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19章

アールスローン戦記Ⅱ 来訪者

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【 ART司令塔 】

アースがやって来て言う
「映像の解析は終えたか?」
オペ子Aが言う
「はい 提供された映像から 解析された人物は その場にいらしたハブロス司令官を除いて7名 内6名はハブロス司令官のご指摘の通り 非戦闘員と思われます」
アースが言う
「私を除いて7名?… いや8名居た筈だが?映像を確認させてくれ」
オペ子Aが言う
「あ、はい 只今」
オペ子Aがコンソールを操作すると モニターに映像が流れる

両脇を押さえられているアースが映っていて ベガが言う
『かのアークに代わる その力… これからの我が力として 役立つであろう… 新人類 お前たちの神であるアークが崇めし神 このベガの力となられる事 喜ばしく思え』
アースが言う
『誰が…っ 新人類を滅ぼそうとする 貴様を神などと認めるかっ!増して その貴様の力になど…っ …離せっ!』
アースが両腕を動かそうとするが押さえ込まれる 

周囲の隊員たちが見ている アースが言う
「これより前の映像は無いのか?」
オペ子Aが言う
「はい 帝国のセントラルコンピュータから転送されたデータを 解析して映像化出来たのはここからで こちらの前のデータに関しては データその物は存在するのですが 映像化する事は出来ませんでした」
オペ子Aがコンソールを操作すると 映像が巻き戻されて砂嵐になる オペ子Aがアースを見上げると アースが言う
「…よし、やはり 見られていたな」
オペ子Aが言う
「え?見られて…?」
オペ子Aが砂嵐を映すモニターを見てからアースを見る アースがオペ子Aを見てから言う
「ああ 見えないか?」
オペ子Aが疑問して言う
「え?えっと…?」
アースがコンソールへ触れ意識を向けてからモニターへ視線を向ける モニターの砂嵐が影響を受け 映像が映し出される オペ子Aと周囲の隊員たちが呆気に取られて顔を見合わせてから アースを見る アースが言う
「アールスローンの神より ご尽力を頂いた …これなら もう1名の解析も出来るだろう?」
オペ子Aがハッとしてモニターを見ると 言う
「はっ はいっ!もう1名を確認!映像解析 直ぐに行いますっ!」
オペ子Aがコンソールを操作すると 映像にあるメリの姿が解析されて行く 周囲の隊員たちが息を飲み オペ男Aとオペ男Bが一度顔を見合わせてからモニターを見る アースが言う
「ベガと共に こちらも重要人物だ」
オペ子Aが言う
「映像解析 完了っ 映像から身長は凡そ168センチ 服装の影響で体格に関しては不透明ですが 生地の特性から考えても 恐らく通常より痩せ型 本来ですと非戦闘員とされる範囲ですが…」
アースが言う
「ロストテクノロジーを使用する者に関しては 体格からのそちらの断定は出来ない 戦闘員である可能性も有る それから…」
オペ子Aがコンソールを操作しながら言う
「了解 備考欄へ ロストテクノロジーを使用する戦闘員の可能性あり と記載します」
アースが言う
「名前は ”メリ・アーク・フォライサー”だ 後は そうだな…」
アースが考える オペ子Aが入力作業をしながら言う
「メリ・アーク・フォライサー… やはり アークなのですね?」
アースが反応して言う
「うん?やはりとは?事前に 何か そうと得られる 特殊があったか?」
オペ子Aが言う
「あ、いえ… 特殊と言う程ではないのですが その… とても綺麗な方なので」
アースが言う
「綺麗…?そうか… 私は君の方が 綺麗だと思うが」
周囲の隊員たちが衝撃を受ける オペ子Aが驚いてから赤面する アースが思い出して言う
「ああ、それから こちらは彼らアークが言う所の 属性と言うものに関係するのかもしれない 記載をしておいてくれ」
オペ子Aが慌てて言う
「は、はいっ 入力作業続けますっ!」

オペ男Aとオペ男Bが顔を見合わせる ラキンゼスが笑んで言う
「やっぱ モテる男は 言う事が違うねぇ~?」
オペ男Aが苦笑して言う
「いや 普通は言おうと思っても 言えない言葉だと思うんだけど…」
オペ男Bが言う
「それを言える所が モテる男の定義なのか?そうだとしても やっぱり真似は出来ないよな?」
オペ子Bが3人の言葉を横目に言う
「そのタイミングを見図る事が重要なのに… やっぱり そう言う所が モテない男は分からないのかな?」

【 ART マシーナリー開発室 】

ベイゼスが言いながら装置にプラグを繋ごうとする
「このプラグを刺せば良いって?何でそんな事…?」
目の前のマシーナリーのグリーンシグナルが灯り ベイぜスを払うように手を動かす ベイゼスが疑問して言う
「ん?うひょおあぁあーっ!?」
ベイぜスが慌ててギリギリで回避すると グレイゼスが後ろに居て言う
「あぁ… やっぱり 駄目?」
ベイゼスが振り返り慌てて言う
「だ、駄目って何っ!?駄目ってっ!?」
グレイゼスが苦笑して言う
「いやぁ~?実は今正に?君の目の前にあるのが マシーナリーの起動回路!またの名を AI付き起動回路と 言うのだけどね?どうもそこには 俺たちに触れてもらいたく ないみたいで?無人で無起動状態のマシーナリーであっても 動いて嫌がるんだわ それ?」
ベイゼスが慌てて言う
「それが分かってるんならっ 何で たまたま遊びに来た 無知で無防備な俺に そんな危ない作業させるのかなぁあっ!?」
グレイゼスが笑顔で言う
「ああ!それはもちろん!ひょっとしたら?そう言う事が分からない ライム色の光を持って繋ごうとすれば~?繋げるのかな~?なんて思ってみたりして?」
ベイゼスが言う
「いや無理だからそれっ!?やる事に変わりは無い上にっ やった後に その続きをやるのが 整備士のあんたらだって 分かってたら 先んじて拒否るでしょっ!?」
グレイゼスが言う
「うん やっぱり?そう思う?」
ベイゼスが慌てて言う
「思うよねーっ!?そりゃっ!?マスターじゃなくってもっ!?」
グレイゼスが息を吐いて言う
「はぁ… そうなんだよなぁ?それじゃ やっぱり… これも あちらのお方に ご尽力を頂くしかないかぁ?」
ベイゼスが疑問して言う
「うん?あちらのお方って?マスター以外の 常人にって事?」
グレイゼスが 他の整備士たちを示して言う
「いや?そっちはもう とっくに?」
ベイゼスが言う
「え?それじゃ…?」

【 ART 司令塔 】

モニターに神の国の兵士たちの映像が映っている アースが言う
「この者らの情報も 抽出をしたか?」
オペ子Aが言う
「はい こちらの兵士に見える者らに関しては 1人1人の解析は行っていませんが 1部隊として登録をしました」
アースが言う
「そうだな?奴らに関しては それで良いだろう」
オペ子Bが言う
「1部隊の兵士… それも 天使の翼のある兵士だなんて…」
アースが言う
「実に気色の悪い連中だった」
周囲の隊員たちが衝撃を受ける アースが言う
「二度と会いたくは無いが それが 我々が これから戦う相手ともなれば そうも言っては居られない …と、その奴らに関する情報は… そうだな…?」
モニターの中でアースが崖から落ちて行く映像が映っている オペ子Aが息を飲む 兵士たちが駆け寄って来て翼を生やし 追って飛んで行く アースが言う
「必要時には背中に白い翼に見えるものを現し 空を飛ぶ事が出来ると言う事以外に置いては…」
映像が砂嵐になって消える アースが言う
「ん?…この後の映像は?またデータのみか?」
オペ子Aが言う
「あ、いえ?この先は データもありません 情報はここまでです」
アースが言う
「そうか… この後は あの兵士どもが 魔法を… いや、恐らくロストテクノロジーを用いた力とされるものを 使っていたのだが… では 『非科学的な遠距離攻撃が出来る』と記載をして置いてくれ」
オペ子Aがコンソールを操作しながら言う
「了解 そちらの記載を追加します」
アースが言う
「…とは言え そもそも 空を飛べると記載している時点で 十分非科学的と言えるのかもしれないが…」
オペ子Bが言う
「空を飛べる事ももちろんですが そちらの非科学的な遠距離攻撃に関しても やはり… 魔法の様なものですよね?」
アースが言う
「そうだな?しかし 出来ればそちらの言葉を使用せずに 情報を残して置きたい ”魔法”としてしまうと そちらは 我々人間には敵わない 未知なる力と 受け取られる可能性がある」
オペ子Bが言う
「あ… なるほど?そう言われてみれば?」
アースが言う
「それに 奴らの力は 間違いなくロストテクノロジーを用いた 科学力の結晶だ そうとなれば 脅威ではあるが 実在する力である以上は 同じ科学の力を扱える我々が 上回る事も可能だろう?」
オペ子Bが言う
「はい!分かりました!司令官」
アースが軽く笑って言う
「結構」
オペ子Bが微笑して作業へ戻る

オペ男Aが言う
「はぁ~… やっぱり モテる男は違うな?」
オペ男Bが言う
「あぁ… やっぱり 根本的に違うな?」
ラキンゼスが言う
「うーん… 難しい事は言えないけどさ?俺自身はハブロス司令官と 同等だって 思ってるんだけどなぁ?」
オペ男Aとオペ男Bが声を合わせて言う
「「何処がっ!?」」
ラキンゼスが言う
「えっ!?」

グレイゼスがやって来て言う
「ハブロス司令官 今 少し宜しいでしょうか?」
皆が反応してグレイゼスを見る アースが言う
「構わないが?そちらで何か問題か?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスがやって来て言う
「はい 問題発生です …とは言いましても 以前から続いている問題ですが ついに万策が尽きまして?こうとなりましては 最終手段と申しましょうか?ハブロス司令官のお力に 頼ろうかと?」
グレイゼスがモニターを見る モニターには兵士たちの映像が映されている アースが言う
「そうか… とは言え マシーナリーの改善に関しては 私に出来る事は無いと思うのだがな?科学の開発は お前たちの専門分野だろう?マスター?」
グレイゼスが苦笑して言う
「そちらはそうかもしれませんが こうも道が閉ざされてしまいますと… そちらを打開する為にも ハブロス司令官の様なお方のお力が 必要だったりする訳で 出来れば 今少し 自分と共に 開発室までお足を運んで 頂きたいのですが?」
アースが苦笑して言う
「そこまで期待をされると 余計に行きたくは無くなると言うものだがな?」
アースが横目に映像を見てから言う
「…とは言え それが奴ら天使どもと 戦う為の力となると言うのでは 嫌がっては居られないか?」
グレイゼスが映像を見てから苦笑して言う
「はい その者らとの戦いの為にも …あ?しかし そうは言いましても」
グレイゼスが思う
(それこそ あの天使たちのように 改善しろ 何て言われたら困るんだけどな…?そんな事を言われた日には 打開する所か 完全に閉鎖する様なものなんだけど…)
グレイゼスがアースを見る アースがオペ子たちへ言う
「では こちらの映像解析は片付いたな?」
映像の中でアースが崖から落ちて映像が途絶える オペ子Aが言う
「あ、あのっ!ハブロス司令官!?」
皆が疑問してオペ子Aを見る アースが言う
「何だ?」
オペ子Aが映像を横目に見てから言う
「この映像の後は…?その…っ 先ほどは 天使の兵士たちが 非科学的な力を使ったとの情報を ご提供頂きましたが… …その様な中で ハブロス司令官は どの様にして ご帰還をなさったのでしょうか?」
周囲の隊員たちが反応してアースを見る アースがグレイゼスを見る グレイゼスが言う
「あ、自分は… このデータを渡しただけで 後は彼らへ任せ 開発室の方へ向かってしまったもので そちらの説明はしていなかったのですが… では?」
アースがオペ子Aへ向いて言う
「その後は アールスローンの神と言われる 帝国の皇帝と 以前の作戦時にもご協力を頂いた レイ・アーク・フォライサー殿の 彼らの持つロストテクノロジーの力をお借りし 帰還をした 以上だ」
グレイゼスが衝撃を受けて思う
(物凄く簡略化されてる…っ!)
オペ子Aが言う
「では そちらも?その… 作戦通り …ですか?」
アースが言う
「まぁ そうだな?そちらは私の作戦ではなかったが 他の仲間が構築していた作戦の内の1つと言えるだろう」
オペ子Aが言う
「そう… ですか…」
アースが言う
「何か問題か?」
オペ子Aがハッとして言う
「あっ いえっ ご回答を有難う御座います!」
グレイゼスが疑問する アースが言う
「よし では 行くぞ?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが言う
「あ、はい ハブロス司令官 …それじゃ 皆は引き続き 司令塔業務の方を頼むよ?」
周囲の隊員たちが言う
「「了解 中佐!」」
オペ子Bがオペ子Aを見る オペ子Aがアースの背を見てからモニターを見て表情を落す オペ子Bが疑問する

