う
「了解!司令官!」
皆が言う
「「了解!司令官!」」
Mハイケルが痛みから立ち直って言う
「了解 あ…」
アースが横目に視線を向けて言う
「あ?」
Mハイケルが言う
「あ… アース・メイヴン・ハブロス司令官」
Mラミリツが言う
「何で フルネーム?」
Mハイケルが顔を逸らして言う
「気にするな…」
アースが笑む 隊員Cが呆れて言う
「悪魔の兵士さえ恐れさせる 悪魔の…」
アースが隊員Cを見る 隊員Cがハッとして口を押さえて顔を左右に振る

【 ART司令塔 】

ハイケルの小型カメラが置かれている グレイゼスがカメラから記録装置を取り出すと言う
「いんやぁ~ まさかまさか?そんな事に遭遇していたとはねぇ?帝国内の映像を楽しみにする所か アウターで急遽行われた 防衛戦にて 異国の剣士さんのお姿を拝見出来るとは!どれどれ~?」
ハイケルが言う
「対象は ログウェルン ファーストクラスター ウィルシュ と名乗っていた そして 同行者の天使のような者の事は ペリーテと呼んでいた」
グレイゼスが映像を確認しながら言う
「ログウェルン ファーストクラスター?聞いた事もない言葉だな?そのウィルシュって言うのが 奴さんの名前って事か?」
ハイケルが言う
「恐らく …しかし 実際にそれらの言葉で 呼ばれている状態は確認していない為 断定は出来かねるが」
グレイゼスが言う
「なるほど… お?コイツだな?」
ハイケルが言う
「会話の内容は 録音されているか?」
グレイゼスが音量調整レベルを調整しながら言う
「そうだな… 所々途切れてしまう部分はあるが 何とか 理解出来る範囲ではある …もし 分からない所があったら その時は お前のレコーダー機能で 確認させてもらうから 頼むよ?」
ハイケルが言う
「了解」
グレイゼスが言う
「この後は24時間休暇だろ?と、言っても 元々ART1は明日は休暇だったから 対して変わらないだろうけど それでも 今日はもう帰られるんだから ゆっくり休んだら良い お疲れさん!ハイケル」
ハイケルが言う
「了解 お疲れ グレイゼス」
グレイゼスが微笑する ハイケルが立ち去る グレイゼスがコンソールへ向き直って言う
「さてさて~?うーん こいつはまた でっかい剣だなぁ~?単純計算でも この重量は…」
ハイケルが部屋を出る所で ラミリツがやって来る ラミリツが言う
「もしかして?マスターグレイゼス中佐に報告?」
ハイケルが言う
「そうだな 偶然にして 帝国内の映像を撮る予定であったカメラに 先ほど戦った 奴らの映像が残されていた そちらの解析を行っている所だ」
ラミリツが言う
「そう… それじゃ 今は やっぱ 忙しいよね?」
ハイケルが言う
「忙しいと言うよりも 本人は楽しんでいると思われるが 何か用があったのか?」
ラミリツが言う
「う~ん… 用って訳じゃないんだけど ちょっと その… 教えてもらいたい事があったんだけど…」
ハイケルが言う
「ARTの活動に関係のある事であるのなら 特に問題は無いと思われるが?」
ラミリツが考えてから苦笑して言う
「うん… でも やっぱ いいや?ARTの活動に関係はあるとしても 急ぎって訳じゃないし?重要な作業の最中みたいだから また 今度で?」
ハイケルが言う
「そうなのか…?」
ラミリツが言う
「うん!」
ハイケルとラミリツが部屋を後にする

【 ART更衣室 】

隊員Bが言う
「今日も すっげー事が一杯あったねー?アッちゃん」
隊員Aが苦笑して言う
「ああ、本当に 元はただ マシーナリーを取りに向かうって それだけの作業作戦だった筈なのに」
隊員Fが言う
「作業作戦所か 急遽 防衛作戦に変更になったもんな?しかも相手は アールスローン所か ウィザードやヴァンパイアたちでも無くて …えっと?」
隊員Iが言う
「聞いた事もない国名だったな?確か ログウェルン… だったかな?」
隊員Fが言う
「そうそう そんな感じの」
隊員Bが言う
「でもってー!?ファーストクラスターとかって 言ってたのはー?あれば 俺たちで言えば ARTとか国防軍とかー?それとも 少佐とか司令官ー って意味かなー?アッちゃん?」
隊員Aが言う
「うーん 多分そんな感じだと思うけど …とは言え バイちゃん?それらアウターの事は トップシークレットだから このART内なら良いけど 外で言っちゃ駄目だぜ?」
隊員Bが言う
「あー!そっかー!?それじゃ 明日アッちゃんと外で会っても 話しちゃ駄目ーって事ー?」
隊員Aが考えて言う
「うん… そうだな?いくら 相手が同じARTの隊員でも 外に居る時は 何処で誰に聞かれているかも分からない訳だし やっぱり駄目って事で …って言うか 俺 明日バイちゃんと会う予定とか 有ったっけ?」
隊員Bが言う
「えー?」

ラミリツが入室して来て 更衣を始める 少し離れた場所で 隊員Nが言う
「明日はどうする!?ヴェイちゃん隊員っ!?やっぱ 行くよなっ!?」
隊員Vが言う
「もちろんだぜっ!ナッちゃん隊員!明日は マイルズストリート100のCDショップ前に集合だぜぃっ!」
ラミリツが反応すると振り向く 隊員Nが言う
「おうよーっ!ならその集合時間はどうする!?ヴェイちゃん隊員?開店前の1時間位前で良いかなー?」
ラミリツが気にしない素振りで 横目に隊員Nと隊員Vを見つつ思う
(あの2人はナックキラーのファンだって事は分かってる つまり 再販される 新作CDを買う為に  開店前から並ぶって事でしょ?けど 全然甘いよ?1時間前なんかじゃ再販分は売り切れで あの店の次回販売分の整理券が貰えるだけ だから 確実にCDを手に入れるには 最低でも開店前の…っ!)
隊員Nが言う
「今回は もうCDはゲットしてるから 狙いはスペシャル特典だけだからな!?」
ラミリツが反応して思う
(あれ?そうなんだ?って事は つまり初版のプレミア版を買えたって事かな?…けど それならそもそも スペシャル特典だって手に入れているんじゃ…?)
隊員Vが言う
「おうよー!けど開店1時間前の9時じゃ駄目だぜ?ナッちゃん隊員!?スペシャル特典は2種類あって スペシャルのスペシャル 限定100枚のCDに書かれてるサインは 本物なんだよっ!?だからコピーじゃなくて 本物のスペシャルスペシャル特典をゲットするには やっぱ今回も徹夜組決定よぉお!」
ラミリツが呆気に取られて思う
(え?スペシャルのスペシャル特典!?…そうだったんだ?知らなかった そんなのもあったなんて… でも 流石に徹夜は出来ないなぁ 早朝トレーニングが出来なくなっちゃうし 何より… そんな時間に屋敷を出たりなんかしたら 兄上やフレイゼスにも気付かれて… 最悪は捜索がされちゃうかもしれないし… あぁ… でもなぁ… アニキの本物のサインがもらえるとしたら?それなら…っ ちょっと無理を押してでも ここはっ!?)
ラミリツが視線を強めると 隊員Nが言う
「あぁ けど やっぱ今回も アニキのサインは入らないみたいだな?」
ラミリツが反応して言う
「え?…っ!」
ラミリツが慌てて口を押さえてから 視線を向けると 隊員Nが携帯で情報を見て言う
「アニキ以外のメンバーのサインと スペシャルジャケットだってさ?そっちには アニキの写真が入ってるけど… 流石にサインは駄目なんだな?」
隊員Vが言う
「そりゃ そうだろ?だって ほら?それも鑑定されちゃうだろ?」
隊員Nが言う
「ああ、そっか そうだよな?」
ラミリツが思う
(うん?鑑定って… 今回のアニキのボーカルヘルプの声から 声紋鑑定をして正体を調べようとしたけれど 分からなかったって… あの記事の事かな?…そっか そうだよね?サインがあれば筆跡鑑定も出来るって事だから それこそ うちの政府警察の鑑定局で調べれば 分かるかも?)
隊員Nが喜んで言う
「それじゃ やっぱり アニキのサインも貰えた俺らは!それこそ スペシャルスペシャルスペシャルで トリプルスペシャル特典だったなっ!?ヴェイちゃん隊員っ!?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?嘘ぉっ!?」
隊員Vが言う
「おうよー!むしろ マスタースペシャル特典だぜーっ!?ナッちゃん隊員っ!?」
隊員Nと隊員Vが大喜びで立ち去って行く ラミリツが声を掛けたそうにする
「あ…っ あの… ちょ…っ」
隊員Nと隊員Vは気付かずに2人で盛り上がりながら立ち去る ラミリツが2人を見送って思う
(ちょっと それっ!どう言う事っ!?僕にも教えてっ!…って 言いたいのに…っ)
ラミリツがロッカーに手を突いて言う
「…っぱ 駄目だよねぇ…っ あぁ… 僕も欲しいのにぃ~っ!」
ラミリツが思う
(詳しい話を聞かせてもらう所か 同じナッククルーとして 話も出来ないなんて…っ)

隊員Cが離れた場所で困惑しながら言う
「…何が 欲しいんだろう…?」
隊員Bが疑問して言う
「えー?サッちゃん 何か欲しいの?サッちゃんー?」

【 ART出入り口 】

隊員たちがIDをスキャンして去って行く 隊員Nと隊員Vが話している
「それじゃ また 今夜!」 「おうよー!現地で会おうぜぃっ!」
ラミリツが隊員Nと隊員Vを見てから思う
(僕もせめて スペシャルスペシャル特典は欲しいけど… でも しょうがない… それに そっちにだって アニキのサインは入っていないのなら…)
ラミリツがIDをスキャンすると 立ち去りながら携帯を取り出して思う
(今回も 僕は通常のスペシャル特典で… 問題は 開店前の早朝にどうやって屋敷を出るか …やっぱ ARTの訓練に行くって言えば良いかな?そうだよね?それで途中で…)
ハイケルが携帯で話をしている
「…そうか では 会話内容は全て確認が取られたのだな?」
ラミリツが反応してハイケルを見る ハイケルが携帯へ言う
「了解 では 俺はART1の隊員らと同じく 24時間休暇へ入る 何かあれば連絡を」
ハイケルが通話を切って立ち去る ラミリツが思う
(うん?あの様子だと もしかして…?)
ラミリツが使おうとしていた携帯を仕舞い 本部内へ戻る

【 ART司令塔 】

ラミリツが司令塔へ向かいながら思う
(さっきは忙しいだろうと思って遠慮したけど やっぱ ちょっと聞いて置く位は良いよね?明日は僕も ARTの訓練は休むつもりだし そうとなれば 今日の内に…)
ラミリツが司令塔へ入り言う
「マスター… あっ」
ラミリツの視線の先 グレイゼスとアースが話している ラミリツが表情を困らせて思う
(あぁ… ツイてないな… 今度こそって思ったのに)
ラミリツが軽く息を吐いて引き返そうとして思う
(流石に ハブロス司令官の前で 聞ける内容じゃ…)
グレイゼスが言う
「そうですね 後は 出来れば… …うん?ラミリツ隊長?」
ラミリツがハッとして振り返る アースが疑問して顔を向ける ラミリツが困ってから言う
「あー… えっと… ちょっと聞きたい事があったんだけど 別に急ぎじゃないし また…」
グレイゼスが微笑して言う
「さっきも そう言って後にされたそうで?ハイケルから聞きました 自分に何か 確認を取りたかったらしいと?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「あっ!えっと…っ その…っ ホント… 任務とか関係無い …って言うか ちょっと 気になったって言うか?大した事じゃないから それに…」
ラミリツがアースを見る グレイゼスがラミリツの視線の先アースを見る アースが疑問した後 苦笑して言う
「どうやら 私が居ては そちらの確認が 取り辛い様だな?」
ラミリツが衝撃を受け言う
「えっ!?あ… えっと… 別に そう言う訳じゃ」
アースがモニターの1つに視線を向けてから言う
「IDを通した上で わざわざ戻ってまで取りたかった確認なのだろう?余計な思考は任務遂行の妨げにもなりかねない 可能な限りそれらは取り除いておくべきだ」
ラミリツが反応してアースを見る グレイゼスが微笑して言う
「ハブロス司令官の言う通りです ART2ラミリツ隊長のそちらへ 自分が ご協力出来るのでしたら 何なりと?」
ラミリツが苦笑して言う
「有難う… その… ホント そんな大した事じゃないんだけど… それじゃ」
ラミリツが思う
(こんなに2人に 心配してもらえているなら 良いよね?それに… きっと 何か理由があって…)
アースが言う
「我らARTの第二機動部隊隊長にして 国家家臣攻長閣下の気を散らすモノとは 一体どれ程のものであるのか 実に気になる所ではあるのだが」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「う…っ」
ラミリツが思う
(あぁ…っ そうだった ART2の隊長としてって事以外にも 国家家臣攻長閣下 それが…っ そっちが何よりも 問題であって…っ)
グレイゼスが苦笑して言う
「またまた~ ハブロス司令官?ここで それを仰るのは…」
アースが苦笑して言う
「フッ… 気になる所ではあるが そのお前の為に ARTの最高責任者である この私が席を外してやろうと言うんだ お前たちARTの司令官は 最高の司令官だろう?」
周囲の隊員たちがクスクス笑う グレイゼスが苦笑して思う
(あぁ… だから そう アニキ様の キーワードにもなり得る ”最高”って言葉は もう少し意識して使わない様にした方が…)
アースがグレイゼスへ向いて言う
「では 先ほどの事は 確認が取られるようならば 私から皇帝や悪魔へ聞いて置く 他にも何かあると言うのなら」
グレイゼスが言う
「はい では後ほど 自分から連絡を入れますので」
ラミリツが言う
「あっ 待って!なら大丈夫 すぐ終わるからっ!」
ラミリツが思う
(むしろ この事を 後から確認される位なら…っ)
アースが立ち止まると ラミリツがグレイゼスへ言う
「あの、今日の任務の時の事なんだけどさ?」
グレイゼスが言う
「今日の任務の …と言いますと?」
ラミリツが言う
「ART2が緊急招集された ”天使様の捕獲作戦”の方」
アースがギクッとして視線を逸らす グレイゼスが苦笑して言う
「あ… ああ…!はい?あちらの作戦の事で?何か…?」
グレイゼスが思う
(もしかして…?)
アースが思う
(さっさと席を外しておくべきだったか?)
ラミリツが言う
「うん あの時の… 僕ら 現地で作戦をしていた機動隊員の 副無線に流れていた音楽 あのエレキギターの音なんだけど!」
グレイゼスとアースが反応して思う
(やっぱりっ!?) (気付かれたかっ!?)
グレイゼスとアースがラミリツを見る ラミリツがグレイゼスへ言う
「あれって プロのギターリストが弾いていたよね?それも 即興の生演奏でっ!」
グレイゼスが困って言う
「え、え~とぉ~?」
グレイゼスが横目にアースを見る アースが背を向ける ラミリツが言う
「しかも 僕 そのギターリストが誰なのか分かるんだ その人 ギターの弾き方に特徴があって 元々その人がエレキギターを始めた時に 弦の調整が出来なかったから それを 自分の音感で無理やり弾いていて作られた音なんだって?だから本来は出来ない音にビブラートが入るの 他の人が真似しようとしても出来ないし 本人もそれに慣れちゃって 逆に通常へは直せないんだって」
アースが言われた言葉の数々に衝撃を受けている グレイゼスが苦笑して思う
(あぁ… これはもう…)
ラミリツが続けて言う
「おまけに明日発売のDVDに追加される音源も ライブ当日に会場に来られなくって でも それは 彼が特殊部隊に属して そっちの任務に協力してたからなんだって それと これからもそっちを優先するから ライブとかTV出演とか限定的になっちゃうって… 僕はてっきりその特殊部隊って国防軍だと思っていたけど 違うよね!?だって今日も以前の作戦の時も 僕らARTの無線に その音が聞こえていたんだ!そうとなれば これはもう 間違いないよ!」
グレイゼスが思う
(そりゃ 間違いないですねっ!?何でそこまで情報を リークさせてしまうんですかっ!?アニキ様っ!?)
アースが思う
(ライブやTV出演を断る理由が それしか無かったんだっ!ライブDVDへの音源追加の理由もっ ナッククルーのあいつらに 嘘は吐けないっ!)
ラミリツが言う
「そのギターリストはっ!」
グレイゼスとアースが緊張する 周囲の隊員たちが顔を見合わせ集中する ラミリツが言う
「ナックキラーってバンドの 元祖ギターリストである アニキって人だよねっ!?」
周囲に沈黙の間が流れる グレイゼスが思う
(…そ)
アースが思う
(それだけ か…っ?)
ラミリツがグレイゼスへ近付いて言う
「って 事は そのアニキが ARTに所属しているって事っ!?それならっ!?一体何処の部隊に居るの!?ねぇ!?教えてっ!?」
グレイゼスが言う
「え、えー… と…?」
グレイゼスがアースを見る アースが沈黙している ラミリツがじっとグレイゼスを見る グレイゼスが表情を苦しめて思う
(あぁ~ 何て 純粋なライム色の光と 同じ位 子供のように純粋な この緑色の瞳に見詰められると…っ とても 嘘なんて言えませんっ アニキ様っ!)
グレイゼスが言う
「ご、ごめんな?協力したいんだけど 俺… 管轄外だわ?」
アースが衝撃を受けて横目に視線を向けて思う
(逃げたなっ!?マスターグレイゼスっ!?)
グレイゼスが苦笑してアースを見ながら思う
(だって… 無理です このライム色に勝つのは…)
ラミリツが言う
「あぁ… そっか 管轄外 …別の?それじゃ 無線関係だから… マスターベイゼス研究員とかに!聞いたら分かるよね!?」
グレイゼスが思う
(あぁ~ でも このまま放って置いたら 同じマスターの仲間である マスターベイゼスへ迷惑を… と、言う事なら これは もうっ!)
グレイゼスが言う
「いえ?その前にですね?ARTの事でしたら?それこそ?このARTの最高の司令官様である…」
アースがギクッとして思う
(この野郎…っ)
グレイゼスが苦笑しながら言う
「ハブロス司令官に聞いたら 分かるんじゃないかなぁ~?なんて?ねぇ?何しろ このARTは ハブロス司令官の私設部隊ですし?」
ラミリツが気付いて言う
「え…?あ、そっか?そう言えば…?」
ラミリツが思う
(そうだよ?そもそも アニキがARTに居るのなら そのアニキを入れたのは ハブロス司令官じゃない?だったら…)
ラミリツが苦笑して言う
「な~んだ?なら最初から 何にも気にせずに ハブロス司令官に聞いたら 良かったんだね?変に気を使って 遠回りしちゃったや?」
アースが思う
(むしろそのまま 永遠に遠くで回っていてくれれば 良かったものを…)
アースが言う
「…何の話だ?」
ラミリツが苦笑して言う
「ふふっ 誤魔化そうとしても無駄だよ?話は聞いてたでしょ?ここに居て聞かない訳ないし?聞こえない距離じゃないっ!」
アースが言う
「…そうだな?子供の声は響くからな」
ラミリツが衝撃を受けムッとして言う
「子供じゃないけど…っ」
アースが言う
「それで?つまり お前は私へ何が聞きたいのだ?単純明確に…」
アースが思う
(言われたくないと思ったのは初めてだが)
アースが言う
「…さっさと 言え」
グレイゼスが苦笑して思う
(そちらは もう 諦めていると言う事で?)
ラミリツが言う
「だから 僕は ナックキラーのギターリストである ”アニキって人が” このARTに居るのかって …少なくとも 協力をしてもらってるんでしょ?だったら…」
アースが言う
「だったら?」
ラミリツが考えてから言う
「え?えーと…」
アースが言う
「お前も既に分かっている通り ”彼の” ギターの音は」
グレイゼスが衝撃を受けて思う
(彼っ!?)
アースが言う
「我々ARTの作戦を遂行するに当たり 様々な良い影響をもたらすと言う事が分かっている 従って …必要と有れば 他のそれらと同じく 使っているだけだが?何か問題か?」
ラミリツが言う
「あ… そうなんだ?そうだよね?以前の時も… 僕らを周波数による操りの力から 守って貰う為にって… それに 今回も 魂を高めないと見えなかったり 触れられなかったりした あの天使様… えっと 皇帝を捕まえる為に アニキの力を使ったって…?」
アースが言う
「そう言う事だ 分かっているのなら 問題はないな?では この話は 以上で…」
ラミリツが言う
「あっ それなら もう1つ!」
アースが衝撃を受け視線を逸らして言う
「…何だ?他に 必要な事など」
ラミリツが言う
「そのアニキの正体って 誰?」
アースが衝撃を受ける グレイゼスが思う
(その人です)
ラミリツが言う
「任務に協力してもらっているって事は  本名だって分かってるんだよね?それに必要時には 今日みたいに即興で弾いてもらったりもしているって事は… もしかして 普段も このARTに居るとかっ!?」
グレイゼスが思う
(目の前に居ます)
アースが沈黙してから言う
「…それは」
ラミリツが言う
「それは?」
グレイゼスが思う
(どう 誤魔化すつもりで…?)
アースが言う
「…教える訳がないだろう?」
グレイゼスとラミリツが衝撃を受けて言う
「「えっ!?」」
ラミリツがグレイゼスを見る グレイゼスがハッとして視線を逸らす アースが言う
「個人情報を保護する事は 一組織のそれに関わる者にとっては当然の義務だ 増して その者が 世間的に有名な者であるのなら尚更 ARTの仲間としても 彼のそちらは守るべき情報だ」
ラミリツが表情を落として言う
「それは… …うん そうだね…」
ラミリツが思う
(だけど…)
グレイゼスがラミリツを見ると表情を落とし哀れむ アースが言う
「分かったのなら この話は終わりだ これ以上 話題を広めるなよ?」 
ラミリツが苦笑して言う
「うん 分かった …了解 司令官」
アースが微笑する ラミリツが苦笑してから立ち去る グレイゼスがラミリツを見送った後アースを見る アースが軽く息を吐く

【 ART出入り口 】

ラミリツが思う
(仲間として 守るべき 情報…)
ラミリツが言う
「…名前だって 大切な情報だもんね?」
ラミリツが思う
(だって… それが分かれば)
ラミリツがメンバーボードを見上げ 苦笑して言う
「この中の 誰か …なんだから」
ラミリツが思う
(公式情報には 特殊部隊に属している としか書かれていなかったから 所属は分からない…)
ラミリツが言う
「サポートとして後衛かもしれないし ひょっとしたら 機動部隊…?」
ラミリツがメンバーネームを一通り眺めてから苦笑して言う
「全然 分かんないや?」
ラミリツが思う
(ARTのメンバーは名前は知らなくても 一通り顔は見た事があると思うんだけど… アニキの顔は バンドメイクのせいもあって 分からないし 声だって…?)
ラミリツが苦笑して言う
「以前 話した筈なんだけど…」
ラミリツが思う
(よく思い出せないんだよね?あの時は ライブイベントに武装集団が乱入して来ていて 僕も焦っていたし 無線イヤホンも付けていなかったから 録音もされていなくて)
ラミリツが息を吐いて言う
「はぁ~… もう一度会いたいなぁ」
ラミリツが思う
(誰なんだろう?アニキって…)
ラミリツが出入り口を出て行く 通路の角に身を隠していたアースが堪えていたくしゃみをする
「――クシュンッ!ふぅ…」
アースが一息吐いて 出入り口へ向かうとIDを通す アースの名前が消灯する

翌朝

【 メイリス家 】

ラミリツが荷物を持ってエントランスへやって来て言う
「車はあるっ?すぐにARTへ向かうからっ」
メイドが言う
「攻長閣下 ご朝食は如何されますか?」
ラミリツが言う
「急いでいるから良い 用意してたんなら ごめんって伝えておいて」
メイドが言う
「畏まりました 攻長閣下」
ラミリツが言う
「車は?」
フットマンが言う
「はい 只今 ご用意して参ります」
ラミリツが言う
「ごめん 急いでくれる?先に言って置けば良かったね」
ラミリツが思う
(念の為 兄上が屋敷を出てからにしようと思ってたけど …もう これ以上は 待てないよっ)
フレイゼスがやって来て言う
「おや?ラミリツ殿?」
ラミリツが言う
「あ…っ」
ラミリツが思う
(あぁ…っ そうだった 政府の始業時間は 元々国防軍やARTより1時間遅いんだっ 同じ政府の管轄でも 政府警察は国防軍と同じ時間だから すっかり忘れてた…っ)
フレイゼスが言う
「本日は ラミリツ殿のART2は 昨日の振り替えで お休みだと伺っていましたが?ご朝食も召し上がらずに ARTへご出隊をされるのですか?」
ラミリツが言う
「あ~ うん… ちょっとね?急いでるんだ 個人的に その… 色々あって?」
フレイゼスが微笑して言う
「そうですか 政府長攻長閣下のご出向を了承しております 政府内に置かれましても ARTの業務内容の方は把握が出来かねますので 政府に居ります私には何も申し上げられませんが… その… ラミリツ殿?」
ラミリツが疑問して言う
「うん?何?」
フレイゼスが苦笑して言う
「例え どちらに居られましても ラミリツ殿は 間違いなく このアールスローンの国家家臣 攻長閣下で御座いますので 実質的な権力は ハブロス司令官より上の立場であります事を どうか お忘れなく」
ラミリツが言う
「え?えっと… それは分かっているつもりだけど?何で?」
ラミリツが思う
(わざわざ それを今 言う必要って?)
フレイゼスが苦笑して言う
「ラミリツ殿がARTにて ハブロス司令官に良いように扱われていると… シェイム殿が 日々 ラミリツ殿を ご心配されておられますので」
ラミリツが顔を逸らして言う
「あぁ 何だ また その事?それなら アンタだって分かってるでしょ?兄上は ただハブロス司令官と仲が悪いから そうやって…」
フレイゼスが言う
「はい 私も 今までは その様にと お見受けしておりましたが こう… ラミリツ殿のご配属されておられます ART2の休日に ご朝食も取られない状態で呼び出されていると言う 現状を拝見してしまいますと」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「あ…っ」
ラミリツが思う
(えーと どうしよう?本当は… 今日は…っ)
フレイゼスが続けて言う
「私も 少々 シェイム殿のご心配の程が 理解出来てしまいましょうか?…と?」
ラミリツが言う
「えーと それは その…っ」
ラミリツが思う
(どうしよう?何て言ったら良い…?フレイゼスの心配も分かるし だけど 今更ARTへ向かうのは 嘘だとは言えない… …そうだ!それなら!)
ラミリツが意を決して言う
「何にしても!ハブロス司令官は 絶対 悪くないからっ!」
フレイゼスが衝撃を受け苦笑して言う
「そ、そうですか…」
ラミリツが思う
(よし 取り合えず これで良いよね?ハブロス司令官が 悪いんじゃないんだって そう言って置けば?…それは事実だもんね?)
フットマンがやって来て言う
「攻長閣下 お待たせを致しました お車のご用意が…」
ラミリツが急いで向かいながら言う
「あっ!うん!それじゃ あ… フレイゼス お先!」
フレイゼスが苦笑して言う
「…はい 行ってらっしゃいませ 攻長閣下… っと もうとっくに いらっしゃいませんね?」
フレイゼスが思う
(あれほど急いで… それも とても嬉しそうに ご出隊をされるとは… それこそ)
フレイゼスが言う
「とても シェイム殿の 目にはさせられないと思っていたのですが …申し訳ありません シェイム殿?」
フレイゼスが振り返ると シェイムが食堂のドアの内側で挫折していて言う
「エーメレスが…っ あの悪魔に…っ」
フレイゼスが苦笑して言う
「目にはされなくとも マスターの聴力では そちらの食堂に居られましても しっかりと聞こえてしまいましたよね?私も うっかり マスターのその能力の事を忘れておりまして …誠に申し訳ありませんでした シェイム殿… いえ マスターシュレイゼス殿」

