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姿

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「奈々・・・私、出かける前に言いましたよね?絶対に開けるなと」
「・・・はい」
(でも今回は事故というかなんというか・・・)
「今回は人命救助(?)の為に仕方なく・・・あのまま小鳥を放っておいたら死んでしまったかもしれませんし・・・」
「セキレイはあんなことでは死なないです」
(まさかあの小鳥がハインツの友人だなんて思わなかったんだもの)
「ハインツの友人なんて知らなかったんだもの」
「そうですか、まぁ、今回は何もなかったので許してあげます」
そう言いながらハインツは奈々の手にキスを落とした。
(・・・またマーキング・・・?猫って独占欲強かったかしら・・・)
猫を飼ったことのない奈々には分らないことだった。
「セキレイさんが小鳥になれるんなら、ハインツも猫になれるの?」
「もちろんなれますが・・・それに何の意味があるんですか?」
(見てみたい)
「興味があるの。猫の姿になってみてくれない?」
「いいですけど」
奈々の希望通りハインツは猫の姿になってくれた。
「可愛い!!」
「え?」
奈々は思わずハインツを抱きしめた。
ハインツは綺麗な毛並みの黒猫になった。
瞳の色はやはり琥珀色だった。
サラサラの毛並み。
極上の手触りだった。
「奈々、くすぐったいですよ」
奈々はその猫がハインツだという事を忘れて全身を撫でまわした。
ハインツはされるがままになっていた。
(はぁ、可愛い)
「奈々、そろそろ元の姿に戻ってもいいですか?」
「え!?あっ、そうね。ありがとう」
ハインツはパッと元の人の姿に戻った。
(そうだ、あの猫ハインツだったんだ!!しまった触りすぎた)
そう思った時にはもう遅かった。
「では、次は私があなたを可愛がってあげましょうか?奈々?」
そう言いながらベッドに連れ込まれてしまった。
「あの・・・今日もするの・・・?」
「貴方がお望みならいつでも」
「望んでないのでいいです!!」
奈々は即座に断った。
「まぁ、そう言わず」
そう言いながらハインツは奈々の全身を撫で始めた。
「あっ、ん・・・」
「どうしました?そんな声出して」
「・・・んんっ」
「もしかして気持ちがいいんですか?」
ハインツは含み笑いをしながら服の上から体を撫でまわす。
「も、やめて。ハインツ・・・んっやぁ」
「・・・これ以上は何もしませんよ」
(そんなこと言われてもこれでは生殺しだわ・・・)
もっと強い刺激が欲しくなる。
段々と下腹部が熱くなるのを感じる。
「も、嫌!これ以上したら・・・」
「何です?」
「・・・嫌いになります」
奈々に今できる精一杯の抵抗だった。



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