狗飼君と私

えりー

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芽生えた恋心

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その日から有希は狗飼を意識しだした。
何故そうなったのか自分ではわからないが、恋とは突然やってくるものだろう。
狗飼はぎこちない有希に気を使っている。
でもずっと無言でいるわけにはいかない。
「あの、どうして狗飼君の方から言ってくれなかったの?」
「・・・それは、そういう約束を功様としていたからだ」
どういうことだろうか?何故ここで功の名前が出てくるのだろう。
「賭けをしたんだ。もし、有希が自分で思い出したら人間に転生させてくれると。もし思い出せなければ、さっさと成仏させるという内容で」
そんな重要なことがかかっている賭けにいつの間にか自分自身が巻き込まれていたことに有希は眩暈を覚えた。
「今日、私すべて思い出せたの。それじゃ、狗飼君の勝ちっということになるの?」
「・・・それを決めるのは俺じゃない。功様だ」
「でもー・・・」
狗飼は複雑な表情をしていた。
とりあえず功に会いに行こう。
そうしなければ話が進まないということか・・・。
「学校に行けば山神様に会えるんだよね?」
「たぶん」
「じゃぁ、急ごう」
「・・・」
有希は狗飼の手を引っ張った。
その手の上に狗飼が手を添えた。
「どうしたの?」
「もし、賭けに負けていたら・・・もう有希のそばにいられない」
「あっ・・・」
そうか勝敗を決めるのは神である功様なのだ。
「ルール違反に近いこともしているし・・・」
(ヒントを与えたことね)
「ルールってそういうことだったのね」
こんなに弱気な狗飼を見たのは初めてだった。
(いつも気丈に笑うから・・・私は彼の不安に気付いてあげられなかった・・・)
「・・・もう少しこのままでいさせてくれないか?」
「・・・?」
「せっかく両想いになったのに離れ離れになりたくない」
(あれ・・・?私告白なんてしてないのに・・・)
「ねぇ、私告白も何もしていないよ。どうして両想いだと言い切れるの」
「だってあんなキスしても逃げなかったじゃないか」
「!!」
そんなこと言われたらなんて返していいかわからない。
確かに抵抗も何もしなかった。
でもそれだけで両想いだと思われるのも・・・。
「・・・本能的にわかるんだそういうの。俺人間じゃないから・・・」
「・・・そう」
好きだという前に気持ちがバレるというのは居心地の悪いものだなと有希は思った。
ただ赤面するしかなかった。
二人は話し合って暫く思い出していないふりをすることにした。
そんなことあの神に通用するかはわからないが、有希も今はまだこのままでいたかった。

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