【 道中 】

ラミリツが車窓から外の様子を見て思う
(マイルズストリート90… よし この辺で!)
ラミリツが言う
「あ、悪いけど その辺りで停めてくれる?」
車が止まり ラミリツが荷物を持って降りると言う
「ちょっと確認しておきたい事を 思い出したから ここまでで良いや」
使用人が言う
「畏まりました 攻長閣下 御用の際は お呼び付け下さいませ」
使用人が車へ戻ると 車が発車する ラミリツが言う
「よし… 後は…」
ラミリツが周囲を確認して路地裏へ向かうと 変装して現れ周囲を見てから走って行く

【 マイルズストリート100 CDショップ前 】

ラミリツがやって来ると視線を向けて言う
「わぁ… 今日は特に凄いや」
ラミリツが思う
(いつもより軽く3倍は居る?最後尾は何処だろう?えっと…?)
ラミリツが周囲を見渡してから走って向かう 係員がプレートを持って居て言う
「CDのみの ご購入の方の最後尾はこちらでーす!」
ラミリツが思う
(CDのみの?…あ、そっか 今日は最新CDの再販と ライブDVDの発売日が一緒だから)
ラミリツが周囲を見渡すと 係員がプレートを持って居て言う
「DVDのみの ご購入の方の最後尾はこちらでーす!」
ラミリツが思う
(あっちはDVDのみ… えっと それじゃ…?)
ラミリツが後方へ向くと 衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?」
遥か後方に 係員がプレートを持って居て言う
「CDとDVD同時購入の方の最後尾はこちらでーす!」
ラミリツが呆気に取られて言う
「両方は あんなに遠いの!?」
ラミリツが表情を困らせて思う
(…でも しょうがない ばらばらに並ぶ事は出来ないんだから)
ラミリツが同時購入のプレートの下へ向かう ラミリツが列に並んで前方を見て思う
(うわぁ… やっぱ 同時購入の人が圧倒的に多い… これって300人は居るよ?スペシャルスペシャル特典なんて 夢のまた夢 もしかして 今日販売分のCDとスペシャル特典すら 手に入らないんじゃ…っ?)
ラミリツが落ち込んで言う
「これじゃ 何の為に並んでいるんだか…」
ラミリツが思う
(これなら 別のCDショップへ向かって 最初から特典なしの通常版を買った方が良いのかなぁ…?ここのショップが どれだけ在庫を用意しているのかは 分からないけど… もしかして整理券を渡されて また再販待ちとか?)
並んでいるナッククルーが話しに盛り上がっている ラミリツが気付き苦笑して思う
(…でも いっか?整理券を貰えれば… それに ここに居るのは皆同じ ナックキラーファン ナッククルーの皆だもんね?普段は話せない事や 聞けない話だって ここに居れば…)
ナッククルーが話す
「ついにアニキが復活だもんなー!?」 「おうよーっ!アニキは帰って来るってっ 俺は信じてたぜーっ!」
ラミリツが微笑して思う
(ふふ…っ 実は 僕も信じてたんだよね?)
ナッククルーが話す
「アニキアニキってさ?ホントにその人凄い訳?」 「なー?レッテ以上の奴だって話だけど 聞いた事無いもんなー?」
ラミリツが気付いて思う
(え?あ、そっか?アニキが一度引退して10年も経ってるモンね?同じナッククルーでも アニキのギターを知らない人も居るんだ?)
ナッククルーが話す
「アニキがヴォーカルヘルプやった曲って ライブやTVではナルが歌うんだろ?これって また メステゲレンダーみたいに 伝説になるんじゃねぇ?」 「言えてる言えてる!」
ラミリツが思う
(言われてみれば?そうだよね?過去のCDだって アニキのギターが入っている ナックキラーの曲は メステゲレンダーの一曲だけだったんだよね?僕は インディーズ時代に他の曲も聞いているけど)
ナッククルーが話す
「開店まで 後何時間よ!?」 「後4時間」 「長ぇ~」 「眠ぃ~」
ラミリツが思う
(ふふふ…っ そっか 皆は僕よりずっと前から並んでるんだ あの位置なら 確実にスペシャル特典はゲット その前のあの辺りなら スペシャルスペシャル特典 …僕も)
ラミリツが溜息を吐いて言う
「はぁ~ やっぱ こんな時位は 早朝トレーニングとか気にしないで 徹夜で並べば良かったかなぁ…?」
ラミリツが苦笑して思う
(でも これから4時間も結構長いのに それこそ 徹夜でって… 一体どれ位長いんだろう?)
ラミリツが前方を見て思う
(それに その苦労も惜しまない こんなに大勢の人を集められるって やっぱ凄いよね?ナックキラーって!)
ナッククルーの一人が叫ぶ
「ナックキラー!」
ナッククルーが拳を突き上げて叫ぶ
「「最高ーっ!」」
ナッククルーが盛り上がる ラミリツが叫んだ姿で笑う
「あっはははっ!」
ラミリツが思う
(楽しい!こうやって 同じ意思の仲間たちと居るのは やっぱ最高だよ!)
係員が言う
「お知らせでーす 本日は 混雑回避の為 開店時間を2時間早めまーす!」
皆が喜んで言う
「「おおおーっ!」」 「最高ーっ!」 「最高ー!」
係員が言う
「開店時間は8時!只今より2時間後の8時からー!」
皆が拍手をする ラミリツが微笑して思う
(やった!開店時間が2時間も早まるなんて 凄いや!)
ラミリツが言う
「残り2時間なんて ここに居れば あっという間だよ!」
ラミリツが微笑して周囲を見る 周囲のナッククルーが盛り上がっている

【 車内 】

ナルが言う
「ショップの開店時間を 2時間も早めちまうなんて 流石!」
ベースメンバーが言う
「ナッククルーの皆も喜ぶし タイミングも最高!ってな?ホント 流石だよ」
レッテが苦笑して言う
「とても 普通のバンドじゃ 真似は出来ないよな?…アニキのナッククルーへの サービスはさ?」
アースが言う
「確かに そちらのサービスを してやりたい想いは在るが どちらかと言えば 私個人の都合だ」
ナルが苦笑して言う
「アニキ?この後は兎も角として 今は 俺らナックキラーのアニキだろ?だったら」
アースが眼帯を外して言う
「そうだったな… つい先程まで 面倒な連中の相手をしていたお陰で どうも抜け切らないが…」
レッテがアースの顔を見て言う
「あれ?何だ アニキ 左目って怪我してたんじゃなかったの?」
アースが元の色をした左目の視線を向け 微笑して言う
「ああ、アールスローンの悪魔に頼んで 治して貰ったんだ」
レッテが呆気に取られて言う
「へ?悪魔に?…それを言うなら せめて 神様に …じゃなくて?」
アースが言う
「さぁ どうだろうな?」
レッテが困惑して言う
「え?えっと…?」
ドラムメンバーが言う
「あー また始まった アニキの訳の分かんねぇ話が!昔は しょっちょうそんな アニキの分かんねぇ言葉に 俺ら皆ちんぷんかんぷんでなぁ?」
レッテが疑問して言う
「え?昔から…?」
ドラムメンバーが言う
「何だっけ?カブシキが何たらでバイカが神の魔法だから 悪魔の賭けに乗って… ナンタラ?」
キーボードメンバーが笑って言う
「あっはははっ あったあった!」
レッテが言う
「え?いや… それなら分かるような 気もするけど…?」
ナルが苦笑して言う
「まぁ そんな感覚だからよ?アニキの言葉は まともに考えるなって話よ!」
レッテとアース以外が笑う アースが苦笑して言う
「酷い言われようだな?それ程までに分からなかったのか?当時の株式変動の話だろう?」
ドラムメンバーが言う
「分かんねぇ分かんねぇ!今でも分かんねぇ!」
アースが言う
「今ならば分かるだろう?隠語の正式名称は知らずとも それなりにならば?」
レッテが言う
「それじゃ その目を治したって言う さっきのも隠語で?…って!?」
レッテが衝撃を受けて言う
「な、なんか… 悪い薬とか 闇市とかって事じゃ…っ?」
アースが衝撃を受け 苦笑して言う
「い、いや、そちらは大丈夫だ むしろ 現代の方が 隠語は使っていないから 普通に聞いてくれよ レッテ?」
レッテが衝撃を受け困惑して言う
「え!?えっと…?」
レッテとアース以外が笑い ドラムメンバーが言う
「やっぱ 分かんねぇ!相変わらず 高位富裕層様のお話は 分かんねぇ!」
アースが不満そうに言う
「何故 私の話は いつもお前たちへ 通じないのだ?」
ベースメンバーが笑って言う
「そうそう 久しぶりに聞いたな?アニキの その口癖!」
アースが言う
「口癖ではない」
レッテとアース以外が笑う アースが言う
「もう良い 時間が惜しい 最終打ち合わせを…」
レッテとアース以外が笑う アースが衝撃を受け怒りを抑える レッテが困り苦笑する

【 マイルズストリート100 CDショップ前 】

並んでいるナッククルーが楽しんで歌い騒いでいる
「次は新曲の!」 「止めろって!そりゃ 反則!」 「最低 最低!」 「良いぞ!歌っちゃえーっ!」
ラミリツが笑いながら思う
(あぁ~ 本当は公共の路上での歌や演奏のそれらは 政府警察の 公共施設に置いての騒音防止条例違反で 厳重注意 …もしくは 規模が大きい場合は 軽犯罪法の適用で 数日の禁固刑か10万以下の罰金になるんだけど)
ラミリツが苦笑して言う
「まぁ 良いよね?今は…」
ラミリツが思う
(今日の僕は休暇中だし…?って 言っても 政府警察に属して居る者は 刑法に抵触しているそれらを確認した際は 休暇中であっても逮捕出来ちゃうんだけど…)
ラミリツが顔を左右に振って言う
「もぉ~ 良いの良いのっ!今は!」
ラミリツが思う
(今の僕は 政府のメンバーじゃなくて!ナッククルーのメンバーなのっ!だからっ)
誰かが言う
「ナックキラー!」
ラミリツと皆が叫ぶ
「「最高ーっ!」」
ラミリツが楽しんでいる

