合コンに行ったら異世界の王に見初められました

えりー

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世界の違い

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美優は結城の待つ王の間へと連れてこられた。
紀藤がノックし王に声をかけた。
「結城様、美優様をお連れしました」
「入れ」
「さぁ、美優様。結城様の所へ行ってください」
そう言い美優の背を軽く押しにっこりと笑った。
戸がばたんと閉まり二人きりになった。
「美優、見違えたぞ。美しいな」
「ありがとうございます」
「お世辞じゃないぞ」
「結城様こそスーツより今の服の方が似合っています」
「そうか?スーツというものもなかなか気に入っているんだがな」
重厚な黒色の着物に身を包んだ結城は王の威厳に満ちていた。
「あの・・・私、どうなるんでしょうか?」
「?」
「元の世界に帰ることができるんでしょうか?」
その言葉を聞いたとたん結城の態度が変わった。
「帰れると思っているのか?」
「え?」
結城は玉座から立ち上がり、美優の腕を引き別室へと連れて行った。
そこは寝室らしかった。
「そこに座れ」
そう冷たく言い放たれ、美優は指さされた方を見た。
そこは天蓋付きのベッドの上だった。
「・・・失礼します」
そう言いながらそっとそこに腰かけた。
すると結城がのしかかってきた。
「俺はお前に求婚しているんだぞ?それなのに返すと思っているのか?」
「美優は俺のことが嫌いなのか?」
「す、好きです」
美優も一目会った時から結城のことを好きになっていたのだから嫌いかと問われるとこう答えるしかなかった。
そんな美優をおかしな生き物でも見るように眺めてきた。
「え・・・?好きなのか?」
「はい、実は私も一目惚れで・・・」
「俺もだ」
そう言いながら二人は向かい合って笑った。
「でも私、帰らなくちゃ…」
「何故?大学とか、両親とか・・・」
美優が一生懸命説明しているとこう言った。
「ああ、何だそんな事か。その事なら大丈夫だ」
「え?」
(どういうことなのだろう)
「この世界に来ると元いた世界ではいなかったことになってしまうんだ」
「じゃあ、私の両親は私の事覚えていないということですか!?大学の皆も!?」
「そうだ」
(なんてことしてくれたの。この人・・・)
のこのこついてきた自分にも非はあるが、まさかこんなことになるなんて・・・
「それじゃぁ、私にはもう帰る場所が無いってことなの?」
「いや、向こうの世界に帰れば、皆、美優のことを思い出して元通り生活を送ることができる」
美優はそれを聞いて安心した。
「それじゃぁ、私を今すぐ元の世界に帰して」
「嫌だ」
(いや・・・?)
「どうして?」
「求婚の返事を聞いていない」
「あっ・・・」
(そうだった。この人は本気で私と結婚してくれるつもりで求婚してくれたんだった)
はぁーっと重たいため息を結城はついて言った。
「今日はもういい。このまま、この部屋で休んでくれ、もうじき日も暮れる。食事は悠里に持ってきてもらうから何の心配もしなくていい」
「・・・はい」
そう言い結城は部屋から出て行った。

結城が部屋から出ると戸の前に紀藤が立っていた。
「私はてっきり今日のうちにでも手をお出しになるのかと思っていました」
紀藤が笑いをこらえ、肩を震わせている。
「・・・そのつもりだったんだが・・・」
結城はできなかったのだ。今まで女を抱いたことはたくさんあった。経験はたくさん踏んできたつもりだ。しかし、警戒心0の美優を見ていると手を出せなかった。
(まぁ、そんなに焦らなくても大丈夫だろう。もとより美優を元の世界へ帰す気なんてないのだし)
何より彼女は自分のことを好いてくれている。そして自分も、美優を好きだ。
急いでことを仕損じるよりここは慎重になったほうがいいだろう。
結城はそう自分に言い聞かせた。




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