青い葉桜の下で

えりー

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青い葉桜

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佐伯真理子は病を抱えていた。
完治しない病だった。
しかも、もうすぐ死期が来ると自分で分かっていた。
真理子の趣味は病院の敷地内の木々に話かけ、世話をする事だった。
「はぁ・・・疲れた」
水やりの為のホースを地面に置き、お気に入りの大木に寄りかかった。
その大木は、桜の木で春になるとたくさんの桜を咲かせる。
「今日は具合、良いと思ったんだけどな・・・」
1人呟くと、まるで心配するかのように桜の葉が揺れ始めた。
「大丈夫だよ、まだ・・・ね」
この日の葉桜はまるで何かを問いかけているようだった。
だから何となく返事をしてしまった。
「はい」と。
自分でも何に対して「はい」と返事をしたのかわからなかった。
だが、何か答えなくてはいけない気分になった。
するといきなりつむじ風が起こり、風に包まれてしまった。
凄い風圧だった。
つむじ風が治まり、目を開けると見た事のない風景が広がっていた。
一面の葉桜の森。
「・・・ここは?」
「葉桜の国だ」
後ろから黒いローブを纏った男が答えた。
「あなたは?」
「俺はこの国の王だ」
「王?」
(え?どういうこと?)
「俺はリアンという」
「私は真理子です」
立ち上がろうとした瞬間立ち眩みを覚えた。
真理子はそのまま意識を手放した。

目が覚めると豪華な部屋のベッドの上だった。
大きなソファの上にはあの男が眠っていた。
リアンを起こさないように部屋を出ようとすると腕を掴まれた。
「何処へ行く気だ?」
「分かりませんが・・・ここにいちゃいけない気がして・・・」
「何も知らずにこの世界をうろつくのは危険だぞ?」
「そんなに物騒な国なんですか?」
そう訊ねるとリアンは言った。
「まだ王が変わったばかりで安定していない」
「そうなんですか・・・って王ってあなたですよね!?」
「俺の権力が弱いせいか民がなかなかいう事を聞いてくれない」
リアンは悲痛の表情を浮かべている。
真理子はまずいことを聞いたと思った。
「ごめんなさい」
だから素直に謝った。
「何故謝る?」
「リアンが辛そうだから・・・」
「はははっ、異世界の女は面白いな」
そう言い、真理子に笑いかけた。
「あ!王様を呼び捨てにしてしまったわ!ごめんなさい」
「いい。お前は特別だ」
「特別?」
真理子の長い黒髪を一房とり口づけた。
それだけなのに真理子は真っ赤になった。
「俺はずっと真理子を待っていた」
「いつも俺の世話をしてくれていただろう?」
「え!?」
真理子には身に覚えがなかった。
「真理子が世話をしていた大木の桜の木だ」
「!?」
(え!?なに?どういうこと!?)
「お前の命が短いことも知っている」
「あ・・・」
「この国にいれば時が止まったままだから病状が進行することは無い」
「え!?」
「あとは”魔女の涙”があれば病は治るはずだ」
(どうしよう・・・話が見えない)
「魔女は知り合いがいるから安心しろ」
「あの・・・話が見えないんですが?」
真理子が戸惑っているとリアンが真理子を抱きしめた。
「必ず俺がお前の病を治してやるからな」
力強い力で抱きしめられ、真理子は驚いて身動きが取れなかった。
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