【 ART マシーナリー開発室 】

ベイゼスが装置にプラグを繋ごうとすると マシーナリーが払う それを繰り返しながら ベイゼスが言う
「よっ!?どりゃっ!?ほっとっ!?甘い甘いっ!ほいやっ!惜しいっ もう一丁!」
周囲で整備士たちが呆れている ベイゼスがプラグを指先で弄びながら言う
「にっひひ!慣れてくれば 怖くねぇ!おまけに 段々コツが掴めて来た!これなら もう少しで…?たあっ!ほいっ!もうちょいっ!たっ!惜しい 次こそっ!よっ!?」
エミーが呆れて言う
「惜しいんじゃ無くて マシーナリーが加減してくれてるんだって… 分かんないかなぁ?マスターの癖に?…大体 そんな事やってると…」
ベイゼスが閃いて言う
「よっしゃっ!お前の動きは見切ったぜっ!次こそ 俺とベイゼスの勝利!そ~れ~じゃぁ~… 貰ったぁあーっ!」
ベイゼスが加速して装置に向かう マシーナリーがレッドシグナルを点灯させ ベイゼスを掴んで締め上げる ベイゼスが衝撃を受けて言う
「え!?捕まったあっ!?イタタタタタッ痛ぁあ!?いやっ!?ちょっ!?ギブギブギブッ!」
グレイゼスとアースが現れて グレイゼスが呆れて言う
「あっちゃー…」
アースが言う
「こちらは?一体何の実験を行っているんだ?マスターベイゼス研究員?」
ベイゼスが慌てて言う
「違違違っ!実験違うから 助けてっ アニキっ!」
グレイゼスが衝撃を受ける アースが呆れて言う
「…やれやれ 無礼な兄弟が迷惑を掛けたな?すまないが 離してやってくれ 一応 それなりに役に立つ奴だ」
グレイゼスが衝撃を受け思う
(きょ、兄弟って… アニキと言われた事を そうと言って 誤魔化したのか…?)
マシーナリーがレッドシグナルを消灯して ベイゼスを手放す ベイゼスが落下して言う
「イテッ!ちょっ!俺 こう見えても 知能補佐能力のマスターだからっ!丁重に頼むぜ!?兄弟!?」
アースが言う
「そちらを言うのなら お前は その能力を生かし 彼ら兄弟へ迷惑を掛ける事のない様 勤める事だ マスターベイゼス いくら彼らマシーナリーが ナノマシーンの兄弟であっても その宿主まで守ってくれるとは限らないぞ?」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「え?マシーナリーが ナノマシーンの兄弟?そちらは 本当のお話で?ハブロス司令官?」
アースが言う
「違うと言うのか グレイゼス?そうと言うのであれば お前は随分と薄情な兄弟だな?」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「…え?えっと…?」
ベイゼスが言う
「マシーナリーもナノマシーンも 作ったのは同じアールスローンの悪魔様なんだから だったら その2つは兄弟で ついでに その2つとも仲間のハブロス司令官だって 同じ兄弟みたいなもんじゃないか?」
グレイゼスが言う
「あぁ… なるほど?それで…」
アースが言う
「とは言え マスターベイゼス研究員?今は就業中だ そちらの2つと仲間である私を 兄弟としてくれるのは嬉しいのだが アニキと呼ぶのは止めて貰えないか?」
ベイゼスが苦笑して言う
「あっははっ サーセン つい…」
アースが言う
「ついでに 最低限の礼節も頼みたい所ではあるが… まぁ そちらは良いだろう …それで?」
アースが周囲を見る グレイゼスが呆気に取られてから苦笑して思う
(やれやれ 本当にお上手な事で… それならそうと こっちも その調子で?)
グレイゼスが言う
「はい このマシーナリーの更なる改善なのですが やはり 起動回路一体型のAIである こちらにアクセスが出来ないとあっては どうにも打つ手がありませんでして」
アースがマシーナリーの装置を見てから言う
「確か 以前にも聞いた話だったな?従って 代わりに その他の改善を行うと 言っていたと思うが?」
グレイゼスが言う
「はい その予定だったのですが… やはり 何を行うにしても起動回路への入力が 必要だと言う事に辿り着きました そこで 改めて マシーナリーにそちらを許してもらえないかと 手を尽くしてみたのですが…」
ベイゼスがプラグを持つと マシーナリーが起動してレッドシグナルが灯る ベイゼスが衝撃を受け顔を左右に振って言う
「いやいやいや!もうやらないって!兄弟!」
マシーナリーのレッドシグナルが消える ベイゼスがホッとする グレイゼスが言う
「結果は以前と変わりなく …そこで ひょっとしたら?それこそ 彼らにとっては我々兄弟以上の存在ではないかと思われる ハブロス司令官の ご命令とありませば?マシーナリーたちも 受け入れてくれるのでは無いかな~?…と言う事なので ここは1つ そちらの可能性を確認させては 頂けないでしょうか?」
グレイゼスが思う
(と言うのは建前で 恐らく ハブロス司令官がその力を使えば マシーナリーたちを服従させる事が出来るだろう… その為に ここまでお膳立てもして置いた事だし…?)
グレイゼスが視線を向けると 周囲に色々と試した物が転がっている アースが考えていた状態から言う
「そうか… 考え付く限りの手を尽くしても 行えなかったと言う事は… やはり…」
グレイゼスが微笑して言う
「はい!やはり それこそ最初に 彼らを仲間にされた ハブロス司令官でしたら!」
アースが言う
「彼らマシーナリーにも ”己の意識が在る” と言う事なのかもしれないな?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
グレイゼスが思う
(あ、あら?いや…?そうじゃなくて?そこは… ”それじゃ 物は試しだ” 的なノリで ノッて頂けると…?)
アースが言う
「今までは気付かなかった事だが 起動回路やAIと言うのは 人間に置き換えれば… 記憶や魂と言ったものだろう?そちらを度外視して身体だけを使わせろと言うのは 正に 先日 あのベガが私に行おうとしていた事 そのものだと言える… そうとなれば もちろん そちらを行おうとする者は 彼らの抵抗を受けるのも当然と言うものだ …なぁ?兄弟?」
マシーナリーが起動してグリーンランプを灯す グレイゼスが困り苦笑して言う
「えっと… そうと言われましても その…?」
アースが言う
「となれば ここはやはり 改めて …その他の改善を行えっ マスターグレイゼス中佐 命令だ!」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?いえっ それこそっ 何で こっちの兄弟には 優しくしてくれないんですかっ!?アニキっ!?」
グレイゼスが衝撃を受けて思う
(あっ!?しまたっ!つい…っ!?)
エミーが思わず笑って言う
「ぷっ… ふふっ アニキって マスターグレイゼス中佐まで…?」
グレイゼスが衝撃を受ける アースが苦笑して言う
「そうと呼んでもらえるのは 嬉しくはあるのだが アニキと呼ぶのは止めてくれと 聞いていなかったのか?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが言う
「す、すみません つい… それはそうと、マシーナリーの改善に関しては 本当にもう その他に行える事と言うのは… それこそ 既存の機能に関しては 現状が 最高と言える状態でして…?」
グレイゼスがハッとして思う
(あぁっ しまった!?また つい…っ アニキ様へ 最高と言う言葉は…っ!)
グレイゼスがアースを見ると アースが言う
「既存の機能に関しては最高であろうとも このマシーナリーには その他の機能が不足しているだろう?まずは そちらを追加すれば良い筈だ」
グレイゼスが疑問して言う
「え?その他の機能が不足して…?と 言いますと?」
アースがグレイゼスへ言う
「先日に続いて お前も先ほど 司令塔へ私を迎えに来た際に見ただろう?モニターに映っていた 我々の敵の姿を?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「そっ!?そ、それは… 見ましたが…っ!?」
グレイゼスが思う
(まさか それじゃっ!?)
グレイゼスがマシーナリーを見てからアースを見ると アースが言う
「では 分かっているな?こちらのマシーナリーに不足している機能は…」
グレイゼスが慌てて言う
「あーっ いやっ そちらはっ!いくらなんでもっ!」
グレイゼスが思う
(やっぱりかっ!?俺たちの敵である 天使の相手をする為にっ こっちも 空を …って!?それは 言われる前から 無理な事だとっ!それこそ ここに居る整備士全員が分かって居る事でっ それを 今 貴方に言われたらっ!)
アースが言う
「その機能とは 高所から 落下した際に 操縦者並びにマシーナリーを 守る機能だ」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「って …へ?」
アースがグレイゼスを見て言う
「私が敵の力によって向かわされた場所は 我々が今までに見た事が無いほどに 高い場所に存在する城だった そして、それ故にか までは定かでは無いが 敵は我々の居る場所より 高い位置へ自身やその他を 浮き上がらせる力を有している …となれば 今後はその奴らの力によって 我々がそう言った 高所から突き落とされる可能性も有るだろう?」
整備士たちがハッとして顔を見合わせる グレイゼスが言う
「それは 確かにっ そうですね!?」
アースが言う
「現状のマシーナリーたちは 平地での対戦を想定して作られている為か 落下に対する衝撃には弱い部分がある そちらは以前 レイ・アーク・フォライサーの 風の力を用いてマシーナリーの移動を体感した際にも 考えていた事なのだが 本格的に必要とされる機能なのかもしれない …と、その様な機能などは どうだ?」
グレイゼスが言う
「はい!それは 実装可能な機能で有る上に これからの戦いに置いて 間違いなく 必要とされる機能だと思います!」
アースが言う
「そうか では そちらを行ってくれ」
グレイゼスが言う
「了解 司令官!」
整備士たちが顔を見合わせ 意思を疎通させて頷き合う グレイゼスが思う
(そうだった!俺の方が間違っていたんだな?やっぱり ハブロス司令官は 本当に凄いお方… いや!最高の司令官だ!馴れ合いに感けて それを忘れていただなんて 俺は…)
アースが言う
「空を飛ばすのは その後だ」
グレイゼスと整備士たちが衝撃を受け グレイゼスが言う
「…って いえっ!それは 絶対に無理ですからっ!司令官っ!?」
エミーが呆れて言う
「…ついに 言った…」
整備士たちが頷く アースが言う
「そうか?ならば今は その前段階までで十分だ 後は頼んだぞ?マスターグレイゼス中佐」
アースが立ち去る グレイゼスが呆れて言う
「りょ… 了解 司令官…」

ハイケルが言う
「では 現在 研究開発が進められている そちらの機能と言うのは…」
グレイゼスがコンソールを操作しながら言う
「ああ、言われてみるまで 気が付かなかったなんてな?お前たちの扱うマシーナリーの研究開発者として 申し訳ない気分だよ …でも、今はその分も!しっかりと お前たちを守られる機能を実装させるから 期待しててくれよ?」
ラミリツが微笑して言う
「操縦者並びにマシーナリーを守る機能を作れ …ね?やっぱ そう言う所って ハブロス司令官らしいよね?」
グレイゼスが苦笑して言う
「ああ、そうなんだよな?本当に…」
グレイゼスが思う
(とは言え その後に続いた言葉が… それもまた らしい と言いますか…?)
ハイケルが言う
「そうか では…」

少し離れた位置で シーナが言う
「え~?そうだったんだ~?それじゃ 遂に?」
エミーが言う
「そうそう!遂に言ったよ あの人?”空を飛ばせ”ってさ?それこそ ここに居る皆が まだ国防軍で研究開発していた時に 誰かが言ったじゃない?『あの我が侭御曹司!今にマシーナリーを空へ飛ばせ!何て言い出すぞ!』って?あの時は 無理な注文ばっか持って来る あの人への 文句の言葉だったけど ここへ来て 本当に 聞く事になったのよ?」
シーナが苦笑して言う
「そうだったね?今になっては あの頃の苦労を含めて 私にとっては 良い思い出だけど…」
エミーが言う
「そうだよね?シーナは 今は 整備士でもオペレーターでも無くて ART1スペシャル隊員だもん?…あ、そうそう ガワザギのバリバリ 最新チューンにして置いた!」
シーナが言う
「あっりがとー!エミー!そうだよね?今はもう 整備関係はエミーに任せちゃってるけど 私はその分も ART1で頑張るから!エミーも 私の分まで!」
エミーが言う
「おうよー!分かってる!」
シーナが言う
「おうよー!最っ高ーのハブロス司令官のご期待通り!今度はマシーナリーを空へ飛ばしてね!エミー!」
エミーが衝撃を受けて言う
「ちょっ!?違うでしょっ!?何 シーナまで ぶっ飛んだ事言い出してるのよっ!?ART1に入れて 夢見心地は分かるけど!それこそ シーナは ちゃんと地に足を付けてっ!?」

ハイケルがグレイゼスを見て言う
「…やはり 飛ぶのか?」
グレイゼスが言う
「飛ばないからっ!」
ラミリツが呆れる

【 ART 司令塔 】

オペ子Aが言う
「こちらが 先日の作戦によって得られた 我々の敵とする者たちの情報です」
オペ子Aがコンソールを操作するとモニターに 表示がなされる ハイケルとラミリツが視線を向ける オペ子Aが言う
「重要人物とされる者が こちらの2名 そして その他の敵戦力として 兵士らによる1部隊です 重要人物に関しましては 名前や大まかな能力などが備考欄へ記載されていますので 各自にて確認をお願いします」
ハイケルが言う
「了解」
ハイケルがモニターを見詰めている ラミリツがオペ子Aへ向いて言う
「このデータは ARTの端末からなら 何処からでも確認出来るんだよね?機動隊員の皆にも知らせないといけないし?」
オペ子Aが言う
「はい こちらのデータは ARTのトップシークレットとして 登録されていますが 各部隊長のIDを使えば 閲覧が可能となっています」
ラミリツが言う
「そ?ありがと」
ハイケルが言う
「”必要時には背中に白い翼に見えるものを現し空を飛ぶ事も可能”…となれば やはり 我々も マシーナリーを飛ばす必要が 有ると言う事だな?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「あのさ…?さっきも言ってたけど それって冗談?そんな事 出来る訳無いって 分かってるよね?」
ハイケルがラミリツへ向いて言う
「そうなのか?」
ラミリツが言う
「当たり前だろっ!?分かれよっ!?普通っ!?」
ハイケルが言う
「あちらが飛ぶと言うのなら こちらも飛ぶ必要があると思うのだが?何故 出来る訳無い のだ?」
ラミリツが言う
「本当に分からないって言うのなら… 僕らが以前の作戦の時 アウターを越えて行った その方法 覚えてるよねっ?」
ハイケルが言う
「私自身は体験はしていないのだが そのART1のマシーナリーへ搭乗し作戦を決行した ART1の隊員たちの姿は 確認していた」
ラミリツが言う
「それじゃ それでも分かるでしょ?あのマシーナリーを1機空を飛ばすには 警空の最新戦闘機が1機必要だって事 つまり あの重量を飛ばすには 最新の戦闘機くらいのスピードが出せないと とても 空へ浮き上がらせるなんて出来ないんだよ?空を飛ぶのって 人間がそれをする事が大変なのと同じ様に 人間より遥かに大きなマシーナリーなら尚更 何倍も何十倍も大変なの!」
ハイケルが言う
「そうだったのか… 助言を感謝する ラミリツ隊長」
ラミリツが軽く息を吐いて言う
「はぁ… まったく… 同じARTの隊長だって言うのに ホントあんたって変な所で抜けてるんだから」
ハイケルが言う
「悪かったな」
ラミリツが呆気に取られた後 苦笑して言う
「あぁ… そうだっけ?分かった …アンタはそんなでも 悪魔の兵士だもんね?それじゃ しょうがないか?」
ハイケルが言う
「しょうがない とは?」
ラミリツが言う
「変な所で抜けてるのは 初世代も2世代目も同じって事!だから 許してあげる」
ハイケルが言う
「そうか なら良いんだ」
ラミリツが苦笑して言う
「うん… それじゃ 早速皆へも この情報を知らせないと その後は… 午後にはまた 合同訓練でもやる?」
ハイケルが言う
「そうだな」
ラミリツが言う
「じゃ 伝達が終わったら 声掛けに行くから」
ハイケルが言う
「了解」

【 ART司令官室 】

アースが資料を見ながら考えていて言う
「開発が進むとなれば やはり こちらの素材は有力だったか… そうとなれば 先日の会合辞退は痛かったな 折角の好機を… そちらの会合に出席する予定であった私が 我々を滅ぼさんとする神に さらわれている間に逃すとは… 最も 私の元よりの作戦が成功していれば 同じ事ではあったが…」
連絡ブザーが鳴り アースがスイッチを押すと 秘書の声が聞こえる
『ハブロス司令官 エスター・レンメス・ハラセス様より お電話が入っております 先日の会合を再度行う為 改めてお誘いしたいとの事ですが』
アースが反応し微笑して言う
「そうか 繋いでくれ」
秘書が言う
『畏まりました』
アースが受話器へ手を置いて言う
「逃したと思った獲物が あちらから再び誘ってくれるとは …どうやら こちらはものに出来そうだ」
アースが微笑して受話器を取る

【 ART 第二訓練所 】

ラミリツがモニターを前に言う
「それから 皆も知ってると思うけど アークは空を飛べるだろうから このメリ・アーク・フォライサーって女性もきっと… きっと…?」
ラミリツがモニターを見直して言う
「…女性だよね?この人?」
シュナイゼルが言う
「恐らく 女性でありますかと?」
ラミリツが言う
「うん… でも そうだよね?こっちには居ないけど ART1には女性の機動隊員も居るんだし やっぱ女性だからって偏見は無しで!何しろアークだもん?そんな甘い事言ってたら 僕らの方が負けちゃうかもしれない だから 僕も含めて 皆も 油断は禁止ね?」
シュナイゼルが言う
「了解 隊長」
ラミリツが頷いて言う
「うん!」
ラミリツが隊員らへ向けていた視線を モニターへ戻して言う
「えっと… 後は…」

【 ART 第一訓練所 】

ハイケルが言う
「敵は空を飛ぶ者たちだ 従って 奴らの相手をする際は 銃火器を使用する 我々ART1が主な戦力とされる事が 示唆される」
隊員Nが言う
「よっしゃー!ハデにキメるぜぃ!」
隊員Vが言う
「おうよー!俺らの出番が待ち遠しいぜぃ!」
隊員Bが言う
「えー?けど 敵が空を飛ぶって言う事はー ターゲットまでの距離は やっぱ 遠くなるって事だしー?ナッちゃんとヴェイちゃんの命中率じゃー 当たらなかったりしてー?」
隊員Nと隊員Vが衝撃を受け言う
「お、おうよー… 遠いのは苦手だぜぃ」 「おうよー… ハデに外しそうだぜぃ」
隊員Fが言う
「遠距離射撃と言う事は 俺たち小銃メインアームチームの出番だな?」
隊員Iが言う
「ああ それじゃ その時は フレッド隊員 頼むよ 小銃メインアームチームのリーダーだからな?」
隊員Fが衝撃を受けて言う
「え!?お、俺が 小銃メインアームチームのリーダー!?何時の間に…?」
隊員Cが言う
「そんなの 国防軍時代から当然だろ?それこそ 俺たち小銃メインアームチームの出番には ハデにキメてくれよ フッちゃんリーダー?」
隊員Fが苦笑して言う
「リーダーとかハデにとか… そう言う目立つのは 苦手なんだけどなぁ…」
隊員Aが軽く笑って言う
「ははっ なら そんなに気にしなくったって 大丈夫じゃないか?俺たちART1のリーダーは もちろん少佐なんだし その少佐ならまた必要な時には 凄い技で ハデにキメてくれるって?な?バイちゃん?」
隊員Bが言う
「えー?ハデにキメるってー?」
隊員Fが言う
「そうだよな?それなら…?」
皆がハイケルを見る ハイケルが疑問して言う
「…何の話だ?」