【 車内 】

メンバーたちが楽器の調整をしている アースの声が聞こえる
「…それから 政府警察の条例にて 公共施設に置いての騒音防止条例と言うものが有り 政府国土管理局が管理を行う路上に置いて 騒音とみなされる音やそれらを放つ事は禁止されているのだが そこには例外があり あくまで 路上に置いてのそれらが禁じられているのであって 路上の …上に有る ”車上であれば” そちらは適用の範囲では無い」
ドラムメンバーが笑って言う
「出た出た!アニキの魔法の呪文が!」
ドラムメンバーがノリでドラムを叩いて笑う 旧メンバーたちが笑う レッテが苦笑して言う
「そっか… 言われて見れば もし 元の法律が車上のそっちにも適用されるとしたら 下手に車内で爆音音楽なんて 聞けないもんな?」
アースが言う
「そう言う事だ」
レッテが言う
「なるほど 例外にもなる訳だ」
アースが言う
「そこで 今回の作戦へと繋がる …と言う事で 分かったか?ナル?」
ナルが言う
「え?何がだよ アニキ?車上であれば 大丈夫なんだろう?いくら俺らでも 分かったって?」
アースが言う
「本当に分かったのなら良いが また 以前の様に ノリでナッククルーの奴らへ向かって ダイブをしたら その時点で刑法適用の範囲だからな?規模は十分 付近に政府警察の連中が 紛れてでもしていたら 即刻逮捕だぞ?」
ナルが衝撃を受けて言う
「げっ!?そ、そっか 分かった…」
レッテが思わず笑う 旧メンバーたちが言う
「そう言えば以前の時」 「ああ!あったな!そんな事も!」 「あったあった!」
アースが言う
「頼むぞ?今回はそれをやられるとマジで 俺がヤバイんだからな?ナル?」
ナルが苦笑して言う
「分かった分かった 先にちゃんと教えて置いてもらえるなら 大丈夫だって アニキ!」
アースが言う
「それなら良いんだが」
コネクトウィンドがノックされる 皆が反応すると 旧メンバーが言う
「よし もうすぐ到着だ」 「皆準備は良いか?」 「アニキは?」
アースが右目への衣装を結ぶと言う
「ああ 問題ない …久しぶりに ハデにキメようぜ?野郎ども?」
皆が言う
「「おうよっ!」」
アースが微笑してギターを手に取る

【 マイルズストリート100 CDショップ前 】

ナッククルーが盛り上がっている シーナが叫ぶ
「最高ーっ!」
ラミリツが反応して顔を向けて思う
(あれ?シーナ隊員じゃない?…そう言えば 彼女は昨日の作戦の時にも ナックキラーのキメの言葉を言ってたし… へぇ?そうだったんだ 女性でありながら 僕らと同じ機動隊員だってだけじゃなくて 彼女は本当に)
隊員Nと隊員Vが叫ぶ
「「最高ーっ!」」
シーナが隊員Nと隊員Vに気付いて指差して言う
「ああーっ!ナクス隊員とヴェイル隊員!」
隊員Nと隊員Vが叫ぶ
「「おうよーっ!ナッククルーの!」」 「ナクス隊員と」 「ヴェイル隊員だぜい!」
ラミリツが笑って思う
(彼女もナッククルーだったんだ しかも 僕よりずっと前に並んでいるって事は…)
シーナが言う
「えぇえー しかも そんな前方って!?一体何時から並んでたんですかーっ!?」
隊員Nと隊員Vが叫ぶ
「もちろん 俺らは!」 「徹夜組よぉおっ!」
隊員Nと隊員Vの近くのナッククルーが叫ぶ
「「おうよーっ!」」
シーナが隣に居るエミーへ言う
「えぇ~ 嘘ぉ~!徹夜だってっ!?私たちも 早朝じゃなくて 徹夜にすれば良かったね!?エミー!?」
エミーが言う
「そうだね?ナクス隊員とヴェイル隊員が居るんだったら それも有りだったかもね?」
シーナが隊員Nと隊員Vへ向かって言う
「その位置なら スペシャルスペシャル特典 確実ゲットじゃないですかぁっ!ずっる~いっ!」
隊員Nと隊員Vが喜んで笑って言う
「「おうよーっ!スペシャルスペシャル特典は 俺らが頂いたーっ!」」
隊員Nと隊員V周囲のナッククルーが言う
「「おうよーっ!」」
ラミリツが笑って思う
(そのシーナ隊員だって その位置ならスペシャル特典は 必ずゲット出来るだろうし… あぁ こんな時は本当に…)
ラミリツの視線の先 隊員Nと隊員Vとシーナとエミーが遠い位置で声を張って話し 周囲も巻き込んで笑いが起きている ラミリツが思う
(僕の地位や名誉が無ければ それこそ 彼らと一緒に居られるのに …こんなに近くに居るのに 仲間に入る事も出来ないなんて)
ラミリツが溜息を吐いて言う
「しかも 僕は シーナ隊員と違って スペシャル特典もゲット出来そうに無いし…」
ラミリツが苦笑して思う
(けど… 次回販売分の整理券と 皆との この時間を共有出来るから …いっか?)
ラミリツが微笑すると 大型トラックがラミリツの横をすり抜けて行く ラミリツがトラックを見て疑問して思う
(あれ?大型トラック… ひょっとしてステージへ?今日は… このライブステージの使用許可申請とか …政府警察に入ってるのかな?)
ラミリツが首を傾げて言う
「そう言えば最近はすっかり そう言った事の確認とかもしてなかったっけ…?」
ラミリツが思う
(長期任務は終わったんだから これからはまた 政府警察にも顔を出さないと… 僕は…)
トラックがナッククルーの列の中央付近で減速する ラミリツが疑問して見ながら思う
(ART2の隊長ではあるけど 政府長攻長でもあるんだから 攻長は陛下の剣 政府の長にして攻撃を司る だから最低限でも 政府警察に関する事は把握はしておかない …と?)
ラミリツが疑問してトラックを見る

【 車内 】

アースが言う
「エンジン停止から 各自 3秒カウントっ」
メンバーたちが小声で言う
「「おうよっ」」

【 マイルズストリート100 CDショップ前 】

トラックのエンジンが止まる ナッククルーが疑問してトラックを見る バラバラに音が鳴らされる その中にアースのギター音が入る ラミリツと数人が気付き反応して言う
「え?」 「今の音は…っ」
ラミリツが目を見開いて言う
「まさかっ!?」
イントロが始まると同時にトラックの荷台が開かれる ナッククルーが驚き歓声を上げると ナックキラーの曲が演奏される ファンたちが叫ぶ
「うおぉおおー!」 「ナックキラー!」 「最高ーっ!」
アースが速弾きをすると ファンたちが叫ぶ
「アニキー!」 「アニキ 最高ーっ!」
ラミリツが叫ぶ
「アニキー!」
隊員Nと隊員Vが叫ぶ
「「アーニキー!」」
シーナとエミーが驚いて顔を見合わせる ナルがイントロ中に叫ぶ
「おいおい そこの ナッククルーの野郎ども!?こんな朝っぱらから 何楽しんでやってんだぁ~?もちろん俺らも混ぜてくれるよなあ!?」
ファンたちが叫ぶ
「「ナルー!」」 「「レッテー!」」 「「ナックキラー!最高ーっ!」」
ナルが歌いファンたちが盛り上がる

― 人権ギリギリの最下層 神の勝手な判断でここに 堕(おと)された俺らを 神に愛された小綺麗な奴らが嘲笑う けれど見てみろよ 野郎ども!―
=野郎ども!=

―奴らの世界の何処が綺麗なんだ?見た目が綺麗だって?あんな姿で歩いてみろよ?俺らの世界じゃ どうぞ私を殴って下さいと 言って歩いているみたいなもんだ だから奴らは歩かない ここは俺らの世界だ 胸を張って歩こうぜ野郎ども!俺らに恐れるものは何も無いぜ!クソッたれ!―
=クソッたれ!=

―ここには俺たちのルールがある 奴らが何だ?訳の分からない呪文を繋げて言おうと構うものか―
=構うな!=

―出来るものなら止めてみろ 俺らのソウルは最下層から最上層まで突き抜けて 俺らをここへ落とした天使どもを 今度はここへ堕おとしてやろうぜ!野郎ども!それで言ってやろう 俺らの魔法ことば お前が堕した 神の子らは 最高の悪魔になっただろう!?―
=最高!=

後伴奏が流れる中 ラミリツが叫ぶ
「ヘイトエンジェルズ 最高ーっ!」
周囲のナッククルーが叫ぶ
「「最高ーっ!」」
シーナとエリーが叫ぶ
「「最高ーっ!」」
ラミリツが微笑して思う
(シーナ隊員も この曲気に入ってるんだ?最下層の人をメインに歌ったている曲だから たまに変に言い掛かりを付けるファンも居るんだけど やっぱ良いよね?この曲!最下層の人では無いけど 僕はこの曲も この強い想いの最下層の人の気持ちも 気に入ってる!)
ナッククルーに紛れている 数人の張り込みの刑事たちが不満そうに表情を顰める 後伴奏が終焉に近付くとそこから繋がって別の曲になる ラミリツが疑問して思う
(あれ?この曲は…?)
シーナとエミーが疑問して顔を見合わせる 隊員Nと隊員Vが反応して叫ぶ
「うおぉおおー!新曲来たぁああー!」 「ヘイトデビルズー!最高ーっ!」
ナッククルーがざわめき 盛り上がる ラミリツが喜んで言う
「新曲披露っ!?やったぁあっ!最高ーっ!」
ナルが歌う

