戦乙女の友情

えりー

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戦場での2人

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ミクはリリィが自分の手を握って看病してくれたことに気がついていた。
眠ったふりをしていたのだ。
(どうして・・・リリィ、貴方はそうなの?こんな私に優しくしてくれるの?)
(私さえいなければカイトと付き合えたのにー・・・)
(リリィ・・・ごめんなさい)
ミクは自分の行いを悔いた。
人づてにリリィは明日、戦場へ出ていると聞いた。
(リリィ・・・無事に帰ってきて。そしたら本音を言うよ)
(もう、逃げないから)

翌朝、ミクの元にまた招集状が届いた。
(体が重い・・・まだ傷も癒えていないのにー・・・)
ミクもこの魔法学校の異常性に気付き始めていた。
呆然としていると早く行くよう保健医に言われ、ミクは重たい体を引きずって立ち上がった。
「どうして・・・私たちがこんな目に合わなければいけないの?」
その疑問を抱くと急に頭痛がし、吐き気が押し寄せてきた。
(なに、これ・・・)
(頭がぼうっとする。体が無意識に戦場に赴く用意を始めている・・・?)
自分の意思とは正反対の行動に戸惑いを覚えた。
しかし、自分の行動を止めることなどできなかった。
気がつくと身支度を済ませ宙を飛んでいた。
こうなってしまっては仕方ない。
早く敵の魔法使いを倒し、学校へ戻ろう。
(生き抜いたら本音を言うよ)
自分にとってこれが最後の戦になるかもしれない。
薄々そう思った。
こんな体では満足に力を発揮できない。
そう思うと自然と涙がこぼれた。
(後悔しているわ)
(もっと早くにリリィと向かい合っていれば良かった)
ミクが戦場に着くともう戦いは始まっていた。
ミクは自分の魔具を取り出し、戦う態勢を整えた。
そして、目の前にいる敵の魔法使いへ攻撃を仕掛けた。
しかし手ごたえはなかった。
(強い・・・!)
次は相手からの攻撃を受けることになった。
キィンっと刃と槍がぶつかり音を放った。
その時相手の顔を見てお互い愕然とした。
「嘘・・・ミクなの?」
「リリィ?」
だが一度始まった戦いを止めることなど誰にもできない。
そう、本人同士にもー・・・。
国と学校から洗脳を受けて育っているのでこういう状況でも戦わなくてはいけない。
刃と槍を交わしながらゆっくり2人は地上へ降りた。
「どうしてこんなことになったの!?」
「リリィ・・・仕方ないよ。私達は戦うために生かされているんだって気がついたわ」
「でも・・・!!」
「行くわよ」
無表情のままミクがそう言い紫の魔方陣を作り上げた。
そして、リリィめがけて攻撃を繰り出した。
リリィの魔具はどんなものでも切り裂ける能力を持っていた。
飛んでくる紫の炎を一つ残らず斬り捨てていく。
「奇跡なんて訪れない」
「・・・え?」
「ごめんね?リリィ」
ミクは紫の魔方陣でリリィを縛り付けた。
「きゃぁぁぁぁ!!」
鋭い痛みがリリィを襲った。
ふっと紫の魔方陣が消えた。
「ミク・・・力を使ってはダメ・・・そんな体で上級魔法を使ったら死んでしまうわ」
「こんな時まで私の心配をしてくれるの?」
「当り前じゃない!私達、すれ違いがあっても友達でしょう?」
リリィの言葉にミクの手が止まりミクの魔具が手から滑り落ちた。
ミクはその場に座り込み泣きじゃくり始めた。
そんなミクにリリィは手を差し伸べた。
「さっきミクは奇跡なんて訪れないって言っていたけど、決めつけているから掴めないだけだよね」
「?」
涙をこぼしながらミクはリリィを見上げた。
リリィはミクに微笑みかけた。
「奇跡を起こしてみようよ」
ミクは怪訝そうに訊ねた。
「何をする気なの?リリィ」
「これからは国や学校の為に生きるんじゃなくて自分たちの為に生きようよ」
「でもそれは反逆行為とみなされる!!捕まれば2人共処罰されるんだよ!?」
慌てるミクにリリィが聞いた。
「ねぇ、まだ私の事を憎んでいる?」
「もう許しているよ」
「「だって友達でしょう?」」
2人は声を合わせそう言い笑い合った。
リリィは久しぶりに清々しい気持ちになった。
「今までの分も繋ぎ合おう」
ミクが真っすぐリリィの目を見てそう告げた。
2人は国から姿を消し・・・今はとある国で静かに暮らしている。
たまに追手が来ることもあるが2人の力を合わせれば負けることはない。


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