【 ART 第二訓練所 】

ラミリツが言う
「そうなんだよね?それこそ 相手が空を自由に飛べるって言うんじゃ 基本接近戦タイプの僕らART2の出番って ちょっとキビシイって言うか…」
シュナイゼルが言う
「では やはり そう言った者らが 今後の相手となると分かった以上は 我々も銃火器を用いる事を 思案した方が良いと言う事でしょうか?…隊長の様に?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ!?な、何っ!?僕は そんな…っ!?」
ラミリツが後ろ手に 上着の背に隠されているM82を隠す ART2隊員たちが苦笑し シュナイゼルが思う
(あぁ… こう言った所は本当に 純粋と言うべきか… 前を向いて突き進む 親兵攻長ならではと 言うべきか…)
ART2隊員たちが思う
(まだ 気付かれていないと 思ってるのかな…?)
ラミリツが気を取り直して言う
「う、うんっ …でも そうだね?僕らも ART1には及ばないにしても それなりに… 遠距離攻撃が行える 銃火器を扱える様にした方が良いのかな…?…まぁ そこは 少し考えてみるよ?ハブロス司令官にも意見を 聞いてみたいし?」
シュナイゼルが言う
「了解 隊長」
ラミリツが言う
「うん、それじゃ この後は ART1との合同訓練の予定だから 声を掛けて来るね?皆は マシーナリーを起動させて置いて」
ART2隊員たちが言う
「「了解!隊長!」」
ラミリツが頷いてから通路へ出て行く

通路

ラミリツが歩きながら考えて言う
「うーん やっぱ そうなんだよね?セイバーじゃ どう考えたって攻撃が届かないんだからさ?それならART2も… …ん?あ!」
ラミリツが気付いて顔を上げると アースが向かって来ている ラミリツが言う
「ハブロス司令官!」
アースが疑問して言う
「何か問題か?ラミリツ隊長」
ラミリツがアースの下へ走って到着するとアースが立ち止まる ラミリツが言う
「そうそう!問題!って言うか 相談なんだけどさ?」
アースが言う
「相談か?では 手短に頼む 今は外出をする所だ」
ラミリツが言う
「あ… そうなんだ?それじゃ 単純明確に言っちゃうけど 僕らART2も 今後の戦いの為に 遠距離攻撃の出来る 銃火器の訓練をした方が良いよね?だから 早速 この後の訓練からでも…」
アースが言う
「必要ない」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ?…いや?だけどさ?」
アースが言う
「銃火器を用いる機動部隊はART1だ そして ART2はセイバーを使用する機動部隊だ ならば 当然 ART2のお前たちが行うべきは そちらの武器を用いた訓練となる」
ラミリツが言う
「けどさっ!?そのセイバーが 相手に届かないんじゃ 訓練したって 意味が無いじゃないっ!?」
アースが言う
「何故 届かないんだ?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「何故ってっ!?そんなの 当前じゃないっ!?相手が飛んでたら セイバーじゃ届かないよっ!?」
アースが言う
「届かないのなら 届く様にすれば良いだろう?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「え?いや…?…だからさ?」
アースが言う
「我々が 敵へ合わせてやる必要は無い 合わせるのは味方にだけだ そして ターゲットが空を飛んでいて お前たちの攻撃が届かないと言うのなら 届かせる為の方法を考案すれば良い それだけだ」
ラミリツが呆気に取られて言う
「届かせる為の方法を…?う、うん それは そうかもしれないけど?」
アースが言う
「そうとなれば お前が考えるべき事は 分かったな?」
ラミリツが言う
「え?…う、うん?それは… 何となくだけど…?」
アースが微笑して言う
「では 後は 自分で考えろ …とは言え もちろん 必要と有れば そちらの考案へも 使える者を使えよ?以上だ」
アースが立ち去る ラミリツがアースを振り返って言う
「…うん 分かった ありがと…」
ラミリツが考えながら言う
「届かないなら 届く様に… そっか?言われてみれば…?それじゃ それなら…?」
ラミリツが歩きながら思う
(後は その方法…?)
ラミリツがART第一訓練所の前に来ると 隊員Nの声が聞こえる
「届かないなら 撃ち落としてやるぜーっ!」
隊員Vの声が聞こえる
「おうよー!ハデに落ちろやーっ!」
ラミリツが衝撃を受けてから 室内を見て言う
「は、ハデに落ちろって…?あれ?でもっ!?落ちる?撃ち落す?…そっか!なら それなのかもっ!?」
ラミリツが訓練所へ急いで入って行く

【 ARTマシーナリー開発室 】

グレイゼスがコンソールを前に考えて言う
「うーん やっぱり これだけじゃ厳しいかぁ…」
開発員Aが言う
「あの防衛特化RDD001マシーナリーに使っていた 瞬間ターボジェットシステムでも厳しいとなると あれ以上の出力を持った噴射システムは それこそ政府航空局の使う 戦闘機用のジェットエンジンって事になってしまいますが それじゃ…?」
グレイゼスが言う
「ああ、それじゃ それこそ マシーナリーじゃなくて 戦闘機になっちゃうよ?ある意味それなら 空は飛べるけどな?」
開発員Aが言う
「空を飛べる様になるなら ハブロス司令官は喜びそうですが 実際 そちらのマシーナリーを使う機動隊員らからしてみれば 戦闘機並みのマッハ1やマッハ2の速度で飛び回りながらどうやって戦うんだ?って話になりますね?」
グレイゼスが言う
「いや それこそ俺が思うには あのハブロス司令官なら そんな戦闘機仕込のマシーナリーであっても 機動隊員らが戦えるように飛ばせ って 言うと思うね?」
開発員Aが笑って言う
「あっはっはっ それは言えてますね?ハブロス司令官は 基本的に機動隊員らの味方ですからね?」
グレイゼスが言う
「まったくだよ?」
2人が笑う 開発員Bが言う
「そうですか?俺から見れば ハブロス司令官は 俺たち研究員の方にだって 味方をしてくれていますよ?」
グレイゼスが言う
「え?そうか?その俺は… いつも ハブロス司令官の無茶振りを受けて ヒーヒー言ってるんだけど?大体 それは 諸君だって同じだろう?」
研究員Aが頷いてみせる 開発員Bが言う
「いえ 国防軍ではなく 外企業から入った俺からすれば 研究開発を行う俺たちにとって 一番の敵って言うのは ライバル企業との競争です
グレイゼスが言う
「ライバル企業?」
研究員Bが言う
「はい そこにあるのは 常に求められる新しい発案や発明 そして何より苦しいのが それに必要とされる機材や資材の入手です 折角の発案や発明だって そこに必要とされるそれらが別企業へ流れてしまっては 完成はしません 泣く泣く発案や資料を提供して 共同開発なんて事はザラですよ?ですから それらが無い こちらのARTの研究開発員は 凄く守られて居ると思います」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「あぁ… なるほど?言われてみれば…?」
開発員Aが言う
「確かに 無茶は言われますが 基本的に発案だって いつもハブロス司令官ですしね?」
グレイゼスが言う
「そして機材も資材も ハブロス司令官が それこそアールスローンNo1の物を仕入れて下さるから それらに泣いた事って言うのは 正直無かったな?」
開発員Bが言う
「そうでしょう?しかも それらの機材や資材だって こうして必要理由と資料を登録しておけば 直ぐに手に入ります!ここは正に 研究開発を行う者にとっての天国ですよ!」
開発員Bがタブレットへ入力を済ませると微笑してみせる 

【 会合所 】

複数企業の重役たちが居る中 アースが足を組んで周囲を一瞥して思う
(なるほど?)
アースが軽く息を吐いて 資料へ向けていた視線を上げると ハラセスがアースを見て微笑する アースが思う
(昨日一度行なわれた筈の会合を 再度行なうとした そちらの理由はやはりそう言う事だったか… わざわざのお膳立てを ご苦労な事だな?最も そのような事を考える程度では この世界では負けを見る… それを知らずに身に余る力を得れば尚更 …ここは あえて引くべきか?有益な素材では有ったが 目先の利益を取って 私の仲間たちの居る ARTへ危害を与えたくは無い)
アースがハラセスの微笑に 無反応を示して資料へ視線を戻す ハラセスが一瞬呆気に取られた後不満を見せてから周囲を見ると 周囲の人々がハラセスへ微笑する ハラセスが微笑を返す アースが資料を見て思う
(だが そうとなると 今日の戦利品は得られずか… このお膳立てされた企業連中では 奴の提供する 超軽量金属素材 それ以外に 現状の我々ARTが必要とする物は…)
アースがタブレットの画面を指先で叩くと 新規表示が現れ アースが反応して思う
(うん?新たな資材納入希望か では ここは辞退し そちらの会合へ…?)
アースが画面を確認すると反応して微笑して思う
(そうか それなら…?…これは面白い ならば二頭を追う者 二頭を得てやろうか?)
アースが重役たちへ視線を向け悪微笑する

【 ART 第一訓練所 】

ART1マシーナリーたちが上空の的を射撃する 的が落ちて来ると ART2マシーナリーたちが的を切り裂きに向かう M隊員Fが小銃を構えて言う
「ターゲット T-6 T-4!」
M隊員Fが小銃を放つと 上空の的に当たって 的が落下する M隊員Fが落下する的を見て 続けて小銃を構えて言う
「追撃可能っ!ショットっ!」
M隊員Fが落下した的を2つ続けて射撃すると Mシュナイゼルが緊急停止して言う
「お見事です」
M隊員Fの中 隊員Fが衝撃を受け慌てて言う
「あっ!そうだったっ すみません シュナイゼル副隊長」
再度モニターにシュナイゼルが映り苦笑して言う
『いえ 実に的確なショットでした 落下したターゲットへ対する命中率も100%とは 素晴らしい腕前ですね?』
隊員Fが苦笑して言う
「あ、有難う御座います…」

ラミリツが言う
「うーん… これって …やっぱ 違うのかなぁ?」
Mハイケルがラミリツへ向いて言う
「違うとは?」
ラミリツが言う
「これじゃ ただ僕らART2が 元々追撃出来るアンタたちの 邪魔 してるだけでしょ?」
Mハイケルが周囲を見て言う
「確かに 一部の隊員に対しては そちらの様子も見て取られるが 我々ART1に置いても後衛部隊の隊員たちの中には 一打目に続く追撃が不可能である為 ART2による追撃が有効となっている 従って …違うと言う事は無いと思うのだが?」
Mハイケルがラミリツを見る ラミリツが考えている様子から言う
「ううん やっぱ違う …確かに 方法としては間違ってはいないと思うけど 僕らはARTだ 国防軍や政府警察じゃなくて その上を行かなくちゃいけない …あのハブロス司令官に選ばれた スペシャルチームなんだからさ?」
Mハイケルが言う
「あのハブロス司令官に選ばれた スペシャルチーム …とは?それは?」

【 会合所 】

参加者が全員 楕円型のトレードテーブルを前に座っていて 頂点席に座っているハラセスが言う
「そろそろ 皆様方のお話し合いの方も 終わりましたかと?少々お時間は短かかったかとも思ったのですが… ご退屈をされていらっしゃるお方も お見受け致しましたので?」
ハラセスと皆の視線がアースへ向くアースが資料から視線を上げ 周囲を一瞥してから微笑して言う
「失敬 目的の者を 早く私の仲間へと引き込みたく 気が競ってしまいました」
皆が軽く笑い ハラセスが言う
「では そのハブロス様のお仲間へ 急いで向かいたいと お考えの方も 多く居られる事でしょう?早速トレードチョイスを開始します」
ハラセスが軽く手を叩くと 室内の照明が暗くされ トレードテーブルが明るく浮かび上がる ハラセスが言う
「本日は私のハラセスコーポレーションが主催と言う事で 納入者側の企業からカードを送って頂きたいと存じます 企業名の提示は伏せてあっても構いません 複数のカードが1社へ集まりました際は 続けて2選目のブルーカードにて 再勧誘の受付を行いますので 両カードの回収後に それぞれの開発企業様のご判断を お願いします 尚 そちらの返答ともなります 後半のトレードアプローチは5分後に行うものと お伝えをして置きます」
納入者側の席に座る参加者がカードを手に取る アースがカードを手に正面の相手へ視線を向ける 視線の先に居たワンマスがふと気付き呆気に取られる アースが微笑してARTの名が書かれたカードを見せる ワンマスが驚いて周囲を見てから アースを見る ハラセスがその様子を見ていた状態から気を取り直して言う
「…では 納入者側の企業の方は 1選目のホワイトカードの添付を お願いします」
皆の視線がアースへ向く 納入者席の照明が落されると 皆に先んじてARTの社名を上にしたホワイトカードが ワンマスの前へ行き着く 皆が驚く

【 ART 第一訓練所 】

M隊員Nが言う
「上空ターゲットをショートショットショットショットっとー!」
M隊員Nがマシンガンを放つと的に当たり 的が落下して来る M隊員Vがそちらへ向けてマシンガンを放ちながら言う
「落ちてきた所を すかさず ショットショットショート!」
複数の落下ターゲットの内1つにヒットする M隊員Vが言う
「おー!当たったーっ!当たったぞ ナッちゃん隊員っ!」
M隊員Nが言う
「おうよーっ!1個だけど 当たったぜ!やったな!ヴェイちゃん隊員っ!?」

ハイケルが見ていて言う
「確かに 後衛部隊であっても 当たる事もあるようだ」

M隊員隊員Nが言う
「さっきまで当たらなかったのが 1個当たるようになったって事は!」
M隊員Vが言う
「おうよー!もっと訓練するか!?ナッちゃん隊員!?…それともっ!?」

ハイケルが言う
「この様子ならば 訓練を続けていく内に その数は増えて行くだろう そうとなれば やはり…?」
ハイケルが出入り口を見る 

M隊員Vの中 隊員Vが言う
「また アニキのギターを聞きながらの任務なら それこそ 全部に当たっちまうかもしれないぜっ!?ナッちゃん隊員!?」
サイドモニターに隊員Nが映っていて言う
『おうよー!アニキと一緒なら 俺ら ナッククルーは 無敵だぜいっ!』
隊員Vが言う
「おうよーっ!」

ハイケルが視線を戻して言う
「ART2は別なる作戦を 構築すると言っていたが …確認へ向かうべきだろうか?」
ハイケルが無表情に間を置いてから 出入り口を向く

【 会合所 】

納入者側の席の照明が照らされた中 数名がブルーカードを流す アースは流さずに黙視している ワンマスの前にブルーカードが数枚流れ着く ハラセスが自身の前に沢山流れ着いたホワイトカードやブルーカードを見てからアースを見るが アースは視線を向けない ハラセスが自分に集まったカードを見て表情を顰めてから ハッとして気を取り直して言う
「…では 納入者側からのカードの添付は完了したようですので 開発者側の席の方はカードの回収と ご確認の程を…」
ハラセスがテーブルのスイッチを押すと 卓上のカードが手元へ流れて来る ハラセスがそれを前に視線を他方へ向ける 視線の先 ワンマスがARTのカードを手に取って一度アースを見てからカードを開き書かれている文章を見る ハラセスがその様子に視線を細めてから 自身の前にあるカードの確認を開始する 皆が不穏な空気の中アースを見る アースが資料を見ていてページをめくる ワンマスの資料だと色や文字で分かる

