9 / 9
再会
しおりを挟む
翌日学校に行ってみるとクラスの皆、狗飼のことはきれいさっぱり忘れていた。
美香にも訊ねてみたが、そんな人クラスにいないと言われた。
(狗飼が学校にいたことは無かったことになっているのね)
あれから一週間が経った。
功の言いつけ通り山には近づいていない。
功と狗飼は一体何をしているのだろう。
何の連絡もないまま、夜になった。
有希は自室のベッドで横になっていた。
有希は本当にもう一度会うことができるのだろうかと不安になってきた。
「有希」
そのと聞きなれた声がした。
起き上がり振り返るとそこには待ち焦がれた愛しい人の姿があった。
「狗飼君!!」
そう言い狗飼の腕の中に飛び込んだ。
有希は嬉しくて泣いた。
狗飼はその涙を舐めとった。
「!?」
その行為に驚いて目を見開いた。
「見かけは人間なのに今みたいなことはしない方がいいよ・・・まるで犬みたいだよ」
「あー・・・悪いまだ半分犬なんだ。気を抜くと犬の姿に戻ってしまう」
そう言いぱっと犬の姿になってみせた。
「え!?」
(どういうこと!?)
そして驚いている有希の前でもう一度ぱっと人間の姿に戻った。
有希が混乱しているとそこに山神が姿を現した。
「もっと詳しくわかりやすく説明してやれ」
「山神様、どういうことですか?」
「あの事故が無かったことになって、狗飼に人間の姿を保つ術を与えたんだ。だが、まだ術が安定していなくてな。普通は一週間もあれば習得できるはずなんだが・・・」
「そうなんですか」
(だから姿がコロコロ変わるのね)
有希は納得した。
この状態ではまだ学校に行くのは無理だろう。
そこまで考えてこれからの狗飼のことを思った。
「山神様、この後狗飼はどうするんですか?」
功は不思議そうな顔をして二人に言った。
「お前たちの好きにすればいい。また親せきとしてこの家に置いてもらい、一緒に学校にも行けばいい」
山神は暗示を使ってもう狗飼の転入の準備を済ませていた。
それが最善だと思ったからだ。もともと狗飼は有希のものだ。
少し寂しく思ったが返すと約束したので仕方ない。
ふと功が寂しそうな顔をした。
その一瞬の表情の変化を有希は見逃さなかった。
「山神様、休みの日には山神様に会いに行きますね。狗飼と一緒に」
「ああ、楽しみにしているよ」
そういうと功は苦笑いしながら姿を消した。
功が去った後二人は温もりを確かめるように抱き合った。
(ああ、本当に帰ってきてくれたんだ・・・)
有希を抱きしめている狗飼の腕の力が強くなった。
「・・・狗飼君、苦しい」
「あ、ごめん。嬉しくてつい」
二人は自然と顔を近づけキスをした。
軽く触れあうだけのキス。
二人ともそれだけで満たされた。
「あ、私狗飼君に伝えたいことがあるの」
「?なんだ?」
「聞いてくれる?」
「もちろん」
有希はそっと手招いて狗飼の耳元で囁いた。
「私、狗飼君のことが好き」
「え?」
急なことに狗飼は驚いた。顔が真っ赤になっている。
「どうして・・・そんなこと・・・いきなり」
かなり動揺しているらしい。
ふふっと有希は微笑んだ。
「まだ、私から伝えたことなかったから」
もう離れ離れにならないとは思うけれど想いは伝えられるときに伝えておかないと機会を逃すと一生伝えることができなくなるかもしれないからー・・・
美香にも訊ねてみたが、そんな人クラスにいないと言われた。
(狗飼が学校にいたことは無かったことになっているのね)
あれから一週間が経った。
功の言いつけ通り山には近づいていない。
功と狗飼は一体何をしているのだろう。
何の連絡もないまま、夜になった。
有希は自室のベッドで横になっていた。
有希は本当にもう一度会うことができるのだろうかと不安になってきた。
「有希」
そのと聞きなれた声がした。
起き上がり振り返るとそこには待ち焦がれた愛しい人の姿があった。
「狗飼君!!」
そう言い狗飼の腕の中に飛び込んだ。
有希は嬉しくて泣いた。
狗飼はその涙を舐めとった。
「!?」
その行為に驚いて目を見開いた。
「見かけは人間なのに今みたいなことはしない方がいいよ・・・まるで犬みたいだよ」
「あー・・・悪いまだ半分犬なんだ。気を抜くと犬の姿に戻ってしまう」
そう言いぱっと犬の姿になってみせた。
「え!?」
(どういうこと!?)
