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召喚
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まゆは家に帰り受け取ってしまった本を学習机の上に開いた。
本には今まで見たことのない文字が書かれていた。
しかし、ひらがなで読み仮名が書いてあった。
「もしかして本屋の店主さんが?」
まゆは大人びていてもまだ小学生だ。
カタカナは何とか読めるが漢字や英語は読めない。
店主の心遣いだろう。
まゆは一文字ずつ指でなぞりながら声に出して読んだ。
すると本は青白い炎に包まれ焼けてしまった。
悲鳴を上げることも忘れてまゆは呆然とその様子を眺めた。
「驚いたか?」
その声でまゆは我に返った。
振り返り声の主を確認した。
すると見目麗しい男が立っていた。
「あなたは誰?」
「ふーん?これ位じゃ驚かないのか」
まゆはこう見えても充分驚いていた。
しかしそれを表に出す術を知らないで育った。
彼の存在が気になり、もう一度訊ねた。
「あなたは?」
「先にそっちが名乗るものだろう」
(確かにそうね)
まゆはそう思い、座っていた椅子から降りて軽くお辞儀をしながら自己紹介をした。
「私は松本まゆといいます」
「・・・俺は魔王のジオンだ」
暫く沈黙が続いた。
先に口を開いたのはまゆだった。
「中二病の方はお帰り下さい」
そういうと窓をカラカラと開け、指さした。
「違う。本当に俺は魔族の王だ!!」
冷ややかな視線でまゆはジオンを眺めた。
ジオンはこめかみに青筋を立て怒っている。
「じゃあ、証拠は?」
「この見事な黒髪と黒い瞳がその証拠だ」
(日本人なんだから当たり前じゃない)
はーっとまゆは溜息をつきもう一度窓を指した。
「お帰り下さい」
「何故だ!?」
「貴方の黒髪は確かに綺麗だけど・・・瞳の色は真っ赤よ」
ジオンは言葉を失った。
まゆは机の引き出しから鏡を取り出しジオンに手渡した。
ジオンは恐る恐る鏡を覗き込んだ。
鏡に映し出されたのは見事な赤い瞳だった。
「嘘だろう・・・」
ジオンはよろけながら呟いた。
ジオンの手から鏡が滑り落ちカツンっと音がした。
「・・・黒くなくちゃいけないの?」
「当り前だ!!魔王は代々この色を受け継いできたのだから!!」
「・・・あんまり騒ぐと親が来るから静かにしてもらえると嬉しい」
無表情のまま取り乱しているジオンにまゆは言い放った。
その様子を見てジオンは少し冷静になった。
「ああ・・・早く願いを言えよ」
「願い?」
突然の言葉にまゆは困惑した。
「願いを叶えれば契約も無効になって俺はお前から解放される」
「そういうものなの?」
まゆは小首をかしげた。
「契約さえなければ瞳の色も元に戻る」
ジオンはまゆに迫った。
「さぁ、お前の願いは何だ?」
(願い・・・)
「ごめんなさい、何もありません」
「は?」
ジオンは驚き、目を見開いている。
「何かあるだろう?金や恋やら・・・」
「間に合ってます。恋をするつもりもありません」
大の大人が幼女に突き放されている。
部屋の角で大きな体を丸めジオンは落ち込んだ。
本には今まで見たことのない文字が書かれていた。
しかし、ひらがなで読み仮名が書いてあった。
「もしかして本屋の店主さんが?」
まゆは大人びていてもまだ小学生だ。
カタカナは何とか読めるが漢字や英語は読めない。
店主の心遣いだろう。
まゆは一文字ずつ指でなぞりながら声に出して読んだ。
すると本は青白い炎に包まれ焼けてしまった。
悲鳴を上げることも忘れてまゆは呆然とその様子を眺めた。
「驚いたか?」
その声でまゆは我に返った。
振り返り声の主を確認した。
すると見目麗しい男が立っていた。
「あなたは誰?」
「ふーん?これ位じゃ驚かないのか」
まゆはこう見えても充分驚いていた。
しかしそれを表に出す術を知らないで育った。
彼の存在が気になり、もう一度訊ねた。
「あなたは?」
「先にそっちが名乗るものだろう」
(確かにそうね)
まゆはそう思い、座っていた椅子から降りて軽くお辞儀をしながら自己紹介をした。
「私は松本まゆといいます」
「・・・俺は魔王のジオンだ」
暫く沈黙が続いた。
先に口を開いたのはまゆだった。
「中二病の方はお帰り下さい」
そういうと窓をカラカラと開け、指さした。
「違う。本当に俺は魔族の王だ!!」
冷ややかな視線でまゆはジオンを眺めた。
ジオンはこめかみに青筋を立て怒っている。
「じゃあ、証拠は?」
「この見事な黒髪と黒い瞳がその証拠だ」
(日本人なんだから当たり前じゃない)
はーっとまゆは溜息をつきもう一度窓を指した。
「お帰り下さい」
「何故だ!?」
「貴方の黒髪は確かに綺麗だけど・・・瞳の色は真っ赤よ」
ジオンは言葉を失った。
まゆは机の引き出しから鏡を取り出しジオンに手渡した。
ジオンは恐る恐る鏡を覗き込んだ。
鏡に映し出されたのは見事な赤い瞳だった。
「嘘だろう・・・」
ジオンはよろけながら呟いた。
ジオンの手から鏡が滑り落ちカツンっと音がした。
「・・・黒くなくちゃいけないの?」
「当り前だ!!魔王は代々この色を受け継いできたのだから!!」
「・・・あんまり騒ぐと親が来るから静かにしてもらえると嬉しい」
無表情のまま取り乱しているジオンにまゆは言い放った。
その様子を見てジオンは少し冷静になった。
「ああ・・・早く願いを言えよ」
「願い?」
突然の言葉にまゆは困惑した。
「願いを叶えれば契約も無効になって俺はお前から解放される」
「そういうものなの?」
まゆは小首をかしげた。
「契約さえなければ瞳の色も元に戻る」
ジオンはまゆに迫った。
「さぁ、お前の願いは何だ?」
(願い・・・)
「ごめんなさい、何もありません」
「は?」
ジオンは驚き、目を見開いている。
「何かあるだろう?金や恋やら・・・」
「間に合ってます。恋をするつもりもありません」
大の大人が幼女に突き放されている。
部屋の角で大きな体を丸めジオンは落ち込んだ。
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