【 ART 第二訓練所 】

ART2マシーナリーたちが集合していて Mラミリツが上空のターゲットを見上げて言う
「通常では届かないターゲットへ セイバーの攻撃を当てるには…?」
Mシュナイゼルが言う
「セイバーの出力を上げる事で 刀身を伸ばす事は可能ですが そうとなりますと やはり 機敏な動きは難しくなってしまいますね?」
ART2マシーナリー隊員が言う
「以前対戦を行った あの別大陸からの剣士の様に 剣圧による衝撃波をセイバーのプラズマで 再現すると言うのは?」
皆が感心して Mシュナイゼルが Mラミリツへ言う
「…と言うのは如何でしょうか?隊長?」
Mラミリツの中 ラミリツが考えていて言う
「うん… それは 両方共 方法の内の1つだと思うよ?だけど… 僕がハブロス司令官からの助言を聞いて 感じたのは…」
Mシュナイゼルが言う
「そちらは?」
Mラミリツが言う
「うん 出来れば そう言うのじゃなくて もっと… 普通に?いつもの僕らの戦い方で 戦えって感じで… …えっと ごめん なんて言ったら良いのかな?だから… その…」
Mシュナイゼルが言う
「いつもの我々の戦い方で …つまり 武器の特性を変える等の事は 行なわないままに と言う事で?」
Mラミリツが言う
「そうかもしれない… うん、そう… 敵のせいで僕らの戦い方が 変えられちゃうって言うのは ちょっと悔しいって言うか… だから 出来る事なら 敵を僕らの戦い方へ 引き込みたいって言うか?」
ラミリツがハッとして言う
「あ… そっか!そうだった!」
Mシュナイゼルが言う
「敵を我々の戦い方へ 引き込む… そうですね?そちらが出来るのであれば 越した事は御座いませんかと… …?隊長?」
Mラミリツが脱力してコックピットが開かれると ラミリツがマシーナリーを降りて言う
「ちょっと 思い付いた事があるから 聞いて来る!シュナイゼル 皆を宜しく!いつもの訓練とか 何かやっておいて!」
Mシュナイゼルが言う
「了解 隊長!」
ラミリツが走って出て行く ART2マシーナリーたちが顔を見合わせてから Mシュナイゼルへ向く シュナイゼルが微笑して言う
「何か 良い作戦を 思い付かれたのだろうか?それなら…」
MシュナイゼルがART2マシーナリーたちへ向いて言う
「では 隊長が良案を得て 戻って下さる事を期待しつつ 我々は…」
ART2マシーナリーたちが頷く

【 会合所 】

ハラセスが言う
「では これより 開発企業側から 納入企業側へのトレードアプローチ レッドカードをご用意下さい …先のホワイトカードやブルーカードをお持ちの方は そちらを用いた ご返答であっても構いません」
皆がアースを見る アースがワンマスを見て思う
(さぁ 乗って来いっ ここで乗れない程度では 私の仲間としては 弱過ぎる!)
ワンマスがアースを見る アースが周囲を見てからワンマスを見て悪笑む ワンマスが呆気に取られた後苦笑して言う
「…アレが噂の 悪魔の微笑か… とは言え…」
ワンマスがアースを見る ハラセスが言う
「では 開発企業の方は カードの添付を お願いします」
開発企業側の照明が落されると アースの前へ沢山のレッドカードが流れ着いた後 ARTのホワイトカードが流れ付く アースが微笑すると ARTのホワイトカードを手に取り裏返し そこに書かれたワンマスの名を見せ 微笑して立ち上がる 困惑の声が上がる中 開発企業側の照明が戻ると アースが言う
「第一トレードで決まりましたので 私は皆様より一足お先に退室をさせて頂きます」
ハラセスが言う
「ハブロス様 宜しければ その他の企業とのトレードは如何でしょう?本日は多彩な開発企業の方が いらしておりますので そちらの1社以外にも お気に召される企業があられるのでは?」
アースが言う
「そうですね とても 有力な企業の方々が揃っておられるようですが 私の目的のものは 手に入りましたので」
アースがワンマスの名の書かれたカードを見せ微笑してから言う
「本日は とても良いタイミングで トレードへのお誘いを頂き 有難う御座いました ハラセス殿 お陰様で 私が本心から必要としていた者が手に入りました では」
アースが立ち去る ハラセスが表情を困らせた後言う
「…続きまして 第二トレードを開始します 各企業の皆様は どうぞご自由に ご希望企業へと アプローチカードを添付して下さい」
皆が顔を見合わせてから カードを送る ワンマスの前に多数のカードが送られる ハラセスが周囲を見てから表情を渋らせ ホワイトカードをワンマス以外へ流す

【 ART 食堂 】

グレイゼスが昼食を食べながら言う
「いやぁ~ 何時食っても ここの食堂は旨いなぁ!」
研究員Aが言う
「そう言う割には マスターグレイゼス中佐は いつも昼食持ち込み派じゃないですか?開発期間中は特に?」
グレイゼスが言う
「あぁ そりゃ そっちの方が作業をしながら 食べられるからであって 俺だって 出来ればこっちで食べたいよ?」
研究員Aが言う
「って事は つまり…」
ラミリツが現れて言う
「あ、こっちに居た!マスターグレイゼス中佐!」
ラミリツがグレイゼスの下へ向かう グレイゼスが意外な訪問者に驚きつつ言う
「え?ラミリツ隊長?…何か!?」
ラミリツが言う
「いや 何かって訳じゃないんだけどさ?ちょっと 相談って言うか?今でも良いかな?」
グレイゼスが言う
「はい 一体何の…?」
ラミリツが言う
「あ、忙しいだろうから 食べながらでも 聞いてもらいたいんだけど?」
グレイゼスが言う
「いえ 相談と言う事なら ちゃんと考えないといけないですし そうとなれば2つの事は出来ない性質なので どうぞ 気にせずに?」
ラミリツが呆気に取られてから言う
「え?でも…?そうは言ったって 休憩中でしょ?だったら そっちこそ 気にしないで 食べてくれて良いんだけど?」
研究員Aが呆気に取られた状態から笑い出して言う
「ぷっははは… なるほど?開発期間中は 昼食抜きになる訳だ?」
グレイゼスが衝撃を受ける ラミリツが疑問して言う
「え?何の話?」
グレイゼスが苦笑して言う
「いえ 自分が不器用だと言う話を していたもので?」 
ラミリツが言う
「へぇ?そうなんだ?マスターなのに?」
グレイゼスが苦笑して言う
「マスターだから ですよ 何か気になる事があると 全力でその1つに集中してしまうもので それこそ 食べながら考えると大変なんです」
ラミリツが苦笑して言う
「あぁ そう言う事?つまり… うん、何となく分かったかも?じゃ 良いよ?先食べちゃって?じゃないと 折角 温かくて美味しいのが冷めちゃうよ?」
グレイゼスが言う
「え?良いんですか?そちらこそ 訓練中に抜け出してまでの 相談事だったのでは?」
ラミリツが言う
「それはそうなんだけど これを解決しない事には 訓練を続けていても 駄目だからね しっかり相談して置きたいから その前に… そ!腹ごしらえ!して置いてよ?その方が良い案が浮かぶかも しれないじゃない?」
グレイゼスが微笑して言う
「そうですか では 失礼して…」
グレイゼスが食事を続ける ラミリツが周囲を見てから言う
「技術部の人って いつもこの時間なの?その割には この後 使う僕らが来た時には 見掛けないけど?」
研究員Aが言う
「今日は特別です 必要な素材や機材があって それらの決定がされてからではないと 取り掛かれない作業なもので」
ラミリツが言う
「そうなんだ?その作業って訓練開始前に話してた奴だよね?高所から落下しても 操縦者やマシーナリーを守る機能を作れって?」
研究員Aが言う
「はい そうです そちらの機能を実装するには 強力なジェットエンジンによる落下減速を考案したのですが それだけではマシーナリーの重量を抑え切れないので マシーナリー自体の軽量化も考えていまして 丁度今 その軽量化に有力な素材を作る企業が オーナー契約を行うトレードチョイス会合を開いているんです ここでARTがオーナー契約を得られれば マシーナリーの軽量化はかなり進むと思いますよ?」
ラミリツが言う
「へぇ?このタイミングで 軽量化に有力な素材あっただなんて 本当に丁度良かったね?…あ、ひょっとして ハブロス司令官が外出するって言ってたのって その会合の事だったのかな?それなら その企業のオーナー契約は取られたも同然だよね?あのハブロス司令官だもん?絶対 手に入れると思う そう言うの!」
研究員Aが軽く笑って言う
「そうですね?正直 皆そう思ってますよ ハラセスコーポレーションの この超軽量金属素材は 今のアールスローンで1番 有力な金属ですから 今後の機械産業にもきっと革命を起こす筈です そうとなれば その技術保有者へ名乗り出るのは 超高位富裕層のハブロス家しかありませんよ!」
グレイゼスが苦笑して言う
「1番… いや、有力ね?うん 好きだからね?あの お方は…」
グレイゼスが思う
(まぁ 確かに 1番良い素材が手に入るって言うのは 開発者冥利に尽きると言うのもあるが…?)
グレイゼスが横目に研究者Bを見ると 研究者Bがタブレットを見ながら食事をしていて 反応して言う
「お!納入決定通知だ!」
皆が反応してラミリツが言う
「って もしかして?」
研究者Aが言う
「となると これはまた 大仕事ですね?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが言う
「遂に マシーナリーのコックピットを丸々作る日が来たかぁ… とは言っても 最初のうちは パーツの製造になるだろうけど… それならそうで 俺ら開発チームは 金型やそれらから鋳造されて出来上がって来るパーツを待つだけだな?」
開発者Aが言う
「と言う事は もう片方のジェットエンジンが決定されるまでは そちらの軽量素材でマシーナリーがどれだけ軽くなるかのシュミレーションと ジェットエンジンとの兼ね合いですね?」
グレイゼスが言う
「いや?それらをするなら それこそ ジェットエンジンが決まってからじゃないと 出来ないから ここはしばらく休憩… いや 待機かな?」
グレイゼスがラミリツを見る ラミリツが言う
「なら その間は 僕の相談に乗ってもらえそうだね?」
グレイゼスが言う
「そうですね?確かに?」
開発者Bがタブレットを操作しながら言う
「…あれ?違った?」
皆が疑問して 研究者Aが言う
「え?違ったって?納入が決定したんじゃないのか?」
開発者Bが言う
「はい、決定はしたみたいですけど ハラセスコーポレーションの超軽量金属じゃなかった これは… その後に 納入依頼を掛けていた ジェットエンジンの方でした しかも…」
研究者Aが言う
「ジェットエンジンの方?だけど …ほら?」
研究者AがTVを指差して言う
「午前中 最後の株式変動が始まってる これはトレードチョイス会合が終わった証拠だろ?そうとなれば 当然 …うん?あれ?」
研究者AがTVへ注目する ラミリツが疑問して言う
「どうかしたの?」
周囲にいた研究者たちが言う
「ハラセスコーポレーションの株価暴落じゃないか!?」 「おいおい どうなってるんだっ!?」 「マジかよ!?一気に 半割れ!?」
ラミリツが言う
「株価暴落って…?僕はあんまり詳しくないんだけど ハラセスコーポレーションってさっき言ってた 1番良い素材のって企業でしょ?それがどうして?」
研究者Bがタブレットを操作して言う
「はっは~んなるほど?」
年配研究者が言う
「まさか ここで悪魔に嘲笑われるとはな?」 「参ったなぁ これは午後の取引は 大騒ぎだぞ?」 「また 悪魔の悪戯が始まったか?誰が嗾けたんだ?最近は大人しかったのに」
ラミリツが言う
「悪魔って?」
ラミリツが研究者Bを見る
「ハブロス司令官の事ですよ?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
研究者Bが言う
「誰もが疑わなかった ハラセスコーポレーションへのオーナー契約を行わなかったんです しかも その席でどうやら…」
TV前に集まっていた研究者たちが言う
「ワンマスジェットの株が暴騰だっ!?」 「何でここに来て ジェット開発企業で2番手のワンマスジェットが!?」 「ルイムンスジェットの間違えじゃないのか!?」
ラミリツが言う
「ワンマスジェットって… ひょっとして?」
研究者Bが言う
「ハブロス司令官がオーナー契約を取り次いだ企業です しかも ジェットエンジンの開発企業に置いて2番手と言われている企業なので ここを押さえるとは 誰も思わなかったのでしょう?ハブロス司令官は 1番良い物をそろえる人だと言う事は 周知ですから」
ラミリツが言う
「やっぱそうなんだ?でも 何で2番手の物を?僕だってハブロス司令官なら 1番良い物を手に入れようとすると思うけど?」
グレイゼスが言う
「ワンマスジェットか… となると 俺たちの午後の研究開発内容も これで決まったな?ワンマスジェットは 出力に関しては ルイムンスジェットに次いで2番手ではあるが そのジェットシステムの安全性安定性に関して言えば 群を抜いて1番だ そうとなれば」
ラミリツが言う
「なんだ そう言う事?それなら ハブロス司令官は そっちを選ぶだろうね?これ 絶対!」
グレイゼスが言う
「そうそう それで その1番から落ちる出力に関しては… 俺たちで何とかしろ …と なる訳で… はぁ~」
グレイゼスが頭を押さえる ラミリツが苦笑して言う
「あぁ なるほど?つまり 午後の作業って そう言う事?」
研究者Bがタブレットの電源を落して言う
「そして そちらの作業が完了した頃には 今度は ハラセスコーポレーションの超軽量金属も手に入るでしょうから 俺たちの作業はますます忙しくなりそうですね!ここは 腹ごしらえはしっかりしておかないとっ」
研究者Bが食事を始める ラミリツが言う
「え?そっちは…?だって 他の企業がオーナー契約をしたんじゃないの?」
研究者Bが言う
「それはしたでしょうけど この株価変動を見る限り 国防軍や政府と言った大企業ではない筈です そうとなれば どれほど良い素材であっても オーナー企業は手に入れた素材を自社の製品はもちろん その他の企業へも売りに出すようになりますから 当然そちらは 巡り巡ってこのARTへも流れて来るようになります そうとなれば その頃には 現在は最新最良とされている素材も 各社で解析改良が成されて 価値も暴落 それが現時点の株価へと 現れているんですよ」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「え!?そうなの…?何か… 怖い世界だね?僕 関わらないで済んで良かった…」
グレイゼスが言う
「それなら 例えば その国防軍や政府が…?もっと言えば ハブロス司令官の このARTがオーナー契約をしていたら どうなるって言うんだ?実際 さっきまでは ARTがオーナーになると思われていたんだろ?」
研究者Bが言う
「まず国防軍や政府なら 国家企業なので そちらがオーナーとなった素材に関しては 基本的に国家機密扱いにされます 国防軍や政府が許可をしない限り 情報の開示は許されませんので 素材を開発製造したその企業の 資産ともなる素材情報は守られた上で オーナー企業に購入使用される事になり 安定した環境に置いて 更なる研究開発へ取り組めます」
グレイゼスが言う
「なるほど 国家機密扱いになると言う事なら情報も守られ 更に そちらの素材を大量に使用する 国防軍や政府なら 収益も安定と… そうもなるかもな?けどARTは?こっちは それら国家企業では無いが?」
研究者Bが苦笑して言う
「ARTは国家企業ではなく 個人企業ですが 何しろその経営者が ハブロス司令官ですからね?ハブロス家の傘下に入った企業に手出しをする事は 国家重犯罪を犯すのと同等の危険が身に及ぶと言う 暗黙の了解がありまして」
グレイゼスとラミリツが衝撃を受ける 研究者Bが言う
「ですから そのハブロス家のハブロス司令官の者となった企業は もちろん 情報を他企業へ流して対価を得ようなどと考える者も居ませんし もっと言えば その様な危険に近付こうとする買い手も現れません ですので ハブロス司令官からの誘いに乗る事は 悪魔の誘いに乗ると言われたり そう言った 企業の流れを使った取引への勧誘を受ける事を 悪魔の微笑を受けたとかって 言われるそうですよ?あの株価の変動時も 同じ感じですけど」
ラミリツが言う
「悪魔って… そりゃ 国防軍のアールスローン戦記では 悪魔もペジテの姫に兵士を与えてくれる仲間だけどさぁ?それって何か… 良いの?それで?」
グレイゼスが言う
「仲間である分には良いが 敵にとっては それこそ神様より恐ろしいのかもな?」
研究者Bが言う
「ええ 神様と違って 悪魔の攻撃には 救いはありませんからね?ハラセスコーポレーションは 株価暴落の対処に追われて 素材改善の研究開発も滞って これで終わりでしょう アールスローン1の素材といわれたからには 素直にARTへ持って来れば良かったものを…」
研究者Bが食事を続ける 年配研究者たちが言う
「ハラセスコーポレーションは 新規上場企業だったのに…」 「きっと 株価上昇の企業箔付けを狙って 悪魔のカードを得ようと企んだんだろう?」 「これだから新参者の企業家は 国防軍の悪魔の恐ろしさを知らないんだな?」
ラミリツが周囲を見てから苦笑する

【 ART マシーナリー研究開発室 】

グレイゼスと研究員たちと共にラミリツがやって来る グレイゼスが言う
「お待たせをした上に こちらまでご足労を頂いてしまって すみません ラミリツ隊長」
ラミリツが苦笑して言う
「良いって そんなの 大体 いつも言ってるじゃない?僕はARTに居る時は ART2の隊長だし それに僕は 政府長攻長であっても 国防軍の悪魔って言われた誰かさんみたいな事は 考えられない性質だからさ?」
グレイゼスが苦笑して言う
「それは 本当に良かったですよ 世界を救おうとするARTに 悪魔さんがこれ以上増えられては…」
アースが視線を向けて言う
「使える悪魔が増える分には 私は大歓迎だが?」
グレイゼスが衝撃を受け悲鳴を上げて言う
「ぎゃぁあっ!?悪…っ いえ、ハブロス司令官 …お戻りだったのですね?」
アースが笑んで言う
「私が戻っていては 何か問題か?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが苦笑して言う
「いえ まさか …とは言いましても そのお戻りになられた 我らがARTの司令官様が 何故 こちらへ?ひょっとして また何か ご要望が…?」
アースが言う
「いや?今はこれと言って お前たちへの用は無い」
グレイゼスが言う
「えっと…?それでは 尚更 何故…?」
ラミリツが疑問して アースを見る アースが言う
「私の用は こちらへ 客人の出迎えに来ただけだ」
グレイゼスが疑問して言う
「え?こちらへ?」
ラミリツが言う
「客人って… それなら 尚更 正面の出入り口へ向かうべきなんじゃないの?」
ゲート開閉ブザーが鳴る グレイゼスとラミリツが反応して顔を向けると 開かれたゲートの外から1台のトラックが入って来て停車する ラミリツがグレイゼスを見ると グレイゼスが周囲の研究員へ言う
「あら?今日は何か 部品納入でもあったっけ?」
周囲の研究員たちが顔を見合わせる トラックの運転席や助手席から人が降り トラックの荷台へ向かう中 ワンマスがアースを見てやって来る アースが言う
「ようこそARTへ ワンマス会長 歓迎します」
グレイゼスとラミリツが衝撃を受けラミリツが言う
「ワンマス会長って さっきの…?」
ラミリツがグレイゼスを見る グレイゼスが苦笑する トラックの荷台から下ろされたジェットエンジンが運ばれてくる ワンマスが一度ラミリツを見てからアースへ向いて言う
「こちらこそ 本日はハブロス様のお力の下へと お誘いを頂きまして 誠に有難う御座いました お陰さまで 後に続いた第二トレードでは 未だかつて無い数の企業からカードを頂きまして ハブロス様のご指示の通りに ホワイトカードに関しては 欲しいままに取らせて頂きました」
ラミリツが疑問してグレイゼスへ言う
「どう言う意味…?」
グレイゼスが苦笑して言う
「さぁ…?」
ワンマスが続けて言う
「常に開発競争に後れを取る 我が社が 企業背景に恐れる事無く 協賛企業を得られる日が来るとは 思いも至りませんでした …そして こちらは」
ワンマスが運ばれて来た2つ目のジェットエンジンを示して言う
「そちらで得られました協賛企業の1つ ルイムンスジェットの最新ジェットエンジンを わが社の物と共に 本日のお礼を兼ねて お持ち致しました」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ!?出力で1番の方もっ!?」
ワンマスが苦笑して言う
「ルイムンスジェットの ルイムンス会長から ハブロス様へ是非とも宜しくお伝え頂きたいとの事でしたので こちらは ルイムスン会長から ハブロス様のARTへの無償提供とも言えますが 我々も 協賛企業ルイムンスジェットの技術を得られる事となり より一層の性能向上が見込めると思いますので 今後ともハブロス様のARTへのお力添えが叶います様 勤めさせて頂きます 何卒 宜しくお願い致します」
ワンマスが礼をする アースが微笑して言う
「有難う御座います ワンマス会長 会長自らのご足労と共に 貴社へ対する協賛企業からの試供品のご提供まで頂けるとは 思いも致しませんでした」
グレイゼスが苦笑して思う
(うわぁ… 黒い光がいっぱい… こりゃ 最初から狙ってたな?)
アースが続けて言う
「私へのご挨拶が有ったとは言え そちらの試供品ははルイムンス会長から ワンマス会長へのご誠意かと?しかし ワンマスジェットの技術情報は ワンマス会長や貴社の資産ですから 大切になさって下さい 我々も提供を頂きます そちらの情報を横流しする様な事は 決して致しませんと お約束を致します …どうぞ ご安心を?」
ラミリツが思う
(つまり 貰うものだけ貰って誠意を受けても 返すなって事…?それって 絶対 正義じゃないよね?ハブロス司令官が 悪魔って言われる理由 ちょっと 分かったかも?)
アースが言う
「ワンマス会長も 本日より 私や私の仲間たちの居る このARTの一員です 共に アールスローン1を目指しましょう?」
ワンマスが礼をして言う
「はい 精一杯精進させて頂きます」
グレイゼスが苦笑しながら思う
(ははは… 今までは知らなかったが 他企業との契約ってこんな形になっていたのか …なんて真っ黒い世界なんだかなぁ?そりゃまぁ 情報が売られたり 必要部品が手に入らない なんて心配は無いとは言え そもそも必要とする技術を作り上げたのは彼らだと言うのに それを提供する 彼らの立場って言うのは こんなにも低いものなのか?やっぱり 世の中 金と権力が全てなのかねぇ…?…って うん?)
グレイゼスが首を傾げて言う
「あれ?そう言やぁ…?」
ラミリツが疑問する グレイゼスが思う
(普段は こんな所で挨拶なんて…?)
ラミリツが言う
「どうかした?」
グレイゼスが言う
「あ、いや…」
ワンマスがグレイゼスを見る アースがその様子に微笑して言う
「では 形式ばった挨拶は この位で?」
皆が反応する アースが言う
「簡単にでは有りますが 私の仲間である このARTの隊員たちを 紹介します まずは彼が このマシーナリー開発研究部の主任でもある マスターグレイゼス中佐です」
グレイゼスが反応してワンマスへ向く ワンマスが微笑し言う
「ワンマスジェット会長兼技術長の ワンマスです」
グレイゼスが一瞬呆気に取られて思う
(え?1構想…?つまり 俺と同じ 最下層のっ!?)
ワンマスが握手の手を差し伸べる グレイゼスが微笑して言う
「こちらこそ宜しくお願いします!」
グレイゼスが握手を交わすと思う
(堅い皮膚 分厚い手 間違いない これは職人の手だ!)
アースが言う
「ついでに 既にご存知だとは思いますが たまたま居りましたので ご紹介をさせて頂きますと 彼が 我々ARTの第二機動部隊隊長 ラミリツ・エーメレス・攻長 隊長です」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「ちょっ!?ついでとか たまたまとかってっ!?」
ラミリツが思う
(いくら ARTでは ハブロス司令官の方が上の立場だからって 普通 そこまで言う!?)
ワンマスが跪いて言う
「お目通りを許され 光栄で御座います ラミリツ・エーメレス・攻長閣下」
ワンマスが頭を下げる ラミリツが慌てて言う
「え!?あっ!?そんな 止めてよっ!?ついでとか たまたまとか 言われてる位なんだしっ!?もっと その… 気楽に…さっ!?えっと… そう!僕は ARTに居る時は ART2の隊長だからっ!だから…っ!」
アースが言う
「…と、本人も申しておりますので どうか その様にしてやって下さい ワンマス会長」
皆がアースを見る アースが言う
「このARTの中では 本来の地位や名誉も無く 敬称もARTの物を使用しています そして 私を含む彼らは 同じ目的の下に募った 仲間です」
ワンマスが呆気に取られてから周囲の隊員らを見る 周囲の隊員たちが微笑する ワンマスがホッとして苦笑して言う
「有難う御座います ハブロス様」
ラミリツが苦笑して言う
「お礼を言うならさ?そこは ハブロス司令官って言わないとね?ワンマス会長?」
ワンマスが言う
「はい 有難う御座います 攻長閣下」
ラミリツが衝撃を受け慌てて言う
「ちょっ!?だから それじゃ駄目だったらっ!?」
皆が軽く笑う ワンマスが呆気に取られ苦笑する ワンマスの連れたちが微笑を合わせる

ワンマスの整備士たちが興味深そうにマシーナリーを見上げている アースとワンマスが立ち去って行く グレイゼスとART研究員がジェットエンジンの様子を見て グレイゼス言う
「へぇ~?近くで見るのは初めてだが こいつは改めて凄そうだなぁ?」
研究員Aが言う
「まずは実際に出力測定をしましょうか?折角ですし 2台同時に?」
グレイゼスが言う
「そうだな?特性を見るのにも丁度良い …となると 出力測定のプログラムを 即興で組まなきゃならないが」
グレイゼスが横目にラミリツを見て思う
(いくら何でも これ以上お待たせする訳には行かないよな?本来なら こう言ったマスターの専売特許である プログラム構築は俺の役目なんだけど)
グレイゼスが研究員Aへ向いて言う
「すまないが 出力測定のプログラムを 組んでおいて貰えないかな?」
研究員Aが疑問して言う
「え?ええ 構いませんが?自分が組むより 中佐が作られた方が 出力測定だけじゃなくて その他色々と役に立つオプションが オマケされるのでは?いつものように?」
研究員Aが微笑する グレイゼスが言う
「ああ、まぁ そうなんだけど…」
グレイゼスがラミリツを見る ラミリツはジェットエンジンを眺めている グレイゼスが苦笑して言う
「俺はちょっと 用があるものだからさ?その間に頼むよ?物があるのに そちらを進めない訳にも行かないし とりあえず 出力測定が出来れば十分だから?」
研究員Aが言う
「そうですか では 自分が…」
ワンマスの整備士たちがやって来て言う
「あの、宜しければ 出力計測やその他 特性や性能などが数値化されるプログラムがありますが ご利用されますか?」
グレイゼスが言う
「お?それは助かる」
ワンマスの整備士がデータロムを渡しながら言う
「それと 今日持って来ました あちらの2台のジェットエンジンの設計図や出力数値 その他 アールスローン国内で使用されているジェットエンジンの それらの数値も登録されているので 宜しければご参考までに」
グレイゼスと研究員たちが呆気に取られてからグレイゼスが言う
「え?いや?…良いのか?そんなに?」
ワンマスの整備士が言う
「はい それらのデータは取ろうと思えば 取られるものですから 共同開発を行うのでしたら 先に ご提供するべきだと 技術長が… あ、いえ 会長からのものです」
グレイゼスが言う
「そうなのか では 有り難く使わせて頂こう …にしても 本来なら そう言った情報は出し惜しみをするものなんだけどなぁ?それか 酷い時には仲間内であっても 情報料や対価を… なんて言われるんだが?」
グレイゼスがデータロムをコンソールへ入れ 軽く操作する ワンマスの整備士が言う
「うちの会長は そう言った事をしない人です むしろ 出来ない人と言いますか?…ですから 今までも それで散々損をしています」
グレイゼスが言う
「と言うと?」
ワンマスの整備士が言う
「その最たるものが あちらのルイムスンジェットの 最新ジェットエンジンです あれは元々うちが製作をしていたもので 使用するパーツの一部に関して ルイムスンジェットの耐熱素材を供給してもらうつもりが その製作企画段階で こちらの情報を丸々盗まれてしまいまして」
グレイゼスが言う
「え?そうだったのか?けど それなら その事実を公にして… いや、それこそ 政府警察へ依頼するレベルじゃないのか?」
ラミリツが反応して顔を向ける グレイゼスが言う
「製造企業にとっての情報は財産も同然なんだから それを盗んだとあれば… 何て言ったかな?確か そう言う罪状が有った筈だが?」
ワンマスの整備士が言う
「はい それは有ると聞いていたのですが… 何しろうちは最下層の企業ですから 中位富裕層のルイムスンジェットへの提訴は出来ないと …それに 会長も情報を提供したのは自分の方だから しょうがないと言いまして」
グレイゼスが言う
「え?いや それとこれとは… 大体 それを理由に提訴が出来ないなんて言ったら 一体何の為の法律なんだ?」
ワンマスの整備士が言う
「はい、提訴は行えばそれなりに 可決すると思うですが… 上に楯突くと恐ろしいからって 会長は富裕層の方にめっぽう弱いんですよ 先ほどのハブロス様への態度でも お分かりになったでしょう?」
グレイゼスが言う
「あぁ… あれはそう言う事だったのか」
ワンマスの整備士が言う
「けど 我々も驚きましたよ?まさか 高位富裕層の… いえ あの超高位富裕層といわれるハブロス家の旦那様が わざわざ 作業場までお越しになって 出迎えて下さるだなんて 今までの富裕層企業では 見た事もありませんでした そう言う事をするのは 同じ整備士の仲間か 最下層の技術工場の所長さんくらいですよ …まぁ こちらは出迎えと言うより そこにしか居る場所がないんでしょうけど?」
グレイゼスが言う
「ああ… まぁ そうだろうな?」
グレイゼスが思う
(それこそ こちらも 普段は居ないんだけどな…?)
ワンマスの整備士が微笑して言う
「うちの会長は そこだけは頑として譲らない人で 自分は会長になっても一技術士として 企業には作業場から入るんだって聞かないんですよ お陰でいつも 作業場から応接室や会長室への道が分からなくて困ったりするんです 特に大手企業が相手の時は そういった場所は作業場から離れた 別館の本社に有るなんて事も多いので また 来た道を引き返して向かったりとか?それでも いつも最初は 自分らと一緒に作業場へ向かうんです」
グレイゼスが軽く笑って言う
「そうか… 根っからの技術士なんだな?」
ワンマスの整備士が軽く笑って言う
「はい そっちのプライドに関しては 俺たちも尊敬してますけどね?後はそのプライドで 富裕層の方にも逆らってもらえたら良いんですけど… どうも そうは行かないみたいですね?」
グレイゼスが言う
「それは やっぱり 難しいんだろ?でも 良いじゃないか そう言う職人としてのプライドを持っているって言うのは とても強い事だ」
グレイゼスが気付いて思う
(…うん?と言う事は ひょっとして?)
グレイゼスが言う
「もしかしたら そのプライドを… ワンマス会長の魂を買って ここでお待ちしていたのかもしれないよ?うちの… 最高の司令官様はさ?」
ワンマスの整備士が疑問して言う
「最高の司令官様…?」
コンソールに読み込み終了の表示が点灯する

【 ART 食堂 】

ハイケルとART1隊員たちがやって来ると ハイケルが食堂内を見渡す 食堂内にはラミリツを除くART2隊員たちが昼食を取っている 隊員Bが言う
「あれー?少佐ぁー?ART2の皆が居るのに ART2隊長のラミリツ隊長が居ないでありますー!少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「そうだな ART2の皆が居るのに ART2隊長のラミリツ隊長が居ない 様だな?バイスン隊員」
隊員Cが言う
「いつも思うんだけどよ?少佐のアレは… 一体何処までが 冗談なんだ?」
隊員Fが言う
「多分 どこも 冗談じゃないんだと思うけど…?」
隊員Aが言う
「俺も そう思う」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ!?それじゃぁ…っ!?」
隊員Bが言う
「えー?それじゃー?今日の昼食は ラミリツ隊長とは食べられないでありますかー?少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「そうだな 今日の昼食は… と、それよりも 私は ラミリツ隊長やART2の作戦がどうなったのかの そちらの確認を取りたかったのだが… ART2の皆が居るのに ART2隊長の ラミリツ隊長が居ない様だな?バイスン隊員」
ART1隊員たちが衝撃を受け苦笑すると 隊員Cが言う
「なるほど 確かに…」
隊員Aが言う
「でしたら 少佐?そのART2の皆へ まずは ラミリツ隊長の居場所を確認してみては?」
ハイケルが言う
「そうだな アラン隊員 では 私はそちらの作戦を実行する 従って 私を除くART1隊員は 昼休憩を続行しろ」
隊員Fが苦笑して言う
「了解 少佐」
隊員Aが軽く笑う 隊員Bが言う
「なら 俺も俺もー!俺は少佐の方の作戦を 実行するでありますー 少佐ぁー?」
隊員Aが言う
「バイちゃんが そっちの作戦を実行する必要は 無いだろう?」
隊員Bが言う
「えー?」

【 ART マシーナリー研究開発室 】

ジェットエンジンの激しい音が響いていて モニターに測定数値が表示されている ジェットエンジンが停止され 研究者たちとグレイゼスが苦笑して グレイゼスが言う
「凄いなぁ これが 警空の戦闘機にも使われる ジェットエンジンって奴かぁ… この出力なら 確かに 鉄の塊が空を飛んじまう訳だ?」
ラミリツがグレイゼスを見て言う
「あれ?ひょっとして 実際に見た事 無かった?」
グレイゼスが苦笑して言う
「無いですよ?そりゃ データ上では 飽きるほど見てましたけど 実物を見たのは初めてで しかも こんな間近で?」
研究者Aが言う
「やっぱり 出力はルイムスンジェットの方が 高いですね?最高出力は1万8千144キログラムフォース これをマシーナリーへ取り付けるのに 出力を抑えて小型化するとなると…」
ラミリツが言う
「え?抑えちゃうの?折角 1番出力の高いジェットエンジンを手に入れたのに?」
グレイゼスが言う
「我々が必要としている性能は 落下時の衝撃を抑える事で 空を飛ぶ事では無いですからね?…それに そもそも これほど大きな重量をマシーナリーへ取り付けたら 戦えませんよ?」
ラミリツが言う
「あ、そっか… 飛ぶ為じゃなもんね?…けど これで飛べるんならさ?それも有りな気もするけど?」
グレイゼスが言う
「速度は それこそ 警空の戦闘機並みですよ?良いんですか?ラミリツ隊長?」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「え!?あ、いや… それは やっぱ 困るかも?」
グレイゼスと研究者たちが笑う ラミリツが苦笑してから言う
「でも ひょっとして?それなら…?」
グレイゼスが思い出して言う
「あっ と、そうでしたね?すっかりお待たせをさせてしまって 申し訳ない ラミリツ隊長」
ラミリツが言う
「え?」
グレイゼスが言う
「何か 自分へ ご相談事があると?昼食を取る間をお待ち頂く予定が こちらの作業まで行ってしまって」
ラミリツが言う
「ああ、大丈夫 一応 その間も考えていたし それに今は僕の方が昼休憩の時間だからさ?気にしないで 区切りの良い所まで やっちゃってよ?」
グレイゼスが言う
「でしたら そちらも込めて この辺りで十分ですので ご相談内容の方は?」
ラミリツが言う
「そ?それなら…」

ジェットエンジンが出力されている グレイゼスが言う
「なるほど そうですね 上空の敵が相手では 遠距離攻撃の出来る ART1は良いとして そちらが出来ない 接近戦仕様のART2は… そもそも 攻撃が届かないのでは 戦いにはならないのですから それでは…」
ラミリツが言う
「うん でも だからと言って ハブロス司令官の言う通り こっちが武器を変える なんて事はしないで …もっと単純に」
グレイゼスが言う
「え?そちらはしないで 単純に …と言いますと?」
ラミリツが言う
「届かないなら 届く所まで 僕らが飛んじゃえば良いよね?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「はあっ!?」
ラミリツが微笑して言う
「それこそ 最下層から高位富裕層まで?飛んじゃうって言うの?」
グレイゼスが言う
「え?えっと… あの?ラミリツ隊長?」
ラミリツが言う
「だからさ?僕も普段 マシーナリーじゃなくて 実体で戦う時にはやってる事なんだけど… 例えばさ?僕が普通に正面に立ったって あのマシーナリーの起動回路の場所って 届かないでしょ?」
ラミリツがマシーナリーを見る グレイゼスが視線を追って言う
「え、ええ まぁ そうですね?」
ラミリツが言う
「だけど 届くよ?助走を付けて ジャンプをすればね?」
グレイゼスが閃いて言う
「あ… と言う事は?」
ジェットエンジンが高鳴る グレイゼスが反応して視線を向けて言う
「…もしや?ひょっとして ラミリツ隊長のお考えの事は…?」
ラミリツが微笑して言う
「そ!あのジェットエンジンを付けてさ?助走もつけて ジャンプをしたら それこそ上空の敵にだって 届くんじゃない!?」
グレイゼスが苦笑して思う
(やっぱりか…)
グレイゼスが言う
「あの… ラミリツ隊長?お気持ちは分かるのですが 何せ 現状ではマッハ1や2に近い速度で飛ぶ ジェットエンジンでジャンプした日には… 月まで飛んで行ってしまうかもしれませんよ?」
ラミリツが言う
「そこは もちろん?調整してよ?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
ラミリツが高飛車に言う
「出来るだろう?マスター?」
グレイゼスが苦笑して言う
「は… はぁ… そちらは… 我らARTの 悪魔様の真似で…?」
ラミリツが微笑して言う
「そ!出来るよねっ?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが言う
「そうですね… 出来ます… はい…」
グレイゼスが思う
(あぁ… 政府の天使様が ついに 悪魔様に…)
ラミリツが言う
「やったね!これで問題は解決だよっ!早速 ハブロス司令官に 報告して来よっかな~?」
グレイゼスが思う
(…そして こんな所は 相変わらず純粋な子供の様で…)
グレイゼスが言う
「いえ お言葉ですが ラミリツ隊長?」
ラミリツが言う
「え?何?ハブロス司令官にも 相談した事だからさ?きっと気にしてると思うんだよね?それに今なら まだ 休憩時間だし?」
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官へ報告をするのでしたら 少なくとも 結果を出してからでなければ… 問題は解決とは行かない訳ですし?」
ラミリツが言う
「あ!そっか!そうだよね?さっすが!マスター!危うく また ガキだな って言われる所だったよ ありがと!」
グレイゼスが言う
「いえいえ…」
グレイゼスが思う
(なんせ 俺であっても そうと思った位だからな?そりゃ 間違いなく あの悪魔様なら 言われるでしょうね?)
ラミリツが言う
「それじゃ 早速作ってね?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
ラミリツが言う
「もちろん 出来たら呼んでね?楽しみに待ってるからっ!それじゃ!」
グレイゼスが言う
「あ、あの…っ」
ラミリツが走って立ち去る グレイゼスが手を向けたまま言う
「あ~… いや その…」
グレイゼスが思う
(今やってるのは 悪魔様のご依頼の方なんだけどな…?けど…)
グレイゼスが苦笑して言う
「あれほど楽しみにされちゃ ご期待にそわない訳には行かないか?」
グレイゼスがコンソールへ向き直って言う
「やれやれ これは…」
ジェットエンジンが出力される グレイゼスが思う
(こちらも ジェットエンジン並みのスピードで 頑張らないといけないのか…?)
グレイゼスが苦笑してから 気を取り直して言う
「よーし…っ それでは 天使様や悪魔様のご期待を背負って 一丁 やってやりますかね!」
グレイゼスがコンソール操作を開始する

グレイゼスが表情を引きつらせて言う
「…それで?自分が完成を お知らせしに行くまでもなく ラミリツ隊長から こちらへお越しになったと言うのは…」
ラミリツが苦笑して言う
「うん それがさ?方法が見付かったと思ったら ちょっと張り切り過ぎちゃって?マシーナリーでジャンプする練習をさせてたら… ART2の皆のマシーナリーの足のパーツが 壊れちゃったみたい?だから 修理してくれる?」
グレイゼスが怒り慌てて言う
「止めて下さいっ!これ以上 俺の仕事増やすのっ!」
ラミリツが悪気無く照れ苦笑する

翌日

ハイケルが言う
「では それで?」
グレイゼスがコンソールを前に疲れ切った様子で言う
「ああ… それで やっとこれから 当初の改善予定通り 高所落下衝撃緩和システムに取り掛かれる訳だ… 昨日はあれから終業時間まで 俺は掛かり切りでART2マシーナリーたちの修理に当たってたからさ?」
ハイケルが言う
「そうか では 高所落下衝撃緩和システムの完成に関しては 当初の予定より遅れる予定か?」
グレイゼスが言う
「あ、いや?それがな?」
グレイゼスが振り返り ジェットエンジンへ視線を向けて言う
「俺の手が塞がってるとなったら 手伝うってさ?昨日からARTの部品供給企業になったワンマス会長が 設計を担ってくれたんだよ」
ハイケルが疑問して言う
「会長が… 設計を?」
マシーナリー仕様のジェットエンジンが試運転されている ハイケルが視線を向けるとワンマスと整備士たちが調整をしている グレイゼスが言う
「ワンマス会長は 元々技術士なんだ だから 自社のジェットエンジンはもちろん それを使用する戦闘機なんかの事にも詳しいから それらの知識を応用して マシーナリーへ取り付けるジェットエンジンの再設計をしてくれたんだよ 俺たちがやっていたら ジェットエンジンの設計を変えるなんて言う事は 出来なかっただろうから これは本当に災い転じて福と成すと言うか ARTにとっては 良い結果をもたらしてくれた筈だ」
ワンマスがジェットエンジンの調整に頷いてから グレイゼスの下へやって来て言う
「マスターグレイゼス中佐 ジェット噴射の調整も済んだ これなら 50メートルの高さからの落下でも マシーナリーを無傷で着地させる事が出来るだろう」
グレイゼスが言う
「50メートルの高さからからでも?…それは凄い!有難う御座います ワンマス会長」
ワンマスがグレイゼスへ微笑し 一度ハイケルを見てから 再びグレイゼスへ向いて言う
「こちらの兵士さんは…?」
グレイゼスが言う
「ああ そう言えば 紹介します ワンマス会長 彼は俺の孤児院時代からの友人で…」
ワンマスが微笑して言う
「ああ、そうですか!それなら…」
ハイケルがワンマスへ向き直って言う
「ART1隊長ハイケル・ヴォール・アーヴァイン少佐だ」
ワンマスが衝撃を受けて言う
「ヴォ、ヴォール・アーヴァイン…っ!?こ…っ こここ、こちらこそっ!失礼を致しましたっ 私はワンマスジェット会長の…っ!」
グレイゼスが苦笑して言う
「ワンマス会長 大丈夫です こいつは確かに あの防長閣下の養子ですが 元最下層にして ちょっと抜けた悪魔の兵士でもある 俺の親友です」
ハイケルが言う
「ちょっと抜けた悪魔の兵士ではなく 私は 真に不甲斐なく申し訳ない 初世代の悪魔の兵士だ 悪かったな」
ワンマスが呆気に取られて言う
「真に…?いや 悪魔の兵士 と言うと…」
グレイゼスが微笑して言う
「ああ、それじゃ ジェットエンジンも組み上がった事ですし 早速 実験を行いましょうか?丁度 何度でも蘇る 悪魔の兵士が来てくれたので その彼を乗せて?…プククッ」
ワンマスが衝撃を受けて言う
「えっ!?いきなり 有人実験ですかっ!?それは流石に…っ なんせ ジェットエンジンを用いた実験ともなれば 失敗時には 命の危険だってあるんですから 最初は無人のボディを使って行うのが基本です!」
ハイケルが言う
「私は 真に不甲斐なく申し訳ない 初世代の悪魔の兵士であっても 悪魔の兵士である事は変わらない 従って 命の心配は不要である事が 基本だ …とは言え 出来れば私も 死にたくは無いのだが そちらの実験を行う事で 私が1体死亡してしまう確率は どの位なんだ?グレイゼス?」
ワンマスが困惑してハイケルとグレイゼスを見比べる グレイゼスが言う
「う~ん まぁ 基本的には 大丈夫だろう?なんせ 使用するジェットエンジンはワンマス製 安全安定性に置いて1番だからな?ジェットエンジンを用いた実験による 失敗… 事故って言うのは 大概ジェットエンジンのシステムトラブルが原因だ そうとなれば?」
ハイケルが言う
「そうか なら良いんだ」
ワンマスが言う
「いや ええっと…っ!?まさか 本当に有人実験をっ!?それも 防長閣下の ご子息様でっ!?」
グレイゼスが言う
「ああ!それじゃ そちらの防長閣下のお兄様でもある ARTの悪魔様に 早く良い結果をお知らせしたいからな?昼飯前に さくっとやっちゃいますかね!?」
ハイケルが言う
「了解 昼飯前に さくっと逝く」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「いや!?逝く事が前提じゃないんだぞ?ハイケル」
ハイケルが言う
「そうなのか?」
ワンマスが困惑している

ハイケルがM420に乗っている グレイゼスが言う
「実戦仕様にセッティングされている お前たちのマシーナリーを また 壊したくは無いからな?実験は そのお前たちのマシーナリーと同じ型式で 最低限のセッティングだけ済ませてある そちらの補填用マシーナリーで行うが お前なら特に問題なく 動かせるだろう?ハイケル?」
M420が起動し Mハイケルが言う
「多少感覚が薄く感じるが …そうだな 問題ない」
グレイゼスが言う
「よし その位なら問題はない筈だ …それじゃ」
グレイゼスがワンマスを見ると ワンマスが頷き作業員へ指示を送る 作業員たちが操作する重機によって Mハイケルへジェットエンジンが取り付けられる ジェットエンジンの固定が終わると重機が外される Mハイケルが重心を動かす グレイゼスが言う
「出来る限り軽くしてもらったんだが… どうだ?やっぱり 重いか?」
Mハイケルが重心を前へ向けて言う
「確かに 重量の増加は感じたが 銃火器を用いる戦闘に置いては 許容範囲であると 推測される」
グレイゼスが反応して言う
「うん?そうかぁ… それじゃ 実験には 改めて ART2の彼らにもご協力を頂くようかな?…まぁ その為にも まずは」
Mハイケルが言う
「まずは 私で実験を行うのだろう?グレイゼス?」
グレイゼスが苦笑して言う
「そうは言うなよ?さっきのは いつもの冗談って奴で もちろん 本心じゃない …まぁ 最悪の場合を否定は出来ないが そうなる可能性は 本当に0.01%あるかないか?って程度だ」
Mハイケルが言う
「そうなのか?」
グレイゼスが言う
「当たり前だろ?幼馴染で親友の俺の言葉が 信じられないのか?ハイケル?」
Mハイケルが間を置いて言う
「…そうか 了解」
グレイゼスが衝撃を受けてから苦笑して言う
「本当に分かってるのかねぇ…?それじゃ今は兎も角 実験を開始するから ジェットエンジンの作動方法をちゃんと聞いて置いてくれよ?ハイケル?」
Mハイケルが言う
「了解」
Mハイケルにフックが付けられ 作業員たちが調整を行っている

【 ART 司令官室 】

アースが資料を確認して時計を見てから言う
「…今日は 割と暇だな?これなら…」
アースが視線を他方へ向ける 視線の先にギターを包んだ包みがある アースが席を立とうとすると携帯が鳴る アースが携帯モニターを確認すると疑問して言う
「あいつから…?」
アースが携帯を着信させて言う
「どうした?アーヴィン 国防軍で何か問題か?」
携帯から軍曹の声が聞こえる
『あー… いや 国防軍では 何も問題は起きていないと思うのだが… と言うより 自分は正直 国防軍で起きる問題は 起きていても分からないのであるが』
アースが息を吐いて言う
「…そうか それはそれこそ問題ではあるのだが …とは言え ならば お前は 現段階では お前の補佐官と言う名の 次期国防軍総司令官である ファーストへ聞け 他に用が無いのなら切るぞ?」
軍曹が慌てて言う
『あぁあっ!いやっ!その前に兄貴!そちらで!』
アースが疑問して言う
「こちらで?何だ?」
軍曹が言う
『うむ、そちらの ARTで… いや むしろ 兄貴が…っ!』
アースが苦笑して言う
「私が?…ふっ アーヴィン お前が 私の心…」
軍曹が言う
『兄貴がまたっ!少佐へ無理な命令をっ!?』
アースが衝撃を受けて言う
「…配をしてくれていると言う訳では 無かったようだな…っ?」
軍曹が言う
『少佐を殺す予定では無いかとっ!自分はそちらを心配しているのだがっ!?兄貴っ!?』
アースがムッとして言う
「そちらの予定は無い上にっ アイツは殺したって 何度でも蘇るとあれば 問題ないっ!以上だっ!」
軍曹が言う
『のあっ!?あ、兄貴っ!?それはどう言う…っ!?』
アースが通話を切って言う
「…まったく 先日は本当に私の命が 失われる所だったと言うのに 蘇らない私より 何度でも蘇る 悪魔の兵士の方が大切かっ」
アースが視線を向け立ち上がる

【 ART マシーナリー研究開発室 】

Mハイケルが高所へ吊り上げられている 作業員たちが見上げる中 グレイゼスがイヤホンマイクを押さえて言う
「作動方法は 理解出来たか?ハイケル?」
Mハイケルが言う
「問題ない …予定だ」
グレイゼスが苦笑して言う
「予定ってな…?試験噴射は出来たんだから 後は実験要綱通りに フックの解除から4秒後 高度30メートルでジェットエンジンの点火意識を… 本来ならこれから製作予定の 操縦桿に付けられる点火スイッチを押すんだが お前の場合はそれらを含む システム類の稼動は意識による操作だから そっちの意識をしっかり持ってな?」
Mハイケルに取り付けられたジェットエンジンが試動して Mハイケルが言う
「そちらは問題ない」
グレイゼスが言う
「よし それなら 十分」
グレイゼスがMハイケルから離れつつ 作業員たちへ合図を送る 作業員が頷きメガホンを持って言う
「実験開始10秒前!…8、7、6、5秒前!…」

【 ART 司令官室 】

アースがコンソールを操作すると ドアのロック表示が現れる アースが言う
「よし 後は 帝国の城壁へ意識を向けた上で 普段通りに行えば良いと… 今は 皇帝も防衛を行っているだろうが 実験には丁度良い」
アースがエレキギターを構え 目を瞑り意識を集中すると Mハイケルが落下する姿が見える アースが目を開いて言う
「うん?今のは…?」

【 ART マシーナリー研究開発室 】

Mハイケルが落下中に壁にある赤いラインを超える 研究員Aが言う
「実験機 30メートルライン突破!」
グレイゼスが言う
「ジェットエンジン点火だ!ハイケル!」
Mハイケルの中 ハイケルが疑問して言う
(この状態で?いや… しかし …しなくとも 同じか?)
Mハイケルがジェットエンジンを点火する ワンマスがハッとして言う
「っ!マズイっ!機体角度がっ!」
グレイゼスがハッとすると 慌てて言う
「機体角度?…実験中止っ!」
ジェットエンジンが沈下する

【 ART 司令塔 】

隊員たちが作業をしていて オペ子Aが言う
「定時連絡 ART本部周囲 異常なし」
オペ子Bが言う
「定時連絡 了解 ART本部 並びに…」
通路から激しい金属音が轟く オペ子Bが驚き 周囲の隊員たちが驚いて顔を見合わせると オペ男Aが言う
「何だ!?今の音は!?」
オペ男Bが言う
「あんな凄い音が聞こえたのは 初めてだな?」
ラキンゼスが言う
「何か… 実験の失敗でもしたか?」
オペ男Aが言う
「実験の失敗で あんなうるさい音 するか?」

【 ART 司令官室 】

アースがギターの弦に当てようとしていたピックを止めていて言う
「…私ではないぞ?」
アースがコンソールを操作してモニターを映すと 移り変わる映像の中 ARTマシーナリー研究開発室の映像が映る アースが反応する

【 ART マシーナリー研究開発室 】

MグレイゼスがMハイケルのコックピットを外す グレイゼスが乗り込んで言う
「ハイケルっ!無事かっ!?ハイケルっ!?」
ハイケルが目を開き言う
「…蘇った のか?」
グレイゼスがホッとして言う
「いや 落下の途中で マシーナリーとの融合を 強制解除したんだ そっちは間に合いはしたんだが …お前は?身体に異常は無いか?」
ハイケルが両手を動かした後立ち上がる

【 ART 司令官室 】

モニターの中でハイケルがMハイケルから降りて言う
『…問題ない』
グレイゼスがMハイケルから出てきて言う
『そうか… 良かった …実験失敗の理由は何か?設定上では 上手く行く筈だったんだが?』
ワンマスが言う
『設定ではマシーナリーの重心とジェットエンジンの重量も加わる事から 当然 機体重心は後方へ行く予定が どうやら機体バランスが定まっている戦闘機とは異なって 人が乗り込んでいるマシーナリーと言うのは…』
アースがホッとして言う
「どうやら ハイケル少佐は 無事であったようだな?とは言え…」
アースがモニターに映っている壊れたマシーナリーを見る

【 ART マシーナリー研究開発室 】

グレイゼスが言う
「なるほど… それは確かに 神経接合ユニットを使っている 他のART機動隊員であっても同じ結果になる筈だ 人間は重心が変われば 自ずと それを修正しようと身体の体勢を変える …そこへ ジェットエンジンを点火してしまっては 急激な反動に 身体が反応しきれない …いや、したとしても 間に合う筈がない と、なれば これはどうしたら…?」
ハイケルが言う
「最初から そうなるものと 分かっていれば ジェットエンジンの点火のタイミングで 体勢を変える事も可能だと思われるが?」
グレイゼスが言う
「そうか?出来そうか?」
ハイケルが言う
「そうだな 先ほどの実験で 感覚は掴めた …予定だ」
グレイゼスが苦笑して言う
「予定か… それじゃ…?うーん…」
ハイケルが言う
「問題ない 私は 悪魔の兵士だ 何度でも蘇る この身体が壊れれば 取り替えれば良いだけだ」
グレイゼスが苦笑して言う
「それは そうかもしれないが …そうは言ってくれないでくれよ?ハイケル 俺は…」
ハイケルが言う
「そうだったな 分かっている グレイゼス お前は… 俺の幼馴染で親友 なのだろう?従って…」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「ハイケル…」
ハイケルが言う
「俺の死亡した姿は 出来れば見たくは無いのだろう それは 逆であれば 俺も お前の死亡した姿は 出来れば見たくは無い …予定だ」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「ちょ、ちょっと待てっ!?俺とお前じゃ話が違うんだし しかも 予定じゃなくて そこは確定してくれないかなぁっ!?ハイケル君っ!?」
周囲の人々が呆れている

【 ART 食堂 】

作業員や整備士たちのメンバーが食事を取っている ラミリツが言う
「へぇ?失敗したんだ?それじゃ 午後もアンタは そっちでマスターグレイゼス中佐の実験に 参加するって事?」
ハイケルが言う
「そちらの予定だ 従って…」
ラミリツが言う
「うん なら 良いよ 午後も アンタのART1は 僕が見といてあげる」
ハイケルが言う
「ART2の休暇に 自主出隊をしていた所 すまないが 宜しく頼む ラミリツ隊長」
ラミリツが言う
「そっちは気にしないで良いよ 僕も銃火器の訓練って ART2の皆が居る時は出来ないし 増して その銃火器がメインアームの アンタたちART1と一緒に訓練出来るって その辺は 僕の方こそ ラッキーだったって言うか?」
ハイケルが言う
「そうか なら良い… のだろうか?」
ハイケルがART1隊員たちを見る ART1隊員たちが昼食を取っていて 隊員Aが言う
「少佐が居ないと言う事で 基本的には自主練になりますけど やっぱり ラミリツ隊長が居てくれると 全体として まとまると言うか… なんと言うか… 言ってしまうと」
隊員Bが言う
「少佐 少佐ぁー!アッちゃんが言ってましたけどー!ラミリツ隊長が居れば 少佐が居るのと 変わらないなーって?」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「バ、バイちゃんっ!それは 言わないでってっ!それに 俺は変わらないじゃなくてっ そんなに変わらないなって…!?」
隊員Bが言う
「えー?でも アッちゃん 今 少佐に報告しようとしてたからー?俺が先行して ついでに単純明確に 伝達したんだけどー?」
ハイケルが言う
「そうか アラン隊員の意思は理解した よって 本人の希望通り」
隊員Aが慌てて言う
「い、いえっ!ちょっと待って下さい 少佐ぁっ!今のはっ!」
ハイケルがラミリツへ言う
「午後の訓練も ART1の隊員らを よろしく頼む ラミリツ隊長」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「ってっ!?しょ、少佐ぁー?」
隊員Bが言う
「えー?」
ラミリツが言う
「うん 了解」
隊員Aが呆気に取られる 隊員Fと隊員Iが見ていて 隊員Iが苦笑して言う
「い、良いんだ?少佐は アラン隊員に あんな風に言われても?」
隊員Fが苦笑して言う
「みたいだな?」
隊員Cが呆れて言う
「有り得ねぇ…」
ハイケルがグレイゼスへ向いて言う
「…と、ラミリツ隊長を含む 隊員たちの了解は得たが 実験はこの後 また直ぐに行うのか?グレイゼス?」
グレイゼスが言う
「ああ、取り合えず もう一度 同じ機体でやってみようと思う 別の機体に変えようかとも思っていたんだが 420マシーナリーは在庫も少なくなって来てるし 破損した足以外のパーツやシステムに 異常はなかったからな?」
ハイケルが言う
「そうか 了解」

【 ART マシーナリー研究開発室 】

アースが壊れたM420の顔に手を触れて言う
「…あれほどの高さから落されて 恐ろしかっただろう?すまなかった しかし その中に置かれても お前は仲間を助けてくれた …良くやってくれたな?後の事は我々へ任せ お前は その魂の傷が癒えるまで ゆっくり休むと良い」
壊れたM420のグリーンライトが点滅してから消える アースが苦笑する

通路

グレイゼスが考えながら歩いて来て独り言を言う
「とは言え 機体重心を考えるとなると やっぱり 足が動かないって言うのはネックかもしれないよな?…なら 一度浮かして重心のチェックを… うん?」
グレイゼスの視線の先アースが立ち去っていくのが見える グレイゼスが疑問して言う
「ハブロス司令官…?また何か ご注文でもあったのか?それなら…」
グレイゼスが向かおうとして止めて言う
「…いや?それならそうで 呼び出しのコールがされただろうし?」
グレイゼスが苦笑して思う
(なら声は掛けない方が良いか?折角 免れたのに ここで何か追加の注文を入れられたら…)
グレイゼスが苦笑して言う
「今は 悪魔様だけじゃなくて 天使様からのご注文も入ってるからな?」
グレイゼスが研究開発室の中を見ると 壊れたM420が在る グレイゼスが近くへ来て言う
「機体自体は壊れているとは言え 破損パーツを除いた神経接合を行えば このマシーナリーであっても もう一度位はデータが取られるだろうから 皆が戻る前に再セッティングまでを済ませて置こう …それじゃ」
グレイゼスが意識を集中させて言う
「よし、起きろっ」
M420は動かない グレイゼスが疑問して言う
「ん?…あら?おかしいな?」
グレイゼスが再び意識を集中させて言う
「420マシーナリー 起動っ!」
沈黙の間が流れる グレイゼスが衝撃を受け言う
「…あれ 動かないぞ?どうした?」
グレイゼスがコンソールへ向かい操作をすると疑問して言う
「エネルギーはあるのに AIや起動回路が停止してる?配線の断線も無いのに?いや、そもそも…?」
グレイゼスがM420マシーナリーの下へ来て言う
「ついさっきまでは 動かせていたのが?何で急に?」
グレイゼスがM420のシグナルランプを覗き込む

グレイゼスがコンソールを操作している 作業員たちとハイケルがやって来て 作業員が言う
「戻りました 中佐 早速 実験の続きを?」
グレイゼスが軽く息を吐いて言う
「うん… それじゃ… 保管庫から 別のマシーナリーを持って来るしか 無さそうだな?」
エミーが疑問して言う
「え?別のマシーナリーですか?マシーナリーの浪費を減らす為にも もう一度 あのマシーナリーで 実験するんじゃなかったんですか?」
グレイゼスが言う
「ああ、そのつもりだったんだが 突然 動かなくなってしまって …システム上に置いては 起動出来なくなるほどの 故障は見付からないんだが…」
グレイゼスが席を立って言う
「とは言え 動かないものはしょうがない 俺は保管庫から新しいのを持ってくるから その間にそっちの故障した方を 撤去しておいてくれ」
エミーが言う
「了解 中佐」
グレイゼスが立ち去る エミーが周囲を見て言う
「それじゃ クレーンを… あ、そうだ ハイケル少佐?」
ハイケルがエミーへ向いて言う
「何だ?」
エミーが言う
「すみませんが 一度 あのマシーナリーを起動させて 上体を上げてもらえますか?今の体勢だとクレーンのフックが掛け辛いので」
ハイケルが言う
「了解」
ハイケルがM420へ向かう

マシーナリー保管庫

グレイゼスが420マシーナリーたちを見上げて言う
「あっちゃ~… 参ったな?」
グレイゼスが思う
(そう言えば ART2の足パーツの修理をやるのに ここにある420マシーナリーのを 全て使っちまったんだった…)
グレイゼス苦笑して言う
「これじゃ 緊急に調達を依頼しないと 駄目だな?」
グレイゼスが時計を見てから思う
(とは言え 今から頼んでも 直ぐには行けないだろうから… いや この際少し大げさに 直ぐに持って来てもらえれば 今日中に仕上がります!って言ったら 持って来てくれるか?…いや 流石に今日の今日では無理か?司令官様は お忙しいからな…)
グレイゼスが通路へ出ると思い出して苦笑して言う
「これなら 昼前に確かめて置いて さっき 声を掛けて頼んでしまえば良かった…」
グレイゼスが通路を行く

【 ART 司令官室 前 】

秘書が荷物を持って席を立つ グレイゼスがやって来て気付くと言う
「あ…」
秘書が気付くと微笑して言う
「お疲れ様で御座います マスターグレイゼス中佐」
グレイゼスが言う
「ああ、お疲れ様 えっと…」
グレイゼスが思う
(そうだった 今日は俺たちの休憩を ART1の連中に 合わせたから…)
グレイゼスが言う
「ひょっとして これから昼休憩かな?」
秘書が言う
「はい 私は休憩を頂きますが」
グレイゼスが思う
(秘書がそうとなれば もちろん… か?)
グレイゼスが苦笑して言う
「と言う事は ハブロス司令官も?」
秘書が言う
「ハブロス司令官は 只今より1時間ほど お昼のご休憩に入られていますが 急用でしたら 室内に居られますので お声掛けを致しますか?」
グレイゼスが困って言う
「あ~… そうだなぁ…」
グレイゼスが思う
(急用と言えば 急用なんだが…)
グレイゼスが言う
「ちなみに 午後の予定とかは?今日は… いや、今日も ハブロス司令官は お忙しいかな?」
秘書が言う
「本日の午後は予定が詰まっていますね?その分 午前中は空いていたのですが」
グレイゼスが苦笑して言う
「あ~ そうだったのかぁ~…」
グレイゼスが思う
(これじゃ 今頼んだとしても 今日中は無理か?…とは言え それなら?)
グレイゼスが言う
「…なら 要望を伝えるだけだから 今 少し話をしに入っても大丈夫かな?」
秘書が言う
「はい 大丈夫だと思います ご連絡を入れて置きますね?」
グレイゼスが言う
「うん、頼むよ」
秘書がデスクへ戻り受話器を取る グレイゼスがドアへ向かう

室内

グレイゼスがやって来ると疑問して思う
(あれ…?)
アースがモニターから視線を上げて言う
「秘書からは急用だと聞いたが?」
アースが紅茶を飲むとカップを置き 書類を見つつPC入力をしている グレイゼスが呆気に取られたまま言う
「あの… えっと…?」
グレイゼスが思う
(昼休憩中だって言うから てっきり 昼食を取っているものと思ったんだが…?)
グレイゼスが周囲を見ると デスクにはティーカップと銀の皿に林檎の幼果が詰まれている グレイゼスが思う
(昼食は終わって 食後のお茶を… って所だったのか?まぁ それなら…?)
アースが作業の途中で疑問し 一度グレイゼスを見てから 不満そうに言う
「秘書からは急用だと聞いたがっ?」
グレイゼスが衝撃を受けてから苦笑して言う
「あっ はいっ そうです …すみません」
アースが言う
「それで?」
グレイゼスが言う
「はい 実は今行っている実験に420マシーナリーが必要なのですが 昨日ART2のマシーナリーを大量に緊急修理したお陰で 保管していた420マシーナリーを全て使い切ってしまいまして 追加をして頂きたいのですが…?」
アースが作業しつつ言う
「そうか では…」
アースがグレイゼス見て言う
「…急ぎか?」
グレイゼスが苦笑して言う
「はい 出来れば 2、3機だけでも 結構ですので 取り急ぎ… そうして頂けますと」
アースが言う
「分かった」
グレイゼスが言葉を止めて言う
「え?」
アースがPCの電源を落し 紅茶を飲み干すと立ち上がって言う
「今から向かえば 休憩中に戻られる 420を2、3機だな?」
アースが立ち去って行く グレイゼスが慌てて言う
「あ、はいっ そうです 宜しくお願いし …ます …って」
グレイゼスの言葉の途中で アースがドアを出て行く グレイゼスが苦笑して思う
(言ってる間に…)
グレイゼスが苦笑して言う
「相当 お忙しいのか…?元が せっかちなのか…?まぁ…」
グレイゼスが思う
(休憩中の間に 調達して貰えると言うのなら 助かったが…?)
グレイゼスがデスクに置かれている紅茶と 林檎の幼果を見てから部屋を出て行く

【 ART マシーナリー研究開発室 】

ハイケルが言う
「そうか では…」
ハイケルが銃口をこめかみに当てて言う
「私の調達も ハブロス司令官の 休憩の間に頼む 幼馴染で親友の マスターグレイゼス」
グレイゼスが慌てて銃を抑えて言う
「ちょ、ちょっと 待ったっ!?一体何がどうなって こうなってるんだっ!?ハイケルっ!?」
後方でM420が移動させられている

【 ART 第一訓練所 】

Mハイケルが起動すると 身体を見て言う
「…起動した」
グレイゼスが見上げて言う
「うんうん 上出来だ ハイケル君 これで無謀な蘇り作戦は必要ないと 分かっただろう?」
Mハイケルがグレイゼスへ向いて言う
「そうだな しかし それなら 何故 先ほどのマシーナリーを起動させる事が出来なかったのか?私は …それは私が 故障した為であると考えたのだが?」
グレイゼスが言う
「そいつは… 分からないんだよなぁ?いや、お前が起動させられなかっただけじゃなくて あのマシーナリーは 俺も動かせなくなっちまってな?」
Mハイケルが言う
「そうだったのか では… それはやはり 完全に破損していたと言う事ではないのか?見た目は足パーツのみの破損に見えたが あのマシーナリーは高さ50メートルから落下した そうとなれば 目には見えずとも?」
グレイゼスが言う
「いや… 目には見えない システム的な部分に置いても確認は済ませたし …そもそも マシーナリーって奴は 完全に破壊したって 起動はするものなんだよ」
Mハイケルが衝撃を受けて言う
「何っ?…そうなのか?」
グレイゼスが言う
「ああ、それこそ エネルギーが空っぽの状態でもな?動きはしなくても 起動シグナルは点灯するんだ しかし あのマシーナリーに関しては それさえもなかった …しかも エネルギーは満タンの状態で…」
グレイゼスが首を傾げて言う
「一体どうなってるんだ?」
Mハイケルがグレイゼスを見てから同じ様に首を傾げる

【 ART マシーナリー研究開発室 】

モニターにジェットエンジン付きマシーナリーのシュミレーションが映し出されている 研究員とワンマスが相談していて グレイゼスがハイケルと共に戻って来ると言う
「再実験は マシーナリーの配給がされる 午後1時過ぎを予定として それまでの間は…」
ワンマスが研究員との会話を終えるとグレイゼスへ向いて言う
「マスターグレイゼス中佐 ちょっとお伺いしたいんですが?」
グレイゼスが言う
「あ、はい?何か?」
ワンマスが言う
「中佐も マシーナリーを動かせるのですよね?それなら この時間が勿体無いので 今度はもう片方の改善に取り掛かりませんか?」
グレイゼスが一瞬呆気に取られてから言う
「もう片方の?ああ… そうですね?」
グレイゼスが思う
(俺としては 次の実験に向けての 各機関の再チェックをしようと 思ってたんだけど… まぁ それは俺1人でも十分だからな?それなら 他の皆には…)
ワンマスが言う
「今度は上空から落ちるのではなく 地面から浮き上がらせる実験になるので それ程危険性もありませんし まずは様子を見るだけなので 別の型式でも構いません マシーナリーを1機用意して頂けると」
グレイゼスが言う
「分かりました それなら 420に近い形の210マシーナリーで行いましょう 今 持って来ます」
ワンマスが言う
「お手間をお掛けします」
グレイゼスが言う
「いえ こちらこそ…」
グレイゼスが気付き周囲を見ると作業員や研究者たちが楽しそうにしている グレイゼスが微笑して言う
「助かっています!ワンマス会長!」
グレイゼスが思う
(そうか 気が付かなかった 今まで俺は…)
グレイゼスが保管庫へ向かいながら思う
(自分が行っている作業にばかり 目を向けていて 周りが見えていなかったのかもしれない ワンマス会長は 周りの仲間たちの手の空き具合や やる気を見て 待つのではなくて 作業を行おうと言ってくれたんだ)
グレイゼスが苦笑して言う
「司令塔主任の癖に 駄目だなぁ?俺は…」
グレイゼスが思う
(まぁ これが ナノマシーンの繋がりに感けている マスターの性でもあるんだけど)
グレイゼスが言う
「こっちも… 改善 しないとな?」
グレイゼスがM210を見上げると M210のシグナルが点灯して起動する

【 ART 第一訓練所 】

ART1マシーナリーたちが訓練をしている Mハイケルが振り向いて言う
「午前中から続き 先程までの礼も兼ね 必要なら 短銃の使用方法について 私がレクチャーを行うが?」
Mラミリツが顔を向けて言う
「レクチャー?ああ… いいや?もう」
Mハイケルが衝撃を受けて言う
「…不要なのか?」
Mラミリツが言う
「半日も撃ってたら 気も済んだし むしろちょっと飽きちゃったって言うか?その上 アンタからレクチャーされてもさ?なんか真似とか 出来そうにないもんね?」
Mハイケルが言う
「そうなのか?」
Mラミリツが短銃を収納して言う
「うん …それで それよりさ?お礼をしてくれるって言うなら こっちで勝負しない?」
Mラミリツが訓練用セイバーを装備する Mハイケルが言う
「了解 では 私も…」
Mラミリツが言う
「ああ 違う違う アンタはアンタの武器で つまり お互いのメインアームで 練習試合って事!」
Mハイケルが言う
「練習試合か …了解」
Mハイケルが訓練用短銃を装備する ART1マシーナリーたちが顔を向ける

【 ART マシーナリー研究開発室 】

M210にジェットエンジンが取り付けられていて 出力実験が行われている グレイゼスがそれを見てからコンソールへ向き直って言う
「さて 後はまた マシーナリーを動かす その時までの間に 俺の方は… ちょっとだけ」
グレイゼスがコンソールを操作すると モニターに表示されていた M210の表示がM420へ切り替わる

【 ART 第一訓練所 】

MハイケルとMラミリツが対戦している ART1隊員たちが呆気に取られていて 隊員Bが言う
「少佐とラミリツ隊長 すっげー!」
隊員Aが言う
「ああ これはもう…」
隊員Fが言う
「練習試合所じゃないな?それこそ 実戦さながらの…っ」
隊員Iが言う
「ああ、これで武器が訓練用じゃなかったら 本当に どうなっているか…」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「おい、おい?イリアス隊員?そう言う事言ってると…っ!?」
Mハイケルが短銃の銃弾を切らして言う
「…すまない ラミリツ隊長 訓練用蛍光弾が…」
Mラミリツが訓練用セイバーを振りかざして言う
「貰ったぁあーっ!」
Mハイケルの中ハイケルの意識が鋭くなり Mハイケルが回避する Mラミリツが顔を向けて言う
「甘いっ!その動きは 見切ってるんだよっ!」
Mラミリツが左手に持っていた短銃を向ける Mハイケルが停止しハイケルの意識が呆気に取られる ART1隊員たちが呆気に取られ 隊員Bが言う
「えー?少佐がー?」
隊員Aが言う
「ま… 負けた…?」
Mハイケルが言う
「そちらの短銃には 訓練用蛍光弾は装填されていない …予定だが?」
Mラミリツが言う
「訓練用のが装填されていないのなら尚更 アンタはこれで 1体死亡だね?ハイケル少佐?」
Mハイケルが言う
「短銃の所持は認識していたが そちらを使用する予定は無いものと予定していた」
ラミリツが微笑して言う
「甘い甘い?ハイケル少佐?僕らはARTだよ?それなら当然?…使えるものは 全て使わないとね?」
Mハイケルが言う
「…了解」
Mハイケルが体勢を戻し 実弾充填の短銃を両手に構える ART1隊員たちが衝撃を受け 隊員Aが言う
「しょ、少佐ぁーっ!?」
隊員Fが苦笑して言う
「ま、まさか…」
Mラミリツが言う
「上等…!」
Mラミリツがプラズマセイバーを装備する 隊員Iが衝撃を受けて言う
「ラミリツ隊長までっ!?」
隊員Cが隊員Iへ向いて言う
「ほら見ろっ!?イリアス隊員が あんなフラグ立てるからーっ!」
隊員Iが慌てて言う
「フ、フラグってっ!?」
隊員Bが言う
「えー?」

【 ART マシーナリー研究開発室 】

グレイゼスがコンソールを操作していてそちらへ夢中になっている 後方でM210を使った実験が行われている M210のジェットエンジンが起動する ワンマスが顔を上げてメガホンを片手に言う
「ジェットエンジンが稼動したら!上体を安定させて!腰を曲げないようにして下さい!重心は後方へ!ジェット噴射に乗せる感覚でっ!」
ジェットエンジンが稼動すると M210が浮き上がる ワンマスが言う
「そうそう!その調子で!良いですね!その感覚のままで お願いしますっ!マスターグレイゼス中佐!」
皆が注目している中 エミーがふと気付きグレイゼスを見ると グレイゼスはコンソールの操作に夢中になっている エミーがM210を見ると M210が上体を逸らしジェット噴射に合わせている エミーが衝撃を受け M210とグレイゼスを見比べて言う
「えっ!?あれっ!?」

【 ART 第一訓練所 】

MハイケルとMラミリツが対戦している ART1隊員たちが慌てて巻き添え被害から免れる為に逃げる Mハイケルの意識の中ハイケルが思う
(ART1の隊長としてっ 私は…っ 私の隊員たちの前で 再び負ける訳には行かない!それは 隊員たちの士気を下げる事へ繋がるっ …そうとなればっ!)
MハイケルがMラミリツの攻撃を回避して後方へ向かうと 2丁銃を構えて言う
「ここからは …本気でやらせてもらう」
Mラミリツが振り向いて言う
「本気で…?そう?それなら 僕だって…?」
ハイケルの意識が隊員たちを見てから思う
(私には 同じART1の仲間たちが居る これなら… 負ける事は無いっ!)
Mハイケルが戦意を向ける Mラミリツの中コンソールにCDが入れられる ラミリツが言う
「僕には アニキが居てくれるんだからっ これなら 絶対 負けないよっ!」
Mラミリツが戦意を向ける ART1隊員たちが驚いて 隊員Aが言う
「ちょ、ちょっと… 2人共…?」
隊員Bが言う
「少佐も ラミリツ隊長も 本気だー!?」
隊員Fが衝撃を受けて言う
「ま、まずいんじゃないかっ!?止めないとっ!?」
隊員Cが慌てて言う
「止めるってっ!?どうやってよっ!?」
MラミリツがMハイケルへ向かう Mハイケルが2丁銃を放ちながら回避する Mラミリツが銃弾をセイバーで弾き回避しながらMハイケルを追う

【 ART マシーナリー研究開発室 】

ワンマスが言う
「よしっ 機体安定も十分っ 上手く行って良かった!これなら…」
ワンマスが顔を向けると 視線の先でコンソールへ向いていたグレイゼスの携帯が鳴り 少ししてから グレイゼスがハッとして慌てて通話を着信させて言う
「…とっ すみません!お待たせしましたっ!ハブロス司令官っ!…はいっ はい 分かりました!ゲートを開けて お待ちしていますので!…はいっ」
グレイゼスが通話をしながら席を立って去って行く ワンマスが疑問してから 感心して言う
「…ほう?なるほど?マスターさんは マシーナリーの遠隔操縦を出来るだけでなく 他の事をしながらでも マシーナリーを操れるとは… こりゃ 大したものだ!」
ワンマスが頷き M210へ向き直る エミーが顔を左右に振ってから言う
「出来ないっ 出来ないって!?大体 中佐 全然 マシーナリーに意識 向けてなかったしっ?」
ワンマスが気付かないまま言う
「それでは ジェットエンジンを停止させましょう!実験は終了です!お疲れ様でした マスターグレイゼス中佐!」
ジェットエンジンが停止して M210が着地してから脱力する エミーが呆れて言う
「…どうなってるの?」

【 ART マシーナリー保管庫 】

開かれたゲートからM420が3機入って来て グレイゼスの前に止まると先頭のM420のコックピットが開かれアースが出て来る グレイゼスが言う
「有難う御座いました ハブロス司令官 お陰さまで実験の続きが出来ます 上手くすれば 今日中に最終セッティングまで終えるかもしれませんよ?」
アースが言う
「そうか 迅速なのは結構だが 今回の装置は 危険性を持ち合わせている 従って 完成を急ぐよりも 全体的な安全性を徹底させる様にしてくれ」
アースが通路へ向かう グレイゼスが一瞬呆気に取られてから気を取り直して言う
「あ… はいっ 了解!気を付けます 休憩時間に ご無理を言って すみませんでした」
アースが携帯を操作しながら言う
「その分も 彼らは大切に使えよ?…今 戻った このまま向かえば 間に合うか?」
アースが電話をしながら立ち去って行く グレイゼスが苦笑して言う
「…はは 本当にお忙しいご様子で?それじゃ…」
グレイゼスがM420を見て言う
「そのハブロス司令官の 休憩時間を削って用意して頂いたんだからな?ご命令通り 大切に…」
グレイゼスが思う
(そうだな?取り合えず3機もあれば…)
グレイゼスが考えながら言う
「少なくとも 今日と明日の実験にも 事欠く事は無いだろうから これで今回の実験には十分…」
出入り口からラミリツが言う
「あ、居た居た!」
グレイゼスが声に反応して振り返ると言う
「うん?ラミリツ隊長?…ああ?ラミリツ隊長からのご注文の装置も 今 実験をしていますが まだ… って?」
ラミリツに続いてハイケルがやって来る 2人がグレイゼスの前にやって来ると グレイゼスが疑問して言う
「うん?2人揃って 俺に何か…?…ハッ!」
グレイゼスが衝撃を受けて閃くと ラミリツが微笑して言う
「マスターグレイゼス中佐!」
ハイケルが言う
「…グレイゼス」
グレイゼスが表情を顰めて言う
「まさか…?」
ラミリツが言う
「ごめーん?」
ハイケルが言う
「すまない…」

【 ART 第一訓練所 】

MハイケルとMラミリツが大破している ラミリツが微笑して言う
「僕のマシーナリー 壊れちゃった!」
ハイケルが言う
「私のマシーナリーが 破損した」
グレイゼスが怒って言う
「壊れちゃったでも破損したでもなくてっ 壊したんでしょうっ!君たちがぁあっ!?」
ART1隊員たちが呆れている

【 ART 通路 】

アースが書類を見ながら秘書と歩いていて言う
「政府系企業は 時間にうるさいからな?奴らは速くとも遅くとも文句を言う」
秘書が苦笑して言う
「速ければ 国防軍の方はせっかちだと言われ 遅ければ 政府警察の方が速いと言われますね?」
アースが書類を返しながら言う 
「先日は寸分違わず その時間となれば 几帳面過ぎると言われた …それでは どうしろと言うのだ?」
秘書が軽く笑う

【 ART 出入り口 】

秘書が自動扉を開いて言う
「では 次回からは こちらのART本部へ お越し頂くと言うのでは 如何でしょう?」
アースが続いて出て来ながら言う
「そうだな?とは言え 融資を頂くからには こちらから向かうのが 礼儀だとは思うが …どちらにしろ」
アースが立ち止まる 秘書が疑問してからアースの視線の先を見て驚く アースが言う
「我々への融資ではなく 我々から融資を奪おうと言う者を 招くつもりは無いな?」
2人視線の先 メリが立って居て微笑して言う
「お迎えに上がりました ハブロ・アーク・フォライサー」


続く
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