そして驚いている有希の前でもう一度ぱっと人間の姿に戻った。
有希が混乱しているとそこに山神が姿を現した。
「もっと詳しくわかりやすく説明してやれ」
「山神様、どういうことですか?」
「あの事故が無かったことになって、狗飼に人間の姿を保つ術を与えたんだ。だが、まだ術が安定していなくてな。普通は一週間もあれば習得できるはずなんだが・・・」
「そうなんですか」
(だから姿がコロコロ変わるのね)
有希は納得した。
この状態ではまだ学校に行くのは無理だろう。
そこまで考えてこれからの狗飼のことを思った。
「山神様、この後狗飼はどうするんですか?」
功は不思議そうな顔をして二人に言った。
「お前たちの好きにすればいい。また親せきとしてこの家に置いてもらい、一緒に学校にも行けばいい」
山神は暗示を使ってもう狗飼の転入の準備を済ませていた。
それが最善だと思ったからだ。もともと狗飼は有希のものだ。
少し寂しく思ったが返すと約束したので仕方ない。
ふと功が寂しそうな顔をした。
その一瞬の表情の変化を有希は見逃さなかった。
「山神様、休みの日には山神様に会いに行きますね。狗飼と一緒に」
「ああ、楽しみにしているよ」
そういうと功は苦笑いしながら姿を消した。
功が去った後二人は温もりを確かめるように抱き合った。
(ああ、本当に帰ってきてくれたんだ・・・)
有希を抱きしめている狗飼の腕の力が強くなった。
「・・・狗飼君、苦しい」
「あ、ごめん。嬉しくてつい」
二人は自然と顔を近づけキスをした。
軽く触れあうだけのキス。
二人ともそれだけで満たされた。
「あ、私狗飼君に伝えたいことがあるの」
「?なんだ?」
「聞いてくれる?」
「もちろん」
有希はそっと手招いて狗飼の耳元で囁いた。
「私、狗飼君のことが好き」
「え?」
急なことに狗飼は驚いた。顔が真っ赤になっている。
「どうして・・・そんなこと・・・いきなり」
かなり動揺しているらしい。
ふふっと有希は微笑んだ。
「まだ、私から伝えたことなかったから」
もう離れ離れにならないとは思うけれど想いは伝えられるときに伝えておかないと機会を逃すと一生伝えることができなくなるかもしれないからー・・・
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
いや、無理。 (完結)
詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。
もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、
「わかってくれるだろう?ミーナ」
と手を差し伸べた。
だから私はこう答えた。
「いや、無理」
と。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
妹の身代わりだった私に「本命は君だ」――王宮前で王子に抱き潰され、溺愛がバレました。~私が虐げられるきっかけになった少年が、私と王子を結び付
唯崎りいち
恋愛
妹の身代わりとして王子とデートすることになった私。でも王子の本命は最初から私で――。長年虐げられ、地味でみすぼらしい私が、王子の愛と溺愛に包まれ、ついに幸せを掴む甘々ラブファンタジー。妹や家族との誤解、影武者の存在も絡み、ハラハラと胸キュンが止まらない物語。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
【完結】逃がすわけがないよね?
春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。
それは二人の結婚式の夜のことだった。
何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。
理由を聞いたルーカスは決断する。
「もうあの家、いらないよね?」
※完結まで作成済み。短いです。
※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。
※カクヨムにも掲載。
二十年以上無視してきた夫が、今さら文通を申し込んできました
小豆缶
恋愛
「お願いです。文通から始めてもらえませんか?」
二十年以上会話もなかった夫――この国の王が、ある日突然そう言ってきた。
第一王妃マリアは、公爵家出身の正妃。だが夫はかつて、寵愛する第三王妃の話のみを信じ、彼女を殴ったことがある。その事件が原因で、マリアは男性恐怖症が悪化して、夫と二人きりでは会話すらできなくなっていた。
それから二十年。
第三王妃はとある事故で亡くなり、夫は反省したらしい。だからといって――今さら夫婦関係をやり直したいと言われても遅すぎる。
なのに王は諦めない。毎日の手紙。花を一輪。夜食の差し入れ。
不器用すぎる求愛に振り回されるうち、マリアの中で止まっていた感情が少しずつ動き始める。
これは、冷えきった政略夫婦が「文通」からやり直す恋の話。
※本作は「存在されていないことにされていた管理ギフトの少女王宮で真の家族に出会う」のスピンオフですが、単体で読めます。
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる