白蛇の花嫁

えりー

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出会い

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車に轢かれかけていた白蛇をみやこが助けたことから話が始まった。
都は蛇は怖くない。
道路にいた綺麗な白蛇に見惚れていると車が来た。
都は慌てて白蛇を掴み草むらへ投げた。
白蛇は暫くそこにいてなかなか去って行こうとしない。
都は白蛇に声をかけた。
「ここは危ないから来てはダメよ?投げてごめんね?」
そう言うと白蛇は何かを考えているような顔をしてじっと都を眺めた。
白蛇はようやく去って行った。
都は一安心して家路についた。
家に帰り今日あった白蛇の事を思いだした。
あれから無事に山へ帰れただろうかと心配になった。
だがここで心配しても仕方がないので忘れることにした。
白蛇を投げたのは失敗だったかなとちょっと思った。
怪我をしていなければいいけど・・・。
都はそう思った。

翌日学校へ行こうとすると家の前に白髪の男性が立っていた。
瞳の色は赤。まるでルビーのような色をしていた。
都はその美しさに見惚れた。
でもあんまり人をジロジロ見ては失礼になるので目を逸らした。
そして、男の前を通り過ぎようとした時、男が都の腕をつかんだ。
「俺は、昨日お前に助けられた白蛇だ」
男は信じられないことを口にした。
「え?」
「お前を嫁として迎えたい」
そういうと男は都を横抱きにして飛んだ。
そして山へ都を連れて行った。
都は自分の身に何が起こったのかわからず硬直している。
唯一つ分かるのはこの男には体温がないことだけだ。
ひんやりした温度が制服越しに伝わる。
「い、嫌!降ろして!!」
都は男の腕の中で暴れた。
「大人しくしていろ。何もしない」
そう言い男は山奥へどんどん進んでいく。
一つの朽ち果てた社に辿り着いた。
戸を開けると、まるで別の空間だった。
その空間は洋室になっていて広かった。
そこの部屋に降ろされ、周りを見渡した。
「あの、貴方は?」
「俺はぎんだ」
「お前の名は?」
「都。ここはどこ?私をどうする気?」
都は焦った。
見知らぬ男に異空間に連れて来られたのだ。
焦らない人はいないはずだ。
銀は言った。
「さっきも言った通りだ。俺の嫁になってもらいたい」
「嫁!?」
わけがわからず頭の中が混乱している。
何とか頭の中を整理して彼の言っていることを理解した。
昨日助けた白蛇が人の姿になり、自分を嫁にするために迎えに来たのだ。
「何で私なの?蛇はたくさんいるじゃない」
都はそう言ったが銀は首を横に振った。
「俺は昨日お前を好きになってしまったんだ」
「え?投げたのに?」
この蛇はマゾなのだろうか・・・。
惚れる要素はない出会いだったはずだ。
しかし銀は都に惚れたという。
都はとりあえず椅子に腰かけるように促されて椅子に座った。
「俺はこの山の神だ。白蛇の神」
「神が人間と恋愛しちゃダメなんじゃ・・・」
「何故?」
「種族も違うし・・・色々違いすぎる」
何故かと聞かれても困る。
「とりあえず学校へ行かなくてはいけないの。私を元の場所へ戻してくれない?」
「嫌だ」
「嫌?」
「俺の嫁になると言うまでここから出さない」
そう言うと銀は内側から鍵をかけた。
(嘘・・・!閉じ込められた!!)
「こういうのは誘拐と監禁っていうのよ!!」
「何かそれが問題でも?」
銀は引かなかった。
都も引く気はなかった。
お互いにらみ合いが続いた。
「俺はもう都以外の嫁を貰う事を考えられない」
「でも私は人間なのよ」
「分かっている。それでも欲しい」
銀の赤い目が妖しく煌いた。
都は身震いした。
これから自分がどうなるか考えると怖くなった。
しかし、自力で帰るすべはない。
全ては銀次第だった。

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