― 自分の堕した神の子に 堕された天使が逃げ出した そこへ残った子は 天使の落し子か悪魔の落し子か?どっちだろうと関係ないよな?野郎ども!何てったって俺らは最下層 これより下がないから 恐れるものだって何も無い 天使も悪魔もここに居るなら 何だって構わない―
=構うものか!=

―だから こいつも最下層!俺らの仲間だと 共に叫んで生きていたら ある日小綺麗な連中が おっと見付けた俺の落し物 持って行っちまったよ クソッたれ!―
=クソッたれ!=

―知識・常識・品位・人格 小綺麗なそいつを着せやがって 自分らの仲間にしたってさ?ある日戻って来た そいつは綺麗な悪魔になって 俺らに言ったぜ あいつらなんて クソッたれだったってよ?やっぱ 最下層の俺らが最高だぜ!野郎ども!―
=最高!=

―さあ!始めようぜ!?野郎ども!俺らのソウルは全開だ!小綺麗な奴らがビビッて逃げ出す そんな時だって 俺らは何も怖くは無い これが楽しいんだ どうだ?最高だろう!?ってな!小綺麗なお前らには 分からないだろうと言い放って イカレ狂ったこの世界 今こそ俺らのソウルで 突き破れ!―
=ヘイトデビルズ!=

後伴奏が流れる中 隊員Nと隊員Vがが叫ぶ
「ヘイトデビルズ 最高ーっ!」
周囲のナッククルーが叫ぶ
「「最高ーっ!」」
シーナとエリーが叫ぶ
「「最高ーっ!」」
ラミリツが思う
(ヘイトエンジェルズの続き!?今度は最下層から生まれた天使か悪魔が 富裕層の世界に行って …それで ナッククルーの下へ戻って来たって!?…やっぱ 楽しい!この曲もすっごく良いよ!)
ラミリツが叫ぶ
「最高ーっ!」
曲が終わりナッククルーが盛り上がっている ナルが言う
「てめえらぁー!ノッてるかー!?」
ナッククルーが叫ぶ
「「最高ーっ!」」
ナルが言う
「おうよー!それなら もっともっと そんなてめえらに 曲をカマしてやりてぇ所だが あんま俺らがハデにキメちまうとぉ!?もしかすっと そこら辺に潜んでやがる 天使(政府)どもに 見付かっちまうかもしれねぇからなぁ?」
ラミリツがギクッとして言う
「そ、それって…」
ナッククルーが笑って言う
「ナルー!」 「ナル最高ーっ!」
ナルが言う
「天使どもの呪文に引掛かる ギリギリの作戦は この辺で とんずらさせてもらうぜぃっ!すまねぇな 野郎どもー!?今日の所は 俺らナッククルーの下に 戻ってきやがった 悪魔のギターリスト!アニキのギターと姿で 許してくれやぁ!?」
アースがギターを弾く ナッククルーが盛り上がって叫ぶ
「アニキー!」 「アニキー!お帰りー!」 「待ってたぜ!アニキー!」
アースが拳を上げる ナルが言う
「これでやっと ナックキラーの本戦再開だぁー!レッテも加わって ナックソウルは更に高まったぜ!?そうとなりゃ 最後はこの曲でハデに決めてやるよっ!?」
アースがギターを鳴らし イントロが始まる ナッククルーが盛り上がって叫ぶ
「メステゲレンダー!」
ナルが叫ぶ
「どうだ?最高だろうっ!?」
ナッククルーが叫ぶ
「「最高ー!」」
ナッククルーと 隊員Nと隊員V、シーナとエミー、ラミリツが盛り上がる中 張り込みの刑事たちが視線を巡らせる

【 マイルズストリート99 貴金属店 】

店主が店内の清掃をしながら一息吐いて言う
「うん?何だ 今日は また あのうるさい連中が並んでたが いつもはここまで騒がしくは無いんだがな …まったく 最近の若い者の音楽は あんなうるさい音の何処が良いんだか?」
店主がショーケースの鍵を開け 中の宝石類へエアースプレーを掛けながら言う
「余り続くようなら 警察へ連絡して 少しは…」
店主の口が後ろから押さえ付けられる 店主が驚いて言う
「んんっ!?」

