プリンセスカフェへようこそ

えりー

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最終話

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あの事件以来、真由子の周りには警察官が巡回を増やすようになった。
あの男・・・黒木巳継は婦女暴行未遂と誘拐の罪で裁かれることになったという。
証拠のカメラも見つかり、言い逃れは出来なかったそうだ。

真由子がドレスを斬られたことを気にしていたのですぐに新しく作り直してあげた。
すると彼女の顔に笑みが戻った。

あれから半年、何事もなく”プリンセスカフェ中島”は相変わらず大盛況だ。
僕はあの事件以来考えていた。
ずっと彼女の傍にいて守ってあげられる方法を・・・。
そしてようやく決心した。
今日は真由子の誕生日だ。
その日に合わせ特別なプレゼントを用意した。
せっかくの誕生日なので今日はカフェを定休日にした。
一世一代の告白を僕は今日する。
真由子はどんな反応をするのだろうか・・・。
正直なところ不安でしかない。
しかしもう決めたことだ。
あの事件以来僕はあんな思い二度としたくないと思った。
真由子はまだ何も知らない。
今日の僕は緊張している。
心臓が痛くなってきた。
ようやく夜になり予約しておいたお洒落なレストランに入った。
そして僕は切り出した。
「真由子、これプレゼント」
「あ、ありがとうございます」
真由子は丁寧に包みを開けていく。
中には小さな小箱が入っていた。
小さな箱を開いた時真由子は驚いていた。
「これ・・・結婚指輪・・・!?」
「婚約指輪を贈ろうと思ったんだけど・・・僕は真由子と早く結婚したい」
そして、もう一つ箱を取り出し、適当に包みを開いた。
その箱は真由子と色違いの小箱だった。
真由子の小箱は赤色。僕のは青い色の小箱だった。
僕は真由子に左手を出させ、真由子の薬指に指輪をはめた。
真由子は僕の左手の薬指に指輪をはめてくれた。
あまりかっこいいプロポーズではないけれど一生懸命だった。
2人共顔を赤らめ少し俯いた。
レストランで食事が終わると真由子は僕の部屋に行きたがった。
僕も2人きりになりたかったので承諾した。
家に帰ると真由子が僕を押し倒してきた。
非力な僕は呆気なく倒れ込んでしまった。
床に勢いよく押し倒されたのでフローリングに頭をぶつけた。
「ご、ごめんなさい。そんなに強く押したつもりは無かったの」
「うん、大丈夫だよ」
そう言いながら自然と見つめ合い唇を重ね合った。
「指輪、嬉しかったです。ありがとうございます」
僕は幸せの絶頂にいたが現実的にまだ課題が残っていた。
真由子の父親の承諾と真由子がまだ学生であることだ。
「真由子のお父さんに挨拶に行かなきゃだ・・・」
また僕は改めてスーツを着込んでいくのかと思うと気が重くなったが真由子を幸せにする為だ。
そう自分に言い聞かせた。
「お父さんなんて言うかな・・・」
真由子の一言でまた少し不安になった。
イメージトレーニングしてもあまり良いイメージは浮かばない。
”お前のような男に娘はやらん”とか言われそうだった。
今はその事を忘れて真由子に学生結婚について聞いてみた。
「真由子は学生結婚は困るかい?」
「いいえ!困りません!!」
はっきり言われてしまった。
そこは問題なさそうだ。
今度こそ僕は真由子の父親にぶっ飛ばされるかもしれない。

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