魔王の息子に惚れられました

えりー

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告白の返事

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翌日から自分が今までと違う事に気がついた。
和樹を意識するようになった。
今までは友人みたいなものだったが、その感情が少しずつ変わり始めた。
近くに来られればつい距離を取ってしまったり、キスをされれば心臓の音が聞こえそうなくらい高鳴るようになった。
「最近の唯奈はよそよそしいな」
「そ、そんな事ないわ」
(私、どうしちゃったのかしら)
あの日以来関係が変わってしまった。
「花嫁になると合意したらどうなるの?」
「俺が次期魔王に決定する」
「魔王の仕事が和樹に出来るの?」
「唯奈、お前俺を馬鹿にしてるのか?そういう教育もきちんと受けている」
「そうなんだ」
「あとは唯奈の答え次第だ」
「・・・私、色々考えたけど花嫁になる自信がない」
「何故?俺の子を身籠ればいいだけだ」
「・・・だってもし子供が出来なかったら?」
「その時はその時で方法はいくらでもある」
(一体どんな方法があるんだろう)
「お前、そんな事気にしていたのか?」
「気にするわよ」
「まだ俺の事好きになれないか?」
「す・・・好きになったって言ったらどうする?」
「今すぐ抱く。そして父上に報告に行く」
「報告はともかく抱かないでいい!!」
唯奈は焦った。
ただでさえ毎晩しつこく抱かれているのにこれ以上抱かれては体力が持たない。
少しは男女の体力差を考えて欲しいものだ。
唯奈はそう思った。
魔族は皆こんなに体力があるものなのだろうか・・・。
「で?好きになったのか?」
「好きになってしまったみたい」
「俺のどこが好きなんだ?」
「分からない」
何処が好きかなんて聞かれてもそういうのは理屈じゃないから。
(そう言ってもきっと和樹には伝わらないんだろうな・・・)
唯奈はぼんやりと窓の外を見た。
「それなら父上に報告に行こう!」
「え!?私も!?」
「花嫁が自分で報告しなくてはいけない決まりになっているんだ」
「でも、あんな事があった後だから顔を合わせにくいし怖い」
唯奈は正直に自分の気持ちを和樹に伝えた。
すると和樹は言った。
「父上はあのことは別に気にしていない。それに今度は俺も一緒だ。必ず守る」
そう言われ唯奈は少し安心した。
「父上の前に出るんだからもう少しまともな恰好をしなくてはいけないな」
「え?このドレスじゃダメなの?」
「ああ、地味すぎる」
そう言うとクローゼットの中から煌びやかなドレスを一着取り出した。
「これが一番似合うと思うんだ」
そのドレスは黄色いドレスで真珠がところどころに散りばめられ、白い糸で細かい刺繍が施されていた。
「・・・そんな高価なドレス似合わないわ」
「そんなことはない。俺が見立てたドレスだぞ。文句を言うな」
「え?そうなの」
半ば強引にドレスを渡されそれを着る事になった。
唯奈は覚悟を決め、そのドレスを着た。
鏡をのぞくとまるで別人のようになっていた。
「・・・本当に守ってくれる?」
「当り前だ。せっかく両想いになったのに父上に取られてたまるか」
和樹は唯奈に手を差し出し唯奈はその手を取って歩き出した。
魔王のいる王の間までー・・・。
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