緑の守り神

えりー

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第二章 

ローゼの悩み

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ローゼはヒスイには内緒にしていたが初潮がきていた。
段々と大人の体になっていているのがわかる。
ローゼは初潮が来た事を話すかどうか迷っていた。
もし話したらきっと彼はローゼを抱くだろう。
ローゼの体の変化はそれだけではなかった。
胸も少し大きくなり、丸びをおびた体つきになっていっている。
ローゼは12歳になっていた。
彼の元へ戻ってから2年が経っていた。
もちろん彼に抱かれたくないわけではない。
ただ、トール王に無理やり抱かれて以来、そう言う行為に抵抗が出てきたのだ。
(どうしよう・・・ヒスイ様に抱かれたいけど・・・怖い)
ヒスイはきっと優しく抱いてくれる。
(・・・2年も待たせているし、そろそろ言うべきだとは思っているけれど・・・)
そう、ヒスイはローゼを抱くことを2年もの間必死で我慢していた。
”大人になるまで待つ”と彼は宣言してくれていた。
だから今までローゼはヒスイの事を信頼し、無邪気に甘えることが出来たのだ。
(・・・このまま隠していても仕方ない・・・)
ローゼは覚悟を決めた。
「言おう」
そのとき後ろから声が聞こえた。
「お、もう起きていたのか。おはようローゼ」
「あ、おはようございます」
ヒスイはまだ眠たそうに起きてきた。
「まだ朝も早いですし、もう少しお眠りになっていてもいいのでは・・・?」
「お前が添い寝してくれるなら寝ても良いが?」
情欲交じりの瞳で見られた。
(・・・竜は万年発情期なのかしら・・・)
前世でのことを思いだした。
彼は、ほぼ毎日を抱いていた。
「ちょうど朝食も出来ましたから一緒に食べましょう」
「ああ」
二人は食事を始めた。
食べ終わり、食器を片付けているとヒスイに声をかけられた。
「ローゼ、俺に隠し事していないか?」
そう言って凄んできた。
ローゼはびくっと体を揺らした。
「・・・してます」
「初潮がきたんだろう?」
あっさり隠していたことを言われ、ローゼは狼狽えた。
「ど、どうしてそれを・・・」
「竜の鼻はよく利くんだ。いつもと匂いが違うからもしかしてと思ってな」
(なんてことだろう、すでにバレていたなんて・・・)
ローゼは顔を真っ赤にしてその場に座り込んだ。
「ローゼ、何故隠していた?」
「・・・言いづらくて・・・」
(自分から言うだなんてまるで”抱いてください”って言っているようなものだもの)
「あと3日で終わるんだろう?」
「!!」
そんなことまでわかっているのかとローゼは驚いた。
「俺に抱かれたくないのか?」
「いいえ、そんなことはないです。ただトール王の事があったから・・・その抱かれるのが怖くて」
そう素直に言うと顔をしかめた。
「あの男の話はするな。もう終わったことだ、忘れろ」
「はい」
抱きしめながらヒスイはそう言った。
「あの、私・・・ヒスイ様には抱かれたいと思っています」
そう言いながらローゼはヒスイを抱きしめ返した。
ヒスイはその言動に驚いた反応を見せた。
「でも、まだ私を抱いても楽しめないかもしれませんよ?」
「?」
「まだ胸も小さいし体もまだまだ子供のままですし・・・大人の女性とは程遠いです」
そう言うとヒスイは笑った。
「笑うなんてひどいです!私は真剣に・・・!!」
言いかけているとヒスイにキスされた。
「俺は楽しいからお前を抱きたいわけではない。愛しているから触れ合って愛し合いたいだけだ」
(ヒスイ様は・・・ずるい・・・)
ローゼはそう思った。
「3日後だったな。楽しみにしているぞ。ようやくお前を抱くことが出来る」
真っ赤になりながらその言葉を聞いた。
「やっぱり楽しみにしているんじゃないですか」
軽く反論してみると彼は笑いながら言った。
「はははは、そうだな。ある意味楽しみだ。俺は今から見回りに行ってくる。体がもし辛ければゆくり休んでろ」
「・・・はい」
ローゼの体の事は全てお見通しのようだった。
その事が恥ずかしくて消えてなくなりたくなったローゼだった。

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