【 マイルズストリート100 CDショップ前 】

アースがギターの速弾きを行っている ファンたちが叫ぶ
「うおぉおおー!凄ぇえー!」 「アニキ最高ーっ!」 「最高ーっ!」
シーナがエミーへ言う
「見た見たっ!?今のっ!」
エミーが言う
「凄いっ!凄いーっ!」
ラミリツが思う
(やっぱ アニキのギターは最高だよっ!)
曲が終わり ナルが叫ぶ
「ナックキラー!?」
皆が叫ぶ
「「最高ーっ!!」」
メンバーが集まり拳を交えた後 ファンたちへ向く ファンたちが盛り上がる 最後尾のファンたちの後方で 貴金属店からサイレンが鳴り 扉が壊され 犯人1が出て来ると 店主が追いかけて言う
「待てーっ!このーっ!」
店主が防犯ペイントボールを投げ付ける 張り込みの刑事たちがハッとして向かう ラミリツが反応して振り返って言う
「え?何…?」
ナッククルーが徐々にサイレンに気付き始める メンバーたちが疑問して顔を向けると 皆の視線の先 店主が犯人1の服を掴んで居る アースが気付いて言う
「強盗か…?」
アースが視線を向けると 店主と犯人1の近くに張り込みの刑事たちが居る アースが気付き思う
(一部ノリの悪いのが居ると思ったら 奴らは張り込みの政府警察だったのか… とは言え それならそうと ここは法の穴を掻い潜っているとは言え 早めに撤収をした方が…)
アースがメンバーへ顔を向けると 同時に 犯人1が店主へ銃を向ける 店主が驚き思わず手を離すと 犯人1が反動で身体をずらされ 発砲した銃弾が店のショーウィンドウを割り大きな音を鳴らす ナッククルーが驚き一部が悲鳴を上げる アースが視線を細めて思う
(クソッ!相変わらずの無能共がっ ナッククルーの野郎どもに 危害が加わったらどうするっ!?早く捕らえろっ!)
アースの視線の先 張り込みの刑事たちが犯人1へ銃を向けている 犯人1が店側に居た店主から 張り込みの刑事たちへ照準を変える アースが表情を顰める 周囲のナッククルーが銃口に怯える ラミリツが気付くと表情を困らせ思う
(ど、どうしようっ!?今ここで出て行ったら…っ 僕の正体がバレちゃうし…っ それに …折角並んでたのにっ!?)
ラミリツが列を見る 張り込みの刑事たちが犯人1へ銃を向けたまま言う
「銃を捨て 大人しく投降しなさいっ!」 「周囲は包囲されている 逃げられはしないぞ!」
犯人1が一歩後ず去る 張り込みの刑事たちが一斉に犯人1へ狙いを付ける アースが気付いて思う
(馬鹿がっ!)
ラミリツが思う
(それじゃっ!)
犯人1が店主へ銃を向けて言う
「動くな!少しでも動けば…」
店主が怯えると 犯人1が店主へ狙いを付けたまま ゆっくり店主へ向かい始める ラミリツが思う
(人質を取られたら終わりだっ!押さえるなら 今しかないっ!…何で行かないのっ!?今なら まだ…っ!)
アースがラミリツに気付き思う
(行けっ!ラミリツ攻長っ!)
アースがピックへ意識を向けてから投げ付ける ピックに見えない力が乗り 彼方の犯人1の銃口へヒットして 犯人1が驚くと 上がった銃から一発の銃声が鳴り響く ラミリツが瞬時に反応して思う
(今だっ!)
張り込みの刑事たちが呆気に取られると同時に ラミリツが駆け出して叫ぶ
「やぁああーっ!」
張り込みの刑事たちがハッとすると ラミリツが犯人1へ掴み掛かり 銃を奪い捨てて犯人1を地面へ叩き付ける 皆が驚く中 アースが笑んで思う
(良しっ!良くやった 流石は 我らARTの隊長…)
アースがハッとすると ナッククルーに紛れて 犯人2が居てラミリツへ銃を向ける アースがギターを鳴らすと同時に ナルのマイクに叫ぶ
「後ろだっ!ラミリツ攻長っ!」
皆が驚く中 ラミリツがハッとして振り返ると同時に 背に持っていた剣の鞘を向ける 銃弾が弾かれる 皆が呆気に取られている間に ラミリツが鞘に収めたままの剣で犯人2の銃を斬り払うと 続いて首筋へ振り下ろし 犯人2が気絶して倒れる ラミリツが周囲を確認してから 犯人1へ向くと 犯人1が逮捕され悔しそうに言う
「く、くそぉ…」
ナッククルーが顔を見合わせた後 盛り上がって言う
「やったぁー!」 「攻長閣下だー!」 「最高ーっ!」
ラミリツがハッとして 手に持っている攻長の剣と 行動中に外れていた変装に気付くと 苦笑してナッククルーへ手を振る 張り込みの刑事たちが犯人らの逮捕を終え 店主の保護をすると共にラミリツの下へやって来て言う
「攻長閣下 お手を拝借致してしまい 誠に申し訳御座いませんでした」
ラミリツがハッとして言う
「あ、えっと… う、うん まぁ… 逮捕出来て 良かった…よ?」
ラミリツが背後のナッククルーの盛り上がりに苦笑して思う
(お陰で 正体がバレて 列に戻る事はもちろん これ以上ここに居る事も 出来なくなっちゃったけど…)
張り込みの刑事たちが言う
「ちなみに 攻長閣下は 何故 こちらへ?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
ラミリツが思う
(あ… あぁ~っ!そ、そうだったっ そうだよね!?政府警察の皆からすれば 何で 宝石店の警備作戦の事も知らない僕が ここに居るんだって!?…ど、どうしよう!?この状況で 今更!?何て誤魔化したら…っ!?)
ナルの声が聞こえる
「やっはーっ!流石 攻長閣下ーっ!ハデにキメてくれたぜぃ!」
ラミリツがハッとして顔を向けると驚いて思う
(えっ!?)
ラミリツの視線の先 ナルとアニキの姿のアースがやって来て アニキがラミリツを見て微笑する ラミリツが呆気に取られて言う
「アニキ…っ!」
張り込みの刑事たちが ナルとアニキを見て言う
「君たちは?何か用かね?一応 言って置くが 騒音防止条例違反は免れているとは言え 本来であるなら!」
アニキがナルの腰を軽く叩いて促す ナルがハッとして言う
「お!?おうおう!そー 堅い事言わないでくれよぉ!?お巡りサン?俺らはちょいと ナッククルーの野郎どもに朝の挨拶をしに来ただけでぇい!?別に ストリートライブをしに来た訳じゃねぇんだよっ!?ん~でもって 何だ?えーと?」
アニキが張り込みの刑事たちへ背を向けナルへ小声で伝える ナルが思い出した様に言う
「お、おうっ!そうそうそう!んでまぁ 何だっ!?取り合えず 挨拶は挨拶にしても!俺らは 一応っ!?アールスローン1の人気デスメタルバンドだからなぁ!?何か 間違いでもあっちゃいけねぇと思って!攻長閣下に 俺らの護衛を お願いした訳よっ!どうだ 最高だろうっ!?」
張り込みの刑事たちが衝撃を受け驚いて言う
「こ、攻長閣下に 護衛をだとっ!?」
ラミリツが呆気に取られて思う
(え?僕に護衛を頼んだ…?)
アニキが張り込みの刑事たちに背を向けて ナルへ小声で伝える ナルがハッとして言う
「あ!あぁあ!悪い悪いっ!今のは ちょっと 間違えたっ!攻長閣下は攻長閣下でも!その… あ、ARTの!ARTの方の!攻長閣下だっ!えーと だから…っ …そう!ラミリツ・エーメレス・攻長 隊長に!頼んだんだよっ!なぁ!?アニキッ!?」
ナルがアニキへ向くと アニキが頷いてからラミリツへ視線を向ける ラミリツがハッとして思う
(…そうか!そう言う事!)
張り込みの刑事たちが不満そうに言う
「何を勝手な事を言っている!?大体 我らが政府長 ラミリツ・エーメレス・攻長閣下が お前たちの護衛を行うなど その様な 間逆な事など 有り得る筈が…っ!」
ラミリツが気を取り直して言う
「う、うんっ いや 実はそうなんだ 彼らには以前 我々の作戦に ご尽力を頂いた事があったのでね?そちらの礼を兼ねて 今回は私が 彼らの護衛… 警備担当を受け持って居たんだ」
張り込みの刑事たちが驚いて言う
「え!?い、いえっ 政府警察の本日の警備に 攻長閣下の その様なご予定は お見受けしておりませんが…?」
ラミリツが言う
「だから 彼が説明をしてくれただろう?政府長攻長としてではなく 私は ARTの任務として 彼らの… こちらの販売促進作業を 警備していた訳だよ?まぁ 結果として 私は 彼らのそちらではなく 君たちの警備に協力する事に なってしまった訳だけど?」
張り込みの刑事たちが衝撃を受け 慌てて言う
「も、申し訳御座いませんでしたっ!攻長閣下!我々の力不足により 別の任務を行ってらした 攻長閣下のお手を 煩わせてしまいまして…」
ラミリツが言う
「本当に困ったものだよ?もう少し 武器を所持した犯人の思考を 推測する力を養ってくれないと 政府警察の逮捕件数が低下してしまうじゃない?」
張り込みの刑事たちが頭を下げて言う
「申し開きの言葉も御座いません 真摯に受け止め 精進致します」
ラミリツが言う
「うん そうして欲しいね?えーと… それでは…?」
ラミリツが周囲を確認してから アニキを見る アニキが微笑して頷く ラミリツが微笑して軽く頷いた後言う
「双方の作戦も終わったみたいだし 私も… これで」
ラミリツが思う
(仕方が無い…)
ラミリツが言う
「ARTへ帰還させてもらうよ」
張り込みの刑事たちが言う
「はい お疲れ様で御座いました ラミリツ・エーメレス・攻長閣下」
張り込みの刑事たちが敬礼する ナルが言う
「また 宜しく頼むぜぃっ!ラミリツ隊長っ!?」
張り込みの刑事たちがムッとする ラミリツが微笑して言う
「はい また お互いに協力して 頑張りましょう ナックキラーの皆さん」
ナルが言う
「おうよーっ!」
ラミリツが立ち去り際に アニキを見て思う
(有難う アニキ …また貴方に 助けてもらいました)
アニキが微笑して口ぱくで言う ラミリツがハッとしてから微笑して ナッククルーを見る ナッククルーが盛り上がって言う
「ラミリツ・エーメレス・攻長閣下ー!最高ー!」
ラミリツが微笑して拳を上げる ナッククルーが盛り上がる 張り込みの刑事たちが周囲を見て困惑する ラミリツが手を振ってから立ち去りつつ思う
(”仲間なら当然だ” …以前も そう言ってくれたよね アニキ?…そっか もしかしたら あの時も?さっきみたいに声に出さずに 言ってくれてたのかな?だから…)
ラミリツが苦笑して思う
(何か 似てるんだよね?アニキって… まるで…)

【 ART司令官室 】

ラミリツがやって来て言う
「ハブロス司令官!お疲れ様!」
アースが顔を上げて言う
「うん?何だ 来ていたのか?お前たちのマシーナリーは現在整備中だ そうとなれば そちらを使用する機動隊員のお前たちが わざわざ休暇返上で 出隊する必要は無いと思うが?」
ラミリツが言い辛そうに言う
「あ、うん その… それは知ってたし 今日は機動部隊の訓練をする為に 来たんじゃ無くて ちょっと その… ハブロス司令官に お願いがあって?」
アースが言う
「お願い?…何だ?…この忙しい時に」
ラミリツが言い辛そうに言う
「あぁ うん 忙しい時に ごめんね?その… ちょっと サインが欲しくて」
アースが衝撃を受けてからラミリツを見て言う
「っ… サイン?」
ラミリツが言う
「うん!」
アースが思う
(それは…?)
アースが言う
「私のか?」
ラミリツが言う
「そう ARTから政府に提出してる 書類があるでしょ?それに どうしても 一箇所 ART最高責任者のサインが必要で」
アースが言う
「ああ…」
アースが思う
(まったく 中途半端な言い方を…っ と、…いや?過剰反応をしているのは 私の方か?出来れば もう少し 落ち着きたい所ではあるのだが… ……来るのが速いんだよっ このガキっ)
デスクの書類の影に除光液がある アースが平静を装いつつデスクの影でマニキュアを拭っている ラミリツが書類を見ながら言う
「僕の方で書ける所は 書いてみたんだけど…  やっぱ こういう書類って 書き慣れてないから ちょっと時間が掛かっちゃって それでも一応全部埋めてみたんだけど 確認してもらえるかな?」
アースが思う
(今はまだ…っ どうにか もう少し時間を…っ)
アースが言う
「政府へ提出している 我々ARTの書類に 何か不備があったとでも?」
ラミリツが言う
「え?」
アースが言う
「政府長攻長閣下の お借受には多大な費用と共に 膨大な書類の相手をさせられるからな?何時間も掛かりそうな ご丁寧な説明文を読んだ上で 抜かりなく完了させているつもりだが 不備があったというのなら 真摯に受け入れ 訂正をするか再作成を行うが?」
ラミリツが一瞬呆気に取られた後苦笑して言う
「あ… あぁ そうなんだ?知らなかった… 費用は兎も角 書類もそんなに多いの?」
アースが言う
「当然だろう?作戦内容は詳細を可能な限り回避し 尚且つ 最低限の説明にはなる範囲で記載をした上で 日付はもちろん 時間が異なれば別の書類を用意しろとか …何故 貴方方政府の書類は あれほど 融通が利かないんだ?」
ラミリツが呆気に取られた後言う
「え?同じ日付でも 時間が違うと 別のを?あ、ホントだ 確かに…」
ラミリツが書類へ目を向けている瞬間に アースが除光液を布へ付け 作業を再開する ラミリツが書類から視線を上げて言う
「これは… もしかしたら 僕の方から言えば 改善出来るかもしれないから 言って置くね?…って言うかさ?そう言う事なら もっと早く言ってくれれば良かったのに?」
アースが作業を終えて軽く息を吐いて言う
「まぁ 同日に異なる任務が重なる事などは稀だからな?言ってしまえば どうでも良かったから 言わなかったのだが」
ラミリツが疑問して言う
「え?えっと…?」
ラミリツが思う
(あれ?融通が利かないって 怒ってたんじゃなかったの?なのに どうでも良いって…?)
アースが言う
「取り合えず 言ったからにはやって置けよ?」
ラミリツが言う
「あ… うん 分かったけど?」
ラミリツが思う
(まぁ 良っか?)
アースがマニキュアを拭っていた布を捨てて言う
「…よし、それで?サインだけと言われても 作戦内容は どの様に記載をしたんだ?」
ラミリツが言う
「あ、うん そうそう 作戦内容ってさ?文字にしようとすると 結構面倒だよね?出来るだけ 簡単にして執着されないようにしようと思ったんだけど …これで良いかな?」
ラミリツが書類を見てからアースの下へ向かう アースが自分の爪を見てから書類を受け取る ラミリツが僅かに匂いに反応する アースがチラッとラミリツの顔色をうかがってから書類を引き抜き目を通す ラミリツが一瞬驚くと苦笑して言う
「あ…?…えっと もしかして?…アニキから聞いてる?」
アースが言う
「何の話だ?」
ラミリツが苦笑して言う
「うん… なら それじゃさ?彼らのバンドが 今朝…」
アースが言う
「”ART2の隊長として ナックキラーバンドの販売促進作業中におかれる 彼らの警備を受け持った” …ここまでで十分だ その後の部分は 政府警察へ協力を行った際の 行動内容だろう?」
ラミリツが言う
「え?うん それはそうだけど でも…?」
アースが新しい書類を用意しながら言う
「付け加えるのなら 警備状況に問題なし 任務は無事完了 これで良い …それとも?政府警察への協力以前の警備中に 何らかの問題でも発生したのか?」
アースが言いながら書類を書き進める ラミリツが顔を左右に振って言う
「う、ううんっ!問題は何も無かった …と 思うけど?」
アースが言う
「では 完了だ 本日行った作戦の書類であるならば 本来であるなら明日の提出だが これから政府本部へ向かうと言うのなら 持って行け その方がそちらの処理が 今日中に終わる」
ラミリツが書類を受け取り苦笑して言う
「有難う… って言うか 速いね?僕が あんなに時間を掛けて書いた書類なのに ホント あっという間に…」
アースが言う
「下手に詳細を書く方が 後から言い掛かりを付けられる …政府へ提出する書類を書くようになってから 言葉を隠すのが上手くなった …最も その様な内容の無い報告で 受け入れる方もどうかと思うがな?」
アースがラミリツの持って来た書類を 破ってから捨てる ラミリツが苦笑して言う
「そこはさぁ?ミックワイヤー長官や政府の皆が ハブロス司令官を信用してくれてるって事じゃない?素直に喜ぶ所だと思うけど?」
アースが言う
「私を信用しているのではなく 彼らは お前を信用しているんだ」
ラミリツが呆気に取られる アースが言う
「その彼らの信用を… お前への信頼を 決して忘れるな」
ラミリツが言葉を失ってから 表情を落しつつ苦笑して言う
「…うん 分かった ハブロス司令官の言う通り 今日はこれから政府本部へ行くし …そうだよね?僕は何処に居ても 政府長攻長だもんね?…分かった ちゃんと考えて 行動する様にする…」
ラミリツが思う
(そうだよね… 今日だって 本当に あの時 アニキが助けてくれなかったら 僕は あの場所に居た理由が無かった …バレちゃう所だったんだ 国家家臣 政府長攻長が… って… だから もう…)
アースが言う
「…違うな?」
ラミリツが言う
「え?」
アースが言う
「そうではない」
ラミリツが疑問して言う
「え?えっと…?」
アースが言う
「私は お前に行動を抑制しろ等と 言うつもりは無い」
ラミリツが言う
「え?だって…?」
アースが言う
「その書類と同じだ 重要な部分は固め そして 抜け道も作って置く… 使えるものは使えと言う事だ お前は 1人では無いだろう?」
ラミリツが驚く アースが口角を上げて言う
「最も ガキには まだ難しいか?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「ガ…っ!?も、もうっ!僕は もう ガキじゃないったらっ!?」
アースが言う
「だったら 出来るだろう?もっと周りを良く見ろ 特に お前は 後ろに隙が出来る いくら 正義を見据え突き進む 親兵攻長だろうと いつもその背を 親兵防長が守るとは 限らないぞ?」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え?あ… そう言えば…!」
アースがハッとして思う
(しまった… つい…っ)
ラミリツが苦笑して言う
「言われて見れば 思い当たる事 一杯あるかも?…分かった 僕も!真摯に受け止め 精進する!」
アースが一瞬呆気に取られてから視線を逸らして言う
「そ、そうか…?まぁ それならば良いが」
ラミリツが疑問して言う
「え?」
アースが言う
「いや こちらの話だ …それで?もう良いだろう?私は お前と違って 忙しいのだが?」
ラミリツがハッとして言う
「あっ そう言えば そうだったね?…って あれ?けど…?」
ラミリツが思う
(その割には 何だか一杯 話をした様な気がするけど?…まぁ 良っか?)
ラミリツが微笑して言う
「うん!それじゃ サイン…って言うか 書類の作成 有難う ハブロス司令官!」
アースがホッとして言う
「ああ…」
ラミリツが立ち去ろうとする アースが思う
(良し… 何とか 誤魔化せたか …アーヴィン程ではないが どうしてこう 防長や攻長と言う こいつらは これ程に単純なんだ?見ているこちらの方が 心配になると言うものだが …まぁ 今回は そちらのお陰で 助かった訳だ …が?)
アースがラミリツへ視線を向けると ラミリツがふと振り返って言う
「所でさ?」
アースが衝撃を受けてから言う
「…何だ?」
アースが思う
(やはり 気付かれていたのかっ!?)
ラミリツが言う
「ハブロス司令官って 結構 きついコロンとか使ってる?何かツンとする 刺激臭強いけど?」
アースが言う
「あ… あぁ… そちらは コロンではなく 除光液の…」
アースがハッとする ラミリツが言う
「除光液…」
アースが思う
(しまった つい 気を抜いて…っ)
ラミリツが言う
「…って 何?」
アースが衝撃を受けてから言う
「…し、知らないのか?」
ラミリツが言う
「うん 聞いた事ないけど 除光って事は 光を除く液?」
アースが言う
「字はそうだが 一般的には…」
ラミリツが言う
「一般的には?」
アースが思う
(…そうか 政府警察とは言え 機動部隊の所属では そういった知識も低いと言う事か?そうとあれば 男なら尚更 除光液とは 一般的にマニキュアを落すものだという 常識も無いと… ならばっ!)
アースが言う
「…塗料を落す事に使ったりする液だ マシーナリーの塗装なども そちらで落す事が出来る」
アースが思う
(嘘ではない)
ラミリツが言う
「そうなんだ?じゃぁ… って?それなら 何でハブロ…?」
アースが言う
「もし お前も 何らかの手違いで塗料などが 手や何かに付いた時などは そちらを使えば落ちる」
アースが思う
(もちろん 私は そちらの用途で使用した事は無いのだが)
ラミリツが言う
「あ、そうなんだ?分かった ありがと それじゃ!」
アースが言う
「ああ」
ラミリツが部屋を出て行く アースが息を吐いて言う
「ふぅ… 嘘は言っていないが」
アースが除光液の蓋を閉めながら言う
「出来る事なら 真実を言えれば 良いのだがな?」
アースが思う
(信用や信頼の維持が必要なのは 私も同じだ)
アースが苦笑して 除光液を仕舞う

【 ART 通路 】

ラミリツが歩きながら思う
(そうだよね?政府長攻長として 皆から信用や信頼を受けているから こうやって僕は政府から離れてARTに来て 任務を行う事が出来てる… それに 必要な時には その僕の権限で政府を動かす事も出来て それは ミックワイヤー長官や政府の皆が 僕を信頼してくれているから …それなら 僕も 勿論 その信頼に応えなきゃいけない …とは思ってた …でも それだけじゃない)
ラミリツが書類を見て思う
(行動を抑制するんじゃなくて 重要な部分は固め そして 抜け道も作って置く それで… 使えるものは使う 周りを良く見て… うーん…)
ラミリツが苦笑して言う
「例えば…?」
ラミリツがメンバーボードを見て思う
(それこそ ハブロス司令官なら このARTの全員を使いこなして 何だって 出来ちゃうんだろうけど…)
ラミリツが苦笑して言う
「やっぱ 難しいや」
ラミリツがIDを取り出しながら思う
(それに いくら気を付けていても どうしても 僕には隙が出来ちゃうみたいだから ハブロス司令官には言われたけど …やっぱ僕には 一対の剣と盾 僕を守ってくれる 防長が一緒じゃないと 駄目って事なのかな…?)
ラミリツが反応して言う
「うん?防長って…」
ラミリツの脳裏に軍曹の笑顔が浮かぶ ラミリツが衝撃を受け顔を左右に振って言う
「嫌っ!それは無しっ!」
ラミリツの脳裏の軍曹が衝撃を受け消える ラミリツが不満そうにIDを通そうとして ハッとして言う
「…っと そうだった 今日はIDは通してないや」
ラミリツが行動を止めて思う
(そうそう 今日は本当に ARTにはハブロス司令官のサインを貰いに  来ただけだもんね?)
ラミリツがメンバーボードを見てから 書類のサインを見て言う
「Arth Mayven Habros やっぱ 最初のEは書かないんだ?以前は違和感があったけど 今じゃ見慣れてる」
ラミリツがメンバーボードを見上げアースの名前を見て微笑してから 疑問して言う
「…うん?そう言えば?」
ラミリツが外へ向かいながら思う
(何で書かないんだろうね?Earthにすれば それこそ 大地を… 世界を意味する言葉にもなるのに?)
ラミリツが書類を見て言う
「まぁ こっちの方がカッコ良いけどさ?」
ラミリツが微笑してから思う
(何て言ったって Aは1番最初の文字だもんね?)
ラミリツが軽く笑って出て行く


続く
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